トップ :: B 処理操作 運輸 :: B22 鋳造;粉末冶金




【発明の名称】 ニオブ粉末及び固体電解コンデンサ
【発明者】 【氏名】佐藤 信之
【住所又は居所】千葉県千葉市中央区新浜町1番地 川鉄鉱業株式会社技術研究所内

【氏名】江波戸 修
【住所又は居所】千葉県千葉市中央区新浜町1番地 川鉄鉱業株式会社技術研究所内

【氏名】斎藤 敢
【住所又は居所】千葉県千葉市中央区新浜町1番地 川鉄鉱業株式会社技術研究所内

【氏名】桐原 理
【住所又は居所】千葉県千葉市中央区新浜町1番地 川鉄鉱業株式会社技術研究所内

【要約】 【課題】ニオブ粉末に微量成分を添加することによって、固体電解コンデンサのリーク電流の低減、静電容量の向上を図り、静電容量が大きく、損失係数の小さい電解コンデンサを製造する。

【解決手段】水素を1〜600ppm、炭素を1〜200ppm又はニッケルを1〜50ppm含有し、残部が実質的にニオブであるニオブ粉末を原料として、その焼結体を固体電解コンデンサ10内部にアノードとして形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水素を1〜600ppm含有し、残部が実質的にニオブであることを特徴とするニオブ粉末。
【請求項2】 炭素を1〜200ppm含有し、残部が実質的にニオブであることを特徴とするニオブ粉末。
【請求項3】 ニッケルを1〜50ppm含有し、残部が実質的にニオブであることを特徴とするニオブ粉末。
【請求項4】 請求項1,2または3に記載のニオブ粉末を原料とする焼結体をコンデンサ内部にアノードとして形成してなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニオブ粉末の組成及びこれを用いて形成した固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高い静電容量を有する固体電解コンデンサのアノードとして、ニオブが注目されている。図1に固体電解コンデンサの縦断面図を模式的に示した。固体電解コンデンサ10はニオブ11、酸化ニオブ12、固体電解質13、グラファイト14、銀15が積層された構造となっている。この固体電解コンデンサ10は、ニオブ粉末を約1000〜1400℃で焼結し、多孔性の焼結体を製造した後、化成処理して、ニオブ11の表面に酸化ニオブ12を形成させ、次に、固体電解質13、グラファイト14、銀15を形成した後、最後にニオブ11にアノード18(外部端子)を接続し、銀15に導電性接着剤16を介してカソード19(外部端子)を接続後、樹脂モールド17を施し、エージング工程を経て製造されている。
【0003】従来、固体電解コンデンサ用として用いられているニオブ粉末は、特開昭64−73009号公報および特開平6−25701号公報に記載されているように、極めて高純度のものが要求されていた。純度に関して、特開昭64−73009号公報には具体的な数値は記述されていないが、特開平6−25701号公報には酸素が5000ppm未満で、非酸化物不純物の総合計が5000ppm未満と記述されている。しかしながら具体的は非酸化物不純物の名称や含有量に関する記述はない。
【0004】ところが最近になって、ニオブ粉末に特定の元素を添加することによって性能が向上することが、特開2000−226607号公報に記載されている。具体的な記述内容は、以下の通りである。窒素、燐、硼素、硫黄、珪素、フッ素、イットリウム、マグネシウム等の公知の元素から選ばれた1種類以上のドーパントを添加する。これらの元素はニオブの粉末を焼結する過程でインヒビタとして働き、アノードの容量を高める作用があり、さらに化成酸化膜の膜質を改良する効果がある。これらの元素はアルゴンガス又は水素ガスをキャリアガスとして、単体あるいは水素により還元される化合物として添加する。添加量は、通常ニオブに対して1000ppm以下の量である。しかしながら、添加物の種類、量とその具体的な効果は定量的には示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ニオブ粉末に微量成分を含有させることによって、リーク電流が小さく、かつ静電容量の大きな固体電解コンデンサに適したニオブ粉末を提供すること、これを用いた固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ニオブ粉末に水素、炭素、又はニッケルを適量含有させることによって、上記目的を達成することができることを知見し、完成されたものである。すなわち、本発明の第1の発明は、水素を1〜600ppm含有し、残部が実質的にニオブであることを特徴とするニオブ粉末である。水素含有量が1ppm未満では、リーク電流が多く、また静電容量が十分大きくならないので1ppm以上と規定した。1〜600ppmの範囲では、リーク電流が少なく、静電容量も最大値を示し、水素含有量が600ppmを越えると、かえってリーク電流が増加し静電容量も減少するので、上限を600ppmとした。
【0007】本発明の第2の発明は、炭素を1〜200ppm含有し、残部が実質的にニオブであることを特徴とするニオブ粉末である。炭素含有量が1ppm未満では、リーク電流が多く、静電容量が十分でなく、一方、炭素含有量が200ppmを越えると、かえってリーク電流が増加し静電容量も減少するので、上限を200ppmとした。
