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【発明の名称】 吸引力を利用した鋳造装置
【発明者】 【氏名】桑野 暁

【要約】 【課題】容積の大きな真空タンクを必要とせず、また、不活性ガスの量も少なくて済み、装置全体を小型化できる吸引力を利用した鋳造装置を提供する。

【解決手段】金型1の上部外周を把持して、金型1の上面を被う型把持部材3を昇降自在に設け、この型把持部材3は金型1の上面に接する中空部4を有し、この中空部4とこの型把持部材3の外面に設けた吸引口5とを連絡する通路6を設け、この通路6の途中に開閉弁7を設け、上記金型1の下部に位置して密閉式の溶解室10を設け、この溶解室10は、メタル12を入れたるつぼ13の加熱装置14を備え、この溶解室10の上面開口部11aには開閉自在な開閉弁15を設け、上記金型1の下部が上部開口部11aに嵌り、溶解室10の開閉弁15を開けた際、上記金型1下面の湯口8が上記るつぼ13内のメタル12と接するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金型の上部外周を把持して、金型の上面を被う型把持部材を昇降自在に設け、この型把持部材は上記金型の上面に接する中空部を有し、この中空部とこの型把持部材の外面に設けた吸引口とを連絡する通路を設け、この通路の途中に当該通路を開閉する開閉弁を設け、上記金型の下部に位置して密閉式の溶解室を設け、この溶解室は、メタルを入れたるつぼ、及びこのるつぼ乃至はるつぼに入れたメタルの加熱装置を備え、この溶解室の上面開口部には開閉自在な開閉弁を設け、また、この上部開口部は、上記金型の下部が嵌合自在な形状となり、上記金型の下部が溶解室の上部開口部に嵌り、溶解室の開閉弁を開けた際、上記金型下面の湯口が上記るつぼ内のメタルと接するように構成したことを特徴とする、吸引力を利用した鋳造装置。
【請求項2】 側面外周面又は内周面をシールド層で被った鋳型の上部外周を把持して、鋳型の上面を被う型把持部材を昇降自在に設け、この型把持部材は上記鋳型の上面に接する中空部を有し、この中空部とこの型把持部材の外面に設けた吸引口とを連絡する通路を設け、この通路の途中に当該通路を開閉する開閉弁を設け、上記鋳型の下部に位置して密閉式の溶解室を設け、この溶解室は、メタルを入れたるつぼ及びこのるつぼ乃至はるつぼに入れたメタルの加熱装置を備え、この溶解室の上面開口部には開閉自在な開閉弁を設け、また、この上部開口部は、上記鋳型の下部が嵌合自在な形状となり、上記鋳型の下部が溶解室の上部開口部に嵌り、溶解室の開閉弁を開けた際、上記鋳型下面の湯口が上記るつぼ内のメタルと接するように構成したことを特徴とする、吸引力を利用した鋳造装置。
【請求項3】 鋳型又は金型の湯口を下面開口部から突出させて鋳型又は金型を収納した鋳型室箱を昇降自在に設け、この鋳型室箱は上記鋳型又は金型を入れた中空部と、この中空部と連絡した、この鋳型室箱の上部外面に設けた上部吸引口及び上記下面開口部を設け、これらの上部吸引口又は下面開口部にこれらを塞ぐ開閉弁を設け、上記鋳型室箱の下部に位置して密閉式の溶解室を設け、この溶解室は、メタルを入れたるつぼ及びこのるつぼ乃至はるつぼに入れたメタルの加熱装置を備え、この溶解室の上面開口部には開閉自在な開閉弁を設け、また、この上部開口部は、上記鋳型室箱の下部が嵌合自在な形状となり、上記鋳型室箱の下部が溶解室の上部開口部に嵌り、溶解室の開閉弁を開けた際、上記鋳型又は金型の湯口が上記るつぼ内のメタルと接するように構成したことを特徴とする、吸引力を利用した鋳造装置。
【請求項4】上記るつぼの下面に、このるつぼとは一体に又は別体に、突き上げ手段を設け、上記鋳型の湯口が上記るつぼ内のメタルと接する際に、当該突き上げ手段によりるつぼを突き上げ、上記湯口にるつぼ内のメタルを挿入又は押圧するように構成したことを特徴とする、請求項1、2、3のうちのいずれか記載の吸引力を利用した鋳造装置。
【請求項5】上記溶解室の開閉弁とるつぼとの間に、メッシュ状開閉弁を設けたことを特徴とする、請求項項1、2、3、4のうちのいずれか記載の吸引力を利用した鋳造装置。
