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【発明の名称】 ウエーハ研磨装置
【発明者】 【氏名】藤田 隆
【住所又は居所】東京都三鷹市下連雀9丁目7番1号 株式会社東京精密内

【要約】 【課題】ウエーハをリテーナリング内の定められた位置に安定して保持し、研磨中であってもウエーハがその位置を変えることがなく、ウエーハエッジ部近傍の研磨形状の制御性や安定性を向上させることのできる研磨装置を提供すること。

【解決手段】ウエーハキャリア14を、キャリア本体22と、ウエーハWに押圧力を伝達するメンブレン32と、該メンブレン32にエアー圧を供給するバックプレート24と、メンブレン32を周囲で保持するリテーナリング26とから構成し、前記ウエーハキャリア14には更に前記リテーナリング26とは別に、ウエーハWの外周に近接してウエーハWの径方向の動きを規制するガイド30を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ウエーハキャリアで保持したウエーハをスラリーを供給しながら研磨パッドに押圧して研磨するウエーハ研磨装置において、前記ウエーハキャリアは、キャリア本体と、前記ウエーハに押圧力を伝達するメンブレンと、該メンブレンにエアー圧を供給するバックプレートと、メンブレンを周囲で保持するリテーナリングとから構成され、前記ウエーハキャリアには更に前記リテーナリングとは別に、ウエーハの外周に近接してウエーハの径方向の動きを規制するガイドが設けられていることを特徴とするウエーハ研磨装置。
【請求項2】前記ガイドは、前記メンブレンに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウエーハ研磨装置。
【請求項3】前記リテーナリングの前記研磨パッドに接触する面は、硬質で対摩耗性の大きい材質で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエーハ研磨装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は研磨装置に関し 特に化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polising)によるウエーハ研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体技術の発展により、デザインルールの微細化、多層配線化が進み、またコスト低減を進める上においてウエーハの大口径化も進行してきている。その一方で、ウエーハ内においては、チップ取得可能な領域を更に拡大するために、CMP装置での研磨工程における研磨均一性評価の領域も、ウエーハエッジ部近傍まで広がってきている。とりわけ最近では、ウエーハ全域における研磨均一性評価に際し、エッジ部近傍の研磨形状が研磨均一性の評価に与える影響が大きく、安定した研磨均一性を確保するには、ウエーハエッジ部近傍の研磨形状の制御性、安定性が必要不可欠となってきた。
【0003】このような要求に対応するために、薄膜材料であるメンブレンを介してウエーハに押圧力を与える方法が用いられている。これは、メンブレンの上部に配置されたバックプレートの下面の複数位置からエアを吹き付てけエアーフロートを形成し、メンブレンを介してウエーハの裏面から均等圧力で押圧することにより、均一性の向上を図っているものである。この研磨加工中は、ウエーハがその径方向に移動するのを規制するため、ウエーハの外周部外側にリテーナリングが配置されている。ところがこのリテーナリングの内径は、ウエーハを安定して内嵌するためにウエーハ外形より1〜2mm程大きく、余裕を持たせて作られている。しかし、今後のウエーハエッジ部研磨形状の制御性向上や安定化を考えると、この1〜2mm程度の余裕が大きな問題になる。以下にその内容を説明する。図4は、下部に研磨装置の平面図を、上部に部分拡大断面図を示している。研磨をしていない状況下では、ウエーハはリテーナリングの中央部に定在しているのであるが、一旦研磨が始まると図4に示すように、リテーナリング内においてウエーハが研磨パッドとの摩擦力によって研磨パッドが動いていく方向にすべり、リテーナリングの内壁に押付けられる。研磨パッドがリテーナリング側からウエーハ側へ運動する場所をウエーハ上におけるリーディングエッジ(Leading Edge)と称し、研磨パッドがウエーハ側からリテーナリング側へ運動する場所をウエーハ上におけるトレイリングエッジ(Trailing Edge )と称することにすると、研磨中、リーディングエッジ側とトレイリングエッジ側とでは、リテーナリングとウエーハとの隙間に明確な差ができる。