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【発明の名称】 低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法
【発明者】 【氏名】▲冬▼ 慶平
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【氏名】古徳 浩一
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【氏名】井郷 康之
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【氏名】中川 和彦
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【氏名】鈴村 隆志
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【要約】 【課題】低熱膨張高熱伝導性複合材を高い効率に基づく低コストのもとに製造することができ、さらに、得られる複合材に対して高い成型密度を与えることのできる低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法を提供する。

【解決手段】低熱膨張性の酸化第1銅粉と高熱伝導性の銅粉の混合体よりビレットを成型し、得られたビレットに熱間押出加工を施すことによって酸化第1銅粉が押出方向に配向した成型体に加工する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】低熱膨張性の無機化合物粉と高熱伝導性の金属粉の混合体に成型加工を施すことによって所定の形状に成型する低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法において、前記混合体よりビレットを成型し、得られたビレットに熱間押出加工を施すことによって、前記混合体を前記無機化合物粉が押出方向に配向した成型体に加工することを特徴とする低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法。
【請求項2】前記混合体よりビレットを成型するステップは、前記低熱膨張性の無機化合物粉として酸化銅粉を含み、前記高熱伝導性の金属粉として銅粉を含む前記混合体を使用して行われることを特徴とする請求項1項記載の低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法。
【請求項3】前記混合体よりビレットを成型するステップは、15〜60体積%の前記酸化銅を含む前記混合体を使用して行われることを特徴とする請求項2項記載の低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法。
【請求項4】前記熱間押出加工のステップは、押出後の断面積比において、アスペクト比が2以上の第1酸化銅粒子が全酸化銅粒子の50%以上を占めるように行われることを特徴とする請求項2項記載の低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法。
【請求項5】前記熱間押出加工のステップは、押し出される前記ビレットの断面減面率が50%以上となるように行われることを特徴とする請求項4項記載の低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法。
【請求項6】前記熱間押出加工のステップは、400〜1000℃の温度範囲において行われることを特徴とする請求項2項記載の低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法に関し、特に、低熱膨張高熱伝導性複合材を高効率かつ高成型密度のもとに製造することのできる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】中央演算装置等の半導体装置においては、半導体チップの高容量化および高速化に伴い発熱量が増大する傾向にある。このため、発熱に起因する半導体チップの特性劣化を防止して長寿化を図る意味から、半導体装置に放熱材を取り付け、半導体装置からの熱を放熱材より放出させることによって、半導体装置およびその周辺領域での温度上昇を抑制することが行われている。
【0003】通常、これには、銅の放熱材が使用されている。銅の放熱材は、393W/(m・K)という高い熱伝導率を有しているため、熱を効率よく吸収して放熱できる特質を有するとともに、低価格に調達できる利点を有していることから、プラスティックスパッケージ等のLSI用放熱材として広く活用されている。
【0004】しかし、銅を構成材とした放熱材によると、16.7×10-6/Kという高い熱膨張係数を有するため、これを発熱量の大きな、たとえば、オン・オフ機能を有する電力エネルギー変換や制御系の半導体装置に適用することは難しく、従って、このような用途には、熱膨張係数の小さなAl−SiC、Cu−W、Cu−Mo等の複合材、あるいはMoやW等の単一材が構成材として使用されているが、これらは、いずれも、高価格という欠点を有している。
【0005】低価格であり、従って、経済的に有利な銅の特質を活かし、かつ、高熱膨張性の問題を解決し得た放熱材として、無機化合物粉と銅等の金属粉の混合体をシート状に成型し、これを焼結した複合材が提案されている。無機化合物の低い熱膨張性と金属の優れた熱伝導性とを組み合わせたもので、特性およびコストの両面において優れた放熱材として注目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のこのタイプの複合材によると、混合粉からのシートへの成型がプレス加工によって行われるため、成型作業が間歇的となって効率が悪く、従って、折角の銅等を構成材とする低コスト性が、成型効率の低さによって減殺されてしまい、充分な経済的利益を得られない実情にある。また、焼結によって得られる複合材の構成密度にも限界があり、このことによる特性への影響にも無視できないものがある。
【0007】従って、本発明の目的は、低熱膨張高熱伝導性複合材を高い効率に基づく低コストのもとに製造することができ、さらに、得られる複合材に対して高い成型密度を与えることのできる低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するため、低熱膨張性の無機化合物粉と高熱伝導性の金属粉の混合体に成型加工を施すことによって所定の形状に成型する低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法において、前記混合体よりビレットを成型し、得られたビレットに熱間押出加工を施すことによって、前記混合体を前記無機化合物粉が押出方向に配向した成型体に加工することを特徴とする低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法を提供するものである。
【0009】本発明における低熱膨張性の無機化合物粉としては、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ニッケルあるいは酸化アルミニウム等の金属酸化物の粉末が好適例としてあげられ、一方、高熱伝導性の金属粉としては、銅、アルミニウムあるいはこれらの合金等の粉末を挙げることができる。
