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【発明の名称】 ウエハーの研磨装置
【発明者】 【氏名】中島 誠
【住所又は居所】長野県長野市松代町清野1650番地 不二越機械工業株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下面にてウエハーを保持する保持プレートを、上面に研磨面を有する定盤に押圧することにより、該研磨面にウエハー表面を当接させ該ウエハー表面に所定の荷重を与えつつ、ウエハーと定盤とを相対的に運動させウエハー表面を鏡面研磨するウエハーの研磨装置において、下方に向けて開放する凹部を有し、該凹部内に前記保持プレートを、脱落しないように支持する支持部材と、保持プレートの外周面と前記凹部の内周面との間に配設され、該保持プレートの水平方向の移動を微小範囲内で許容するリング状の弾性部材と、前記凹部内面と保持プレートとの間に亘って固定され、前記保持プレートを上下方向及び水平方向に微小範囲内で移動可能に吊持する板状の弾性部材と、該板状の弾性部材により画成された前記凹部の密閉空間と、該密閉空間に所定圧力の流体を供給する流体の供給手段とを具備することを特徴とするウエハーの研磨装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウエハーの研磨装置に関し、さらに詳細には、下面にてウエハーを保持する保持プレートを、上面に研磨面を有する定盤に押圧することにより、該研磨面にウエハー表面を当接させ該ウエハー表面に所定の荷重を与えつつ、ウエハーと定盤とを相対的に運動させウエハー表面を鏡面研磨するウエハーの研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の半導体装置の高集積化に伴い、シリコンウエハーの高い等厚度及び平坦度が要求されている。この要求を満たすには、シリコンウエハーを研磨する際の保持プレートと定盤との平行度を高精度に保つ必要がある 従来、上記の如く高精度のウエハーを加工するため、図3に示すようなウエハーの研磨装置が使用されている。このウエハーの研磨装置によれば、保持プレート90が、球面軸受91を介して回転軸部材92によって支持されている。すなわち、回転軸部材92に固定された球面軸受91の凹球面91aに、保持プレート90上面に突設された凸球面90aが滑動自在に嵌入されており、保持プレート90は定盤の傾斜に追随して自在に傾斜することができ、これにより、高い平行度及び平坦度を維持しつつウエハー93の表面を鏡面研磨することができる。
【0003】しかしながら、上記従来のウエハーの研磨装置によれば、球面軸受91の凹球面91aに対して、保持プレート90上面の凸球面90aが滑る際に摩擦力が働くため、保持プレート90が、定盤の傾斜等に素早く追随することが困難であった。また、保持プレート90の上面が半球状に突起した凸球面90aに形成され、部材としての剛性が高くなっているため、保持プレート90の外周部においても、該保持プレート90の中央部に負荷される上方からの荷重が分散して作用できるものの、保持プレート90に保持されたウエハーの表面全面について等圧の荷重を負荷することはできないという課題がある。このため、非常に高精度な等厚度及び平坦度を要求されるウエハーの加工を能率良く行うことは難しいという課題があった。
【0004】そこで、本発明の目的は、定盤研磨面の傾斜に対して好適に追随することができると共に、ウエハーの表面全面に等圧の荷重を好適に負荷することのできる荷重装置を具備するウエハーの研磨装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。すなわち、本発明のウエハーの研磨装置によれば、下面にてウエハーを保持する保持プレートを、上面に研磨面を有する定盤に押圧することにより、該研磨面にウエハー表面を当接させ該ウエハー表面に所定の荷重を与えつつ、ウエハーと定盤とを相対的に運動させウエハー表面を鏡面研磨するウエハーの研磨装置において、下方に向けて開放する凹部を有し、該凹部内に前記保持プレートを、脱落しないように支持する支持部材と、保持プレートの外周面と前記凹部の内周面との間に配設され、該保持プレートの水平方向の移動を微小範囲内で許容するリング状の弾性部材と、前記凹部内面と保持プレートとの間に亘って固定され、前記保持プレートを上下方向及び水平方向に微小範囲内で移動可能に吊持する板状の弾性部材と、該板状の弾性部材により画成された前記凹部の密閉空間と、該密閉空間に所定圧力の流体を供給する流体の供給手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明のウエハーの研磨装置によれば、リング状の弾性部材と板状の弾性部材によって、上下方向及び水平方向に微少範囲内で移動可能に支持部材に支持された保持プレートが、圧力流体の圧力によって定盤の研磨面側へ押圧される。