| 【発明の名称】 |
両面同時平面研磨装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】鬼島 幸光 【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セイコーインスツルメンツ株式会社内
【氏名】伊藤 勝平 【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セイコーインスツルメンツ株式会社内
【氏名】海老原 弘 【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セイコーインスツルメンツ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ワークを目的寸法に加工するまでの加工時間の短縮を図ることができ、かつ、割れ、欠け等の不良品の発生率を低減させることができる両面同時平面加工装置を提供する。
【解決手段】両面同時平面研磨装置50は、下定盤2と、下定盤2上に載置された複数のワークW,Wを保持するキャリア4と、下定盤2と対向して配置され、キャリア4に保持されたワークWに接触しながら下定盤2に倣い回転駆動する上定盤7と、上定盤7を昇降させる昇降手段14とを具備する研磨装置20と、昇降手段14による上定盤7のワークWに対する負荷荷重および下定盤2または上定盤7の回転数からなる加工条件を制御する制御装置30と、ワークWの厚み寸法Lwを検出する寸法検出手段42と、寸法検出手段42の検出結果に基づいて単位時間t当たりのワークWの厚み寸法Lwの変化率Pnを算出する寸法変化率演算手段43とを具備する定寸装置40と、を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 定盤軸線を中心に回転駆動する下定盤と、上記下定盤上に載置された複数のワークを保持し、自転しながら公転運動するキャリアと、上記下定盤と対向して配置され、上記キャリアに保持されたワークに接触しながら上記下定盤に倣い回転駆動する上定盤と、上記上定盤を昇降させるための昇降手段と、を具備する研磨装置と、上記昇降手段による上記上定盤のワークに対する負荷荷重および上記下定盤または上定盤の回転数からなる加工条件を制御する制御装置と、上記ワークの厚み寸法を検出する寸法検出手段と、該寸法検出手段による検出結果に基づいて単位時間当たりのワークの厚み寸法の変化率を算出する寸法変化率演算手段とを具備する定寸装置と、を備えることを特徴とする両面同時平面研磨装置。 【請求項2】 上記制御装置は、上記寸法変化率演算手段による寸法変化率を基に、上記上定盤の負荷荷重および上記下定盤または上定盤の回転数を次の加工段階の負荷荷重および回転数に切換える加工条件切換手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の両面同時平面研磨装置。 【請求項3】 上記制御装置は、上記寸法検出手段により検出された寸法を利用して加工プロセスを細分化し、各加工プロセス毎に最適な負荷荷重および回転数からなる加工条件を設定する加工条件設定手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の両面同時平面研磨装置。 【請求項4】 上記定寸装置は、上記寸法変化率演算手段により所定サイクル毎に算出された寸法変化率の現在値と、予め設定された寸法変化率の限界値とを比較し、上記現在値が上記限界値を下回った場合に研磨剤交換時期である旨を報知する報知手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の両面同時平面研磨装置。 【請求項5】 上記寸法検出手段は、上記上定盤に埋設された渦電流式変位センサにより所定サンプル数検出された下定盤表面の電圧信号、下定盤表面を除く溝表面の電圧信号、およびキャリア表面の電圧信号のうち、上記下定盤表面の電圧信号のみを抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の両面同時平面研磨装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、平板状ワークの両面を同時に加工する両面同時加工平面ラップ盤、両面同時加工平面ポリッシング盤等の両面同時平面研磨装置に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の両面同時平面研磨装置としては、その一例として、例えば、図10に示したような平面研磨装置が知られている。 