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【発明の名称】 節形成用ロール加工機及び節形成用ロール加工方法
【発明者】 【氏名】勝沼 吉弘
【住所又は居所】茨城県行方郡玉造町芹沢920番52号 株式会社池貝内

【氏名】鮫島 久清
【住所又は居所】茨城県行方郡玉造町芹沢920番52号 株式会社池貝内

【要約】 【課題】ワークの回転角度位置と工具の回転角度位置を所定の関係に保ったままで正確に節加工を行うことができ節形成用ロール加工機を提供する。

【解決手段】ワークW及び工具Tを回転させ、工具TとワークWとを相対的に移動させながら、ワークWに所定の節加工を施す節形成用ロール加工機において、ワークスピンドル1を回転させる回転駆動体2aと工具軸4を回転させる回転駆動体101とを同期制御可能に構成してある。また、ワークWの回転角度位置及び工具軸4の回転角度位置を検出する回転角度位置検出手段を設け、ワークWの回転角度位置と工具Tの回転角度位置とが予め設定された関係になるように、回転駆動体2a,101を制御するように構成してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロール状のワークを保持するとともに前記ワークを回転させるワークスピンドルと、工具を装着し、前記ワークスピンドルに直交する軸を中心に回転自在な一つ又は複数の工具軸と、この工具軸を備え、前記ワークスピンドルの軸線と平行な軸線を含み前記工具軸の軸線と直交する平面内で移動自在な刃物台とを有し、前記ワーク及び前記工具を回転させ、前記工具と前記ワークとを相対的に移動させながら、前記ワークに所定の節加工を施す節形成用ロール加工機において、前記ワークスピンドルを回転させる回転駆動体と前記工具軸を回転させる回転駆動体とを同期制御可能にしたこと、を特徴とする節形成用ロール加工機。
【請求項2】 前記ワークの回転角度位置及び前記工具軸の回転角度位置を検出する回転角度位置検出手段を設け、前記ワークの回転角度位置と前記工具の回転角度位置とが予め設定された関係になるように、前記回転駆動体を制御することを特徴とする請求項1に記載の節形成用ロール加工機。
【請求項3】 前記工具軸を複数有する場合において、前記工具軸を回転させる前記回転駆動体を、前記工具軸ごとに独立して設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の節形成用ロール加工機。
【請求項4】 節加工以外の加工を前記ワークに施すための加工工具を装着する第二の刃物台を有し、この第二の刃物台を、前記ワークスピンドルの軸線と平行な軸線を含み前記工具軸の軸線と直交する平面内で移動自在としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の節形成用ロール加工機。
【請求項5】 前記第二の刃物台を、前記工具軸を備えた前記刃物台の少なくとも一つに、前記ワークに対して進退移動自在に取り付けたことを特徴とする請求項4に記載の節形成用ロール加工機。
【請求項6】 ロール状のワークを保持するとともに前記ワークを回転させるワークスピンドルと、工具を装着し、前記ワークスピンドルに直交する軸を中心に回転自在な一つ又は複数の工具軸と、この工具軸を備え、前記ワークスピンドルの軸線と平行な軸線を含み前記工具軸の軸線と直交する平面内で移動自在な刃物台とを有する節形成用ロール加工機による節形成用ロール加工方法において、同期制御が可能なワークスピンドルの回転駆動体及び工具軸の回転駆動体を準備し、前記ワークの回転角度位置と前記工具の回転角度位置とが予め設定された関係となるように前記回転駆動体の駆動を制御し、前記工具を前記ワークに所定量切り込ませた状態で、前記ワークの回転角度位置を制御しつつ前記工具の回転角度位置を制御して、前記工具を前記節の一端から他端まで移動させて加工を行い、この加工を一回又は複数回繰り返して一つの前記節の加工を完了させ、前記工具を前記ワークから退避させた状態で前記ワークを所定角度回転させて次に加工を行う節の加工開始点の位置合わせを行い、前記工具を前記加工開始点まで移動させて前記加工を行うこと、を特徴とする節形成用ロール加工機における節形成用ロール加工方法。
【請求項7】 前記工具を前記節の一端から他端まで移動させて加工を行った後に、前記工具軸及び前記ワークを逆転させて前記工具を前記節の他端から一端まで移動させて加工を行うことを特徴とする請求項6に記載の節形成用ロール加工機における節形成用ロール加工方法。
