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【発明の名称】 圧延ロールのオンライン研削方法
【発明者】 【氏名】本田 貴之
【住所又は居所】大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式会社大分製鐵所内

【氏名】中野 鉄也
【住所又は居所】大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式会社大分製鐵所内

【氏名】西原 俊之
【住所又は居所】大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式会社大分製鐵所内

【氏名】加賀 慎一
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内

【氏名】近藤 繁俊
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内

【氏名】富野 貴義
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内

【要約】 【課題】本発明は、熱間圧延後の鋼板の冷却条件に適応するよう、被研削圧延ロールの表面粗度をコントロールする圧延ロールのオンライン研削方法を提供するものである。

【解決手段】圧延機内で回転している圧延ロールの表面に回転砥石を接触させ、圧延ロールをオンライン研削を行う方法において、圧延ロールの表面粗度を、該圧延ロールで圧延される被圧延材の表面に形成される目標粗度になるよう、前記回転砥石の周速を予め設定した圧延ロールの表面粗度に応じて決定することする圧延ロールのオンライン研削方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧延機内で回転している圧延ロールの表面に回転砥石を接触させ、圧延ロールをオンライン研削を行う方法において、前記回転砥石の周速を予め設定した圧延ロールの表面粗度に応じて決定することを特徴とする圧延ロールのオンライン研削方法。
【請求項2】 請求項1において、圧延ロールの表面粗度を、該圧延ロールで圧延される被圧延材の表面に形成される予め設定された目標粗度に応じて決定することを特徴とする圧延ロールのオンライン研削方法。
【請求項3】 前記圧延ロールのオンライン研削において、圧延ロールを被圧延材の後端が抜けた後、次に、被圧延材の先端が噛み込むまでの時間内に研削を行うことを特徴とする請求項1または2記載の圧延ロールのオンライン研削方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オンラインロールグラインダーによるロール表面研削方法、特に圧延機から圧延ロールを取外すことなくその外周面を研削する圧延ロールのオンライン研削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】圧延機で被圧延材(例えば鋼板)を圧延すると、圧延鋼板の枚数が増えるに従って圧延ロール表面が摩耗し、鋼板における板厚精度や平坦度を悪化させる結果となる。したがって、圧延ロール表面の摩耗が所定の基準を超えるようになると、オフラインでロール研削を行いロール表面を平滑にしたもの、または新品のロールと交換(ロール組替え)して圧延を再開している。
【0003】また、近年この摩耗したロールを交換することなく、圧延機内でロールを所要のプロフィールに研削するオンラインロール研削が行なわれている。オンラインでのロール研削は、圧延の進行に伴って増大するロール表面の肌荒れ防止、表面粗度均一化等を図るため、圧延機中に組込まれたままの状態で、逐次ロールを研削することで生産性の向上と整備コストの低減を目的としている。
【0004】オンラインでのロール研削については、これらを実施するための装置、方法について種々の発明・考案が提案されている。例えば、実開昭58−28705号、実開昭58−28706号、特開平6−47654号、特開平1−249207号、特開平5−23715号等があり、オンラインでのロール研削においては、研削時間の制約から高い研削性能を有する回転砥石が必要となり、該機能を満足する回転砥石の開発が精力的に行なわれている。
【0005】また一方、ロール研削時においてロールと接触する回転砥石の周速を大きくする。すなわち、被研削圧延ロールに接触する際の研削速度を速くする(単位時間当たりの回転数を増す)ことで、研削抵抗が低減して大容量の研削が行なえることは既に知られている。例えば特開平6−47654号公報に示されるような弾性皿形砥石を有するオンラインロール研削装置の場合は、1000〜1600m/minに回転させることで必要とする研削能力を発揮せしめている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従前、回転砥石を高速回転させることで高研削性能が得られるがその反面、被研削圧延ロールの表面粗度が大きくなると云われていた。また、圧延ロールで圧延される鋼板の表面には、圧延ロール表面の粗度がそのまま転写されるため、鋼板表面粗度は圧延ロール表面粗度に影響され、両者の表面粗度には正の相関関係が存在する。
