| 【発明の名称】 |
多段式微小孔加工方法および装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】西郷 達治 【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セイコーインスツルメンツ株式会社内
【氏名】杉山 政治 【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セイコーインスツルメンツ株式会社内
【氏名】岩舘 秀男 【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セイコーインスツルメンツ株式会社内
【氏名】木原 弘之 【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セイコーインスツルメンツ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】縁のダレ、孔ビツがない高精度な微小孔加工が短いサイクルタイムでできる多段式微小孔加工方法及び装置を提供する。
【解決手段】被加工物の孔にワイヤ3−1、3−2、・・・を通して孔とワイヤの間の研磨材で孔をラップする微小孔ラップステーション2−1、2−2、・・・を、複数配置し、被加工物を少しずつ太いワイヤの微小孔ラップステーションに順次移して、孔径を拡げ、所望の孔径に仕上げる。研磨材が、ダイヤモンドパウダーであって、その平均粒径は0.5〜5.0μm程度のものを用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被加工物の孔にワイヤを貫通し、孔とワイヤとを相対摺動させながら、孔・ワイヤ間に介在させた研磨材で孔をラップするラップ工程で、上記孔を拡げ、この孔を拡げた被加工物に対して上記ラップ工程を繰り返して順次孔を拡げ、所望の孔径に仕上げることを特徴とする多段式微小孔加工方法。 【請求項2】 孔を拡げた被加工物に対して、前工程よりも太いワイヤを使用し、または、前工程よりも平均粒径の大きい研磨材を使用して、上記ラップ工程を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の多段式微小孔加工方法。 【請求項3】 最終仕上げのラップ工程で、前のラップ工程に使用する研磨材の平均粒径よりも細かい平均粒径の研磨材を使用する請求項1または2に記載の多段式微小孔加工方法。 【請求項4】 前工程のラップ工程で加工された被加工物の孔を洗浄する孔洗浄工程を設けた請求項1、2または3に記載の多段式微小孔加工方法。 【請求項5】 前工程のラップ工程で加工された被加工物の孔径を検査する孔径検査工程を設けた請求項1、2、3または4に記載の多段式微小孔加工方法。 【請求項6】 被加工物の孔径を拡大加工する複数の孔ラップステーションの各々が、被加工物を保持する被加工物保持手段と、ワイヤを供給するためのワイヤ供給手段と、上記ワイヤ供給手段から供給されるワイヤの先端部を被加工物の孔に貫通させるワイヤ通し手段と、上記ワイヤ通し手段により被加工物の孔に貫通したワイヤにテンションを加えるテンション付与手段と、上記ワイヤに研磨材を供給する研磨材供給手段と、上記研磨材が供給されテンションが加えられた上記ワイヤと、被加工物保持手段により保持された被加工物とを相対的に摺動させるワイヤ・被加工物相対摺動手段と、からなり、ひとつの孔ラップステーションで孔を拡げられた被加工物を、他の孔ラップステーションに移して、順次孔を拡げていき、所望の孔径に仕上げるようになっていることを特徴とする多段式微小孔加工装置。 【請求項7】 上記被加工物保持手段が、孔にワイヤを通すワイヤ挿入位置に被加工物を搬入し、上記ワイヤ挿入位置から被加工物を搬出する被加工物搬送装置上に設けられている請求項6記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項8】 上記被加工物搬送装置が、ワイヤ挿通位置と被加工物供給・排出位置との間でインデックス動作するインデックス盤である請求項7記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項9】 上記被加工物供給・排出位置でラップ済みの被加工物を次工程の孔ラップステーションに搬送し、前工程からの被加工物を供給するステーション間搬送装置を備えた請求項8記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項10】 