| 【発明の名称】 |
高密度および高透磁性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】曽根 佳紀 【住所又は居所】埼玉県さいたま市北袋町1−297 三菱マテリアル株式会社総合研究所内
【氏名】五十嵐 和則 【住所又は居所】埼玉県さいたま市北袋町1−297 三菱マテリアル株式会社総合研究所内
【氏名】中山 亮治 【住所又は居所】埼玉県さいたま市北袋町1−297 三菱マテリアル株式会社総合研究所内
【氏名】森本 耕一郎 【住所又は居所】新潟県新潟市小金町3−1 三菱マテリアル株式会社新潟製作所内
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| 【要約】 |
【課題】高密度で機械的強度が優れ、さらに高周波の比透磁率の高いFe−Si系複合軟磁性焼結合金を提供する。
【解決手段】平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子を含むスピネル構造を有するフェライト粒界相により被覆されて分散しており、前記Fe−Si系軟磁性合金粒子は粒度分布がD1=30〜200μmを中心とする第1ピークと、D2=0.05〜0.5×D1μmを中心とする第2ピークを有し、第1ピークは第2ピークよりも大きな粒度分布を有する組織を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金。粒度分布がD1=30〜200μmを中心とする第1ピークと、D2=0.05〜0.5×D1μmを中心とする第2ピークを有し、第1ピークは第2ピークよりも大きな粒度分布を有するFe−Si系軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末に、平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加して混合し、得られた混合粉末を圧粉成形し焼結するFe−Si系複合軟磁性焼結合金の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】Fe−Si系軟磁性合金粒子が平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子を含むスピネル構造を有するフェライト粒界相により被覆されて分散しており、前記Fe−Si系軟磁性合金粒子は粒度分布がD1=30〜200μmを中心とする第1ピークと、D2=0.05〜0.5×D1μmを中心とする第2ピークを有し、第1ピークは第2ピークよりも大きな粒度分布を有する組織を有することを特徴とする高密度および高透磁性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金。 【請求項2】粒度分布がD1=30〜200μmを中心とする第1ピークと、D2=0.05〜0.5×D1μmを中心とする第2ピークを有し、第1ピークは第2ピークよりも大きな粒度分布を有するFe−Si系軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末に、平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加して混合し、得られた混合粉末を圧粉成形し焼結することを特徴とする高密度および高透磁性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、高密度および高透磁性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金およびその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】各種モータのロータ・ステータ、アクチュエータなどに用いられる低ロスヨーク、トランス、チョークコイルなどの磁心、磁気ヘッドのコアなどにはFe−Si系軟磁性焼結材料が用いられることは知られており、このFe−Si系軟磁性焼結材料は、質量%でSi:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系軟磁性合金粉末、またはSi:0.1〜10%、Al:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系軟磁性合金粉末を焼結して得られることが知られている。さらにスピネル構造を有するフェライトなど金属酸化物粉末を焼結して得られることが知られている。前記スピネル構造を有するフェライトは、一般に(MeFe)3O4(但し、MeはMn,Zn,Ni,Mg,Cu,FeもしくはCoまたはこれらの混合物)で表されることが知られている。 【0003】また、これらFe−Si系軟磁性合金粉末は、飽和磁束密度が高いが、高周波特性が悪く、一方、スピネル構造を有するフェライトなど金属酸化物粉末を焼結して得られた酸化物軟磁性焼結材料は、高周波特性に優れ、初透磁率が比較的高いが、飽和磁束密度が低い欠点があり、これらを改善するために、金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層を被覆してなる複合軟磁性粉末を焼結して得られたFe−Si系複合軟磁性焼結合金が提案されている(特開昭56−38402号公報参照)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前記Fe−Si系軟磁性合金粉末は硬いために通常の成形条件では十分な密度の成形体を得ることが難しく、さらに前記Fe−Si系軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層を被覆してなる複合軟磁性粉末を焼結して得られたFe−Si系複合軟磁性焼結合金は、スピネル構造を有するフェライト層が酸化物であるために焼結性が悪く、したがって、十分な密度および磁気特性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金が得られない。そのため、Fe−Si系軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層を被覆してなる複合軟磁性粉末を成形して得られる成形体は十分な密度が得られず、またこの複合軟磁性粉末の成形体を燒結して得られるFe−Si系複合軟磁性焼結合金は十分な高密度が得られないために十分な透磁性が得られない、という課題があった。 