【請求項6】上記るつぼの全部又は一部をメッシュ状にし、このメッシュ状部の上にメタルを置き、当該るつぼの下部からメッシュ状部を通して不活性ガスを噴出させた際、メタルの外周を不活性ガスが包むように構成されていることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5のうちのいずれか記載の吸引力を利用した鋳造装置。
【請求項7】上記金型、鋳型又は鋳型室箱の下部が溶解室の上部開口部に嵌り、上記金型又は鋳型の湯口が上記るつぼのメタルと接し、当該メタルを金型又は鋳型内に吸引すると同時に、その状態で溶解室と金型、鋳型又は鋳型室箱とを上下反転させる構成としたことを特徴とする、請求項1,2、3,4、5、6のうちのいずれか記載の吸引力を利用した鋳造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、吸引力を利用してチタン、アルミ等の金属(メタル)を鋳型又は金型に吸引する鋳造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】真空吸引によりメタルを吸い上げる方式の鋳造方法又は装置において、るつぼを下方に設け、その上方に鋳型を設けて真空吸引によりメタルを吸い上げる方式が開発されている。これにより、メタルより比重の軽いガスがまず吸引され、その後メタルが吸引されるため、鋳造メタル内へのガスの混入が防げ、ガスがメタルに混ざらず、また均一にメタルを鋳型に流し込むことができるものである。この方式では、例えば、特開平10−166132号公報に示すように、鋳型室箱より容積の大きい真空タンクを設けて、当該真空タンクにより鋳型室箱内の空気や不活性ガスを瞬時に吸引する方法を採っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方式では、箱型の本体の中に鋳型室箱、及びこの鋳型室箱内に鋳型を設けて、これらの内部の空気を、真空タンクで抜き、これらの中に不活性ガスを注入し、さらにこの不活性ガスを真空タンクで抜かなければならない。従って、真空タンクの容積の大きいものを用意しなければならず、また、上記不活性ガスも多量に必要となる。それ故、装置全体が大型となり、不経済となっている。
【0004】この発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、容積の大きな真空タンクを必要とせず、また、不活性ガスの量も少なくて済み、装置全体を小型化できる吸引力を利用した鋳造装置を提供して上記課題を解決しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1項の発明は、金型の上部外周を把持して、金型の上面を被う型把持部材を昇降自在に設け、この型把持部材は上記金型の上面に接する中空部を有し、この中空部とこの型把持部材の外面に設けた吸引口とを連絡する通路を設け、この通路の途中に当該通路を開閉する開閉弁を設け、上記金型の下部に位置して密閉式の溶解室を設け、この溶解室は、メタルを入れたるつぼ、及びこのるつぼ乃至はるつぼに入れたメタルの加熱装置を備え、この溶解室の上面開口部には開閉自在な開閉弁を設け、また、この上部開口部は、上記金型の下部が嵌合自在な形状となり、上記金型の下部が溶解室の上部開口部に嵌り、溶解室の開閉弁を開けた際、上記金型下面の湯口が上記るつぼ内のメタルと接するように構成した、吸引力を利用した鋳造装置とした。
【0006】また請求項2項の発明は、側面外周面又は内周面をシールド層で被った鋳型の上部外周を把持して、鋳型の上面を被う型把持部材を昇降自在に設け、この型把持部材は上記鋳型の上面に接する中空部を有し、この中空部とこの型把持部材の外面に設けた吸引口とを連絡する通路を設け、この通路の途中に当該通路を開閉する開閉弁を設け、上記鋳型の下部に位置して密閉式の溶解室を設け、この溶解室は、メタルを入れたるつぼ及びこのるつぼ乃至はるつぼに入れたメタルの加熱装置を備え、この溶解室の上面開口部には開閉自在な開閉弁を設け、また、この上部開口部は、上記鋳型の下部が嵌合自在な形状となり、上記鋳型の下部が溶解室の上部開口部に嵌り、溶解室の開閉弁を開けた際、上記鋳型下面の湯口が上記るつぼ内のメタルと接するように構成した、吸引力を利用した鋳造装置とした。