【0003】同図に示すように、この両面同時平面研磨装置は、中空の下定盤回転軸1に固定された下定盤2が、下定盤回転軸1に取り付けられた下定盤駆動ギア3により低速で回転駆動され、この下定盤2上に載置され、複数のワーク装着用貫通穴4a,4aにワークW,Wを装着した複数のキャリア4,4の外周のキャリアギア4bが、サンギア5とインナーギア6に噛み合うように構成されている。 【0004】そして、サンギア5とインナーギア6のそれぞれの回転により、キャリア4,4は自転しながらサンギア5の回りを公転し、更に、上定盤7が上記ワークW,Wを上記下定盤2との間に挟み、ワークWに対して荷重を加え、下定盤2と同心かつ別の回転速度で回転するように構成されており、下定盤2、キャリア4,4、上定盤7をそれぞれ回転させ、研磨剤に溶媒を加えて調合した研磨液をワークWと上下定盤2、7との間に供給してワークWの両面を同時に研磨するようになっている。 【0005】ところで、研磨加工に使用する上記研磨剤は、長期間に亘る継続的な使用によって、その加工効率が低下するものであり、定期的に研磨剤の交換を行なう必要があるが、この研磨剤の交換作業における交換時期の判断、すなわち研磨剤の寿命の判断は、作業者の経験的判断や、タイマーによる時間設定のように一律的に設定されているのが実情である。 【0006】また、上記のような両面同時平面研磨装置における研磨加工のプロセスは、大別して2段階で行なわれており、一般に、第1段階では、キャリア4,4に装着される複数のワークW,Wにおける各々の厚みにバラツキがあるため、上定盤7のワークWに対する荷重を低荷重とし、下定盤2の回転数を低速に設定して、厚みの大きいワークWに対して局部的に生じる荷重の応力集中を防止する馴らし加工が行なわれる。 【0007】そして、上記馴らし加工を行なった後、第2段階では、各ワークに対する荷重が均等になったと判断し、上定盤7のワークWに対する荷重を高荷重とし、下定盤2の回転数を高速に設定して、高荷重かつ高速回転により目的寸法になるまでワークWの加工が行なわれる。 【0008】上記第1段階から第2段階への加工条件の切換え時点の判断についても、作業者の経験的判断や、タイマーによる一律的な時間設定等によって行なわれているのが実情である。 【0009】しかしながら、上述した研磨剤の交換時期の判断については、研磨剤の寿命判定における明確な基準がなく、作業者により交換時期が異なるため、作業者によって早期に交換作業が行なわれると、砥粒の浪費に繋がる可能性がある。 【0010】また、研磨剤の寿命が近づくにつれて加工効率が低下するにもかかわらず、加工条件が一定であると、ワークWに対する研磨抵抗が上昇し、ワークWに対して局部的に荷重の応力集中が生じ、割れ、欠け等の不良が生じた不良品が発生してしまうという問題がある。 【0011】また、上述した加工条件の切換え時点の判断についても同様で、同一の加工条件で加工を行なってしまうと、上記のような不良品を発生させてしまうため、低荷重、低速回転の加工条件による加工時間を長めに設定する必要が生じ、全体としてワークWの加工時間の長時間化を招いている。 【0012】逆に、低荷重、低速回転の加工条件による加工時間を短めに設定した場合には、キャリア4に装着された複数のワークW,W間において厚みのバラツキが残っていても、作業者が設定した加工時間を経過すると自動的に加工条件が切換わるため、荷重増大時に、目的重量を超過した荷重がワークWに加わり、上記したような不良品が発生してしまう。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、両面同時加工平面ラップ盤、両面同時加工平面ポリッシング盤等の両面同時平面研磨装置において、特に、ワークを目的寸法に加工するまでの加工時間の短縮を図ることができ、かつ、割れ、欠け等の不良品の発生率を低減させることができる両面同時平面加工装置を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る両面同時平面研磨装置は、定盤軸線を中心に回転駆動する下定盤と、上記下定盤上に載置された複数のワークを保持し、自転しながら公転運動するキャリアと、上記下定盤と対向して配置され、上記キャリアに保持されたワークに接触しながら上記下定盤に倣い回転駆動する上定盤と、上記上定盤を昇降させるための昇降手段と、を具備する研磨装置と、上記昇降手段による上記上定盤のワークに対する負荷荷重および上記下定盤または上定盤の回転数からなる加工条件を制御する制御装置と、上記ワークの厚み寸法を検出する寸法検出手段と、該寸法検出手段による検出結果に基づいて単位時間当たりのワークの厚み寸法の変化率を算出する寸法変化率演算手段とを具備する定寸装置と、を備えることを特徴とするものである。 