| 【発明の名称】 |
多孔質焼結体およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】谷澤 元治 【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会社豊田自動織機内
【氏名】岸 英治 【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会社豊田自動織機内
【氏名】馬場 敬明 【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会社豊田自動織機内
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| 【要約】 |
【課題】溶湯の含浸性に優れた多孔質焼結体を提供する。
【解決手段】金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末の焼結温度以下の融点をもち該原料粉末中に設けられた溶失性線材とを共に加熱し該金属粉末を焼結させてなり、該焼結時に該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体。溶失性線材を溶解させることで容易に空洞が形成される。この空洞が溶湯の湯道となって、溶湯の含浸性が向上する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末の焼結温度以下の融点をもち該原料粉末中に設けられた溶失性線材とを共に加熱し該金属粉末を焼結させてなり、該焼結時に該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体。 【請求項2】前記空洞は、含浸させ得る溶湯の流入側に開口して湯道を形成するものである請求項1記載の多孔質焼結体。 【請求項3】前記溶失性線材は、前記金属粉末の主成分元素と合金を形成する合金成分元素を含む請求項1記載の多孔質焼結体。 【請求項4】前記主成分元素は鉄(Fe)であり、前記合金成分元素は銅(Cu)である請求項3記載の多孔質焼結体。 【請求項5】全体を100体積%としたときに気孔率が30〜60体積%である請求項1記載の多孔質焼結体。 【請求項6】シリンダブロックに鋳込まれてシリンダライナを形成する鉄基多孔質焼結体である請求項5記載の多孔質焼結体の製造方法。 【請求項7】金属粉末を主とする原料粉末を該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材の配設された成形型へ充填する充填工程と、該成形型のキャビティに充填された該原料粉末を少なくとも加圧成形して粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体を加熱して焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法。 【請求項8】金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材とを混合した混合粉末を成形型へ充填する充填工程と、該成形型に充填された該混合粉末を加圧成形して粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体を加熱して焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法。 【請求項9】金属粉末を主とする原料粉末を成形型へ充填する充填工程と、該成形型に充填された該原料粉末を低圧力で加圧成形して粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体に該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材を刺衝する刺衝工程と、該刺衝工程後の粉末成形体を加熱して焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、溶湯を含浸させる多孔質焼結体とその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】軽量化、高性能化、リサイクル化等の観点から、各種部材の材料は、例えば、鉄系材料からアルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽金属へと移行されつつある。もっとも、全体をそれらの材料で置換するのではなく、強度、剛性、摺動性、耐久性等の様々な理由から、複合材料化がなされている。例えば、エンジンのシリンダブロックの場合、外装部分はアルミニウム合金としつつも、シリンダボアには鋳鉄ライナが鋳込まれることが多い。