このため、保持プレートの下面に保持されたウエハーが定盤の研磨面に当接・押圧される際には、上記圧力流体が作用し、ウエハーは研磨面の傾斜に素早く追随することができる。また、板状の弾性部材により画成された支持部材の凹部の空間に、高圧流体が供給されるため、保持プレートの上面に等圧の圧力を与えることができる。これにより、保持プレートの下面に保持されたウエハーが定盤の研磨面に当接・押圧される際には、ウエハーの表面全面に等圧の荷重を負荷することのできる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明にかかるウエハーの研磨装置の一実施例を示す要部断面図であり、図2は図1の実施例のウエハーの研磨装置にかかる駆動機構等を示す断面図である。10は保持プレートであり、下面11にてシリコンウエハー1に当接し、そのシリコンウエハー1を吸着して保持することができる。この保持プレート10には、下面に開口する複数の連通孔12が設けられており、図1に示すように保持プレート10内部の上記連通孔12の上端において水平方向に設けられた連通空間14によって相互に連通している。この連通空間14は連結部材16を介して吸引管18に連通されている。図1に示すように、連結部材16はO−リング19を介して吸引管18に気密・嵌合されており、この連結部材16が保持プレート10にO−リング17を介して気密・嵌入されている。これにより、吸引管18と保持プレート10との間に若干の自由度を残しつつ、連通空間14と吸引管18とが連通されている。
【0008】図2に示す20は定盤であり、通常、上面に研磨布が貼着されており、これによってシリコンウエハー1の表面を研磨する研磨面22が形成されている。この研磨面22には、スラリーを含む研磨液が供給され、保持プレート10の下面に保持されたシリコンウエハー1表面がその研磨面22に所定の荷重を与えられつつ当接・押圧されると共に、シリコンウエハー1と定盤20とを相対的に運動させることでシリコンウエハー1表面を鏡面研磨することができる。また、定盤20の回転方向は、通常、シリコンウエハー1を下面に保持する保持プレート10の回転と同方向に回転可能に設けられており、回転軸のズレと相互の回転数の違いによりシリコンウエハー1表面と研磨面22とが相対的に運動されることによって、シリコンウエハー1の表面が鏡面研磨される。
【0009】24は支持部材であり、下方に向けて開放する凹部26を有し、この凹部26を形成する外周側壁部の端部全周に設けられた突条状の係止部26a等によって、凹部26内から保持プレート10が脱落しないように、該保持プレート10を支持することができる。この支持部材24には、中心軸に沿って棒状の回転軸部28が、上方に向かって設けられている。この回転軸部28には、軸心線に沿って貫通孔30が貫通されており、この貫通孔30に前記吸引管18が嵌入されている。貫通孔30の径は、吸引管18の外形よりも一回り大きく形成されており、この貫通孔30内壁と吸引管18の外壁との間隙が、高圧流体である圧縮空気の連通路32となっている。
【0010】34はリング状の弾性部材であり、例えばゴム等により成形されたO−リング状の部材からなる。このリング状の弾性部材34は、保持プレートの外周面10aと前記凹部の内周面24aとの間に双方に当接するように配設され、保持プレート10の水平方向の移動を微小範囲内で許容している。これによってシリコンウエハー1が研磨される際に発生する水平方向の作用力を好適に吸収することができる。36はリング状の規制部材であり、支持部材24の前記凹部26に内嵌している。このリング状の規制部材36は、例えば保持プレート10に損傷を与えないようにデルリン等の樹脂材料によって形成されており、保持プレート10が凹部26内で所定の範囲内よりも水平方向に移動しないよう保持プレート10の移動を規制する。