【請求項8】 節加工以外の加工を施すための加工工具を装着する第二の刃物台をさらに準備し、この第二の刃物台を、前記ワークスピンドルの軸線と平行な軸線を含み前記工具軸の軸線と直交する平面内で移動自在にし、前記加工工具を前記ワークに対して相対的に移動させて加工を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の節形成用ロール加工機における節形成用ロール加工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、棒状の鋼材の表面に節や文字等を形成するためのロールを加工する節形成用ロール加工機及びこの節形成用ロール加工機における節形成用ロール加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄筋コンクリートの芯材として用いられる棒状の鋼材(以下、棒鋼という)には、通常、図6に示すような節や文字(これらを総称して、本明細書では「節」と記載することがある)が形成されている。図6は、棒鋼の表面に形成される節の一例を示す図である。(a)は、棒鋼B1の表面に凸状の節B1aを平行かつ均等間隔で形成したものである。なお、(a)中の下の図はI-I方向の断面を表している。(b)は、棒鋼B2の表面に、凸状の節B2aを螺旋状に形成したもの、(c)は、棒鋼B3の表面に、凸状の節B3aを交叉螺旋状に形成したもの、(d)は、棒鋼B4の表面に、凸状の節(文字)B4aを均等間隔で形成したものである。
【0003】図6に示すような節は、対向して配置された一対のロールの間に前記棒鋼を通すことで、圧延形成される。ロールには、棒鋼が挿入される溝が形成され、この溝の内周面に、棒鋼の表面に形成しようとする節と同一形状の節が形成されている。このようなロールは、図7に示すような節形成用ロール加工機で前記溝の内部に節が形成される。図7は、本発明の従来例にかかり、節形成用のロール(以下、ワークという)の予め形成された溝内に、所定形状の節を形成するための節形成用ロール加工機の主要部を模式的な斜視図で示したものである。
【0004】節形成用ロール加工機は、Z軸と同方向にスピンドル台2に支持された回転自在なワークスピンドル1と、ワークスピンドル1に設けられ、ワークWの軸WSの一端を把持するチャック1aと、ワークスピンドル1に対向して配置され、軸WSの他端の回転中心を支持する心押台5と、ワークスピンドル1と心押台5とで保持されたワークWの軸WSに沿って配置され、Z軸と直交するY軸と同方向の軸を中心に回転自在な複数(図示の例では二つ)の工具軸4と、この複数の工具軸4を回転自在に支持し、X軸及びY軸と平行な平面内で移動自在な図示しない刃物台とを有している。ワークスピンドル1は、スピンドル台2に設けられたモータ2aによって回転させられる。また、工具軸4は、ワークWに予め形成された溝の位置に合わせてZ軸方向に位置決めされて前記刃物台に取り付けられている。工具Tは、ワークスピンドル1の軸線Cを含む平面内でワークWの節の加工を行うように、工具軸4に装着される。
【0005】工具軸4を回転させる駆動部20は、駆動体であるモータ201と、工具軸4が取り付けられたウォームホイル204と、このウォームホイル204と噛合するウォーム歯車203と、このウォーム歯車203に噛合する歯車列202aと、この歯車列202aにモータ201の駆動軸の回転を伝達するシャフト202とを有している。また、工具軸4の回転速度を検出してモータ201の回転駆動を制御するためのポジションコーダ208が設けられ、工具軸4の回転がプーリ210及びベルト211を介して伝達されるようになっている。ロール状のワークWは、ワークスピンドル1のチャック1aに把持された状態で、ワークスピンドル1と一体になって回転する。また、節加工用の工具Tは工具軸4に装着され、工具軸4の回転と前記刃物台のX軸方向の移動とによって、溝Wa内に所定形状の節が形成される。
【0006】上記したような節形成用ロール加工機では、数値制御旋盤で用いられるNCプログラムのG32機能を利用して、ねじ切り加工と同様の手順で節加工を行うことができる。このG32機能は、ワークを所定の回転速度で回転させるとともに、工具Tを所定のタイミングでワークに当接又は離間させることで、所定ピッチのねじを形成するものである。上記のG32機能を利用した節加工の手順を、図8を参照しながら説明する。まず、刃物台をX軸方向に移動させて、第一段階の切り込み量で工具Tの刃先がワークWに切り込む位置に前記刃物台を位置決めする。ワークWの回転速度と工具軸4の回転速度とは、図8(a)に示すように、節Wb1の一端(加工開始位置i)で工具TがワークWに当接し、節Wb1の他端(加工終了位置ii)で工具TがワークWから離脱するように、予め設定される。また、工具軸4の回転中心から工具Tの刃先までの距離、すなわち、工具軌跡Tcの半径rは、節Wbの底部の曲率半径と同じになるように、治具等を用いて予め刃先位置が調整されている。