【0005】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、かかる課題を解決すべく研究を行った結果、(イ)Fe−Si系軟磁性合金粉末の粒度分布がD1=30〜200μm(一層好ましくは80〜150μm)を中心とする第1ピークと、D2=0.05〜0.5×D1μmを中心とする第2ピークを有し、第1ピークは第2ピークよりも大きな粒度分布を有するFe−Si系軟磁性合金粉末を使用して圧粉成形すると成形体の密度が一層向上するところから、この粒度分布を有するFe−Si系軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末を圧粉成形して得られる成形体の密度も一層向上する、(ロ)この粒度分布を有するFe−Si系軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末に、平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して得られた混合粉末は燒結性が向上するところから密度が向上し、したがって機械的強度が向上し、さらに磁気特性、特に高周波における比透磁率が向上する、(ハ)前記複合軟磁性粉末に二酸化ケイ素粉末を混合して得られた混合粉末を圧粉成形し焼結することにより得られたFe−Si系複合軟磁性焼結合金は、Fe−Si系軟磁性合金粒子が平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末を含むスピネル構造を有するフェライト粒界相により被覆され隔離されて分散した組織を有する、などの研究結果が得られたのである。 【0006】この発明は、かかる研究結果に基づいてなされたものであって、(1)Fe−Si系軟磁性合金粒子が平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子を含むスピネル構造を有するフェライト粒界相により被覆されて分散しており、前記Fe−Si系軟磁性合金粒子は粒度分布がD1=30〜200μmを中心とする第1ピークと、D2=0.05〜0.5×D1μmを中心とする第2ピークを有し、第1ピークは第2ピークよりも大きな粒度分布を有する組織を有する高密度および高透磁性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金、(2)粒度分布がD1=30〜200μmを中心とする第1ピークと、D2=0.05〜0.5×D1μmを中心とする第2ピークを有し、第1ピークは第2ピークよりも大きな粒度分布を有するFe−Si系軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末に、平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加して混合し、得られた混合粉末を圧粉成形し焼結する高密度および高透磁性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金の製造方法、に特徴を有するものである。 【0007】この発明の高密度および高透磁性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金の素地に分散するFe−Si系軟磁性合金粒子は、質量%でSi:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系軟磁性合金粒子、またはSi:0.1〜10%、Al:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系軟磁性合金粒子であることが好ましいが、この組成に限定されるものではなく、軟磁性を示すFe−Si系合金粒子であればいかなる成分組成のFe−Si系軟磁性合金粒子であっても良い。また、Fe−Si系軟磁性合金粒子を被覆し隔離する平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子を含むスピネル構造を有するフェライト粒界相は、一般式(MeFe)3O4(但し、MeはMn,Zn,Ni,Mg,Cu,Feまたはこれらの混合物)で表されるフェライト粒界相である。したがって、この発明の高密度および高透磁性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金を製造するために使用する複合軟磁性粉末は、質量%でSi:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系軟磁性合金粉末、またはSi:0.1〜10%、Al:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系軟磁性合金粉末の表面にフェライト層を被覆した粉末であることが好ましいが、前記Fe−Si系軟磁性合金粉末は前記成分組成に特に限定されるものではなく、軟磁性を示すFe−Si系合金粉末であればいかなる成分組成のFe−Si系軟磁性合金粉末であっても良い。 【0008】この発明の高密度および高透磁性を有するFe−Si系複合軟磁性焼結合金に含まれる二酸化ケイ素粉末の平均粒径を100nm以下に限定した理由は、二酸化ケイ素粉末の平均粒径が100nmを越えると焼結性向上効果が低下すると共に比透磁率が低下するからである。この二酸化ケイ素粉末の平均粒径の下限は製造コストの面から1nm以上であることが一層好ましい。また、平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末の添加量を0.05質量%以上にした理由は、平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素が0.05質量%未満含まれていても焼結性に大きく影響を及ぼすことはなくまた比透磁率が低下するからであり、一方、1.0質量%を越えて含有すると非磁性相の割合が多くなり、比透磁率の低下をもたらすので好ましくないことによるものである。二酸化ケイ素粉末の添加量の一層好ましい範囲は0.1〜0.5質量%である。 【0009】 【発明の実施の形態】表1に示される成分組成を有するFe−Si系軟磁性合金原料を高周波溶解して溶湯を作製し、これら溶湯を水アトマイズしてFe−Si系軟磁性合金アトマイズ粉末を作製し、そのアトマイズ粉末を分級処理してFe−Si系軟磁性合金アトマイズ原料粉末を作製した。