ただ、鋳鉄ライナは、重量、熱伝導性等の点で必ずしも好ましくない。そのため、それに替えて、セラミック繊維のプリフォームや金属製の多孔質焼結体を鋳込むことも考えられている。しかし、セラミック繊維のプリフォームは、剛性や強度等の点で、大きな荷重や面圧が作用するシリンダライナへの使用には必ずしも好ましくない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】そこで、特開平11−47913号公報等では、鋳型形状を工夫して、セラミック繊維のプリフォームの両側から溶湯を含浸させ、その含浸性を向上させることが開示されている。しかし、この方法では、金型(鋳型)が複雑で高価となる。また、鋳造後の加工代が大きくなったり、セラミック繊維のプリフォームの中央部に未含浸部分が集積して鋳巣原因となったりし得る。なお、このようなことは、シリンダライナ用のセラミック繊維のプリフォームに限ったことではないことを断っておく。本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。つまり、溶湯を迅速かつ確実に含浸させることができる多孔質焼結体を提供することを目的とする。また、そのような多孔質焼結体を容易に効率よく生産できる製造方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、比較的低融点の線材を用いて、多孔質焼結体の内部に空洞を形成することを思い付き、本発明を完成させるに至ったものである。 (多孔質焼結体)すなわち、本発明の多孔質焼結体は、金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末の焼結温度以下の融点をもち該原料粉末中に設けられた溶失性線材とを共に加熱し該金属粉末を焼結させてなり、該焼結時に該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴とする。 【0005】本発明の多孔質焼結体は、従来のように、金属粉末を焼結させた際に形成される気孔を通じてのみ、溶湯を含浸させるものではない。その気孔に加えて、積極的に溶湯を導き、または含浸させるための空洞を備えるものである。この空洞の存在により、溶湯の含浸性を著しく向上させることができた。この「空洞」は、従来の気孔の代替をも為し得るが、それには限られない。むしろ、その空洞の形態を工夫することで、溶湯を多孔質焼結体の内部へ積極的に導くための湯道ともすることができる。ところで、この空洞は、金属粉末の焼結温度よりも低い温度で溶解する溶失性線材によって形成される。このため、溶失性線材の配設具合を調整することで、多孔質焼結体の内部まで至る湯道を容易に形成できる。また、その溶失性線材の配設方法により、含浸させ得る溶湯の流入側に開口して湯道を形成する空洞をも容易に形成できる。 【0006】なお、本発明でいう「多孔質焼結体」は、金属粉末が焼結して形成された気孔が多くても少なくても良い。ただ、その気孔には前記空洞を含め得る。従って、上記気孔量とは別に、本発明に係る「空洞」が多数存在すれば、十分に「多孔質」である。そして、その空洞部分も含めて、多孔質焼結体の気孔率を算出可能である。 【0007】(多孔質焼結体の製造方法)さらに本発明は、上述内容を踏まえて、次にような多孔質焼結体の製造方法としても把握できる。 (1)すなわち、本発明は、金属粉末を主とする原料粉末を該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材の配設された成形型へ充填する充填工程と、該成形型のキャビティに充填された該原料粉末を少なくとも加圧成形して粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体を加熱して焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法としても良い。この製造方法は、成形型のキャビティに予め溶失性線材を配設しておき、そこに原料粉末を充填し、成形、焼結を行うものである。この場合、溶失性線材の配設自由度が大きいため、形成される空洞の形態を調整し易い。例えば、空洞を湯道とする場合、湯道の開口を溶湯の流入側に向けることも容易となる。 【0008】(2)また、本発明は、金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材とを混合した混合粉末を成形型へ充填する充填工程と、該成形型に充填された該混合粉末を加圧成形して粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体を加熱して焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法としても良い。