| 【発明の名称】 |
焼結金属の製造方法及びその方法により製造された回転圧縮機のフランジ |
| 【発明者】 |
【氏名】崔 東峻
【氏名】金 始亨
【氏名】林 星均
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| 【要約】 |
【課題】耐磨耗性及び耐久性に優れた焼結金属の製造方法及びその方法により製造された回転圧縮機のフランジを提供することを目的とする。
【解決手段】金属粉末を混練して加圧成形した後、焼結し、前記焼結金属を所定期間にわたりサブゼロ処理し、所定の圧縮残留応力が存在する状態で加熱処理する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属粉末を混練して加圧成形した後、焼結する焼結金属成形段階と、前記成形段階を経た焼結金属を所定期間にわたりサブゼロ処理する段階と、前記サブゼロ処理の後、所定の圧縮残留応力が存在する状態で加熱処理する焼戻し段階とを含むことを特徴とする焼結金属の製造方法。 【請求項2】 前記金属粉末は、0.2〜0.8wt%の炭素(C)粉末と、0.5〜4.0wt%の銅(Cu)粉末と、1.0wt%以下のニッケル(Ni)粉末と、鉄(Fe)粉末を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の焼結金属の製造方法。 【請求項3】 前記サブゼロ処理段階での冷却温度は−196℃〜−200℃であることを特徴とする請求項1記載の焼結金属の製造方法。 【請求項4】 前記サブゼロ処理は30分間行われることを特徴とする請求項1記載の焼結金属の製造方法。 【請求項5】 前記焼戻し段階は100〜120℃の温度で行われることを特徴とする請求項1記載の焼結金属の製造方法。 【請求項6】 請求項1の製造方法により製造された回転圧縮機のフランジ。 【請求項7】 金属粉末を混練し加圧成形した後、800〜1200℃の温度で焼結して焼結金属材フランジを成形する段階と、前記成形段階で製造されたフランジを−196℃〜−200℃の液体窒素で所定時間サブゼロ処理を行う段階と、前記サブゼロ処理を経た前記フランジに耐久性と耐磨耗性を付与するため所定時間加熱する焼戻し段階とを含むことを特徴とする焼結金属材の回転圧縮機のフランジの製造方法。 【請求項8】 前記サブゼロ処理段階は、前記フランジの耐久性と耐磨耗性の向上のため、前記フランジの表面に圧縮残留応力が存在するようにすることを特徴とする請求項7記載の焼結金属材の回転圧縮機のフランジの製造方法。 【請求項9】 前記サブゼロ処理段階は、前記フランジの組織が針状組織に変化して銅化合物(CuX)の析出現象が表れるようにすることで、耐磨耗性が向上するようにすることを特徴とする請求項8記載の焼結金属材の回転圧縮機のフランジの製造方法。 【請求項10】 前記焼戻し段階は、前記フランジの表面に生成する水分を除去するとともに所定の靭性を付与するため、100〜120℃の温度で加熱することを特徴とする請求項7記載の焼結金属材の回転圧縮機のフランジの製造方法。 【請求項11】 前記フランジの耐磨耗性試験のため、前記フランジと同一の材質からなった回転板と、前記回転板を加圧する加圧試片とを用いることを特徴とする請求項7記載の焼結金属材の回転圧縮機のフランジの製造方法。 【請求項12】 前記サブゼロ処理段階は30分間行われることを特徴とする請求項7記載の焼結金属材の回転圧縮機のフランジの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は耐磨耗性及び耐久性に優れた焼結金属の製造方法及びその方法により製造された回転圧縮機のフランジに関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般の冷却システムの冷媒圧縮用に用いられる回転圧縮機は、図1に示すように、密閉容器1の内部に固定された固定子2及び該固定子2の内部に回転可能に設けられた回転子3からなる駆動部4と、駆動部4の回転力により冷媒の圧縮が行えるように、密閉容器1内の下部に設けられた圧縮部5とを含む。 【0003】圧縮部5は、回転子3と結合された状態で圧縮部5側に延長され、所定長さの偏心部6aを有する回転軸6と、回転軸6の偏心部6aを収容するように、偏心部6a側に設けられたシリンダ7と、シリンダ7の上下部に結合され、回転子3が結合した回転軸6を回動可能に支持するフランジ8、9とを含む。