| 【発明の名称】 |
金属球の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】柴崎 守栄 【住所又は居所】長野県北佐久郡御代田町大字御代田4106−73 ミネベア株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】表面に凹凸が生じにくいとともに製造時間の短縮が図られ、極小径であっても容易に製造することができる金属球の製造方法を提供する。
【解決手段】不活性ガス雰囲気のチャンバ10内に固体金属材料であるピース50aを落下させ、落下中のピース50aを加熱ゾーン10Aで溶融させ、溶融したピース50bを冷却ゾーン10Bで冷却固化させて金属球50cを得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固体金属を落下させながら溶融させ、引き続き落下する溶融金属を冷却固化させて金属球を得ることを特徴とする金属球の製造方法。 【請求項2】 不活性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1に記載の金属球の製造方法。 【請求項3】 前記固体金属が線状、粒状、薄片状等の溶融し易い形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の金属球の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、金属球の製造方法に係り、特にミニチュアボールベアリングのボール等、径が比較的微小な金属球を製造するにあたって好適な金属球の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ミニチュアボールベアリングの小径ボール(径が例えば1.0〜5.0mm程度)は、従来、線材を一定長さに切断した短い線状のピースを金型で球状に鍛造成形し、次いで、このボールを硬質鋳物盤の間に挟んで圧力をかけながら転動させてバリを除去するフラッシングを行い、この後、適切な強度および耐久性を与える熱処理工程と、形状精度および表面粗さを向上させる精研磨工程を経て製造されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記フラッシング工程で除去するバリは、鍛造成形時において、金型の間や、金型に形成されている空気抜き孔等にはみ出た余肉であり、これらバリは、フラッシングによって主に潰されることによって除去される。しかしながら、フラッシングの際には、表面へのバリの被さりや丸め込みといった挙動が生じ、これによって表面に微小な凸部が形成されてしまう場合があった。また、線材を押し切りによって切断すると、ピース側の切断面が凹状に湾曲する傾向にあり、この端面のへこみが鍛造成形後にも残存することにより、表面に微小な凹部が形成されてしまう場合もあった。 【0004】このような微小な凹凸は、その後の精研磨中に消滅すれば問題はないが、精研磨後に残ることもあり、その場合には、上記精研磨工程に費やす取代と時間が長くなったり、完成品にも凹凸が残って歩留まりの低下を招いたりすることになる。また、上記従来の製造方法では総じて製造時間が長く、しかも、例えば1.0mm以下の極小径のボールは製造し難いといった問題もあった。 【0005】よって本発明は、表面に凹凸が生じにくいとともに製造時間の短縮が図られ、極小径であっても容易に製造することができる金属球の製造方法を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、固体金属を落下させながら溶融させ、引き続き落下する溶融金属を冷却固化させて金属球を得ることを特徴としている。本発明によれば、落下中の溶融過程で金属は表面張力によりほぼ球状となり、そのままの状態が落下中に冷却固化されることによって球状の固体金属となる。したがって、得られた金属球の表面には凹凸が生じにくく、金属球は真球に近いものとなる。本発明では、固体金属を落下させる間に金属球を製造することができるので、製造時間が大幅に短縮される。そして、製造した金属球をさらに精研磨する場合には、その精研磨に要する時間が大幅に短縮し、研磨量も少ないので材料費を低減させることができる。また、落下させる固体金属を小さいものにすれば極小径の金属球を製造することができ、その場合には固体金属が溶融し易いので、本発明では特に極小径の金属球を製造する方法としても有望である。出発材料の固体金属の体積を一定とすることにより、同一径の金属球を容易に、かつ高い寸法精度で量産することができる。 