| 【発明の名称】 |
微粒子製造方法および微粒子製造装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】松井 功 【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内
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| 【要約】 |
【課題】粒径の揃ったナノメートルサイズの微粒子を作製できる微粒子製造方法と微粒子製造装置を提供する。
【解決手段】反応容器内に、一方より微粒子原料を含む反応ガス流を導入するとともに、この反応ガス流とほぼ対向する他方より希釈ガス流を導入する。反応ガス流中の微粒子原料を加熱励起して微粒子成長を促した後、反応ガス流および希釈ガス流をそれぞれ、流路断面における流速が略均一になるように整流し、合流させて微粒子成長を停止させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 反応容器内に、一方より微粒子原料を含む反応ガス流を導入し、前記反応ガス流中の前記微粒子原料を加熱して微粒子成長を促し、前記反応ガス流とほぼ対向する他方より希釈ガス流を導入し、前記反応ガス流および前記希釈ガス流をそれぞれ、流路断面における流速が略均一になるように整流し、該整流後の前記反応ガス流と前記希釈ガス流とを合流させて前記微粒子成長を停止させることを特徴とする微粒子製造方法。 【請求項2】 反応容器内に、一方より微粒子原料を含む反応ガス流を導入するとともに、前記反応ガス流とほぼ対向する他方より希釈ガス流を導入し、前記反応ガス流と前記希釈ガス流とが合流する合流域で、前記微粒子原料を励起して微粒子成長を促すとともに、前記希釈ガス流による希釈により該微粒子成長を停止させることを特徴とする微粒子製造方法。 【請求項3】 前記合流域において、プラズマを発生させることによって前記微粒子原料を励起して微粒子成長を促すことを特徴とする請求項2に記載の微粒子製造方法。 【請求項4】 前記希釈ガス流を前記合流域に達する前に加熱し、前記合流域において、希釈ガス流の熱により前記微粒子原料を励起して微粒子成長を促すことを特徴とする請求項2に記載の微粒子製造方法。 【請求項5】 前記希釈ガス流として酸素ガスを含有するガス流を使用し、前記合流域において、前記酸素ガスとの燃焼反応により、前記微粒子原料を励起して微粒子成長を促すことを特徴とする請求項2に記載の微粒子製造方法。 【請求項6】 前記合流域に達する前に、前記反応ガス流と前記希釈ガス流とを、それぞれ、流路断面における流速が略均一になるように整流することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の微粒子製造方法。 【請求項7】 反応容器と、前記反応容器の一方に設けられた、微粒子原料を含む反応ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第1の導入部と、前記反応容器内の前記第1の導入部とほぼ対向する他方に設けられた、希釈ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第2の導入部と、前記反応ガス流中の微粒子原料を励起する手段と、前記反応ガス流を流路断面における流速が略均一になるように整流する第1のガス整流手段と、前記希釈ガス流を流路断面における流速が略均一になるように整流する第2のガス整流手段と、整流後の前記反応ガス流と整流後の前記希釈ガス流とが合流する合流域に設けられたガス排出部と、前記ガス排出部から排出されたガス中の微粒子を捕集する手段とを有することを特徴とする微粒子製造装置。 【請求項8】 反応容器と、前記反応容器の一方に設けられた、微粒子原料を含む反応ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第1の導入部と、前記反応容器内の前記第1の導入部とほぼ対向する他方に設けられた、希釈ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第2の導入部と、前記反応ガス流と前記希釈ガス流とが合流する合流域にプラズマを発生する手段と、前記合流域に設けられたガス排出部と、前記ガス排出部から排出されたガス中の微粒子を捕集する手段とを有することを特徴とする微粒子製造装置。 【請求項9】 反応容器と、前記反応容器の一方に設けられた、微粒子原料を含む反応ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第1の導入部と、前記反応容器内の前記第1の導入部とほぼ対向する他方に設けられた、希釈ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第2の導入部と、前記希釈ガス流を加熱する手段と、前記反応ガス流と前記希釈ガス流とが合流する合流域に設けられたガス排出部と、前記ガス排出部から排出されたガス中の微粒子を捕集する手段とを有することを特徴とする微粒子製造装置。 【請求項10】 さらに、前記反応ガス流を流路断面における流速を略均一に整流する第1の整流手段と、前記希釈ガス流を流路断面における流速を略均一に整流する第2の整流手段とを有する請求項8又は9に記載の微粒子製造装置。 【請求項11】 前記第1及び第2の整流手段は、複数の開孔部を均一に配した板状体であり、ガス流の流路に略垂直に配置されるものである請求項7〜10のいずれか1項に記載の微粒子製造装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、微粒子製造方法および微粒子製造装置に関し、特にナノメートルサイズの微粒子の気相成長方法およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ナノメートルサイズの微粒子は、量子サイズ効果により従来にない機能を発揮するため、新しい形態の物質として近年注目されつつあり、微粒子の材料種類によって、可視光LED素子、ディスプレイの蛍光体や磁気記録媒体などに応用されている。 