【0007】図8(b)に示すように、所定の回転速度の下でワークWを回転させながら、所定の回転速度で工具Tを加工開始位置iから加工終了位置iiまで送ることで、斜め状の節Wb1が形成される。ワークW及び工具軸4は予め設定された回転速度で常時回転しているため、図8(c)に示すように、ワークWから工具Tが離脱している間にワークWが所定角度回転して、次に加工を行うべき節Wb2の一端の加工開始位置iに工具Tを位置させるようにする。以後、前記した第一の切り込み量で溝Waに含まれる全ての節Wbの加工を行い、この後、第二の切り込み量で溝Waに含まれる全ての節Wbの加工を行う。このように、所定の切り込み量で溝Waに含まれる全ての節Wbの加工を行った後に、刃物台をX軸方向に移動させて工具TをワークWにさらに切り込ませることで、段階的に節Wbの加工を行っている。
【0008】しかしながら、上記したような節形成用ロール加工機及びこの節形成用ロール加工機における節形成用ロール加工方法には、次のような問題点がある。
(1) ポジションコーダ208は工具軸4の回転速度を検出し、制御装置はワークスピンドルの回転制御とは無関係に検出された回転速度に基づいて工具軸4の回転角度位置を求めており、節加工中の工具Tに作用する負荷変動等により工具軸4の回転速度にむらが生じると、工具Tの刃先位置を正確に求めることができなくなる。そのため、モータ201を駆動させる制御系に遅れが生じる。この制御系の遅れは、工具Tの刃先と節Wbとの位置関係にずれを生じさせ、所望形状の節を形成することができなくなる。
【0009】(2) 上記したような制御系の遅れは、工具に作用する負荷の大きい超硬のワークで発生しやすい。放電加工を利用して超硬のワークに節加工を施す試みがなされているが、放電加工は加工コストが高いうえ、ワークにひびが入りやすく、ワーク寿命が短いという問題がある。
(3) 工具TをワークWに順次切り込ませながら、同一の切り込み量で一つの溝Waに含まれる全ての節Wb1,Wb2,Wb3・・・について加工を行っているため、加工の途中で工具Tが摩耗して交換すると、交換後に工具Tと加工途中の節との位置合わせが困難になる。超硬のワークWでは、工具Tの摩耗が早く、特にこのような問題が大きい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点にかんがみてなされたもので、ワークの回転角度位置と工具の回転角度位置を所定の関係に保ったままで正確に節加工を行うことができ、工具摩耗が生じて加工の途中に工具を交換する必要が生じても、工具とワークとの位置合わせを容易に行うことができる節形成用ロール加工機及び節形成用ロール加工機における節形成用ロール加工方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載の節形成用ロール加工機は、ロール状のワークを保持するとともに前記ワークを回転させるワークスピンドルと、工具を装着し、前記ワークスピンドルに直交する軸を中心に回転自在な一つ又は複数の工具軸と、この工具軸を備え、前記ワークスピンドルの軸線と平行な軸線を含み前記工具軸の軸線と直交する平面内で移動自在な刃物台とを有し、前記ワーク及び前記工具を回転させ、前記工具と前記ワークとを相対的に移動させながら、前記ワークに所定の節加工を施す節形成用ロール加工機において、前記ワークスピンドルを回転させる回転駆動体と前記工具軸を回転させる回転駆動体とを同期制御可能に構成してある。
【0012】この場合、請求項2に記載するように、前記ワークの回転角度位置及び前記工具軸の回転角度位置を検出する回転角度位置検出手段を設け、前記ワークの回転角度位置と前記工具の回転角度位置とが予め設定された関係になるように、前記回転駆動体を制御するように構成してもよい。回転駆動体としてはサーボモータを用いることができる。このような回転駆動体を用いることで、ワークスピンドルの回転と工具軸の回転とを同期制御することが可能になる。そのため、工具に大きな負荷が作用して工具軸の回転に遅れが生じても、これに同期してワークスピンドルの回転速度も遅くなるので、ワークと工具との位置ずれを防止することができる。
【0013】また、回転角度位置検出手段としては、例えばロータリエンコーダを用いることができる。また、回転駆動体の駆動の制御を行うためのパルスをカウントすることで、ワーク及び工具軸の回転角度位置を検出するようにしてもよい。このようにすることで、工具によるワークの加工位置を精密に制御しながら、節加工を行うことが可能になる。また、ワークの回転角度位置と工具の回転角度位置を制御しながら加工を行うことが可能であるので、複雑な形状の節を精密に加工することが可能になる。また、節を一つずつ順に形成することが可能になり、複数の節を加工し終えたところで工具を交換するようにすることで、交換後に工具とワークの位置合わせを容易に行えるようになる。
