| 【発明の名称】 |
衝撃吸収用多孔質体及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】朝比奈 正
【氏名】渡津 章
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| 【要約】 |
【課題】衝撃エネルギー吸収材料として好適に使用することが可能な、空隙率が高く、変形能に優れ、しかも強度の強い金属多孔質体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属粉末と、加熱により焼失する空隙形成材料としての無機又は有機のスペーサ材料粉末とを混合してプレス成形し、次いで、該スペーサ材料粉末の焼失温度に加熱してスペーサ材料を焼失させた後、これより高温の焼結温度で金属粉末を焼結処理して金属の高強度多孔質体を製造する方法であって、金属粉末として球状の金属粉末に金属繊維を加えたものを用いる上記金属多孔質体の製造方法、及びその多孔質体。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属粉末と、加熱により焼失する空隙形成材料としての無機又は有機のスペーサ材料粉末とを混合してプレス成形し、次いで、該スペーサ材料粉末の焼失温度に加熱して該スペーサ材料を焼失させた後、これより高温の焼結温度で前記金属粉末を焼結処理して金属の高強度多孔質体を製造する方法であって、前記金属粉末として球状の金属粉末に金属繊維を加えたものを用いることを特徴とする金属多孔質体の製造方法。 【請求項2】 前記金属粉末が、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、鉄、ニッケル、銅のうちから選択される1種以上の単体若しくはこれらを主成分とする合金であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項3】 前記スペーサ材料粉末が、炭酸水素アンモニウム、尿素、ポリオキシメチレン樹脂、尿素樹脂、発泡ポリスチレン樹脂、発泡ポリウレタン樹脂のうちから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項4】 常温における前記金属粉末とスペーサ材料粉末との体積混合比率を1対1〜1対10の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項5】 前記球状の金属粉末の平均粒径が10〜200μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項6】 前記金属繊維の平均径が10〜200μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項7】 前記金属繊維の平均径に対する平均長さの比率が4以上の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項8】 前記球状の金属粉末と金属繊維との常温における体積比率が3対1〜10対1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項9】 前記スペーサ材料粉末が球状であって平均粒径が200〜5000μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項10】 前記スペーサ材料粉末として柱状ないし繊維状の細長形状の異形粉末を用いることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項11】 前記スペーサ材料粉末が平均径200〜5000μmの範囲にあり、該粉末の最小径に対する最大径の比の平均値であるアスペクト比が2以上の範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の金属多孔質体の製造方法。 【請求項12】 請求項1から11のいずれかに記載の方法により金属粉末を焼結して成る金属の高強度多孔質体であって、平均径が50〜5000μmの範囲にあり、且つ平均径に対する平均長さの比率が4以上の範囲にある金属繊維の焼結組織を有していることを特徴とする金属多孔質体。 【請求項13】 空隙の形状が平均直径で200〜5000μmの範囲にあり、且つ空隙の最小径に対する最大径の比の平均値であるアスペクト比が2以上の範囲にあることを特徴とする請求項12に記載の金属多孔質体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高い衝撃吸収性を有する金属の高強度多孔質体及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、空隙率が高く、変形能に優れ、しかも高強度の金属多孔質体を簡便な方法で製造することを可能とする高衝撃吸収性多孔質体の製造方法及びその多孔質体に関するものである。