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【発明の名称】 CMP研磨パッド用組成物、CMP研磨パッドおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】富 樫 栄 樹
【住所又は居所】千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株式会社内

【氏名】鈴 木 大 介
【住所又は居所】千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株式会社内

【氏名】鈴 木 庸 平
【住所又は居所】千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株式会社内

【氏名】萩 原 琢 也
【住所又は居所】東京都千代田区霞が関三丁目2番5号 三井化学株式会社内

【要約】 【課題】耐アルカリ性および耐酸性に優れたCMP研磨パッドを得ることができる組成物、および該組成物から得られたCMP研磨パッドを提供する。

【解決手段】本発明に係るCMP研磨パッド用組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、および(D)(d1)有機充填材および/または(d2)無機充填材からなる充填材、が含有されてなる。本発明のCMP研磨パッドは、該組成物からなり、かつ高周波で加熱しない樹脂顆粒、または該組成物からなり、かつ高周波で加熱した樹脂タブレットを圧縮成型する製造方法により製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、および(D)(d1)有機充填材および/または(d2)無機充填材からなる充填材、が含有されていることを特徴とするCMP研磨パッド用組成物。
【請求項2】上記有機充填材(d1)が、コールターカウンター法で測定した平均粒径0.01〜20μmであり、さらにCMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に10〜70重量%の量で含有されていることを特徴とする請求項1に記載のCMP研磨パッド用組成物。
【請求項3】請求項1に記載の無機充填材(d2)が、繊維長1〜30μmであり、かつ繊維径0.1〜1μmである無機繊維質からなり、さらにCMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に5〜70重量%の量で含有されていることを特徴とする請求項1に記載のCMP研磨パッド用組成物。
【請求項4】請求項1に記載の無機充填材(d2)が、BET法で測定した平均粒径10〜1×103nmである無機微粒子からなり、さらにCMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に0.1〜50重量%の量で含有されていることを特徴とする請求項1に記載のCMP研磨パッド用組成物。
【請求項5】上記充填材(D)が、有機充填材(d1)および無機充填材(d2)からなり、かつ、CMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に10〜70重量%の量で含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のCMP研磨パッド用組成物。
【請求項6】上記エポキシ樹脂(A)が、分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のCMP研磨パッド用組成物。
【請求項7】上記硬化剤(B)が、フェノールノボラック樹脂またはアラルキルフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のCMP研磨パッド用組成物。
【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載のCMP研磨パッド用組成物から形成されていること特徴とするCMP研磨パッド。
【請求項9】モールド金型キャビティ内において、請求項1〜7のいずれかに記載のCMP研磨パッド用組成物からなり、かつ高周波で加熱しない樹脂顆粒、または該CMP研磨パッド用組成物からなり、かつ高周波で加熱した樹脂タブレットを圧縮成型することを特徴とするCMP研磨パッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術分野】本発明は、CMP研磨パッド用組成物、該組成物から得られるCMP研磨パッドおよびその製造方法に関し、具体的には、半導体集積回路を製造する際のシリコンウエハ表面を平坦に研磨するのに好適なCMP研磨パッドを得ることのできるCMP研磨パッド用組成物、該組成物から得られたCMP研磨パッドおよび該パッドの製造法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】最近の半導体メモリに代表される大規模集積回路(LSI)は、年々集積化や微細化が進んでおり、それに伴い、大規模集積回路の製造技術が高密度化し、製造工程も複雑化している。さらに、半導体デバイスの積層数も増加しており、それにより、従来は問題とならなかった半導体デバイス表面の凹凸が問題となっている。つまり、半導体デバイス表面が凹凸であることにより、断線や抵抗値のばらつきなどの発生につながっている。
