| 【発明の名称】 |
無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法および装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】三浦 吉孝 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】エレメントのエッジ部に対する面取り加工を精度よく容易に行えるようにする。
【解決手段】CVTベルトの複数のエレメント11を、内側円筒部材27と外側円筒部材29との間に保持し、内側円筒部材27を外側円筒部材29に対して円周方向に5度程度回転させて、エレメント11を内周側と外周側とが円周方向に相互にずれた位置となるよう傾斜させる。この状態で研磨用工具3の円筒状の工具本体41を、エレメント11の挿入凹部25に挿入し、外周側に設けた研磨部63によりエレメント11のサドル部21におけるエッジ部21aを研磨する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リング部材により保持されて無段変速機用ベルトを構成する複数のエレメントの、前記リング部材が挿入される挿入凹部に対して面取り加工する無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法において、前記複数のエレメントを、板厚方向に環状に配列しかつ、内周側と外周側とが円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させるとともに、前記各エレメントの挿入凹部に円筒状の研磨用工具を挿入し、この研磨用工具を前記エレメントに対して円周方向に相対移動させて、前記挿入凹部におけるエッジ部を研磨加工することを特徴とする無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法。 【請求項2】 エレメントの内周側を内側円筒部材で保持するとともに、前記エレメントの外周側を外側円筒部材で保持し、前記内側円筒部材と外側円筒部材とを円周方向に相対移動させることで、エレメントが傾斜することを特徴とする請求項1記載の無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法。 【請求項3】 挿入凹部の底部角部に凹状の逃げ部が形成され、この逃げ部の入口付近における凸部分を、研磨用工具の先端側部に形成した凸部分研磨部によって研磨加工することを特徴とする請求項1または2記載の無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法。 【請求項4】 挿入凹部の底部を研磨用工具の先端面にて研磨加工することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無段変速機用ベルトのエレメントエッジ部加工方法。 【請求項5】 挿入凹部の底部角部に逃げ部が形成され、前記挿入凹部に挿入される研磨用工具の先端の幅寸法を、前記挿入凹部の幅寸法とほぼ同等としてあることを特徴とする請求項4記載の無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法。 【請求項6】 リング部材により保持されて無段変速機用ベルトを構成する複数のエレメントの、前記リング部材が挿入される挿入凹部に対して面取り加工する無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法において、前記複数のエレメントを、板厚方向に環状に配列しかつ、この環状面と直交する方向の両端側が、円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させるとともに、前記各エレメントの挿入凹部に円筒状の研磨用工具を挿入し、この研磨用工具を前記エレメントに対して円周方向に相対移動させて、前記研磨用工具の先端面で前記挿入凹部の底部におけるエッジ部を研磨加工することを特徴とする無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法。 【請求項7】 挿入凹部におけるリング部材が挿入される側の開口縁部に対応する研磨用工具に、前記開口縁部に向かい合う開口縁部研磨部を設け、この開口縁部研磨部により前記開口縁部を研磨加工することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法。 