本発明は、空隙率の高い高強度の多孔質体として、特に衝撃吸収用多孔質体の製造方法及び衝撃吸収用多孔質体として有用である。 【0002】 【従来の技術】従来、衝撃の吸収には、材料を梁構造等に組み合わせて、その構造の有する変形特性により衝撃エネルギーを吸収させるように設計される場合が多い。例えば、ハニカムパネルのような金属製構造体がその好例である。一方、大きな力がかからず、軽量かつ安価に衝撃吸収性を確保したい場合には、例えば、軟質の樹脂や発泡性樹脂等がこの目的に使用されていることも多い。しかし、この種の材料を用いる場合、樹脂特有の変形能の小ささと、変形応力の低さから、十分な衝撃エネルギー吸収が行われない欠点があった。 【0003】そこで、この種の衝撃吸収用材料を金属製の多孔質体で構成することが考えられる。即ち、衝撃吸収用材料を金属製の多孔質体として構成した場合、金属材料が有する最適な変形応力と、その靱性に由来する変形能の大きさから、極めて大きな衝撃エネルギー吸収性能が実現できる。また、衝撃吸収用材料をこのような金属多孔質体とすることで、金属材料を用いながらこれを極めて軽量化することができる。 【0004】以上のような利点を有する金属多孔質体は、その多孔質構造に由来して、以下のような各種の用途に用いることができる。即ち、この種の多孔質構造体は、その多孔質構造に由来して熱伝導率が低く、従って、低い熱伝導率が求められるような用途の材料として、或いはまた、生体材料として、その応用が期待されており、例えば、これを人工骨として用いたとき、生体の骨組織が多孔質体の空隙内に入り込んで生体用材料(人工骨)と生体骨とが一体化し、そこに本来の生体骨と極めて近似した骨組織を形成することが可能となる。また、この金属多孔質体は、その多孔質構造に由来して弾性率が低減され、従って、振動の抑制が求められる用途の材料等として好適に用いることができる。 【0005】次に、この種の金属多孔質体の製造方法について説明すると、従来、以下のような方法が知られている。第1の方法は、鋳造法と呼ばれるものであり、発泡ポリウレタンのような多孔質高分子材料の空隙内に石膏等を流し込むようにして型どりし、その後、加熱により高分子材料を焼失させると同時に鋳型を焼成し、次いで、その鋳型の空隙内に溶融金属を注入・凝固させた後、鋳型を破砕除去する方法である。第2の方法は、メッキ法と呼ばれるものであり、樹脂製等の微小粒子集合体の空隙に無電解メッキ等の手法で金属を充填し、その後、加熱により微小粒子を焼失・除去して、その微小粒子の焼失によって空隙形成、即ち、多孔質構造体を得る方法である。 【0006】第3の方法は、溶湯発泡法と呼ばれるものであり、溶融した金属中に発泡材を混合して、その発泡材が発泡することにより生じたガスを多量に含んだ状態で溶融金属を凝固させ、多孔質化する方法である。第4の方法は、スペースホルダー法と呼ばれるものであり、金属粉末と、加熱により焼失するスペーサ材料粉末とを混合して所定形状に成形し、その後、加熱によりスペーサ材料を焼失させた後、残った金属粉末を焼結温度で焼結させ、多孔質構造体を得る方法である。これらの先行技術を示す文献として、L. J. Gibson, M. F. Asbby, "GellularSolids: Structure and Properties", Cambridge University Press, 2nd Ed.1999等があげられる。 【0007】しかしながら、これらの方法のうち、上記第1の方法、即ち、鋳造法の場合、鋳型の空隙内に溶融金属を注入・凝固させた段階では、その金属凝固体の空隙内に石膏等の鋳型材料が詰まった状態にあり、従って、その鋳型材料の破砕除去が必要となる。しかしながら、このプロセスは困難なプロセスであって、金属多孔質体の空隙内に残った鋳型材料を容易に除去することができず、このため、この方法は、生産性が著しく悪く、従来、この方法では、板状の材料しか作製できないのが実情である。 【0008】一方、上記第2の方法、即ち、メッキ法では、作製できる金属多孔質体がニッケル等に限定されてしまう上、生産性が低く、第1の方法と同様に、従来、この方法では、板状の材料しか作製できないという問題がある。また、上記第3の方法、即ち、溶湯発泡法では、発泡と凝固に時間のずれが生じるため、一様な多孔質体を製造することが難しく、高空隙率部分が凝固開始部分に偏ったり、凝固終了部分では多孔性が著しく低下する等、そのプロセス制御に著しく困難を伴うという問題がある。 