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【発明の名称】 熱間圧延設備及び熱間圧延方法
【発明者】 【氏名】桂 重史
【住所又は居所】千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式会社千葉製鉄所内

【氏名】鳴海 宏
【住所又は居所】千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式会社千葉製鉄所内

【氏名】西山 忠男
【住所又は居所】千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式会社千葉製鉄所内

【要約】 【課題】誘導加熱装置の破損を防止し該誘導加熱装置による加熱効率を向上した熱間圧延設備を提供することを課題としている。

【解決手段】仕上圧延機2の入側にシートバーの幅方向全体を加熱するバーヒータ5が配設される。そのバーヒータ5の入側にシートバーの反りを矯正する反り矯正装置14が設けられている。その反り矯正装置14の入口上側にガイド部材14cが設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 仕上圧延機の入側にシートバーを加熱する誘導加熱装置が配設された熱間圧延設備において、上記誘導加熱装置の入側にシートバーの反りを矯正する反り矯正装置を設け、その反り矯正装置の入口側にシートバー上面をガイドするガイド部材を設けたことを特徴とする熱間圧延設備。
【請求項2】 上記ガイド部材は、反り矯正装置の上側矯正ローラと同期をとって昇降可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載した熱間圧延設備。
【請求項3】 上記誘導加熱装置の誘導加熱コイルは、シートバー外周を板幅方向で全周を巡るように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した熱間圧延設備。
【請求項4】 上記仕上圧延機よりも上流側に設置された粗圧延機と上記誘導加熱装置との間に、シートバーを一時的に巻き取って待機させる巻取り巻戻し装置と、その巻取り巻戻し装置の下流側に先行のシートバーの尾端部と後行のシートバーの先端部とを接合するバー接合装置と、を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載した熱間圧延設備。
【請求項5】 上記反り矯正装置は、上記バー接合装置の入側及び出側のうち少なくとも入側に設けたことを特徴とする請求項4に記載した熱間圧延設備。
【請求項6】 上記反り矯正装置の入側及び出側の少なくとも一方に、シートバーの反りを検出する反り検出装置を設け、且つ該反り検出装置の検出値に基づき上記反り矯正装置を制御するコントローラを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載した熱間圧延設備。
【請求項7】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載された熱間圧延設備において、上記誘導加熱装置の入側にシートバーの反りを矯正する反り矯正装置を設け、その反り矯正装置の入側にシートバーの反りを検出する反り検出装置を設けて、上記反り検出装置による検出に基づきシートバーの反り量が所定許容範囲を越えている場合にのみ、反り矯正装置による反り矯正処理を行うことを特徴する熱間圧延方法。
【請求項8】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載された熱間圧延設備において、上記誘導加熱装置の入側にシートバーの反りを矯正する反り矯正装置を設け、その反り矯正装置の出側にシートバーの反りを検出する反り検出装置を設けて、上記反り検出装置による検出に基づきシートバーの反り量が許容範囲の場合には反り矯正装置による矯正処理を行わず、該シートバーの反り量が許容範囲を越えた場合には、一旦シートバーの搬送を停止し、所定量だけシートバーを戻して上記反り矯正装置で反りの矯正処理を行うことを特徴とする熱間圧延方法。