【0011】38は板状の弾性部材であり、例えば硬質のゴム板材によってドーナツ状に成形されており、前記凹部26内面と保持プレート10の上面との間に亘って固定され、保持プレート10を上下方向及び水平方向に微少範囲内で移動可能に吊持している。図1に示すように、この板状の弾性部材38が凹部26内面に固定される位置は、凹部26周縁部全周に設けられた段部24bであり、この段部24b表面に板状の弾性部材38の外縁部近傍の上面が当接され、固定プレート40によって挟まれ、ネジ42により締付られることで気密・固定されている。また、板状の弾性部材38の内縁部近傍の下面が保持プレート10の上面に当接され、上記外縁部近傍を固定する固定手段と同様に気密・固定されている。すなわち、板状の弾性部材38の外周部で支持部材24側に、その内周部で保持プレート10側に気密・固定され、板状の弾性部材38の板面が水平となるように配設さている。
【0012】50は密閉空間であり、支持部材24の凹部に、上記板状の弾性部材38によって画成されて形成された空間である。なお、保持プレート10の上面における板状の弾性部材38と当接可能な部位は、図1に示すようにシリコンウエハー1の外径と略同径程度に設けれられており、これに伴い密閉空間50もシリコンウエハー1の外径よりも若干大きく広がっている。この密閉空間50は前記圧縮空気の連通路32に連通しており、シリコンウエハー1の表面を定盤20の研磨面22に当接させた際に、この密閉空間50内に圧縮空気が導入されると、支持部材24上面の略全面に均一な圧力が負荷される。これにより、所望の圧力によってシリコンウエハー1の表面をその全面に均等な荷重を負荷しつつ、定盤20の研磨面22に押圧することができる。このとき、密閉空間50に充填された圧縮空気は流体であるため、保持プレート10の全面を均等に押圧し、シリコンウエハー1の表面を定盤20の研磨面22の傾斜に素早く追随させることができる。
【0013】図2に示すように、52はベース部材であり、保持プレート10によって保持されるシリコンウエハー1を定盤20の研磨面22上へ供給し、また、その研磨面22から排出するべく移動可能に、かつ、保持プレート10を支持する支持部材24を回転可能に支持している。54は係止部であり、図2の図面上では支持部材24の回転軸部28の上部に設けられ上下部がフランジ状に形成されており、シリンダ装置56のロッド57に固定されたアーム部58に回転及びスラスト方向の軸受を介して係止されている。これにより、支持部材24はシリンダ装置56によって上方に吊持された状態にある。また、支持部材24は、その回転軸部28が、ベース部材52に対して回転可能に設けられた回転伝達部材60に、スラスト軸受62を介して嵌入されており、これにより、ベース部材52に対して上下方向に移動可能にガイドされている。このため、支持部材24は、シリンダ装置56の駆動によって所定の範囲内で上下動可能となっている。
【0014】64は駆動モータであり、ピニオンギア66及び従動ギア68を介して、その従動ギア68がキー69によって連結された回転伝達部材60を回転させる。なお、この回転伝達部材60は、ベース部材52との間に配設された回転軸受53によって、ベース部材52に対して回転可能に設けられている。70はキー部であり、回転伝達部材60と一体に形成されており、回転軸部28に設けられたキー溝72に係合している。これにより、支持部材24は回転伝達部材60と共に回転することができる。なお、キー溝72は軸線に沿って縦長に形成されており、前述したように支持部材24がシリンダ装置56によって上下方向に移動されても、キー部70とキー溝72との係合状態は維持できる。
【0015】74は低圧源連結ポートであり、真空発生源と連通するための連結ポートである。また、76は高圧源連結ポートであり、圧縮空気発生源と連通するための連結ポートである。78はシール部材であり、上記の低圧源連結ポート74には吸引管18が好適に連通し、高圧源連結ポート76には圧縮空気の連通路32が好適に連通するようにケース部79と回転軸部28とを好適に気密している。なお、80はO−リングであり、回転軸部28と吸引管18との間を気密している。