【0009】他方、上記第4の方法、即ち、スペースホルダー法では、従来、金属粉末、スペーサ材料粉末の何れも球状の粉末を用いているが、粉末混合の特性上、スペーサ材料粉末が一様に分散せず、特に空隙率を大きく取った場合、空隙と空隙とを遮断すべき金属材料が切離して空隙同士が繋がった状態となり易く、また、これに伴って材料強度のばらつきが著しく大きくなり、全体の強度も低くなるという問題を生ずる。 【0010】このスペースホルダー法により多孔質化した材料の二次元模式図を図3に示す。即ち、図3(ハ)、(ニ)は、その様子を二次元面上に模式的に表したものである。図中、(ハ)は、球状の金属粉末とスペーサ材料粉末とが理想的に混合した状態を示しており、この場合には、金属材料が良好に網目構造を成していて、空隙Pと空隙Pとは金属材料Mにより良好に遮断された状態にあり、従って、また、金属材料Mは空隙Pと空隙Pとの間の部分において良好に繋がった状態にある。 【0011】しかしながら、実際には、特に空隙率が高くなった場合には、このように理想的には金属粉末とスペーサ材料粉末とが分散混合せず、或いはまた、空隙Pと空隙Pとの間の金属材料Mの層の厚みが極めて薄いために、図3(ニ)に示されるように、同部分Maが比較的容易に切れたり離脱してしまうという問題が生ずる。これにより、その後の焼結過程において、金属粒同士の結合性が著しく悪くなってしまい、その結果、材料強度に大きなばらつきが生じるとともに、全体の強度も小さなものとなってしまうという問題が生ずる。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の問題点を確実に解消し得る新しい多孔質構造体の作製方法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、上記スペースホルダー法において、金属粉末として球状の金属粉末に金属繊維を加えたものを用いることにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、高強度金属多孔質体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)金属粉末と、加熱により焼失する空隙形成材料としての無機又は有機のスペーサ材料粉末とを混合してプレス成形し、次いで、該スペーサ材料粉末の焼失温度に加熱して該スペーサ材料を焼失させた後、これより高温の焼結温度で前記金属粉末を焼結処理して金属の高強度多孔質体を製造する方法であって、前記金属粉末として球状の金属粉末に金属繊維を加えたものを用いることを特徴とする金属多孔質体の製造方法。 (2)前記金属粉末が、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、鉄、ニッケル、銅のうちから選択される1種以上の単体若しくはこれらを主成分とする合金であることを特徴とする前記(1)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (3)前記スペーサ材料粉末が、炭酸水素アンモニウム、尿素、ポリオキシメチレン樹脂、尿素樹脂、発泡ポリスチレン樹脂、発泡ポリウレタン樹脂のうちから選択される1種以上であることを特徴とする前記(1)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (4)常温における前記金属粉末とスペーサ材料粉末との体積混合比率を1対1〜1対10の範囲とすることを特徴とする前記(1)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (5)前記球状の金属粉末の平均粒径が10〜200μmの範囲であることを特徴とする前記(1)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (6)前記金属繊維の平均径が10〜200μmの範囲であることを特徴とする前記(1)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (7)前記金属繊維の平均径に対する平均長さの比率が4以上の範囲であることを特徴とする前記(6)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (8)前記球状の金属粉末と金属繊維との常温における体積比率が3対1〜10対1の範囲であることを特徴とする前記(1)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (9)前記スペーサ材料粉末が球状であって平均粒径が200〜5000μmの範囲であることを特徴とする前記(1)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (10)前記スペーサ材料粉末として柱状ないし繊維状の細長形状の異形粉末を用いることを特徴とする前記(1)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (11)前記スペーサ材料粉末が平均径200〜5000μmの範囲にあり、該粉末の最小径に対する最大径の比の平均値であるアスペクト比が2以上の範囲にあることを特徴とする前記(8)に記載の金属多孔質体の製造方法。 (12)前記(1)から(11)のいずれかに記載の方法により金属粉末を焼結して成る金属の高強度多孔質体であって、平均径が50〜5000μmの範囲にあり、且つ平均径に対する平均長さの比率が4以上の範囲にある金属繊維の焼結組織を有していることを特徴とする金属多孔質体。 (13)空隙の形状が平均直径で200〜5000μmの範囲にあり、且つ空隙の最小径に対する最大径の比の平均値であるアスペクト比が2以上の範囲にあることを特徴とする前記(12)に記載の金属多孔質体。 【0014】 【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に説明する。本発明は、上記のように、従来のスペースホルダー法の改良に係るものであり、金属粉末として球状の金属粉末に金属繊維を加えたものを用いることを特徴とするものである。ここで、本発明で用いる金属粉末、金属繊維及びスペーサ材料粉末について説明する。まず、金属粉末について説明すると、金属粉末として、このような金属繊維を加えたものを使用し、従来の球状の金属粉末を単独で用いた場合と同様の空隙率で多孔質体を製造した場合、図1(イ)に模式的に示されるように、金属材料から成る網目構造が良好に繋がった状態となる。即ち、空隙Pと空隙Pとの間の部分に金属繊維Fが配向した状態となって、その金属繊維Fの周りで球状の金属材料Mが金属繊維Fとともに焼結し、そこに高強度の繋ぎ目が形成される。このため、空隙Pと空隙Pとは良好に遮断され、且つ金属材料Mから成る網目組織が切れ目な無く繋がった状態が発生する。この結果、空隙率が高くなっても、金属材料Mが部分的に切離することが少ないため、強度的なばらつきも小さく、また、多孔質構造体自体の強度も高強度となる。 【0015】本発明においては、上記金属粉末として、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、鉄、ニッケル、銅から選択される1種以上、即ち、これらの何れかの単体粉末若しくはこれらを主成分とする合金粉末を好適に用いることができる。特に、衝撃吸収用材料として用いる場合には、その軽量性と材料価格からアルミニウム粉末を好適に使用可能である。また、上記金属繊維として、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、鉄、ニッケル、銅の何れかの単体若しくは合金線を好適に使用可能である。特に、LSI用を含めた電気配線用のアルミニウムや銅線は、好適に使用される。 【0016】また、本発明においては、球状の金属粉末として、平均粒径が10〜200μmの範囲にあるものを用いることが好ましい。また、本発明においては、上記金属繊維として、平均粒径が10〜200μmの範囲にあるものを用いることが好ましい。また、その金属繊維として、繊維の平均径に対する繊維の平均長さの比率が4以上のものが好ましい。このように、金属繊維として、その長さが上記のような長いものを使用して、この金属繊維を中心としてその周りに小さな球状の金属粉末をともに焼結一体化することで、金属繊維の存在していた部分を効果的に高強度とすることができる。 【0017】尚、金属繊維があまり長くなると、上記のようなブリッジ効果を良好に発揮しに難くなり、従って、この意味において、金属繊維の長さは、スペーサ材料粉末の最大周長の4倍以下としておくことが望ましい。この金属繊維は、上記球状の金属粉末に対する混合比率を体積比率で3対1〜10対1の範囲としておくことが好ましい。金属繊維の体積比率が3対1より大きいと相対的に球状の金属粉末の量が少なくなって、金属材料をスペーサ材料粉末の間に良好に隙間なく分散し難くなる。一方、金属繊維の比率が10対1よりも少なくなると、金属繊維を添加することの本来の効果が十分に得られない。 【0018】次に、スペーサ材料粉末について説明する。本発明においては、スペーサ材料粉末として、球状、且つ平均粒径が200〜5000μmの範囲のものを用いることが好ましい。また、このスペーサ材料粉末として、柱状ないし繊維状の細長形状の異形粉末を用いることができる。例えば、金属粉末として、球状粉末を単独で使用し、且つスペーサ材料粉末としてこのような細長形状の異形粉末を使用して、従来の球状のスぺ一サ粉末を用いた場合と同様の空隙率で多孔質構造体を製造した場合、図1(ロ)に模式的に示されるように、金属材料Mから成る網目構造が良好に繋がった状態となる。