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【発明の名称】 焼結品およびその製造方法
【発明者】 【氏名】清水 輝夫
【住所又は居所】新潟県新潟市小金町3丁目1番1号 三菱マテリアル株式会社新潟製作所内

【氏名】丸山 恒夫
【住所又は居所】新潟県新潟市小金町3丁目1番1号 三菱マテリアル株式会社新潟製作所内

【要約】 【課題】空孔を少なくでき、しかも細部まで原料粉末を行き渡らせることができる焼結品およびその製造方法を提供する。

【解決手段】原料粉末の圧粉体を焼結した焼結品10において、焼結された前記原料粉末は直径が径大な粗粉21と直径が径小な微粉22を備える。微粉21の直径dに対する粗粉20の直径Dの比を2.4以上6.5以下に形成する。微粉22に対する粗粉21の容積比を2.5以上15以下にする。4方向或いは3方向に配置された粗粉21の中心に微粉21を配置することができる。粗粉21に対して微粉22を密に配置して空孔を少なくすることができ、なだらかなラインに形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原料粉末の成形体を焼結した焼結品において、焼結される前記粉末は直径が径大な粗粉と直径が径小な微粉を備え、前記微粉の直径に対する前記粗粉の直径の比を2.4以上6.5以下に形成したことを特徴とする焼結品。
【請求項2】 前記微粉に対して前記粗粉の容積比を2.5以上15以下にしたことを特徴とする請求項1記載の焼結品。
【請求項3】 原料粉末を粉末成形用金型で圧縮して圧粉体を成形する粉末成形工程と、前記圧粉体を加熱して焼結する焼結工程とを備え、前記粉末成形工程において、前記原料粉末は直径が径大な粗粉と直径が径小な微粉を備え、前記微粉の直径に対する前記粗粉の直径の比を2.5以上15以下に形成したことを特徴とする焼結の製造方法。
【請求項4】 前記微粉に対して前記粗粉の容積比を6.2以上72以下にしたことを特徴とする請求項3記載の焼結品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼結品およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】粉末冶金においては、例えば、金属を主成分とする原料粉末を粉末成形プレスで圧縮して圧粉体である成形体を成形し(粉末成形工程)た後、この成形体を焼結炉で加熱して焼結する(焼結工程)ことが行われる。このような工程で凹凸のある焼結品、例えば歯車を製作する際において、図6(A)に示すように原料粉末1が焼結されて結合する。しかしながら、このような歯車の製作においては、その歯車が小さいときには、結合した原料粉末間の空孔2が相対的に大きくなり、成形時の圧縮性の低下に伴う強度の低下、或いは粉末成形プレスの金型に原料粉末を充填するとき、細部、すなわち歯先まで原料粉末が充分行き渡らず成形不良の虞がある。
【0003】そこで、本発明は、前記問題を解決して空孔を少なくでき、しかも細部まで原料粉末を行き渡らせることができる焼結品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、原料粉末の成形体を焼結した焼結品において、焼結される前記原料粉末は直径が径大な粗粉と直径が径小な微粉を備え、前記微粉の直径に対する前記粗粉の直径の比を2.4以上6.5以下に形成したことを特徴とする焼結品である。
【0005】この請求項1の構成によれば、粗粉間の中心に微粉を配置することができる。
【0006】請求項2の発明は、前記微粉に対して前記粗粉の容積比を2.5以上15以下にしたことを特徴とする請求項1記載の焼結品である。
【0007】この請求項2の構成によれば、焼結品において粗粉間の中心に微粉を効率よく配置することができる。
【0008】請求項3の発明は、原料粉末を粉末成形用金型で圧縮して圧粉体を成形する粉末成形工程と、前記圧粉体を加熱して焼結する焼結工程とを備え、前記粉末成形工程において、前記粉末は直径が径大な粗粉と直径が径小な微粉を備え、前記微粉の直径に対する前記粗粉の直径の比を2.4以上6.5以下に形成したことを特徴とする焼結品の製造方法である。
【0009】この請求項3の構成によれば、圧粉体において粗粉間の中心に微粉を配置することができる。
【0010】請求項4の発明は、前記微粉に対して前記粗粉の容積比を2.5以上15以下にしたことを特徴とする請求項3記載の焼結品の製造方法である。
【0011】この請求項4の構成によれば、粗粉間の中心に微粉を効率よく配置することができる。
【0012】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施形態を添付図を参照して説明する。凹凸を有する微小な焼結体10は例えばモジュールが0.15以下となる図1に示すような歯車であり、その軸心には通孔10Aを有しており、この焼結体10の材料は鉄系である。
