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【発明の名称】 金属粉末の貯蔵方法、金属粉末の搬送方法、金属粉末の充填方法、金属粉末の成形方法、成形体の製造方法及び成形体の製造装置
【発明者】 【氏名】森 輝夫
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティーディーケイ株式会社内

【氏名】三木 信之
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティーディーケイ株式会社内

【氏名】鈴木 常雄
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティーディーケイ株式会社内

【氏名】野老 誠吾
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティーディーケイ株式会社内

【要約】 【課題】金属粉末の流動性を向上させ、金型へ一定量が精度良く充填されることで精度の高い成形体を得ることができ、成形品を熱処理しても炭化物と搬送・成形時の空気に接触することにより生ずる酸化物の異物も生じさせることのない成形体の製造方法を提供する。

【解決手段】ホッパー部2に貯蔵した金属粉末Mをフィーダカップ部6に搬送し、金属粉末Mをフィーダカップ部6から成形金型13に充填し、成形金型13内の金属粉末Mを成形する成形体の製造方法であって、成形体の製造方法は、ホッパー部2からフィーダカップ部6に搬送する搬送パイプ3とフィーダカップ部6の双方又はいずれか一方に、不活性ガスGを供給する成形体の製造方法とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属粉末を容器内に貯蔵する金属粉末の貯蔵方法であって、金属粉末に有機化合物を供給して貯蔵することを特徴とする金属粉末の貯蔵方法。
【請求項2】 前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給することを特徴とする請求項1に記載の金属粉末の貯蔵方法。
【請求項3】 金属粉末を搬送する金属粉末の搬送方法であって、金属粉末に有機化合物を供給して搬送することを特徴とする金属粉末の搬送方法。
【請求項4】 前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給することを特徴とする請求項3に記載の金属粉末の搬送方法。
【請求項5】 金属粉末を金型に充填する金属粉末の充填方法であって、金属粉末に有機化合物を供給して充填することを特徴とする金属粉末の充填方法。
【請求項6】 前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給することを特徴とする請求項5に記載の金属粉末の充填方法。
【請求項7】 金属粉末を成形する金属粉末の成形方法であって、金属粉末に有機化合物を供給して成形することを特徴とする金属粉末の成形方法。
【請求項8】 前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給することを特徴とする請求項7に記載の金属粉末の成形方法。
【請求項9】 ホッパー部に貯蔵した金属粉末をフィーダカップ部に搬送し、金属粉末をフィーダカップ部から成形金型に充填し、成形金型内の金属粉末を成形する成形体の製造方法であって、前記金属粉末は、有機化合物を含有する不活性ガスが供給されることを特徴とする成形体の製造方法。
【請求項10】 前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給することを特徴とする請求項9に記載の成形体の製造方法。
【請求項11】 前記金属粉末が、希土類金属を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の成形体の製造方法。
