トップ :: B 処理操作 運輸 :: B24 研削;研磨




【発明の名称】 研磨パッドの修復方法および研磨パッドの修復装置およびそれを用いた被加工物の研磨方法
【発明者】 【氏名】小島 弘之
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内

【氏名】鈴木 教和
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内

【氏名】佐藤 秀己
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内

【要約】 【課題】ドレスプロセスにおける研磨パッドドレッサの磨耗状態をリアルタイムで計測して、ドレスレートの安定化を図り、研磨パッドおよび研磨パッドドレッサの寿命の延命化を図ること。

【解決手段】研磨パッドドレッサ5の摩耗度合いを、大小相異なる2つのドレス荷重におけるドレス抵抗の比を用いることで定量的に評価し、評価結果に基づいたドレス荷重の設定を行うことでドレスレートを安定化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被加工物を研磨するための研磨パッドの表面を、研磨パッドドレッサによって修復する研磨パッドの修復方法であって、研磨パッドドレッサと研磨パッドとの相対押し付け荷重であるドレス荷重を任意の異なる2つの値に設定して、この異なる2つのドレス荷重において、研磨パッドと研磨パッドドレッサとの間に生じる研削抵抗であるドレス抵抗をセンサによってそれぞれ測定すると共に、測定した2つのドレス抵抗の比を算出し、算出されたドレス抵抗の比に基づいて、ドレス抵抗の比で定量化される研磨パッドドレッサの摩耗度合いを推定し、研磨パッドドレッサの摩耗度合いに応じて定まる、ドレス荷重と単位時間当たりの研磨パッド除去量であるドレスレートとの関係で表される研磨パッドドレッサのドレス特性に基づいて、前記推定した研磨パッドドレッサの摩耗度合いに応じた研磨パッドドレッサのドレス荷重条件を設定し、この設定したドレス荷重条件によって、研磨パッドの表面を研磨パッドドレッサによってドレスするようにしたことを特徴とする研磨パッドの修復方法。
【請求項2】 請求項1記載において、前記ドレス抵抗の測定は、少なくとも、前記研磨パッドの表面をドレスする直前に実行されることを特徴とする研磨パッドの修復方法。
【請求項3】 請求項1記載において、前記ドレス抵抗の測定は、前記研磨パッドによる前記被加工物の研磨中に実行されることを特徴とする研磨パッドの修復方法。
【請求項4】 請求項1乃至3の何れか1項に記載において、前記研磨パッドドレッサによる前記研磨パッドのドレスは、前記研磨パッドによる前記被加工物の研磨中に、同時に実行されることを特徴とする研磨パッドの修復方法。
【請求項5】 被加工物を研磨するための研磨パッドの表面を、研磨パッドドレッサによって修復する研磨パッドの修復装置であって、研磨パッドドレッサと研磨パッドとの相対押し付け荷重であるドレス荷重を、任意に設定可能なドレス荷重印加手段と、研磨パッドドレッサと研磨パッドに対して相対摺動を与える駆動手段と、研磨パッドと研磨パッドドレッサとの間に生じる研削抵抗であるドレス抵抗を計測するセンサ手段と、任意の異なる値に設定した2つのドレス荷重において、前記センサ手段が測定した2つのドレス抵抗の比に基づいて、ドレス抵抗の比で定量化される研磨パッドドレッサの摩耗度合いを推定する手段と、研磨パッドドレッサの摩耗度合いに応じて定まる、ドレス荷重と単位時間当たりの研磨パッド除去量であるドレスレートとの関係で表される研磨パッドドレッサのドレス特性に基づいて、前記推定した研磨パッドドレッサの摩耗度合いに応じた研磨パッドドレッサのドレス荷重条件を設定する手段とを、具備したことを特徴とする研磨パッドの修復装置。