【請求項9】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載された熱間圧延設備において、上記誘導加熱装置の入側にシートバーの反りを矯正する反り矯正装置を設け、その反り矯正装置の出側にシートバーの反りを検出する反り検出装置を設けて、上記反り検出装置による検出に基づきシートバーの反り量が所定値以上の場合には、上記誘導加熱装置をオンライン位置から一時退避し、当該シートバーを上記誘導加熱装置で加熱することなく通板することを特徴とする熱間圧延方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延鋼帯を製造する熱間圧延設備であって、粗圧延機と仕上圧延機との間の設備、特に仕上圧延機入側のシートバー段階で誘導加熱を行う際の設備に特徴を有する熱間圧延設備に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、熱間圧延鋼帯の製造において、粗圧延後のシートバー段階で加熱を行いシートバーの温度均一化を図ることで、全長均一な品質の板を得ることが行われている。また近年、例えば特開平2−6009号公報等に記載されているように、粗圧延機と仕上圧延機との間で、シートバーを誘導加熱装置を用いて加熱する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば、誘導加熱装置でシートバー全体を加熱する場合などに、加熱効率の低下を小さく抑える関係から、できるだけ誘導加熱コイルをシートバーに近づけて配置するために、誘導加熱装置の高さ方向の開口寸法を出来るだけ小さくすることが望まれ、一般的には、誘導加熱コイル間の隙間200 mm程度で、この場合の加熱効率は50%程度である。さらに、コイル保護ため、誘導加熱コイルと搬送されるシートバーとの間に断熱材等を設ける場合には、誘導加熱装置とシートバーとの間の上下方向の隙間として実質150 mm程度の隙間しか確保できない。
【0004】このようなことから、粗圧延されたシートバーの先端及び尾端に反りがある場合には、搬送する該シートバーの長手方向端部で誘導加熱装置の開口部内壁がたたかれて、断熱材等が破損したり、甚だしい場合には、誘導加熱コイルが変形損傷して長時間に渡って誘導加熱が出来なくなるおそれがあるといった問題があった。
【0005】本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、誘導加熱装置の破損を防止しつつ加熱効率を向上させる熱間圧延設備を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した熱間圧延設備は、仕上圧延機の入側にシートバーを加熱する誘導加熱装置が配設された熱間圧延設備において、上記誘導加熱装置の入側にシートバーの反りを矯正する反り矯正装置を設け、その反り矯正装置の入口側にシートバー上面をガイドするガイド部材を設けたことを特徴とするものである。
【0007】本発明においては、誘導加熱処理を行う前にシートバーの反りの矯正が可能となって反り量が小さくなり、反ったシートバーが誘導加熱装置と当接する頻度を抑えられると共に、より誘導加熱コイルとシートバーとの上下方向の間隙を小さく設定可能となる。次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記ガイド部材は、反り矯正装置の上側矯正ローラと同期をとって昇降可能に設けられていることを特徴とするものである。
【0008】次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記誘導加熱装置の誘導加熱コイルは、シートバー外周を板幅方向で全周を巡るように配置されることを特徴とするものである。本発明においては、上記作用に加えて、誘導加熱コイルがシートバー外周を板幅方向で全周を巡るように配置されることでトンネル状のバー通過路を形成し、その誘導加熱コイル内をシートバーを通過させることで該シートバー全体を加熱することが可能となる。
【0009】特に、シートバーの先端部及び尾端部の温度低下の補償に有効である。次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載した構成に対し、上記仕上圧延機よりも上流側に設置された粗圧延機と上記誘導加熱装置との間に、シートバーを一時的に巻き取って待機させる巻取り巻戻し装置と、その巻取り巻戻し装置の下流側に先行のシートバーの尾端部と後行のシートバーの先端部とを接合するバー接合装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】本発明においては、上記作用に加えて、巻取り巻戻し装置とバー接合装置とを設けることで、いわゆるエンドレス状態での仕上圧延が可能となり、シートバー同士を接合しないバッチ圧延のようなシートバー長手方向端部の非定常部がなく、被圧延材全長に渡って安定した仕上圧延ができるようになり、例えば1mm以下の薄物の圧延が可能となる。