【請求項8】 リング部材により保持されて無段変速機用ベルトを構成する複数のエレメントの、前記リング部材が挿入される挿入凹部に対して面取り加工する無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工装置において、板厚方向に環状に配列した前記複数のエレメントの内周側および外周側をそれぞれ保持するとともに、互いに円周方向に相対移動可能な内側円筒部材および外側円筒部材と、前記エレメントの挿入凹部に挿入されて前記内側円筒部材および外側円筒部材に対して円周方向に相対移動して前記挿入凹部におけるエッジ部を研磨加工する円筒状の研磨用工具とをそれぞれ備えていることを特徴とする無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工装置。 【請求項9】 内側円筒部材と外側円筒部材とのいずれかの軸方向端部に、各エレメントにおける内側および外側の各円筒部材の中心軸方向両端側が、円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させる傾斜用部材を設けたことを特徴とする請求項8記載の無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、リング部材により保持されて無段変速機用ベルトを構成する複数のエレメントの、前記リング部材が挿入される挿入凹部に対して面取り加工する無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法および装置に関する。 【0002】 【従来の技術】図9に示すように、自動車におけるベルト式無段変速機(CVT)では、CVTベルト1が、入力軸3および出力軸5にそれぞれ取り付けられたプーリ7および9に巻き掛けられて使用される(平成10年8月 日産自動車株式会社発行新型車解説書(W11−0)参照)。プーリ7および9は、それぞれ溝幅を無段階に変えられる側板7aおよび9a備え、溝幅を変えることでCVTベルト1の各プーリ7,9に対する巻き付け半径が変わり、これにより入力軸3と出力軸5との間の回転数比、すなわち変速比が連続的無段階に変化することとなる。 【0003】図10は、CVTベルト1の一部を分解して示した斜視図で、このCVTベルト1は、図11(a),(b)に示すような厚さ1.8mmの薄板状のエレメント11を、板厚方向に400枚程度順次積層して環状に形成したエレメント組立体Eと、エレメント組立体Eを環状に保持する二つのリング組立体Lとから構成されている。このリング組立体Lは、直径の異なる複数の円筒状のリング部材13を層状に重ねたものである。 【0004】エレメント11は、ボディ部15とヘッド部17とがネック部19によって連結されており、ボディ部15におけるサドル部21とヘッド部17におけるイヤー部23との間に、リング組立体Lが挿入される挿入凹部25が形成されている。この挿入凹部25にリング組立体Lが挿入されることで、CVTベルト1が完成する。 【0005】CVTベルト1の駆動時には、サドル部21とリング組立体Lの最内周(図11中で最下部)に位置するリング部材13とが接触するとともに、エレメント11のネック部19における挿入凹部25の底面25aとリング組立体Lの端面Laとが接触するなど、エレメント11とリング組立体Lとが各部で接触する。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したエレメント11は、例えば特開昭63−199943号公報に記載されているように、プレス加工によって製造されるのが一般的である。プレス加工によって製造されたエレメントは、その打ち抜き形状の周縁部にバリが発生し、このバリは、前記したリング組立体Lが接触するサドル部21やネック部19にも形成される。このため、CVTベルト1の駆動時には、リング組立体Lが、これらサドル部21やネック部19などにバリが形成されていると、各エッジ部21a,19a(図11(b)参照)に接触することになるので、リング組立体Lに傷が付くことがない様、上記エッジ部21a,19aなどに対して面取り加工してバリを取り除くことで、リング組立体Lの損傷が回避される。 【0007】面取り加工としては、例えばバレル加工を行うことが考えられるが、この場合には、挿入凹部25が狭いことから、研磨材が挿入凹部25に入り込まず、エッジ部21a,19aに対する面取り加工が困難なものとなっている。また、上記した公報における第23図および第24図に示されているように、ポンチによってエッジ部21a,19aを潰す方法もあるが、この場合には、エッジ部21a,19aを潰すことで発生する余肉により、他の部位が変形して寸法精度が悪化したり、また一個一個潰すことになるので、作業が面倒である上、各エレメント相互で寸法のばらつきが発生するなど、容易かつ精度よく面取り加工が行えないという問題がある。 