複数の孔ラップステーションが円周上に等間隔に配置されており、上記被加工物搬送装置が、複数の被加工物保持手段を上記孔ラップステーションに対応配置したインデックステーブルであって、このインデックステーブルのインデックス動作により、被加工物保持手段が隣りの孔ラップステーションに順次送られるようになっている請求項7記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項11】 前工程の孔ラップステーションで加工された被加工物の孔を洗浄する孔洗浄ステーションを設けた請求項6または7に記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項12】 前工程の孔ラップステーションで加工された被加工物の孔径を検査する孔径検査ステーションを設けた請求項6、7または11に記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項13】 互いに隣接配置される孔ラップステーションにおいて加工される被加工物の孔径の差が、互いに隣接しない孔ラップステーションにおいて加工される被加工物の孔径の差よりも小さい請求項6記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項14】 少なくともひとつの孔ラップステーションにおいて、研磨材が、互いに異なる平均粒径の複数種の研磨粒を混合してなっている請求項6記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項15】 ひとつの孔ラップステーションにおけるワイヤの線径が他の孔ラップステーションにおけるワイヤの線径と異なっている請求項6記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項16】 上記ワイヤ供給手段が、長尺のワイヤを巻き付けてあるワイヤリールである請求項6記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項17】 上記研磨材が、ダイヤモンドパウダーであって、このダイヤモンドパウダーがオイル中に混合されている請求項6記載の多段式微小孔加工装置。 【請求項18】 上記被加工物が、ZrO2 製のフェルールである請求項6記載の多段式微小孔加工装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、光ファイバコネクタのフェルール等の微小孔の内面を研磨する微小孔加工方法および装置に関する。 【0002】 【従来の技術】光ファイバコネクタのフェルールは、ジルコニア系セラミック材等からなり、その軸方向に微小径のファイバ挿入孔が形成され、このファイバ挿入孔内には光ファイバが挿入され保持固定される。ファイバ挿入孔径は、125〜128μmが一般的で、孔の真円度、孔の縁のテーパ(ダレ)はともに数μm以下が要求される。 【0003】ジルコニア(ZrO2 )を使用したフェルールの素材(被加工物)は、押し出し成形あるいは射出成形により素孔が開けられている。この素孔をラップ加工してファイバ挿入孔に仕上げる微小孔加工方法としては、従来、(1)特開平11−48105号公報のように、複数の素材W、W、‥‥に1本のテーパワイヤ101を通して、素材W、W、‥‥とテーパワイヤ101間に相対回転、相対摺動を与え、テーパワイヤ101周囲のダイヤモンドパウダーで複数の素材W、W、‥‥の素孔をまとめてラップ加工する(図8参照)、(2)特許第3062939号公報のように、1個の素材Wにテーパワイヤ101を通して、素材Wとテーパワイヤ101間に相対回転、相対摺動を与え、テーパワイヤ101周囲のダイヤモンドパウダーで素材Wの素孔をひとつずつラップ加工する(図9参照)、および、(3)ストレートワイヤ102をドリルのように使用してストレートワイヤ102周囲のダイヤモンドパウダーで素材Wの孔をひとつずつラップ加工する(図10参照)、の方法が知られている。 【0004】上記(1)と(2)のテーパワイヤを使用する方法は、テーパワイヤのテーパ精度が要求され、要求精度を満たすテーパワイヤの製造が困難であり、孔加工精度が劣るものになる。特に、生産性の高い(1)の方法は、図8(a)のように、素材外径を基準として素材を保持し、そこにテーパワイヤを通すので、素材外径と素孔との心ずれにより隣りの素材との間でテーパワイヤが若干屈曲し、その状態でテーパワイヤにテンションを加えて、相対回転、相対摺動しながらラップ加工するので、図8(b)のように、孔wの縁のダレや孔ビツeが生じやすくなる。なお、素材の上記心ずれは、通常10〜20μmはあるものである。 