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【発明の名称】 旋削加工システム
【発明者】 【氏名】別府 征二
【住所又は居所】兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内

【氏名】藤田 憲
【住所又は居所】兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内

【氏名】衣笠 利行
【住所又は居所】兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内

【氏名】金生 尚志
【住所又は居所】神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三菱重工業株式会社神戸造船所内

【氏名】山田 孝信
【住所又は居所】神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三菱重工業株式会社神戸造船所内

【氏名】金岡 正和
【住所又は居所】神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三菱重工業株式会社神戸造船所内

【要約】 【課題】旋削加工において、精度よく被加工物を旋削加工する。

【解決手段】被加工物21はNC旋盤部11によって所定の形状に旋削加工される。旋削加工の都度、レーザセンサ12(発光部)によって被加工物に対してレーザ光が発光され、レーザセンサコントローラ13はレーザセンサ(受光部)で受光された受光光に応じて被加工物の外形寸法計測値を求める。パソコン14では、外形寸法計測値を少なくとも被加工物に付着した油膜に応じて規定された油膜補正値で補正して補正後旋削指令値を生成して、この補正後旋削指令値に応じてNC旋盤部11を制御して被加工物を旋削加工する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被加工物を旋削加工する際に用いられる旋削加工システムであって、前記被加工物を旋削加工する都度前記被加工物の外形寸法を計測して計測値を求める計測手段と、前記計測値を少なくとも前記被加工物に付着した油膜に応じて規定された油膜補正値で補正して補正後旋削指令値を生成する指令値生成手段とを有し、前記補正後旋削指令値に応じて前記被加工物を旋削するようにしたことを特徴とする旋削加工システム。
【請求項2】 前記計測手段は、レーザ光を出射する発光部と前記レーザ光を受光光として受光する受光部とを備えるレーザセンサと、前記レーザ光の一部が前記被加工物で遮られて前記受光部で前記受光光として受光された際、前記レーザ光の幅と前記受光光の幅とに基づいて前記計測値を求めるコントローラとを有することを特徴とする請求項1に記載の旋削加工システム。
【請求項3】 さらに前記被加工物の表面温度を計測して計測表面温度を得る温度センサを有し、前記指令値生成手段は前記計測表面温度と前記被加工物の線膨張率とに基づいて求められた温度補正値で前記計測値を補正して前記補正後旋削指令値を生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の旋削加工システム。
【請求項4】 前記温度補正値は前記計測値−(前記計測表面温度+室温)/前記線膨張率で求められることを特徴とする請求項3に記載の旋削加工システム。
【請求項5】 前記指令値生成手段は前記被加工物の表面粗さに応じて設定された表面粗さ補正値に応じて前記計測値を補正して前記補正後旋削指令値を生成するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の旋削加工システム。
【請求項6】 前記表面粗さ補正値は前記被加工物の送り量をf(mm/1回転)、旋削工具の刃先の半径をrとした際、f/8rで求められる理論粗さであり、前記指令値生成手段は前記理論粗さを前記計測値に加算して前記計測値を補正するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の旋削加工システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被加工物を旋削加工する際に用いられるシステムに関し、特に、NC(数値制御)旋削加工を行う際、旋削状況に応じて加工条件を補正して被加工物を旋削加工するためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、旋削加工(例えば、NC旋削加工)を行う際には、複数の工程に分けて被加工物を旋削加工しており、例えば、試し削り、粗加工(疎加工)、中加工、及び仕上げ加工の順に被加工物を旋削加工している。旋削加工の際には、被加工物に対して種々の外的要因(外乱)が作用する結果、予め設定した加工条件に応じて被加工物を旋削加工しても、その加工精度が所望の精度とならないことが多い。このため、各工程が終了する都度その旋削精度を計測して、計測結果に応じて加工条件を補正するようにしている。