【0011】ここで、上記巻取り巻戻し装置は、後行材をコイル状に巻き取ってタイムスケジュール誤差を吸収するもので、コイル状に巻き取って待機させることで、ルーパーに比べて温度低下を抑えることができる。また、本発明においては、上記のようにシートバーをコイル状に巻き取っても、内端部位置及び外端部位置(先端部と尾端部位置)が中間部に比べて温度低下が大きいが、上記誘導加熱装置でシートバー端部全体の温度低下を補償することができる。このとき、加熱炉の加熱温度を上げて温度補償を行うことも考えられるが、ノロの発生やエネルギーコストの上昇、炉の寿命等の点で不利となる。
【0012】次に、請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した構成に対し、上記反り矯正装置は、上記バー接合装置の入側及び出側のうち少なくとも入側に設けたことを特徴とするものである。この発明によれば、バー接合装置の入側の反り矯正装置によって、巻取り巻戻し装置から巻き戻されたシートバーの反りが矯正されると同時に、誘導加熱装置に搬送される前にシートバーの反りの矯正が実現される。
【0013】さらに、バー接合装置の出側にも反り矯正装置を設けた場合には、上記エンドレス圧延であればバー接合装置入側の反り矯正装置で反り矯正処理ができ、通常のバッチ圧延であればバー接合装置出側の反り矯正装置で反り矯正処理ができるので、両圧延操業のどちらであっても、誘導加熱装置を通過する前に反り矯正装置によって反りが矯正されて、上記と同様な作用を得る。
【0014】次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載した構成に対して、上記反り矯正装置の入側及び出側の少なくとも一方に、シートバーの反りを検出する反り検出装置を設け、且つ該反り検出装置の検出値に基づき上記反り矯正装置を制御するコントローラを設けたことを特徴とするものである。
【0015】本発明においては、上記作用に加えて、反りの状態に応じて適正な反りの矯正、及び矯正結果の把握が可能となる。次に、請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載された熱間圧延設備において、上記誘導加熱装置の入側にシートバーの反りを矯正する反り矯正装置を設け、その反り矯正装置の入側にシートバーの反りを検出する反り検出装置を設けて、上記反り検出装置による検出に基づきシートバーの反り量が所定許容範囲を越えている場合にのみ、反り矯正装置による反り矯正処理を行うことを特徴する熱間圧延方法である。
【0016】本発明においては、反りが無いか又は小さいときには、反り矯正装置が開放されることで、シートバー先端部が反り矯正装置に突き当たって、反り矯正装置の矯正部に疵が発生する頻度や該疵の大きさが小さく抑えられる。これと共に、所定許容範囲を越えた反りを持ったシートバーについては、反りの矯正処理が実現される。
【0017】ここで、反り矯正装置に所定以上の大きさの疵が発生した場合には、該突き当り疵が後行材の矯正の際に転写されてシートバーの品質不良に繋がる。またこのことは、反りが無いか又は小さいときには反り矯正が行われないので、その分、疵の転写の頻度の低減にも寄与する。次に、請求項8に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載された熱間圧延設備において、上記誘導加熱装置の入側にシートバーの反りを矯正する反り矯正装置を設け、その反り矯正装置の出側にシートバーの反りを検出する反り検出装置を設けて、上記反り検出装置による検出に基づきシートバーの反り量が許容範囲の場合には反り矯正装置による矯正処理を行わず、該シートバーの反り量が許容範囲を越えた場合には、一旦シートバーの搬送を停止し、所定量だけシートバーを戻して上記反り矯正装置で反りの矯正処理を行うことを特徴とするものである。