【0007】本発明の製造方法は、酸素の汚染やそれに伴う錆びの発生を未然に防ぐために不活性ガス雰囲気中で行うことを好ましい形態としている。また、出発材料である固体金属が、線状、粒状、薄片状等の溶融し易い形状に形成することにより、製造時間をより短縮することができたり設備の大型化を抑えることができたりするので好ましい。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明をミニチュアボールベアリングのボールを製造する方法に適用した一実施形態を説明する。図1は、一実施形態の製造方法を実施するにあたって好適な金属球製造装置である。同図で符号10は、本装置の主体をなす円筒タワー状のチャンバである。直立するこのチャンバ10の上部の周囲には、チャンバ10内を加熱するヒータ20が設けられており、下部の周囲には、冷却水が循環してチャンバ10内を冷却する冷却管30が巻かれている。また、冷却管30の上方には、チャンバ10内にアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを供給する複数のガス供給口11が設けられている。 【0009】チャンバ10内においては、ヒータ20によって加熱される加熱ゾーン10Aと、この加熱ゾーン10Aの下側であって、ガス供給口11から連続して供給される不活性ガスおよび冷却管30によって冷却される冷却ゾーン10Bとが設けられている。そして、冷却ゾーン10Bの下方であるチャンバ10の底部には回収容器40がセットされている。この回収容器40は、図示せぬ回収口からチャンバ10内に入れたり出したりされる。 【0010】チャンバ10の上方には材料投入口12が設けられており、この材料投入口12から固体金属である材料がチャンバ10内に落下させられる。材料は、この場合コイル状に巻かれた線材50の端部を一定長さに切断した短い線状のピース50aである。ピース50aのサイズは、製造すべき金属球の体積に応じたものに設定され、例えば、0.5mm径の金属球を得ようとする場合、径は0.4〜0.6mm、長さが0.53〜0.24mm程度である。線材50はボールベアリング用のボールとして一般的な鋼であって、例えば高炭素クロム軸受鋼、炭素鋼、ステンレス鋼等である。コイル状の線材50は端部が引き出され、切断装置60によってピース50aに切断される。 【0011】切断装置60は、線材50が内部に挿入される固定治具61と、上下方向に往復移動し、下方に往動した際に固定治具61から突出した線材50の端部を切断する可動刃62とを備えた押し切り型である。線材50は切断装置60の固定治具61に断続的に挿入され、固定治具61から突出した端部が次々と切断装置60によって切断される。このようにして線材50が切断されてできたピース50aは、コンベヤ等からなる搬送装置70で受けられる。そして、そのピース50は搬送装置70によって材料投入口12に搬送され、搬送装置70からチャンバ10内に自然落下させられる。 【0012】材料投入口12からチャンバ10内に落下したピース50は、加熱ゾーン10Aを落下する最中に加熱されて溶融させられる。したがって、ヒータ20の加熱性能および加熱ゾーン10Aの長さは、加熱ゾーン10Aを通過する間にピース50が溶融可能なように設定されている。加熱ゾーン10Aを通過した溶融ピース50bは、冷却ゾーン10Bを落下する最中に冷却され、固化する。したがって、ガス供給口11からの不活性ガスの供給量や冷却管30による冷却性能および冷却ゾーン10Bの長さは、冷却ゾーン10Bを通過する間に溶融ピース50bが固化するまで冷却されるように設定されている。 【0013】以上が一実施形態に係る金属球製造装置であり、次に、本装置の操業方法ならびにそれに伴う作用等を説明する。まず、操業準備として、ガス供給口11からチャンバ10内の空気を排出した後、ガス供給口11からチャンバ10内に不活性ガスを連続して供給し、チャンバ10内を不活性ガス雰囲気とする。同時に、ヒータ20を稼動させるとともに冷却管30に冷却水を循環させる。これにより、チャンバ10内の上部に加熱ゾーン10Aを設け、下部に冷却ゾーン10Bを設ける。 【0014】以上の準備が整ったら、線材50を切断装置60に断続的に供給し、切断装置60によって線材50を次々と一定長さのピース50aに切断する。そして、ピース50aを搬送装置70によって材料投入口12からチャンバ10内に落下させる。 【0015】チャンバ10内に落下したピース50aは、加熱ゾーン10Aを落下する最中に加熱されて溶融する。溶融したピース50bは表面張力によってほぼ球状に変形する。