【0005】上記(3)のストレートワイヤを使用する方法は、加工により拡げられる孔径がせいぜい2μm程度であって、孔径の修正には使えるが、素材の素孔からファイバ挿入孔に加工する削りシロ数十μmの加工には適用することができない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、縁のダレ、孔ビツがない高精度な微小孔加工を短いサイクルタイムで実現できる多段式微小孔加工方法および装置を提供しようとするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明方法では、被加工物の孔にワイヤを貫通し、孔とワイヤとを相対摺動させながら、孔・ワイヤ間に介在させた研磨材で孔をラップするラップ工程で、上記孔を拡げ、この孔を拡げた被加工物に対して上記ラップ工程を繰り返して順次孔を拡げ、所望の孔径に仕上げる。 【0008】上記発明方法において、孔を拡げた被加工物に対して、前工程よりも太いワイヤを使用し、または、前工程よりも平均粒径の大きい研磨材を使用して、上記ラップ工程を繰り返す。 【0009】また、上記発明方法において、最終仕上げのラップ工程で、前のラップ工程に使用する研磨材の平均粒径よりも細かい平均粒径の研磨材を使用して、加工能率と加工精度を一層向上することもできる。 【0010】上記発明方法において、前工程のラップ工程で加工された被加工物の孔を洗浄する孔洗浄工程を設けたり、更に、前工程のラップ工程で加工された被加工物の孔径を検査する孔径検査工程を設けたりすれば、途中工程での洗浄、検査の人手も不要の自動化された微小孔加工を行うことができる。 【0011】この発明装置は、被加工物の孔径を拡大加工する複数の孔ラップステーションの各々が、被加工物を保持する被加工物保持手段と、ワイヤを供給するためのワイヤ供給手段と、上記ワイヤ供給手段から供給されるワイヤの先端部を被加工物の孔に貫通させるワイヤ通し手段と、上記ワイヤ通し手段により被加工物の孔に貫通したワイヤにテンションを加えるテンション付与手段と、上記ワイヤに研磨材を供給する研磨材供給手段と、上記研磨材が供給されテンションが加えられた上記ワイヤと、被加工物保持手段により保持された被加工物とを相対的に摺動させるワイヤ・被加工物相対摺動手段と、からなり、ひとつの孔ラップステーションで孔を拡げられた被加工物を、他の孔ラップステーションに移して、順次孔を拡げていき、所望の孔径に仕上げるようになっている。 【0012】上記発明装置において、被加工物保持手段を、孔にワイヤを通すワイヤ挿入位置に被加工物を搬入し、上記ワイヤ挿入位置から被加工物を搬出する被加工物搬送装置上に設けることができる。 【0013】そして、この被加工物搬送装置が、ワイヤ挿通位置と被加工物供給・排出位置との間でインデックス動作するインデックス盤であるようにし、更に、上記被加工物供給・排出位置でラップ済みの被加工物を次工程の孔ラップステーションに搬送し、前工程からの被加工物を供給するステーション間搬送装置を備えると、被加工物の給排まで自動化される。 【0014】また、複数の孔ラップステーションが円周上に等間隔に配置されており、上記被加工物搬送装置が、複数の被加工物保持手段を上記孔ラップステーションに対応配置したインデックステーブルであって、このインデックステーブルのインデックス動作により、被加工物保持手段が隣りの孔ラップステーションに順次送られるようにして、被加工物の給排を自動化するようにしてもよい。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、この発明に係る多段式微小孔加工装置および方法の実施形態について、図面を参照して説明する。 【0016】図1は、この発明に係る多段式微小孔加工装置の第1の実施形態を示す斜視図、図2は、図1の多段式微小孔加工装置のひとつの孔ラップステーションを示す側面図、図3は、図2の孔ラップステーションの被加工物保持手段を示す側断面図、図4は、図1の多段式微小孔加工装置におけるタイミングチャート、図5は、孔加工ステップを模式的に示す説明図である。 【0017】図1に示した多段式微小孔加工装置では、ベース1上に複数の孔ラップステーション2−1、2−2、‥‥が1列に直線状に取り付けられている。上記孔ラップステーション2の各々では、ひとつの被加工物、この実施の形態では(未完成の)ZrO2 製のフェルールがセットされ、高張力ピアノ線製でストレート形状のワイヤ3とその周囲に付着するダイヤモンドパウダー(研磨材)により微小径のファイバ挿入孔の下孔がラップ加工され、その孔径を拡げられる。ダイヤモンドパウダーの平均粒径は0.5〜5.0μm程度のものを用いる。 