【0003】また、大規模集積回路(LSI)の集積化にも伴って、ウエハ表面にマスクのパターンを形成するパターン形成技術としてリソグラフィ(投影露光)が行われているが、近年の半導体集積回路の微細化によって、露光波長が短くなり、さらに露光装置の焦点深度が非常に浅くなってきている。そのため、ウエハ表面に凹凸が存在するとマスクのパターンが解像できなくなることから、ウエハ表面の平坦化が一層求められている。
【0004】従来からウエハ表面の平坦化技術としては、ガラスメルト法、スピンオンガラス法などが使用されているが、それらは主に断線を防止するためのものである。そこで、断線、抵抗値のばらつき、さらにパターンを解像できない等の問題を解消する方法として、近年、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing(以下、CMPともいう。))技術によるウエハ表面を平坦化する方法が主流となっている。
【0005】ウエハ表面を平坦化するCMPは図1に示される装置を用いて行われる。図1に示されるCMP装置1は回転する円盤10と、ホルダープレート31およびモーター32を有するウエハ回転装置30からなっており、円盤10にはCMP研磨パッド20が設置されており、CMP研磨パッド20上にスラリー状の研磨剤を滴下する滴下装置50がついている。ウエハ40はホルダープレート31に保持され、その表面がCMP研磨パッド20に接触し、さらに、モーター32によって回転する。CMP研磨パッド20は円盤10と共に回転し、滴下装置50から該パッド20上に滴下された研磨剤によりウエハ40の表面を研磨して、ウエハ40表面を平坦化する。
【0006】また、CMPは単にウエハ表面を平坦化するだけでなく、埋め込み配線(ダマシン)を形成するためにも使用される。CMPに用いられるCMP研磨パッドとしては、現在、発泡ポリウレタンからなるパッドが用いられている。しかしながら、このパッドは平面度が悪く、また、発泡しているポリウレタンを使用しているため、その微細な穴に研磨粉が入り込みやすく、パッドが目詰まりを起こしやすいという問題があった。
【0007】さらに、CMP研磨の対象となるものとして配線(AL、Wなど)、絶縁層(SiO2など)の二つが挙げられる。この二つを研磨する際に用いられる研磨剤はpHが大きく異なっており、配線を研磨する場合には、pHが3程度の酸性の研磨剤を用い、絶縁層を研磨する場合には、pHが11程度のアルカリ性の研磨剤を用いる。したがって、CMP研磨パッドには、耐アルカリ性および耐酸性の両方の性能が要求される。この要求にこたえるために、エポキシ樹脂製の研磨パッドが提案されている(特開平11−138420号公報)。
【0008】しかし、このエポキシ樹脂製の研磨パッドは耐アルカリ性および耐酸性の両方の性能を充分に満たすものではなく、さらに、該研磨パッドの製造方法は、液状のCMP研磨パッド用組成物を注形し、成形する方法であるため、パッド1枚当たり5〜12時間の硬化時間を要し、CMP研磨パッドの生産性が低いという問題があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、前述したような従来技術における問題を解決しようとするものであって、耐アルカリ性および耐酸性に優れたCMP研磨用パッドを得ることができる組成物、および、該組成物から得られたCMP研磨パッド、さらに生産性に優れる該パッドの製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】本発明に係るCMP研磨パッド用組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、および(D)(d1)有機充填材および/または(d2)無機充填材からなる充填材、が含有されていることを特徴としている。上記有機充填材(d1)が、コールターカウンター法で測定した平均粒径0.01〜20μmであり、さらにCMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に10〜70重量%の量で含有されていることが好ましい。
【0011】上記無機充填材(d2)が、繊維長1〜30μmであり、かつ繊維径0.1〜1μmである無機繊維質からなり、さらにCMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に5〜70重量%の量で含有されていることも好ましい。また、上記無機充填材(d2)が、BET法で測定した平均粒径10〜1×103nmである無機微粒子からなり、さらにCMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に0.1〜50重量%の量で含有されていることが望ましい。
【0012】上記有機充填材(d1)および上記無機充填材(d2)からなる充填材(D)が、CMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に10〜70重量%の量で含有されていることも望ましい。上記エポキシ樹脂(A)が、分子中に2以上のエポキシ基を有することも望ましい。