即ちリーディングエッジ側は隙間が大きくなり、トレイリングエッジ側では隙間が小さくなる。しかし、ウエーハ全面を均一に研磨するために、ウエーハを保持しているウエーハキャリアを回転させることによってウエーハを回転させているので、ある瞬間にリーディングエッジ側とトレイリングエッジ側とで隙間差が生じても、次の瞬間、ウエーハキャリアは夫々の隙間差を保ちながら回転移動する。そこでまた、研磨の摩擦力がウエーハとメンブレンとの摩擦力より大きくなった瞬間に、ウエーハとメンブレンとの間にすべりが生じ、ウエーハがリテーナリング内壁に押込まれ、これが断続的に繰り返される。このような状態で研磨が進行する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように研磨中にウエーハがリテーナリング内で不規則に動くような研磨状況では、ウエーハエッジ部近傍の研磨形状の制御性向上や安定性確保は非常に困難になる。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ウエーハをリテーナリング内の定められた位置に安定して保持し、研磨中であってもウエーハがその位置を変えることがなく、ウエーハエッジ部近傍の研磨形状の制御性や安定性を向上させることのできる研磨装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するために、ウエーハキャリアで保持したウエーハをスラリーを供給しながら研磨パッドに押圧して研磨するウエーハ研磨装置において、前記ウエーハキャリアは、キャリア本体と、前記ウエーハに押圧力を伝達するメンブレンと、該メンブレンにエアー圧を供給するバックプレートと、メンブレンを周囲で保持するリテーナリングとから構成され、前記ウエーハキャリアには更に前記リテーナリングとは別に、ウエーハの外周に近接してウエーハの径方向の動きを規制するガイドが設けられていることを特徴とし、前記ガイドは、前記メンブレンに形成されていることを特徴としている。更に前記リテーナリングの前記研磨パッドに接触する面は、硬質で対摩耗性の大きい材質で構成されていることを特徴としている。
【0007】請求項1に記載の発明によれば、リテーナリングとは別に、ウエーハの外周に近接してウエーハの径方向の動きを規制するガイドが設けられているので、研磨中であってもウエーハがその位置を変えることがなくウエーハエッジ部近傍の研磨形状の制御性や安定性を向上させることができる。
【0008】請求項2に記載の発明によれば、ウエーハの径方向の動きを規制するガイドが前記メンブレンに形成されているので、メンブレンの弾力性によってウエーハ外径寸法のばらつきを吸収し、ウエーハを定位置に保持できる。
【0009】請求項3に記載の発明によれば、更に前記リテーナリングの前記研磨パッドに接触する面が、硬質で対摩耗性の大きい材質で構成されているので、リテーナリングの研磨パッドへの当接面の摩耗が少ない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係る研磨装置の好ましい実施の形態について詳説する。尚各図において、同一の部材については同一の番号又は記号を付している。
【0011】図1は、ウエーハ研磨装置10の全体構成を示す斜視図である。同図に示すウエーハ研磨装置10は、主として研磨定盤12とウエーハキャリア14とで構成される。研磨定盤12は、回転軸16に連結されたモータ18を駆動することにより回転する。また、研磨定盤12の上面には、研磨パッド20が貼付され、研磨パッド20上に図示しないノズルからスラリが供給される。
【0012】ウエーハキャリア14は、図2に示すように、主としてキャリア本体22、バックプレート24、バックプレート用エアーバッグ40、リテーナリング26、リテーナ用エアーバッグ42、ガイド30、及びメンブレン32等から構成される。
【0013】キャリア本体22は円盤状に形成され、その上面中央に回転軸36が連結される。キャリア本体22は、この回転軸36に連結された図示しないモータの駆動で回転する。
【0014】バックプレート24は、円盤状に形成され、キャリア本体22の下部中央に配置される。このバックプレート24のメンブレン32と対向する下面には押圧プレート24Aが設けられ、その外周に複数のエア吹出口24B、24B、…が同心円上に所定の間隔で形成されている。エア吹出口24B、24B、…はエアーライン64に接続されており、キャリア本体22に取付けられた不図示のロータリージョイントを介してレギュレータR3 を経由してエアーポンプPに連結されている。