【0008】本発明の第3の発明は、ニッケルを1〜50ppm含有し、残部が実質的にニオブであることを特徴とするニオブ粉末である。ニッケル含有量が1ppm未満では、リーク電流が多く、静電容量が十分でなく、一方、ニッケル含有量が50ppmを越えると、かえってリーク電流が増加し静電容量も減少するので、上限を50ppmとした。
【0009】また、本発明の第4の発明として、上記の水素を1〜600ppm含有したニオブ粉末、炭素を1〜200ppm含有したニオブ粉末、又はニッケルを1〜50ppm含有したニオブ粉末の何れかを原料として、焼結体をコンデンサ内部にアノードとして形成して構成したことを特徴とする固体電解コンデンサを提供する。
【0010】従来知られているニオブ粉末は1次粒子の平均粒径が小さく、例えば、50nm(0.050μm)未満又は50〜150nm(0.050〜0.150μm)であり、このような微細なニオブ粉末を焼結してアノードを形成すると、焼結体用としては粒子が小さすぎる欠点があり、化成処理工程においてニオブが酸化膜となって消費されるため、酸化しないニオブの量が減少する。従って電極面積が減少し、超高容量のコンデンサを得ることができない。そこで本発明の第1〜第3の発明では、1次粒子の平均粒径を0.150μm超、2μm以下とするのが好ましい。ニオブ粒子が大きすぎると、焼結体としたときに、焼結が進行し難い。なお、1次粒子とは、SEM顕微鏡観察下で単体粒子として捉えられる凝集していない粒子を言う。平均粒径とは粒子数の50%粒子径である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】ニオブ粉末を用いて、以下に記載する方法によって固体電解コンデンサを作製し、そのリーク電流および静電容量を測定した。0.2gのニオブ粉末に陽極に用いるφ0.5mmのニオブ線材を埋め込みプレス成型してペレットを作成した。プレス時の荷重は50〜150MN/m2、プレス体の嵩密度は2800〜3200kg/m3とした。作製したペレットを、炉内圧力1×10-3Pa以下、温度1000〜1400℃で焼成した。焼成後のサンプルを0.8質量%リン酸水溶液中に浸漬させ、電圧20Vを6時間印加し、ペレット表面に化成皮膜を生成させた。その後40質量%硫酸水溶液で、ニオブコンデンサのリーク電流および静電容量を測定した。リーク電流は測定電圧14Vで5分問後の電流値を測定した。また静電容量はバイアス電圧1.5Vの条件で測定した。
【0013】固体電解コンデンサ用ニオブ粉末の製造方法としては、五塩化ニオブのマグネシウム、ナトリウム、あるいは水素による還元、フッ化ニオブのナトリウムによる還元、酸化ニオブの炭素あるいはアルミニウムによる還元等によって製造することができる。
【0014】以下、実施例を挙げて本発明の具体例を説明する。
【0015】(実施例1〜3、比較例1〜2)五塩化ニオブの水素還元によりニオブ粉末を作製した。このニオブ粉末を水素ガス雰囲気中、温度1100℃で時間を変化させながら加熱処理し、ニオブ粉末への水素の導入量を調整した。水素量は熱伝導方式ガス分析計を用いて測定した。その後、前述したようにコンデンサを作製し、リーク電流および静電容量の値を測定した。結果を表1に示す。水素含有量が1ppm〜600ppmの範囲ではリーク電流が少なく、静電容量が大きい。この上下限を外れると成績不良となる。
【0016】(実施例4〜5、比較例3〜4)酸化ニオブのアルミニウム還元によりニオブ粉末を作製した。このニオブ粉末へのナフタレンの添加量を種々変化させ、温度1100℃で所定時間加熱処理し、ニオブ粉末への炭素の導入量を調整した。炭素量は燃焼赤外吸収分析装置で測定した。その後前述したようにコンデンサを作製し、リーク電流および静電容量の値を測定した。結果を表2に示す。炭素含有量が1ppm〜200ppmの範囲ではリーク電流が少なく、静電容量が大きい。1ppm未満及び200ppmを越えるとリーク電流が多くなり、静電容量が小さくなる。
【0017】(実施例6〜7、比較例5〜6)酸化ニオブのアルミニウム還元によりニオブ粉末を作製した。このニオブ粉末へのニッケルカルボニルの添加量を種々変化させ、温度1100℃で所定時間加熱処理し、ニオブ粉末へのニッケルの導入量を調整した。ニッケル量はプラズマ励起質量分析装置で測定した。その後前述したようにコンデンサを作製し、リーク電流および静電容量の値を測定した。結果を表3に示す。ニッケル含有量が1ppm〜50ppmの範囲ではリーク電流が少なく、静電容量が大きく好成績である。この範囲外では、性能が低下する。
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

【0020】
【表3】

【0021】
【発明の効果】本発明は、ニオブ粉末に特定の成分を所定量含有させることによって、リーク電流が小さく、かつ静電容量の大きな固体電解コンデンサを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000200301
【氏名又は名称】川鉄鉱業株式会社
【住所又は居所】東京都台東区蔵前2丁目17番4号
【出願日】 平成14年1月21日(2002.1.21)
【代理人】 【識別番号】100079175
【弁理士】
【氏名又は名称】小杉 佳男 (外1名)
【公開番号】 特開2003−213301(P2003−213301A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−11824(P2002−11824)