【0018】ラップ加工は各ステーションで一斉に行われ、そのステーションでの加工が終了すると、すなわち、フェルールの下孔径が1.0〜10.0μm程削られてそれ以上削れなくなってきたところで、一斉に加工を止め、フェルールの下孔からワイヤ3を引き抜き、フェルールは、図示省略のステーション間搬送装置により、右隣りの孔ラップステーションに搬送されてセットされる。この際、最左の孔ラップステーション2−1には、上記ステーション間搬送装置により押し出し成形されたままのフェルール素材がセットされ、一方、最右の孔ラップステーション2−5で加工されてその微小孔径が仕上がったフェルールは、外部に取り出される。 【0019】右隣りの孔ラップステーションのワイヤ3は、加工を終えた孔ラップステーションのワイヤ3よりも太いものが装着されている。各孔ラップステーション2−1、2−2、‥‥にフェルールがセットされると、その微小孔にワイヤ3−1、3−2、‥‥が通され、再び一斉にラップ加工が行われる。 【0020】このように、フェルールが孔ラップステーション2−1、2−2、‥‥に順次移され、各ステーションで1.5〜2μm程ずつその微小孔が拡げられていって、最後のステーションで所望の孔径に仕上がる。図1では煩雑化を避けるためにステーション数を5としてあるが、通常、押し出し成形のフェルール素材の素孔径が約100μm、仕上げるファイバ挿入孔径が125〜128μmであるから、3〜28ステーション程を配置してステーション間搬送装置で結ぶことになる。 【0021】次に、各孔ラップステーション2の加工ユニットの詳細を、図2を参照して説明する。 【0022】図2において、4は、フェルールWを保持する被加工物保持手段、5は、ワイヤ3を巻き付けたワイヤリール(ワイヤ供給手段)、6は、上記ワイヤリール5に巻かれたワイヤ3の先端部を被加工物Wの孔に貫通させるワイヤ通し手段、7は、上記ワイヤ通し手段6により被加工物Wの孔に貫通したワイヤ3にテンションを加えるテンション付与手段、8は、ワイヤ3にダイヤモンドパウダーを供給する研磨材供給手段、9は、上記研磨材供給手段8によりダイヤモンドパウダーが供給され、テンション付与手段7によりテンションが加えられた上記ワイヤ3と、被加工物保持手段4に保持された被加工物Wとを相対的に摺動させ被加工物Wの孔をラップ加工して拡げるワイヤ・被加工物相対摺動手段である。 【0023】被加工物保持手段4は、インデックス盤10上に一対設けられ、それぞれフェルールWをチャック4aにより貫通把持し(図3参照)、図示しない転がり軸受等で支持されて回転自在の主軸構造をなしている。11は、上記被加工物保持手段4を回転駆動するためのモータで、このモータ11の回転がベルト12を介して被加工物保持手段4の主軸4bに伝達され、主軸4bはフェルールWを把持したまま回転するようになっている。なお、上記チャック4aの開閉は空圧作動により行われる。 【0024】上記インデックス盤10は、フェルールWをラップ加工のためにフェルールWの孔にワイヤ3を挿通するワイヤ挿通位置aと、フェルールWを被加工物保持手段4にセットしたり、ラップ加工済みのフェルールWを次のステーションに移すために取り外したりする被加工物供給・排出位置bとの間で180°ずつインデックス動作するようになっている。 【0025】ワイヤ3を巻き付けたワイヤリール5は、ワイヤ3を繰り出してラップ加工のために被加工物保持手段4側に供給する他、ラップ加工時にワイヤ3を繰り出し、巻き取り動作を繰り返してワイヤ3とフェルールWとに軸線方向の相対摺動を与えたり(ワイヤ・被加工物相対摺動手段9の一部)、ラップ加工終了後ワイヤ3を巻き取ってフェルールWの孔から引き抜いたりするものである。なお、このワイヤリール5は従来から周知のものである。 【0026】ワイヤ通し手段6は、一対のローラの間にワイヤ3の先端部を挟み込み、ローラを回転してワイヤ3をフェルールWの孔に貫通させるもので、ラップ加工中はローラをワイヤ3から離すようになっている。なお、このワイヤ通し手段6は従来から周知のものである。 【0027】テンション付与手段7は、ワイヤリール5から繰り出されたワイヤ3を巻き掛けるテンションプーリ7aと、このテンションプーリ7aを図の下方へ引っ張るバネ7bを有し、往復摺動するラップ加工中のワイヤ3に常にテンションを与えるものである。なお、このテンション付与手段7は従来から周知のものである。 【0028】研磨材供給手段8は、フェルトにオイルを混合したペースト状のダイヤモンドパウダーを含ませ、このフェルトをワイヤ3に側面から押し付けてダイヤモンドパウダーをワイヤ3の周囲に供給するものである。なお、この研磨材供給手段8は従来から周知のものである。 【0029】ワイヤ・被加工物相対摺動手段9は、この実施の形態では、ラップ加工中、ワイヤ3を繰り出し巻き取り動作を繰り戻す上記ワイヤリール5と、フェルールWをワイヤ3に対して相対回転させる被加工物保持手段4と、フェルールWを貫通したワイヤ3の先端部をグリッパ13でクランプしたまま、LMガイド(リニアモーションガイド)により案内されて上下に移動するワイヤトラバース装置14からなっている。