【0007】また請求項3項の発明は、鋳型又は金型の湯口を下面開口部から突出させて鋳型を収納した鋳型室箱を昇降自在に設け、この鋳型室箱は上記鋳型又は金型を入れた中空部と、この中空部と連絡した、当該鋳型室箱の上部外面に設けた上部吸引口及び上記下面開口部を設け、これらの上部吸引口又は下面開口部にこれらを塞ぐ開閉弁を設け、上記鋳型室箱の下部に位置して密閉式の溶解室を設け、この溶解室は、メタルを入れたるつぼ及びこのるつぼ乃至はるつぼに入れたメタルの加熱装置を備え、この溶解室の上面開口部には開閉自在な開閉弁を設け、また、この上部開口部は、上記鋳型室箱の下部が嵌合自在な形状となり、上記鋳型室箱の下部が溶解室の上部開口部に嵌り、溶解室の開閉弁を開けた際、上記鋳型又は金型の湯口が上記るつぼ内のメタルと接するように構成した、吸引力を利用した鋳造装置とした。
【0008】また請求項4項の発明は、上記請求項1、2、3のうちのいずれか記載の吸引力を利用した鋳造装置において、上記るつぼの下面に、このるつぼとは一体に又は別体に、突き上げ手段を設け、上記鋳型の湯口が上記るつぼ内のメタルと接する際に、当該突き上げ手段によりるつぼを突き上げ、上記湯口にるつぼ内のメタルを挿入又は押圧するように構成したものである。また、請求項5の発明は、上記請求項1,2,3,4のいずれか記載の吸引力を利用した鋳造装置において、上記溶解室の開閉弁とるつぼとの間に、メッシュ状開閉弁を設けたものである。
【0009】また更に、請求項6の発明は、上記請求項1,2,3,4、5のいずれか記載の吸引力を利用した鋳造装置において、上記るつぼの全部又は一部をメッシュ状にし、このメッシュ状部の上にメタルを置き、当該るつぼの下部からメッシュ状部を通して不活性ガスを噴出させた際、メタルの外周を不活性ガスが包むように構成されている鋳造装置とした。また、請求項7の発明は、上記請求項1,2,3,4、5、6のいずれか記載の吸引力を利用した鋳造装置において、上記金型、鋳型又は鋳型室箱の下部が溶解室の上部開口部に嵌り、上記金型又は鋳型の湯口が上記るつぼのメタルと接し、当該メタルを金型又は鋳型内に吸引すると同時に、その状態で溶解室と金型、鋳型又は鋳型室箱とを上下反転させる構成とした。
【0010】
【実施の形態例】以下この発明の実施の形態例を図に基づいて説明する。図1乃至3はこの発明の第1の実施の形態例の装置を示し、金型1の上部外周をパッキン2を介在させて把持して、金型1の上面を被う型把持部材3を昇降自在に設けている。この型把持部材3は上記金型1の上面1aに接する中空部4を有し、この中空部4とこの型把持部材3の外面に設けた吸引口5とを連絡する通路6を設け、この通路6の途中に当該通路6を開閉自在な開閉弁7を設けている。また、上記金型1の下面には湯口8を下方に向けて突設しており、金型1に下面外周縁にはパッキン9を設けている。なおこの金型1に上面中央には、金型1の内外の通気を確保する通気栓1bを設けている。
【0011】また、この金型1の下部に位置して密閉式の溶解室10を設けている。この溶解室10は、上端が開口した中空部11を有し、この中空部11内にはメタル12を入れたるつぼ13及びこのるつぼ13の周囲に高周波による加熱装置14を備えている。また、この中空部11の上面開口部11aには開閉自在な開閉弁15を設け、この上面開口部11aは、上記金型1の下部が嵌合自在な形状となっており、上記金型1の下部が溶解室10の上面開口部11aに嵌り、溶解室10の開閉弁15を開けた際、上記金型1の湯口8が上記るつぼ13内のメタル12と接するように構成している。また、上記中空部11内には、るつぼ13の底面に対向して突き上げ棒16を設け、この突き上げ棒16は上下に昇降自在であり、上記るつぼ13を上方に突き上げることができる。また、この突き上げ棒16の長手方向に沿ってガス注入路17を設け、そのガス通路17の上端は突き上げ棒16の上端面に設けた開口部に達しており、この開口部にメッシュ18が設けられている。またこの溶解室10の外周面から上記中空部11に至る吸引通路19及びガス注入路20をそれぞれ設けている。