【0013】上記硬化剤(B)がフェノールノボラック樹脂またはアラルキルフェノール樹脂であることも望ましい。本発明に係るCMP研磨パッドは、上記CMP研磨パッド用組成物から形成されていること特徴としている。本発明に係るCMP研磨パッドの製造方法は、モールド金型キャビティ内において、上記CMP研磨パッド用組成物からなり、かつ高周波で加熱しない樹脂顆粒、または上記CMP研磨パッド用組成物からなり、かつ高周波で加熱した樹脂タブレットを圧縮成型することを特徴としている。
【0014】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るCMP研磨パッド用組成物、CMP研磨パッドおよびその製造方法について具体的に説明する。本発明に係るCMP研磨パッド用組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、および(D)(d1)有機充填材および/または(d2)無機充填材からなる充填材、が含有されている。
【0015】まず、エポキシ樹脂(A)について以下に説明する。
<エポキシ樹脂(A)>本発明に用いられるエポキシ樹脂(A)としては、特に限定されるものではないが、分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が用いられ、そのようなものとして、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を挙げることができ、好ましくは下記化学式に示されるノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、特に好ましくはノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂を用いることが望ましい。これらエポキシ樹脂は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
【化1】

【0017】上記化学式に示されるノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には、EOCN102S、EOCN103S、EOCN104S(日本化薬(株)製)など、ナフタレン型エポキシ樹脂としては、具体的にはNC7000L(日本化薬(株)製)など、ビフェニル型エポキシ樹脂としては、具体的にはYX−4000(油化シェルエポキシ(株)製)などが挙げられる。
【0018】本発明に用いられるエポキシ樹脂(A)は、CMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に、10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%の量で含有していることが望ましい。次に、本発明のCMP研磨パッド用組成物に含有される硬化剤(B)について以下説明する。
【0019】<硬化剤(B)>本発明に用いられる硬化剤(B)としては、特に限定されるものではないが、フェノールノボラック樹脂、アラルキルフェノール樹脂などが挙げられる。CMP研磨パッド用組成物にフェノールノボラック樹脂を添加した場合、耐アルカリ性、耐酸性に優れたCMP研磨パッドを得ることができ、アラルキルフェノール樹脂を添加した場合、耐アルカリ性、耐酸性に優れ、さらに低吸水性が付与されたCMP研磨パッドを得ることができる。
【0020】そのようなフェノールノボラック樹脂としては、具体的には、PN−80,PN−100(日本化薬(株)製)など、アラルキルフェノール樹脂としては、具体的には、ミレックスXLC−3L(三井化学(株)製)などが挙げられる。上記硬化剤(B)は、CMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に、10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の量で含有していることが望ましい。
【0021】本発明のCMP研磨パッド用組成物中に、エポキシ樹脂(A)が上記範囲で含有され、さらに硬化剤(B)が上記範囲で含有されることにより、耐アルカリ性および耐酸性に優れたCMP研磨パッドを得ることができる。さらに、本発明のCMP研磨パッド用組成物に含有される硬化促進剤(C)について以下説明する。
【0022】<硬化促進剤(C)>本発明に用いられる硬化促進剤(C)としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールアジン等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン等の有機ホスフィン類;1,8−ジアザシクロ(5,4,0)ウンデセン−7フェノール塩、1,8−ジアザシクロ(5,4,0)ウンデセン−7フェノールノボラック塩、1,8−ジアザシクロ(5,4,0)ウンデセン−7フェノールノボラック炭酸塩などのDBU誘導体;下記式[I]、[II]で表される尿素誘導体などが挙げられる。
【0023】
【化2】

【0024】(式[I]および[II]中、R1およびR2はアルキル基、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、特に好ましくは炭素数1〜5のアルキル基を表し、相互に同一であっても、異なっていてもよく、Arは置換されたアリール基、または無置換のアリール基を表す。)
