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【発明の名称】 研削加工の潤滑装置および冷却装置
【発明者】 【氏名】玉島 英樹
【住所又は居所】愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工機株式会社内

【氏名】向井 良平
【住所又は居所】愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工機株式会社内

【氏名】鈴木 博英
【住所又は居所】愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工機株式会社内

【要約】 【課題】エアを用いて潤滑、冷却を行う研削加工において、エア供給するのに別途エアポンプなどを必要としない潤滑装置及び冷却装置を提供する。

【解決手段】研削盤は、回転する砥石軸1に支持された砥石車GによりワークWを研削加工する。砥石カバー3には、砥石車Gの外径面に隙間を介して導風板5a,5bが設けられ、砥石車Gの連れまわり作用によりエアが吐出孔6から吐出されるようになっている。この吐出されたエアが潤滑用ノズル、冷却用ノズルにそれぞれ供給される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転する砥石軸に支持された砥石車によりワークを研削加工する際、エアを供給して研削加工点を潤滑する研削加工の潤滑装置において、前記砥石軸に支持された円盤の外径面に隙間を介して設けられた導風板と、この導風板の前記円盤の回転方向後側に接続され、前記砥石車の前記研削加工点手前にエアを供給するノズルとから構成されることを特徴とする研削加工の潤滑装置。
【請求項2】 前記導風板の前記円盤の回転方向後側には、前記円盤側面に隙間を介して回転軸線へ向かって延びる別の導風板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の研削加工の潤滑装置。
【請求項3】 前記円盤の側面には、ほぼ放射状の遠心送風羽根が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の研削加工の潤滑装置。
【請求項4】 前記円盤は前記砥石車であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の研削加工の潤滑装置。
【請求項5】 前記円盤はモータにより駆動されるプーリであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の研削加工の潤滑装置。
【請求項6】 回転する砥石車によりワークを研削加工する際、エアを供給して前記砥石車または前記ワークを冷却する研削加工の冷却装置において、前記砥石軸に支持された円盤の外径面に隙間を介して設けられた導風板と、この導風板の前記円盤の回転方向後側に接続され、前記砥石車の前記研削加工点手前にエアを供給するノズルとから構成されることを特徴とする研削加工の冷却装置。
【請求項7】 前記導風板の前記砥石車の回転方向後側には、前記砥石車側面に隙間を介して回転軸線へ向かって延びる別の導風板が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の研削加工の冷却装置。
【請求項8】 前記円盤の側面には、ほぼ放射状の遠心送風羽根が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の研削加工の冷却装置。
【請求項9】 前記円盤は前記砥石車であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の研削加工の冷却装置。
【請求項10】 前記円盤はモータにより駆動されるプーリであることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の研削加工の冷却装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研削加工の潤滑または冷却装置に関する。
【0002】
【従来技術】従来の研削加工においては、ワークに大量の冷却液を供給して冷却を行っているが、冷却液の飛散、蒸発などによる工場内の作業環境悪化や廃液処理などの問題がある。
【0003】そこで、エアを供給することによってワークを冷却する技術が開発されている。例えば、特開2000−141219公報に記載の技術では、ワークにミスト状の潤滑流体および冷却用流体を供給しながら研削している。また、特開平1−153257公報には、冷風によりワークを冷却しながら研削する技術が記載されている。これらの技術では、潤滑液や冷却液が少量または全くないため、作業環境や廃液処理などの問題を解決している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記技術は、非常に有効な技術ではあるが、エアを供給するのに別途エアポンプなどを必要とするため、従来のワークに大量の冷却液を供給して冷却する技術に比べ、イニシャルおよびランニングコストが高くなる。