【0018】本発明においても、所定以上の反りが発生していない場合には、反り矯正装置による矯正処理を行わないことで、上記請求項6と同様な作用を持つ。次に、請求項9に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載された熱間圧延設備において、上記誘導加熱装置の入側にシートバーの反りを矯正する反り矯正装置を設け、その反り矯正装置の出側にシートバーの反りを検出する反り検出装置を設けて、上記反り検出装置による検出に基づきシートバーの反り量が所定値以上の場合には、上記誘導加熱装置をオンライン位置から一時退避し、当該シートバーを上記誘導加熱装置で加熱することなく通板することを特徴とするものである。
【0019】本発明においては、矯正しきれなかった反りが所定以上の場合には、誘導加熱装置を一時的に退避することで、誘導加熱装置の破損による長期設備ダウン等が回避される。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態の一実施例を示す熱間圧延の設備列を示している。符号1は粗圧延機を、符号2は仕上圧延機を示していて、粗圧延機1で粗圧延されたシートバーが、テーブルローラ3に案内されて仕上圧延機2側に送られるようになっている。
【0021】上記仕上圧延機2の入側には、シートバーを加熱するシートバー加熱用の誘導加熱装置4が配置されている。その誘導加熱装置4は、搬送方向に沿って配置されたシートバー幅方向全体加熱装置であるバーヒータ5、及びシートバー幅方向端部加熱装置であるエッジヒータ6からなる。上記バーヒータ5は、概略構成図である図2や平面図である図3に示すように、誘導加熱コイル8が、シートバー7の周りを幅方向に周回するように軸を該シートバー7の搬送方向に向けて配置され、その誘導加熱コイル8内の空間をシートバー7が通過可能となっている。なお、誘導加熱コイル8は、軸方向で複数個に分割された複数組のコイルから構成され、各コイルは、高周波電源から電流が供給されるようになっている。
【0022】ここで、上記図2のものは、一組のコイルだけを図示したものである。また、図3中、矢印Aはコイル電流の流れる方向を、矢印Bは、シートバー7に誘導された誘導電流の流れる方向を示している。なお、図示していないが、誘導加熱コイル8の内側には、該誘導加熱コイル8を輻射熱等から保護する断熱材が配置されている。
【0023】また、上記バーヒータ5の下流側に配置されるエッジヒータ6は、シートバー7の幅方向両端部にそれぞれ配置され、それぞれ上下一対の誘導加熱コイル8から構成され、もって、シートバー7の幅方向端部を上下方向から誘導加熱する装置である。また、上記誘導加熱装置4の入側には、反り矯正装置14が配置されている。本実施形態で例示されている反り矯正装置は、反り矯正用の矯正ローラが千鳥状に上下に配置されて構成され、上下の矯正ローラ間の間隙が調整可能となっている。
【0024】なお、符号15はクロップシャーを、符号16は仕上スケールブレーカを、符号17はエッジャをそれぞれ示している。また、図示していないが、シートバー7の端部位置等を検知するセンサが適所に配置され、該センサからの信号によって上記各装置の処理が制御されている。次に、上記構成を備えた熱間圧延設備の作用・効果等を説明する。
【0025】粗圧延機1で粗圧延されたシートバー7がテーブルローラ3に案内されて仕上圧延機2側に搬送される。この搬送途中で、シートバー7の保有する熱の一部は、大気中に放散される。特に、シートバー7の幅方向端部と幅方向中央部とでは大気中に放散される熱量に差が生じ、シートバー7の温度は、幅方向中央部に比べ幅方向端部が低温となる。そして、低温になると幅方向端部で材質不良となるが、幅方向端部はエッジヒータ6によって加熱されることで温度降下が補償される。
【0026】また、シートバー7の先端部及び尾端部においても温度降下が生じるが、バーヒータ5で加熱されることでシートバー7の長手方向端部の温度降下が補償される。ここで、シートバー7端部の検出は、例えば、入側に温度センサを設け、そのセンサからの温度信号に基づき目標温度となるようにフィードバック制御を行うことで実現できる。
【0027】なお、シートバー7端部の温度降下は、結晶粒の異常成長による仕上加工性の低下を招くと共に仕上ロールに疵を付ける原因となる。上記バーヒータ5による加熱は、トンネル状の誘導加熱コイル8内をシートバー7が通過する際に行われる。このとき、シートバー7の先端部等が反っている場合には、シートバー7が誘導加熱コイル8や断熱材に当たるおそれがあるが、本実施形態では、シートバー7は、反り矯正装置14で反りが矯正された後に誘導加熱装置4内を通過するように構成されているので、誘導加熱装置4内を通過するシートバー7の反り量が抑えられ、誘導加熱コイル8等へのシートバー7の当接が抑えられる。この結果、誘導加熱コイル8や断熱材の破損、つまり誘導加熱コイル8の設備破損が防止され、設備の停止等が回避される。
