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【発明の名称】 極細線の伸線機構
【発明者】 【氏名】佐藤 文男
【住所又は居所】東京都青梅市末広町1−6−1 住友金属鉱山株式会社電子事業本部内

【要約】 【課題】金線等の極細線の引き抜き工程において、極細線が傷やカールと呼ばれるねじりによる不良品等を発生させることなく、均一な品質と生産性の向上を可能とする伸線機構を提供する。

【解決手段】1対の自動調心軸受け5により回転可能な送り出しキャプスタン2と、1対の自動調心軸受け6により回転可能な引き抜きキャプスタン3と、該引き抜きキャプスタン3の軸を回転させる駆動機構と、該引き抜きキャプスタン3の軸および送り出しキャプスタン2の軸を伝動ベルト10bで連結し、送り出しキャプスタン2の軸を回転させる伝導機構と、1以上の伸線ダイス4とからなる。前記伸線ダイス4への入射角を調整可能とするように、前記送り出しキャプスタン2の一方の自動調心軸受け5が角度調整機構8により移動可能であり、前記伝導ベルト10bの張力を一定に保持する引っ張りバネおよびテンショナー11を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1対の自動調心軸受けにより回転可能な送り出しキャプスタンと、1対の自動調心軸受けにより回転可能な引き抜きキャプスタンと、該引き抜きキャプスタンの軸を回転させる駆動機構と、該引き抜きキャプスタンの軸および送り出しキャプスタンの軸を伝動ベルトで連結し、送り出しキャプスタンの軸を回転させる伝導機構と、1以上の伸線ダイスとからなる極細線の伸線機構において、前記伸線ダイスへの入射角を調整可能とするように、前記送り出しキャプスタンの一方の自動調心軸受けが移動可能であり、前記伝導ベルトの張力を一定に保持するテンショナーを有することを特徴とする極細線の伸線機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極細線の伸線機構に関し、特に、ワイヤーボンダーに用いる金線等の極細線を、傷やカールと呼ばれるねじりによる不良品の発生、および断線を起こさない伸線機構に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、金線等の極細線は、送り出しキャプスタンおよび引き出しキャプスタンの間にセットされた一定数の伸線ダイスを通過させることにより加工する。
【0003】従来の極細線の伸線機構を、図面により説明する。図6は、従来の極細線の伸線機構の一例を示す平面図である。
【0004】従来の極細線の伸線機構は、1対の自動調心軸受け5a、5bにより回転可能な送り出しキャプスタン2と、1対の自動調心軸受け6a、6bにより回転可能な引き抜きキャプスタン3と、該引き抜きキャプスタン3の軸を回転させる駆動機構10aと、該引き抜きキャプスタン3の軸および送り出しキャプスタン2の軸を伝動ベルト10bで連結し、送り出しキャプスタン2の軸を回転させる伝導機構と、1つ以上の伸線ダイス4とからなる。ノズルからの潤滑剤が、前記伝動ベルト10a、10bなどへ流れないように、オイルシール14によって遮断される。
【0005】その際、送り出しキャプスタン2から出た金線1が伸線ダイス4に入る角度、すなわち入射角が直角でないと、金線1に傷が発生したり、カールと呼ばれるねじり等の不良品が発生する。これを防止するための方法としては、引き抜きキャプスタン3に対し送り出しキャプスタン2に3〜4度の角度を付けて、入射角を直角にする方法が一般的である。
【0006】しかし、よく知られているように金線1が送り出しキャプスタン2から離れる際の軸方向の位置は、伸線速度、伸線ダイスの減面率によって移動し(図に矢印で示した)、それによって伸線ダイス4への入射角の変動が発生していた。この結果、加工条件の変化によって、金線1に前述のようなダメージを与えることが分かったが、潤滑液のシール等の関係から軸を固定するため、角度の変更が不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金線等の極細線の引き抜き工程において、極細線が傷やカールと呼ばれるねじりによる不良品等を発生させることなく、均一な品質と生産性の向上を可能とする伸線機構を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の極細線の伸線機構は、1対の自動調心軸受けにより回転可能な送り出しキャプスタンと、1対の自動調心軸受けにより回転可能な引き抜きキャプスタンと、該引き抜きキャプスタンの軸を回転させる駆動機構と、該引き抜きキャプスタンの軸および送り出しキャプスタンの軸を伝動ベルトで連結し、送り出しキャプスタンの軸を回転させる伝導機構と、1つ以上の伸線ダイスとからなる。前記伸線ダイスへの入射角を調整可能とするように、前記送り出しキャプスタンの一方の自動調心軸受けが移動可能であり、前記伝導ベルトの張力を一定に保持するテンショナーを有する。