【0003】微粒子は、一般に気相成長方法を用いて作製されている。図8は、従来の微粒子製造装置を示す構成図である。 【0004】例えば、蛍光材であるZnS微粒子は、図8に示す装置を用い、次のような方法で作製されている(Okuyama et al. J.Materials Science, vol32, 1229-1237(1997))。 【0005】即ち、原料ガスであるZn(NO3)2、SC(NH2)2を、常圧の不活性ガス雰囲気に調整された反応容器101内に導入し、ここで、反応容器101に設けられたヒータ102により600℃〜700℃に加熱する。加熱された原料ガスは、次式(F1)の化学反応を起こし、ZnS微粒子核を生成する。 【0006】 Zn(NO3)2+SC(NH2)2→ZnS+NO2+CO2+(NH2)2…(F1) 生成されたZnS微粒子核は、さらに反応容器を移動する過程で成長する。 【0007】得られたZnS微粒子は、他のガスとともに反応容器101から排出され、その途中で不活性ガスにより希釈され、不活性ガスと共にクーラ103に導かれ室温程度に冷却される。 【0008】冷却された生成微粒子を含むガスは、界面活性剤を含む溶液が入った回収装置104に通気され、生成微粒子のみが溶液中に捕集され、分散状態を保って保存される。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】図9(a)および図9(b)は、上述する従来の気相成長方法における、反応容器101に原料ガスが導入され、微粒子生成反応開始されてからの反応時間に対する微粒子の生成数と微粒子径の変化を示すグラフである。 【0010】図9(a)に示すように、微粒子生成数は時間の経過とともに当初は単調に増加していくが、0.001秒を経過するあたりで、飽和し、これ以降は時間とともに次第に減少していく。0.1秒を過ぎると微粒子生成数の減少の度合いはより大きくなる。 【0011】一方、図9(b)に示すように、平均微粒子径は、微粒子生成数が単調に伸びる0.001秒あたりまではほとんど変化しないものの、微粒子生成数が飽和する0.001秒あたりから時間とともに増大していく。 【0012】これらのデータから、従来の気相成長法を用いた微粒子成長方法では、微粒子の成長が次の三段階(■〜■)で進行していると考えられる。 【0013】即ち、■第1段階(微粒子核生成過程):原料ガスが分解し粒子生成のもととなる微粒子の核(原子)を生成する。この過程では、微粒子数は増大するが、微粒子径はほとんど変化しない。 【0014】■第2段階(微粒子クラスター生成過程):生成した微粒子の核同士が、数個〜数100個結合し、ナノメートルサイズのクラスターに成長する。従って、この段階に入ると、微粒子生成数は時間とともに減少するが、微粒子径は増加し始める。 【0015】■第3段階(クラスター凝集過程):生成したナノメートルサイズのクラスター同士が凝集し、10ナノメートル以上の微粒子が生成する。これに伴い微粒子生成数はさらに減少する。 【0016】上記3つの段階のうち、量子効果を示す10ナノメートル以下の微粒子の核生成が最も効果的に進行するのは第1段階であるが、図9(a)、図9(b)に示すように、この段階は微粒子生成反応の開始からせいぜい0.001秒までに過ぎず、極めて短時間に終了する。従来の気相成長法を使用した場合、0.1秒以下で反応時間を制御することはできず、微粒子の成長は不可避的に第3段階まで進行する。その結果、得られた微粒子の中には10ナノメートル以上の微粒子が多く含まれることになる。図10に従来の方法で得られた微粒子の粒子径分布を示す。 【0017】従って、量子効果が生じる10ナノメートル以下の径の微粒子を得るためには、従来の製造方法により回収保存された微粒子を、さらに分級器を用いて所定のサイズの微粒子のみを取り出す作業が必要になる。この結果、微粒子の製造に余分なコストがかかる。 【0018】本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、分級を必要とせず10ナノメートル以下の微粒子を製造できる微粒子製造方法およびその微粒子製造装置を提供することを目的とする。 【0019】 【課題を解決するための手段】本発明の微粒子製造方法の第1の特徴は、反応容器内に、一方より微粒子原料を含む反応ガス流を導入し、反応ガス流中の微粒子原料を加熱して微粒子成長を促し、反応ガス流とほぼ対向する他方より希釈ガス流を導入し、反応ガス流および前記希釈ガス流をそれぞれ、流路断面における流速が略均一になるように整流した後に上記反応ガス流と上記希釈ガス流とを合流させて微粒子成長を停止させることである。 【0020】上記微粒子製造方法の第1の特徴によれば、反応ガス流中の微粒子を加熱した後、すぐに反応容器内で、対向する方向から導入された希釈ガスとの合流によって微粒子成長を停止させるので、微粒子生成反応時間を短縮し、微粒子の凝集による成長を抑制することができる。また、反応ガス流と希釈ガス流をそれぞれ流路断面で均一な速度に整流した後に両者を合流させているので、合流域での流路断面でガスの交わり方を均一にできる。この結果、微粒子の大きさを決める微粒子生成反応が開始から停止にいたる時間も均一化できるので、ナノメートルサイズの径の揃った微粒子を得ることができる。 【0021】本発明の微粒子製造方法の第2の特徴は、反応容器内に、一方より微粒子原料を含む反応ガス流を導入するとともに、反応ガス流とほぼ対向する他方より希釈ガス流を導入し、反応ガス流と希釈ガス流とが合流する合流域で、微粒子原料を励起して微粒子成長を促すとともに、希釈ガス流による希釈により該微粒子成長を停止させることである。 【0022】上記微粒子製造方法の第2の特徴によれば、反応ガス流と希釈ガス流との合流域において、微粒子原料を励起させ微粒子の生成を図るとともに、希釈ガス流による希釈により微粒子成長を停止させるので、微粒子成長開始直後に微粒子の成長がとまる。従って微粒子成長時間を極めて短時間にすることができる。従って、微粒子径の結合、凝集による増大を抑制し、ナノメートルサイズの微粒子を生成できる。 