【0008】そこで、この発明は、エレメントのエッジ部に対する面取り加工を精度よく容易に行えるようにすることを目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、請求項1の発明は、リング部材により保持されて無段変速機用ベルトを構成する複数のエレメントの、前記リング部材が挿入される挿入凹部に対して面取り加工する無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法において、前記複数のエレメントを、板厚方向に環状に配列しかつ、内周側と外周側とが円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させるとともに、前記各エレメントの挿入凹部に円筒状の研磨用工具を挿入し、この研磨用工具を前記エレメントに対して円周方向に相対移動させて、前記挿入凹部におけるエッジ部を研磨加工する方法としてある。 【0010】請求項2の発明は、請求項1の発明の方法において、エレメントの内周側を内側円筒部材で保持するとともに、前記エレメントの外周側を外側円筒部材で保持し、前記内側円筒部材と外側円筒部材とを円周方向に相対移動させることで、エレメントが傾斜する方法としてある。 【0011】請求項3の発明は、請求項1または2の発明の方法において、挿入凹部の底部角部に凹状の逃げ部が形成され、この逃げ部の入口付近における凸部分を、研磨用工具の先端側部に形成した凸部分研磨部によって研磨加工する方法としてある。 【0012】請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明の方法において、挿入凹部の底部を研磨用工具の先端面にて研磨加工する方法としてある。 【0013】請求項5の発明は、請求項4の発明の方法において、挿入凹部の底部角部に逃げ部が形成され、前記挿入凹部に挿入される研磨用工具の先端の幅寸法を、前記挿入凹部の幅寸法とほぼ同等として研磨加工する方法としてある。 【0014】請求項6の発明は、リング部材により保持されて無段変速機用ベルトを構成する複数のエレメントの、前記リング部材が挿入される挿入凹部に対して面取り加工する無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工方法において、前記複数のエレメントを、板厚方向に環状に配列しかつ、この環状面と直交する方向の両端側が、円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させるとともに、前記各エレメントの挿入凹部に円筒状の研磨用工具を挿入し、この研磨用工具を前記エレメントに対して円周方向に相対移動させて、前記研磨用工具の先端面で前記挿入凹部の底部におけるエッジ部を研磨加工する方法としてある。 【0015】請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明の方法において、挿入凹部におけるリング部材が挿入される側の開口縁部に対応する研磨用工具に、前記開口縁部に向かい合う開口縁部研磨部を設け、この開口縁部研磨部により前記開口縁部を研磨加工する方法としてある。 【0016】請求項8の発明は、リング部材により保持されて無段変速機用ベルトを構成する複数のエレメントの、前記リング部材が挿入される挿入凹部に対して面取り加工する無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工装置において、板厚方向に環状に配列した前記複数のエレメントの内周側および外周側をそれぞれ保持するとともに、互いに円周方向に相対移動可能な内側円筒部材および外側円筒部材と、前記エレメントの挿入凹部に挿入されて前記内側円筒部材および外側円筒部材に対して円周方向に相対移動して前記挿入凹部におけるエッジ部を研磨加工する円筒状の研磨用工具とをそれぞれ備えている構成としてある。 【0017】請求項9の発明は、請求項8の発明の構成において、内側円筒部材と外側円筒部材とのいずれかの中心軸方向端部に、各エレメントにおける内側および外側の各円筒部材の中心軸方向両端側が、円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させる傾斜用部材を設けた構成としてある。 【0018】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、環状に配列しかつ、内周側と外周側とが円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させた状態のエレメントに対し、研磨用工具を挿入凹部に挿入して円周方向に相対移動させ、これにより挿入凹部におけるエッジ部を研磨加工するようにしたため、複数のエレメントに対してエッジ部の面取り加工を均等に精度よく容易に行うことができる。 