【請求項12】 金属粉末を貯蔵するホッパー部と、ホッパー部からフィーダカップ部に金属粉末を搬送する搬送経路と、金属粉末を成形金型に充填するフィーダカップ部と、成形金型内の金属粉末に圧力を印加して成形する成形部とを備える成形体の製造装置であって、前記成形体の製造装置が、有機化合物を含有する不活性ガスを供給するガス供給装置を備えることを特徴とする成形体の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属粉末に有機化合物を供給した後、貯蔵する金属粉末の貯蔵方法、搬送する金属粉末の搬送方法、所定の容器内に充填する金属粉末の充填方法、成形する金属粉末の成形方法及び凝集又は酸化しやすい金属粉末を容器等に貯蔵し、搬送し、成形のための金型に充填し、圧力を印加して金属粉末を成形する成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属粉末を用いる粉末冶金では、金属粉末を最初にホッパー部に貯蔵し、ここからパイプを通じてフィーダカップ部に搬送し、このフィーダカップ部から成形金型に充填する方法が採用されている。しかし、金属粉末の流動性が低いと、ホッパー部、フィーダカップ部等の容器に貯蔵する場合には、ブリッジ及び空隙を形成することで貯蔵量を多くすることができない。また、容器から搬送する場合には、容器内でブリッジを形成するとスクリューなどの搬送部材では搬送できず容器内に滞留することがある。パイプ等で搬送する場合には、一部の金属粉末は、流動性が低いために、搬送されるパイプ等の内部で滞留して搬送できないことがある。さらに、酸化しやすい希土類の金属粉末は、金属粉末同士及びパイプと摺擦して酸化物を成形することがある。また、金型等の容器に充填する場合には、金属粉末の流動性が低いと充填される量がばらつくことが多い。さらに、圧力をかけて成形した場合又は熱をかけて焼結した場合には、成形体又は焼結体の寸法精度が低いという不具合がある。これらの不具合を解消する手段として、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩又はパラフィン等のワックスを添加して、金属粉末の流動性を向上させる方法が用いられることが多い。しかし、これらの脂肪酸金属塩等を過剰に添加すると流動性を低下させる場合がある。また、搬送時のパイプ等にこれらの脂肪酸金属塩等が付着し、次第に大きくなり、後に剥がれて塊となって金属粉末とともに搬送され、後の熱処理により炭化物を形成するという不具合がある。
【0003】また、近年、Y、La、Sm、Nd等の希土類金属が焼結用磁性材料として広く用いられている。これらの多くは、希土類金属とともにFe、Co、Ni等遷移金属とその他の金属と一緒に溶融して合金化した後、粉砕し、成形して所望の形状にして時効等の熱処理をして製造される。粉砕による新たな表面表面は活性で酸化膜を生成することがある。一方、磁性材料は、酸化物又は炭化物等の非金属介在物が存在すると磁気特性が劣化するという不具合がある。このために、窒素ガス等の不活性雰囲気中で搬送・成形が行われていたが、搬送・成形時に装置全体を不活性雰囲気にするのは、設備が大きく複雑になり、かつ生産性を低下させるという不具合がある。
【0004】そのために、例えば、特開平8−325604号公報では、酸成分が炭素数10〜22の脂肪酸であるペンタエリスリトールのジ、トリまたはテトラ脂肪酸エステルの少なくとも1種、および/または、他の酸成分が炭素数10〜22の脂肪酸であるエチレングリコールの脂肪酸ジエステルと、炭化水素系ワックスおよび/または複合系ワックスよりなる粉末とを必須成分として含有する粉末冶金用添加剤が提案されている。また、特開平6−196312号公報では、フェライト粉末、表面処理剤、純水を混合して処理スラリーとし、これを脱水濾過、乾燥して凝集フェライトを得た後、この凝集フェライトを粉砕して製造する表面改質フェライト粉末の製造方法が提案されている。また、特開2001−323301号公報では、酸化しやすい希土類合金磁性粉末を用いた場合でも、温度を30℃以下、相対湿度を65%以下に制御した大気雰囲気中において希土類合金磁性粉末のプレスを行う希土類合金磁性粉末成形体の作製方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平6−196312号公報等に開示されている技術では、成形体の寸法精度が低く、また、熱処理した場合は分解又は燃焼して炭化物を形成したり、酸化しやすい希土類金属の酸化を防止するのに十分ではないという問題点がある。