本発明においては、硬化促進剤(C)として、2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザシクロ(5,4,0)ウンデセン−7フェノールノボラック塩、上記式[II]で表される尿素誘導体を用いることが好ましい。
【0025】そのような2−メチルイミダゾールとしては、具体的には、2MZ(四国化成(株)製)など、1,8−ジアザシクロ(5,4,0)ウンデセン−7フェノールノボラック塩としては、具体的には、U−CAT−SA−831,U−CAT−SA−841(サンアプロ(株)製)など、上記式[II]で表される尿素誘導体としては、具体的には、U−CAT−3502T(サンアプロ(株)製)などが挙げられる。
【0026】これらの硬化促進剤(C)は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1以上20重量部以下、好ましくは0.1以上10重量部以下の量で添加される。硬化促進剤(C)を上記配合比で添加することによって、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の反応を促進し、得られるCMP研磨パッドは耐アルカリ性および耐酸性に優れるという効果が得られる。
【0027】またさらに、本発明のCMP研磨パッド用組成物に含有される充填材(D)について以下説明する。
<充填材(D)>本発明に用いられる充填材(D)は、有機充填材(d1)および/または無機充填材(d2)からなる。まず、有機充填材(d1)について説明する。
【0028】<有機充填材(d1)>上記有機充填材(d1)としては、特に限定されるものではないが、コールターカウンター法で測定した平均粒径が0.01〜20μm、好ましくは0.1〜3μmである有機充填材が望ましい。そのような有機充填材(d1)としては、シリコーンゴム弾性体、フッ素樹脂、アラミド繊維、ポリスチレン樹脂などの高分子微粒子が挙げられ、好ましくはシリコーンゴム弾性体を用いることが望ましい。該有機充填材(d1)は、これらから選ばれる1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0029】本発明に用いられる充填材(D)が有機充填材(d1)からなる場合、有機充填材(d1)は、CMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に、10〜70重量%、好ましくは15〜50重量%の量で含有していることが望ましい。上記粒子径範囲の有機充填材(d1)を上記範囲で含有することにより、CMP研磨パッドに可撓性が付与され、モールド後のパッドの変形および研磨装置に設置する時の破損を防ぐことができる。またさらに、CMP研磨パッド表面の硬度を調整することが可能であり、それにより、CMP研磨に用いられる研磨剤の粒径のバラツキによる研磨効果への影響を防止することができる。
【0030】また、上記シリコーンゴム弾性体として、さらに好ましくはエポキシ基含有シリコーンゴム弾性体を用いることが望ましい。エポキシ基含有シリコーンゴム弾性体としては、具体的には、トレフィルE−601(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)などが挙げられる。CMP研磨パッド用組成物中に、エポキシ基含有シリコーンゴム弾性体が含有されることにより、該弾性体は組成物中への分散性が良好であることから得られるCMP研磨パッドは低弾性化し、それによって該パッド成形後の応力を緩和することができ、さらに該パッドの平面度が向上するという効果が得られる。
【0031】<無機充填材(d2)>上記無機充填材(d2)としては、特に限定されるものではないが、無機繊維質、無機微粒子などが挙げられる。該無機充填材(d2)は、これらが単独または混合されてなる。上記無機繊維質(d2)としては、SEM写真から測定した繊維径が、0.1〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μm、さらに繊維長が、1〜30μm、好ましくは1〜20μmである無機繊維質が望ましい。
【0032】そのような無機繊維質(d2)としては、カルシウムシリケート、チタン酸カリウムウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられ、このうち好ましくはカルシウムシリケート、チタン酸カリウムウイスカーを用いることが望ましい。該無機繊維質(d2)は、これらから選ばれる1種または2種以上からなる。
【0033】上記カルシウムシリケートとしては、具体的には、ゾノハイジ、モスハイジ(宇部マテリアルズ(株)製)など、チタン酸カリウムウイスカーとしてはティスモD、ティスモN(大塚化学(株)製)などが挙げられる。本発明に用いられる充填材(D)が無機充填材(d2)からなり、かつ無機充填材(d2)が無機繊維質である場合、このような無機繊維質は、CMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に、5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%の量で含有していることが望ましい。上記繊維径範囲および繊維長範囲にある無機質繊維を上記範囲で含有することにより得られるCMP研磨用パッドの機械的強度が向上し、さらに成形収縮率が低くなることにより、モールド後の該パッド変形、取扱い時の破損を防止することができる。さらに、CMP研磨パッドの耐アルカリ性および耐酸性が向上し、さらに表面硬度の調整も可能となる。