【請求項6】 請求項1乃至4の何れか1項に記載の研磨パッドの修復方法によってドレスされた研磨パッド、あるいは請求項5に記載の研磨パッドの修復装置によってドレスされた研磨パッドを用いて、被加工物の研磨を行うことを特徴とする被加工物の研磨方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウェハやガラス基板などの被加工物を研磨するための研磨パッドの修復方法および研磨パッドの修復装置およびそれを用いた被加工物の研磨方法に係り、特に、研磨パッドの表面を研磨パッドドレッサによってドレス(dress:工具を元の状態に戻すための加工、すなわち、ここでは研磨パッドの状態を良好な研磨加工が可能な状態に修復するための加工、換言するなら、研磨パッドドレッサによる研磨パッドの目立て(目通し)研削)する際の制御手法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CMP(化学的機械的研磨法)は、従来からシリコンウェハの平滑化に用いられていたが、半導体集積回路製造におけるリソグラフィ工程の焦点深度マージン確保を目的とした半導体回路基板の平坦化にも、極めて有効であることが判り、現在では、高密度半導体製造には欠くことのできないプロセスとなっている。
【0003】半導体回路基板のCMPにおける重要課題として、研磨レート(単位時間当たりの研磨量)の安定化が挙げられる。半導体回路基板に多用される酸化膜のCMPでは、酸化膜の研磨終点のインプロセス検出の実用化が未だなされておらず、このため現状では、事前に測定した研磨レートで所望の研磨量を除して算出された、研磨時間を用いて研磨を行っている。しかし、このような方法では、研磨レートの変動がそのまま研磨量の誤差として反映される。そのため、研磨に伴って生じる研磨パッド表面の摩耗による研磨レート変動の抑制を目的とした、ダイアモンド砥石(研磨パッドドレッサ)による研磨パッド表面のドレスが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のCMPなどに用いる研磨パッドのドレス方法では、研磨パッドドレッサであるダイアモンド砥石の摩耗によるドレス能力の低下を補正していないため、以下のような問題を生じている。これを、図2を参照しつつ説明する。図2は、研磨パッドドレッサと研磨パッドとの相対押し付け荷重であるドレス荷重をある一定値に設定したときの、研磨パッドドレッサの使用時間とドレスレートとの関係を示す図である。
【0005】研磨パッドドレッサに用いられているダイアモンド砥石は、一般に使用開始当初は、ダイアモンドのエッジ部により高いドレスレート(単位時間当たりの研磨パッド除去量)を示す(図2中のa)。その後、使用時間の経過と共にダイアモンドのエッジ部の摩耗によって、ドレスレートが急速に低下し(図2中のb)、その段階を過ぎると、ドレスレートは緩やかな低下を示す(図2中のc、d、e)。このため、一定のドレス荷重条件でドレスを行った場合、使用開始当初は過剰なドレスを行ってしまい、このため研磨パッドが過大に消耗し、研磨パッドの寿命が短くなる問題がある。一方、研磨パッドの消耗を抑制するために、例えば、使用開始当初の研磨パッドドレッサの状態を、ダイヤモンドのエッジがある程度摩耗した状態のものにすると、目標とするドレスレート13を実ドレスレートが下回る時点14が早まるために、研磨パッドドレッサの寿命が短くなってしまう。
【0006】また、従来のCMPなどに用いる研磨パッドのドレス方法では、前記の研磨パッドドレッサのドレスレートの減少により、研磨パッドの表面状態を一定水準に維持することが困難であるために、研磨レートの変動を引き起こすという問題があった。
【0007】以上の問題は、研磨パッドドレッサ(ダイアモンド砥石)の摩耗によるドレスレートの変化に応じて、ドレス条件(ドレス荷重)を適切に制御することで解決できる。このようなドレス制御で最も簡便な方法は、図2の線図を用いて、研磨パッドドレッサの使用時間に応じてドレス荷重を変更する方法である。
【0008】ところが、一般的に研磨パッドのドレスに用いられているダイアモンド電着砥石は、(1)製法上の制約から砥石突き出し量や砥粒密度等の管理が困難であるために生じる、作用砥粒数のばらつき、(2)使用されているダイアモンド砥粒自体の品質に起因する、摩耗特性のばらつき、があるので、図2に示す研磨パッドドレッサの使用時間とドレスレートとの相関を示す曲線は、ドレッサ個々によるばらつきが大きい。
【0009】したがって、研磨パッドドレッサの使用時間に基づいたドレス荷重の変更では、適切な制御は望めないため、ドレスレート、あるいは研磨パッドドレッサの摩耗状態を、リアルタイム計測した結果に基づいた、ドレス制御が必要である。
