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【発明の名称】 ギヤホーニング加工方法
【発明者】 【氏名】竹ノ下 明
【住所又は居所】島根県簸川郡斐川町大字上直江2139−5 清和鉄工株式会社内

【氏名】前野 秀夫
【住所又は居所】大阪府大阪狭山市東池尻4丁目1402−1 株式会社浅野歯車工作所内

【氏名】東 輝夫
【住所又は居所】大阪府大阪狭山市東池尻4丁目1402−1 株式会社浅野歯車工作所内

【氏名】隅田 敏昭
【住所又は居所】静岡県浜松市葵東1−13−1 本田技研工業株式会社浜松製作所内

【氏名】鈴木 宏
【住所又は居所】静岡県浜松市葵東1−13−1 本田技研工業株式会社浜松製作所内

【氏名】小野川 正己
【住所又は居所】静岡県浜松市葵東1−13−1 本田技研工業株式会社浜松製作所内

【要約】 【課題】一つの歯車の製造に要する時間の短縮化を図ることができ、かつ歯面の面粗度を確保できるギヤホーニング加工方法の提供。

【解決手段】熱処理したワークギヤをウォーム形の砥石による歯研をせずに内歯形のホーニング砥石で加工する方法であって、ホーニング砥石に対しワークギヤを該ワークギヤの半径方向にのみ移動させるプランジカットを行った後(範囲C)、ホーニング砥石に対しワークギヤを該ワークギヤの軸線方向および半径方向に交互または同時に移動させるコンベンショナルカットを行う(範囲D)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱処理したワークギヤをウォーム形の砥石による歯研をせずに内歯形のホーニング砥石で加工するギヤホーニング加工方法であって、前記ホーニング砥石に対し前記ワークギヤを該ワークギヤの半径方向にのみ移動させるプランジカットを行った後、前記ホーニング砥石に対し前記ワークギヤを該ワークギヤの軸線方向および半径方向に交互または同時に移動させるコンベンショナルカットを行うことを特徴とするギヤホーニング加工方法。
【請求項2】 前記プランジカット中に、前記ワークギヤの移動速度を複数段または無段に切り替えることを特徴とする請求項1記載のギヤホーニング加工方法。
【請求項3】 前記プランジカット中の前記ワークギヤの移動速度を、後側ほど遅くすることを特徴とする請求項2記載のギヤホーニング加工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用のトランスミッション等に使用される歯車の歯面の仕上げ加工を行うギヤホーニング加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用のトランスミッション等に使用される歯車のうち、騒音低減等の観点から特に高精度を要求される高精度歯車については、通常、歯切り工程、熱処理工程、ウォーム形の砥石による歯研工程、内歯形のホーニング砥石によるギヤホーニング工程を順に経て製造されるか、あるいは、歯切り工程、シェービング工程、熱処理工程、内歯形のホーニング砥石によるギヤホーニング工程を順に経て製造されるのが一般的である。ここで、ギヤホーニング加工に用いられる装置として、例えば、実開平4−67928号公報に開示されたもの等がある。
【0003】ところで、近年、一つの歯車の製造に要する時間の短縮化を図ることを目的として、歯切りの後、シェービング加工を行い、その後、熱処理したワークギヤを、ウォーム形の砥石による歯研をせずに内歯形のホーニング砥石で加工したり、あるいは、歯切りの後、シェービング加工をせずに熱処理したワークギヤを、ウォーム形の砥石による歯研をせずに内歯形のホーニング砥石で加工したりするギヤホーニング加工方法が試されつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようなギヤホーニング加工方法では、歯研という準仕上げ加工が省かれているため、当然のことながら、ギヤホーニングを行う前のワークギヤの精度が悪く、そのため、ギヤホーニングによる取り代を大きくせざるを得なかった。このように、大きい取り代に対し、従来と同様、ホーニング砥石に対しワークギヤを該ワークギヤの軸線方向および半径方向に交互に移動させるコンベンショナルカットで加工を行うと、加工時間が長くなり、一つの歯車の製造に要する時間の短縮化を十分に図ることができないという問題があった。このため、ホーニング砥石に対しワークギヤを該ワークギヤの半径方向にのみ移動させるプランジカットを行うことを試行したが、歯面の面粗度を確保できず、また、ホーニング砥石を部分的に使用することからホーニング砥石に脱落等を生じやすく連続加工ができないため、結局は一つの歯車の製造に要する時間の短縮化が十分に図れないという問題が生じた。
