| 【発明の名称】 |
アルミニウム基複合材料の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】上井 久雄 【住所又は居所】東京都中央区日本橋小網町19番5号 曙ブレーキ工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】一つの成形方法で低いセラミックス体積含有率(15%)から高いセラミックス体積含有率(70%)まで広範囲にわたって複合させることができるアルミニウム基複合材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】セラミックス粉末とアルミニウム粉末とを攪拌混合しバインダーを添加した後、押し固めてプリフォーム体を成形し、該プリフォーム体にアルミニウム溶融金属を含浸侵入させる。セラミックス粉末量に対するアルミニウム粉末量を調整することによりアルミニウム基複合材料のセラミックス体積含有率を可変とすることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】セラミックス粉末とアルミニウム粉末とを攪拌混合しバインダーを添加した後、押し固めてプリフォーム体を成形し、該プリフォーム体にアルミニウム溶融金属を含浸侵入させたアルミニウム基複合材料の製造方法。 【請求項2】前記セラミックス粉末量に対するアルミニウム粉末量を調整することによりアルミニウム基複合材料のセラミックス体積含有率を可変とした請求項1記載のアルミニウム基複合材料の製造方法。 【請求項3】前記セラミックス粉末量に対する前記アルミニウム粉末量の混合割合が異なる複数のプリフォーム体を組合せた後、該複数のプリフォーム体にアルミニウム溶融金属を含浸侵入させた請求項2記載のアルミニウム基複合材料の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム基複合材料の製造方法に係り、特にアルミニウム基材にセラミックス強化材を任意の体積含有率で複合させたアルミニウム基複合材料の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車等の軽量化や省エネルギーの見地から、これに組み込まれる部品の軽量化が望まれている。一方、かかる部品はその用途に応じて耐熱性、耐摩耗性、加工性、耐久性等の各種の性能が要求される。そこで、かかる要求を満足すべく、アルミニウム基材にセラミックス強化材を含有させたアルミニウム基複合材料が開発されている。 【0003】そして、このようなセラミックス強化材を含有させたアルミニウム基複合材料の製造方法として、アルミニウム溶湯中にセラミックスの強化粒子を添加し、これを製品形状になるように鋳造する方法、あるいはアルミニウム粉末にセラミックス粉末を添加し、加圧焼成して製品形状に仕上げる粉末焼成成形法が一般的に知られている。また、金型内にセラミックスの予備成形体(プリフォーム体)をセットしておき、溶融アルミを用いて高圧で鋳造してプリフォーム体の含浸空隙にアルミニウムを浸透させる加圧鋳造法や、製品形状に合わせてセラミックス粉末プレス成形してプリフォーム体を製作しておき、アルミニウムが溶融している含浸炉にプリフォーム体を投入しプリフォーム体の含浸空隙にアルミニウムを浸透させる非加圧浸透法等も採用されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来採用されているセラミックス強化材を含有させたアルミニウム基複合材料の製造方法のうち、アルミニウム溶湯中にセラミックスの強化粒子を添加して製品を鋳造する方法は、添加する強化粒子の比重がアルミニウムの比重(2.7)と離れていると、添加粒子が均一に分散されず所期の性能を発揮する部品を得ることができず、添加粒子の種類が制限されるという問題点があり、その上セラミックス強化粒子の添加量を増やしてセラミックス含有率を20%以上に上げようとすると、溶湯がシャーベット状となり、鋳造できなくなる欠点を有していた。また、粉末焼成成形法においては、加圧焼成する関係から、平板とか丸棒等の単純形状の製品しか扱えなかった。 【0005】一方、浸透法のうち加圧鋳造法でアルミニウム基複合材料を造る場合は、圧力をかけるので、セラミックス含有量の高いプリフォーム体は鋳造時にクラックの発生や変形が起こり易く、セラミックス体積含有率の高いアルミニウム基複合材料を得ることができなかった。更に、比較的厚肉のプリフォーム体では奥の方まで完全にアルミニウムが浸透しない未浸透現象も生じる恐れもあった。 【0006】また、非加圧浸透法においては、セラミックス体積含有率が30%から70%程度のものまでは製作することが可能であるが、セラミックス体積含有率が30%以下のものを造ろうとすると、プリフォーム体の強度が低下(3Kg/cm2以下となる)して形状保持が困難となり、粒子径の大きな強化材を用いなくてはならず、複雑な形状のフォーム成形は無理であった。 