【0003】従来、旋削精度を計測する際には、例えば、オペレータ等がマイクロメーター等を用いて各工程が終了する都度、被加工物の旋削加工形状(加工精度)を計測して、その計測結果に応じて加工条件等を補正するようにしている。
【0004】さらに、各工程が終了する都度、被加工物の外形寸法(旋削加工形状)を自動的に計測して、この計測結果に応じて、例えば、NC旋削機制御部が被加工物の加工条件を補正して、被加工物を補正後の加工条件に基づいて旋削加工することも行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のようにして、被加工物の加工精度を計測して、その計測結果に応じて加工条件を補正しても、計測精度がよくないと、結果的に補正後の加工条件に悪影響を及ぼすことなる。
【0006】例えば、前述のように、オペレータ等がマイクロメーター等を用いて旋削形状を計測した際には、不可避的に計測精度にバラツキが生じてしまい、所望の計測精度を得ることが難しい。しかも、旋削形状を精度よく計測するには熟練が必要となる。
【0007】さらに、被加工物の旋削加工形状を計測する際には、外乱として、被加工物の温度、表面粗さの程度、及び被加工物に付着した油膜等があり、このような外乱を考慮して旋削加工形状を計測しないと、加工条件を精度よく補正することができず、この結果、被加工物を所定の旋削加工形状に加工することが困難となってしまう。
【0008】例えば、図面精度±2.5μmの旋削加工精度を確保するためには、±25μm程度の計測精度が必要となる。従って、前述の外乱が計測精度に与える影響を無視することはできない。
【0009】このような外乱を考慮して、従来の旋削加工システムにおいては、被加工物を所望の旋削加工精度で加工する際には、熟練オペレータ等が旋削加工形状を計測して、この計測結果に応じて加工条件を補正しなければならず、不可避的に、旋削加工時間が長くなって、加工コストがアップしてしまうという課題がある。
【0010】本発明の目的は、精度よく被加工物を旋削加工することのできる旋削加工システムを提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は加工コストが低減できる旋削加工システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、被加工物を旋削加工する際に用いられる旋削加工システムであって、前記被加工物を旋削加工する都度前記被加工物の外形寸法を計測して計測値を求める計測手段と、前記計測値を少なくとも前記被加工物に付着した油膜に応じて規定された油膜補正値で補正して補正後旋削指令値を生成する指令値生成手段とを有し、前記補正後旋削指令値に応じて前記被加工物を旋削するようにしたことを特徴とする旋削加工システムが得られる。
【0013】このようにして、少なくとも油膜に応じた油膜補正値に基づいて外形寸法計測値を補正するようにしたから、精度よく被加工物の外形寸法を求めることができる。さらに、このようにして補正された外形寸法に応じて補正後旋削指令値を生成するようにしたから、精度よく被加工物を旋削加工することができる。
【0014】例えば、前記計測手段は、レーザ光を出射する発光部と前記レーザ光を受光光として受光する受光部とを備えるレーザセンサと、前記レーザ光の一部が前記被加工物で遮られて前記受光部で前記受光光として受光された際前記レーザ光の幅と前記受光光の幅とに基づいて前記計測値を求めるコントローラとを有している。
【0015】さらに、前記被加工物の表面温度を計測して計測表面温度を得る温度センサを備えて、前記指令値生成手段が前記計測表面温度と前記被加工物の線膨張率とに基づいて求められた温度補正値で前記計測値を補正して前記補正後旋削指令値を生成するようにしてもよい。
【0016】このようにすれば、旋削加工によって被加工物の表面温度が上昇することによる誤差を補正することができ、より精度よく被加工物を旋削加工することができる。
【0017】例えば、前記温度補正値は前記計測値−(前記計測表面温度+室温)/前記線膨張率で求められる。
【0018】また、前記指令値生成手段が前記被加工物の表面粗さに応じて設定された表面粗さ補正値に応じて前記計測値を補正して前記補正後旋削指令値を生成するようにしてもよい。
【0019】このようにして、表面粗さ補正値で外形寸法計測値を補正すれば、表面粗さに起因する計測誤差を補正することができ、さらに精度よく被加工物を旋削加工することができる。