【0005】したがって、本発明は、一つの歯車の製造に要する時間の短縮化を図ることができ、かつ歯面の面粗度を確保できるギヤホーニング加工方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のギヤホーニング加工方法は、熱処理したワークギヤ(例えば実施形態におけるワークギヤ12)をウォーム形の砥石による歯研をせずに内歯形のホーニング砥石(例えば実施形態におけるホーニング砥石11)で加工する方法であって、前記ホーニング砥石に対し前記ワークギヤを該ワークギヤの半径方向にのみ移動させるプランジカットを行った後、前記ホーニング砥石に対し前記ワークギヤを該ワークギヤの軸線方向および半径方向に交互または同時に移動させるコンベンショナルカットを行うことを特徴としている。
【0007】このように、ホーニング砥石に対しワークギヤを該ワークギヤの半径方向にのみ移動させるプランジカットを行った後、ホーニング砥石に対しワークギヤを該ワークギヤの軸線方向および半径方向に交互または同時に移動させるコンベンショナルカットを行うため、すべての取り代をコンベンショナルカットで加工する場合に比して加工時間を短くでき、また、プランジカットの後にコンベンショナルカットを行うため、最終的な歯面の面粗度を確保でき、このコンベンショナルカット中のワークギヤの軸線方向移動でホーニング砥石の全体を使用しその脱落を防止できる。
【0008】本発明の請求項2記載のギヤホーニング加工方法は、請求項1記載の方法に関し、前記プランジカット中に、前記ワークギヤの移動速度を複数段または無段に切り替えることを特徴としている。
【0009】このように、プランジカット中に、ワークギヤの移動速度を複数段または無段に切り替えるため、例えば、後側ほど遅くなるように切り替えれば、粗プランジカットと仕上げプランジカットのように切り替えることができ、プランジカット全体の時間を短縮しつつプランジカットによる面粗度を確保することができる。
【0010】本発明の請求項3記載のギヤホーニング加工方法は、請求項2記載の方法に関し、前記プランジカット中の前記ワークギヤの移動速度を、後側ほど遅くすることを特徴としている。
【0011】このように、プランジカット中にワークギヤの移動速度の切り替えを、後側ほど遅くするため、粗プランジカットと仕上げプランジカットのように切り替えることができ、プランジカット全体の時間を短縮しつつプランジカットによる面粗度を確保することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態のギヤホーニング加工方法を図面を参照して以下に説明する。
【0013】本実施形態のギヤホーニング加工方法で用いられるギヤホーニング盤は、従来から用いられているギヤホーニング盤と同様の構成のものであり、図1はその構成を概略的に示すものである。ギヤホーニング盤は、ホーニング砥石11と、ワークギヤ12を支持しつつその送りを行うテーブル13と、ワークギヤ12をテーブル13に支持させるためのワーク軸14とを有している。
【0014】ホーニング砥石11は内歯形のものであり、ワークギヤ12は外歯形のものであって、ホーニング砥石11は、その内歯においてワークギヤ12の外歯と噛み合いつつ回転することにより、ワークギヤ12の外歯の歯面をホーニング加工する。
【0015】テーブル13は、ホーニング砥石11に対しワークギヤ12を該ワークギヤ12の半径方向に移動させる半径方向送りと、ホーニング砥石11に対しワークギヤ12を該ワークギヤ12の軸線方向に移動させるトラバース送りとが可能となっており、また、送りの速度を変更可能となっている。
【0016】次に、本実施形態のギヤホーニング加工方法を含む歯車製造工程を、図2に示す流れ図を参照して説明する。図2に示すように、歯車製造工程は、歯切り工程S1と、面取り工程S2と、熱処理工程S3と、ギヤホーニング工程S4とを有している。