【0023】上記第2の特徴を有する微粒子製造方法において、上記合流域で、プラズマを発生させることによって微粒子原料を励起して微粒子成長を促してもよい。 【0024】また、上記第2の特徴を有する微粒子製造方法において、希釈ガス流を上記合流域に達する前に加熱し、合流域において、希釈ガス流の熱により微粒子原料を励起して微粒子成長を促してもよい。 【0025】さらに、上記第2の特徴を有する微粒子製造方法において、希釈ガス流として酸素ガス含有するガス流を使用し、上記合流域において、酸素ガスとの燃焼反応により、微粒子原料を励起して微粒子成長を促してもよい。 【0026】なお、上記第2の特徴を有する微粒子製造方法において、上記合流域に達する前に、反応ガス流と希釈ガス流とを、ぞれぞれ、流路断面における流速が略均一になるように整流してもよい。 【0027】この場合は、合流域における流路断面で、反応ガス流と希釈ガス流の交わり方が均一になるため、微粒子生成反応の開始から停止にいたる条件を均一にできる。微粒子径の大きさは反応時間に依存しているので、ナノメートルサイズの径の揃った微粒子を得ることができる。 【0028】本発明の微粒子製造装置の第1の特徴は、反応容器と、この反応容器の一方に設けられた、微粒子原料を含む反応ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第1の導入部と、反応容器内の上記第1の導入部とほぼ対向する他方に設けられた、希釈ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第2の導入部と、反応ガス流中の微粒子原料を励起する手段と、反応ガス流を流路断面における流速を略均一に整流する第1のガス整流手段と、希釈ガス流を流路断面における流速を略均一にする整流する第2のガス整流手段と、整流後の前記反応ガス流と整流後の前記希釈ガス流とが合流する合流域に設けられたガス排出部と、上記ガス排出部から排出されたガス中の微粒子を捕集する手段とを有することである。 【0029】上記微粒子製造装置の第1の特徴によれば、反応ガス流中の微粒子原料を励起した直後に、反応容器内で希釈ガスとの合流によって微粒子成長を停止できるので、微粒子成長時間を短縮し、微粒子径の凝集による増大を抑制することができる。また、反応ガス流と希釈ガス流を第1の整流手段と第2の整流手段によりそれぞれ流路断面で均一な速度に整流した後に両者を合流させているので、流路断面での反応ガス流と希釈ガス流の混合状態を均一化できる。従って、微粒子生成反応が開始から停止までの時間が均一になるので、得られる微粒子径を揃えることができる。 【0030】本発明の微粒子製造装置の第2の特徴は、反応容器と、この反応容器の一方に設けられた、微粒子原料を含む反応ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第1の導入部と、反応容器内の第1の導入部とほぼ対向する他方に設けられた、希釈ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第2の導入部と、反応ガス流と希釈ガス流とが合流する合流域にプラズマを発生する手段と、合流域に設けられたガス排出部と、ガス排出部から排出されたガス中の微粒子を捕集する手段とを有することである。 【0031】上記微粒子製造装置の第2の特徴によれば、反応ガス流と希釈ガス流との合流域において、微粒子原料をプラズマにより励起することで微粒子を生成するとともに、希釈ガス流による希釈により微粒子成長を停止させるので、実質的な微粒子生成反応時間を大幅に短縮化できる。従って、微粒子径の結合、凝集による増大を抑制し、ナノメートルサイズ以下の微粒子を得ることができる。 【0032】本発明の微粒子製造装置の第3の特徴は、反応容器と、この反応容器の一方に設けられた、微粒子原料を含む反応ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第1の導入部と、反応容器内の前記第1の導入部とほぼ対向する他方に設けられた、希釈ガス流を導入する1または複数の導入管を持つ第2の導入部と、希釈ガス流を加熱する手段と、反応ガス流と希釈ガス流とが合流する合流域に設けられたガス排出部と、このガス排出部から排出されたガス中の微粒子を捕集する手段とを有することである。 【0033】上記微粒子製造装置の第3の特徴によれば、希釈ガス流を加熱し、反応ガス流と希釈ガス流との合流域において、微粒子原料を希釈ガスの熱により加熱励起し、微粒子核を生成するとともに、ほぼ同時に希釈ガス流による希釈により微粒子成長を停止させるので、微粒子生成反応時間を大幅に短縮化できる。従って、微粒子径の結合、凝集による増大を抑制し、ナノメートルサイズ以下の微粒子を得ることができる。 【0034】さらに、上記第2及び第3の特徴を有する微粒子製造装置において、上記反応ガス流を流路断面における流速を略均一に整流する第1の整流手段と、上記希釈ガス流を流路断面における流速を略均一に整流する第2の整流手段とを有してもよい。 【0035】この場合は、合流域における流路断面で、反応ガス流と希釈ガス流の交わり方が均一になるため、微粒子生成反応の開始から停止にいたる条件を均一にできる。従って、ナノメートルサイズの径の揃った微粒子を得ることができる。 【0036】なお、第1及び第2の整流手段としては、複数の開孔部を均一に配した板状体であり、ガス流の流路に略垂直に配置されるものを使用することができる。 【0037】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の構成を図面を参照しながら説明する。 【0038】(第1の実施の形態)図1は、第1の実施の形態に係る微粒子製造装置の構成図である。この微粒子製造装置は、反応容器1の一方の端部に原料ガス導入部2とキャリヤガス導入部3とを備え、これらと対向する他方の端部に希釈ガス導入部4を備えている。また、反応容器1内の、原料ガスとキャリヤガスの混合ガス流(以下、「反応ガス流」と呼ぶ)の流路途中には、流路断面での反応ガス流の流速を均一にするガス整流板6aが配置されている。