【0012】この実施の形態例の装置を用いてメタルを鋳造するには、まず、るつぼ13内にメタル12を入れ、溶解室10の開閉弁15を閉めて、当該溶解室10の中空部11を密閉する。そして、上記吸引路19により、中空部11内のエアーを真空引きし、それと同時に当該中空部11内に、上記ガス注入路20によりアルゴンガス等の不活性ガスを充満させる。この状態で上記加熱装置14を作動させて、るつぼ13を加熱し、中のメタル12を溶かす。
【0013】一方、金型1を把持した型把持部材3の吸引口5に適宜の吸引装置を接続し、開閉弁7を閉じた状態で真空引きをし、型把持部材3を降下させて金型1を溶解室10の上面開口部11aに嵌め入れ、その状態で開閉弁5を開けて上記吸引装置により真空引きを行い、金型1内のエアーを吸引する。そして、この状態で溶解室10の開閉弁15を開ける。これにより、溶解室10の中空部11は不活性ガスが充満しているが、不活性ガスがエアー(空気)より比重が大きいので空気が先に吸引され、その後不活性ガスが吸引される。また、不活性ガスは温度が上がると膨張し、溶解室10の中空部11内は圧力がかかっている状態となる。そこでさらに、ガス注入路17から不活性ガスを中空部11に注入させながら、図3に示すように、金型1を型把時部材3により降下させ、金型1の湯口8がるつぼ13のメタル12に接し、一気にこのるつぼ13内のメタル12が金型1内に吸引される。その際、突き上げ棒16を上昇させてるつぼ13を突き上げ、メタル12を湯口8に接触させる。これにより、メタル12のみが金型1内に吸引され鋳造される。
【0014】次に、図4乃至6はこの発明の第2の実施の形態例の装置を示し、この第2の実施の形態例は上記第1の実施の形態例と略同様である。相違点は、上記金型1に代えて、鋳型を用いている。この鋳型21は側面外周に空気の流通を防ぐ、シールド層22を設けている。従って、シールド層22の設けられていない面は型把持部材3の中空部4に面した上面21aと湯口8の内周面である。また、溶解室10内の高周波による加熱装置14に代えて、アーク式の加熱装置23を設けている。このアーク式の加熱装置23はるつぼ13の相対向する側面に向けてアーク電極が突出している。また、るつぼ13の下部が下方に伸び、このるつぼ13に沿ってるつぼ13内にガス注入路17を設け、このガス注入路17内に突き上げ棒16が昇降自在に設けられている。また、るつぼ13の上面にガス注入路17の上端開口部が露出し、そこにメッシュ18が設けられ、このメッシュ18の上にメタル12が載置される。他の構成は、上記第1の実施の形態例と同じである。
【0015】この第2の実施の形態例の装置を用いてメタルを鋳造するには、まず、るつぼ13上にメタル12を載置し、溶解室10の開閉弁15を閉めて、当該溶解室10の中空部11を密閉する。そして、上記吸引路19により、中空部11内のエアーを真空引きし、それと同時に当該中空部11内に、上記ガス注入路20によりアルゴンガス等の不活性ガスを充満させる。この状態で上記加熱装置23を作動させて、メタル12を加熱して、溶かす。
【0016】一方、鋳型21を把持した型把持部材3の吸引口5に適宜の吸引装置を接続し、開閉弁7を閉じた状態で真空引きをし、図5に示すように型把持部材3を降下させて鋳型21を溶解室10の上面開口部11aに嵌め入れ、その状態で開閉弁7を開けて上記吸引装置により鋳型21内の真空引きを行う。そして、この状態で溶解室10の開閉弁15を開ける。これにより、溶解室10の中空部11は不活性ガスが充満しているが、不活性ガスがエアー(空気)より比重が大きいので空気が先に吸引され、その後不活性ガスが吸引される。また、不活性ガスは温度が上がると膨張し、溶解室10の中空部11内は圧力がかかっている状態となる。そこでさらに、ガス注入路17から不活性ガスを中空部11に注入させながら、図6に示すように、鋳型21を型把時部材3により降下させ、これと同時に突き上げ棒16を上昇させてメッシュ18を突き上げ、鋳型21の湯口8にるつぼ13内のメタル12が押し付けられ、一気にこのメタル12が鋳型21内に吸引される。これにより、メタル12のみが鋳型21内に吸引され鋳造される。なお、この第2の実施の形態例では、鋳型21の側面外周に空気の流通を防ぐ、シールド層22を設けているが、鋳型21の内周面に、その頂部を除いて空気の流通を防ぐシールド層を設けても、上記と同様に鋳造できる。