【0010】なお、研磨レートを安定化する手段としては、特開平11−138418号公報、あるいは特開2000−141218公報などに、研磨定盤のトルクに基づいてドレッサ制御を行う方法が開示されているが、研磨パッドドレッサの摩耗による影響に関しては言及していない。
【0011】本発明の目的は、ドレスプロセスにおける研磨パッドドレッサの摩耗状態をリアルタイム計測し、計測結果に基づいたドレス条件の設定を行うことで、ドレスレートの安定化を図ることにある。さらに、本発明の目的は、従来と比較して研磨パッドおよび研磨パッドドレッサの寿命の延命化を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を達成するために、研磨パッドドレッサと研磨パッドとの相対押し付け荷重であるドレス荷重を任意の異なる2つの値に設定して、この異なる2つのドレス荷重において、研磨パッドと研磨パッドドレッサとの間に生じる研削抵抗であるドレス抵抗をセンサによってそれぞれ測定すると共に、測定した2つのドレス抵抗の比を算出し、算出したドレス抵抗の比に基づいて、ドレス抵抗の比で定量化される研磨パッドドレッサの摩耗度合いを推定し、研磨パッドドレッサの摩耗度合いに応じて定まる、ドレス荷重と単位時間当たりの研磨パッド除去量であるドレスレートとの関係で表される研磨パッドドレッサのドレス特性に基づいて、推定した研磨パッドドレッサの摩耗度合いに応じた研磨パッドドレッサのドレス荷重条件を設定し、この設定したドレス荷重条件によって、研磨パッドの表面を研磨パッドドレッサによってドレスする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【0014】図1は、本発明の一実施形態に係る研磨パッドの修復装置(ドレス装置)の概略構成図であり、本実施形態では、研磨パッドの修復装置は、被加工物の研磨装置に付設されたものとなっている。
【0015】図1において、1は研磨パッド、2は研磨定盤、3は被加工物保持器、4は被加工物、5は研磨パッドドレッサ、6はドレッサ軸、7はエアシリンダ、8はドレス抵抗センサ、9は演算制御装置、9aは制御部、9bは演算部、9cはメモリ、10は表示装置、11は入力装置、12はドライバ群、17はドレス機構保持腕である。
【0016】図1に示す構成において、研磨定盤2に貼付・固定された研磨パッド1上に、スラリ(図示せず)を滴下しながら、研磨パッド1によって被加工物保持器3を介して任意の研磨圧で被加工物4を加圧し、この状態で研磨定盤2および被加工物保持器3を回転させることにより、研磨パッド1と被加工物4に相対摺動運動を与え、半導体ウェハなどの被加工物4の研磨を行うようになっている。なお、被加工物保持器3は、図示せぬモータによって回転駆動される回転軸の先端に取り付けられており、この回転軸を介して被加工物保持器3は、図示せぬエアシリンダによって、アップ/ダウン駆動されると共に、研磨圧を付与されるようになっている。
【0017】また、任意の所定タイミングで所定時間だけ、ダイアモンド砥石を用いた研磨パッドドレッサ5によって、研磨パッド1の表面のドレスを行うようにもなっている。ドレッサ軸6の先端に取り付けられた研磨パッドドレッサ5は、モータ(図示せず)によりドレッサ軸6を介して回転駆動されるようになっており、また、研磨パッドドレッサ5は、エアシリンダ7によって、ドレッサ軸6を介してアップ/ダウン駆動されると共に、研磨パッド7への押し付け荷重であるドレス荷重が印加されるようになっている。そして、研磨パッドドレッサ5による研磨パッド1のドレス工程時には、適正にコントロールされたドレス荷重によって、研磨パッドドレッサ5を研磨パッド1に押し付けた状態で、研磨パッドドレッサ5および研磨パッド1を回転させることで、研磨パッドドレッサ5と研磨パッド1に相対摺動運動を与え、研磨パッドの表面を目立て(目通し)研削するようになっている。
【0018】研磨パッドドレッサ5による研磨パッド1のドレスは、任意のタイミングで行うことが可能であるが、研磨パッド1による被加工物4の研磨と同時に行うと、スループットを向上させることができる。この場合には、研磨パッド1による被加工物4の研磨の実行中の総ての時間にドレスを行う必要はなく、例えば被加工物研磨の所定時間経過毎に、ドレス行うようにすればよい(なお、被加工物4の研磨の実行中のほぼ総ての時間にドレスを行うようにしてもよい)。被加工物4の研磨と研磨パッド1のドレスとの同時実行の場合には、ドレスにおいてもスラリが滴下される。また、研磨パッドドレッサ5による研磨パッド1のドレスにおいては、どうしても削り屑の発生を伴うので、この削り屑を嫌う場合には、研磨パッド1による被加工物4の研磨を中断して、研磨パッドドレッサ5による研磨パッド1のドレスのみを独立して行うようにしてもよい。この場合のドレスにおいては、スラリまたは純水が滴下される。