同様に、希釈ガス流の流路途中にも、流路断面での不活性ガス流の流速を均一にするガス整流板6bが配置されており、それぞれ図2は、ガス整流板6(6a、6b)の構造例を示す斜視図である。同図に示すように、ガス整流板6は、例えば金属やセラミックスの板に約0.1〜0.5mmφ程度の複数のピンホールが数ミリ間隔で均等に形成されたものであり、この整流板6は反応容器1のガス流路にほぼ垂直に配置される。なお、このピンホールの径や数は、反応容器の大きさ等にも依存するが、例えば整流板を通過したガス流の流速が約100cm/sec程度になるよう調整される。また、ガス整流板6は、上述の形態以外にも金属網等のメッシュ状の板材であってもよい。 【0039】また、二つのガス整流板6aと6bとの距離は、整流後の速度を維持した状態で反応ガス流と希釈ガス流が合流できる距離、例えば5cm〜20cm、好ましくは10cm程度とする。 【0040】ガス排出部7は、反応ガス流と希釈ガス流の両者が合流する領域の反応容器壁に備えられており、微粒子を含む排出ガスはクーラー8を介して微粒子保存容器9に送られる。微粒子保存容器9には、例えば脂肪酸塩などの界面活性剤を含む水やメタノール等の溶液が入れられており、排出ガスがここを通気する過程で微粒子のみが捕集され、それ以外のガスは大気中に放出される。界面活性剤は、水となじみやすい親水基と油となじみやすい親油基(疎水基ともいう)を有する分子を有しており、液中に取り込まれた各微粒子は表面を界面活性剤に覆われるため、凝集が防止され、分散状態を保ちながら液中に保存される。 【0041】なお、反応容器のサイズや形状は、特に限定されないが、例えば8インチサイズのウエハー用CVDに使用できる円筒形反応器を利用できる。 【0042】また、ガス排出部7は1箇所のみならず、図2に示すように二箇所あるいはそれ以上に設けてもよい。排出部を多く設ければ、合流後の反応ガス流と希釈ガス流の排気をよりスムーズに行うことができる。また、複数にガス排出部7を設ける場合は、それぞれにクーラ8と微粒子保存容器9を設けてもよいし、あるいは複数のガス排出部7を共通する単一の配管に接続し、共通するクーラ8と微粒子保存容器9につなげてもよい。 【0043】以下、図1を参照しながら、上述する微粒子製造装置を用いた第1の実施の形態に係る微粒子製造方法について説明する。具体的には、蛍光体として使用可能なZnS微粒子の製造方法を例に挙げる。 【0044】原料ガスとして、例えばZn(CH3)2とH2Sを使用する。また、これらの原料ガスのキャリヤガスとしては窒素等の不活性ガス、希釈ガスとしても窒素等の不活性ガスを使用できる。各ガスは、それぞれ専用のタンク(図示しない)に貯蔵されている。 【0045】まず、キャリヤガス導入部3より、キャリヤガスである不活性ガスを反応容器1内に導入するとともに、希釈ガスである不活性ガスを希釈ガス導入部4より反応容器1内に導入し、排出部7へ流れる気流を形成する。 【0046】ここで、導入するそれぞれのガス流量はほぼ同一流量に調整することが好ましい。導入されたキャリヤガス流と希釈ガス流は、それぞれガス整流板6a,6bにより、流路断面に均一な流速の流れに調整された後、ガス整流板6aとガス整流板6bの間のほぼ真中あたりで合流する。合流後、隣接するガス排出部7より排出される。従ってガス流の合流による乱流発生が周囲に与える影響は極めて少ない。 【0047】次に、ヒータ5により反応容器1内のを600〜700℃に加熱する。このとき、反応容器1内の圧力は760torrとし、クーラ7内の温度は室温程度、圧力は反応容器内と同じく760torrに設定する。 【0048】反応容器1内のガス流、及び温度が安定したら、原料ガスであるZn(CH3)2ガスと、H2Sガスを原料ガス導入部2から反応容器1内に導入する。原料ガスは、すでに流れているキャリヤガスとともに反応ガス流となって反応容器1内を流れる。 【0049】反応容器1内に導入された原料ガスは、ヒータ5設置部を通過する過程で、600〜700℃に加熱され、以下に示す化学式(F2)の熱分解反応を生じ、固体のZnS原子を生成する。これが、ZnS微粒子核となる。 【0050】 Zn(CH2)2+H2S→ZnS(固体)+2CH4(気体)…(F2) ZnS微粒子核を含むキャリヤガスと原料ガス、即ち反応ガス流は、微粒子の核生成反応を進行させながらガス整流板6aで、流路断面に対し均一な流速に整流された後、同様に流路断面に対し均一な流速に整流された希釈ガス流と合流する。合流により、瞬時に反応ガスは希釈化され、微粒子の成長は停止する。 【0051】従来の方法では、微粒子成長は、■第1段階の「微粒子核生成過程」■第2段階の「微粒子クラスター生成過程」■第3段階の「クラスター凝集過程」まで不可避的に進行した後、反応容器外で希釈ガスの合流により微粒子成長が停止され、回収されていたが、第1の実施の形態に係る微粒子製造方法では、加熱励起後の反応ガス流は、極めて早い段階で希釈ガス流と合流し、反応ガス流中のZnS微粒子表面を希釈ガスである窒素によって覆うため、■第2段階のZnS微粒子のクラスター化、さらには第3段階のクラスター凝集化が抑制され、微粒子の成長は■第1段階もしくは■第2段階の途中で停止することになる。従って、微粒子径の成長を平均5nm程度にとどめることができる。 【0052】また、第1の実施の形態では、反応ガス流及び希釈ガス流はそれぞれガス整流板6a,6bを通過する過程で、流路断面で均一な流速に調整されるため、ガス流路断面で、反応ガス流と希釈ガス流が合流するまでの時間が均一化される。合流までに要する時間は、微粒子成長時間を制御する。微粒子成長時間が場所によって均一であるということは、得られる微粒子の径を均一化できることに他ならない。従って、得られる微粒子の径を揃えることが可能になる。 【0053】このようなガス整流板6の効果は、理論的には、次のような説明を行うことができる。ここでは、ガス整流板を無限に広い平板と考え、この2枚の平板を対向して設置し、各々の平板から一様にガスを噴出した時に形成される流れについて考察している。なお、ガスの流れは定常状態の層流であると仮定する。 【0054】流れを表す方程式は、定常状態における質量の保存式(連続の式)は円柱座標系で 次式で示される。 【0055】 【数1】