上記ワイヤトラバース装置14は、ラップ加工中は、ベルト15により上記ワイヤリール5と同期して上下に駆動される。 【0030】図示は省略したが、図1のベース1の手前には、各孔ラップステーション2−1、2−2、‥‥の上記被加工物供給・排出位置bの間でフェルールWを搬送するステーション間搬送装置が設置されている。このステーション間搬送装置の搬送機構は周知のものであって、空圧あるいは機械的にフェルールWを把持し、被加工物供給・排出位置b間を往復搬送するものである。 【0031】なお、16は中間プーリである。ワイヤリール5から繰り出され、テンションプーリ7aを巻き掛けたワイヤ3は、更に、この中間プーリ16に巻き掛けられている。17はワイヤ3をガイドするワイヤガイド、18はワイヤ切断装置である。ワイヤ切断装置18は、ワイヤが磨耗したとき、磨耗した先端部分を切断するもので、これにより新しい部分のワイヤを繰り出し使用することができるものであるが、このワイヤ切断装置18は、この発明に直接関係していないので、詳しい説明は省略する。 【0032】以上のように構成される多段式微小孔加工装置の動作を、図4および図5を参照しながら、以下に説明する。 【0033】加工開始のときは、先ず、フェルール素材Wが第1工程の孔ラップステーション2−1の被加工物保持手段4にセットされ、チャックされる。すなわち、ステーション間搬送装置で搬送されてきたフェルール素材Wは、インデックス盤10の被加工物供給・排出位置bの被加工物保持手段4に受け渡され、インデックス盤10が180°インデックス動作して、被加工物保持手段4をワイヤ挿通位置aに位置させる。 【0034】次いで、フェルール素材Wの孔よりやや細い径のワイヤ3の先端部がワイヤ通し手段6によりフェルールWの孔に挿入され、孔を貫通する。貫通したワイヤ3の先端部は、ワイヤトラバース装置14のグリッパ13によりクランプされる。この状態で、ワイヤ3は、テンション手段7により適度のテンションを加えられている。(図4の「ワイヤ通し」) 【0035】フェルール素材Wが被加工物保持手段4により回転し、ワイヤ3がワイヤ・被加工物相対摺動手段9により往復摺動して、フェルール素材Wの孔とワイヤ3が相対摺動し、研磨材供給手段8により孔・ワイヤ間に介在させたダイヤモンドパウダーでフェルール素材Wの孔をラップする。これにより、孔径が1.5〜2μm程拡がる。(図4の「ラップ」) 【0036】ラップ加工が終了すると、ワイヤトラバース装置14のグリッパ13はワイヤ3を開放し、ワイヤリール5がワイヤ3を巻き取って、ワイヤ3をフェルール素材Wの孔から抜き取る。(図4の「ワイヤ抜き」) 【0037】この状態で、インデックス盤10が180°インデックス動作して(図4の「搬送(インデックス)」)、第1工程を終了して孔が拡がったフェルールWは、被加工物供給・排出位置bに戻され、ステーション間搬送装置の往復動作により、第2工程のステーション2−2に移動され(図4の「被加工物外し」)、また、未加工の新たなフェルール素材Wが第1工程のステーション2−1にセットされる。(図4の「次の被加工物セット」) 【0038】上記の第2工程では、第1工程よりも太いワイヤを使用して、フェルールWの孔との隙間を第1工程と同程度となるようにしてある。第2工程のステーション2−2でも、第1工程同様の動作によりラップ加工が行われ、フェルールWの孔が更に拡げられる。 【0039】このように、孔ラップステーション2−1、2−2、‥‥の工程を繰り返して、図5に示したように、孔ラップステーションN# 、N+1# 、N+2# 、‥で順次フェルールWの孔を拡げ、全体では、大きな削りシロのラップ加工で、所望の孔径のファイバ挿入孔に仕上げる。 【0040】最初のフェルールWが最終工程に入ったときは、全ての孔ラップステーション2−1、2−2、‥‥で平行して同時にラップ加工が進行することになり、以後も同時平行でラップ加工が継続する。ひとつのラップ工程の所要時間は、前後の搬送、セット時間を含めて20秒以下で済むから、20秒以下で1個の仕上がりとなり、生産性は従来より格段に向上している。 【0041】また、寸法精度のよいストレートのワイヤの使用と、フェルールひとつずつのラップ加工により、平均にラップされてフェルールの孔の縁のダレや孔ビツが発生せず、孔径のばらつきも1μm以下の高品質のフェルールを製造することができる。 【0042】次に、この発明の第2の実施形態を説明する。 【0043】図6では、複数の孔ラップステーション2、2、‥‥をインデックステーブル21に沿わせて環状に配置している。