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【発明の名称】 多孔質金属体の製造方法
【発明者】 【氏名】和田 正弘
【住所又は居所】埼玉県北本市下石戸下476 三菱マテリアル株式会社非鉄材料技術研究所内

【氏名】渋谷 巧
【住所又は居所】埼玉県桶川市上日出谷1230番地 三菱マテリアル株式会社桶川製作所内

【氏名】長 俊之
【住所又は居所】埼玉県北本市下石戸上1975番地2 三菱マテリアル株式会社北本製作所内

【要約】 【課題】任意の気孔率の多孔質金属体を製造できる多孔質金属体の製造方法を提供することにある。

【解決手段】金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水及び非水溶性炭化水素系有機溶剤を添加した混合物を平板状に成形して、これを加熱することにより発泡させて発泡金属10を形成し、この発泡金属10に金属粉11を担持させた後に焼結したことを特徴とし、前記金属粉11は、酸化銅粉であることを特徴とし、金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水及び非水溶性炭化水素系有機溶剤を添加した混合物を平板状に成形して、これを加熱することにより発泡させて発泡金属10を形成し、この発泡金属10に金属スラリー17を担持させた後に焼結したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水を混合し、更に非水溶性有機溶剤を添加して均一に分散分布させた混合物を平板状に成形して、これを加熱することにより前記非水溶性有機溶剤を発泡させて発泡金属を形成し、この発泡金属に金属粉を更に担持させた後に焼結したことを特徴とする多孔質金属体の製造方法。
【請求項2】 請求項1記載の多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉は、酸化銅粉であることを特徴とする多孔質金属体の製造方法。
【請求項3】 金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水を混合し、更に非水溶性有機溶剤を添加して均一に分散分布させた混合物を平板状に成形して、これを加熱することにより前記非水溶性有機溶剤を発泡させて発泡金属を形成し、この発泡金属に金属スラリーを担持させた後に焼結したことを特徴とする多孔質金属体の製造方法。
【請求項4】 請求項3記載の多孔質金属体の製造方法において、前記金属スラリーは、酸化銅粉を含むスラリーであることを特徴とする多孔質金属体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001 】
【発明の属する技術分野】本発明は伝熱管、ヒートパイプ等に利用される多孔質金属体の製造方法に関するものである。
【0002 】
【従来の技術】一般に、多孔質金属体は、発泡処理を行った後に焼結処理を行う場合と通常の焼結処理のみを行う場合があり、発泡処理を行う場合には、金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水を混合し、更に非水溶性有機溶剤を添加混合して、均一に分散分布させた成形体を成形し、この成形体を一定温度に保持することにより、成形体中の非水溶性有機溶剤を気化させ、ガスとして蒸発させる。この蒸発により、成形体中には微細にして整寸の気泡が多数発生して発泡金属体が形成される。以上のようにして成形された発泡金属体は、高温で焼結処理することにより金属粉部分が焼結され、気泡を覆うスケルトン部(骨格)で構成された多孔質金属体が得られる。
【0003 】また、通常の焼結金属は、種々の金属粉末を混合した後に成形し、この成形体を高温で焼結処理することにより多孔質金属体が製造される。
【0004 】
【発明が解決しようとする課題】一方、以上のように製造された多孔質金属体では、以下のような問題点を有していた。まず、従来の非水溶性有機溶剤を発泡させた後に焼結する、多孔質金属体では、気孔率が大きく90%以上となってしまう。また、通常の焼結のみの場合では、気孔率が小さく30%以下であった。したがって、従来の製造方法では、その中間の気孔率の多孔質金属体を得ることができなかった。ここで、気孔率とは、(1−測定比重(g/cm3)÷真比重(g/cm3))をいう。
【0005 】この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、気孔率90〜30%の間で任意の気孔率の多孔質金属体を提供することにある。