【0006】そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、金属粉末の流動性を向上させることで容器への貯蔵性に優れる金属粉末の貯蔵方法、パイプ等の搬送性に優れる金属粉末の搬送方法、所定の成形金型への充填性に優れる金属粉末の充填方法、圧力をかけて成形する成形性に優れて金属粉末の成形方法及び精度の高い成形体を得ることができる成形体の製造方法を提供することである。さらに、他の課題は、金属粉末の流動性を向上させる装置を備え、酸化物等の異相が少なく、精度の高い成形体を得ることができる成形体の製造装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、金属粉末を容器内に貯蔵する金属粉末の貯蔵方法であって、金属粉末に有機化合物を供給して貯蔵する金属粉末の貯蔵方法とする。請求項2に記載の発明は、前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給する請求項1に記載の金属粉末の貯蔵方法とする。請求項3に記載の発明は、金属粉末を搬送する金属粉末の搬送方法であって、金属粉末に有機化合物を供給して搬送する金属粉末の搬送方法とする。請求項4に記載の発明は、前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給する請求項3に記載の金属粉末の搬送方法とする。請求項5に記載の発明は、金属粉末を金型に充填する金属粉末の充填方法であって、金属粉末に有機化合物を供給して充填する金属粉末の充填方法とする。請求項6に記載の発明は、前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給する請求項5に記載の金属粉末の充填方法とする。請求項7に記載の発明は、金属粉末を成形する金属粉末の成形方法であって、金属粉末に有機化合物を供給して成形する金属粉末の成形方法とする。請求項8に記載の発明は、前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給する請求項7に記載の金属粉末の成形方法とする。請求項9に記載の発明は、ホッパー部に貯蔵した金属粉末をフィーダカップ部に搬送し、金属粉末をフィーダカップ部から成形金型に充填し、成形金型内の金属粉末を成形する成形体の製造方法であって、前記金属粉末は、有機化合物を含有する不活性ガスが供給される成形体の製造方法とする。請求項10に記載の発明は、前記有機化合物は、不活性ガス中に含有させて供給する請求項9に記載の成形体の製造方法とする。請求項11に記載の発明は、前記金属粉末が、希土類金属を含む請求項9又は10に記載の成形体の製造方法とする。請求項12に記載の発明は、金属粉末を貯蔵するホッパー部と、ホッパー部からフィーダカップ部に金属粉末を搬送する搬送経路と、金属粉末を成形金型に充填するフィーダカップ部と、成形金型内の金属粉末に圧力を印加して成形する成形部とを備える成形体の製造装置であって、前記成形体の製造装置が、有機化合物を含有する不活性ガスを供給するガス供給装置を備える成形体の製造装置とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明を説明するために示す成形体の製造装置の一例の概略構成図である。金属粉末Mを貯蔵し、搬送し、充填し、成形する成形体の製造方法は、図1に示すように、外部から搬送される金属粉末Mをホッパー部2に投入して貯蔵し、ホッパー部2から搬送経路である搬送パイプ3を通してフィーダカップ部6に搬送され、フィーダカップ部6に一時的に貯蔵され、フィーダカップ部6から成形金型13に充填され、成形金型13内の金属粉末Mを成形部(図示せず。)で成形する。
【0009】ホッパー部2は、通常は装置の上部に設けられ、貯蔵されている金属粉末Mを所定の量を供給するための計量部(図示せず。)と供給のためのフィーダー部(図示せず。)を備える。ホッパー部2は、上部開口部から金属粉末Mが投入され、計量された金属粉末Mを下部開口から、回転するスクリューを備えるフィーダー部を通して搬送パイプ3に送り出される。搬送パイプ3は、金属粉末Mを自重により又は搬送用に空気、不活性ガスGを強制的に送風し、フィーダカップ部6に搬送する。また、搬送経路は、ベルト式、コンベア式でもよいが、ここでは、大気中に開放された方式よりは、空気との接触を少なくできるパイプ式を用いる方式が好ましい。この搬送パイプ3には、振動機5を配置してもよい。