【0015】また、本発明は、上記制御装置が、上記寸法変化率演算手段による寸法変化率を基に、上記上定盤の負荷荷重および上記下定盤または上定盤の回転数を次の加工段階の負荷荷重および回転数に切換える加工条件切換手段を具備することとしてもよい。 【0016】また、本発明は、上記制御装置が、上記寸法検出手段により検出された寸法を利用して加工プロセスを細分化し、各加工プロセス毎に最適な負荷荷重および回転数からなる加工条件を設定する加工条件設定手段を具備することとしてもよい。 【0017】また、本発明は、上記定寸装置が、上記寸法変化率演算手段により所定サイクル毎に算出された寸法変化率の現在値と、予め設定された寸法変化率の限界値とを比較し、上記現在値が上記限界値を下回った場合に研磨剤交換時期である旨を報知する報知手段を具備することを特徴とするものである。 【0018】なお、上記寸法検出手段は、上記上定盤に埋設された渦電流式変位センサにより所定サンプル数検出された下定盤表面の電圧信号、下定盤表面を除く溝表面の電圧信号、およびキャリア表面の電圧信号のうち、上記下定盤表面の電圧信号のみを抽出することとしてもよい。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る両面同時平面研磨装置の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。 【0020】図1は本発明に係る両面同時平面研磨装置の一実施形態の構成を示す縦断面図、図2は図1に示した下定盤およびキャリアの構成を示す拡大平面図である。 【0021】図1に示すように、本実施形態における両面同時平面研磨装置50は、ワークWを目標寸法に加工するための研磨装置20と、ワークWの加工条件を制御する制御装置30と、定寸装置40とを具備し、定寸装置40は、渦電流式変位センサ41によりワークWの厚み寸法を検出する寸法検出手段42と、寸法検出手段42による検出結果に基づいて単位時間当たりのワークWの厚み寸法の変化率を算出する寸法変化率演算手段43とを具備して構成されている。 【0022】研磨装置20において、中空の下定盤回転軸1に固定された下定盤2は、下定盤回転軸1下端に取り付けられた下定盤駆動ギア3により定盤軸線を中心に回転駆動させるための駆動モータM1に対し、変換した所定の周波数電源を供給するインバータ31によってその回転数が決定され、インバータ31は制御装置30により制御される。 【0023】図2に示すように、下定盤2上に載置され、複数のワーク装着用貫通穴4a,4aに複数のワークW,Wを保持した複数のキャリア4,4の外周のキャリアギア4b,4bは、サンギア5の外歯5aとインナーギア6の内歯6aに噛み合っていて、サンギア5とインナーギア6のそれぞれの回転により、各キャリア4は自転しながらサンギア5の周囲を公転運動するように構成されている。 【0024】サンギア5は、下定盤回転軸1の中空穴に回転自在に挿通されたサンギア回転軸8と一体に形成されており、サンギア回転軸8下端に取り付けられたサンギア駆動ギア9により定盤軸線を中心に回転駆動させるための駆動モータM2に対し、変換した所定の周波数電源を供給するインバータ32によってその回転数が決定され、インバータ32は制御装置30により制御される。 【0025】インナーギア6は、インナーギア回転軸10の上向きカップ状の取付部10a上面に固定され、インナーギア回転軸10は、下定盤回転軸1を回転自在に保持する固定円筒フレーム11の外周に回転自在に保持されており、図示しないインナーギア用伝動ギアによりインナーギア回転軸10が回転駆動されると、インナーギア6は、定盤軸線を中心に回転駆動する。 【0026】下定盤2と対向する位置には上定盤7が配置され、上定盤7上面には取付円環12aを介してフォーク状の上定盤昇降具12が取り付けられ、上定盤昇降具12のロッド12bは、本実施形態では球面軸受13を介して昇降手段である空圧シリンダ14のピストンロッド14aに接続されており、上定盤7は、球面軸受15により吊り下げられた状態で、空圧シリンダ14の作動によって上下に昇降する。 