【0019】請求項2の発明によれば、内側円筒部材と外側円筒部材とを円周方向に相対移動させることで、エレメントを、内周側と外周側とが円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう容易に傾斜させることができ、挿入凹部におけるエッジ部の面取り加工を確実に行うことができる。 【0020】請求項3の発明によれば、挿入凹部の底部角部に形成された逃げ部の入口付近における凸部分を、研磨用工具の先端側部にて研磨加工することで、凸部分に接触するリング部材の損傷を防止でき、ベルト寿命を高めることができる。 【0021】請求項4の発明によれば、挿入凹部の底部を、研磨用工具の先端面にて研磨加工することで、挿入凹部の底部に接触するリング部材の損傷を防止でき、ベルト寿命を高めることができる。 【0022】請求項5の発明によれば、挿入凹部の幅寸法より広い領域となる逃げ部側の底部についても、研磨用工具の先端面で研磨することができ、リング部材がずれた場合であっても、挿入凹部の逃げ部側の底部に接触するリング部材の損傷が回避され、ベルト寿命を高めることができる。 【0023】請求項6の発明によれば、環状に配列しかつ、この環状面と直交する方向の両端側が、円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させた状態のエレメントに対し、研磨用工具を挿入凹部に挿入して円周方向に相対移動させ、これにより挿入凹部の底部におけるエッジ部を研磨加工するようにしたため、複数のエレメントに対してエッジ部の面取り加工を均等に精度よく容易に行うことができる。 【0024】請求項7の発明によれば、研磨用工具の開口縁部研磨部により、挿入凹部におけるリング部材が挿入される側の開口縁部を研磨加工するようにしたため、開口縁部に接触するリング部材の損傷を防止でき、ベルト寿命を高めることができる。 【0025】請求項8の発明によれば、環状に配列したエレメントの内周側および外周側をそれぞれ保持させた内側円筒部材および外側円筒部材を、互いに円周方向に相対移動させることで、エレメントを、その内周側と外周側とが円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させ、この状態でエレメントの挿入凹部に挿入した円筒状の研磨用工具をエレメントに対して円周方向に相対移動させることで、挿入凹部におけるエッジ部を研磨加工できるので、複数のエレメントに対してエッジ部の面取り加工を均等に精度よく容易に行うことができる。 【0026】請求項9の発明によれば、傾斜用部材を円周方向に沿って移動させることで、エレメントにおける内側および外側の各円筒部材の中心軸方向両端側を、円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜させ、この状態でエレメントの挿入凹部に挿入した円筒状の研磨用工具をエレメントに対して円周方向に相対移動させることで、挿入凹部の底部におけるエッジ部を研磨加工できるので、複数のエレメントに対し、挿入凹部の底部におけるエッジ部の面取り加工を均等に精度よく容易に行うことができる。 【0027】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。 【0028】図1は、この発明の実施の一形態を示す無段変速機用ベルトのエレメント面取り加工装置の断面図、図2は、図1のA−A断面図である。ここにおけるエレメント11は、前記図11に示したものとほぼ同様であり、図11のものと同一部分には同一の符号を付して説明する。 【0029】このエレメント面取り加工装置は、複数のエレメント11を、ヘッド部17が内側となる状態で、内側円筒部材27と外側円筒部材29との間に、所定間隔をおいて板厚方向に環状に配置してある。内側円筒部材27は、幅寸法(図1中で上下方向寸法)が外側円筒部材29に対して短く形成されている。 【0030】内側円筒部材27の外周面には、中心軸方向(図1中で上下方向)全長にわたり形成された外溝27aが、円周方向に沿って複数設けられている。この外溝27aにエレメント11のヘッド部17の先端が挿入される。一方外側円筒部材29の内周面には、上記した各外溝27aに対応して中心軸方向全長にわたり形成された内溝29aが、円周方向に沿って複数設けられている。この内溝29aにエレメント11のボディ部15の先端が挿入される。 