【0010】なかでも、銅と、第1酸化銅(Cu2O)あるいは第2酸化銅(CuO)との組み合わせが好ましく、この組み合わせを採用するときには、得られる複合材に対して特に優れた低熱膨張性と高熱伝導性とを付与することができる。
【0011】なお、上記した2種類の酸化銅のうち、第2酸化銅は、熱間押出加工時、あるいはその前に必要によって施される焼結の際に、CuO+Cu→Cu2Oの反応によって第1酸化銅に変化して安定化するので、いずれの酸化銅を原料として使用する場合にも、得られる複合材の構成成分は同じとなる。
【0012】また、金属粉として酸化銅を選択するときの、銅粉との混合体に占める割合としては、下限においては、熱間押出をした複合材に放熱材として相応しい15×10-6/Kよりも小さな低熱膨張率を与えるため、そして、上限においては、熱間押出時における成型性を確保し、これによって押出品に表面割れあるいはコーナー部割れ等を発生させないために、体積比で15〜60%の範囲内に設定することが好ましい。なお、同じ理由に基づいた、より好ましい酸化銅の混合比としては、25〜50体積%に設定することができる。
【0013】本発明において、酸化銅粉と銅粉より構成される混合体を押出加工するに際しては、アスペクト比が2以上の第1酸化銅粒子が、断面積比で全酸化銅粒子の50%以上を占めるように行うことが好ましい。加工がこのように行われると、第1酸化銅粉の押出方向への配向密度が特に高まり、結果として、成型密度の高い高品質の低熱膨張高熱伝導性複合材が製造されるようになる。
【0014】なお、アスペクト比が2以上の第1酸化銅粒子の占有比を、全酸化銅粒子の50%以上とするためには、熱間押出の際のビレットの断面減面率を50%以上に設定することが好ましく、減面率がこれを下廻ると、アスペクト比が2以上の第1酸化銅の粒子減による押出方向への配向性が減少し、成型密度の低下を招くようになるので好ましくない。
【0015】混合体より成型されたビレットは、そのまま単に熱間押出装置に供給される場合と、強度付与のために熱間押出の前に焼結される場合とがあり、いずれを採るかは、状況に応じて決めればよい。また、ビレットの成型方法としては、冷間プレス成型法、あるいはCIP(Cold Isostatic Pressing)成型法等が挙げられる。
【0016】酸化銅粉と銅粉の混合体を熱間押出するための加工温度としては、400〜1000℃が好ましく、これを下廻ると、酸化銅粉の変形抵抗が大きくなり、押出後において、アスペクト比2以上の第1酸化銅粒子の占有率が全酸化銅粒子の50%未満に減少するようになり、さらに、押出品表面に割れが発生しやすくなるので好ましくない。
【0017】また、逆に、加工温度を上記範囲を超えて設定するときには、加熱炉等の押出熱源、および押出ダイスに加わる熱負荷が大きくなり、このため、熱源および押出ダイスの寿命が短くなるので好ましくない。なお、同じ理由による、より好ましい押出加工温度は、600〜900℃である。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明による低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法の実施の形態を表1に基づいて説明する。なお、表1において、相対密度は、アルキメデス法により測定し、熱膨張率は、室温〜300℃の温度範囲でTMA(Thermal Mechanical Analysis)装置により測定し、さらに、熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定した。酸化第1銅の粒子観察は、光学顕微鏡による。
【0019】
【表1】

【0020】
【実施例1〜4】平均粒径が48μmの電解銅粉と粒径が20μm以下の第1酸化銅粉を表1に示される実施例1〜4の比率のもとに混合し、それぞれ5000gずつの混合物とした後、これらを、スチールボールを入れた乾式ボールミル内で10時間攪拌することによって各例ごとの混合体を調合した。
【0021】次に、これらの混合体を内径が150mmの金型に充填して冷間プレスを行い、得られた予備成型体をアルゴンガス中で焼結することにより押出用ビレットとした後、これらのビレットを表1に示された条件下で熱間押出加工することにより、それぞれ所定の低熱膨張高熱伝導性複合材を製造した。なお、冷間プレスは、第1酸化銅の含有量に応じて400〜2500kgf/cm2の圧力で行い、焼結は、950℃×3時間の条件で行った。
【0022】
【実施例5〜8】実施例1〜4において、電解銅粉として平均粒径が25μmのものを、第1酸化銅粉として粒径が15μm以下のものをそれぞれ使用し、これらを表1の実施例5〜8の比率下に混合するとともに、冷間プレスされたビレットを焼結工程を経ずにそのまま表1に示された条件下で熱間押出加工し、さらに、他を同一条件に設定することによって、それぞれ所定の低熱膨張高熱伝導性複合材を製造した。
【0023】
【実施例9〜12】平均粒径が40μmの電解銅粉と粒径が350μm以下の第1酸化銅粉を実施例1〜4と同様にして表1の実施例9〜12の比率のもとに混合し、得られた混合体を内径が150mmのゴム袋に入れてCIP成型法(成型圧力1000大気圧)により押出用ビレットに加圧成型した後、これらのビレットを表1に示される条件下で熱間押出加工することによって、それぞれ所定の低熱膨張高熱伝導性複合材を製造した。
【0024】表1によれば、得られた各複合材とも、アスペクト比が2以上の第1酸化銅粒子が全酸化銅粒子の50%以上を占め、従って、高い相対密度を有するとともに、この種複合材本来の特質である低水準の熱膨張率と高水準の熱伝導率を有していることが認められる。
【0025】しかも、これらの複合材においては、連続作業の可能な熱間押出に基づいて製造が行われるため、作業が高効率下に遂行されることとなり、従って、従来のこの種複合材におけるコスト上の問題を効果的に解決することが可能となる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による低熱膨張高熱伝導性複合材の製造方法によれば、低熱膨張性の無機化合物粉と高熱伝導性の金属粉の混合体よりビレットを成型し、得られたビレットに熱間押出加工を施すことによって無機化合物粉が押出方向に配向した成型体に加工するものであるため、作業が連続的となり、従って、高い効率に基づく低コストのもとに製造作業を遂行することができるとともに、押出加工による粒子の配向性に基づいた成型密度の高い高品質の低熱膨張高熱伝導性複合材を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005120
【氏名又は名称】日立電線株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号
【出願日】 平成14年1月30日(2002.1.30)
【代理人】 【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
【公開番号】 特開2003−221604(P2003−221604A)
【公開日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願番号】 特願2002−21070(P2002−21070)