【0027】すなわち、上定盤7が下定盤2上に降下すると、上定盤昇降具12の取付円環12aにピン16を支軸として揺動可能に取り付けられた爪16aが上定盤回転軸18に固定されたセレーション17と係合し、上定盤7が上昇すると、セレーション17から離脱するように構成されており、セレーション17は、サンギア回転軸8の中空穴に回転自在に挿通された上定盤回転軸18の下端に固定された上定盤駆動ギア19が定盤軸線を中心に回転駆動するための駆動モータM3に対し、変換した所定の周波数電源を供給するインバータ33によってその回転数が決定され、インバータ33は制御装置30により制御される。 【0028】すなわち、インバータ31,32,33から所定周波数電源を供給された駆動モータM1,M2,M3によって回転駆動される下定盤駆動ギア3、サンギア駆動ギア9、上定盤駆動ギア19は、上記各インバータ31,32,33に接続された制御装置30によってその回転数が制御されるとともに、制御装置30は、上定盤7を吊り上げている空圧シリンダ14内の空気圧を調整することにより、上定盤7のワークWに対する負荷荷重を制御する。 【0029】研磨加工する際には、下定盤2上にキャリア4に保持されたワークWを載置し、空圧シリンダ14を作動させることにより、上定盤7を下降させてワークWに接触させ、上定盤7と下定盤2との間にワークWを挟み込み、研磨液をワークWと上下定盤7,2との間に供給し、下定盤2、キャリア4、上定盤7の回転および空圧シリンダ14の負荷荷重を制御装置30によって制御し、各ワークWの両面を同時に研磨するというものである。 【0030】一方、上記研磨装置20による研磨加工動作と並行して、図3に示すように、定寸装置40において、上定盤7内に埋設された渦電流式変位センサ41がキャリア4側に向けて磁場を形成することによって、上記上定盤7と上記下定盤2の端面間の距離Lを測定し、所定加工サイクル毎のワークWの厚み寸法Lwを検出する。 【0031】ここで、所定加工サイクル毎のワークWの厚み寸法Lwの検出方法について図4および図5に基づき説明する。 【0032】図4(a)は上定盤に埋設された渦電流式変位センサの信号を説明するための模式図、同図(b)はサンプリングされた電圧信号データの度数分布を示すグラフである。 【0033】同図に示すように、上定盤7内に埋設された渦電流式変位センサ41がキャリア4側に向けて磁場を形成することによって検出される電圧信号は、1)下定盤2表面の電圧信号(A1) 2)下定盤2表面を除く溝2a表面の電圧信号(A2) 3)キャリア4表面の電圧信号(A3) の3種類に分けることができるが、本発明においては、上記各電圧信号A1〜A3のうちから下定盤2表面の電圧信号A1のみを抽出し、ワークWの厚み寸法Lwとして検出する。 【0034】次に、その検出方法の一例について、図5に示したフローチャート図に基づき説明する。 【0035】図5において、まず、定盤1回転中でN個(Nは任意の整数)の電圧信号データをサンプリングする(ステップ501)。 【0036】次に、サンプリングされたN個の電圧信号データのうち、所定値X以上の電圧信号データは下定盤2表面を除く溝2a表面の電圧信号A2であるとみなし、X以上の値である電圧信号データをすべて取り除く(ステップ502)。 【0037】これは、溝2a表面の電圧信号A2は、下定盤2表面の電圧信号A1よりも大きい値として検出されることは明らかであり、この溝2a表面の電圧信号A2をワークWの厚み寸法の電圧信号データとして採用すると、最終的に抽出されたワークWの厚み寸法に測定誤差が生じるためである。 【0038】次に、溝2a表面の電圧信号A2が取り除かれた電圧信号データは、電圧信号データの測定値の大きい順にソートされる(ステップ503)。 【0039】サンプリングされたN個の電圧信号データの度数分布は、図4(b)に示したように、溝2a表面の電圧信号A2およびキャリア4表面の電圧信号A3のデータが少なく、この溝2a表面の電圧信号A2およびキャリア4表面の電圧信号A3の中間に位置する下定盤2表面の電圧信号データA1が最も多いため、N個の電圧信号データの度数分布の中央M個のデータの平均値Bを求める(ステップ504)。 【0040】このようにして求められた平均値Bは、溝2a表面の電圧信号A2およびキャリア4表面の電圧信号A3のデータが取り除かれた下定盤2表面の電圧信号A1に近似した値となるため、この平均値BはワークWの厚み寸法Lwとして信頼性の高いデータとして使用することができる。 【0041】なお、ワークWの厚み寸法Lwは平均値Bとして算出しているため、任意にサンプリングしたサンプル数Nの数値が多くなれば実際のワークWの厚み寸法の値に近似する。 