【0028】このように、反りを矯正してから加熱を行う構成であるので、誘導加熱コイル8とシートバー7との間隙を小さくすることができ、設備損傷を抑えつつ加熱効率の低下を抑えることができる。ここで、誘導加熱装置4で温度降下の補償をする際には、通板速度が遅い方が有利であるため、本実施形態では、できるだけ該誘導加熱装置4を仕上圧延機2に近づけて配置することで、仕上圧延機2突入の際のスレディング速度に通板速度を減速して該誘導加熱装置4内を通過させるようにしている。
【0029】次に、第2の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な設備などのうち、変更の無いものについては、その説明を省略する。本実施形態の基本構成は、上記第1の実施形態と同様の設備構成であるが、図4に示すように、反り矯正装置14の入側にシートバー7の反りを検出する反り検出装置16を設けたところが異なる。
【0030】上記反り検出装置16は、上反り検出装置17と下反り検出装置18とから構成される。上反り検出装置17は、シートバー7の上方に上下に旋回可能な旋回軸17aを備え、その旋回軸17aに上端部を固定したロッド17bが、シートバー7の上面に向けて延びている。そのロッド17b下端とシートバー7との間の間隙は小さく設定される。そして、シートバー7に上反りがある場合には、搬送されるシートバー7が上記ロッド17bに当たり、反りに応じた分だけ該ロッド17bを突き上げて旋回させるようになっている。また、上記旋回軸17aには回転量検出センサ17cが接続し、該回転量検出センサ17cは、検出した回転量に応じた信号を反り矯正用コントローラ19に供給可能となっている。
【0031】また、下反り検出装置18は、テーブルローラ3のエプロンに、板体18aの中央部が上下に旋回可能に支持され、その板体18aの後端部にカウンタウエイト18bが設けられることで、該板体18aは、前側が若干上向きとなるように上下に傾斜してバランスが取られている。そして、下反りしたシートバー7の端部で上記板体18aが叩かれることで該板体18aが下方に旋回するようになっている。また、上記板体18aの旋回軸には回転量検出センサ18cが接続し、該回転量検出センサ18cは、検出した回転量に応じた信号を反り矯正用コントローラ19に供給可能となっている。
【0032】上記反り矯正用コントローラ19は、上記回転量検出センサ17c,18cからの信号に基づき反り量を判定し、該反り量を矯正するように上側の矯正ローラの矯正位置をフィードバック制御する。このとき、上記判定による反り量が所定許容値以内の場合には、図4(a)に示すように、上側の矯正ローラ14aを上方に逃がして反り矯正装置14を開放する。また、上記判定による反り量が所定許容値を越えている場合には、図4(b)に示すように、上側の矯正ローラ14aを下げて矯正処理を行う。
【0033】なお、図4中、14cは、反り矯正装置14の入口側に設けられたガイド部材であり、上側の矯正ローラ14aと同期をとって昇降可能となっている。このような構成においては、反り矯正装置14の入側に反り検出装置16が配置されることで、反り矯正装置14に突入前にシートバー7の反りの有無及び反り量が検出可能となる。そして、反りが所定許容範囲内で小さいか反りが無いシートバー7については、反り矯正装置14を開放することで、シートバー7先端部が反り矯正装置14へ突き当たって矯正ローラ14a,14b等に疵が付く頻度が小さく抑えられ、且つ、所定以上の反りのあるシートバー7についてのみ反り矯正が行われる。
【0034】この結果、突き当て疵の転写によるシートバー7の品質不良の発生率が小さく抑えられると共に、シートバー7を、反りを抑えた状態で誘導加熱装置4内を通過可能となり加熱効率も良い。他の作用・効果については、上記第1の実施形態と同様である。なお、反り検出装置16は、上記構成に限定されず、レーザ光等を利用した非接触式のセンサ等、他の公知の装置を使用しても構わない。
