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【発明の名称】 多電極円周エレクトロガスアーク溶接装置
【発明者】 【氏名】藤平 正一郎
【住所又は居所】大阪市大正区南恩加島6丁目2−21 片山ストラテック株式会社内

【氏名】橋田 知幸
【住所又は居所】大阪市大正区南恩加島6丁目2−21 片山ストラテック株式会社内

【氏名】藤本 茂和
【住所又は居所】大阪市大正区南恩加島6丁目2−21 片山ストラテック株式会社内

【氏名】高岸 泉
【住所又は居所】八尾市老原4丁目153番地 マツモト機械株式会社内

【要約】 【課題】溶接欠陥の発生が少なく、作業効率の高い溶接装置を提供する。

【解決手段】水平軸回りに回転可能な状態でワーク(W)を支持しているポジショナー(1)と、このポジショナー(1)に対応させてエレクトロガスアーク溶接装置とを具備し、回転するワーク(W)の外周面にフランジ状部材(F)を溶着するエレクトロガスアーク溶接装置であって、溶接装置は溶接ヘッド(2)、溶接機(3)、冷却板(4)を含む冷却装置(5)及び溶接制御装置(6)とを有している。複数の溶接装置をワーク(W)の回転軸芯に沿わせて調整移動可能な状態で配置し、同一ワーク(W)の複数箇所でフランジ状部材(F)とワーク(W)とを同時に溶着するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水平軸回りに回転可能な状態でワーク(W)を支持しているポジショナー(1)と、このポジショナー(1)に対応させてエレクトロガスアーク溶接装置とを具備し、回転するワークの外周面にフランジ状部材を溶着するエレクトロガスアーク溶接装置であって、溶接装置は溶接ヘッド(2)、溶接機(3)、冷却板(4)を含む冷却装置(5)及び溶接制御装置(6)とを有し、複数の溶接装置(6)をワーク(W)の回転軸芯に沿わせて調整移動可能な状態で配置し、同一ワーク(W)の複数箇所でフランジ状部材(F)とワーク(W)とを同時に溶着するように構成したことを特徴とする多電極円周エレクトロガスアーク溶接装置。
【請求項2】 一対の溶接装置を共通の台車(8)上に設置するとともに、ワーク(W)に対して溶着されるフランジ状部材(F)のワーク側端面の両端部分に形成した開先に溶接トーチ(9)をそれぞれ対応させて同一フランジ状部材(F)の両側を同時溶接するように構成した請求項1に記載の多電極円周エレクトロガスアーク溶接装置。
【請求項3】 開先空間(10)内で溶接ヘッド(2)の溶接トーチ(9)を多角形ウィービングするように作動制御する請求項2に記載の多電極円周エレクトロガスアーク溶接装置。
【請求項4】 各冷却板(4)に温度センサー(11)を配置し、温度センサー(11)で検知した温度を溶接制御装置(6)に入力し、溶接部の温度に基づき溶着速度を制御するように構成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の多電極円周エレクトロガスアーク溶接装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼管柱貫通型鉄骨仕口等、柱の外周面に複数のフランジ状部材を外嵌溶着する際に使用可能な多電極の円周エレクトロガスアーク溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】柱貫通型の仕口を形成する場合、鋼管柱(ワーク)をポジショナーに水平軸回りに回転可能に装着し、所定の間隔で配置したフランジ状外ダイヤフラム板を隅肉溶接等の溶接で溶着する。この場合、柱となる鋼管の肉厚やダイヤフラム板の肉厚は16〜50mmあることから、通常多層盛り溶接を行っている。また柱貫通型の仕口では、通常1本の鋼管柱に外ダイヤフラム板が所定の間隔で複数配置される。
【0003】このような溶接を行う溶接装置として、従来、ポジショナーに支持されている鋼管柱の回転軸芯と平行に調整移動できるように炭酸ガスアーク溶接装置を設置し、外ダイヤフラムと鋼管柱との接合個所を個々に溶接するようにしたものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の溶接装置では、溶接個所を多層盛りにしていることから、溶接欠陥が発生しやすいという問題があるうえ、複数の溶接個所を順次溶接しなければならないことから、溶接タイムが長くなるだけでなく、段取り変え等のアイドルタイムが長くなり、作業効率が悪いという問題もあった。
【0005】本発明は、このような点に着目してなされたもので、溶接欠陥の発生が少なく、作業効率の高い溶接装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために本発明は、水平軸回りに回転可能な状態でワークを支持しているポジショナーと、このポジショナーに対応させてエレクトロガスアーク溶接装置とを具備し、回転するワークの外周面にフランジ状部材を溶着する円周エレクトロガスアーク溶接装置であって、溶接装置は溶接ヘッド、溶接機、冷却板を含む冷却装置及び溶接制御装置とを有し、複数の溶接装置をワークの回転軸芯に沿わせて調整移動可能な状態で配置し、同一ワークの複数箇所でフランジ状部材とワークとを表裏同時に溶着するように構成したことを特徴としている。また、請求項2に記載した発明では、フランジ状部材にK型等の開先を取り、部分溶け込みあるいは完全溶け込みで溶接を行うようにしたことを特徴としている。
【0007】
【発明の作用】本発明では、複数のエレクトロガスア―ク溶接装置をワークの回転軸芯に沿わせて調整移動可能な状態で配置し、同一ワークの溶接個所を表裏同時に溶接するように構成していることから、1層溶接により溶接欠陥の発生を防止して効率よく溶接作業を行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】図は本発明の一実施形態を示し、図1は概略平面図、図2は概略側面図である。溶接装置は、鋼管等の柱部材に所定のピッチで一対のフランジ状外ダイヤフラム板を溶着する際に使用するものであり、水平軸回りに回転可能な状態でワークを支持するポジショナー(1)の回転軸芯に沿ってその設置位置を変更可能な状態で配置してある。