【0015】ウエーハW外周の外側に配置されたリテーナリング26は、リテーナ本体26A、メンブレン32の表面に当接する当接リング27、メンブレンをクランプする保持リング28とクランプリング29、等からなり、ウエーハWにバックプレート24からの押圧力を伝えるメンブレン32は保持リング28と円周上複数個に分割されているクランプリング29とで挟持されている。このメンブレン32には、ウエーハWを外径部近傍で支えるガイド30が一体的に形成されている。図3は、リテーナリング26、ガイド30、及びウエーハWの位置関係を示している。図3(a)は全体の位置関係を表わし、図3(b)は図3(a)におけるC部の拡大図である。図3に示すように、ウエーハWの径方向の動きを規制するガイド30は、断面三角形のテーパ形や内側一辺が曲線で結ばれたテーパ形のリング状で、ウエーハWを内嵌しやすい形状をなしている。またガイド30の開口部はウエーハWの外径よりも僅かに大きくなっており、ガイド30内に収められたウエーハWは径方向に動かないようになっている。このガイド30はメンブレン32の下面にメンブレン30と同材質で一体に形成されている。また、このメンブレン32を挟持した保持リング28及びクランプリング29は、リテーナ本体26Aと当接リング27との間にはめ込まれ、上からネジ27Aで当接リング27に引き上げられている。リテーナ本体26Aの研磨パッド20と接触する面には、摩耗を少なくするためにセラミックス、SiC(炭化珪素)、SiN(窒化珪素)、DLC(Dia Like Carbon )コート等の硬質材26Bが埋め込まれている。
【0016】キャリア本体22とリテーナリング26、及びリテーナリング26とバックプレート24とは、夫々図示しない係止手段によって互いに回り止めがなされているので、キャリア本体22が回転することによりリテーナリング26及びバックプレート24がキャリア本体22と一緒に回転するようになっている。
【0017】キャリア本体22には、ゴムシート34が取付けリング38、39を介してネジ止めされており、キャリア本体22とゴムシート34とでバックプレート24を押圧するバックプレート用エアーバッグ40、及びリテーナリング26を押圧するリテーナ用エアーバッグ42を形成している。バックプレート用エアーバッグ40及びリテーナ用エアーバッグ42はどちらもキャリア本体22に取付けられた不図示のロータリージョイントを介して、一方はエアーライン60にてレギュレータR1 を経由してエアーポンプPに、他方はエアーライン62にてレギュレータR2 を経由してエアーポンプPに夫々接続されている。
【0018】次に、このように構成されたウエーハキャリア14の作用について説明する。先ず、ウエーハWは、ウエーハキャリア14のリテーナリング26に取付けられたメンブレン32の下面に保持される。メンブレン32にはウエーハWの外径よりも僅かに大きいガイド30が形成されているので、ウエーハWはそのガイド30の中央に内嵌される。この時ウエーハWの外径にばらつきがあっても、ガイド30及びガイド30と一体のメンブレン32は弾力性を有しているので、そのばらつき分を吸収してくれる。この状態でウエーハWの加工面を回転する研磨パッド20に当接し、メンブレン32を介して加工圧を与えると共に自転する。この時ウエーハWは、研磨パッド20の回転によって移動しようとするが、ガイド30によって径方向に支持されているので動くことがなく安定している。なお、研磨パッド20の加工部近傍には図示しないノズルからスラリーが供給され、スラリーに含まれる薬品による化学的作用と、研磨パッド20の機械的作用との複合作用によりウエーハWが研磨される。
【0019】次に、加工に当たってウエーハWへの加工圧の付与について説明する。図2に示すように、エアーポンプPで発生した圧縮エアがエアーライン64のレギュレータR3 で圧力調整され、バックプレート24の押圧プレート24Aに設けられた吹出口24Bから噴射し、押圧プレート24Aとメンブレン32との空隙46でエアーフロートを形成してメンブレン32を介してウエーハWを押圧する。一方エアーライン60のレギュレータR1 で圧力調整された圧縮エアは、バックプレート用エアーバッグ40を膨張させてバックプレート24全体を押圧する。即ちバックプレート24全体に加えられた加工圧が、バックプレート24の押圧プレート24Aに設けられた吹出口24Bから噴射された圧力エアー層を介してメンブレンに伝えられ、更にメンブレンからウエーハWに伝えられる。このためウエーハWに凹凸があっても、また厚さのばらつきがあっても、均一な加工圧がウエーハWの加工面に伝えられる。また、バックプレート24の押圧プレート24Aに設けられた吹出口24Bを押圧プレート24Aの外周部だけでなく、中央部にも複数設け、外周部と中央部の吹出口を夫々独立したエアーラインで独立したレギュレータを介してエアーポンプPに接続してもよい。このように構成することにより、ウエーハWの中央部と外周部とで押圧力を別々に調整することができる。次にレギュレータR2 で圧力調整された圧縮エアは、エアーライン62を経由してリテーナ用エアーバッグ42を膨張させてリテーナリング26に押圧力を加える。リテーナリング26は、ウエーハWが異常な力によって径方向に動いてウエーハキャリア14から飛び出してしまうのを規制する他、研磨パッド20を押付けて研磨パッド20の表面の波うちを抑え、表面を安定させる効果も有している。