また、圧縮部5は、偏心部6aが回転するとき、シリンダ7の内面に当接したままで自転及び公転するように、偏心部6aの外面に設けられた回動ローラー10と、回動ローラー10の外面に当接したままで回動ローラー10の半径方向に進退するように設けられ、シリンダ7の内部を低圧部と高圧部に区画するベーン(図示せず)とを含む。 【0004】このような回転圧縮機は、回転子3の駆動によりシリンダ7内の偏心部6aが回転するとき、回動ローラー10がシリンダ7の内面と当接したままで自転及び公転を行い、ベーン(図示せず)が半径方向に進退する動作により冷媒を吸入して圧縮させる動作を行う。すなわち、吸入口13に流入した低温、低圧の冷媒を高圧に圧縮して上側フランジ8の出口13側に吐き出す。 【0005】ところが、このような回転圧縮機は、前述したような冷媒の圧縮動作を行っている間に、回転軸6、回転軸の偏心部6aと回動ローラー10、フランジ8、9との滑り接触により激しい摩擦が発生するため、長期間使用した場合、フランジ8、9の表面が磨耗する問題点があった。フランジ8、9の磨耗により生成した金属粉末は冷媒と反応しながら冷媒分解現象を引き起こし、冷媒分解により生成した生成物は周辺金属の腐食及び侵食を引き起こしてスラッジを生成させることにより、回転圧縮機の機動性を低下させる原因となった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は激しい摩擦にも耐えられるように、耐磨耗性及び耐久性が大きく向上するようにする焼結金属の製造方法及びその方法により製造された回転圧縮機のフランジを提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明による焼結金属の製造方法は、金属粉末を混練して加圧成形した後、焼結する焼結金属成形段階と、前記成形段階を経た焼結金属を所定期間にわたりサブゼロ処理する段階と、前記サブゼロ処理の後、所定の圧縮残留応力が存在する状態で加熱処理する焼戻し段階とを含むことを特徴とする。 【0008】前記金属粉末は、0.2〜0.8wt%の炭素(C)粉末と、0.5〜4.0wt%の銅(Cu)粉末と、1.0wt%以下のニッケル(Ni)粉末と、鉄(Fe)粉末を主成分とすることを特徴とする。 【0009】前記サブゼロ処理段階での冷却温度は−196℃〜−200℃であることを特徴とする。 【0010】前記サブゼロ処理は30分間行われることを特徴とする。 【0011】前記焼戻し段階は100〜120℃の温度で行われることを特徴とする。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明による好ましい実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。以下の説明は本発明による焼結金属の製造方法を回転圧縮機のフランジの製造に適用した例を挙げて説明する。 【0013】本発明による焼結金属の製造方法により製造される回転圧縮機フランジは、図2に示すように、回転圧縮機の回転軸が結合される軸結合部21と、圧縮空間を形成するようにシリンダに結合されるフランジ部22とを備える。このようなフランジ20の製造のためには、図3に示すように、金属粉末の混練段階31、高温加圧成形段階32、高温焼結段階33を順次経る。また、焼結金属材のフランジ20の耐磨耗性の向上のための熱処理方法として、超低温でサブゼロ処理(Subzero Treatment)を行う段階34と、100〜120℃の温度で焼戻し(Tempering)を行う段階35を経る。 【0014】金属粉末の混練段階31は0.2〜0.8wt%の炭素(C)粉末と、0.5〜4.0wt%の銅(Cu)粉末と、1.0wt%以下のニッケル(Ni)粉末と、残量の鉄(Fe)粉末とを加熱するとともに機械的撹拌手段で均等に混合させる。混練段階を経た金属粉末は成形型により高圧で加圧してフランジ状に成形し、これを800〜1200℃の高温で焼結することで、緻密な密度を有する焼結金属材フランジを製造する。 【0015】このような焼結金属成形方法により製造されたフランジのサブゼロ処理段階34は、図4に示すように、フランジ20を−196℃〜−200℃の液体窒素に浸漬して急速冷却させ、この状態で30分間維持する。 