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【発明の名称】 チップ型インダクタの製造方法
【発明者】 【氏名】平田 守一
【住所又は居所】埼玉県鶴ケ島市大字五味ケ谷18番地 東光株式会社埼玉事業所内

【氏名】横田 文男
【住所又は居所】埼玉県鶴ケ島市大字五味ケ谷18番地 東光株式会社埼玉事業所内

【要約】 【課題】磁性粉末を加圧成形して得た圧粉体11を加熱し、磁性粉末に含まれるバインダを反応させて圧粉体11を硬化させる際に、電極13に接する付近や凹凸のある部分などにクラックが発生しやすい問題があった。

【解決手段】熱硬化性樹脂からなるバインダを含む磁性粉末を加圧成形して内部にコイル12を埋設した圧粉体11を形成した後、微小粒体40で満たした圧力容器30内に圧粉体11を収容し、微小粒体40を介して圧粉体11を加圧した状態で圧粉体11を加熱して硬化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱硬化性樹脂からなるバインダを含む磁性粉末を加圧成形して内部にコイルを埋設した圧粉体を形成した後、微小粒体で満たした圧力容器内に該圧粉体を収容し、微小粒体を介して圧粉体を加圧した状態で該圧粉体を硬化させることを特徴とするチップ型インダクタの製造方法。
【請求項2】 微小粒体で圧粉体を加圧すると同時に、該圧粉体を加熱する請求項1のチップ型インダクタの製造方法。
【請求項3】 微小粒体が、ガラス、ステンレス、セラミックの中から選ばれた材料からなる請求項1のチップ型インダクタの製造方法。
【請求項4】 高圧容器内の圧粉体の表面を薄膜シートで被い、微小粒体と薄膜シートを介して圧粉体を加圧するようにした請求項1のチップ型インダクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性体内にコイルを内蔵したチップ型インダクタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5はこの種のチップ型インダクタ10の一例を示している。磁性体からなる圧粉体11の内部にコイル12が埋め込まれ、コイル12の両端末はそれぞれ電極13に接続されている。圧粉体11の原材料としては、例えば鉄あるいはセンダスト、パーマロイ等の金属磁性粉を熱硬化性樹脂からなるバインダ(接合剤)で包み込んだ磁性粉末が用いられる。この磁性粉末を加圧して圧粉体11を成形した後、バインダを加熱し反応させて硬化させてある。
【0003】このようなインダクタの製造は、従来、次のようにして行っていた。先ず、コイル12を内部に埋め込んだ磁性粉末を金型に入れ、1平方cm当たり2トン程度の圧力で加圧して圧粉体11を成形する。この時点では圧粉体11に含まれる熱硬化性樹脂からなるバインダは未反応状態にあり、圧粉体11は所定の形状に固められているが未だ硬化していない。そこで、このインダクタ10を高温炉に通して加熱し、バインダを反応させて圧粉体11を硬化させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、圧粉体11の内部応力と材質別の熱膨張の作用により、圧粉体11が硬化する際に特に電極13に接する付近や凹凸のある部分などにクラックが発生しやすいという問題があった。そこで本発明は、このクラックの発生を防止できるチップ型インダクタの製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によるチップ型インダクタの製造方法は、熱硬化性樹脂からなるバインダを含む磁性粉末を加圧成形して内部にコイル12を埋設した圧粉体11を形成した後、微小粒体で満たした圧力容器内に圧粉体11を収容し、微小粒体を介して圧粉体11を加圧した状態で圧粉体11を硬化させることを特徴とする。
【0006】
【実施例】図2はチップ型インダクタ10の製造途中の断面図であり、コイル12を内部に埋め込んだ磁性粉末を金型で加圧して圧粉体11を成形した直後の状態である。この後、圧粉体11に含まれる熱硬化性樹脂からなるバインダを反応させて圧粉体11を硬化させ、さらに電極13を折り曲げ成形して図5に示したようなチップ型インダクタとされる。
【0007】本発明によるチップ型インダクタの製造方法は、インダクタの圧粉体を硬化させる工程に特徴を有する。以下、図2に示したインダクタ10を例にとり、その圧粉体11を硬化させる工程について、図面を参照して説明する。
【0008】図1はインダクタ10の圧粉体11を硬化させる装置の概要を示すもので、保持具20に取付けた複数のインダクタ10を筒形の圧力容器30の内部に収容してある。圧力容器30内部の残りの空間には隙間なく微小粒体40が充填してあり、インダクタ10は図3のように微小粒体40の中に埋没した状態となっている。
【0009】圧力容器30両端の開口部は、圧力容器30内の一定の範囲をスライド可能な側板32によって、密封した状態に塞いである。二つの側板32には図1の矢印方向の圧力が加えられ、圧力容器30の内部を満たしている微小粒体40を圧縮するように両側から加圧する。
【0010】微小粒体40としては、ガラスあるいはステンレス、セラミック等からなる球体を用いる。この球体の大きさは圧粉体11の外形寸法や凹凸の状態に応じて決められるが、通常のインダクタの場合は直径が50〜300μm程度となる。微小粒体40は表面が平滑で摩擦係数の低いものを選ぶことにより液体に類似した性質が得られ、液体と同様に加圧力は伝播される。このため、側板32による加圧力は微小粒体40を介してインダクタ10の圧粉体11の外周全面に作用することになる。
【0011】そして、微小粒体40を介して圧粉体11を加圧した状態を維持したまま、圧力容器30ごと圧粉体11が加熱される。その結果、圧粉体11の温度が上昇してバインダが反応し、外周全面に圧力が加わっている状態の下で圧粉体11は硬化する。この後、側板32を開放して圧力容器30内の圧力を解除し、取り出したインダクタ10の電極を折り曲げ成形することによりチップ型インダクタとして完成する。
【0012】図1の装置をさらに具体化した構成例を図4に示す。これは圧力容器30の両端の開口部を塞ぐ二つの側板32を、スプリング50の弾性によって内側に付勢して加圧するものである。この例では、等間隔に配置した3本のスプリング50を二つの側板32の間に取付けてある。スプリング50を使用する代わりに、側板32を圧力容器30内に進入自在なピストンで構成するようにしてもよい。
【0013】なお、圧粉体11のバインダを硬化させる際の温度は、圧粉体11に使用される磁性粉末の温度特性に応じて決められる。バインダの材料によっては硬化させるための加熱が不要となる場合もある。圧粉体11の硬化後に圧力容器30から取り出したインダクタ10と微小粒体40との分離を容易にするために、インダクタ10全体あるいは圧粉体11部分をポリエチレン樹脂等からなる薄膜シートで被ってから圧力容器30に入れて硬化させるようにしてもよい。
【0014】
【発明の効果】圧粉体の外面形状に大きな凹凸があると特にクラックができやすいが、本発明によれば凹凸があっても圧粉体の外面全体が均等に押圧された状態で硬化するので、クラックの発生のない良好な圧粉体を得ることができる。また、磁性粉末の原材料や配合比率を変更したときでも、圧粉体に加える圧力を調整することでクラックが出ないように容易に対応できる。熱硬化性樹脂が反応過程でゲル化する時にも外周全面から継続して圧力が加えられることになるので、圧粉体の密度のばらつきが少なくなり、インダクタの電気的特性が安定化する効果もある。
【出願人】 【識別番号】000003089
【氏名又は名称】東光株式会社
【住所又は居所】東京都大田区東雪谷2丁目1番17号
【出願日】 平成14年4月19日(2002.4.19)
【代理人】 【識別番号】100073737
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 優
【公開番号】 特開2003−306702(P2003−306702A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2002−117761(P2002−117761)