【0014】請求項3に記載の発明は、前記工具軸を複数有する場合において、前記工具軸を回転させる前記回転駆動体を工具軸ごとに独立して設けた構成としてある。このように構成すれば、モータ等の回転駆動体に作用する負荷を軽減することができるほか、各工具軸を独立に制御することができるようになる。そのため、複数の工具で異なる形状の節を同時に形成することが可能になる。
【0015】請求項4に記載の節形成用ロール加工機は、節加工以外の加工を前記ワークに施すための加工工具を装着する第二の刃物台を有し、この第二の刃物台を、前記ワークスピンドルの軸線と平行な軸線を含み前記工具軸の軸線と直交する平面内で移動自在とした構成としてある。このように構成すると、第二の刃物台に装着した工具で、節加工以外の加工、例えば孔明け加工や溝形成加工等を、節形成用ロール加工機で行うことが可能になる。この場合、請求項5に記載するように、前記第二の刃物台を、前記工具軸を備えた前記刃物台の少なくとも一つに、前記ワークに対して進退移動自在に取り付けて構成するとよい。このように構成することで、第二の刃物台を移動させるための駆動系の一部又は全部を工具軸を移動させるための駆動系と共有させることができ、装置構成をコンパクトにすることができる。
【0016】本発明の目的は、請求項6〜8に記載の方法によっても達成される。すなわち、請求項6に記載の発明は、ロール状のワークを保持するとともに前記ワークを回転させるワークスピンドルと、工具を装着し、前記ワークスピンドルに直交する軸を中心に回転自在な一つ又は複数の工具軸と、この工具軸を備え、前記ワークスピンドルの軸線と平行な軸線を含み前記工具軸の軸線と直交する平面内で移動自在な刃物台とを有する節形成用ロール加工機による節形成用ロール加工方法において、同期制御が可能なワークスピンドルの回転駆動体及び工具軸の回転駆動体を準備し、前記ワークの回転角度位置と前記工具の回転角度位置とが予め設定された関係となるように前記回転駆動体の駆動を制御し、前記工具を前記ワークに所定量切り込ませた状態で、前記ワークの回転角度位置を制御しつつ前記工具の回転角度位置を制御して、前記工具を前記節の一端から他端まで移動させて加工を行い、この加工を一回又は複数回繰り返して一つの前記節の加工を完了させ、前記工具を前記ワークから退避させた状態で前記ワークを所定角度回転させて次に加工を行う節の加工開始点の位置合わせを行い、前記工具を前記加工開始点まで移動させて前記加工を行う方法としてある。この方法によれば、ワークの回転と工具の送りとを位置合わせしながら行うことができ、所望形状の節を精密かつ形状ずれなく加工することができる。また、節の加工を一つずつ完了させながら行うことが可能になり、加工の途中で工具交換の必要が生じても、交換後に工具とワークの位置合わせを容易に行うことができる。
【0017】請求項7に記載の発明は、前記工具を前記節の一端から他端まで移動させて加工を行った後に、前記工具軸及び前記ワークを逆転させて前記工具を前記節の他端から一端まで移動させて加工を行う方法としてある。工具軸に装着する工具として、ワークの往復加工が可能な工具を用いることで、節に沿って工具を往復させながら加工を行い、効率良く節加工を行うことができる。
【0018】また、請求項8に記載の発明は、節加工以外の加工を施すための加工工具を装着する第二の刃物台をさらに準備し、この第二の刃物台を、前記ワークスピンドルの軸線と平行な軸線を含み前記工具軸の軸線と直交する平面内で移動自在にし、前記加工工具を前記ワークに対して相対的に移動させて加工を行う方法である。この方法によれば、孔明け加工や溝切り加工の他、文字や複雑な節の形成を節形成用ロール加工機で行うことができるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の節形成用ロール加工機及び節形成用ロール加工方法の好適な実施形態を、図面にしたがって詳細に説明する。なお、従来例で示した節形成用ロール加工機と同一部位,同一部材には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。図1は、本発明の一実施形態にかかり、節形成用ロール加工機の主要部の構成を説明する模式的な斜視図である。この実施形態の節形成用ロール加工機においては、二つの工具軸4,4を各々回転駆動させる独立した二つの駆動部10,10を有している。駆動部10,10は、それぞれ、モータ101と、このモータ101によって回転されるウォーム歯車103と、工具軸4が取り付けられ、ウォーム歯車103と噛み合うウォームホイル104とを有している。