【0017】「歯切り工程S1」予め旋削等の前工程を終えたワークギヤ12にホブ盤や形削り盤等で歯切りを行う。
【0018】「面取り工程S2」歯切り工程で歯切りされたワークギヤ12の歯に面取り盤で面取りを行う。
【0019】「熱処理工程S3」歯切り工程で歯切りされ面取り工程で面取りされたワークギヤ12を、シェービング加工をせずに熱処理する。
【0020】「ギヤホーニング工程S4」熱処理工程で熱処理されたワークギヤ12をウォーム形の砥石による歯研をせずに、図1に示すギヤホーニング盤を用いその内歯形のホーニング砥石11でホーニング加工する。このギヤホーニング工程が、最終仕上げ工程となる。
【0021】ギヤホーニング工程は、図3に太線で示すワークギヤ12の加工送りパターンで実行される。
【0022】ギヤホーニング工程は、1サイクル中に、ホーニング砥石11に対しワークギヤ12を該ワークギヤ12の半径方向にのみ送りつつホーニング加工するプランジカットを行った後、ホーニング砥石11に対しワークギヤ12を該ワークギヤ12の軸線方向および半径方向に交互に複数回ずつ送る、すなわちトラバース送りと半径方向送りとを交互に複数回ずつ行うコンベンショナルカットを行う。
【0023】しかも、上記プランジカット中に、ワークギヤ12の移動速度すなわち、半径方向送りの速度を複数段具体的には二段に切り替え、しかも、半径方向送りの速度を後段ほど遅くする。
【0024】すなわち、図3において、Aの四角の範囲がホーニング砥石11の大きさを模式的に示しており、また、下から上方向がワークギヤ12の半径方向送りの方向を、横方向がワークギヤ12の軸線方向送りの方向を示している。そして、Bはギヤホーニング工程における全取り代すなわち半径方向送りの加工のための全送りの範囲を、Cはプランジカットによる取り代すなわちプランジカットの半径方向送りの送りの範囲を、Dはコンベンショナルカットによる取り代すなわちコンベンショナルカットの半径方向送りの送りの範囲を、Eは、コンベンショナルカットのトラバース送りの送りの範囲をそれぞれ示している。
【0025】ここで、プランジカットの半径方向送りの送りの範囲Cは、プランジカットによる粗加工の取り代すなわちプランジカットの前段の粗加工の半径方向送りの送りの範囲Caと、プランジカットによる後段の仕上げ加工の取り代すなわちプランジカットの仕上げ加工の半径方向送りの送りの範囲Cbとに分けられている。すなわち、Cbの範囲での半径方向送りの送り速度は、Caの範囲の半径方向送りの送り速度に対して、速度が遅く設定されている。なお、プランジカットの全範囲Cにおいて、ワークギヤ12は、ホーニング砥石11の軸線方向のほぼ中央位置に配置される。
【0026】また、コンベンショナルカットの半径方向の送りの範囲Dは、同じ送り量となる範囲Daの複数回に分けられており、それぞれの前後にトラバース送りが実行されるようになっている。すなわち、プランジカット後に、ホーニング砥石11の範囲から一部出るまでワークギヤ12を一方向にEの範囲のほぼ10〜20%位の送り量トラバース移動させた後、軸線方向にDaの範囲で送り、ホーニング砥石11の範囲から一部出るまでワークギヤ12を逆方向にEの範囲でトラバース移動させた後、軸線方向にDaの範囲で送り、ホーニング砥石11の範囲から一部出るまでワークギヤ12を前記一方向にEの範囲でトラバース移動させ、このようにして、トラバース送りと半径方向送りとを交互に複数回ずつ行うようになっている。
【0027】以上のギヤホーニング加工方法を用いると、ホーニング砥石11に対しワークギヤ12を該ワークギヤ12の半径方向にのみ移動させるプランジカットを行った後、ホーニング砥石11に対しワークギヤ12を該ワークギヤ12の軸線方向および半径方向に交互に移動させるコンベンショナルカットを行うため、すべての取り代をコンベンショナルカットで加工する場合に比して加工時間を短くでき、また、プランジカットの後にコンベンショナルカットを行うため、最終的な歯面の面粗度を確保できて、さらに、このコンベンショナルカット中のワークギヤ12の軸線方向移動でホーニング砥石11の全体を使用しその脱落を防止できる。
【0028】したがって、一つの歯車の製造に要する時間の短縮化を図ることができ、かつ歯面の面粗度を確保できることになる。