【0017】次ぎにこの発明の第3の実施の形態例を図7及び図8に基づいて説明する。この第3の実施の形態例は、上記第2の実施の形態例と略同様であり、相違点は、上記るつぼ13及びメッシュ18に代え、るつぼ13の内部に昇降自在に突き上げ棒16を設け、この突き上げ棒16の上にメッシュ状るつぼ24を設けると共に、上記溶解室10の開閉弁15の下方の中空部11にメッシュ状開閉弁25を設けたものである。この場合、溶解室10の開閉弁15とメッシュ状開閉弁25を閉じた状態で、上記吸引路19により、中空部11内のエアーを真空引きし、それと同時に当該中空部11内に、上記ガス注入路20によりアルゴンガス等の不活性ガスを充満させる。この状態で上記加熱装置23を作動させて、メタル12を加熱して、溶かす。
【0018】そして、溶解室10の開閉弁15を開けて、型把持部材3を降下させて鋳型21を溶解室10の上面開口部11aに嵌め入れる。その際、開閉弁15を開けてもメッシュ状開閉弁25が閉じているため、中空部11内の不活性ガスは当該中空部11から一気には外部に出て行かず、更にこの中空部11に不活性ガスを注入し続けるため、外部から空気が中空部11に入らない。従って、開閉弁15を開けて瞬時に鋳型21の下部を溶解室10の上面開口部11aに嵌め入れる必要がない。そして、鋳型21を溶解室10の上面開口部11aに嵌め入れた状態で上記開閉弁7を開けて上記吸引装置により鋳型21内の真空引きを行う。これにより、メッシュ状開閉弁25を通して、溶解室10の中空部11の不活性ガスがエアー(空気)より比重が大きいので空気が先に吸引され、その後不活性ガスが吸引される。そしてメッシュ状開閉弁25をあけて、型把持部材3をさらに降下させて鋳型21の湯口8がメッシュるつぼ24上のメタル12に接し、一気にこのメッシュるつぼ24上のメタル12が鋳型21内に吸引される。その際、上記型把持部材3を降下させると同時に、突き上げ棒16を上昇させてメッシュるつぼ24を突き上げ、メタル12を湯口8に押し付ける。これにより、メタル12のみが鋳型21内に吸引され鋳造される。
【0019】次ぎにこの発明の第4の実施の形態例を図9及び図10に基づいて説明する。この第4の実施の形態例は、上記の実施の形態例と異なり、鋳型を密閉した鋳型室箱に入れて、鋳造するものである。鋳型31を、上下に2分割できる昇降自在な鋳型室箱32内に入れ、鋳型31の下部の湯口33を鋳型室箱32の下部突部32aの下面に設けた孔32bから下方に突出させている。この孔32bの周囲の鋳型31の下面と鋳型室箱32の下面との間にはパッキン34を介在させている。この鋳型室箱32内は中空部35を有し、この中空部35とこの鋳型室箱32の外面に設けた吸引口36とを連絡する通路37を設け、この通路37の途中に当該通路37を開閉自在な開閉弁38を設けている。また、この鋳型室箱32の下部外周段部には環状のパッキン39を設けている。
【0020】また、この鋳型室箱32の下部に位置して密閉式の溶解室40を設けている。この溶解室40は、上端が開口した中空部41を有し、この中空部41内にはメタル42を入れるるつぼ43及びこのメタル42の両側にアーク棒からなる加熱装置44を備えている。また、上記るつぼ43は下方に伸びており、このるつぼ43に沿って、るつぼ43内に突き上げ棒45が昇降自在に設けられ、この突き上げ棒45内にガス注入路46を設けている。そして、そのガス注入路46の上端はるつぼ43の上端面に設けた開口部に達しており、この開口部にメッシュ47が設けられている。上記メタル42はこのメッシュ47の上に載っている。また、上記中空部41の上面開口部41aには開閉自在な開閉弁48を設け、この上面開口部41aは、上記鋳型室箱32の下部突部32aが嵌合自在な形状となっている。そして、上記鋳型室箱32の下部突部32aが溶解室40の上面開口部41aに嵌り、溶解室40の開閉弁45を開けた際、上記鋳型31の湯口33が上記るつぼ43内のメタル42と接するように構成している。また、またこの溶解室40の外周面から上記中空部41に至る吸引路49及びガス注入路50をそれぞれ設けている。また、上記鋳型室箱32の下部外周段部に設けた環状のパッキン39に対向して、溶解室40の上面開口部41aの周縁に環状のパッキン51を設けている。