【0034】また、上記無機充填材(d2)として用いられる無機微粒子は、BET法で測定した平均粒径が10〜1×103nm、好ましくは10〜1×102nmの無機微粒子が望ましい。そのような無機微粒子としては、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなどの金属酸化物、複合酸化物超微粒子が挙げられ、好ましくは二酸化ケイ素が用いることが望ましい。該無機微粒子は、これらから選ばれる1種または2種以上からなる。上記二酸化ケイ素としては、具体的には、ナノテック(シーアイ化成(株)製)などが挙げられる。
【0035】本発明に用いられる充填材(D)が、無機充填材(d2)からなり、かつ無機充填材(d2)が無機微粒子である場合、このような無機微粒子は、CMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に、0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%の量で含有していることが望ましい。上記粒子径範囲の無機微粒子を上記範囲で添加することにより、無機質繊維を添加する場合の上記効果に加え、微粒子であるためパッドの表面平面度が向上し、CMP研磨の際に、ウエハに傷をつける確率を低減することが可能となる。
【0036】さらに本発明においては、無機充填材(d2)は、無機繊維質および無機微粒子からなっていてもよく、その場合、無機充填材(d2)(無機繊維質と無機微粒子との合計量が100重量%)中に、無機繊維質が5〜95重量%、好ましくは35〜65重量%の量で、無機微粒子が5〜95重量%、好ましくは35〜65重量%の量からなることが望ましい。さらに、無機繊維質および無機微粒子からなる無機充填材(d2)は、CMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に、15〜70重量%、好ましくは20〜50重量%の量で含有していることが望ましい。
【0037】これらの無機充填材(d2)を上記の量で添加することにより、CMP研磨パッドの収縮率が小さくなり、平面度、耐アルカリ性および耐酸性が向上する。また、本発明に用いられる充填材(D)が、上記有機充填材(d1)と上記無機充填材(d2)とからなる場合、充填材(D)(100重量%)中に、有機充填材(d1)は5〜95重量%、好ましくは20〜60重量%の量で、無機充填材(d2)は5〜95重量%、好ましくは40〜80重量%の量で含有していることが望ましい。
【0038】またさらに、充填材(D)が上記有機充填材(d1)と無機充填材(d2)とからなる場合、CMP研磨パッド用組成物(100重量%)中に、充填材(D)は10〜70重量%、好ましくは10〜50重量%の量で含有していることも望ましい。このような充填材(D)がCMP研磨パッド用組成物に上記範囲で含有されることにより、CMP研磨パッドの表面硬度、機械強度、変形、平滑度の調整が可能であり、研磨対象、そのサイズによって適宜、その組成を使い分けることができる。
【0039】<その他の充填材>本発明においては、必要に応じて、離型剤、シランカップリング剤、難燃剤、着色剤、低応力化剤、充填材などを本発明のCMP研磨パッド用組成物に添加することができる。上記離型剤としては、モンタン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸;カルナバワックスなどの高級脂肪酸のエステルワックス;ベヘニン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの高級脂肪酸の金属塩;ジンクステアレートなどの金属石鹸を挙げることができ、これらから選ばれる1種または2種以上を添加することができる。
【0040】また、上記シランカップリング剤としては、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなど、上記難燃剤としては、ブロム化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウムなど、上記着色剤としては、カーボンブラック、フタロシアニンなど、低応力化剤としては、ブタジエンゴムなどを挙げることができる。
【0041】〔CMP研磨パッド用組成物〕本発明に係るCMP研磨パッド用組成物は、上記した、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、および(d1)有機充填材および/または(d2)無機充填材からなる充填剤(D)、が含有されている。したがって、本発明に係るCMP研磨パッド用組成物の態様としては、たとえば次のような組成物が挙げられる。
(1)エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、および有機充填材(d1)からなる充填剤(D)、を含有しているCMP研磨パッド用組成物。