【0009】この溶接装置は、一対の溶接ヘッド(2)、各溶接ヘッド(2)に対応している溶接機(3)、各溶接ヘッド(2)から連出された冷却板(4)を含む冷却装置(5)及び両溶接機(3)を制御する溶接制御装置(6)とを有するエレクトロガスアーク溶接装置であり、これ溶接装置を構成している各機器はポジショナー(1)の回転軸芯に沿って配置した移動用レール(7)を移動可能な台車(8)に搭載設置してある。そして、この溶接装置を載置した複数基(図では3基)の台車(8)を移動用レール(7)に所定間隔へだてて配置して固定してある。
【0010】各溶接ヘッド(2)は、水平面内でワーク回転軸と平行な方向(X方向)とその軸と直交する方向(Y方向)の二軸方向にそれぞれ移動可能に構成してある。また、この各溶接ヘッド(2)は台車(8)に昇降ならびにY方向に移動可能に支持されている。
【0011】各溶接ヘッド(2)に支持されている各溶接トーチ(9)は、ポジショナー(1)に回転可能に支持されているワーク(柱部材)(W)に装嵌配置した仕口部形成用のフランジ状外ダイヤフラム板(F)を挟む状態に位置している。そして、外ダイヤフラム(F)に形成されている柱部材貫通孔の両端縁部分を切除して形成した開先と柱(W)の外周面及び冷却板(4)とで構成される両開先空間(10)に溶接トーチ(9)からそれぞれ溶接ワイヤを突入させて、各溶接ワイヤを三角形あるいは台形等の多角形にウイービングさせながらワーク(W)と外ダイヤフラム板を両側から同時にエレクトロガスアーク溶接で溶接するようにしてある。
【0012】各冷却板(4)には温度センサー(11)が配置してあり、この温度センサー(11)で検知した温度信号をワイヤ送給速度等の溶接制御装置(6)に入力するように構成してある。そして、この温度センサー(11)で検出した溶接部の温度に基いて溶着速度を協調制御するようにしてある。
【0013】上述の溶接装置を使用して外形600mm、肉厚28mmの鋼管(ワーク)に肉厚28mmの鋼板で形成したフランジ状外ダイヤフラム板をエレクトロガス溶接した。そのときの開先条件は角度60度、開先深さ11mm、ルートフェース6mmのK型とした。また、溶接条件は、溶接電流350A、溶接電圧38V、溶接速度10cm/mim、入熱量95kJ/cm、ウィービングパターンを60°の三角形とした。
【0014】この溶接部分をJIS Z 3111に規定された溶着金属引張り試験、JIS Z 2248に規定された突き合せ溶接継手の表曲げ試験、JIS Z 3128に規定された溶接継手の衝撃試験で評価した。その結果、本溶接装置で溶接したものでは、引張り試験では母材の規格値を満足し、曲げ試験では180度曲げに合格し、衝撃試験では母材の規格値を満足した。また、マクロ断面を観察したところ溶け込みは良好で溶接欠陥は検出されなかった。
【0015】なお、ルートフェースの長さや溶接電流、溶接電圧、溶接速度は溶接母材の厚さで変化するが、開先角度は50〜60度程度に設定することが望ましい。
【0016】多電極で複数個所を同時に溶接するようにした場合、各溶接個所でその加工誤差や給電線の長さの違い等に基づく溶接条件が微妙に異なることがあるが、本発明では、冷却板(4)に温度センサーを配置し、溶接個所での入熱量を検知し、その検知結果に基づき溶接電流や溶接電圧、あるいは溶接ワイヤの供給速度を制御することから、各溶接個所での溶接が均等化することになる。
【0017】なお、上記の実施態様では同一フランジ状外ダイヤフラム板の両側を同時に溶接するものに付いて説明したが、所定の間隔をへだてて配置されている複数のフランジ状外ダイヤフラム板を同時に溶接するようにしても良い。
【0018】
【発明の効果】本発明は、複数のエレクトロガスア―ク溶接装置をワークの回転軸芯に沿わせて調整移動可能な状態で配置し、同一ワークの複数溶接個所を同時に溶接するように構成していることから、溶接欠陥の発生を防止して効率よく溶接作業を行うことができる。
【0019】そして、請求項2に記載したように、同一のフランジ状部材の両側を同時にエレクトロガスアーク溶接法により溶接した場合には、接合部でのお互いに入熱量を補充しあう状態となることから、溶接装置から供給するエネルギーを低減させることができる。
【0020】また、請求項3に記載したように、エレクトロガスアーク溶接装置の溶接トーチを多角形に憂いービングさせることにより、れる大きな開先空間が形成される肉厚同士の溶接部であっても、一度の溶接作業で確実に溶接欠陥を生じることなく溶接することができる。
【0021】さらに、請求項4に記載したように、エレクトロガスアーク溶接において、冷却板に温度センサーを配置してあると、各溶接個所での溶接速度の適否を検知することができることから、多電極で同時に溶接した場合でも、各溶接個所での溶接が同調するように制御することができる。
【出願人】 【識別番号】591099212
【氏名又は名称】片山ストラテック株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市大正区南恩加島6丁目2番21号
【識別番号】391037308
【氏名又は名称】マツモト機械株式会社
【住所又は居所】大阪府八尾市老原4丁目153番地
【出願日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【代理人】 【識別番号】100068892
【弁理士】
【氏名又は名称】北谷 寿一
【公開番号】 特開2003−245775(P2003−245775A)
【公開日】 平成15年9月2日(2003.9.2)
【出願番号】 特願2002−45978(P2002−45978)