この製造方法は、適度な長さの溶失性線材と金属粉末とを予め混合した混合粉末を成形型に充填し、成形、焼結を行うものである。この場合、多孔質焼結体の全体にほぼ均一的な空洞が形成させ得る。このため、溶湯は、多孔質焼結体の全体へより確実に含浸され易くなる。 【0009】(3)さらに、本発明は、金属粉末を主とする原料粉末を成形型へ充填する充填工程と、該成形型に充填された該原料粉末を低圧力で加圧成形して粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体に該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材を刺衝する刺衝工程と、該刺衝工程後の粉末成形体を加熱して焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法としても良い。この製造方法は、粉末成形体を先ず成形しておき、これに溶失性線材を刺衝し、焼結させるものである。既成の粉末成形体に溶失性線材の刺衝するため、溶失性線材の配設自由度はより一層大きい。例えば、粉末成形体のあらゆる面から湯道を形成することも容易である。なお、「刺衝」には、埋設も含まれる。なお、この成形工程において、原料粉末を加圧成形する際に「低圧力で」としたのは、溶失性線材の刺衝を容易にするためである。従って、溶失性線材の粉末成形体への刺衝が可能な限り、その具体的な加圧力は問題ではない。 【0010】 【発明の実施の形態】次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。なお、以下に述べる内容は、本発明に係る多孔質焼結体およびその製造方法のいずれにも適宜該当するものである。 (1)溶失性線材溶失性線材は、金属粉末の焼結温度以下で溶融する線材であれば足る。従って、金属製、樹脂製等、その材質は問わないし、その長短、線径(太細)や断面形状等も問わない。もっとも、溶失性線材の融点は、焼結温度に近い方が好ましい。金属粉末の焼結温度と溶失性線材の融点との格差があまり大きいと、溶失性線材が気化して、焼結工程時に炉体を汚損等するからである。例えば、金属粉末が鉄系粉末で、その焼結温度を1100℃とする場合、銅(融点:1083℃)を溶失性線材の材料とすると良い。 【0011】また、溶失性線材の材質は、多孔質焼結体(金属粉末)の主成分元素と合金を形成する合金成分元素を含むものであると好適である。適切な組み合わせにより、多孔質焼結体の強度、熱伝導性、摺動性等の向上を図れる。例えば、前記主成分元素が鉄(Fe)の場合、前記合金成分元素が銅(Cu)であると、CuがFeに固溶されて多孔質焼結体の強度を向上させ得る。これ以外に、主成分元素と合金成分元素との組合わせは種々考えることができ、主成分元素をFeとした場合なら、合金成分元素として上記Cu以外に、炭素(C)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)等を考えることができる。 【0012】溶失性線材の長さは、目的により適宜選択すれば良い。例えば、溶失性線材の長さを、多孔質焼結体の長さまたは厚さに応じた長さとすれば良い。具体的には、溶失性線材の溶融により形成された空洞を溶湯の湯道とする場合、多孔質焼結体の一方から他方にかけて空洞が貫通またはそれに近い状態となる長さにすると好ましい。一方、原料粉末に溶失性線材を混合した混合粉末で粉末成形体を一体成形するような場合なら、その長さは短い細切れ状または繊維状とすると良い。溶失性線材の線径も、目的により適宜選択すれば良い。例えば、前述の湯道を形成する場合なら、太い程好ましい。例えば、線径を0.5mm以上、より望ましくは1mm以上とすれば良い。本発明者がダイカスト鋳造で確認したところ、線径1mm程度の空洞でも、十分に湯道として機能し得た。溶失性線材の断面形状は、コスト、入手性、取扱い性等から、円断面であると好ましい。 【0013】(2)原料粉末原料粉末は、主に金属粉末からなる。金属粉末は、Fe、Al、Mg等の金属単体からなる純金属粉末でも、合金粉末でも、それらの混合粉末でも良い。もっとも、金属粉末がFeを主成分とする鉄系粉末であると、入手が容易で低コストである。金属粉末は、アトマイズ粉、還元粉等、なんでも良く、粒形状等は問わない。ただし、高気孔率の多孔質焼結体を製造する場合、あまりにも小さい粒径の微粉は好ましくない。例えば、粒径が50〜150μm程度のものを使用すると好ましい。原料粉末は、このような金属粉末だけからなる場合に限らず、潤滑剤または添加剤等を含んだ混合粉末(混合原料粉末)でも良い。また、炭素(C)、ホウ素(B)等の金属以外の各種合金元素粉末またはそれらの含有粉末、さらにはセラミックス粉末のような各種化合物粉末を含んでいても良い。 