【0031】外溝27aおよび内溝29aの各幅寸法t1およびt2(図2参照)は、各溝27a,29aにそれぞれ挿入される部分のヘッド部17およびボディ部15の板厚寸法より大きく形成されている。また、相互に対向する外溝27aの底部と内溝29aの底部との間の寸法は、エレメント11の高さ(図11中で上下方向)寸法より大きく形成されている。 【0032】外溝27aおよび内溝29aは、図2に示すように、円周方向3箇所にて、円周方向の間隔が他の部位より広く形成され、この円周方向3箇所に、内側円筒部材27と外側円筒部材29とを円周方向に相対移動させる位相レバー31が、各円筒部材27,29をそれぞれ貫通した状態で設けられている。 【0033】位相レバー31は、内側の先端が内側円筒部材27に形成された固定孔27bに挿入固定され、長さ方向ほぼ中央部分が、外側円筒部材29に形成してある貫通孔29bに挿入されている。貫通孔29bの内周側および外周側の各開口部付近に対応する位置の位相レバー31には、内側フランジ33および外側フランジジ35が、外側円筒部材29を挟持するようにして装着されている。 【0034】これにより内側円筒部材27は、外側円筒部材29に対し同軸度を保ちながら保持されることになる。 【0035】上記した外側円筒部材29の貫通孔29bは、全体として位相レバー31の直径より充分大きく形成されかつ、円周方向に長い長孔であり、位相レバー31が貫通孔29b内で少なくとも円周方向に移動可能となっている。3本の位相レバー31を貫通孔29b内にて円周方向に移動させることで、内側円筒部材27が外側円筒部材29に対して円周方向に±10°程度移動することになる。 【0036】図1に示すように、外側円筒部材29の下端付近における内溝29aに対応する位置には、ストッパ保持孔29cが形成され、このストッパ保持孔29cに、ストッパ37が外周側から着脱可能に挿入されいてる。ストッパ37は、先端が外側円筒部材29の内側に突出し、その突出端部上面は、内周側ほど下方となるよう傾斜面37aを有し、この傾斜面37aにエレメント11のボディ部15の下端の傾斜部が当接している。すなわち、エレメント11は、ストッパ37によって下方への落下が防止されている。このストッパ37は、一つの内溝29aに対して一つずつ設けてもよいが、複数の内溝29aに対して一つ設けるようにしてもよい。 【0037】なお、上記した外側円筒部材29は、本装置の図示しない装置本体部に固定されているものとする。 【0038】上記した内側円筒部材27および外側円筒部材29を備えたエレメント保持具の上方および下方には、研磨用工具39がそれぞれ配置されている。こ各研磨用工具39は、環状に配置されたエレメント11の挿入凹部25に挿入される円筒状の工具本体41が、ベアリング43を介してベース部45の円筒部分47に対して回転可能に支持されている。 【0039】ベース部45の円板部49の外周側には、工具回転用の駆動モータ51が装着されるとともに、駆動モータ51の駆動軸53の先端には駆動ギア55が装着されている。一方工具本体41の円板部49側の外周には従動ギア57が装着され、この従動ギア57と駆動ギア55とはギア付きベルト59により連結されている。 【0040】工具本体41は、先端側の研磨具保持部61の外周部分に、全周にわたり凹部61aが形成され、この凹部61aから先端面61bにかけて、研磨部63が設けられている。すなわち、研磨部63は、エレメント11のサドル部21を研磨するサドル研磨部63aと、ネック部19を研磨するネック研磨部63bとを備えている。上記した研磨部63は、樹脂製の母材上に砥粒を接着剤で保持させたような研磨布でもよいが、鉄製の母材上に砥粒をニッケルメッキで保持させたような電着砥石を用いることで、砥粒の保持強度が向上する。 【0041】上記した研磨部63周辺の形状の詳細を図3に示す。図3は、図1中で上部側の研磨用工具39の左側端部付近を、エレメント11の挿入凹部25に挿入された状態で示している。研磨具保持部61の先端部(図3中で下端部)は、挿入凹部25の幅方向(図3中で左右方向)に両端が僅かに突出するよう傾斜部61aを形成しており、この突出形状(傾斜部61a)に合わせて研磨部63が形成されている。すなわち、研磨部63には、上記図3中で左側の傾斜部61aに沿った凸部分研磨部63cを備え、この凸部分研磨部63cは、挿入凹部25の底部25aの角部に形成されている逃げ部25cの入口付近における凸部分25dに対向して形成され、この凸部分部25dを研磨可能である。 【0042】そして、上記研磨部63を含んだ研磨具保持部61の幅寸法Tは、挿入凹部25の幅寸法Hとほぼ同等としてある。 【0043】また、挿入凹部25におけるサドル部21側の開口縁部21bに対応する位置の研磨具保持部61には、傾斜部61cが形成され、この傾斜部61cに沿って開口縁部21bに対向して形成されて開口縁部21bを研磨可能な開口縁部研磨部63dが形成されている。 