このアトマイズ原料粉末をさらに風力分級機により分級し、表1に示されるD1=30〜200μmを中心とする第1ピークと、D2=0.05〜0.5×D1μmを中心とする第2ピークを有するFe−Si系軟磁性合金粉末を作製した。このFe−Si系軟磁性合金粉末の粒度分布はマイクロトラック装置により測定した。 【0010】このようにして得られたFe−Si系軟磁性合金粉末をイオン交換水に浸漬してよく撹拌したのち、窒素により十分に脱酸素を行なった。この窒素により十分に脱酸素を行なったイオン交換水に、金属塩化物(MCl2,ただしM=Fe、Zn、Mn)を溶かし、酸化物膜組成が得られるよう調製された金属塩化物水溶液を静かに注ぎ、その後NaOH水溶液によりpHを7.0に調整した。この混合液を70℃一定に保ち、0.5〜3時間に渡り空気を吹き込みながら緩やかに撹拌し、Fe−Si系軟磁性合金粉末の表面に表1に示される厚さの(Mn17Zn16Fe67)3O4フェライト膜を成膜した。その後、このフェライト膜を成膜したFe−Si系軟磁性合金粉末を濾過、水洗、乾燥することにより複合軟磁性粉末A〜dを得た。 【0011】得られた複合軟磁性粉末A〜dに、表2に示す平均粒径のSiO2粉末を表2に示す割合となるように混ぜ、6ton/cm2の成形圧をかけることにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を不活性ガス雰囲気中、1000℃の温度で焼結することによりリング状焼結体からなる本発明Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜12、比較Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜7および従来Fe−Si系複合軟磁性焼結合金を作製した。このようにして得られたリング状焼結体の組織をSEMで観察した結果、本発明Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜12および比較Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜7にはいずれもSiO2粉末がフェライト粒界相中に分散している組織を有していた。さらにこれら本発明Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜12、比較Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜7および従来Fe−Si系複合軟磁性焼結合金についてSEMで被測定粒子群の濃淡画像を入力し、それに粒子分離画像処理を施し、この画像よりFe−Si系軟磁性合金粒子の円相当径法にて求めた面積を基に各粒子の直径を求め、求めた直径を集計することにより粒度分布を求めたところ、本発明Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜12、比較Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜7および従来Fe−Si系複合軟磁性焼結合金の各組織におけるFe−Si系軟磁性合金粒子は前記アトマイズ粉末の粒度分布とほぼ同じ粒度分布を示していた。その後、さらにFe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜12、比較Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜7および従来Fe−Si系複合軟磁性焼結合金の相対密度を測定し、その結果を表3〜4に示した。さらに、本発明Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜12、比較Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜7および従来Fe−Si系複合軟磁性焼結合金について表3〜4に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表3〜4に示した。 【0012】 【表1】
【0013】 【表2】
【0014】 【表3】
【0015】 【表4】
【0016】表1〜4に示される結果から、Fe−Si系複合軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末にSiO2粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合し圧粉成形し焼結して得られた本発明Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜12は、従来Fe−Si系複合軟磁性焼結合金に比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。しかし、この発明の範囲から外れた条件で作製した比較Fe−Si系複合軟磁性焼結合金1〜7は密度または比透磁率の内の少なくともいずれかが劣るので好ましくないことが分かる。 【0017】 【発明の効果】この発明は、高密度で機械的強度が優れ、さらに高周波の比透磁率の高いFe−Si系複合軟磁性焼結合金を提供することができ、電気および電子産業において優れた効果をもたらすものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006264 【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区大手町1丁目5番1号
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| 【出願日】 |
平成14年4月17日(2002.4.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076679 【弁理士】 【氏名又は名称】富田 和夫 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−306704(P2003−306704A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月31日(2003.10.31) |
| 【出願番号】 |
特願2002−114158(P2002−114158) |
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