【0007】このようにセラミックス強化材を含有させたアルミニウム基複合材料の製造方法は種々あるが、広範囲にわたってセラミックス体積含有率を複合させるアルミニウム基複合材料の製造方法はなく、部品の要求される性能に応じて最適な製造方法を選択するようにしていた。 【0008】本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、一つの成形方法で低いセラミックス体積含有率(15%)から高いセラミックス体積含有率(70%)まで広範囲にわたって複合させることができるアルミニウム基複合材料の製造方法を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のアルミニウム基複合材料の製造方法は、セラミックス粉末とアルミニウム粉末とを攪拌混合しバインダーを添加した後、押し固めてプリフォーム体を成形し、該プリフォーム体にアルミニウム溶融金属を含浸侵入させる方法にある。これによれば、セラミックス体積含有率が30%以下のアルミニウム基複合材料を造る場合でも、プリフォーム体の強度が低下することなく形状保持がしっかりと保てるので、セラミックス強化材を広範囲にわたって含有させることができる。 【0010】本発明のアルミニウム基複合材料の製造方法は、前記セラミックス粉末量に対するアルミニウム粉末量を調整することによりアルミニウム基複合材料のセラミックス体積含有率を可変とすることが好ましい。このようにすれば、セラミックス体積含有率が異なる各種のアルミニウム基複合材料を容易に得られる。 【0011】本発明のアルミニウム基複合材料の製造方法は、前記セラミックス粉末量に対する前記アルミニウム粉末量の混合割合が異なる複数のプリフォーム体を組合せた後、該複数のプリフォーム体にアルミニウム溶融金属を含浸侵入させることが好ましい。このようにすれば、一つの部品において、要求される性能が各部分で異なる場合でも、その要求される性能を満足するようなセラミックス体積含有が異なる部品を容易に製作することができる。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明は種々の製品に応用可能であるが、以下、ブレーキロータの具体的製法について図1乃至図4に基づいて説明する。図1はブレーキロータの分解斜視図であり、図2は本発明のアルミニウム基複合材料の製造方法の工程説明図であり、図3はブレーキロータのプリフォーム体であり、図4は本発明のアルミニウム基複合材料の製造過程における組織を模式的に表したもので、(a)はプリフォーム形成時、(b)は溶融アルミニウム侵入時、(c)アルミニウム複合材料製造時を表している。 【0013】図1に示すように、ブレーキロータ1はパッド摺動面部2とハット部3で構成され、パッド摺動面部2はブレーキパッドにより頻繁に強圧されるので、耐摩耗性や耐熱性が要求される。一方、ハット部3は車輪への取付部となるので、加工性、割れ耐久性及び疲労強度性が高いことが要求される。 【0014】このため、図2の手順100aにおいて、パッド摺動面部2は、その仕上げ時においてセラミックス体積含有率が40%程度になるように、セラミックス粉末量を多くしてアルミニウム粉末と攪拌混合する。これに対し手順100bにおいてハット部3は、仕上げ時においてセラミックス体積含有率が15%程度になるように、アルミニウム粉末量に対しセラミックス粉末量を少なくして攪拌混合する。 【0015】アルミニウム粉末量に対しセラミックス粉末量をどの程度にすれば所要のセラミックス体積含有率を有するアルミニウム基複合材料となるかは、アルミナとか炭化珪素といったセラミックス粉末の種類、セラミックス粉末材とアルミニウム粉末材の粒径や粒度分布、バインダーの比率及びプリフォーム体形成時の成型圧力等により変わるので、予め製作した実験データに基づいて決定している。 【0016】次に図2の手順101aにて、攪拌混合したパッド摺動面部用の粉末にバインダー混入し、金型を用いて図1で示したパッド摺動面部2となるようにプレス成形したプリフォーム体を2つ製作する。同様に手順101bにて、攪拌混合したハット部用の粉末にバインダー混入し、金型を用いて図1で示したハット部3となるようにプレス成形したプリフォーム体を製作する。図4(a)はセラミックス体積含有率を15%有するアルミニウム基複合材料を製造するときのハット部のプリフォーム体の組織図であり、重量含有率でセラミックス粉末53wt%、アルミニウム粉末(斜線部)45wt%、バインダー2wt%とし、成形圧力を10Kgf/cm2とした場合のものを模式的に表している。 【0017】この後、手順102に進んで、図3に示すように、パッド摺動面部のプリフォーム体2A,2Bとハット部のプリフォーム体3Aを組合せる。 