【0019】本実施形態では、研磨パッドドレッサのドレス抵抗(研削抵抗)を計測するための、歪みゲージセンサなどからなるドレス抵抗センサ8が、エアシリンダ7およびドレッサ軸6を介して研磨パッドドレッサ5を保持したドレス機構保持腕17に設けられている。このドレス抵抗センサ8は、研磨パッドドレッサ5によって研磨パッド1をドレスする際、研磨パッド1と研磨パッドドレッサ5との間に生じる研削抵抗であるドレス抵抗を検出し、検出信号をドレス抵抗信号として演算制御装置9へ出力する。
【0020】演算制御装置9に入力されたドレス抵抗信号は、演算部に9bに渡され、ここで後述するようにして、研磨パッドドレッサ5のドレス性能の評価処理(研磨パッドドレッサ5の摩耗度合いの推定処理)が行われる。ドレス抵抗値や、これを用いることによって得られたドレス性能の評価結果は、必要に応じてメモリ9cに格納されると共に、制御部9aにも出力され、制御部9aを介して表示装置10上で、ドレス性能の評価結果などが表示されるようになっている。
【0021】また、演算部9bからは、ドレス性能の評価のために必要なドレス抵抗値を得るため、実ドレス動作に先立って試ドレス動作を行わせるための制御指令値(ドレス荷重条件や試ドレス時間など)が、制御部9aに出力される。これを受けて制御部9aは、各駆動源(モータやエアシリンダなど)用のドライバ回路が複数含まれるドライバ群12に制御信号を送出し、ドライバ群12は、エアシリンダ7により所定のドレス荷重を印加した状態で、研磨パッドドレッサ5および研磨パッド1を回転させることで、試ドレス動作を実行させるようになっている。
【0022】なお、ドレス抵抗値の測定(試ドレス動作)は、上述のように実ドレス動作の直前に行うことが好ましく、また、被加工物4の研磨と研磨パッド1のドレスとを同時に実行中の場合には、所定タイミング毎に、被加工物4の研磨の実行中にも、ドレス抵抗値の測定(試ドレス動作)を行うようにされる。
【0023】また、演算部9bからは、ドレス性能の評価結果によって算出された研磨パッドドレッサ5の摩耗度合いに応じた、実ドレス動作のための制御指令値(ドレス荷重条件や実ドレス時間など)が、制御部9aに出力される。これを受けて制御部9aは、ドライバ群12に制御信号を送出し、ドライバ群12は、エアシリンダ7により所定のドレス荷重を印加した状態で、研磨パッドドレッサ5および研磨パッド1を回転させることで、実ドレス動作を実行させるようになっている。
【0024】なお、演算制御部9は、実際には、CPU、ROM、RAM、各種I/Oインターフェースなどを備えたマイクロコンピュータで構成され、制御部9aや演算部9bの機能は、予め作成された所定のプログラムを実行することによって、RAMなどのワークエリアにおいて具現化される。ここで、演算制御部9は、研磨パッドの修復装置(ドレス装置)と被加工物の研磨装置とを兼用する、工作機システム全体の統括制御を司るもので、被加工物の研磨動作の制御も勿論行うものであるが、本実施形態ではその説明は割愛する。
【0025】次に、本実施形態の動作を説明する。研磨パッド1をドレスすることが必要なタイミングになると(研磨パッド1をドレスするタイミングは、研磨パッドの稼動時間で管理してもよいし、研磨パッドの表面の状態を観察することで決定してもよい)、研磨パッド1を実際にドレスする前に、まず、ドレス抵抗値を測定するために試ドレスをごく短時間行う。この試ドレスにおいては、ドレス荷重を任意の異なる2つの値に設定して、この異なる2つのドレス荷重において、研磨パッド1と研磨パッドドレッサ5との間に生じる研削抵抗であるドレス抵抗を、ドレス抵抗センサ8によってそれぞれ測定する。すなわち、ドレス抵抗値を測定するために、演算部9bは、制御部9aに第1のドレス荷重を設定した試ドレスを指示し、この第1のドレス荷重におけるドレス抵抗センサ8からのドレス抵抗信号を取得して、この際のドレス抵抗値を記録する。次に、演算部9bは、制御部9aに第2のドレス荷重を設定した試ドレスを指示し、この第2のドレス荷重におけるドレス抵抗センサ8からのドレス抵抗信号を取得して、この際のドレス抵抗値を記録する。