即ち、空隙Pと空隙Pとの間に存在している金属材料Mが良好に繋がった状態にあり、また、空隙Pと空隙Pとは金属材料Mによって良好に遮断され、独立した空隙を形作るようになる。 【0019】更に加えて、本発明の方法において、金属粉末として金属繊維を併せて含んだものを用いると、上述した金属繊維の連繋効果、補強劾果が加味されて多孔質構造体がより高強度化し、また、尖鋭な部分の発生も抑制され、例えば、生体用材料としてより適したものが得られるようになる。ここで、スペーサ材料粉末として、細長形状の異形粉末を用いる場合には、そのスペーサ材料粉末としては平均径200〜5000μmの範囲にあり、且つ該粉末の最小径に対する最大径の比の平均値であるアスペクト比が2以上の範囲のものを用いるのが好ましい。特に望ましいのはアスペクト比が3以上のものである。但し、アスペクト比が過大になると一つ一つの空隙が相対的に大きくなって、同じ空隙率の多孔質体を製造しようとしたとき空隙の数が少なくなってしまう。 従って、アスペクト比は、連続した空隙を積極的に利用しない限り10以下としておくことが望ましい。 【0020】本発明においては、スペーサ材料粉末として、直径に対する長さの比率の大きいもの、即ち、繊維状のものを用いることによって、以下のような利点も得られる。即ち、混合した繊維状のスペーサ材料粉末を圧縮・成形段階において引抜処理等圧力を一定方向にかける処理を施してこれを一定方向に配向させ、これにより空孔を一定方向に配向させることができ、例えば、空孔内を液体が流れるような材料として好適に用いることができる。また、上記スペーサ材料粉末としては、炭酸水素アンモニウム、尿素、ポリオキシメチレン樹脂、尿素樹脂、発泡ポリスチレン樹脂、発泡ポリウレタン樹脂の何れかを主成分としたものが好適に使用される。また、常温における金属粉末とスペーサ材料粉末との混合比率は、体積混合比率で1対1〜1対10の範囲とすることが好ましい。混合比率が1対1よりも小さいと、即ち、スペーサ材料粉末の混合比率が少ないと、空隙率を大きくすることができず、また、逆に1対10よりもスペーサ材料粉末の混合比率が大きくなると、空隙の量が多くなり過ぎて良好に多孔質構造体を製造することが難しくなる。 【0021】次に、図2に基づいて、本発明の製造方法について説明する。ここでは、原料金属粉未とスペーサ粉末とを攪拌・混合装置12にて攪拌・混合し、得られた混合体を、次にプレス成形装置14で所定形状にプレス成形加工する。このプレス成形加工で得られた成形体をスペーサ材除去装置16にセットし、同装置によって成形体に対する加熱を行ってスペーサ材料を焼失、除去させる。この例において、スぺーサ材除去装置16は、真空排気口18を有しており、そこから真空排気しながら加熱装置20により成形体に対する中温加熱を行ってスペーサ材料を焼失、除去させる。尚、図中、図16aは、そのようにしてスペーサ材料を除去した中間製品を表している。 【0022】次に、スペーサ材料を除去処理した中間製品16aを焼結装置22にセットし、そこで再ぴスペーサ材除去装置における昇温加熱よりも高い焼結温度でこれを焼結処理する。尚、図の焼結装置22においても真空排気口18を有しており、そこから真空排気を行いながら加熱装置20により、中間製品16aを高温加熱し、これを焼結させる。ここにおいて、スペーサ材料の除去された後が空隙として残った多孔質構造体10が得られる。 【0023】本発明の方法により作製した金属製の多孔質構造体は、他の方法で作製した金属製の多孔質材料に比べて、著しく空隙率を高くすることが可能であり、変形能が大きく、且つ強度も高強度であるため、衝撃吸収用材料として特に好適なものである。本発明の方法により作製した金属多孔質体は、このような衝撃吸収用材料のみならず、その他の各種用途に適用可能である。空隙率が70%未満の多孔質体の場合、従来のように金属粉末として球状粉末のみを用いた場合であっても、網目組織を繋がった状態とすることはできるが、空隙率が70%以上の多孔質体では、網目組織を繋がった状態とすることは困難である。これに対して、本発明の方法は、空隙率が70%以上の多孔質体、更には空隙率が80%以上の多孔質体の製造に適用して特にその効果が大である。 【0024】本発明の金属多孔質体は、金属繊維の焼結組織を有し、或いはまた、更に、空隙の形状が平均径で200〜5000μm、アスペクト比が2以上のものであり、このものは、金属材料から成る網目構造が良好に繋がった状態にあり、従って、高強度であり、また、金属材料が部分的に離脱することによって発生する尖った部分も少なく、生体用材料として好適であり、更にはまた、その他の各種用途の多孔質体として好適に使用可能なものである。本発明においては、金属粉末中に金属繊維が含有されていることによって、以下のような利点も得られる。即ち、金属粉末とスペーサ材料粉末との混合粉末の圧縮・成形段階において引抜処理等、圧力を一定方向にかけることによってこれを引抜方向等に配向させ、その引抜方向に高強度を付与することができる。