この振動機5で、搬送パイプ3に振動を加え、金属粉末Mの搬送を促進する。さらに、金属粉末Mが搬送パイプ3に付着したり、また、角部などのデッドスペースに滞留するのを防止することができる。フィーダカップ部6は、一定量の金属粉末Mが供給された後に、成形金型13の配置された場所に移動し、下部に設けられた開口部から自然に落下させて成形金型13内に金属粉末Mを充填する。フィーダカップ部6には、センサー8が配置される。このセンサー8は、金属粉末Mを成形金型13に充填させる投入口7の部位に設けられる。成形部は、成形金型13の形状に合わせたパンチ14a、14bを有し、このパンチ14a、14bを昇降動させて、圧力を印加して成形する。成形金型13は、成形部に搬送され、所定の部位に置かれる。そこに、パンチ14a、14bで成形される。このときに、パンチ14a、14bは、一方だけで成形することができるが、成形金型13と金属粉末Mとの摩擦、金属粉末M同士の摩擦により内部まで均一に圧力を伝達させるために上下パンチ14a、14bで同時に圧力を印加することが好ましい。
【0010】ここで、不活性ガスGを、ホッパー部2、搬送パイプ3、フィーダカップ部6等の成形体の製造装置のいずれかに供給する。不活性ガスGは、有機化合物を含有させたAr、窒素等を用いる。ここで用いる有機化合物は、常温で飽和蒸気圧が高く、かつ、揮発性が高く、さらに、金属、樹脂、ゴム等を反応して化合物を形成せずに、物質表面に吸着して潤滑作用を発揮するものが好ましい。有機化合物として、具体的には、メタノール、エタノ−ル、イソプロピルアルコール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、アルキルグリコールエーテル等のエーテル類、パーフルオロポリエーテル、フロン等のフッ化物、クロロホルム等の塩化物を挙げることができる。この中でも、沸点が約50℃で揮発性の高いケトン類のアセトン、また、表面張力が低く、浸透性に優れていて、不燃性であるフッ素を含むフッ化物が好ましい。これら有機化合物は、常温で液体であっても、Ar、窒素ガス等の不活性ガスGをこの液体に吹き込み、不活性ガスG中に有機化合物を含有させることができる。この有機化合物を含有させた不活性ガスGをガス供給装置4で搬送パイプ3、フィーダカップ部6等に供給する。
【0011】金属を含めた物質の粉末は、磁気力、静電気力、物理的付着力(ヴァン・デル・ワールス力)のいずれかの力により凝集体を形成する。この他に、湿度の高い雰囲気中にある場合は水分が金属粉末Mの表面に吸着して、水分の表面張力による液架橋力によりさらに、強固な凝集体を形成する。アセトン、フッ化物等の有機化合物は、凝集体を形成している金属粉末Mの表面に吸着して、その間に浸透して凝集体をほぐし、金属粉末Mを分離する。また、この有機化合物の大きさだけ、金属粉末M同士が距離をおくために磁気力等の力が小さくなり、凝集体を形成しにくくなる。さらに、その表面に吸着して表面張力の小さい膜を形成して、金属粉末Mの流動性を向上させる。また、表面張力が小さいことから、液架橋力も小さく、水分が付着した場合に比較して、金属粉末Mの凝集体を形成しにくくなる。
【0012】例えば、搬送パイプ3に供給された有機化合物は、ホッパー部2から搬送された金属粉末Mに吸着する。流動性がよくなった金属粉末Mは、搬送パイプ3で滞留することなくスムーズに搬送され、フィーダカップ部6に到達する。さらに、ホッパー部2からフィーダカップ部6までは、金属粉末Mはお互いに衝突しながら又はSUS、Al製の搬送パイプ3に摺擦されながら搬送される。この衝突又は摺擦により熱を発生し、通常は表面に酸化物を形成する。しかしながら、有機化合物を供給されたことにより、金属粉末Mの表面に液質膜が形成されて、表面張力が低くなることで摩擦係数が小さくなり、強く衝突又は摺擦しなくなるために発生する熱が少なく形成する酸化物の量が少なくなる。また、表面の液質膜により空気に直接触れることが少なくなるために酸化物を形成しにくくなる。このため、希土類金属を含む磁歪材料等の磁性材料では、製品となる磁性材料中の酸化物による異相の形成が少なくなる。したがって、有機化合物を含有する不活性ガスGを金属粉末Mに供給して搬送することで、搬送パイプ3に滞留することのない金属粉末Mの搬送方法が得られる。