【0042】このようにして検出されたワークWの厚み寸法Lwに基づいて、定寸装置40における寸法変化率演算手段43において、単位時間t当たりのワークWの厚み寸法Lwの変化速度Vnを求め、寸法変化率Pnを算出する寸法変化率の演算が行なわれる。 【0043】本発明では、定寸装置40において、寸法変化率演算手段43により算出された寸法変化率Pnを使用して、第一に、上定盤7の負荷荷重および下定盤2または上定盤7の回転数を次の加工段階の負荷荷重および回転数に切換える加工段階の切換え時点、第二に、上定盤7および下定盤2とワークW間に供給される研磨剤の交換時期のメルクマール(指標)とするものである。 【0044】図6は定寸装置の寸法変化率演算手段における砥粒交換時期の報知動作を説明するためのフローチャート図である。 【0045】同図において、まず、所定の上定盤7の負荷荷重および下定盤2の回転数により研磨加工が開始される(ステップ601)と、定寸装置40の寸法変化率演算手段43は、所定の加工サイクル毎に各ワークWの単位時間t当たりの寸法変化率Pn(Pn=Ln−L1/t(nは任意のサンプリング数))を計算する(ステップ602)。 【0046】次に、寸法変化率Pnと予め設定された寸法変化率の限界値Lとを比較する(ステップ603)。ここで、寸法変化率の限界値Lとは、研磨剤の摩耗による加工効率低下の限界値であり、ユーザーが任意に設定することができる。 【0047】寸法変化率Pnが予め設定された寸法変化率の限界値Lよりも大きい(ステップ604でNO)と、上定盤7と下定盤2の研磨剤は交換時期ではないと判断され、所定の負荷荷重および回転数により研磨加工が継続される。 【0048】これに対して、寸法変化率Pnが予め設定された寸法変化率の限界値Lよりも小さい(ステップ604でYES)と、上定盤7と下定盤2の研磨剤は交換時期であると判断され、定寸装置40の寸法変化率演算手段43から制御装置30に対して研磨剤交換時期である旨の報知信号を出力し(ステップ605)、制御装置30は、各インバータ31,32,33を介して駆動モータM1,M2,M3の駆動を制御し、駆動モータM1,M2,M3により駆動される下定盤駆動ギア3、サンギア駆動ギア9、上定盤駆動ギア9の駆動を停止させ、研磨装置20の動作を停止して処理を終了する。 【0049】なお、研磨剤交換時期である旨の報知手段としては、研磨装置20の動作を停止させずに、定寸装置40に接続された図示しない表示装置にアラーム表示をしたり、制御装置30に接続されたMMIに取り付けられたシグナルを点灯させたり、ブザーによって警報する構成とすることもできる。 【0050】このように、寸法変化率の限界値L、すなわち研磨剤の摩耗による加工効率低下の限界値に達した時点で、研磨装置の動作を停止させたり、アラーム表示、シグナル点灯、ブザーの警報等の報知手段によって研磨剤の交換時期を作業者に知らせることが可能となり、作業者によって研磨剤の交換時期が異なるようなことはない。 【0051】したがって、研磨剤の早期交換による砥粒の浪費を防止することができるとともに、研磨剤の交換時期が遅れることによる加工効率の低下も防止することができるため、ワークに対して安定した研磨加工を行なうことができ、割れ、欠け等の不良品の発生率を低減することができる。 【0052】次に、図7は定寸装置の寸法変化率演算手段における加工条件の切換え動作を説明するためのフローチャート図である。 【0053】同図において、まず、所定の上定盤7の負荷荷重および下定盤2の回転数による加工条件P1の研磨加工が開始される(ステップ701)と、定寸装置40の寸法変化率演算手段43は、所定の加工サイクル毎に各ワークWの単位時間t当たりの寸法変化速度Vn(Vn=Ln−L1/t(nは任意のサンプリング数))を計算する(ステップ702)。 【0054】次に、寸法変化速度Vnの変化率Pn(Pn=Vn/V(n−1))を計算し(ステップ703)、寸法変化率Pnと予め設定された寸法変化率の限界値L’とを比較する(ステップ704)。 【0055】ここで、寸法変化率の限界値L’とは、加工条件P1におけるワークWの加工終了時の寸法変化率の値であり、ユーザーが任意に設定することができるものであるが、通常、加工条件P1におけるワークWの加工終了時の寸法変化速度の変化率は0(零)に近い値である。 【0056】寸法変化率Pnが予め設定された寸法変化率の限界値L’よりも大きい(ステップ705でNO)と、加工条件P1による加工段階はまだ完了していないと判断され、上記ステップ701に戻り、所定の負荷荷重および回転数により加工条件P1の研磨加工が継続される。 