【0029】しかも、プランジカット中にワークギヤ12の移動速度の切り替えを、後段ほど遅くなるように複数段行うため、粗プランジカットと仕上げプランジカットのように切り替えることができ、プランジカット全体の時間を短縮しつつプランジカットによる面粗度を確保することができ、その結果、コンベンショナルカット後の面粗度をさらに上げることができる。
【0030】なお、必要により、図4に示すように、プランジカット時のワークギヤ12の移動速度すなわち、半径方向送りの速度を、半径方向送りの送りの範囲Cの全体において一定としてもよい。この場合、プランジカットによる仕上げ加工(図3における範囲Cb)と同じ送り速度とするのがよい。
【0031】また、プランジカット中にワークギヤ12の移動速度の切り替えを、後側ほど遅くなるように無段で行うようにしてもよい。
【0032】さらに、コンベンショナルカットにおいて、トラバース送りと半径方向送りとを同時に行うようにしてもよい。すなわち、プランジカット後に、ホーニング砥石11の範囲から一部出るまでワークギヤ12を一方向にトラバース移動させると同時に軸線方向に送った後、ホーニング砥石11の範囲から一部出るまでワークギヤ12を逆方向にトラバース移動させると同時に軸線方向に送り、このようにして、トラバース送りと半径方向送りとを同時に行いながらトラバース送りの方向の反転を複数回行うのである。
【0033】以上においては、歯切りの後、シェービング加工をせずに熱処理したワークギヤを、ウォーム形の砥石による歯研をせずに内歯形のホーニング砥石で加工する場合を例にとり説明したが、歯切りの後、シェービング加工を行い、その後、熱処理したワークギヤを、ウォーム形の砥石による歯研をせずに内歯形のホーニング砥石で加工する場合にも適用可能である。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の請求項1記載のギヤホーニング加工方法によれば、ホーニング砥石に対しワークギヤを該ワークギヤの半径方向にのみ移動させるプランジカットを行った後、ホーニング砥石に対しワークギヤを該ワークギヤの軸線方向および半径方向に交互または同時に移動させるコンベンショナルカットを行うため、すべての取り代をコンベンショナルカットで加工する場合に比して加工時間を短くでき、また、プランジカットの後にコンベンショナルカットを行うため、最終的な歯面の面粗度を確保でき、このコンベンショナルカット中のワークギヤの軸線方向移動でホーニング砥石の全体を使用しその脱落を防止できる。
【0035】したがって、一つの歯車の製造に要する時間の短縮化を図ることができ、かつ歯面の面粗度を確保できることになる。
【0036】また、本発明の請求項2記載のギヤホーニング加工方法によれば、プランジカット中に、ワークギヤの移動速度を複数段または無段に切り替えるため、例えば、後側ほど遅くなるように切り替えれば、粗プランジカットと仕上げプランジカットのように切り替えることができ、プランジカット全体の時間を短縮しつつプランジカットによる面粗度を確保することができ、その結果、コンベンショナルカット後の面粗度を上げることができる。
【0037】本発明の請求項3記載のギヤホーニング加工方法によれば、プランジカット中にワークギヤの移動速度の切り替えを、後側ほど遅くするため、粗プランジカットと仕上げプランジカットのように切り替えることができ、プランジカット全体の時間を短縮しつつプランジカットによる面粗度を確保することができ、その結果、コンベンショナルカット後の面粗度を上げることができる。
【出願人】 【識別番号】501343259
【氏名又は名称】清和鉄工株式会社
【住所又は居所】島根県簸川郡斐川町大字上直江2139−5
【識別番号】000148324
【氏名又は名称】株式会社浅野歯車工作所
【住所又は居所】大阪府大阪狭山市東池尻4丁目1402番地の1
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成13年8月30日(2001.8.30)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外5名)
【公開番号】 特開2003−71701(P2003−71701A)
【公開日】 平成15年3月12日(2003.3.12)
【出願番号】 特願2001−262229(P2001−262229)