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【発明の名称】 細孔加工方法およびその装置
【発明者】 【氏名】村木 光郎
【住所又は居所】長野県北安曇郡池田町大字池田2081−1 黒田精工株式会社長野工場内

【要約】 【課題】ワイヤの捩れをなくして細孔から成る貫通孔を有する部品の細孔を効率よく加工する細孔加工方法およびその装置を提供することにある。

【解決手段】細孔から成る貫通孔が形成された複数のワークを一定方向に並べるとともに、前記複数のワークの細孔にワイヤを挿通し、前記複数のワークを回転させながら前記ワイヤを一方向または往復走行させることにより前記複数のワークの細孔を加工するに際し、隣り合う前記複数のワークを互いに逆方向に回転させることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 細孔から成る貫通孔が形成された複数のワークを一定方向に並べるとともに、前記複数のワークの細孔にワイヤを挿通し、前記複数のワークを回転させながら前記ワイヤを一方向または往復走行させることにより前記複数のワークの細孔を加工するに際し、隣り合う前記複数のワークを互いに逆方向に回転させることを特徴とする細孔加工方法。
【請求項2】 細孔から成る貫通孔が形成された複数のワークを個別に回転自在に把持する保持装置と、隣り合う前記保持装置を互いに逆方向に回転させる回転装置と、前記複数のワークの細孔に挿通される研磨用ワイヤと、前記ワイヤを一方向または往復走行させる駆動装置とから成ることを特徴とする細孔加工装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば光ファイバコネクタ用フェルールのように細孔から成る貫通孔を有する部品の細孔加工方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバコネクタ用フェルールは、光ファイバ端末部を固定して光ファイバ同士の光結合を適正にするためのもので、例えばジルコニア等のセラミックス素材に貫通穴を射出成形で最初から形成しておき、研磨仕上げしたり、ドリル加工で貫通孔を形成することが行われている。後者の場合はドリルの摩耗が激しいこと、加工時間がかかること等で実用的でない(例えば、特開平5−66320号公報、特開2001−47345号公報、)。
【0003】また、前者の場合、複数個のセラミックス素材から成るフェルール材を数珠つなぎ状に取り付け、その細孔へ、研磨材を外周にコーティングした研磨用ワイヤを一方向あるいは往復走行させることにより加工(研磨、ラッピング)することが行われている(例えば、特開平5−113523号公報、特開平6−51162号公報、特開平6−118278号公報、特開平6−143036号公報、特開平10−6194号公報、特開平11−48105号公報、特開平6−143036号公報、特開2000−343391号公報)。
【0004】また、フェルールを一定方向に回転させながら研磨用ワイヤを一方向あるいは往復走行させることにより加工することが行われている(例えば、特開平5−113523号公報、特開2000−343391号公報)。その例を第3図に示す。この細孔加工装置は、ワイヤロール1に巻装された研磨用ワイヤ2を、ホルダ3に保持した複数のフェルールW1〜W4の細孔a内に挿通させた後、巻取モータ4により巻き取るように構成されている。
【0005】また、ホルダ3は回転自在になっており、モータMと連結されている。この細孔加工装置によれば、モータMによりホルダ3を介してフェルールW1〜W4が回転されるとともに、巻取モータ4で研磨用ワイヤ2が一定速度で巻き取られることになり、研磨用ワイヤ2の外周面でホルダ3に装着されたフェルールW1〜W4の細孔aの加工が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この細孔加工装置では、ホルダ3が一定方向に回転させられているため、研磨材とフェルールW1〜W4との加工抵抗により研磨用ワイヤ2が捩れてしまったりして、精密加工に不具合を生じてしまう欠点があった。本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、ワイヤの捩れをなくして細孔から成る貫通孔を有する部品の細孔を効率よく加工する細孔加工方法およびその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、細孔から成る貫通孔が形成された複数のワークを一定方向に並べるとともに、前記複数のワークの細孔にワイヤを挿通し、前記複数のワークを回転させながら前記ワイヤを一方向または往復走行させることにより前記複数のワークの細孔を加工するに際し、隣り合う前記複数のワークを互いに逆方向に回転させることを特徴とする。請求項2に係る発明は、細孔から成る貫通孔が形成された複数のワークを個別に回転自在に把持する保持装置と、隣り合う前記保持装置を互いに逆方向に回転させる回転装置と、前記複数のワークの細孔に挿通されるワイヤと、前記研磨用ワイヤを一方向または往復走行させる駆動装置とから成ることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明に係る細孔加工方法の一実施形態を示す(請求項1に対応する)。本実施形態に係る細孔加工方法を説明する。先ず、細孔から成る貫通孔12が形成された4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dを、それぞれの貫通孔12の位置を同軸方向に揃えて並べる。ここで、貫通孔12は、例えば、光ファイバまたは光ファイバ素線を挿入するための孔であり、その孔径は適用されるタイプにより異なるが、例えば、SC型と呼ばれるフェルールではφ0.126mm、深さ10mmとされている。
【0009】次に、各フェルール11a,11b,11c,11dの貫通孔12に研磨材を外周にコーティングした研磨用ワイヤ13を挿通する。次に、各フェルール11a,11b,11c,11dを回転させながら研磨用ワイヤ13を一方向または往復走行させることにより各フェルール11a,11b,11c,11dの貫通孔12を加工する。
【0010】この際、各フェルール11a,11b,11c,11dは、隣り合う各フェルール11a,11b,11c,11dの回転が互いに逆方向に回転するように図示しない回転装置により回転される。研磨用ワイヤ13による加工が終了すると、研磨用ワイヤ13の走行が停止されるとともに、回転装置による各フェルール11a,11b,11c,11dの回転が停止される。
【0011】以上のように、本実施形態によれば、研磨用ワイヤ13を挿通させた各フェルール11a,11b,11c,11dが夫々逆方向に回転させられているため、研磨用ワイヤ13にコーティングされた研磨材と各フェルール11a,11b,11c,11dの貫通孔12との加工抵抗が各フェルール11a,11b,11c,11dへ加わっても研磨用ワイヤ13が捩れてしまうことがないので、各フェルール11a,11b,11c,11dに必要な精度を充分与えることができる。