【0020】次にウエーハWに直接接触してバックプレート24からの押圧力を伝えるメンブレン32の張力を調整する手段について説明する。メンブレン32は、バックプレート24の押圧プレート24Aに形成された吹出口24Bから噴射されたエアによる圧力エアー層で形成されたエアー動圧分布をウエーハWに伝達するのに十分な可撓性があり、且つ適度な剛性を必要としている。このため、樹脂材料、ゴム材料若しくは樹脂をコーティングした薄い金属材料等が用いられる。例えばPETシート、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリイミドシート、ウレタンシート、PFT、PTFE等のテフロン(登録商標)系シート、クロロプレンゴムやニトリルゴム等のゴムシート、樹脂コーティングした極薄(100μm以下)のSUSシート等が適用できる。このメンブレン32の張力を調整する手段は、図2に示すように、リテーナリング26を構成している当接リング27、メンブレン32を保持している保持リング28とクランプリング29、及びネジ27Aとからなっている。メンブレン32を保持している保持リング28の内径部に当接リング27が挿入され、複数のネジ27A、27A、…で保持リング28を引き上げている。この複数のネジ27A、27A、…を閉めこむことにより、メンブレン32の上面が当接リング27に当接したままメンブレン32の端部が引き上げられるので、メンブレン32の張力が高まる。従って、ネジ27A、27A、…の締め付け力の強弱によってメンブレン32の張力を調整することができる。
【0021】次に、ウエーハWのエッジ部近傍の厚さ制御における重要な要素であるメンブレン32の下面とリテーナリング26の下面との段差を調整するリテーナ突出し量調整手段について説明する。リテーナ突出し量調整手段は、図2に示すように、リテーナリング26を構成しているリテーナ本体26Aと当接リング27及びシム27C、複数のネジ27B、27B、…からなっている。当接リング27は、シム27Cを介して複数のネジ27B、27B、…によってリテーナ本体26に固定されている。リテーナ突出し量は、当接リング27のメンブレン32に接触する面とリテーナ本体26Aの下面との距離に相当するので、リテーナ突出し量を調整する場合は、シム27Cを弾性体で構成し、複数のネジ27B、27B、…の締付け力の強弱で調整することができる。あるいは、シム27Cを剛体で構成し、シム27Cの厚みを調整してネジ27B、27B、…で固定してもよい。
【0022】以上に説明した本発明における実施の形態では、ウエーハWを径方向に支持するガイド30をメンブレン32に形成したが、これに限らずその他適宜の部位に設けてもよい。またガイド30を断面三角形のリング状で説明したが、断面形状はこれに限るものではない。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ウエーハキャリアにリテーナリングとは別に、ウエーハの外周に近接してウエーハの径方向の動きを規制するガイドが設けられているので、研磨中に摩擦力によってウエーハがその位置を移動することがなくウエーハエッジ部近傍の研磨形状の制御性や安定性を向上させることができる。更に前記リテーナリングの前記研磨パッドに接触する面が、硬質で対摩耗性の大きい材質で構成されているので、リテーナリングの研磨パッドへの当接面の摩耗が少ない。
【出願人】 【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
【住所又は居所】東京都三鷹市下連雀9丁目7番1号
【出願日】 平成13年7月13日(2001.7.13)
【代理人】 【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
【公開番号】 特開2003−25218(P2003−25218A)
【公開日】 平成15年1月29日(2003.1.29)
【出願番号】 特願2001−213579(P2001−213579)