【0013】フィーダカップ部6の投入口7から投下された金属粉末Mは、安息角が小さく流動性が良くないために、とがった山状に貯蔵されていく。しかし、流動性がよいと、安息角が大きく、広がった山状になってフィーダカップ部6全体に貯蔵される。そこで、フィーダカップ部6に投入される際に、ガス供給装置4で不活性ガスGを供給してもよい。また、ホッパー部2に貯蔵する際も、ホッパー部2内又は供給用の搬送経路中に不活性ガスGを供給することで、ホッパー部2に金属粉末Mのブリッジを形成することなく貯蔵される。これにより、従来は、金属粉末Mの流動性が低かったためにフィーダカップ部6の投入口7の下に山状に貯蔵されたが、流動性を良くすることで材料の投入口7を端部に設置しても、フィーダカップ部6内の全体に貯蔵することができる。したがって、有機化合物を含有する不活性ガスGを金属粉末Mに供給して貯蔵することで、ホッパー部2、フィーダカップ部6等の容器における貯蔵時にブリッジを形成することなく、かつ容器全体の広い範囲で金属粉末Mを貯蔵することができる貯蔵方法が得られる。
【0014】また、フィーダカップ部6に供給されている金属粉末Mの量を検知するセンサー8は、例えば、1対の発光素子と受光素子で構成されるものを用いることができる。フィーダカップ部6の一部を透明にし、フィーダカップ部6の片側からLED等の発光素子で赤外光を当て、フィーダカップ部6の他の片側に受光素子で受光し、金属粉末Mの高さを検知する。また、透過させず反射する赤外光を受光してもよい。また、受光素子としてライン状に受光素子を並べたセンサー8でもよい。これにより、成形金型13に充填される金属粉末Mの充填量を正確に計測することができる。しかし、従来は、流動性の低い金属粉末Mでは投入口7付近で山状に滞留していたために、上述のセンサー8を用いても設置個所により高さが大きく異なるために、フィーダカップ部6に供給されている金属粉末Mの量を正確に測定することが困難であった。しかも、流動性を良くすることで、フィーダカップ部6内の金属粉末Mの高さがほぼ均一になり、フィーダカップ部6のいずれの箇所で測定しても正確に測定できる利点も有する。
【0015】フィーダカップ部6は、成形金型13の配置された上部に移動し、往復運動しながら成形金型13内に自重で金属粉末Mを充填する。図2は、本発明の一実施形態である成形体の製造方法に配置されるフィーダカップ部の内部の構成を示す概略図である。フィーダカップ部6内部には、フィーダカップ部6内の金属粉末Mを攪拌するためのピン10、成形金型13に充填された金属粉末Mを擦り切るための擦り切り板11、金属粉末Mが外部に漏れるのを防止するためのフェルト12が配置されている。フィーダカップ部6は、下部の開放されている底部にパンチ14bを配置する成形金型13の上部に来ると、フィーダカップ部6の底部の開口から金属粉末Mを充填し移動する。このときに、フィーダカップ部6内の擦り切り板11で成形金型13を擦り切り、一定量を充填する。さらに、フィーダカップ部6は往復運動をしながら金属粉末Mを供給し、充填する。有機化合物を含有する不活性ガスGを金属粉末Mに供給して流動性を良くすることで、金属粉末M同士の相互作用を少なくして成形金型13に密度が高く充填できる金属粉末Mの充填方法が得られる。
【0016】金属粉末Mが充填された成形金型13を成形部(図示せず。)に搬送し、圧力を加えて成形する。成形部は、金属粉末Mが充填された成形金型13の開放されている上部に、昇降動する成形体に合わせた形状のパンチ14aを下降させて成形する。このときに、成形金型13の底部に配置されている下部パンチ14bを上昇させ両面から圧力を印加することが好ましい。また、磁石材料と磁歪材料等の磁性材料は、電磁石またはコイルにより磁場を印加してもよい。このように、有機化合物を含有する不活性ガスGを金属粉末表面に吸着させて摩擦を低減することで、成形時においても成形金型13との摩擦を減らして均一に圧力が印加されるために、成形体の密度を均一にすることができる。さらに、従来、成形体の圧縮方向への寸法精度は圧縮方向と直角な方向より寸法精度が劣っていたが、有機化合物を含有する不活性ガスGの供給により金属粉末Mの摩擦係数を低減することで、従来に比べて、圧縮方向の寸法精度を向上させることができる。したがって、有機化合物を含有する不活性ガスGを金属粉末Mに供給して成形することで、成形密度の精度の高い金属粉末Mの成形方法が得られる。