【0005】そこで、本発明では、エアを用いて冷却を行う研削加工において、エアポンプなどの別部品の追加を必要としない潤滑装置および冷却装置を提供することを目的とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】このような課題を解決するため、本発明の研削加工の潤滑装置は、回転する砥石軸に支持された砥石車によりワークを研削加工する際、エアを供給して研削加工点を潤滑する研削加工の潤滑装置において、前記砥石軸に支持された円盤の外径面に隙間を介して設けられた導風板と、この導風板の前記円盤の回転方向後側に接続され、前記砥石車の前記研削加工点手前にエアを供給するノズルとで構成される。
【0007】また、本発明の研削加工の冷却装置は、回転する砥石車によりワークを研削加工する際、エアを供給して前記砥石車または前記ワークを冷却する研削加工の冷却装置において、前記砥石軸に支持された円盤の外径面に隙間を介して設けられた導風板と、この導風板の前記円盤の回転方向後側に接続され、前記砥石車の前記研削加工点手前にエアを供給するノズルとで構成される。
【0008】さらに、本発明の潤滑装置または冷却装置には、前記導風板の前記円盤の回転方向後側に、前記円盤側面に隙間を介して回転軸線へ向かって延びる別の導風板が設けられていたり、前記円盤の側面に、ほぼ放射状の遠心送風羽根が形成されている。
【0009】なお、前記円盤は前記砥石車またはモータにより駆動されるプーリである。
【0010】
【発明の実施の形態】図1ないし図3に基づき、本発明の第1実施形態を説明する。
【0011】図1に示すように、研削盤は、図示しない主軸台および心押台と、円盤状の砥石車Gとを備えている。主軸台および心押台には、円柱状のワークWが回転可能に挟持されている。また、砥石車Gは、その中心が回転する砥石軸1に支持され、この砥石軸1とともに、ワークWに対して進退する砥石台2に載置されている。そして、砥石車Gの回転、ワークWの回転および砥石台2の送りを数値制御することにより、ワークWの外径面は研削加工される。
【0012】研削加工中、砥石車Gには、潤滑用ノズル7から潤滑流体、砥石車冷却用ノズル9から冷却流体がそれぞれ供給される。このとき、ワークWには、ワーク冷却用ノズル8から冷却流体が供給される。なお、ワークWは、例えば図1に示すように、砥石車Gと同じ方向(反時計回り)に回転し、研削加工される。
【0013】砥石車Gは、図1および図2に示すように、一側面が砥石台2に取り付けられた板金製の砥石カバー3により覆われている。砥石カバー3はほぼ直方体状で、その前面すなわちワークW側が開放している。砥石カバー3は、また、その側面で、砥石軸1のまわりに円形孔3a,3bが設けられている。これら砥石カバー3の側面円形孔3a,3bのうち、砥石台2の反対側の円形孔3aには、円筒状の吸気孔4が砥石軸1の軸線方向に延びるように取り付けられている。また、砥石台2に取り付けられた側の円形孔3bには砥石軸1が貫通している。
【0014】砥石カバー2の内部には、砥石車Gの外径面および両側面との間に隙間を設けて導風板5a,5bが形成されている。導風板5aは、砥石カバー2の前面開放部の両端を起点として、砥石車Gと同心かつその外径よりも大きい円筒状の壁板である。また、導風板5bは、砥石カバー2の前面開放部の一端を起点として、砥石車Gの外径面および両側面との間にわずかな隙間を介して、円形孔3a,3bへ向かって延びるように形成されている。導風板5a,5bは、砥石カバー2の前面開放部の一端で接合しており(接合部5c)、この接合部5cには円形の吐出孔6が形成されている。なお、導風板5bが導風板5aに接合される個所は、導風板5aにおける砥石車Gの回転方向の終点である。つまり、図1に示すように、砥石車Gの回転方向において、導風板5bは、砥石カバー2の前面開放部の手前に形成される。
【0015】このように構成された砥石カバー2内を砥石車Gが回転すると、砥石車Gの回転の連れまわり作用により、エアは図2の矢印に示すような流れとなって、吸気孔4から導入され吐出孔6から吐出される。そして、吐出孔6から吐出されたエア流は、ホースなどの配管を通り、この配管内で3つの流れに分流され、図3に示すように、それぞれ潤滑用ノズル7、ワーク冷却用ノズル8および砥石冷却用ノズル9へ至る。