【0014】(3)粉末成形体粉末成形体中で、前記金属粉末の占める占有体積率(金属粉末占有体積率)が40〜70体積%であると良い。40体積%未満では、その取扱性が悪いし、一方、70体積%を超えると多孔質焼結体の気孔率が低下して好ましくない。金属粉末占有体積率は、45〜65体積%、45〜60体積%、さらには50体積%を目標に45〜55体積%程度とすると良い。なお、本明細書でいう体積%とは、金属粉末の真密度に対する粉末成形体の嵩密度の割合である。ところで、このような金属粉末占有体積率の低い粉末成形体の形成に好適な新たな方法を、本発明者は開発している。 【0015】すなわち、前述した本発明の製造方法を前提に、全体を100質量%としたときに2.5質量%以上の低温軟化性のバインダを含む混合原料粉末を原料粉末として使用し、これを成形型に充填し(充填工程)、その充填された混合原料粉末中のバインダを軟化または溶融させ該混合原料粉末を加圧成形して粉末成形体とし(成形工程)、全体を100体積%としたときに前記金属粉末占有体積率が40〜70体積%となる粉末成形体を加熱し、該バインダを除去すると共に該金属粉末を焼結させて多孔質焼結体とする(焼結工程)ものである。 【0016】成形工程で加熱された低温軟化性のバインダは、軟化または溶融して金属粉末の構成粒子を被覆し、各構成粒子同士を付着させ易くする。このため、金属粉末占有体積率の小さい粉末成形体であっても、取扱性が良く通常にハンドリングできる。しかも、このバインダは、焼結工程で容易に除去され、炉体の汚染も抑制、防止できる。その含有量は、粉末成形体全体を100質量%としたときに、2.5質量%以上、好ましくは3質量%以上であると良い。低温軟化性のバインダとして、例えば、ステアリン酸やアマイド系ワックス等の粉末冶金用潤滑剤を使用できる。これらは安価であり、使用が容易である。なお、ここでいうバインダの「低温」とは、成形工程でバインダが軟化または溶融する程度の温度という意味である。従って、具体的な温度域はバインダの種類により異なるが、予熱または加熱した成形型中でバインダが軟化または溶融すれば十分である。このように、低温軟化性のバインダを利用することで、取扱性に優れた、低い金属粉末占有体積率の粉末成形体が得られ、高気孔率の多孔質焼結体を効率的に量産することが可能となった。 【0017】(4)多孔質焼結体焼結後に得られた多孔質焼結体は、全体を100体積%としたときに気孔率が30〜60体積%であると好ましい。溶湯の含浸性に優れるからである。この気孔率に前記溶失性線材により形成された空洞を含めて考えると、従来製作が困難であった高気孔率の多孔質焼結体が容易に得られることになる。ここで、気孔率は、多孔質焼結体の嵩密度(ρ)とその構成材料の真密度(ρ0)とを用いて、{1−(ρ/ρ0)}×100(%)として表される。 【0018】ところで、溶失性線材が焼結工程で溶融したとしても、その後に凝固して、結局は、その空洞が閉塞されてしまうのではないかとも思われる。しかし、溶失性線材が溶融すると、その溶融材料は、周囲に形成された気孔を通じて、焼結した金属粉末の表面を全体に拡がっていく。また、溶失性線材の材質によっては気化消失する場合もある。いずれにしても、溶失性線材の溶融後、それが再び凝固して空洞を塞ぐことはない。このことを本発明者は、例えば、Fe粉(金属粉末)中に銅線(溶失性線材)を配設した場合について確認している。これについては、さらに後述する。 【0019】本発明の多孔質焼結体は、溶湯の含浸性に優れるため、鋳込み部材として好適である。例えば、シリンダブロックに鋳込まれてシリンダライナを形成する鉄基多孔質焼結体とすると好ましい。このとき、その多孔質焼結体は溶湯の含浸性に優れるため、溶湯鍛造等を用いるまでもなく、ダイカストによってもシリンダブロックを生産性よく製造することができる。 【0020】もっとも、このように多孔質焼結体を鋳込み部材として用いる場合以外に、多孔質焼結体を複合材料の基材として使用しても良い。例えば、多孔質焼結体の気孔部分に異種材料である軟質材料や摺動性に優れる潤滑材料(固体潤滑剤)を含浸または埋込んで軸受等の摺動部材とすることもできる。さらに、このような基材として使用する場合の他に、無数に存在する気孔を利用して多孔質焼結体をフィルター等に利用することもできる。 【0021】 【実施例】次に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。 (多孔質焼結体の製造)アルミニウム合金製エンジンブロックのシリンダ部に鋳込むシリンダライナ用多孔質焼結体を以下のようにして製造した。先ず、原料として、金属粉末である還元鉄粉(純鉄:川崎製鉄製KIP240M)と、グラファイト(C)と、ステアリン酸(融点:60℃)からなる粉末冶金用潤滑剤(ダイワックスW−02)とを用意した。