各孔ラップステーション2は、図2に示したものと同一の機能を持っているが、インデックス盤を使用せず、被加工物保持手段4は、インデックステーブル21上に配置され、図6の場合、インデックステーブル21の1/(孔ラップステーション数+1)回転ずつのインデックス動作により、隣りの孔ラップステーションに順次送られるようになっている。 【0044】フェルールWの供給と排出は、孔ラップステーションが欠けた分割位置に配置された被加工物給排ステーション22において行われる。すなわち、孔ラップステーション2のラップ工程中に、被加工物給排ステーション22には、図示省略の搬送装置のアームが移動してきて、完成したフェルールを取り出し、未加工のフェルール素材を供給する。 【0045】図7は、図6の多段式微小孔加工装置におけるタイミングチャートである。図6の多段式微小孔加工装置では、各孔ラップステーション2のワイヤ通し、ラップ、ワイヤ抜きのラップ工程の間に、インデックステーブル21のインデックス動作が行われることを示している。 【0046】このインデックステーブル型の多段式微小孔加工装置においても、図1のリニア型多段式微小孔加工装置と同様に、高精度のフェルールを加工することができる。図7のインデックステーブルの搬送(インデックス)の期間内にフェルールの給排を済まさなければならないから、ラップ加工とフェルールの給排を一部平行して処理できる図1のインデックス盤を用いるリニア型多段式微小孔加工装置よりも多少サイクルタイムが伸びることになるが、従来の微小孔加工装置よりもはるかに効率のよいフェルール製造が実現できる。 【0047】上述の実施の形態では、各ステーションで、同一のダイヤモンドパウダーの平均粒径のものを用いて、均一の削りシロとした場合について説明した。しかし、ダイヤモンドパウダーの平均粒径が大きければ、加工速度は大きくなり、孔の加工面は粗くなる。逆に、平均粒径が小さければ、加工速度は小さくなり、孔の加工面は細かくなる。そこで、最終仕上げのラップ工程では、平均粒径0.5μm程のダイヤモンドパウダーを用い、初めのラップ工程では、平均粒径5.0μm程のダイヤモンドパウダーを用いるというように、工程が進むに従い順次平均粒径を小さくし、削りシロも少なくしていくと、一層加工能率が向上して、加工精度を高くすることができる。 【0048】また、上述の実施の形態では、各ステーションに孔ラップステーションを配置した場合を説明した。しかし、微小孔ラップ加工では、削り屑が孔の中に残留する傾向があるので、そのために加工能率が低下したり、加工精度が劣化したりするおそれがある。そこで、図示は省略したが、ラップ加工した孔を洗浄する孔洗浄ステーションを、例えば、孔ラップステーションと交互に設置して、前工程のラップ工程と後工程のラップ工程の間に、あるいは、最終のラップ工程の次に、前工程のラップ工程で加工された被加工物の孔を洗浄する洗浄工程のステーションを設けることができる。このようにすると、ラップ加工能率が一層上がり、加工精度も一層向上することができる。 【0049】更に、ラップ工程とラップ工程の間に、あるいは、洗浄工程と次のラップ工程の間に、あるいは、また、最終のラップ工程の次や最終の洗浄工程の次に、孔に検査ゲージを通す孔径検査工程のステーションを設けることもできる。このようにすると、不良品の中間チェックができ、加工不良を早期に発見することができる。 【0050】上述の実施の形態では、ラップ工程が進むに従い、ワイヤ径を太くして孔径を拡げたが、この発明においては、各孔ラップステーションで同径のワイヤを用い、研磨材の平均粒径をラップ工程が進むに従い大きくしたり、異なる種類の研磨材を用いたり、被加工物とワイヤとの相対摺動速度を上げたり、ラップ時間を長くしても、あるいは、また、これらを組み合わせても、多段のラップ工程で被加工物の微小孔径を拡げていくことができる。 【0051】ワイヤ供給手段としては、上述のワイヤリールの他、複数本の短尺のワイヤを収容し、底部をテーパ状に絞ってワイヤを1本ずつコレットチャックでつかんで、ノック式シャープペンシルのように抜き出す形式の容器を用いることができる。 【0052】また、研磨材としては、オイルに混合したダイヤモンドパウダーの他、水溶性研削液に混合したダイヤモンドパウダー、オイルに混合したGC(グリーンカーボン)砥粒等を用いることができる。また、平均粒径が異なる2種以上の研磨粒を混合して研磨材として用いるようにしてもよい。2種以上の研磨粒を混合した研磨材は、その選択条件により、ラップ効率を上げたり、ラップ仕上げ面を向上したりすることがあり、粗ラップ工程や最終仕上げラップ工程に選択的に用いて有効なことがある。 