【0044】なお、上記した各研磨用工具39は、外側円筒部29が固定されている装置本体部分に対して上下動可能となっている。 【0045】図2に示す状態は、位相レバー31が貫通孔29bの中心位置にあり、この状態を中立位置とする。この中立位置から3本の位相レバー31を図4に示すように、時計方向に例えば5度程度回転させて、内側円筒部材27を外側円筒部材29に対して回転させると、エレメント11は、内周側のヘッド部17が内側円筒部材27とともに円周方向に移動し、ヘッド部17と、外周側のボディ部15とが、円周方向に沿って互いにずれた位置となるように、8〜15度程度傾斜した状態となる。 【0046】図5は、図4とは逆に、図2の中立位置から3本の位相レバー31を、内側円筒部材27とともに反時計方向に例えば5度程度回転させた状態である。これにより、エレメント11は、内周側のヘッド部17が上記回転に伴い図4とは逆の円周方向へ移動し、ヘッド部17と、外周側のボディ部15とが、円周方向に沿って互いにずれた位置となるよう傾斜した状態となる。 【0047】上記したようなエレメント11の傾斜方向の動きは、図6に示すように、矢印Bで示すピッチング方向の動きであり、これに対し、エレメント11の図6中で上下両端相互が、円周方向に沿って相互にずれた位置となるよう傾斜させる動きが、矢印Cで示すヨーイング方向の動きである。 【0048】このヨーイング方向の動きをエレメント11に与えるための装置を図7に示す。図7は、図1におけるものと同様な内側円筒部材27および外側円筒部材29を備えたエレメント保持具を示しており、このエレメント保持具に対し、外側円筒部材29の上端に、傾斜用部材としての環状のヨーイングリング65を、外側円筒部材29に対して円周方向に移動可能に設けている。 【0049】ヨーイングリング65は、外側円筒部材29の内側に挿入される挿入部65aを有し、この挿入部65aの内周側端部から下方に突出する爪67を備えている。 【0050】爪67は、図7のD−D断面図である図8(a)に示すように、外側円筒部材29に形成してある複数の内溝29a相互間に位置するよう設定され、その先端(下端)67aが、環状に配置した複数のエレメント11相互間に挿入される。 【0051】次に、上記した構成のエレメント面取り加工装置の動作を説明する。まず、図4に示すように、図2の中立位置から位相レバー31を時計方向に回転させてエレメント11をピッチング方向に傾斜させ、この状態で、図1に示してある上下の研磨用工具39を、駆動モータ51の駆動により工具本体41を回転させつつ、エレメント保持具に接近させてエレメント11の挿入凹部25に上下からそれぞれ挿入する。このときの工具本体41の挿入位置は、図3に示すように先端のネック研磨部63bがネック部19に接触するまでとする。 【0052】エレメント11が、図4のようにピッチング方向に傾斜することで、挿入凹部25におけるサドル部21のエッジ部21aの一方側21a(R)が、工具本体41の研磨部63に接触して研磨され、複数のエレメント11に対してエッジ部21a(R)の面取り加工が同時になされる。複数のエレメント11に対しエッジ部21a(R)の面取り加工が同時に行えるので、作業が容易なものとなる。 【0053】図4とは逆に図5に示すように、エレメント11を反時計方向に傾斜させた状態で、上記と同様にして研磨用工具39の工具本体41を回転させつつ挿入凹部25に挿入することで、今度はエッジ部21aの他方側21a(L)が、工具本体41の研磨部63に接触して研磨され、複数のエレメント11に対してエッジ部21a(L)の面取り加工が同時になされる。この場合にも、複数のエレメント11に対し、エッジ部21a(L)の面取り加工が同時に行えるので、作業が容易なものとなる。 【0054】上記した面取り加工の際には、エレメント11が内側円筒部材27および外側円筒部材29にほとんど触れず、研磨用工具39がエレメント11を保持するようにこれら両者が接触するだけなので、エレメント11は内側円筒部材27および外側円筒部材29に拘束されることなく、複数のエレメント11に対して均一に精度よく研磨加工することができる。これにより、ベルト駆動時でのリング部材13の損傷を防止でき、CVTベルトの高寿命化が達成される。 【0055】また、図4および図5のいずれの場合でも、上下の研磨用工具39の先端(ネック研磨部63b)がエレメント11のネック部19に接触しているので、挿入凹部25の底部25aをも研磨することができる。