【0020】例えば、前記表面粗さ補正値は前記被加工物の送り量をf(mm/1回転)、旋削工具の刃先の半径をrとした際、f/8rで求められる理論粗さであり、前記指令値生成手段は前記理論粗さを前記計測値に加算して前記計測値を補正する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。なお、以下の説明では、被加工物を円柱形状に旋削加工する例をあげて説明するが、円柱形状に旋削加工する場合に限らず、被加工物をその断面が対象となるように旋削加工する場合にも適用することができる。
【0022】図1を参照して、図示の旋削加工システムは、NC旋盤部11、レーザセンサ(レーザスリットセンサ)12、レーザセンサコントローラ13、及びパソコン(NC旋盤制御部)14を備えており、後述するようにして、NC旋盤部11ではパソコン14から与えられる加工条件指令値に応じて被加工物21を旋削加工して、例えば、円柱状の加工物とする(旋削加工の際には、粗加工(疎加工)、中加工、及び仕上げ加工の各工程順に旋削加工が行われる)。パソコン14には、予め加工条件(設定加工条件)が設定されており、パソコン14は設定加工条件に基づいてNC旋盤部11に加工条件指令値を送出して旋削加工を行う。そして、この設定加工条件は、後述するようにして、計測された補正値によって補正される。
【0023】被加工物21を旋削加工する際には、例えば、各工程が終了する都度、被加工物21の加工精度が計測される。図示の例では、レーザセンサ12を用いて被加工物21の加工精度(加工形状)が計測される。
【0024】図2を参照して、図示の例では、旋削加工システムは第1及び第2のレーザセンサ12a及び12bを有しており、第1及び第2のレーザセンサ12a及び12bはそれぞれ発光部111及び112と受光部121及び122を有している。発光部111及び112は第1のセンサ移動機構(図示せず)に搭載されており、図中、実線矢印で示す方向に、発光部111及び112は第1のセンサ移動機構によって移動される。同様にして、受光部121及び122は第2のセンサ移動機構(図示せず)に搭載されており、受光部121及び122は発光部111及び112と同期して第2のセンサ移動機構によって移動される。
【0025】NC旋盤部11のバイト11aによって被加工物21を旋削して、一工程が終了すると、被加工物21の外形寸法(外径)が計測される。被加工物21の外形寸法を計測する際には、レーザコントローラ13によって発光部111及び112が駆動されて、発光部111及び112からの光(レーザ光)をそれぞれ受光部121及び122で受光する。受光部121及び122は受光光をそれぞれ第1及び第2の受光光としてレーザコントローラ13に与える。そして、レーザコントローラ13では、第1及び第2の受光光に基づいて、後述するようにして、被加工物21の外形寸法(外径)を求める。この計測外径はパソコン14に与えられ、パソコン14では、計測外径に基づいて設定加工条件を補正して、補正後の設定加工条件に基づいてNC旋盤部11を制御することになる。
【0026】上述のようにして、レーザセンサ12a及び12bで計測された外形寸法(計測結果)に基づいて、パソコン14は設定加工条件を補正するが、この際、被加工物21の温度、表面粗さによる誤差、及び被加工物に付着した油膜等の外乱を考慮して設定加工条件の補正が行われる。
【0027】旋削加工を行うと、不可避的に、被加工物21の表面温度が上昇する。この際、被加工物21の中心付近の温度は表面温度とは異なっている(中心付近の温度の方が一般的に低い)。被加工物21の表面温度を計測するため、図2に示すように、被加工物21の近傍には温度センサ(例えば、赤外線センサ)22が配置されている。温度センサ22で計測された被加工物21の表面温度(計測表面温度)はパソコン14に与えられ、パソコン14は計測表面温度に応じて外形寸法を室温(例えば、20℃)における外形寸法に補正する。
【0028】いま、被加工物21の材質がステンレス鋼(SUS304)であるとし、外径がφ60〜φ340であるとすると、ステンレス鋼の熱伝導率(100℃)は16.3(W/m・℃)、線膨張率(0〜100℃)は17.3(10−6・℃)であるから、外径(計測表面温度)−中心(室温:計測値)間を、例えば、直線補間した温度分布として温度補正値を求める。簡便な手法としては、{計測表面温度+中心温度(室温:計測値)}/2=平均温度として温度補正値を求めるようにしてもよい。ここでは、平均温度に基づいて温度補正値を求めることにすると、温度補正値=計測外径−{計測表面温度+中心温度(室温:計測値)}/2・17.3・10−6となる。
【0029】さらに、被加工物21の表面状態による計測誤差補正を行う。レーザセンサで計測した計測値(外径)は、マイクロメーターで計測した値よりも小さく現れる傾向がある。このことは、旋削(切削)後の被加工物21の表面粗さに起因している。いま、被加工物21の送りをf(mm/1回転)で表し、刃先の半径をr(mm)で表すと、理論粗さRmax=f/8rで表される。そして、実際の粗さと理論粗さとの比を求めると(実際の粗さ/理論粗さ)、約2倍となる。よって、レーザセンサで計測された計測値(外径)に理論粗さを加えて計測誤差補正を行うことになる。