【0013】つぎに、図2に基づいて前記焼結体10となる圧粉体10´を成形するための粉末成形用金型の構成を説明する。図中11は粉末成形用金型たるダイ、12はコアロッド、13は下パンチ、14は上パンチであり、前記ダイ11は上下に貫通する通孔15を有しており、この通孔15の周面により圧粉体10´の外周面を形成する。また、前記コアロッド12は円柱状になっていて前記ダイ11の通孔15内に同軸的に位置しており、圧粉体10´の内周面を形成するものである。また、前記下パンチ13は円筒状になっていて前記ダイ11とコアロッド12との間に下側から上下摺動自在に嵌合されている。前記下パンチ13はその上端面により圧粉体10´の下端面を形成するものである。また、前記上パンチ14は円筒状になっていて前記ダイ11とコアロッド12との間に上側から上下摺動自在かつ挿脱自在に嵌合される。前記上パンチ14はその下端面により圧粉体10´の上端面を形成するものである。
【0014】次に前記金型を用いた粉末成形について説明する。原料粉末は、図3,4に示すように放射状に配置された4個または3個の粗粉20,20´の中心に微粉21,21´が配置されるように組み合わせたものである。尚、粗粉と微粉は粗粒と微粒とも表すことがある。図3に示す原料粉末の配置では、四方に配置された直径が径大な粗粉20の中心に、直径が径小な微粉21を配置するように圧粉体10´を成形したものである。この図3に示した粗粉20と微粉21の配置では、粗粉20の直径をDとしたとき、微粉21の直径dは、d=D(√2−1)=0.414Dとして表される。これは、図3において4方の粗粉20による大きな同じ円が隙間なく接し、その中心に微粉21による小さな円が接している状態で、△ABCは、辺AB=辺BCとなる直角2等辺三角形となり、その場合辺AC=√2ABとなり、よってD/2+d/2=√2×D/2となる。これによりd=D(√2−1)=0.414Dとなる。すなわち、粗粉20の直径Dを微粉21の直径dの2.41倍とすることで、4個の粗粉1の中心に微粉21が配置されることとなる。さらに図4に示すように3方向に配置された直径が径大な粗粉20´の中心に、直径が径小な微粉21´を配置する場合には、粗粉20´の直径をD´としたとき、微粉21´の直径d´は、d´=D´(2/√3−1)=0.155D´として表される。これは、図4において3方の粗粉20´による大きな同じ円が隙間なく接し、その中心に微粉21´による小さな円が接している状態で、△ABCは、正三角形となり、角ACDは60度となる。また∠ACD=2∠ECDであるから、∠ECD=30度となり、よってCD:CE=√3:2、√3CE=2CDとなり、√3(D´/2+d´/2)=2×D´/2となる。よってd´=(2/3×√3−1)D´=0.155D´となる。すなわち、粗粉20´の直径D´を微粉21´の直径d´の6.45倍とすることで、3個の粗粉20´の中心に微粉21´が配置されることとなる。これにより、複数の粗粉20の中心に微粉21を配置するには、前記微粉21の直径dに対する前記粗粉20の直径Dの比を2.4以上に形成すればよく、かつ複数の粗粉20´の中心に微粉21´を配置するには、前記微粉21´の直径d´に対する前記粗粉20´の直径D´の比を6.5以下に形成すればよい。
【0015】また、粗粉20と微粉21(或いは粗粉20´と微粉21´)の容積比は平均粒度(平均直径d)の微粉21の容積vに対して、平均粒度(平均直径D)の粗粉20の容積Vは、2.5以上15以下とする(V=2.5〜15×v)。これは、3次元における最稠密な空隙比は0.26となることから、V/v=(1−0.26)/0.26=2.85となり、図5のような粒度のばらつきを考慮して現実的に2.5以上がよい。また製造上図3の場合、粗粉20の中心の空間に微粉21が収容され得るものであるが、さらに微粉21を中心により小さい微粉21が収容され得るものであるので、V/v=(1−(0.26)2/(0.26)2)=13.7となる。そして、図5のような粒度の多少のばらつきを考慮して現実的には15以上がよい。
【0016】前記3次元における最稠密な空隙比が0.26となる根拠を、横軸を積み重ね方法とし縦軸を空隙率とした図9を参照して以下に説明する。■.図3に示すように水平面上に4個の球を、中心を結ぶと正方形になるように互いに相接触させ、各球の真上にまた4個の球を接して積み重ね、これを3次元に広げるような積み重ね方をすると全空隙は47%となる。■.■の積み重ねにおいて2球の接触点の真上に1つの球をこれに接して積み重ね、これを3次元に広げるような場合は、全空隙は41%となる。■3球を互いに接触させ、次にこれら3球のいずれにも接するように1つの球を積み重ね、これを3次元に広げるようにすると全空隙は26%なる。■.■の積み重ねにおいて4球に接するように積み重ね、これを3次元に広げると全空隙はまた26%なる。そして、これら4通り以外に系統だった積み重ね方がないから空隙26%は同一大の球をもっとも最稠密な充填で得られる最小値となる。
【0017】尚、粗粉20は1種類の原料粉末に限定する必要はなく、粒度が略同じ数種類のものによって形成してもよく、また微粉21も1種類の原料粉末に限定する必要はなく、粒度が略同じ数種類のものによって形成してもよい。また、粗粉20と微粉21も同じ元素のものでもよく、また異なる元素同士でもよい。