【0026】続いて、演算部9bは、測定した2つのドレス抵抗値の比を算出して、このドレス抵抗比に基づいて、ドレス抵抗比で定量化される研磨パッドドレッサ5の摩耗度合いを推定する。そして、演算部9bは、推定した研磨パッドドレッサ5の摩耗度合いと、予め測定しメモリ9cに格納された実験データとに基づいて、ドレス荷重とドレスレートを関係付ける関数fを生成し、この関数fにより、予め与えられた目標とするドレスレートに必要なドレス荷重を算出する。以下、関数fの生成方法について説明する。
【0027】図2のa〜eのように、任意の各摩耗段階における研磨パッドドレッサ5において、ドレス荷重を段階的に変化させ、各荷重毎に研磨パッド1の削れ量を計測し、得られた研磨パッド削れ量をドレス時間で除すことによって、ドレスレートを逐次測定する。測定したドレスレートとドレス荷重とを対応付けて表示すると、図3に示すように、前記a〜eの各摩耗段階毎に、f1〜f5のように、おおむね両者の値を一意に対応付けることができる関数が存在することが判る。
【0028】一方、図3のドレスレートの測定と同時にドレス抵抗を測定し、この測定したドレス抵抗とドレス荷重とを対応付けて表示すると、図4に示すようになる。図4中のa〜eの記号は、図2、3中の記号に対応している。
【0029】図4より明らかなように、同一ドレス荷重におけるドレス抵抗は、研磨パッドドレッサ5の使用当初(図4のa)が最も大きく、研磨パッドドレッサ5の摩耗に伴って、ドレス抵抗が順次減少することがわかる(図4のb〜e)。また、ドレス荷重が低くなるほど、研磨パッドドレッサ5の各摩耗段階のドレス抵抗は、摩耗が進んでいないものほど大きくなる傾向が顕著に現れる。これは、ダイアモンド砥粒の摩耗が少ない場合には砥粒の角部が鋭利であり、低荷重においても研磨パッドへの切り込みが容易であるために、ドレス抵抗が高いことに起因している。したがって、低ドレス荷重におけるドレス抵抗を評価値とすれば、研磨パッドドレッサ5の摩耗状態を定量的に評価できるように見えるが、単純にドレス抵抗のみによる評価を行うと、研磨パッドドレッサの製品ばらつきに起因する、ドレス抵抗ばらつきの影響が大きいため、研磨パッドドレッサ5の摩耗状態を精度よく定量的に評価することができない。
【0030】そこで、本実施形態では、研磨パッドドレッサ5の各摩耗段階(図4のa〜f)において、例えば、図4において15の線で示されるドレス荷重4.0におけるドレス抵抗(Ra4.0、Rb4.0、Rc4.0、Rd4.0、Re4.0)と、16の線で示されるドレス荷重0.4におけるドレス抵抗(Ra0.4、Rb0.4、Rc0.4、Rd0.4、Re0.4)のように、大小相異なる2つのドレス荷重におけるドレス抵抗の比(Ra4.0/Ra0.4、Rb4.0/Rb0.4、Rc4.0/Rc0.4、Rd4.0/Rd0.4、Re4.0/Re0.4)は、(Ra4.0/Ra0.4)<(Rb4.0/Rb0.4)<(Rc4.0/Rc0.4)<(Rd4.0/Rd0.4)<(Re4.0/Re0.4)となることに着目して、大小相異なる2つのドレス荷重におけるドレス抵抗の比を用いることで、研磨パッドドレッサ5の摩耗状態を、精度よく定量的に評価(精度よく推定)できるようにしている。
【0031】ドレス荷重とドレスレートとを関係付ける関数fは、測定されたドレス抵抗比gと、予め測定・保持しておいた前記a〜eの各摩耗段階におけるドレス抵抗比g〜gとの比較を行い、測定されたドレス抵抗比g(R4.0/R0.4)が、下記の(1)式となる場合(下記の(1)式で表される摩耗度合いであると推定される場合)、g≧g>gn+1 ……(式1)
、gn+1にそれぞれ対応するf、fn+1を、下記の(2)式のように重み付け加算を行うことで、生成する。
【0032】
f=(g−gn+1)/(g−gn+1)×f +(g−g)/(g−gn+1)×fn+1 ……(式2)
そして、上述した演算処理によって算出・推定された研磨パッドドレッサ5の摩耗度合いと、これに対応するドレス性能は、演算部9bから制御部9aに出力され、制御部9aを介して表示装置10上で、ドレス性能の評価結果として、視認しやすい形態で表示される(例えば、図3に示すような、ドレス荷重とドレスレートとの関係で表される関数グラフとして表示される)。