【0030】また、旋削加工においては、不可避的に切削油が被加工物21に付着する。このため、切削油付着による計測誤差を補正する必要がある。一般に、被加工物21の外径寸法を計測する際には、油膜を最小限にするために、被加工物21に対してエアーブローが行われる。エアーブロー圧力と油膜が最小限となる時間との関係は、切削油の種類によって異なり、切削油の種類毎に、エアーブロー圧力と油膜が最小限となる時間が予め試験的に求められている。そして、切削試験を複数回行って除去されなかった油膜に関する補正値値を切削油の種類毎に求めておく。
【0031】図3を参照すると、いま、被加工物の加工面がドライであると、マイクロメーターで計測した計測値(外形寸法)を基準計測値とすると、レーザセンサで計測した計測値は基準計測値よりも小さくなるがドライよりも若干大きくなる(図3(a))。同様に、被加工物の加工面が水溶性物で覆われていると、レーザセンサで計測した計測値は基準計測値よりも小さくなる(図3(b))。一方、被加工物の加工面が油性物(例えば、油性切削油)で覆われていると、レーザセンサで計測した計測値は基準計測値よりも大きくなる(図3(b))。このように、被加工物の加工面が切削油で覆われていると、レーザセンサで計測した計測値は基準計測値よりも大きくなるから、切削試験を複数回行って、マイクロメーターによって計測した計測値とレーザセンサで計測した計測値との誤差を求めて、例えば、その平均値を油膜補正値とする。
【0032】ここで、図2及び図4を参照して、いま、粗加工(疎加工)、中加工、及び仕上げ加工の各工程順に被加工物21を旋削加工するとすると、パソコン14には各工程毎に加工条件が設定されており(例えば、粗加工条件、中加工条件、仕上げ加工条件)、各加工条件には加工後の外形寸法が含まれている。なお、各工程はさらに複数のステップに区分されるかもしれない。
【0033】まず、粗加工が開始されると(S1)、パソコン14では粗加工条件に応じてNC旋盤部11を制御して被加工物21を旋削する。粗加工が一旦終了とすると(S2)、第1及び第2の移動機構によってレーザセンサ12a及び12bが所定の位置に移動されて、粗加工後の被加工物(以下粗加工物と呼ぶ)21の外形寸法が計測される(S3)。
【0034】ここで、図5を参照して、いま、発光部111及び発光部112から出射されたレーザ光の幅をA、発光部111及び112間のストローク(発光部111から出射されるレーザ光の下側(又は上側)と発光部112から出射されるレーザ光の下側(又は上側)との間隔)をL、受光部121で受光された受光光(第1の受光光)の幅をA1、受光部122で受光された受光光(第1の受光光)の幅をA2とすると、計測外形寸法DmはDm=(A−A1)+(A−A2)+(L−A)=L+A−(A1+A2)となる。
【0035】再び、図2及び図4を参照して、上述のようにして、レーザコントローラ13では、計測外形寸法Dmを計測して、計測外形寸法Dmをパソコン14に与える。パソコン14では計測外形寸法Dmに応じて補正後粗加工指令値Dhを生成する(S4)。
【0036】いま、パソコン14に設定された粗加工条件中の設定外形寸法(設定粗外形寸法)をD0とすると、パソコン14は、補正後粗加工指令値Dh=(Dm−(D0×α×(t−室温)−B1−B2−B3−D0)×βとして、補正後粗加工指令値Dhを求める。ここで、αは線膨張率であり、例えば、SUS304の場合には、線膨張率α1=17.3×10−6が与えられ、SS400の場合には、線膨張率α2=11.7×10−6が与えられる。tは温度センサ22で計測された計測表面温度であり、室温としては、例えば、20℃が設定される。B1は前述した油膜補正値であり、B2はレーザセンサ12a及び12bの位置決め補正値である(前述のように、外形寸法を計測する際には、レーザセンサ12a及び12bが移動される関係上、計測の都度レーザセンサ12a及び12bの位置がずれることがある。従って、複数回の試験的旋削を行って位置ずれ誤差を平均してこの平均値を位置決め補正値(初期誤差補正値)とする)。B3はその他の補正値(誤差)であり、必要に応じて設定される。また、βは係数であり、設定粗加工指令値(設定粗加工外形寸法)が直径寸法を表している際には、β=1.0、設定粗加工指令値が半径寸法を表している際には、β=0.5とする。なお、前述の表面粗さによる計測誤差補正値は、設定粗外形寸法(設定粗加工指令値)D0に含まれている。