ここでu および w は半径方向、軸方向の速度成分を表す。 【0056】上記式をガス流の軸方向のみの関数g、fを用いて変数変換すると、【数2】
であるから、上記連続の式は【数3】
となり、ガス流の軸方向の成分zのみで表すことが出来る。 【0057】また、運動量保存式は、以下の式で表される。 【0058】 【数4】
ここで、ρは密度、uは動粘度を表す。 【0059】この二つの運動量方程式は【数5】
とおくことにより、変数zのみの以下の常微分方程式で表すことができる。 【0060】 【数6】
従って、上記(1)、(2)、(3)式を解くことにより半径によらない解g、fを得ることが出来る。その結果、ガス流の軸方向の速度成分wは半径によらず一定の値となる。この結果より、ガス整流板を介して衝突合流する二つのガス流の交じり合い方はガス流路の断面において場所によらず一定になることが理論的にも説明できる。 【0061】図4は、第1の実施の形態におけるガス整流板6a、6bを通過したガスの合流域における温度をシミュレーションにより求めたグラフである。縦軸は温度であり横軸は希釈ガスのガス流路に置かれたガス整流板6bからの距離を示している。ガス流の中心軸での温度(T1)とこの中心軸より半径方向に2cm離れた位置での温度(T2)をプロットしている。なお、このシミュレーションでは。二枚のガス整流板の距離を5cmとし、1000K(727℃)に加熱した反応ガスを上から下へ流し、300K(27℃)の希釈ガスを下から上に流す条件を用いている。 【0062】同図に示すように、ガス流の中心軸での温度(T1)とこの中心軸より半径2cmの位置での温度(T2)は良く一致しており、温度の異なる2つのガス流の交わりかたが、流路断面方向にほぼ均一であることがわかる。この結果より、流路断面では場所によらず均一な反応が生じうることが確認できる。なお、ガス温度は合流域(ガス整流板6bから約2cmの位置)で急激に低下しているが、温度変化領域は極めて狭い合流域に限られており、ガスの合流による乱流の影響はほとんど広がっていないことも分かる。このガス整流板の効果については、後述する他の実施の形態でも同様なことがいえる。 【0063】得られた微粒子は、反応ガス及び希釈ガスとともにガス排出部7に排出される。排出された直後のガスは約100℃であるが、クーラ8を通過する過程で室温まで冷却される。微粒子を含む排出ガスは、さらに微粒子保存容器9に導かれ、この中のエタノールやメタノール等の溶媒に界面活性剤を溶かした溶液を通過する際に、ZnS微粒子は捕集され、他の排出ガスは大気中に放出される。 【0064】こうして、ZnS微粒子は微粒子保存容器9の溶液中に分散された状態で保存される。ZnS微粒子が必要な場合には、微粒子保存容器9から溶液を所望量汲み出して溶液を加熱蒸発させれば、ZnS微粒子を回収できる。 【0065】図3は、第1の実施の形態に係る微粒子製造方法を用いて製造したZnS微粒子の粒径分布を示す。従来の製造方法によって得られた粒子径分布に比較し、粒子径分布は狭く、数nm程度の直径を有する微粒子が集中的に得られていることがわかる。 【0066】従来の製造方法で得られた微粒子では、粒子径が5nm以下の粒子は全体の30%程度に過ぎないが、第1の実施の形態における製造方法を用いれば粒子径が5nm以下のものは全体の90%以上を占める。従って、従来のように、回収した微粒子をさらに分級する工程が不要となる。 【0067】こうして得られた数nmの粒子径を有する粒子をLEDなどの発光素子に使えば、発光効率の高い発光素子を製造することができる。 【0068】なお、上述する第1の実施の形態の微粒子製造装置において、ヒータ5は、反応容器外壁に設けられているが、好ましくは反応容器1の中央部近傍の外壁にのみ設けられることが好ましい。原料ガス導入部2、キャリヤガス導入部4の入口付近にヒータ5を設けると、生成反応により生じた微粒子が各導入部の入口付近に付着し、これが繰り返されると各導入部の入口を塞ぐ虞れがある。また、反応ガス流がヒータ5により加熱励起されてから希釈ガスと合流するまでの時間をより短くし、生成粒子が成長しすぎないようにすることが望ましい。 【0069】なお、上記条件では、反応ガス流の温度を600℃〜700℃としているが、より広い範囲(例えば100〜1000℃)で行うことも可能である。温度をより高くする場合は、微粒子成長の進行は早くなり、得られる微粒子の粒径もやや大きくなる。また、逆に温度を低くすれば、微粒子成長の進行が遅くなるため、得られる微粒子の粒子径をより小さくできる。 【0070】また、上記条件では、反応容器内圧力を760torrとしているが、例えば10torr〜760torrの範囲で使用することも可能である。圧力を低くすれば、微粒子成長の進行が遅くなり、得られる微粒子の粒子径も小さくできる。さらに、反応容器内の圧力をより低くする場合は、加熱したガスと希釈ガスとの熱対流による望ましくない混合流の発生を防止することもできる。 【0071】又、原料ガス導入部2には配管を1つのみ例示しているが、複数備えてもよい。 【0072】なお、微粒子保存容器9に入れる溶液中の界面活性剤等としては、陰イオン性界面活性剤(脂肪酸塩、アルキル硫酸、エステル塩、ポリオキシエチレン、アルキルエーテル、硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、その他陰イオン性界面活性剤、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、トリオクチルフォスフィンオキサイド、ドデシルアミン、アルカンチオールなどの長鎖アルキルを含む界面活性剤、その他非イオン性界面活性剤)、陽イオン性界面活性剤(アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、その他陽イオン性界面活性剤)、両性界面活性剤(アルキルベタイン、アミンオキサイド、その他両性界面活性剤)などの界面活性剤や、他の表面修飾剤を挙げることができる。 