【0017】次に、圧力を印加された成形された成形体は下部パンチにより押し上げられ、搬送用装置又は手動により焼結炉へ搬送される。アセトン、フッ化物等の有機化合物は、揮発性が高く、成形金型13に充填された後一定時間放置されると揮発するために、成形から熱処理までの搬送される時間で揮発する。そのため、熱処理により炭化物などを形成することがない。また、成形体の成形時に寸法精度が高いので、熱処理後であっても寸法精度の高い焼結体を得ることができる。焼結後は、表面の研摩加工等を行い、必要によって時効処理等の熱処理を行って製品とする。一方、金属粉末Mを充填したフィーダカップ部6は、元の位置に戻り、充填した量の金属粉末Mを再度投入されることで、金属粉末Mを補充する。
【0018】さらに、本発明の成形体の製造方法では、図1に示すような成形体の製造装置において、外部から搬送される金属粉末Mをホッパー部2に投入して貯蔵し、ホッパー部2から搬送パイプ3を通してフィーダカップ部6に搬送され、フィーダカップ部6に一時的に貯蔵され、フィーダカップ部6から成形金型13に充填され、成形金型13内の金属粉末Mを成形部(図示せず。)で成形する。このときに、ホッパー部2、搬送パイプ3、フィーダカップ部6等の少なくとも1カ所で有機化合物を含有する不活性ガスGを供給することで金属粉末Mの流動性をよくし、成形部の容器に貯蔵する際の貯蔵量を多くすることができ、容器から搬送する際にパイプ等で滞留する金属粉末Mを少なくして、成形金型への充填精度を高くすることで寸法精度の高い成形体を製造することができる。
【0019】
【実施例】(実施例1及び比較例1)実施例1として、金属粉末の組成がTb0.34Dy0.66Fe1.88になるようにTb、Dy、Feを秤量し、高周波溶解炉で溶融し、鋳型に鋳込んで鋳塊を作製し、次に、これを粉砕し、粗粒子を除去するための分級をして平均粒径5.5μmの磁歪材料を製造した。また、供給する不活性ガスは、有機化合物としてパーフルオロポリエーテルを含有するとしてArを用いた。次に、図1に示すように、初めに2Lの容量のホッパー部に金属粉末を2kgを投入する。ホッパー部から、フィーダにより12g/minの量を直径30mmの搬送パイプに搬送した。このとき、搬送パイプから落下すると同時に、ホッパー部直下の搬送パイプに設けられたガス供給装置から、不活性ガスを0.4×10−3/minを供給した。パーフルオロポリエーテルを吸着した金属粉末は、振動機の振動と金属粉末の自重により搬送パイプからフィーダカップ部に供給される。供給量は、360g/minで、10sec供給した。比較例1として、不活性ガスを供給しないだけで、実施例1と同様に、ホッパー部からフィーダカップ部に搬送した。
【0020】図3は、パーフルオロポリエーテルを含有する不活性ガスの供給有り無しによる金属粉末の状態を示す写真である。図3(a)は、パーフルオロポリエーテルを供給した実施例1の金属粉末Mの写真で、凝集体が少ないことがわかる。一方、図3(b)は、パーフルオロポリエーテルを供給しない比較例1の金属粉末Mの写真で、凝集体が多いことがわかる。また、実施例1と比較例1の安息角とかさ密度を測定した。この結果を表1に示す。安息角は、JIS Z 2502の規格に従って、粉末流動計(筒井理化学器械式会社製)で測定した。また、かさ密度は、JIS Z 2504の規格に従って、かさ比重測定器(筒井理化学器械株式会社製)で測定した。なお、磁歪材料の真密度が9.2g/cmである。
【0021】
【表1】

図3及び表1から、実施例1の安息角が比較例1より大きく、また。実施例1のかさ密度は比較例1より大きい。このことから、パーフルオロポリエーテルを含有する不活性ガスを供給した磁歪材料は流動性が良くなっていることがわかる。
【0022】(実施例2)実施例2では、実施例1と同様に、フィーダカップ部に金属粉末を供給した。その後、5回成形体を製造後、消費した量を補充するために同じように、360g/minで、10sec金属粉末を供給した。フィーダカップ部の投入口に、LEDセンサーを配置した。フィーダカップ部内にパーフルオロポリエーテルを、上記と同様に、0.4×10−3/minの量を供給した。このときの、金属粉末のかさ密度は、3.38g/cmであった。次に、フィーダカップ部から、直径7.4mm×30mmの成形金型に金属粉末を充填した。金属粉末が充填された成形金型を、80×10A/m(10kOe)の磁場中で、39MPa(4ton/cm)の圧力の成形部で成形した。これを連続的に行って、成形体の重量、成形後の高さを測定した。その結果を、図4に示す。図4に示すように、成形体の高さ及び成形体の充填量は、最初からほぼ一線であり、成形体の高さの標準偏差が0.05と非常に低い値である。金属粉末の歩留まりは100%で、最後の成形体を製造後、フィーダカップ部に残留した金属粉末はなかった。また、グラフの線の途切れている箇所は、60分間休止したことを示しているが、この休止前後の成形体の高さ及び成形体の充填量には、大きな差がなかった。