【0037】上述のようにして、補正後粗加工指令値Dhを求めた後、パソコン14は補正後粗加工指令値Dh>許容値であると(S5:必ず補正後粗加工指令値Dh≧0である。つまり、補正後粗加工指令値Dh<0となることはない)、パソコン14は補正後粗加工指令値Dhに基づいてNC旋盤部11を制御して再び粗加工を実行する(S1を実行する)。そして、粗加工が終了すると、前述のようにして、被加工物21の外形寸法が計測されて、再びパソコン12では計測外形寸法に基づいて補正後粗加工指令値を求める。そして、補正後粗加工指令値Dh>許容値であれば、再びS1に戻る。一方、補正後粗加工指令値Dhが許容値以下であれば、中加工に進む(S6)。
【0038】中加工においても、粗加工と同様にして、中加工が終了すると(S7)、外形寸法が計測されて、補正後中加工指令値が求められる(この際には、設定中加工指令値が用いられる:S8)。そして、補正後中加工指令値が許容値以下となるまで、粗加工と同様にして中加工が行われることになる。補正後中加工指令値が許容値以下となると(S9)、仕上げ加工に進む(S10)。
【0039】仕上げ加工においても、粗加工と同様にして、仕上げ加工が終了すると(S11)、外形寸法が計測されて、補正後仕上げ加工指令値が求められる(この際には、設定仕上げ加工指令値が用いられる:S12)。そして、補正後仕上げ加工指令値が許容値以下となるまで、粗加工と同様にして仕上げ加工が行われることになる。補正後仕上げ加工指令値が許容値以下となると(S13)、旋削加工が終了する。
【0040】このようにして、被加工物の外形寸法を計測して、この計測外形寸法を表面温度補正値、表面粗さ補正値、及び油膜補正値で補正するようにしたから、被加工物の外形寸法を精度よく求めることができ、この結果、被加工物を精度よく旋削加工することができるばかりでなく、加工コストを低減することができることになる。
【0041】上述の例では、レーザセンサの位置決め補正値も用いているがこの補正値は必ずしも必要なく、例えば、レーザセンサを固定しておけば、この補正値は不要となる。また、表面温度補正値、表面粗さ補正値、及び油膜補正値のうち計測誤差に最も寄与するのは油膜補正値であり、油膜補正値を用いて計測外形寸法を補正するようにすれば、精度の高い外形寸法を求めることができる。
【0042】さらに、上述の例では、1対のレーザセンサを配置して、被加工物21の外形を計測するようにしたが、レーザセンサは一つでもよい。この際には、発光部及び受光部を同期させて被加工物の径方向に移動させて、第1の位置で前述のA1を計測して、第2の位置で前述のA2を計測して、第1の位置と第2の位置とのストロークをLとして、外形寸法を求めるようにすればよい。
【0043】また、被加工物21の径がレーザ光(出射光)の幅よりも小さければ、一つのレーザセンサを用いて、レーザセンサを移動させることなく、外形寸法を計測することができる。つまり、被加工物21で遮られたレーザ光の幅が外形寸法となる。
【0044】なお、上述の例では、工程が終了する都度、補正後加工指令値を生成するようにしたが、被加工物を旋削加工しつつ加工指令値を補正後して旋削加工を実施するようにしてもよい。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、被加工物を旋削加工する都度、被加工物の外形寸法を計測して、計測値を少なくとも被加工物に付着した油膜に応じて規定された油膜補正値で補正して補正後旋削指令値を生成し、補正後旋削指令値に応じて被加工物を旋削するようにしたから、精度よく被加工物の外形寸法を求めることができるという効果がある。さらに、このようにした補正された外形寸法に応じて補正後旋削指令値を生成するようにしたから、精度よく被加工物を旋削加工することができるという効果がある。そして、被加工物を精度よく旋削加工できる結果、加工コストも低減できるという効果がある。
【0046】さらに、本発明では、被加工物の計測表面温度と被加工物の線膨張率とに基づいて求められた温度補正値で外形寸法計測値を補正して補正後旋削指令値を生成するようにしたから、旋削加工によって被加工物の表面温度が上昇することよる誤差を補正することができ、より精度よく被加工物を旋削加工することができるという効果がある。
【0047】また、本発明では、被加工物の表面粗さに応じて設定された表面粗さ補正値に応じて外形寸法計測値を補正して補正後旋削指令値を生成するようにしたから、表面粗さに起因する計測誤差を補正することができ、さらに精度よく被加工物を旋削加工することができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番1号
【出願日】 平成13年10月30日(2001.10.30)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久 (外1名)
【公開番号】 特開2003−136368(P2003−136368A)
【公開日】 平成15年5月14日(2003.5.14)
【出願番号】 特願2001−332344(P2001−332344)