【0073】以上に説明するように、第1の実施の形態に係る微粒子製造方法を用いた場合は、原料ガスが加熱励起され、微粒子の成長を開始した直後に希釈ガスとの合流により微粒子成長を停止させるので、微粒子生成反応時間を短縮し、微粒子径の凝集による増大を抑制することができる。また、反応ガス流と希釈ガス流をそれぞれ流路断面で均一な速度に整流した後に両者を合流させているので、流路断面で微粒子生成反応が開始されてから停止するまでの時間を均一にし、得られる微粒子径の分布範囲を狭くすることができる。従って、量子効果が生じる10ナノメートルサイズ以下の径が揃った微粒子を得ることができるため、従来のように分級工程を必要としない。その結果、原料ガスの使用効率を上げることができるとともに、生産コストを下げることが可能になる。 【0074】(第2の実施の形態)図5に、第2の実施の形態に係る微粒子製造装置の構成図を示す。第2の実施の形態の微粒子製造装置も、第1の実施の形態に係る微粒子製造装置とほぼ共通する構成を備えているが、大きく異なる点は、原料ガスの励起手段として、プラズマ発生電源10を備えていることである。 【0075】即ち、第2の実施の形態に係る微粒子製造装置も、反応容器1の一方の端部に原料ガス導入部2とキャリヤガス導入部3を備え、これらと対向する他方の端部に希釈ガス導入部4を備え、原料ガスとキャリヤガスの混合ガス流である反応ガス流の流路途中と、希釈ガス流の流路途中に、それぞれ流路断面での反応ガス流の流速を均一にするガス整流板6c,6dを備えている。また、ガス整流板6c,6dは、金属板で形成されており、反応容器1内でプラズマを発生させるための対向電極としても機能し、一方はプラズマ発生電源10に接続されている。プラズマは、反応ガス流と希釈ガス流の両者が合流する領域に生成される。なお、ガス整流板6c、6dとプラズマ発生に必要な対向電極とを別個に、上下に配置してもよい。 【0076】また、ガス合流域の反応容器1壁にはガス排出部7が設けられており、ガス排出部7の配管は、クーラ8を介して微粒子保存容器9に引かれている。 【0077】以下、図5を参照しながら、上述する微粒子製造装置を用いた第2の実施の形態に係る微粒子製造方法について説明する。蛍光体として使用可能なZnS微粒子の製造方法を例に挙げる。原料ガス、キャリヤガス及び希釈ガスは、第1の実施の形態と同様なガスを使用する。 【0078】まず、キャリヤガス導入部3より、キャリヤガスである不活性ガスを反応容器1内に導入するとともに、希釈ガスである不活性ガスを希釈ガス導入部4より反応容器1内に導入し、排出部7へ流れる気流を作る。この気流はさらにクーラ8から微粒子保存容器10へと流れる。 【0079】次に、反応容器1内の圧力を1〜50torr、好ましくは1torrに設定する。クーラ8内の気圧も反応容器圧と同じ圧力に設定する。この後、プラズマ発生電源10により反応容器1内にプラズマを発生させる。また加熱装置(図示しない)によりプラズマ領域の温度を400〜500℃に調整する。 【0080】続いて、反応容器1内に原料ガスであるZn(NO3)2とSC(NH2)2とを導入する。導入された原料ガスは、キャリヤガスとともに反応ガス流となりガス整流板6cを通り、流路断面で流速が均一なガス流に整流された後、プラズマ発生領域に流れる。ここで以下に示す(F3)に示すプラズマ反応が生じ、各原料ガスは励起されZnS微粒子の核となるZnS原子を生成する。 【0081】 Zn(NO3)2+SC(NH2)2+e(電子) →ZnS(固体)+NO2(気体)+CO2(気体) +(NH2)2(気体)+e(電子)…(F3) 一方、このプラズマ発生領域には、流路断面で流速が均一なガス流に調整された希釈ガスである窒素ガス流が流れこみ、反応ガス流と合流する。合流により希釈ガスが生成されたZnS粒子表面を覆うため、これ以上の微粒子の成長は止められる。 【0082】以上に説明するように、第2の実施の形態に係る微粒子製造方法では、プラズマ励起による反応直後に希釈ガスにより微粒子の成長がとまるので、微粒子の成長はより確実に■第1段階の「微粒子核生成過程」もしくは■第2段階の「微粒子クラスター生成過程」途中で停止することになる。この結果、微粒子径の成長を平均3nm程度に抑制できる。 【0083】また、第2の実施の形態でも、反応ガス流及び希釈ガス流はそれぞれガス整流板6c,6dを通過する過程で、流路断面で均一な流速に調整されるため、流路断面で、反応ガス流と希釈ガス流が合流するまでの時間が場所により均一化される。従って、微粒子成長反応から停止に至る時間が流路断面方向で均一となるので、得られる微粒子の径を揃えることが可能になる。 【0084】得られた微粒子は、反応ガス及び希釈ガスとともにガス排出部7に排出される。排出された直後のガスは約100℃であるが、クーラ8を通過するときに室温まで冷却される。 【0085】微粒子を含む排出ガスは、さらに、微粒子保存容器9中の界面活性剤を含む溶液中に導入され、ZnS微粒子は溶液に捕集され、他の排出ガスは大気中に放出される。 【0086】こうして、ZnS微粒子は微粒子保存容器9の溶液中に分散させた状態で保存される。ZnS微粒子が必要な場合には、微粒子保存容器9から溶液を所望量汲み出して溶液を加熱蒸発させれば、ZnS微粒子を回収できる。 【0087】以上に説明するように、第2の実施の形態に係る微粒子製造方法を用いた場合は、反応ガス流と希釈ガス流の合流域において、原料ガスがプラズマにより励起され、微粒子の生成反応を起こすとともに、希釈ガスによって微粒子成長が止められるので、第1の実施の形態にかかる微粒子製造方法を用いた場合以上により微細な微粒子を生成できる。従って、量子効果が生じる粒径が揃ったナノメートルサイズの微粒子を得ることができるため、従来のように分級工程を必要としない。この結果、原料ガスの使用効率を上げることができるとともに、生産コストを下げることが可能になる。また、第2の実施の形態では、ガス整流板6cを通過した後に原料ガスをプラズマ励起するので、ガス整流板6cの開孔部が生成した微粒子で詰まる虞れもない。 【0088】(第3の実施の形態)図6に、第3の実施の形態に係る微粒子製造装置の構成図を示す。