【0023】(比較例2)パーフルオロポリエーテル含有する不活性ガスを供給する以外は、実施例1と同様にして、成形体の重量、成形後の高さを評価した。ただし、ホッパ−部に投入する金属粉末は、最初に60gを投入し、66gを3回投入し、次に、44gを8回投入した。その結果を、図5に示す。図5に示すように、成形体の高さ及び成形体の充填量は、最初は小さい値で、次第に大きくなっている。成形体の高さの標準偏差が0.36と非常に大きい値で、成形体高さのばらつきが大きいことがわかる。金属粉末の歩留まりは98%で、最後の成形体を製造後、フィーダカップ部に金属粉末が残留していた。また、休止前後の成形体の高さ及び成形体の充填量には、実施例1と比較して、大きな差がある。
【0024】さらに、実施例2と比較例2の結果を表2に示す。
【表2】

表2から明らかなように、成形体の平均値はほぼ同等であるが、成形高さの差は非常に大きく、これは、標準偏差が比較例1の方が大きいことからもわかる。同様に、平均充填量はほぼ同等であるが、充填量の差は非常に大きく、成形するショットにより、ばらつきの大きいことがわかる。
【0025】(実施例3及び比較例3)実施例3及び比較例3では、それぞれ実施例2と比較例2で成形した成形体を焼結した。焼結は、Arと水素の混合雰囲気中で、5°/minで昇温させた。1230℃に達した後、この温度で3時間保持して焼結し、5°/minで室温まで降温させた。このときの、焼結体の磁歪特性として、焼結体の密度、磁歪値、劣化率を評価した。磁歪値は、焼結体に歪みゲージを貼りつけた試料を磁場中に設置し、8.0×10A/mの磁場で測定した。劣化率は、一定の温度・湿度の恒温槽に放置後の磁歪値を測定して、劣化していない磁歪値を0として評価した。 その結果を表3に示す。
【0026】
【表3】

表3から明らかなように、成形体の密度が実施例3の方が比較例3より高く、それに伴って、焼結後の焼結体の密度も8.72(g/cm)と、比較例3より0.42(g/cm)大きい。これから、金属粉末にパーフルオロポリエーテルを供給することで焼結後の密度を高くすることができることがわかる。また、磁歪値においても、実施例3の値が1050ppm、比較例3の値1000ppmより高い。これも、磁歪材料である焼結体の密度が高いことによるものである。さらに、劣化率においても、実施例3の値がほぼ0%で、比較例3の値10%より低く、劣化しにくいことがわかる。これも、磁歪材料である焼結体の密度が高いことで、焼結体内部に空気が侵入しにくいためである。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の成形体の製造方法では、パーフルオロポリエーテル等の有機化合物を含有させる不活性ガスを供給して金属粉末の表面に吸着させることで、金属粉末の流動性を向上させ、成形金型へ一定量を精度良く充填することができる。また、この酸化しやすい金属粉末の表面に吸着することで、空気との接触を妨げて、搬送、成形時における酸化を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】ティーディーケイ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋1丁目13番1号
【出願日】 平成14年1月18日(2002.1.18)
【代理人】 【識別番号】100108121
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 雄毅
【公開番号】 特開2003−213303(P2003−213303A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−10015(P2002−10015)