【0035】次に、第3の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な設備等のうち、変更の無いものについては、その説明を省略する。本実施形態の基本構成は、上記第1の実施形態と同様の設備構成であるが、図5に示すように、反り矯正装置14の出側にシートバー7の反りを検出する反り検出装置20を設けたところが異なる。
【0036】上記反り検出装置20は、上記第2の実施形態で説明したものと同様な装置であるので、その詳細は省略するが、上反り検出装置21と下反り検出装置22とから構成され、上反り検出装置21及び下反り検出装置22の各回転量検出センサ21c,22cは、検出した回転量に応じた信号を反り矯正用コントローラ19に供給可能となっている。
【0037】本実施形態の反り矯正用コントローラ19では、上記回転量検出センサ21c,22cからの信号に基づき反り量を判定し、上側の矯正ローラ14aの矯正位置を調整する。すなわち、反り量が所定許容範囲内と判定した場合には、上側の矯正ローラ14aを上方に逃がして反り矯正装置14を開放した状態とする。また、反り量が所定許容範囲内を越えたと判定した場合には、図外のシートバー搬送用コントローラに搬送停止の信号を供給した後に、上下の矯正ローラ14a,14b間のギャップをシートバー7の厚さ相当に調整する。続いて、図外のシートバー搬送用コントローラに所定量戻した後に搬送を再開する信号を供給する。
【0038】このような構成においては、シートバー7の反りが所定以上の場合にだけ、反り矯正装置14による矯正を行う。この結果、反りが所定許容範囲内の小さいか当該反りが無いシートバー7については、反り矯正装置14が開放されて、シートバー7先端部が反り矯正装置14の矯正ロール14a,14b等へ突き当たって疵が発生する頻度が小さく抑えられ、且つ、所定以上の反りのあるシートバー7についてのみ再度逆走処理によって一旦戻して反り矯正処理が行われる。従って、突き当て疵の転写によるシートバー7の品質不良の発生率が小さく抑えられる。
【0039】他の作用・効果については、上記第1の実施形態と同様である。なお、反り検出装置20は、上記構成に限定されず、レーザ光等を利用した非接触式のセンサ等、他の公知の装置を使用しても構わない。また、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせてもよい。即ち、第2の実施形態により反り矯正を行った後の反りを反り検出装置20により検出し、所定以上の反りがある場合には、シートバー7を逆走して再度矯正を行うようにする。これによれば、より確実な反り矯正が可能となる。
【0040】次に、第4の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様な設備のうち、変更が無いものについては、その説明を省略する。本実施形態の構成は、上記第3の実施形態と同様であるが、図6に示すように、誘導加熱装置4であるバーヒータ5とエッジヒータ6が、油圧シリンダ装置等の進退用アクチュエータ25によって、シートバー7の板幅方向に進退可能となっている。進退用アクチュエータ25は、進退用コントローラ26からの指令に基づき作動する。
【0041】また、上記反り矯正装置14に出側に配置された反り検出装置16は、検出信号を上記進退用コントローラ26に供給するようになっている。進退用コントローラ26は、反り矯正装置の出側に配置された反り検出装置20からの信号に基づき反り量を判断し、所定値以上の反り量と判定した場合には、進退用アクチュエータ25に退避指令を供給してバーヒータ5とエッジヒータ6を退避させる。
【0042】この実施形態では、反り矯正装置14を通過しても矯正しきれなった反りが所定値以上である場合には、バーヒータ5及びエッジヒータ6を退避させることで、シートバー7による誘導加熱装置4への突っ掛けが防止され、この結果、誘導加熱装置4の設備の破損による長期の設備ダウン等が回避される。なお、この実施形態では、反り矯正装置14の制御方法については、第3の実施形態の内容に限定されず、図7に示すように、つまり第2の実施形態のように別途、反り矯正装置14の入側に反り検出装置16を設け該入側の反り検出装置16の検出結果に基づき反り矯正装置14をフィードバック制御してもよい。
【0043】他の作用・効果については、上記実施形態と同様である。なお、上記反り検出装置20は、上記構成に限定されず、レーザ光等を利用した非接触式のセンサ等、他の公知の装置を使用しても構わない。次に、第5の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な設備等については、同一の符号を付して説明する。