【0053】なお、この発明における孔ラップステーション2、洗浄ステーション、孔径検査ステーションの配置は、上述のリニア配置や円周上配置で順に隣りのステーションに送るタイプに限るものではない。工程の状況により、ステーションをリニア配置、円周上配置のまま、あるいは、千鳥状、方形状等適宜の配置にし、適宜の送り順にすることもできる。しかし、上述の実施の形態や次に説明する実施の形態のように、互いに隣接配置される孔ラップステーションにおいて加工される被加工物の孔径の差が、互いに隣接しない孔ラップステーションにおいて加工される被加工物の孔径の差よりも小さくすれば、被加工物の搬送効率が最もよくなる。 【0054】この発明の微小孔加工において対象とする被加工物としては、フェルールに限るものではないが、ZrO2 その他のエンジニアリングプラスチック材やガラス材、ステンレス材等のフェルールの加工に好適である。 【0055】 【発明の効果】この発明によれば、上述したように、複数の孔ラップステーションで被加工物の孔にワイヤを貫通し、孔とワイヤとを相対摺動させながら、孔・ワイヤ間の研磨材で孔をラップ加工して、加工終了後次の孔ラップステーションに被加工物を移してラップ加工を加え、順次孔を拡げて所望の孔径に仕上げるようにしたから、複数の孔ラップステーションを同時に作動させて、高精度な微小孔加工を短いサイクルタイムで実現することができる。また、ひとつの孔ラップステーションにひとつの被加工物をセットし、あるいは、外径と素孔の心ずれのない複数の被加工物をひとつの孔ラップステーションにセットして、縁のダレ、孔ビツがない微小孔の加工が実現できる。ひとつの孔ラップステーションでの削りシロは少なくて済むから、ワイヤとしてストレートのワイヤを用いることができ、これも精度向上につながることになる。 【0056】最終仕上げのラップ工程で、初めのラップ工程に使用する研磨材よりも細かい平均粒径の研磨材を使用するようにすれば、初期ラップ工程で大きい平均粒径で削りシロを大きく取り、仕上げのラップ工程で細かい平均粒径で高精度のラップ加工ができ、高能率、高精度の微小孔加工が実現される。 【0057】前工程のラップ工程で加工された被加工物の孔を洗浄する孔洗浄工程を設ければ、孔の中に残った削り屑が洗い流されて、次工程のラップ加工の加工能率、加工精度が向上する。 【0058】更に、前工程のラップ工程で加工された被加工物の孔径を検査する孔径検査工程を設ければ、加工途中で加工不良を検知して不良品を排出したり、装置を停止して、加工不良原因の発見、対応処置を早期に実施できる。 【0059】また、ラップ加工中の被加工物を保持する被加工物保持手段が、孔にワイヤを通す前および孔からワイヤを抜いた後の被加工物を搬送する被加工物搬送手段を兼ねるようにしたり、更に、この被加工物搬送手段として、ワイヤ挿通位置と被加工物供給・排出位置との間でインデックス動作するインデックス盤を用い、あるいは、更に、被加工物供給・排出位置でラップ済みの被加工物を次工程の孔ラップステーションに搬送し、前工程からの被加工物を供給するステーション間搬送装置を備えれば、一連のラップ工程の自動化が実現できる。 【0060】また、複数の孔ラップステーションが円周上に等間隔に配置されており、被加工物保持手段が、インデックステーブル上に一円周上等間隔に配置されていて、インデックステーブルのインデックス動作により、隣りの孔ラップステーションに順次送られるようにしても、一連のラップ工程の自動化が実現できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002325 【氏名又は名称】セイコーインスツルメンツ株式会社 【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地
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| 【出願日】 |
平成13年9月5日(2001.9.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100069431 【弁理士】 【氏名又は名称】和田 成則
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| 【公開番号】 |
特開2003−71703(P2003−71703A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月12日(2003.3.12) |
| 【出願番号】 |
特願2001−269360(P2001−269360) |
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