この駆動部10の構成を、図2を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0020】図2に示すように、モータ101は、X軸方向及びZ軸方向に移動自在なサドル71上に設けられた刃物台72に取り付けられている。モータ101は、図示しない節形成用ロール加工機の制御装置からの指令信号によって、回転速度及び回転角度位置の制御が可能なサーボモータである。ワークスピンドル1を回転させるモータ2aは、後述のNC装置13からの指令によってモータ101と同期制御が可能なサーボモータである。また、これらモータ2a,101は、例えばNC装置13から送信された駆動用のパルスをカウントすることで、ワークW及び工具Tを精密に所定の回転角度位置に位置合わせすることができるものである。もちろん、ロータリエンコーダ等の回転角度位置検出手段をモータ2a,101のそれぞれに設けるものとしてもよい。
【0021】図2に示すように、モータ101の回転軸101aは、刃物台72に軸受によって回転自在に支持されたシャフト102の一端に連結され、モータ101の駆動によって回転軸101aとシャフト102とが一体に回転する。シャフト102の他端には、歯車102aが固着され、歯車105aと噛合している。この歯車105aは、刃物台72に回転自在に設けられたウォーム歯車103のシャフト105に固着されている。
【0022】ウォーム歯車103は、ウォームホイル104と噛合していて、ウォームホイル104の回転軸線上に工具軸4の下端が取り付けられている。工具軸4の上端は、刃物台72の上部に設けられた心押し部材73によって心出しされた状態で保持されている。上記の態様により、モータ101が駆動すると、回転軸101aが回転し、この回転が、シャフト102,歯車102a,105a,シャフト105,ウォーム歯車103及びウォームホイル104を介して、工具軸4に伝達される。工具軸4,4を支持する刃物台72は、X軸方向及びZ軸方向に移動自在なサドル71上に設けられている。サドル71及び刃物台72は、二つの工具軸4,4について共通のものとしてもよいが、二つの工具軸4,4のそれぞれを、個別のサドル71及び個別の刃物台72に設けるものとしてもよい。個別のサドル71及び刃物台72に工具軸4,4を設けることで、各工具軸4,4の独立した制御が可能になり、二つの工具T,TでワークWに対して別々の節加工を施すことが可能になる。
【0023】刃物台72のX軸方向及びZ軸方向の移動の制御,モータ101の駆動の制御及びワークスピンドル1のモータ2aの駆動の制御は、節形成用ロール加工機に設けられた数値制御装置(NC装置)13によって行われる。NC装置13には、加工しようとする節の形状に従って予め設定されたワークWの回転角度位置に関するデータと、工具Tによる加工位置に関するデータとを記憶するメモリが設けられている。これらデータには、回転角度位置及び加工位置の位置座標のほかに、例えば、ワークスピンドル1の回転速度や工具Tの送り速度が含まれる。そして、NC装置13のCPUが、このメモリの記憶内容を読み出し、モータ2aの駆動制御と刃物台72の移動制御及びモータ101の駆動制御を行うことで、予め設定されたワークWの回転角度位置で工具Tを予め設定された加工位置に位置させることができる。
【0024】なお、このような制御として、NCプログラムで一般に利用されている公知のG01制御(直線補間制御)やG02,G03制御(円弧補間制御)を用いることができる。例えば、二つのモータ2a,101のうちの一方を「A」とし、他方を「B」として、”G01C_A_B_F_”なるNCプログラムを用いることで、ワークWの回転角度位置に対して、二つの工具軸4,4の回転角度位置が予め設定された関係になるように、駆動を制御させることが可能である。
【0025】図3及び図4は、本発明の節形成用ロール加工方法による節加工の手順を説明する図である。この実施形態では、ワークWと工具軸4との回転角度位置が予め設定された関係になるように、図中矢印で示す方向にワークW及び工具軸4を回転させながら、工具TをX軸方向(切り込み方向)に段階的に送って、節Wbの加工を一つずつ行う。すなわち、一つの節Wb1の加工を完了させてから、次の節Wb2の加工を行い、さらに、この節Wb2の加工を完了させた後に、節Wb3の加工を行うわけである。
【0026】これをさらに詳細に説明したのが図4である。図4では、溝Waに含まれる節Wb1,Wb2,Wb3,Wb4・・・のうち、節Wb1,Wb2,Wb3については既に加工が終了し、次に節Wb4の加工を行う場合を示している。節Wb3の加工を終えた後に、工具TをワークWから離脱させてワークWを図4(a)中矢印の方向に回転させて、節Wb4の加工開始位置iに工具Tの刃先が位置するようにする。次に、刃物台をX軸方向に送って、第一段階の切り込み量で工具TがワークWに切り込む位置に、刃物台を位置決めする。