【0057】寸法変化率Pnが予め設定された寸法変化率の限界値L’よりも小さい(ステップ705でYES)と、加工条件P1による加工段階は完了したものと判断され、加工条件P1における負荷荷重および回転数を次の加工段階である加工条件P2における負荷荷重および回転数に切換えるように、定寸装置40の寸法変化率演算手段43から制御装置30に対して加工条件切換信号を出力し(ステップ706)、制御装置30は、加工条件切換回路34によって各インバータ31,32,33を介して駆動モータM1,M2,M3の駆動を制御し、駆動モータM1,M2,M3により駆動される下定盤駆動ギア3、サンギア駆動ギア9、上定盤駆動ギア19の回転数を次段階の加工条件P2における回転数に変更し、上定盤7の昇降手段である空圧シリンダ14内の空気圧を制御して、次段階の加工条件P2の負荷荷重に変更して研磨加工を開始する(ステップ707)。 【0058】以降、ワークWが目標厚みに達するまで、上記加工条件P2による研磨加工が継続され、ワークWが目標厚みに達すると(ステップ708でYES)、処理を終了する。 【0059】なお、上記加工条件P1は、上定盤7の負荷荷重と下定盤2の回転数であるが、下定盤2の回転数は所定の比率の回転数比で上定盤7に同期して伝達される。したがって、加工条件P1を上定盤7の負荷荷重と上定盤7の回転数として設定してもよい。 【0060】以上が定寸装置40の寸法変化率演算手段43における加工条件の切換え動作であるが、加工条件を切換える段階は、上記P1,P2のように2段階である必要はなく、以下に説明するように、3段階以上の多段階に切換えるようにプロセス制御してもよい。 【0061】図8は加工サイクル中のプロセス制御の一例を説明するためのフローチャート図である。 【0062】同図において、上述した定盤1回転中のサンプリング値Aを抽出し(ステップ801)、このサンプリング値Aを用いてワークWの目標厚みに対する残り削りシロC(C=目標厚み−定盤1回転中のサンプリング値A)を計算する(ステップ802)。 【0063】次に、上記残り削りシロCが0(零)よりも大きいかどうかを判断する(ステップ803)。 【0064】残り削りシロCが0(零)よりも小である場合(ステップ803でYES)、ワークWは目標厚みに達したものと判断され、加工を完了する(ステップ813)。 【0065】残り削りシロCが0(零)よりも大である場合(ステップ803でNO)、次に、残り削りシロCと第1段階(本実施形態においては過渡的研磨領域)における目標残り削りシロX1との値を比較する(ステップ804)。 【0066】残り削りシロCが第1段階における目標残り削りシロX1よりも小さい場合(ステップ805でNO)、予め設定された上定盤荷重および下定盤回転数からなる加工条件P1による加工が行なわれ(ステップ806)、残り削りシロCが第1段階における目標残り削りシロX1よりも大きい場合(ステップ805でYES)には、第1段階における加工は完了したものと判断し、上記加工条件切換回路34によって第2段階(本実施形態においては定常粗研磨領域)に切換えられ、残り削りシロCと第2段階における目標残り削りシロX2との値を比較する(ステップ807)。 【0067】以下同様に、第3段階(本実施形態においては定常精研磨領域)、…、第n段階と、残り削りシロCが0(零)よりも小になるまで上記ステップが繰り返され、残り削りシロCが0(零)よりも小になる(ステップ803でYES)と、ワークWは目標厚みに達したものと判断され加工を完了する(ステップ813)。 【0068】このように、本実施形態によれば、定寸装置40の寸法検出手段42により検出された寸法を利用して、過渡的領域、定常粗研磨領域、定常精研磨領域に加工プロセスを細分化し、各加工プロセス毎に最適な上定盤7の負荷荷重および下定盤2または上定盤7の回転数からなる加工条件を設定することが可能となる。 【0069】図9は、時間に対するワークの厚み寸法の変化と寸法変化率の関係を示すグラフであり、同図(a)は加工条件の切換えを従来のようにタイマーにより判断することとした場合、同図(b)は加工条件の切換えを本願の寸法変化率により自動的に切換えることとした場合を示し、両者のワーク厚みが目的寸法に達するまでの加工時間を比較したものである。 【0070】なお、同図において、加工前寸法から仕上がり寸法までの加工プロセスを2段階とし、第1段階では上定盤のワークに対する荷重を低荷重、下定盤の回転数を低速に設定し、第2段階では上記荷重を高荷重、上記回転数を高速に設定した例を示しており、同図(a)および同図(b)における上定盤荷重および下定盤回転数からなる加工条件は同一のものとする。 