【0012】また、フェルール11a,11b,11c,11dの加工時に研磨用ワイヤ13が捩れることがないので、研磨用ワイヤ13自体の寿命が延び、長期な加工が可能になる。なお、上記実施形態では、4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dの貫通孔12の加工方法について説明したが、フェルール(ワーク)の数は任意であり、本発明はこれに限定するものではない。
【0013】また、研磨材を外周にコーティングした研磨用ワイヤ13を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ラッピングペーストなどを塗布したワイヤを用いても良い。なお、研磨用ワイヤ13は、テーパワイヤとすることが望ましい。図2は、本発明に係る細孔加工装置の一実施形態を示す(請求項2に対応する)。
【0014】本実施形態に係る細孔加工装置20は、細孔から成る貫通孔12が形成された4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dを個別に回転自在に把持する保持装置21a,21b,21c,21dと、隣り合う保持装置21a,21b,21c,21dを互いに逆方向に回転させる2個のモータ22,23と、4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dの貫通孔12に挿通される研磨用ワイヤ24と、研磨用ワイヤ24を一方向または往復走行させる巻取モータ25とから成る。
【0015】保持装置21a,21b,21c,21dは、4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dにそれぞれ取り付けられた公知のチャックである。保持装置21a,21cは、フェルール11a,11cを右方向に回転するようにモータ22に連絡している。
【0016】保持装置21b,21dは、フェルール11b,11dを左方向に回転するようにモータ23に連絡している。研磨用ワイヤ24は、ロール30に巻装され、位置出しローラ31、ワイヤ送り出しローラ32,32を介して4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dの貫通孔12内に挿通され、ワイヤ回収ローラ33,33、位置出しローラ34を介して巻取モータ25に巻き取られるようになっている。
【0017】次に、斯くして構成された本実施形態に係る細孔加工装置20による作用を説明する。先ず、4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dに保持装置21a,21b,21c,21dをそれぞれ取り付ける。各フェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dは、それぞれの貫通孔12が同一軸線上に並ぶように保持装置21a,21b,21c,21dを介して図示しない支持装置にそれぞれ取り付けられる。
【0018】次に、ロール30に巻装された研磨用ワイヤ24を引き出し、位置出しローラ31、ワイヤ送り出しローラ32,32を介して4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dの貫通孔12内に挿通する。フェルール(ワーク)11dの貫通孔12から挿出する研磨用ワイヤ24は、ワイヤ回収ローラ33,33、位置出しローラ34を介して巻取モータ25に巻き取られる。
【0019】次に、モータ22,23および巻取モータ25を駆動し、研磨用ワイヤ24を矢印方向へ巻き取りながら、隣り合う4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11d同士を逆回転(反転)させる。これによって、研磨用ワイヤ24が下降し、その外周面で4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dの各貫通孔12が加工される。
【0020】研磨用ワイヤ24による加工が終了すると、モータ22,23および巻取モータ25の駆動を停止する。以上のように、本実施形態によれば、研磨用ワイヤ24を挿通させた4個のフェルール(ワーク)11a,11b,11c,11dが夫々逆方向に回転させられているため、研磨用ワイヤ24にコーティングされた研磨材と各フェルール11a,11b,11c,11dの貫通孔12との加工抵抗が各フェルール11a,11b,11c,11dへ加わっても研磨用ワイヤ24が捩れてしまうことがないので、各フェルール11a,11b,11c,11dは必要な精度を充分得ることができる。
【0021】また、フェルール11a,11b,11c,11dの加工時に研磨用ワイヤ24が捩れることがないので、研磨用ワイヤ24自体の寿命が延び、長期な加工が可能になる。なお、上記実施形態では、研磨用ワイヤ24が一定方向へ走行する場合について説明したが、巻取モータ25を往復動できるモータとして往復走行させるようにしても良い。
【0022】また、上記実施形態では、保持装置21a,21b,21c,21dを2つのモータ22,23による回転駆動するようにしたが、1つの駆動モータを利用して隣り合うチャックが反転するようにしても、また、保持装置21a,21b,21c,21dごとに駆動モータを設けても良い。また、研磨用ワイヤ24の走行方向は、縦方向または横方向の何れでも良い。
【0023】また、研磨材を外周にコーティングした研磨用ワイヤ13を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ラッピングペーストなどを塗布したワイヤを用いても良い。なお、研磨用ワイヤ13は、テーパワイヤとすることが望ましい。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、ワイヤを挿通させる各ワークが夫々逆方向に回転させられているため、研磨材、ラッピングペーストなどとワークとの加工抵抗が各ワークへ加わってもワイヤが捩れてしまうことがなくなり、各ワークに必要な精度を施すことができる。また、加工時にワイヤの捩れが起こらないので、ワイヤ自体の寿命が延び、長期な加工が可能になる。
【出願人】 【識別番号】000170853
【氏名又は名称】黒田精工株式会社
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区下平間239番地
【出願日】 平成13年9月4日(2001.9.4)
【代理人】 【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
【公開番号】 特開2003−71699(P2003−71699A)
【公開日】 平成15年3月12日(2003.3.12)
【出願番号】 特願2001−267397(P2001−267397)