この場合、エレメント11がピッチング方向に傾斜しているので、このネック部19(底部25a)に対する研磨の際には、研磨部63の幅寸法T(図3参照)が挿入凹部25の幅寸法Hと同等であっても、その幅寸法Hより広い範囲、すなわち逃げ部25c側に及ぶ範囲の研磨が可能となる。これにより、ベルト駆動時にリング部材13がエレメント11に対して多少ずれたとしても、リング部材13の損傷が回避される。 【0056】さらに、このとき、研磨部63の凸部分研磨部63cが凸部分25dに接触し、凸部分25dを研磨する。これにより、リング部材13が凸部分25dに接触しても損傷を防止でき、リング部材13の高寿命化が達成される。さらにまた、研磨部63の開口縁部研磨部63dがサドル部21の開口縁部21bに接触することで、開口縁部21bを研磨することができ、これによりベルト駆動時にリング部材13が開口縁部21bに接触してもリング部材13の損傷を防止でき、リング部材13の高寿命化が達成される。 【0057】なお、上記したネック部19(底部25a),凸部分25dおよび開口縁部21bに対する研磨の際には、エレメント11を傾斜させない状態、つまりエレメント保持具が図2に示す中立位置の状態で行ってもよい。 【0058】次に、図7に示したヨーイングリング65によってエレメント11をヨーイング方向に傾斜させた状態での研磨作業を説明する。この研磨作業では、エレメント11のネック部19におけるエッジ部19a(図11(b)参照)を研磨する。この場合、まず図2の中立位置で、エレメント11の挿入凹部25に工具本体41を挿入した状態で研磨用工具39を回転させ、エレメント11を、内側円筒部材27および外側円筒部材29の各溝27aおよび29aの一方側へ移動させる。つまり、図8(a)の状態からエレメント11全体を例えば図中で右側へ移動させる。 【0059】この状態からヨーイングリング65を図8(b)のように、矢印E方向に例えば2〜5度程度回転させることで、爪67によりエレメント11の上端を回転方向と同方向に変位させ、これによりエレメント11は、内側および外側の各円筒部材27および29の中心軸方向(図8中で上下方向)両端側が、円周方向に沿って互いにずれた位置となるように、1〜5度程度傾斜した状態となる。 【0060】ここで、研磨用工具39における研磨部63のネック研磨部63bをエレメント11のネック部19に接触させた状態で、研磨用工具39を回転させることで、ネック研磨部63bによりネック部19のエッジ部19aの一方側19a(R)を研磨することができる。エレメント11を図8(b)とは逆方向に傾斜させた状態とすることで、ネック研磨部63bによりネック部19のエッジ部19aの他方側19a(L)を研磨することができる。 【0061】この場合にも、複数のエレメント11に対して同時に研磨加工が行えてエッジ部19aに対する面取り加工が容易に行え、かつ均等に精度よく行うことができる。 【0062】エレメント11に対するすべての研磨作業が終了したら、研磨用工具39をエレメント11から外し、ストッパ37を後退させてエレメント11を下方に排出させる。 【0063】なお、エレメント11をヨーイング方向に傾斜させる方法として、図8に示したようにエレメント11全体を一旦一方に移動させた後、ヨーイングリング65を回転させる方法を示したが、外側円筒部材29の下部にもヨーイングリングを設け、この下部側のヨーイングリングを上部のヨーイングリング65と反対方向に回転移動させることで行ってもよい。この場合、加工終了後のエレメント11を排出する際には、下部側のヨーイングリングを取り外す必要がある。また、ヨーイングリングは、内側円筒部材29に設けることもできる。 【0064】また、上記実施の形態では、図1に示すように、エレメント11がそのヘッド部17が内側に位置した状態としているが、ヘッド部17を外側とした状態で各部位を研磨するようにしてもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
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| 【出願日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083806 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−80445(P2003−80445A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月18日(2003.3.18) |
| 【出願番号】 |
特願2001−271676(P2001−271676) |
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