【0016】以上の構成からなるウエハーの研磨装置に関して、図1と共にその作用効果について説明する。先ず、吸引管18に連通する真空発生源により、連通空間14及び連通路12内を減圧することにより、シリコンウエハー1を保持プレート10の下面に吸引して保持する。その状態で、ベース部材52を移動させることによりシリコンウエハー1を定盤20の上方まで搬送し、さらに、シリンダ装置56によって、支持部材24を下方に下げることにより、シリコンウエハー1の表面を定盤20の研磨面22に当接させる。
【0017】次に、所定の圧力の圧縮空気を密閉空間50に導入することによって、シリコンウエハー1の表面を研磨面22に所望の圧力で押圧することができる。このとき、圧縮空気は流体であるから保持プレート10の全面を均等に押圧して、シリコンウエハー1の表面を研磨面22の傾斜に素早く追随させることができる。また、圧縮空気によって保持プレート10の上面全面に均等な圧力を負荷することができる。このため、シリコンウエハー1の表面が研磨面22の傾斜に追随した状態においても、シリコンウエハー1の表面全面を研磨面22に均等な圧力で押圧することができる。
【0018】そして、上記の如く好適にシリコンウエハー1に荷重が負荷された状態で、定盤20の研磨面22上にスラリーを供給しつつ、定盤20が回転すると共に駆動モータ64の動力により支持部材24が回転されて、シリコンウエハー1が鏡面研磨される。このとき、本発明の研磨装置によれば、シリコンウエハー1を研磨する際に生ずる研磨面22の傾斜等による上下動の変位に対しては、密閉空間50に充填された圧縮空気と主に板状の弾性部材38とが作用して好適に追随することができる。そして、シリコンウエハー1に作用する水平方向への作用力に関しては、板状の弾性部材38及びリング状の弾性部材34によって好適に吸収することができる。
【0019】さらに、支持部材24と保持プレート10とは、板面が水平に配設された板状の弾性部材38によって連結されているため、シリコンウエハー1の水平面上の回転による捩じれ力によっても、平面に直交する方向の力により発生する歪み量に比べその歪み量は非常に小さく抑えることができる。このため、荷重が負荷された状態にあっても、支持部材24の回転に保持プレート10の回転を好適に追随させてシリコンウエハー1を回転させることができると同時に、上述の如く定盤20の傾斜に素早く追随できる。なお、リング状の弾性部材34によっても保持プレート10の水平方向の移動が規制されており、板状の弾性部材38と相乗効果的に保持プレート10の捩じれ等の変位を規制しつつ、シリコンウエハー1の表面を定盤20の傾斜等に素早く追随できるのである。以上に説明してきた実施例では、圧縮空気によって保持プレート10を介してシリコンウエハー1を研磨面に押圧する場合を説明したが、他の流体圧例えば油圧を利用することもできる。以上、本発明の好適な実施例について種々述べてきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内でさらに多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【0020】
【発明の効果】以上の構成を具備するウエハーの研磨装置によれば、保持プレートの下面に保持されたウエハーが定盤の研磨面に当接・押圧される際、リング状の弾性部材と、板状の弾性部材、及び該板状の弾性部材により画成された支持部材の凹部の密閉空間に供給される高圧流体との作用により、ウエハー表面は研磨面の傾斜に素早く追随できると共に、そのようにウエハー表面が研磨面の傾斜に追随した状態においても、ウエハーの表面全面を研磨面に均等な圧力で押圧できる。このため、本発明ウエハーの研磨装置によれば、ウエハーの高い等厚度及び平坦度を維持しつつウエハー表面を好適に鏡面研磨することができるという著効を奏する。
【出願人】 【識別番号】000236687
【氏名又は名称】不二越機械工業株式会社
【住所又は居所】長野県長野市松代町清野1650番地
【出願日】 平成4年10月12日(1992.10.12)
【代理人】 【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫 (外1名)
【公開番号】 特開2003−25220(P2003−25220A)
【公開日】 平成15年1月29日(2003.1.29)
【出願番号】 特願2002−189408(P2002−189408)