【0044】本実施形態の基本構成は、図8に示すように、上記第1の実施形態と同様であるが、反り矯正装置14の位置が異なることと、巻取り巻戻し装置28及びバー接合装置29が追加されている点が異なる。すなわち、粗圧延機1出側と誘導加熱装置4入側との間に、該粗圧延機1側から順に、巻取り巻戻し装置28、反り矯正装置14、及びバー接合装置29が配置されている。
【0045】巻取り巻戻し装置28は、複数のコイラー28aから構成されて、粗圧延機1で圧延したシートバー7を巻き取って、後行のシートバー7の送りタイミングを調整するもので、コイル状に巻き取って調整することでルーパーに比べてシートバー7の温度降下を小さく抑えられるものである。また、バー接合装置29は、先行シートバー7の尾端と後行シートバー7の先端部とを溶接等にて接合する装置であって、これによってシートバー7をエンドレス状態で仕上圧延機2側に搬送することが可能となっている。
【0046】この構成においては、後行シートバー7をコイラーに巻き取ってコイル状態で溜めておき、先行シートバー7の尾端がバー接合装置29を通過するタイミングに合わせて後行シートバー7を巻き戻して該後行シートバー7の先端部がバー接合装置29を通過するように該後行シートバー7を繰り出しバー接合装置29で両シートバー7の端部同士を接合する。これを繰り返すことでエンドレス状態で仕上圧延が行われる。
【0047】このエンドレス圧延においては、先行材と後行材とが繋がった状態で仕上圧延が行われるため、バッチ処理(各シートバー7を接続することなく処理を行う場合)のような先尾端の非定常部がないために、被圧延材全長に渡って安定した仕上圧延が実現できる。特に、薄物の圧延等、非定常部の通板が難しいものの圧延も可能とする設備となる。
【0048】また、このように被圧延材が薄物となるほど温度低下も大きくなるが、バーヒータ5でシートバー7全体を温めることで温度補償が確実に実現できる。ここで、コイル状に巻き取られて待機したシートバーは、薄物に限らず、特に、長手方向中央部よりも外端部(先端部)及び内端部(尾端部)が温度低下を起こすが、該シートバー7の先端部及び尾端部は、バーヒータ5で全体を加熱することで温度低下が補償できる。
【0049】また、本実施形態にあっては、巻取り巻戻し装置28の出側に配置された反り矯正装置14によって、巻き戻されたシートバー7の反りが矯正されることで誘導加熱装置4を通過するシートバー7による該誘導加熱装置4への当たりが低減できて、上記第1の実施形態と同様に、誘導加熱コイル8とシートバー7との上下方向の間隙を小さく設定することはできる、つまり加熱効率がよい。
【0050】他の構成及び作用・効果は上記実施形態と同様である。なお、反り矯正装置14についての制御については、上記各実施形態に記載したように、上記反り矯正装置14の入側及び出側の少なくとも一方に、シートバー7の反りを検出する反り検出装置を設け、その反り検出装置の検出値に基づき上記反り矯正装置14を制御すればよい。
【0051】次に、第6の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様の設備等については、同じ符号を付して説明する。本実施形態の構成は、略第5の実施形態と同様であり、図9に示すように、バー接合装置29と誘導加熱装置4との間に第2の反り矯正装置30を設けたものである。
【0052】この実施形態では、前述のようなエンドレス圧延を実施する場合、つまり、巻取り巻戻し装置28及びバー接合装置29を使用する場合には、第1の反り矯正装置14を使用し、また、通常のバッチ処理を行う場合には、第2の反り矯正装置30を使用する等と、圧延操業の内容に応じてシートバー7の反り矯正が可能となる。
【0053】他の構成及び作用・効果は上記実施形態と同様である。なお、上記全実施形態において、シートバー7の幅方向両端部の温度低下が無視できる場合等においては、エッジヒータ6を省略してもよい。また、バーヒータ5は、シートバー7全体を加熱するものであるので、コイルの配置等によってシートバー7の板幅方向端部を高く加熱するように設計して、エッジヒータ6を省略してもよい。