【0006 】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。請求項1に係る発明は、金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水を混合し、更に非水溶性有機溶剤を添加して均一に分散分布させた混合物を平板状に成形して、これを加熱することにより前記非水溶性有機溶剤を発泡させて発泡金属を形成し、この発泡金属に金属粉を担持させた後に焼結したことを特徴とするものである。
【0007 】この発明に係る多孔質金属体の製造方法においては、非水溶性有機溶剤を発泡させて形成した気孔内に金属粉を担持させるので、担持させる金属粉の量に応じて、発泡により生じた気孔を充填することができ、気孔率を任意に設定することができる。
【0008 】請求項2に係る発明は、請求項1記載の多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉は、酸化銅粉であることを特徴とするものである。
【0009 】酸化銅粉を還元焼結すると、銅粉と比較して、比表面積の大きな焼結体が得られる。この発明に係る多孔質金属体の製造方法においては、酸化銅粉を担持させたので大きな比表面積を持つ焼結金属体を得ることができる。したがって、伝熱管、ヒートパイプ等に使用した場合に高い熱交換効率を得ることができる。
【0010 】請求項3に係る発明は、金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水を混合し、更に非水溶性有機溶剤を添加して均一に分散分布させた混合物を平板状に成形して、これを加熱することにより前記非水溶性有機溶剤を発泡させて発泡金属を形成し、この発泡金属に金属スラリーを担持させた後に焼結したことを特徴とするものである。
【0011 】この発明に係る多孔質金属体の製造方法においては、発泡金属に金属スラリーを担持させた後に焼結したので、均一に金属スラリーを分布させることができるので、気孔の分布を平均化できる。
【0012 】請求項4に係る発明は、請求項3記載の多孔質金属体の製造方法において、前記金属スラリーは、酸化銅粉を含む、スラリーであることを特徴とするものである。
【0013 】前述したように、酸化銅粉の焼結体は、大きな比表面積をもつ。この発明に係る多孔質金属体の製造方法においては、均一に金属スラリーを分布させることができると共に、大きな比表面積をもつ焼結金属体を得ることができる。したがって、伝熱管、ヒートパイプ等に使用した場合に高い熱交換効率を得ることができる。
【0014 】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、この発明の一実施の形態について説明する。図1は、本発明の多孔質金属体の製造方法の一例を示す説明図である。ここで、金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水を混合し、更に非水溶性有機溶剤を添加して均一に分散分布させた混合物を平板状に加工して成形体を成形する。界面活性剤としては、一般に洗剤でよく、市販の台所用中性洗剤、例えばアルキルグルコシドとポリオキシエチレンアルキルエーテルの28%混合水溶液等を使用することができる。また、非水溶性有機溶剤は、炭素数5〜8の非水溶性炭素系有機溶剤、例えば、ネオペンタン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、ベンゼン、オクタン、及びトルエン等を使用することができる。また、前記金属粉は、焼結後の多孔質金属体を構成するものであるから、従来の有孔金属焼結体を含め金属多孔質体に適用されている金属材料で構成してよく、その平均粒径が0.5μm未満になると焼結体の高気孔率化が困難になる。一方、その平均粒径が500μmを越えると、混合原料中での分散性が低下し、均質な焼結体の製造が困難となる。したがって、その平均粒径を0.5〜500μm、望ましくは5〜100μmとする。
【0015 】以上の様に形成した成形体を加熱することにより前記非水溶性有機溶剤を発泡させて発泡金属10を形成する。この発泡金属10に金属粉11を更に担持させた後に焼結炉12で焼結する。金属粉の材質が銅系の場合、焼結温度は、900〜1050℃程度で行われる。焼結処理によって、図2に示すように、気孔Aを覆うスケルトン部13で構成された多孔質金属体14が得られ、スケルトン部13がその内部に前記気孔Aより小径の内部微細気孔aを多数包含する多孔質金属体14となる。