【0027】この状態で、工具Tを加工開始位置i(節Wb4の一端)から加工終了位置ii(節Wb4の他端)まで送るとともに、ワークWを図4(b)中矢印で示す方向に回転させて、前記第一段階の切り込み量で節Wb4の加工を行う。工具Tが加工終了位置iiでワークWから離脱し、加工開始位置iまで移動するまでの間に、図4(c)に示すようにワークWを図中矢印の方向に逆転させ、工具Tが節Wb4の一端に戻るようにする。また、この間に、刃物台72がX軸方向に移動して、第二段階の切り込み量で工具TがワークWに切り込むようにする。工具Tが加工開始位置iから加工終了位置iiまで移動する間に、前記第二段階の切り込み量で節Wb4の加工が行われる。
【0028】なお、加工方法の他の実施形態として、ワークの往復加工が可能な工具Tを用い、ワークWだけでなく、工具軸4の回転も反転させて、加工終了位置iiから加工開始位置iまで工具Tを送りながら節Wb4の加工を行うことも可能である。この場合は、加工終了位置iiで刃物台72をX軸方向に送って工具TをワークWに切り込ませるようにすればよい。このようにすることで、節Wb4の加工を、工具Tの往復移動によって行うことができる。
【0029】次に、図5を参照しながら、本発明の第二の実施形態について説明する。この実施形態では、節加工を行う工具Tの他に、文字加工用の工具T′を装着する第二の刃物台120が、刃物台72に取り付けられている。図5に示すように、刃物台72の側面には、ガイド126がX軸方向と同方向に形成され、このガイド126に沿って進退移動自在に第二の刃物台120が設けられている。この第二の刃物台120の後方には、板状の取付部材125が配置され、刃物台126の前記側面に取り付けられている。
【0030】取付部材125の後方には、第二の刃物台120を進退移動させるためのモータ121が取り付けられ、図示しないボールナット・ねじ軸機構等によって、第二の刃物台120を位置決め可能に進退移動させる。また、工具T′を回転させるための図示しないモータが、第二の刃物台120の内部に設けられている。第二の刃物台120の工具T′で文字加工を行う場合は、工具TがワークWと干渉しない位置まで、刃物台72を退避させる。そして、モータ121を駆動して工具T′をワークW上の所定位置に位置させるとともに、刃物台120に内蔵された前記モータを駆動させて、工具T′を回転させる。そして、刃物台72のZ軸方向の移動と第二の刃物台120のX軸方向の移動及びワークスピンドル1の回転とによって、工具T′でワークWに文字加工を施す。この場合も、先の実施形態と同様に、文字を一つずつ完成させながら、ワークWに文字を形成するとよい。
【0031】本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態により何ら限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、二つの工具軸を有しているものとして説明したが、三つ以上の工具軸を有する加工機にも本発明の適用が可能である。また、節加工以外の加工を行う工具の一例として、文字加工用の工具T′を例に挙げて説明したが、孔明け加工工具や切削工具等、他のあらゆる種類の工具を第二の刃物台に装着して加工を行うことが可能である。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、負荷変動等により制御系に多少の遅れが生じても、節の形状に与える加工上の悪影響を最小にすることができる。また、工具の摩耗を考慮して、例えば、五つの節の加工を終えた後に工具を交換するようにすることで、交換後の工具の位置合わせを容易に行うことができる。さらに、本発明では、ワーク及び工具の回転角度位置を精密に制御することが可能であるので、複雑な形状の節の加工を行うことが容易になるほか、節の間隔を不等間隔に設定することができ、適宜に節の加工をとばす、いわゆるとばし加工も容易に行うことができるようになる。
【出願人】 【識別番号】000000103
【氏名又は名称】株式会社池貝
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区神明町1丁目80番地
【出願日】 平成13年12月28日(2001.12.28)
【代理人】 【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平
【公開番号】 特開2003−200303(P2003−200303A)
【公開日】 平成15年7月15日(2003.7.15)
【出願番号】 特願2001−399464(P2001−399464)