【0021】この第4の実施の形態例の装置を用いてメタルを鋳造するには、まず、るつぼ43内にメタル42を入れ、溶解室40の開閉弁48を閉めて、当該溶解室40の中空部41を密閉する。そして、上記吸引路49により、中空部41内のエアーを真空引きし、それと同時に当該中空部41内に上記ガス注入路50によりアルゴンガス等の不活性ガスを充満させる。この状態で上記加熱装置44を作動させて、るつぼ43を加熱し、中のメタル42を溶かす。
【0022】一方、上記鋳型室箱32の吸引口36に適宜の吸引装置を接続し、開閉弁38を閉じた状態で真空引きをし、鋳型室箱32を降下させて鋳型室箱32の下部突部32aを溶解室40の上面開口部41aに嵌め入れ、その状態で上記開閉弁38を開けて上記吸引装置により真空引きを行い、鋳型室箱32内及び鋳型31内のエアーを吸引する。そして、この状態で溶解室40の開閉弁48を開ける。これにより、溶解室40の中空部41は不活性ガスが充満しているが、不活性ガスがエアー(空気)より比重が大きいので空気が先に吸引され、その後不活性ガスが吸引される。また、不活性ガスは温度が上がると膨張し、溶解室40の中空部41内は圧力がかかっている状態となる。そこでさらに、ガス注入路50から不活性ガスを中空部41に注入させながら、図10に示すように、鋳型31及び鋳型室箱32を降下させると同時に、るつぼ43の突き上げ棒45内のガス注入路46を通して不活性ガスを送り、ガス注入路46の上端開口部からメッシュ47を通して中空部41内に不活性ガスを注入しながら、当該突き上げ棒45を突き上げ、るつぼ43のメタル42を鋳型31の湯口33に押し付け、当該メタル42が湯口33に接し、一気にこのるつぼ43のメタル42が鋳型31内に吸引される。これにより、メタル42のみが鋳型31内に吸引され鋳造される。
【0023】なお、この第4の実施の形態例では、鋳型室箱32の上部の吸引口36に開閉弁38を設けたが、これに限らず、上記鋳型室箱32の下部突部32aの下面に設けた孔32bから湯口33を突出させず、当該孔32b箇所に、開閉弁を設ける構成でも、同様に鋳造できる。その場合、突き上げ棒45の突き上げストロークを長くし、るつぼ43のメタル42を鋳型31の湯口33に押し付けることができる。また、上記実施の形態例において、るつぼの上に設けたメッシュ、又はメッシュ状るつぼにおいては、図11に示すようにこれらの上に置いたメタルを溶かす際、又はその前後にかけて、これらのメッシュ状部を通してるつぼの下部から、不活性ガスを噴出させ、当該メタルの外周を不活性ガスで包み、当該メタルに空気を接触させないようにすることが出来、より精度の高い鋳造が可能である。
【0024】また、図12及び図13は、この発明の第5の実施の形態例を示し、この第5の実施の形態例では、台座52の一側に支柱53を立設し、この支柱53の上部から横軸54を設け、この横軸54に溶解室10の一側を回転自在に軸支したものである。この装置では、上記鋳型21の下部が溶解室10の上部開口部11aに嵌り、上記鋳型21の湯口8が上記るつぼ13のメタル12と接し、当該メタル12を図外の吸引装置により、鋳型21内に吸引すると同時に、その状態で溶解室10と鋳型21とを上下反転させる。これにより図13で示すように、メタル12は、突き上げ棒16でメッシュ18に押され、鋳型21の湯口8内に上から押さえつけられ、かつガス通路17から不活性ガスが噴出し、メタル12は不純物が全く入らず、鋳型21内に吸引される。この実施の形態例は、上記第2の実施の形態例の装置を用いたが、これに限らず、上記他の実施の形態例にも適用できる。