【0071】また、同図中、実線で示すものはワーク厚みの寸法、点線で示すものはワーク厚みの寸法変化率をそれぞれ表わす。 【0072】まず、ワーク厚みの加工前寸法をS1とし、第1段階の加工条件により研磨加工が行なわれると、同図(a)(b)に示すように、ワーク厚みの寸法は同一の寸法変化率でもって徐々に小さくなり、やがて第1段階の目的寸法に達すると、ワーク厚みの寸法変化率はほぼ一定となる。 【0073】ここで、同図(a)に示すように、タイマーの時間設定により加工条件を切換えることとした場合、ワーク厚みの寸法変化率が一定になったにもかかわらず、第1段階の加工条件による研磨加工が継続され、始めに設定した時間が経過しなければ、加工条件は第2段階には切換わらない。 【0074】これに対して、同図(b)に示すように、寸法変化率により加工条件を切換えることとした場合、ワーク厚みの寸法変化率が一定になった時点で自動的に加工条件が切換わるため、寸法変化率による加工条件切換時点T12は、タイマーによる加工条件切換時点T1よりも時間的に早く到来する。これ以降、第2段階の加工条件により研磨加工が行なわれると、ワーク厚みの寸法は、同図(a)(b)ともに同一の寸法変化率、つまり同一の寸法変化速度により仕上がり寸法S2に到達するまで加工されるが、仕上がり寸法S2に到達する完了時点T2を比較すると、同図(b)における完了時点T2は、同図(a)における完了時点T2に比べ、時間的に早く到来し、寸法変化率による加工条件切換えによれば、仕上がり寸法に達するまでの加工時間を短縮できることが分かる。 【0075】このように、本発明によれば、加工プロセスの次段階への加工条件の切換えは、従来のような作業者の経験的判断やタイマーの設定時間による切換えではなく、ワーク厚みの寸法変化率による自動切換えであるため、加工条件の切換時点における時間的なロスを解消することができ、ワーク厚みを目的寸法に加工するまでの加工時間の短縮を図ることができる。 【0076】なお、上述した実施形態においては、上定盤の昇降手段として空圧シリンダを用いているが、これに代えて油圧シリンダ、ボールネジ等を選択して使用することも可能である。 【0077】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に係る両面同時平面研磨装置によれば、以下のような効果を奏する。 【0078】(1)研磨剤の摩耗による加工効率低下の限界値に達した時点で、研磨装置の動作を停止させたり、アラーム表示、シグナル点灯、ブザーの警報等の報知手段によって研磨剤の交換時期を作業者に知らせることが可能となり、作業者によって研磨剤の交換時期が異なるようなことはないため、研磨剤の早期交換による砥粒の浪費および遅延交換による加工効率の低下を防止し、ワークに対して安定した研磨加工を行なうことができ、割れ、欠け等の不良品の発生率を低減することができる。 【0079】(2)各加工プロセスの次段階への切換えは、従来のような作業者の経験的判断や設定時間による切換えではなく、ワークの厚み寸法による切換えであるため、加工段階の切換えのための時間的なロスを解消することができ、ワークを目的寸法に加工するまでの加工時間の短縮を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002325 【氏名又は名称】セイコーインスツルメンツ株式会社 【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地
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| 【出願日】 |
平成13年10月17日(2001.10.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100069431 【弁理士】 【氏名又は名称】和田 成則
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| 【公開番号】 |
特開2003−117809(P2003−117809A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月23日(2003.4.23) |
| 【出願番号】 |
特願2001−319505(P2001−319505) |
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