(2)エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、および無機充填材(d2)からなる充填剤(D)、を含有しているCMP研磨パッド用組成物。
(3)エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、有機充填材(d1)および無機充填材(d2)からなる充填剤(D)、を含有しているCMP研磨パッド用組成物。
【0042】本発明に係るCMP研磨パッド用組成物が(1)〜(3)のいずれかであり、かつそれぞれの組成物が上述の組成割合であることにより、該組成物から得られるCMP研磨パッドは耐アルカリ性および耐酸性に優れ、さらに、この組成物によれば、圧縮成型でCMP研磨パッドを製造することができるため、従来の注形による製造に比べ短時間で成型可能であり、CMP研磨パッドの生産性にも優れる。
【0043】〔CMP研磨パッド〕本発明に係るCMP研磨パッドは、上記CMP研磨パッド用組成物を用いて下記の方法によって製造される。通常、CMP研磨パッドは、厚みが1mm程度で直径が大きいもので350mmで製造される。図2に、本発明のCMP研磨パッドの一例(厚み1.2mm、直径350mm)を示す。
【0044】このようなCMP研磨パッドにおいては、その表面硬度、平面度は、CMP研磨パッド用組成物中の構成成分の含有量により調整可能であるが、本発明においては、表面硬度はビッカーズ硬度で2〜40、好ましくは4〜30、三次元測定法で測定される平面度は20〜100μm、好ましくは30〜70μmで得られるように、構成成分の含有量を調整することが望ましい。
【0045】〔CMP研磨パッドの製造方法〕以下、本発明に係るCMP研磨パッドの製造方法を示す。CMP研磨パッドの製造方法は、モールド金型キャビティ内において、上記CMP研磨パッド用組成物からなり、かつ高周波で加熱しない樹脂顆粒、または該CMP研磨パッド用組成物からなり、かつ高周波で加熱した樹脂タブレットを圧縮成型することによりCMP研磨パッドを製造する。
【0046】具体的には、まず、上述したエポキシ基含有化合物、硬化剤、硬化促進剤、有機充填材および/または無機充填材、さらにシランカップリング剤を含有しているCMP研磨パッド用組成物を、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダーなどの混合機で混合後、二本ロールまたはニーダーで加熱混練りし、続いて冷却、粉砕して高周波で加熱しない樹脂顆粒を得る。または、さらに、該樹脂顆粒をタブレットマシンによりタブレット化し、さらに、高周波予熱機により高周波で加熱して樹脂タブレットを得る。
【0047】次に、図2に示す圧縮成型装置を用い、上記高周波で加熱した樹脂タブレット、または高周波で加熱しない樹脂顆粒を、170℃に加熱された成型金型の下成型金型61の上に置く。さらに、上成型金型63をかぶせた後、可動台64によって加熱プレスを行い、圧縮し、下成型金型61と上成型金型63との間のキャビティ部65でCMP研磨用パッド組成物を圧縮成型する。樹脂が硬化後、上成型金型63と外周リング62を外し、硬化したシートをエアーで冷却した後、取り出して、本発明に係るCMP研磨パッドを得る。
【0048】通常、一般的なCMP研磨パッドの製造方法は、CMP研磨パッド用組成物を室温でタブレット化したものを高周波で加熱し、トランスファー成形する方法によって行われる。しかしながら、この成形方法によってパッドを製造する場合、製造装置の製品部にゲートが必要となり、そのゲート近傍に組成物の注入圧力が集中するため、製造されたパッド内において密度バラツキが大きくなり、得られたCMP研磨パッドは変形しやすくなる。しかしながら、本発明のCMP研磨パッド用組成物を用い、圧縮成型によってCMP研磨パッドを製造する本発明に係るCMP研磨パッドの製造方法によれば、製造装置の製品部にゲートは必要でなく、さらに組成物全体に均一に圧力が加わることにより、変形の少ないCMP研磨パッドを得ることできる。
【0049】
【発明の効果】本発明のよれば、耐アルカリ性および耐酸性に優れたCMP研磨パッドを得ることができる組成物、および、該組成物から得られたCMP研磨パッド、さらに生産性に優れる該パッドの製造方法を提供することができる。
【0050】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例において得られたCMP研磨パッドは、以下の方法に従い評価した。
パッドの平面度パッドの平面度は、東京精密社製三次元測定機GC-1000Dを用いて測定した。測定は23℃,53%RHの環境下で、パッド平面を20点接触測定することにより行った。
耐薬品性試験研磨パッドの耐薬品性は、研磨パッドをpH12のKOH水溶液、pH2のHCl/H22混合水溶液に60℃で5時間浸漬して研磨パッドの重量変化率:%を下記式により求め、該重量変化率から研磨パッドの耐薬品性を評価した。
【0051】
【数1】

【0052】