加熱ゾーン10Aを通過した球状の溶融ピース50bは、冷却ゾーン10Bを落下する最中に球状のまま冷却されて固化し、金属球50cとなる。そして、その金属球50cは回収容器40で受けられ、ここに貯留される。回収容器40がほぼ満杯になったところで線材50の切断およびピース50aの落下を一旦中止し、回収容器40をチャンバ10から取り出して製造された多数の金属球50cを他の場所に移す。そして、空になった回収容器40をチャンバ10内にセットしてから、上記操業を再開する。このような動作を繰り返すことにより、金属球50cを量産することができる。 【0016】上記のようにして得られた金属球50cはベアリング用ボールの半製品であり、この後、適切な強度および耐久性を与える熱処理工程と、形状精度および表面粗さを向上させる精研磨工程とを経た後、洗浄されて完成品とされる。 【0017】上記装置を使用した金属球の製造方法によれば、溶融ピース50bは表面張力によりほぼ球状となり、そのままの状態が落下中に冷却固化されることによって固体の金属球50cとなる。したがって、得られた金属球50cの表面には凹凸が生じにくく、金属球50cは真球に近いものとなる。また、ピース50aを落下させる間に金属球50cを製造することができ、これによって従来のようにフラッシングの工程を省略することができるので、製造時間が大幅に短縮される。また、完成品とするために金属球50cを精研磨する時間が大幅に短縮し、研磨量も少ないので材料費を低減させることができる。さらに、ピース50aの長さすなわち体積を調節することにより極小径の金属を製造することができる。そして、出発材料のピース50aの長さを一定とすることにより、同一径の金属球を容易に、かつ高い寸法精度で量産することができる。 【0018】また、チャンバ10内が不活性ガス雰囲気とされているので、金属球50cは酸素に汚染されることがなく、したがって酸素汚染に伴う錆びの発生が未然に防がれる。また、出発材料であるピース50aは短い線状であるから溶融し易く、このため、製造時間がより短縮するとともに、設備の大型化が抑えられる。 【0019】なお、上記金属球製造装置ではガス供給口11の下方に冷却管30を設けているが、この冷却管30をガス供給口11の上方に設けたり、ガス供給口11の上下に都合2つ設けてもよい。また、ガス供給口11から連続して供給される不活性ガスによって溶融ピース50が十分冷却されて固化する場合には、冷却管30を省略することができる。また、それとは逆に、不活性ガスを連続して供給せず、冷却管30の作用だけで溶融ピース50を冷却させるようにすることもできる。いずれにしても、冷却ゾーン10Bは溶融ピース50bが固化するまで冷却させることができる構成とされる。 【0020】一方、搬送装置70で材料投入口12まで搬送されるピース50を加熱する手段を付加させ、ピース50が溶融し易いように構成してもよい。さらに、回収容器40内に油を満たしておくか、あるいはチャンバ10内の底部に油槽を設けるなどして、液体中に金属球50cを落下させるように構成してもよい。液体中に金属球50cを落下させれば、貯留状態の金属球50cに落下する金属球50cの衝突が緩和されて金属球50cが傷つきにくくなるといった利点がある。 【0021】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、固体金属を落下させながら溶融させ、引き続き落下する溶融金属を冷却固化させて金属球を得ることを特徴とするものであるから、得られる金属球の表面に凹凸が生じにくいとともに製造時間の短縮が図られ、極小径であっても容易に製造することができ、しかも同一径の金属球を容易に、かつ高い寸法精度で量産することができるといった種々の効果を奏する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000114215 【氏名又は名称】ミネベア株式会社 【住所又は居所】長野県北佐久郡御代田町大字御代田4106―73
|
| 【出願日】 |
平成14年5月30日(2002.5.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096884 【弁理士】 【氏名又は名称】末成 幹生
|
| 【公開番号】 |
特開2003−342619(P2003−342619A) |
| 【公開日】 |
平成15年12月3日(2003.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−156841(P2002−156841) |
|