【0033】また、演算部9bは、算出・推定した研磨パッドドレッサ5の摩耗度合いから求められた、ドレス荷重とドレスレートとを関係付ける前記の関数fを用いて、予め指示された目標ドレスレートに必要なドレス荷重を算出し、これを制御部9aに出力する。これを受けて、制御部9aは、演算部9bより指示されたドレス荷重指令値に基づき、ドライバ群12を介してエアシリンダ7を制御して、研磨パッドドレッサ5に所定のドレス荷重を印加する。そして、制御部9aは、ドライバ群12を介して図示せぬモータを回転させ、研磨パッドドレッサ5および研磨パッド1を回転させることで、実ドレス動作を所定時間だけ実行させる。
【0034】なお、図3より明らかなように、研磨パッドドレッサ5の摩耗が極度に進行すると、目標とするドレスレートを維持するために過大なドレス荷重を要するようになり、機器の損傷原因となる。このため、演算部9bでは予め設定されたドレス荷重上限値と、前記関数fを用いて算出されたドレス荷重値との比較を行い、ドレス荷重上限値を超えた値が算出された場合には、研磨パッドドレッサ5の寿命と判定し、制御部9aを通じて表示装置10上で研磨パッドドレッサ5の交換を作業者に指示するようになっている。なおまた、このドレス荷重上限値や、前記した目標とするドレスレートは、作業者によって入力装置11から入力されるようになっている。
【0035】図5は、図1に示した研磨パッドのドレス装置を用いて実施した、本実施形態による、ドレス加工におけるドレスレートと研磨パッドドレッサ使用時間との相関を示したものであり、図5においては対比のために、研磨パッドドレッサの摩耗度合いの如何にかかわらずドレス荷重を常に一定とした、前記図2の従来手法によるドレスレートと研磨パッドドレッサ使用時間との相関を、併せて示してある。従来手法では、ドレス荷重を4.0に設定してドレス加工を実施し、本実施形態では、目標ドレスレートを1.5に、ドレス荷重上限値を6.0にそれぞれ設定して、ドレス加工を実施した。
【0036】図5から明らかなように、本実施形態による研磨パッドのドレス手法では、研磨パッドドレッサの使用時間の如何にかかわらず、ドレスレートをほぼ目標値に保つことができることがわかる。また、本実施形態においては、研磨パッドドレッサの寿命が、従来手法のドレス加工の約3倍程度、延命化されることが確認された。
【0037】このように本実施形態による研磨パッドのドレス手法では、研磨パッドドレッサによるドレスレートを常に安定化することが可能となるので、従来手法で生じていた研磨パッドドレッサの使用開始当初の過剰なドレスによる、研磨パッドの過大な消耗を防止でき、以って、研磨パッドの寿命の延命化を図ることができる。さらに、研磨パッドドレッサの摩耗度合いに応じた適切なドレス荷重の制御によって、研磨パッドドレッサ自体の寿命の延命化を図ることもできる。また、従来手法では、研磨パッドドレッサの摩耗によるドレスレートの減少によって、研磨パッドの表面状態が変化するのに伴って、研磨パッドによる被加工物の研磨レートの不安定を引き起こしていたのに対して、本実施形態ではドレスレートを安定化することで、研磨パッドの表面状態を常に一定の良好な状態に維持できるため、研磨パッドによる被加工物の研磨レートを安定化できる。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、研磨パッドのドレスプロセスにおける、研磨パッドドレッサによる研磨パッドのドレスレートを安定化することが可能となり、研磨パッドの寿命および研磨パッドドレッサの寿命の延命化を図ることが可能となる。さらに、研磨パッドの表面状態を常に一定の良好な状態に維持できるため、研磨パッドによる被加工物の研磨レートの安定性を改善することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
【出願日】 平成13年10月3日(2001.10.3)
【代理人】 【識別番号】100093492
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 市郎 (外1名)
【公開番号】 特開2003−117816(P2003−117816A)
【公開日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願番号】 特願2001−307709(P2001−307709)