【実施例1】ナフタレン型エポキシ樹脂(商品名;NC7000L、日本化薬(株)製)120重量部、アラルキルフェノール樹脂(商品名;PN−80、日本化薬(株)製)94重量部、2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ、四国化成(株)製)0.4重量部、チタン酸カリウムウイスカー[(商品名;ティスモD、大塚化学(株)製)、平均繊維長15μm、平均繊維径0.5μm(SEM写真より測定)]170重量部、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−403、信越化学(株)製)0.5重量部、カルナバワックス2重量部を含有しているCMP研磨パッド用組成物をヘンシェルミキサーで混合した後、90℃に加熱した2本ロ−ルで2分間混練した。その後、室温で冷却し、パワ−ミルで5mmメッシュスクリーンにて粉砕して、高周波で加熱しない樹脂顆粒を得た。この樹脂顆粒を圧縮成型金型の下成型金型の上に置き、金型温度170℃、圧縮(金型閉)時間120秒間、型締圧力35tの条件で圧縮成型し、厚さ1.2mm、直径350mmの研磨パッドを作成した。
【0053】得られた研磨パッドのパッド平面度、耐薬品性試験を上記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0054】
【実施例2】実施例1のチタン酸カリウムウイスカー170重量部をカルシウムシリケート[(商品名;ゾノハイジ、宇部マテリアルズ(株)製)、繊維長3μm、繊維径0.3μm(SEM写真により測定)]170重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして研磨パッドを作成した。
【0055】得られた研磨パッドのパッド平面度、耐薬品性試験を上記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0056】
【実施例3】実施例1のチタン酸カリウムウイスカー170重量部に代えて、二酸化ケイ素[(商品名;ナノテック、シーアイ化成(株)製)、平均粒子径12nm(BET法により測定)]60重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして研磨パッドを作成した。
【0057】得られた研磨パッドのパッド平面度、耐薬品性試験を上記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0058】
【実施例4】実施例1のチタン酸カリウムウイスカーおよびγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを無添加(0重量部)とし、シリコーンゴム[(商品名;トレフィルE−601、東レ・ダウコーニング(株)製)、平均粒子径2μm(コールターカウンター法により測定)]160重量部を添加した以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成した。
【0059】得られた研磨パッドのパッド平面度、耐薬品性試験を上記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0060】
【実施例5】実施例1のチタン酸カリウムウイスカー170重量部を40重量部とし、シリコーンゴム100重量部をさらに添加し、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5重量部を0.2重量部とした以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作成した。
【0061】得られた研磨パッドのパッド平面度、耐薬品性試験を上記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0062】
【比較例1】ナフタレン型エポキシ樹脂120重量部、アラルキルフェノール樹脂94重量部、イミダゾール0.4重量部、カルナバワックス2重量部を用い、実施例1の条件に従い研磨パッドを作成した。得られた研磨パッドのパッド平面度、耐薬品性試験を上記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0063】
【比較例2】ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名;エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)100重量部、ジアミノジフェニルエタン24重量部からなる組成物を品川ミキサーで混合した後、図3に示した金型内に注形し、120℃で5時間加熱して硬化させた。冷却後、金型から取り出し、研磨パッドを作成した。
【0064】得られた研磨パッドのパッド平面度、耐薬品性試験を上記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【出願人】 【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区霞が関三丁目2番5号
【出願日】 平成13年9月6日(2001.9.6)
【代理人】 【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎 (外1名)
【公開番号】 特開2003−80450(P2003−80450A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−270549(P2001−270549)