第3の実施の形態の微粒子製造装置も、第1の実施の形態に係る微粒子製造装置とほぼ共通する構成を備えているが、大きく異なる点は、反応容器1の原料ガスの導入部側にヒータを有さず、かわりに希釈ガス導入部側に、ヒータ5bを備えていることである。 【0089】即ち、第3の実施の形態に係る微粒子製造装置も、反応容器1の一方の端部に原料ガス導入部2とキャリヤガス導入部3を備え、これらと対向する他方の端部に希釈ガス導入部4を備えている。原料ガスとキャリヤガスの混合ガス流である反応ガス流の流路途中と、希釈ガス流の流路途中に、それぞれ流路断面での反応ガス流の流速を均一にするガス整流板6e,6fを備えている。 【0090】ヒータ5bは、反応容器1の希釈ガス導入部4からガス整流板6fの間の反応容器外壁に設置される。ガス排出部7は、反応ガス流と希釈ガス流の両者が合流する領域の反応容器壁に備えられており、微粒子を含む排出ガスを冷却するためのクーラー8を介して微粒子保存容器9に排気ガスを通気するよう配管されている。 【0091】以下、図6を参照しながら、上述する微粒子製造装置を用いた第3の実施の形態に係る微粒子製造方法について説明する。第1、第2の実施の形態と同様に、蛍光体として使用可能なZnS微粒子の製造方法を例に挙げる。また、原料ガス、キャリヤガス及び希釈ガスは、第1、第2の実施の形態と同様なガスを使用する。 【0092】まず、第1、第2の実施の形態の場合と同様に、キャリヤガス導入部3より、キャリヤガスである不活性ガスを反応容器1内に導入するとともに、希釈ガスである不活性ガスを希釈ガス導入部4より反応容器1内に導入し、ガス排出部7に流れる気流を作る。なおこの気流はさらにクーラ8から微粒子保存容器9へと流れる。 【0093】次に、ヒータ5bによって、希釈ガス導入部4から導入した不活性ガスの温度を600〜700℃に加熱する。このとき、反応容器1内の気圧を700torrに設定する。また、クーラ7内の温度は室温程度、気圧は反応容器と同じになるように調整する。 【0094】この後、反応容器1内に原料ガスであるZn(CH3)2とH2Sを原料ガス導入部2より反応容器1内に導入する。導入された原料ガスは、キャリヤガスとともに反応ガス流となりガス整流板6eを通り、流路断面で流速が均一なガス流に調整される。一方、希釈ガスは、希釈ガス導入部4から反応容器内に導入された後、ヒータ5bによって600℃〜700℃に加熱される。加熱後の希釈ガスは、さらにガス整流板6fによって流路断面で流速が均一なガス流に調整される。 【0095】この後、反応ガス流と加熱された希釈ガス流とが合流する。希釈ガスの熱により反応ガス流中の原料ガスが加熱励起され、第1の実施の形態と同様に式(F2)で示す以下の反応を生じ、ZnS微粒子核を生成する。 【0096】 Zn(CH3)2+H2S→ZnS(固体)+2CH4(気体)…(F2) しかし、生成されたZnS微粒子は、生成と同時にその周囲を希釈ガスで被覆される。従って、ZnS微粒子の核生成はそこで停止される。微粒子の成長はより確実に■第1段階の「微粒子核生成過程」もしくは■第2段階の「微粒子クラスター生成過程」途中で停止されることになる。この結果、微粒子径の成長は平均3nm程度に抑制できる。 【0097】また、第3の実施の形態でも、反応ガス流及び希釈ガス流はそれぞれガス整流板6e,6fを通過する過程で、流路断面で均一な流速に調整されるため、反応ガス流と希釈ガス流が合流するまでの時間が場所により均一化されるので、得られる微粒子の径を均一化できる。その結果、得られる微粒子の径を揃えることが可能になる。 【0098】得られた微粒子は、反応ガス及び希釈ガスとともにガス排出部7に排出され、クーラ8により室温まで冷却される。さらに、微粒子保存容器9中の界面活性剤を含む溶液中に導入され、この溶液を通過する際に、溶液中にZnS微粒子は捕集され、他の排出ガスは大気中に放出される。 【0099】こうして、ZnS微粒子は微粒子保存容器9の溶液中に分散させた状態で保存される。ZnS微粒子が必要な場合には、微粒子保存容器9から溶液を所望量汲み出して溶液を加熱蒸発させれば、ZnS微粒子を回収できる。 【0100】以上に説明するように、第3の実施の形態に係る微粒子製造方法を用いた場合は、反応ガス流と希釈ガス流の合流域で原料ガスが加熱励起され、微粒子成長を開始するとほぼ同時に希釈ガスによって微粒子成長がとめられるので、第1の実施の形態にかかる微粒子製造方法を用いた場合以上に、より微細な微粒子を生成できる。量子効果が生じる粒径が揃ったナノメートルサイズの微粒子を得ることができるため、従来のように分級工程を必要としない。従って、原料ガスの使用効率を上げることができるとともに、生産コストを下げることが可能になる。また、第3の実施の形態では、ガス整流板6eを通過した後に原料ガスを加熱励起するので、ガス整流板6eの開孔部が生成した微粒子で詰まる虞れもない。 【0101】(第4の実施の形態)第4の実施の形態の微粒子製造方法は、希釈ガスとして酸素を含有するガスを使用することを特徴とする。この方法では、原料ガスの酸化燃焼反応により微粒子核の生成を促すため、ヒータやプラズマ等の原料ガス励起手段が必要なくなる。従って、図7に示すように、第1の実施の形態に係る装置、あるいは第3の実施の形態に係る装置からヒータをはずしたものを使用することができる。 【0102】この方法で製造できる微粒子は、酸化物が中心であり、Y2O5等の酸化物蛍光材やTiO2等の化粧用粉体が挙げられる。Y2O5を作製する場合は、次のような方法を使用できる。 【0103】まず、第1の実施の形態の場合と同様に、キャリヤガス導入部3よりキャリヤガスである不活性ガスを反応容器1内に導入するとともに、希釈ガスである酸素ガス若しくは窒素ガスに酸素ガスを混入したガスを希釈ガス導入部4より反応容器1内に導入し、ガス排出部7に流れる気流を作る。なおこの気流はさらにクーラ8から微粒子保存容器10へと流れる。 【0104】次に、反応容器1内の気圧を760torr以下に設定する。また、クーラ7内の温度は室温程度、気圧は反応容器1内とほぼ同程度の圧力に設定する。 