【0018】この組合わされたプリフォーム体を、窒素ガス雰囲気中で型保持部材に載置固定して、基材金属としてのアルミニウム溶融温度である約700℃から900℃に昇温されている含浸炉に投入する手順104の含浸処理工程に進む前に、熱衝撃によるプリフォーム体のクラック発生を防ぐために、手順103にて予備炉で徐加熱をする。 【0019】手順104の含浸処理工程においては、アルミニウム溶融金属が毛細管現象によりプリフォーム体の含浸空隙に侵入し、図4(b)に示すような溶融アルミニウムとセラミックスとの複合組織が得られる。 【0020】最後に、手順105で、含浸炉から取り出された成型品は、金属基材が固化するまで冷却工程に供給され、製品として仕上げられる。固化後の金属組織は、図4(c)に示すようにマトリックス金属を形成する。 【0021】このように、ブレーキロータにおいて、パッド摺動面部はセラミックス体積含有率が40%となるアルミニウム基複合材料として耐摩耗性や耐熱性の向上を図り、ハット部はセラミックス体積含有率が15%となるアルミニウム基複合材料として加工性、割れ耐久性及び疲労強度性の向上を図ったものを非加圧浸透法だけで製作することが可能となった。 【0022】上記実施例ではブレーキロータを例示して説明してきたが、図5のブレーキキャリパの側断面図に示すように、高剛性を必要とするキャリパ部10をセラミックス体積含有率が50%となるアルミニウム基複合材料で、そして加工性を要求されるシリンダ部12は、セラミックス体積含有率が15%となるアルミニウム基複合材料で一体に製作することも可能である。 【0023】図6(a)はセラミックス体積含有率(以下Vfとする)が14.8%から37%まで変化するときの引っ張り強度と伸び率の実験データを示したグラフであり、図6(b)はそのときのセラミックス体積含有率Vfが37%、33.8%、22.2%及び14.8%の時のミクロ組織図の写真であり、黒色がセラミックス、白色がアルミニウムを表している。 【0024】Vfが37%の場合は伸び率は低く、引っ張り強度は230MPa程度あり比較的高い。ミクロ組織はアルミニウムもセラミックスも細かい状態で均等に分散されている。Vfが33.8%、22.2%となるに従って、引っ張り強度は下がり伸び率が上昇してくるのがわかる。ミクロ組織は、アルミニウムの分布割合が増え、セラミックスの固まりに大小のばらつきが出てくる。Vfが14.8%では、引っ張り強度は低下しないが伸び率が大きくなるのがわかる。組織的にはアルミニウムがセラミックスの間をマトリックス状に隈無く入り込んでいる状態がわかる。 【0025】このように、アルミニウム粉末量とセラミックス粉末量を調整することにより、要求される物品の性能に見合ったセラミックス体積含有率を複合したアルミニウム基複合材料を非加圧浸透法で得ることができる。なお、本実施例では、混合割合の異なるプリフォーム体は、単に組合せた後に含浸されるアルミニウムによってこれらが一体化されたが、それらのプリフォーム体を接着剤により前もって結合しても良い。 【0026】 【発明の効果】本発明は以下の効果を奏する。 【0027】(a)請求項1項の発明によれば、セラミックス体積含有率が30%以下のアルミニウム基複合材料を造る場合でも、プリフォーム体の強度が低下することなく形状保持がしっかりと保てるので、セラミックス強化材を広範囲にわたって含有させることができる。 【0028】(b)請求項2項の発明によれば、セラミックス体積含有率が異なる各種のアルミニウム基複合材料を容易に得られる。 【0029】(c)請求項3項の発明によれば、一つの部品において、要求される性能が各部分で異なる場合でも、その要求される性能を満足するようなセラミックス体積含有が異なる部品を容易に製作することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000516 【氏名又は名称】曙ブレーキ工業株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋小網町19番5号
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| 【出願日】 |
平成14年3月6日(2002.3.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094721 【弁理士】 【氏名又は名称】来住 洋三
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| 【公開番号】 |
特開2003−253308(P2003−253308A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月10日(2003.9.10) |
| 【出願番号】 |
特願2002−60502(P2002−60502) |
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