【0018】次に圧粉体20´の成形時には、まず上パンチ14がダイ11およびコアロッド12間から上方へ抜けた状態で、ダイ11上にフィーダ16が前進し、このフィーダ16からダイ11内に所定の直径D,dを形成するとともに、所定の容積の比を有する粗粉20と微粉21からなる原料粉末が充填される。つぎに、フィーダ16が後退した後、下降する上パンチ14がダイ11およびコアロッド12間に嵌合し、上パンチ14がダイ11内の原料粉末を加圧し始める。加圧完了後に圧粉体20´がダイ11から抜き出される。そして、成形された圧粉体20´は、その後焼結炉で加熱されて焼結され、焼結体20となる。
【0019】このように、前記実施形態では、粗粉20の間に微粉21が配置されて結合しているので、図6(B)に示すように空孔2´も減少し、組織が高密度となって従来の焼結品と本発明に係る焼結品を比較すると、■密度(g/cm3)が、6.8から7.25に6.7%向上し、■引張強度(MPa)が、700から1290に84%向上し、■伸び(%)が0.7から0.9に29%向上し、■衝撃値(J/cm3)が6から21に3.5倍となり、■硬さ(HRA)が65から72に11%向上した。
【0020】以上のように、前記実施形態においては原料粉末の圧粉体20´を焼結した焼結品20において、焼結された前記原料粉末は直径が径大な粗粉21と直径が径小な微粉22を備え、前記微粉21の直径dに対する前記粗粉20の直径Dの比を2.4以上6.5以下に形成したことにより、4方向或いは3方向に配置された粗粉21の中心に微粉21を配置することができ、粗粉21に対して微粉22を密に配置して空孔2´を少なくすることができるとともに、歯車の歯部の形状もながらかなラインに形成することができる。
【0021】また、前記微粉22に対する前記粗粉21の容積比を2.5以上15以下にしたことにより、微粉22が不足したり或いは余ったりするようなことはなく、精密な形状を形成することができる。
【0022】さらに、原料粉末をダイ11、コアロッド12、下パンチ13、上パンチ14などの粉末成形用金型で圧縮して圧粉体20´を成形する粉末成形工程と、前記圧粉体20´を焼結炉で加熱して焼結する焼結工程とを備え、前記粉末成形工程において、前記微粉21の直径dに対する前記粗粉20の直径Dの比を2.4以上6.5以下に形成したことにより、4方向或いは3方向に配置された粗粉21の中心に微粉21を配置することができ、圧粉体20´における圧縮性を向上して、粒度分布を密に形成することができる。
【0023】しかも、前記微粉22に対する前記粗粉21の容積比を2.5以上15以下にしたことにより、圧粉体20´において微粉22が不足したり或いは余ったりするようなことはなく、精密な形状を形成することができる。
【0024】尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、図7に示すように直径がD,dの粗粉と微粉との組合せの他に、微粉より小さい直径δ(d=(2.4〜6.5×δ)を有する超微粉をさらに組み合わせるようにした3分布の他に、4以上の分布を行なってもよい。また、焼結体としては、歯車の他に図8に示すような微細なスリットや切り欠きを備えた焼結体32やセレーションなどに利用してもよい。
【0025】
【発明の効果】請求項1の発明は、原料粉末の成形体を焼結した焼結品において、焼結される前記粉末は直径が径大な粗粉と直径が径小な微粉を備え、前記微粉の直径に対する前記粗粉の直径の比を2.4以上6.5以下に形成したことを特徴とする焼結品であり、焼結品において空孔を少なくでき、しかも細部まで原料粉末を行き渡らせることができる焼結品を提供することができる。
【0026】請求項2の発明は、前記微粉に対して前記粗粉の容積比を2.5以上15以下にしたことを特徴とする請求項1記載の焼結品であり、細部まで微粉を効率よく行き渡らせることができる。
【0027】請求項3の発明は、原料粉末を粉末成形用金型で圧縮して圧粉体を成形する粉末成形工程と、前記圧粉体を加熱して焼結する焼結工程とを備え、前記粉末成形工程において、前記粉末は直径が径大な粗粉と直径が径小な微粉を備え、前記微粉の直径に対する前記粗粉の直径の比を2.4以上6.5以下に形成したことを特徴とする焼結品の製造方法であり、圧粉体、ひいては焼結品の空孔を少なくでき、しかも細部まで原料粉末を行き渡らせることができる焼結品を提供することができる。
【0028】請求項4の発明は、前記微粉に対して前記粗粉の容積比を2.5以上15以下にしたことを特徴とする請求項3記載の焼結品の製造方法であり、細部まで微粉を効率よく行き渡らせることができる。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町1丁目5番1号
【出願日】 平成14年4月17日(2002.4.17)
【代理人】 【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
【公開番号】 特開2003−306705(P2003−306705A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2002−115416(P2002−115416)