【0105】この後、反応容器1内に原料ガスであるイットリウムアセチルアセテート(Y(C5H7O2)3)を原料ガス導入部2より反応容器1内に導入する。導入された原料ガスは、キャリヤガスとともに反応ガス流となりガス整流板6gを通り、流路断面で流速が均一なガス流に整流される。一方、酸素を含む希釈ガスは、希釈ガス導入部4から反応容器内に導入された後、ガス整流板6hによって流路断面で流速が均一なガス流に整流される。 【0106】反応ガス流と希釈ガス流とが合流する合流域では、原料ガスと酸素の間で以下の式(3)に示す激しい酸化燃焼反応が生じ、Y2O5微粒子の核が生成される。 【0107】 aY(C5H7O2)3+bO2→Y2O5(固体)+CO2(気体)+H2O…(F3) 一方、この酸化燃焼反応とほぼ同時に、生成されたY2O5微粒子は、その周囲を希釈ガスで被覆される。従って、Y2O5微粒子の核生成はそこで停止する。微粒子の成長はより確実に■第1段階の「微粒子核生成過程」もしくは■第2段階の「微粒子クラスター生成過程」途中で停止することになる。この結果、微粒子径の成長を平均3nm程度に抑制できる。 【0108】また、第4の実施の形態でも、反応ガス流及び希釈ガス流はそれぞれガス整流板6g,6hを通過する過程で、流路断面で均一な流速に調整されるため、反応ガス流と希釈ガス流が合流するまでの時間が場所により均一化されるので、得られる微粒子の径を均一化できる。その結果、得られる微粒子の径を揃えることが可能になる。 【0109】得られた微粒子は、反応ガス及び希釈ガスとともにガス排出部7に排出され、クーラ8により室温まで冷却される。さらに、微粒子保存容器9中の界面活性剤を含む溶液中に導入され、この溶液を通過する際に、溶液中にY2O5微粒子は捕集され、他の排出ガスは大気中に放出される。 【0110】以上に説明するように、第4の実施の形態に係る微粒子製造方法を用いた場合は、原料ガスが希釈ガス中の酸素ガスと合流した際に酸化燃焼反応を起こし、Y2O5微粒子の核を生成する。また、ほぼ同時に希釈ガスによって微粒子成長が停止するので、第1の実施の形態にかかる微粒子製造方法を用いた場合以上に、より細かい微粒子を提供できる。ナノメートルサイズの粒径の揃った微粒子を得ることができるため、従来のように分級工程を必要としない。従って、原料ガスの使用効率を上げることができるとともに、生産コストを下げることが可能になる。 【0111】また、第4の実施の形態では、ガス整流板6eを通過した後に原料ガスと酸素を含む希釈ガスとを合流させているので、ガス整流板6eの開孔部が生成した微粒子で詰まる虞れもない。しかも原料ガスを励起するためのヒータやプラズマ発生電源等も不要であるため、装置コストを安価にできる。 【0112】なお、第4の実施の形態の製造方法を用いて、TiO2微粒子を製造する場合には、原料ガスとして、例えばチタニウムテトライソプロポキシドを用い、酸素との間で以下のような酸化燃焼反応を生じさせればよい。 【0113】 Ti(C3H8O)4+21O2 → TiO2(固体)+12CO2(気体)+16H2O…(F3) (その他の実施の形態)以上で説明した、第1〜第4の実施の形態では、常温で気体の微粒子原料を使用し、原料ガスとして反応容器内に導入しているが、使用する微粒子原料は気体原料に限らず液体原料や固体原料を使用することもできる。 【0114】例えば、液状の微粒子原料を使用する場合は、霧状にして反応容器内に導入してもよい。あるいは、液状若しくは固体状の微粒子原料を加熱してガス化させたものを反応容器内に導入することもできる。 【0115】さらに、気体、液体若しくは固体の微粒子原料を溶媒に溶解させた溶液を噴霧状にして反応容器内に導入してもよい。例えば、第1の実施の形態に係る装置を用いて導入した噴霧状の微粒子原料を加熱励起させると、溶媒中の微粒子原料が反応を起こし、微粒子を生成するとともに、周囲の溶媒は蒸発されて徐々にZnS粒子から取り除かれる。微粒子は周囲を溶媒で覆われている間は、別の微粒子との接触がないため、微粒子同士の結合や凝集が抑制される。こうして微粒子径の成長の進行を遅らせることができるので、得られる微粒子の径をより小さくすることができる。 【0116】以上、実施の形態に沿って本発明の内容について説明したが、本発明は上述した実施の形態には限定されず、主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。 【0117】例えば、作製する微粒子の種類は、種々の原料ガスを使用することにより様々な微粒子を作製することができる。例えば、上述する蛍光剤であるZnS、Y2O5の他に、磁性材料であるCoやCr等の金属紛、あるいはフェライト等、さらに化粧粉であるTiO2等種々の材料が挙げられる。 【0118】また、各実施の形態で説明した反応装置において、反応容器の設置の仕方は水平方向に限らず、縦方向に設置することも可能である。 【0119】また、キャリヤガスや希釈ガスは、窒素に限らず他の不活性ガスを使用することもできる。 【0120】 【発明の効果】本発明の微粒子製造方法および製造装置によれば、粒子径が揃った、ナノメートルサイズの微粒子を製造することができる。従って、従来のように分級工程が不要であるとともに、微粒子原料を微粒子作製に効率的に利用できるので、製造コストを抑えることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成13年9月25日(2001.9.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083806 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−96508(P2003−96508A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月3日(2003.4.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−292279(P2001−292279) |
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