【0054】また、バーヒータ5は、上記構成に限定されるものではなく、シートバー7の上側及び下側にそれぞれ独立して軸を上下方向に向けた誘導加熱コイルを配置して構成してもよい。この場合には、上下の誘導加熱コイル間の距離を調整できるので、シートバー7の厚さや反り等によって、上下の誘導加熱コイル間の距離を調整するようにしてもよい。
【0055】
【実施例】実際に、本願発明に基づく上記各実施形態について、誘導加熱装置の破損、及び仕上圧延後の成品の疵品質の不良の割合について調べてところ、図10に示すようになった。図10中、符号Cは、誘導加熱装置の入側に反り矯正装置を設けなかった場合である。符号Dは、上記第1実施形態に基づく設備構成の場合である。符号Eは、上記第2〜第6のいずれかの実施形態に基づく設備構成の場合である。
【0056】この図10から分かるように、本願発明を採用することで、設備的な破損による長期の設備ダウンが大幅に減少して、ダウンタイムの減少に効果があることが分かる。また、半成品も減少することが分かる。ここで、半成品とは、温度が低すぎて圧延ができずにスクラップとなる成品のことである。
【0057】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明を採用すると、誘導加熱処理を行う前にシートバーの反りの矯正が可能となって反り量が小さくなり、反ったシートバーが誘導加熱装置と当接する頻度を抑えられると共に、より誘導加熱コイルとシートバーとの上下方向の間隙を小さく設定可能となるので、誘導加熱設備の破損による操業中断を防止しつつ、所定の加熱効率を確保することができるという効果がある。
【0058】このとき、請求項3に記載した発明を採用すると、誘導加熱コイルがシートバー外周を板幅方向で全周を巡るように配置されることでトンネル状のバー通過路を形成し、その誘導加熱コイル内をシートバーを通過させることで該シートバー全体を加熱することが可能となるという効果があり、特に温度効果が生じるシートバーの先端部及び尾端部の温度低下の補償に有効であるという効果がある。
【0059】また、請求項4に記載した発明を採用すると、巻取り巻戻し装置とバー接合装置とを設けることで、いわゆるエンドレス状態での仕上圧延が可能となり、被圧延材全長に渡って安定した仕上圧延ができるようになり、例えば1mm以下の薄物の圧延が可能となると共に誘導加熱装置によってシートバー全体の温度低下の補償が図られる。
【0060】また、請求項5に記載した発明を採用すると、バー接合装置の入側の反り矯正装置によって、巻取り巻戻し装置から巻き戻されたシートバーの反りが矯正されると同時に、誘導加熱装置に搬送される前にシートバーの反りの矯正ができて、上記のような効果を得ることができる。しかも、バー接合装置の出側にも反り矯正装置を設けた場合には、上記エンドレス圧延であればバー接合装置入側の反り矯正装置で反り矯正処理ができ、通常のバッチ圧延であればバー接合装置出側の反り矯正装置で反り矯正処理ができるので、両圧延操業のどちらであっても、誘導加熱装置を通過する前に反り矯正装置によって反りが矯正できて、上記両圧延操業ができると同時に、上記のような効果を得ることができる。
【0061】また、請求項6に記載した発明を採用した場合には、上記効果に加えて、反りの状態に応じて適正な反りの矯正、及び矯正結果の把握が可能となるという効果がある。また、請求項7又は請求項8に記載した発明を採用した場合には、反りが無いか又は小さいときには、反り矯正装置が開放されることで、シートバー先端部が反り矯正装置に突き当たって、反り矯正装置の矯正部に疵が発生する頻度や該疵の大きさが小さく抑えられると共に、所定許容範囲を越えた反りを持ったシートバーについては、反りの矯正処理ができるという効果がある。また、請求項9に記載した発明を採用した場合には、矯正しきれなかった反りが所定以上の場合には、誘導加熱装置を一時的に退避することで、誘導加熱装置の破損による長期設備ダウン等が回避されるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区北本町通1丁目1番28号
【出願日】 平成9年10月27日(1997.10.27)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【公開番号】 特開2003−126902(P2003−126902A)
【公開日】 平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願番号】 特願2002−248923(P2002−248923)