【0009】
【発明の実施の形態】図面に基づいて、本発明を説明する。
【0010】図1は、本発明の極細線の伸線機構の一実施例を示す平面図である。図2は、図1のII-II断面矢視図である。図3は、図1のIII-III断面矢視図である。
【0011】本発明の極細線の伸線機構は、1対の自動調心軸受け5a、5bにより回転可能な送り出しキャプスタン2と、1対の自動調心軸受け6a、6bにより回転可能な引き抜きキャプスタン3と、該引き抜きキャプスタン3の軸を回転させる駆動機構9と、該引き抜きキャプスタン3の軸および送り出しキャプスタン2の軸を伝動ベルト10bで連結し、送り出しキャプスタン2の軸を回転させる伝導機構と、1つ以上の伸線ダイス4とからなる。前記伸線ダイス4への入射角を調整可能とするように、前記送り出しキャプスタン2の一方の自動調心軸受け5aが角度調整機構8により移動可能であり、前記伝導ベルト10bの張力を一定に、例えば3N/mm2に保持する引っ張りバネ12およびテンショナー11を有する。
【0012】駆動機構9の運転により、伝導ベルト10aを回転させて、引き抜きキャプスタン3の軸を回転させ、伝動ベルト10bをも回転させて、送り出しキャプスタン2の軸を回転させる。伸線ダイス4を抜けた金線1は、引き抜きキャプスタン3の半周をスリップし、伸線ダイス4の下方を通過して、送り出しキャプスタン2の半周をスリップして、次の伸線ダイス4に繰り出される。
【0013】この時、金線1は、送り出しキャプスタン2への入射角と、伸線ダイス4への入射角との関係で決まる角度(図示の場合3.5度)に傾いた送り出しキャプスタン2から、伸線ダイス4の垂直方向上を進入する。
【0014】しかし、伸線ダイス4の減面率および伸線速度の条件により、金線1は、送り出しキャプスタン2の長手方向で変位し、伸線ダイス4への入射角が変化する。
【0015】本発明の極細線の伸線機構では、前記角度調整機構8により前記送り出しキャプスタン2の一方の自動調心軸受け5aを図に矢印で示すように(−10〜10mm)移動させて、送り出しキャプスタン2が他方の自動調心軸受け5bを中心として回動(−2〜2度)することにより、金線1の伸線ダイス4への入射角を直角に戻し、金線1が伸線ダイス4の垂直方向上を進入するように調整可能である。
【0016】角度調節機構8は、図7のように構成される。自動調心軸受け5aがボルト15の回転により摺動し、送り出しキャプスタン2が自動調心軸受け5b(図1参照)を中心に回転するように構成される。図7では、それぞれの動きを矢印線で示した。自動調心軸受け5bは、多少の揺動を可能とするように、半径方向に伸びる回転軸あるいはバネにより固定部材に支持されている。
【0017】図4は、送り出しキャプスタン2が時計回りに回転した時の拡大図である。図5は、送り出しキャプスタン2が反時計回りに回転した時の拡大図である。送り出しキャプスタン2は、5bを支点として回動する。
【0018】その際、ノズル13から飛散する潤滑剤は、送り出しキャプスタン2の回転を許容する間隙を有するラビリンスシール7によって遮断される。また、伝導ベルト10bの張力変化は、テンショナー11に取り付けられた引っ張りバネ12によって保持される。
【0019】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれば、極細線の伸線工程において、加工条件が変化しても、極細線が伸線ダイスの垂直方向から進入可能であり、品質が均一となり、傷やカール等の不良の発生や断線を防止し、生産性の向上が可能である。
【出願人】 【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
【住所又は居所】東京都港区新橋5丁目11番3号
【出願日】 平成13年8月27日(2001.8.27)
【代理人】 【識別番号】100084087
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨田 朝雄 (外1名)
【公開番号】 特開2003−62607(P2003−62607A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−255782(P2001−255782)