【0025】なお、これらの実施の形態例では、金型や鋳型の湯口に溶融したメタルを接触させた際、当該メタルの載置されたるつぼを突き上げ棒や突き上げ棒で押し上げ、メタルを上記湯口に接触又は押し付けているため、不活性ガスやエアーが入らず、確実にメタルのみが吸引される。また、上記第4の実施の形態例では、鋳型室箱に鋳型を収納したが、金型を収納して同様の効果が得られる。また、るつぼと突き上げ棒は一体なものでも、別体な物でも良い。また、鋳型又は金型、鋳型室箱の吸引装置は、真空吸引装置に限らず、適宜の吸引装置で良い。また、上記突き上げ棒はこれに限らす、エアー状のもで、るつぼやメッシュを突き上げるものでもよく、適宜の突き上げ手段でよい。
【0026】
【発明の効果】請求項1乃至2の発明は、従来のように、金型又は鋳型を収納する鋳型室箱箱及びこの鋳型室箱箱内を入れた装置本体を不要とし、金型又は鋳型を直接吸引しているため、金型又は鋳型の型内部のエアーや不活性ガスを吸引する際、大容積の真空タンクや、大容量の吸引装置は要らず、小容量の吸引装置でよい。また、この様に、従来に比べ吸引容量が小さくなったため、吸引時間やキャスティング時間が速くなる。そのうえ、金型又は鋳型や溶解室に供給する不活性ガスの量も少なくてすむ。また、金型又は鋳型等の型材をセットする作業が大気中でできるため、作業性が大幅に改善される。また、装置自体の構成が簡素化されるため、耐久性が長くなり、かつ装置自体の製造コストも安くなる等の利点を有する。
【0027】また、請求項3の発明は、上記請求項1又は2と比べ、鋳型を鋳型室箱に入れており、吸引量が多くなるが、従来の装置本体に鋳型室箱を収納していた物に比べ、吸引量は少なくて済む。それ故、上記請求項1又は2の発明と略同様の効果を有するものである。また、請求項4の発明は、上記るつぼの下面に、このるつぼとは一体に又は別体に、突き上げ棒を設けて、上記鋳型又は金型の湯口が上記るつぼ内のメタルと接する際に、当該突き上げ棒によりるつぼを突き上げ、上記湯口にるつぼ内のメタルを接触又は押圧するように構成しているため、メタルが鋳型又は金型に吸引される際、より確実にメタルのみが吸引され、不純物の入らない鋳造ができる。また、請求項5の発明は、上記効果に加え、溶解室の開閉弁を、密閉式の開閉弁とメッシュ状開閉弁の二重にしたため、開閉弁を開けてもメッシュ状開閉弁を閉じておけば、中空部内の不活性ガスは当該中空部から一気には外部に出て行かず、更にこの中空部に不活性ガスを注入し続けると、外部から空気が中空部に入らない。従って、開閉弁を開けて瞬時に鋳型の下部を溶解室の上面開口部aに嵌め入れる必要がない。それ故外部からの空気の流入をより完全に防ぎ、鋳造の際不純物が入らない。
【0028】さらに、請求項6の発明では、るつぼの上に設けたメッシュ、又はメッシュ状るつぼの上に置いたメタルを溶かす際、又はその前後にかけて、これらのメッシュ状部を通してるつぼの下部から、不活性ガスを噴出させ、当該メタルの外周を不活性ガスで包むため、当該メタルに空気を接触させないようにすることが出来、より精度の高い鋳造ができる。また、請求項7の発明では、上記金型、鋳型又は鋳型室箱の下部が溶解室の上部開口部に嵌り、上記金型又は鋳型の湯口が上記るつぼのメタルと接し、当該メタルを金型又は鋳型内に吸引すると同時に、その状態で溶解室と金型、鋳型又は鋳型室箱とを上下反転させているため、突き上げ手段によるメタルの上からの押し付け、及び不活性ガスの噴霧により、より不純物が入らず。
【出願人】 【識別番号】500181533
【氏名又は名称】桑野 曉
【出願日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【代理人】 【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭 (外1名)
【公開番号】 特開2003−170264(P2003−170264A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2001−374879(P2001−374879)