従って、得られた多孔質体は、特定方向に高い強度が要求されるような用途の材料として好適に用いることができる。 【0025】 【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。 実施例1ガスアトマイズ法ないし水素化脱水素化法で球状のTi粉末を作製した後、50μm以下にこれを分級した。この球状のTi粉末に対し、そのTi粉末の体積の1/5を分量とする直径100μm、長さ2mmのTi繊維及びそのTi繊維を含むTi粉末材料の体積の5倍を分量とする直径300μmの球状ポリオキシメチレン樹脂製スペーサ材料粉末を室温で十分混合し、これをプレス型にて成形加工した。次いで、真空炉内において300℃まで5時間かけて昇温させ、この過程でスペーサ材料を焼失させ、その後、更に1200℃に加熱して2時間の焼結処理を行った。得られた多孔質体の引張強度を測定した結果、10MPaであった。尚、空隙率は80%であった。ここで、引張強度の測定はJIS Z2550に準拠した試験片において、JIS Z2241に準拠した方法で行った。 【0026】実施例2ガスアトマイズ法ないし水素化脱水素化法で球状のTi粉末を作製した後、50μm以下にこれを分級した。この球状のTi粉末に対し、体積比率で1/5を分量とする直径100μm、長さ2mmのTi繊維、及びそのTi繊維を含むTi粉末材料の体積の5倍を分量とする直径300μm、長さ1.5mm(アスペクト比5)のポリオキシメチレン樹脂製の柱状スペーサ材料粉末を室温で十分混合し、これをプレス型にて成形加工した。次いで、真空炉内において300℃まで5時間かけて昇温させ、この過程でスペーサ材料を焼失させ、その後、更に1200℃に加熱して2時間の焼結処理を行った。 【0027】得られた多孔質体の引張強度を測定した結果、12MPaであった。尚、空隙率は80%であった。一方、従来の方法に従つて、上記の球状のTi粉末に対し、直径が300μmの球状の上記スペーサ材料粉末を体積比率で5倍量加えて混合し、上記と同様の処理を行って多孔質体を製造した。得られた多孔体の強度を測定した結果、5MPaであった。尚、空隙率は上記と同様の80%であつた。 【0028】このように、本発明によれば、従来の方法に比べて高強度の金属多孔質体が得られることが分かった。即ち、本発明の実施例により得られた多孔質体は、添加した金属繊維の焼結組織を有するものであり、また、空隙の形態は、添加したスペーサ材料粉末とほぼ相似形状であり、網目構造の切断、離脱に起因する部分も少ないものであった。このことは、スペーサ材料とTi粉末とを混合して成る混合粉末をプレス成形する際に、加えた圧力によって金属粉末同士が隙間を埋めるように挙動し、この結果、スペーサ材料はほぼ相似形状を保持し、そのまま焼結が進んだものと考えられる。以上、本発明の実施例を詳述したが、これは本発明の一例を示すものであり、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。 【0029】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、高衝撃吸収性金属多孔質体及びその製造方法に係るものであり、本発明により、1)従来の方法に比べて空隙率が高く、変形能に優れ、しかも高強度の金属多孔質体が得られる、2)材料強度に大きなばらつきが生じることがなく、全体の強度も大きくすることができる、3)焼結組織の網目構造の切断、離脱に起因する金属粒同士の結合性の低下がない、4)本発明の金属多孔質体は、衝撃吸収用材料として有用である、5)構造材料として要求される最低保障機械的特性値を大幅に向上することができる、という格別の効果が奏される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】301021533 【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
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| 【出願日】 |
平成13年12月7日(2001.12.7) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−171704(P2003−171704A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月20日(2003.6.20) |
| 【出願番号】 |
特願2001−374501(P2001−374501) |
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