これらをFe:96.3質量%、C:0.7質量%、ステアリン酸:3質量%の割合で混合した(混合工程)。この混合は、ミリング装置を用いて1時間行った。 【0022】次に、この混合原料粉末をを円筒形状のキャビティを有する成形型(金型)に充填した(充填工程)。このとき、成形型のキャビティには、予め図1に示すような溶失性線材である直径1mmの銅線を、軸方向に配設しておいた。図1では、一本の銅線しか示していないが、円筒内周側近傍で、周状に16箇所均等配置した。また、銅線の端部は、粉末成形体の端部から僅かに突き出るようにしておいた。なお、銅線を配設した成形型は、混合原料粉末を充填する前に予め80℃に加熱しておき、前記潤滑剤が溶融可能とした。 【0023】次に、成形型に充填した混合原料粉末を、油圧プレスで上下方向から加圧した(加圧工程)。このときの加圧力は100MPaとした。こうして得られた粉末成形体を成形型から取出した。得られた粉末成形体は、外径77mm×高さ130mm×板厚3mmであり、前記銅線を保持した状態であった。この粉末成形体は、素手でも十分に取扱える強度を有しており、多少の振動等で崩壊することはなかった。この粉末成形体の金属粉末占有体積率を調べたところ、約50体積%であった。次に、前記粉末成形体を電気炉の中に入れて、不活性または真空雰囲気で1250℃×30時間加熱して焼結させた(焼結工程)。こうして、前記した粉末成形体と同形状で気孔率が約50体積%の多孔質焼結体が得られた。 【0024】(評価)得られた多孔質焼結体を顕微鏡で拡大して観察した様子を図2に示す。同図(a)から明かなように、銅線の存在した部分には、銅線とほぼ同形状の空洞が形成されていた。本実施例では、溶失性線材を多孔質焼結体の軸方向一端から他端まで設けていたので、形成された空洞は軸方向に延びる直線上の円筒状の空洞であった。また、図2(a)のA部を拡大した同図(b)から次のことが明かとなった。すなわち、銅線は、形成された空洞の内周面や気孔から侵入して焼結した鉄粉の表面に薄く(厚さ1μm程度)展着していた。そして、いずれにしても、溶解後の銅線が空洞を再び閉塞することはなかった。 【0025】次に、この多孔質焼結体をアルミニウム合金(JIS ADC12)に鋳込んでエンジンブロックを製作した。このエンジンブロックは、ダイカストにより製造した。ダイカストの条件は、溶湯温度680℃、型温250℃、成形体予熱500℃とした。なお、アルミニウム合金溶湯は、多孔質焼結体の端部開口から流入するようにダイカスト金型および注湯方法を方案した。 【0026】次に、そのエンジンブロックのシリンダボア部分を切断して、アルミニウム合金の多孔質焼結体への含浸性を調べた。採取した試料は、銅線が溶解してできた空洞の部分を含むようにしたものである(高さ60mm×外径φ100mm×内径φ94mm)。この試料を顕微鏡で観察した写真を図3(a)に示す。また、比較例として、銅線なしの粉末成形体を焼結させてなる多孔質焼結体に関し、同様に含浸性を調べた顕微鏡写真を図3(b)に示す。これらの写真から、アルミニウム合金が上記空洞を湯道として多孔質焼結体中へ十分に含浸していることが分る。そして、図3(b)のように、空洞を設けなかった場合に点在する未含浸部(黒い斑点部分)が、図3(a)の場合、殆ど存在しないことが解る。なお、その写真中で、縞模様(ケイ素の析出部分)のある白い部分がアルミニウム合金部分である。 【0027】 【発明の効果】本発明の多孔質焼結体によれば、内部に形成された空洞により、溶湯の含浸性向上等を容易に図ることができる。また、本発明の製造方法によれば、そのような多孔質焼結体を容易に得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機 【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地
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| 【出願日】 |
平成13年12月3日(2001.12.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081776 【弁理士】 【氏名又は名称】大川 宏
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| 【公開番号】 |
特開2003−171703(P2003−171703A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月20日(2003.6.20) |
| 【出願番号】 |
特願2001−368788(P2001−368788) |
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