【0016】このようなサブゼロ処理は、通常の金属熱処理過程において、オーステナイト組織がマルテンサイト組織に変化する温度(変態点)より遥かに低い−196℃〜−200℃の超低温に急速冷却させることにより、焼結金属材フランジの表面に圧縮残留応力が生じるようにして、耐磨耗性及び耐食性が向上するようにする処理である。また、このような熱処理は、金属の組織が針状組織に変化するとともに銅化合物(CuX)の析出現象が表れるようにすることで、表面の耐磨耗性がさらに向上するようにしたものである。 【0017】サブゼロ処理段階34を経たフランジ20の焼戻し(Tempering)段階35は、図4に示すように、所定時間(30分程度)常温で放置した後、100〜120℃の温度で加熱することで、表面に生成する水分を除去するとともに焼結金属材フランジに少しの靭性を付与するようにする。 【0018】ここで、加熱温度を100〜120℃にし、加熱時間を120分程度に維持することは、フランジ20に所定の靭性を付与するとともに、サブゼロ処理により生成した圧縮残留応力が存在するようにして、焼戻し以後にもフランジ20が高い耐磨耗性を有するようにするためである。これは、熱処理温度が高すぎるか、持続時間が長すぎる場合、圧縮残留応力が除去され、フランジ20の耐磨耗性も減少する点に鑑みたもので、適切な範囲内で熱処理を行って、靭性と耐磨耗性を共に持たせるようにしたものである。 【0019】以上説明したサブゼロ処理段階34及び焼戻し段階35を経た焼結金属と、このような熱処理を経ていない焼結金属の耐磨耗性の比較のため、図5に示すような実験を行った。 【0020】実験方法は、焼結金属の回転板40(本発明によるフランジに相当する材質)を別の駆動手段により一定の速度で回転させ、回転板40の上面に当接した状態を維持する加圧試片50(回転圧縮機の回転軸の偏心部に相当する材質)に所定の荷重(P)を加えた状態で所定時間が経過した後、回転板40の上面の磨耗量を相互比較する方式を取った。また、本発明による焼結金属が実際に回転圧縮機に適用されたときのフランジ磨耗量を予測するため、加圧試片50が接触する回転板40の上面には、回転圧縮機に用いられる通常の潤滑剤を塗布した。そして、磨耗量は加圧試片50と接触して磨耗した回転板40の磨耗程度を体積単位(mm3)に算出した。 【0021】実験結果、回転板40の磨耗量は使用する潤滑剤の種類によって多少違いがあったが、図6に示すように、本発明による熱処理(サブゼロ処理及び焼戻し)段階を経た焼結金属の耐磨耗性が、熱処理を経ていない焼結金属より遥かに優れたものであることが分かった。 【0022】加圧試片50に5kgの荷重を加えた状態で所定期間にわたって実験を行った場合、両者間の違いはなかった。しかし、30kgの荷重を加えた場合、本発明による熱処理段階を経た焼結金属の磨耗量は3.22mm3であるのに対し、比較例では5.8mm3であった。60kgの荷重を加えた場合、本発明による熱処理段階を経た焼結金属の磨耗量は8.01mm3であるに対し、比較例では12.68mm3であった。このように、本発明によるサブゼロ処理段階34と焼戻し段階35を経た焼結金属は、このような熱処理を経ていない焼結金属より格段に優れた耐磨耗性を有することが分かる。 【0023】 【発明の効果】以上説明したように、本発明による焼結金属はサブゼロ処理及び焼戻し段階を経ることにより、サブゼロ処理過程で生成した圧縮残留応力が存在するだけでなく、熱処理過程で銅化合物(CuX)が析出するため、耐磨耗性及び耐久性が大きく向上する効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390019839 【氏名又は名称】三星電子株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年6月25日(2002.6.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−213307(P2003−213307A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月30日(2003.7.30) |
| 【出願番号】 |
特願2002−185263(P2002−185263) |
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