【0016 】以上のようにして製造された多孔質金属体14は、担持する金属粉の割合に応じて、気孔率を自由に設定することができる。したがって、多孔質金属体14の用途に応じて気孔率を変更して製造できる。
【0017 】上記、多孔質金属体の製造方法において、形成した発泡金属10に担持させる金属粉11を酸化銅粉としてもよい。酸化銅粉を担持させた場合、表面積がさらに増大し、伝熱管、ヒートパイプ等に使用した場合に高い熱交換効率を得ることができる。
【0018 】また、本発明の他の実施の形態として、金属粉末と水溶性バインダーと界面活性剤と水を混合し、更に非水溶性有機溶剤を添加して均一に分散分布させた混合物を平板状に成形して、これを加熱することにより前記非水溶性有機溶剤を発泡させて発泡金属10を形成する。この発泡金属10に金属スラリー17を担持させた後に焼結炉12で焼結処理する。
【0019 】以上のように構成した多孔質金属体の製造方法によれば、発泡金属10に金属スラリー17を担持させた後に焼結したので、均一に金属スラリー17を分布させることができ、気孔Aの分布を平均化できる。
【0020 】上記、多孔質金属体の製造方法において、前記金属スラリー17は、酸化銅粉を含むスラリーであってもよい。
【0021 】以上のように構成した多孔質金属体の製造方法によれば、均一に金属スラリー17を分布させることができると共に、大きな比表面積をもつ焼結金属体を得ることができる。したがって、伝熱管、ヒートパイプ等に使用した場合に高い熱交換効率を得ることができる。
【0022 】図3は、本発明の多孔質金属体の製造方法により製造した多孔質金属体14を使用したヒートパイプ15の断面図である。ここで、ヒートパイプ15は、銅やアルミニウム等の耐熱材料で円筒状でかつ、密閉状態とされた中空部16aを有するパイプ本体16と、このパイプ本体16の内周面に接するように配置された多孔質金属体14と、前記パイプ本体16内に封入された水やナトリウム等の作動流体Lとを備えている。
【0023 】ヒートパイプ15は、筒状のパイプ本体16内に、筒状に丸めた多孔質金属体14を挿入し、その後パイプ本体16内に前記多孔質金属体14の内径より大径の球状部を有する引抜きプラグを挿入し、かつこれをパイプ本体16の軸線方向へ引き抜くことにより前記多孔質金属体14をパイプ本体16の内周面に圧着させる。その後、還元雰囲気中で熱処理を行い、パイプ本体16と多孔質金属体14とを拡散接合させる。その後、内部に水やナトリウム等の作動流体Lを入れて、両端を封止する。
【0024 】このように製造されたヒートパイプ15は、多孔質金属体14の気孔率を自由に設定することができるので、ヒートパイプ15の用途、使用する作動流体Lによって使いわけることができる。
【0025 】尚、本発明は以上の実施の形態に限ることなく本発明の技術思想に基づいて種々の設計変更が可能である。
【0026 】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、非水溶性有機溶剤を発泡させて形成した気孔内に金属粉を担持させるので、担持させる金属粉の量に応じて、発泡により生じた気孔を充填することができ、所望の気孔率の多孔質金属体を製造することができる。
【0027 】また、請求項2に係る発明によれば、発泡金属に酸化銅粉を担持させたので焼結金属体の比表面積を増大させることができる。したがって、伝熱管、ヒートパイプ等に使用した場合に高い熱交換効率を得ることができる。
【0028 】また、請求項3に係る発明によれば、発泡金属に金属スラリーを担持させた後に焼結したので、均一に金属スラリーを分布させることができる。したがって、気孔の分布を均一化した多孔質金属体を製造することができる。
【0029 】また、請求項4に係る発明によれば、発泡金属に酸化銅粉を含むスラリーを担持させたので、均一に金属スラリーを分布させることができると共に、焼結金属体の比表面積を増大させることができる。したがって、伝熱管、ヒートパイプ等に使用した場合に高い熱交換効率を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町1丁目5番1号
【出願日】 平成13年11月15日(2001.11.15)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2003−155503(P2003−155503A)
【公開日】 平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願番号】 特願2001−350703(P2001−350703)