【0016】潤滑用ノズル7内では、エア流に対して少量の潤滑液を供給する。すると、エア流により潤滑液がミスト状の潤滑流体となって潤滑用ノズル7の出口から噴霧される。噴霧されたミスト状の潤滑流体は、砥石車Gの表面に付着し、砥石車Gと工作物Wの間で生じる摩擦を減ずる。なお、潤滑用ノズル7は、研削加工点Pの回転方向手前で砥石車Gに対して潤滑流体を噴霧する。すなわち図3において、研削加工点Pの上側で砥石車Gに対して潤滑流体が供給される。このとき、図2に示すように、導風板5bにより砥石車Gの連れまわり風が遮蔽されるので、潤滑流体が効率よく砥石車Gに供給される。
【0017】また、研削によるワークWおよび砥石車Gの発熱を抑制するため、ワーク冷却用ノズル8および砥石冷却用ノズル9からワークWおよび砥石車Gへ、エア流がそれぞれの回転方向において研削加工点Pの後側へ供給される。このとき、砥石車Gの表面に付着する切屑も同時に除去される。
【0018】次に、本発明の第2実施形態を図3、図4および図5に従い説明する。
【0019】図4に示すように、砥石車Gを支持する砥石軸1は、プーリ10およびベルト14を介して図略のモータにより駆動される。プーリ10の砥石軸1の反対側側面には、遠心送風羽根11が設けられ、プーリ10の回転によりエア流が発生するようになっている。遠心送風羽根11は、ほぼ放射状に形成されており、回転方向に対して内径側が外径側よりも進んだ形状である。
【0020】カバー12は、プーリ10、遠心送風羽根11、ベルト14および図略のモータを覆っており、このカバー12の遠心送風羽根11の対向面には、砥石軸1の軸線まわりに円筒状の吸気孔4が形成されている。カバー12の内周のベルト14に挟まれた部位には、プーリ10および遠心送風羽根11の外径面に隙間を設けて導風板13が形成されている。また、カバー12の内周面の一部は、ベルト14のプーリ10外径面および遠心送風羽根11の外径部に、隙間を介して対向する面が円筒状の導風板として機能する。そして、カバー12の内周面の導風板として機能する個所の一部には、その外径方向でプーリ10の回転方向に多少傾斜して延びる吐出孔6が設けられている。
【0021】したがって、プーリ10に取り付けられた遠心送風羽根11が一種のエアポンプとなって、吸気孔4から導入されたエアが吐出孔6へ吐出するエア流となる。このエア流は、図3に示すように、潤滑用ノズル7、ワーク冷却用ノズル8および砥石冷却用ノズル9へ供給される。その後の砥石車GおよびワークWの潤滑・冷却は、第1実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0022】なお、本発明の第1実施形態において、導風板5bに替えて第2実施形態に記載の遠心送風羽根を砥石車Gの両側面に形成してもよい。この場合、潤滑流体を効率よく砥石車Gの表面に供給するため、潤滑用ノズル7の上側(砥石車Gの回転方向手前)に遮風板を設け、砥石車Gの連れまわり風を遮るようにするのがよい。
【0023】また、本発明の第2実施形態において、遠心送風羽根に替えて第1実施形態に記載の導風板5bをカバー12内部に形成してもよい。この場合、導風板5bは、吐出孔6における砥石車Gの回転方向後側に接合される。
【0024】両実施形態においては、ワークWおよび砥石車Gを冷却するのにエア流のみを用いたが、エア流に少量の冷却液を供給してミスト状の冷却流体とし、この冷却流体によりワークWおよび砥石車Gの冷却を行うようにしてもよい。
【0025】また、両実施形態においては、ワーク冷却用ノズル8と砥石車冷却用ノズル9とを別々に設けて、それぞれを別々に冷却するようにしたが、冷却用ノズルを一つにし、研削加工点Pにエア流を供給して、研削加工点Pを直接冷却するようにしてもよい。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、潤滑液や冷却液が少量または全くないため、作業環境悪化や廃液処理などの問題は生じない。また、本発明によれば、エアを供給するのに別途エアポンプなどの別部品の追加を必要としないため、低コストとなる。さらに、本発明によれば、導風板や遠心送風羽根の作用により、エアを効率よく供給することができる。
【出願人】 【識別番号】000003470
【氏名又は名称】豊田工機株式会社
【住所又は居所】愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地
【出願日】 平成13年9月26日(2001.9.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−94334(P2003−94334A)
【公開日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願番号】 特願2001−294419(P2001−294419)