【0007】鋼板はその要求特性に応じて、熱間で圧延された後に主に水を用いて冷却するプロセスを経て製造される場合が多い。鋼板の表面粗度が小さい場合、冷却プロセスにおいて鋼板表面と冷却水との境界に安定した蒸気膜が形成されやすく、蒸気膜による伝熱抵抗の増大で鋼板の冷却速度が低下する。したがって、高い冷却速度(10〜40℃/sec)が要求される鋼板、例えば厚板の冷却においては、冷却能力の低下は解決すべき一つの課題となっていた。
【0008】本発明は、熱間圧延後の金属板の冷却条件に適応するよう、被研削圧延ロールの表面粗度を対応させることを目的とし、それに適合した圧延ロールのオンライン研削方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来方法における問題点を解決するためになされたものであって、その要旨するところは、下記手段にある。
(1) 圧延機内で回転している圧延ロールの表面に回転砥石を接触させ、圧延ロールをオンライン研削を行う方法において、前記回転砥石の周速を予め設定した圧延ロールの表面粗度に応じて決定する圧延ロールのオンライン研削方法。
(2) (1)において、圧延ロールの表面粗度を、該圧延ロールで圧延される被圧延材の表面に形成される予め設定された目標粗度に応じて決定する圧延ロールのオンライン研削方法。
(3) 前記圧延ロールのオンライン研削において、圧延ロールを被圧延材の後端が抜けた後、次に、被圧延材の先端が噛み込むまでの時間内に研削を行う(1)または(2)記載の圧延ロールのオンライン研削方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、圧延ロールの研削に際して、該圧延ロールの表面粗度を調整し、鋼板(特に厚板)の冷却面からみて、要求される鋼板表面粗度を確実に得ることができるようにしようとするものである。すなわち、強冷却を必要とする鋼板を圧延する場合は、そのロール表面の粗度を大きくとり、それ程冷却を必要としない鋼板を圧延する場合は、前記粗度を小さくするものである。
【0011】すなわち、鋼板の表面粗度と冷却効果の関係は前述したように、表面粗度が大きくなるに従い冷却効果が向上することが知られている。したがって鋼板の表面粗度を調整するために圧延ロールのオンラインロール研削をいかに行なうかが、圧延鋼板の性質を左右する重要な問題点であった。
【0012】前述したように、一般に圧延ロールの表面粗度とその圧延ロールによって圧延された鋼板の表面粗度には通常正の相関があり、したがって粗度の大きい圧延ロールにより圧延された鋼板は大きな表面粗度を有することになる。そこで本発明者らは、圧延ロールの表面を所望の粗度とするためには、ロールの表面の研削に当たって、回転砥石を如何に操作すればよいかについて、圧延ロールの表面粗度と、回転砥石の回転数(周速)の関係に基づいて検討を行ってみた。
【0013】すなわち、表1に示すような回転砥石と圧延ロールの条件でオンライン研削を実施した。その結果、図2に示す関係があることが判明した。図2の結果の意味するところは、オンラインロール研削において圧延ロール表面に大きな粗度を与えるためには、回転砥石の回転数(周速)を低速化することによって達成でき、また、逆に圧延ロール表面に細かな粗度を与えるためには、回転砥石の回転数(周速)を高速化させればよいことを示すものである。
【0014】
【表1】

【0015】従来、砥石によるロール表面の研削は、研削面を滑らかにするという考え方に立脚するもので、このような観点からみると、オンラインロール研削によって圧延ロール表面に粗度を与えるというのは従来とは逆行した考え方といえる。さらに、従前では回転砥石の回転数を低速にすると、ロール表面の粗度は小さくなると考えられていた。したがって、本発明の考え方は従来とは逆の考え方に基づくもので、これは本発明者らの多くの実験結果から得ることができたものであり、その1例を図1に示す。
【0016】すなわち、図1(a)は砥石周速が小さいか、またはロール周速が大きい場合の研削ロール表面の凹凸状態を示したものであり、同様図1(b)は砥石周速が大きいか、またはロール周速が小さい場合の研削ロール表面の凹凸状態を示したものである。
【0017】図1(a)においては、ロール表面単位長さ当たりの通過砥粒数が少ないため大きな凹凸が残り易いものと思われる。これとは逆に図1(b)においては、ロール表面単位長さ当たりの通過砥粒数が多いため表面の凹凸が除去され、粗度が小さくなるものと思われる。
【0018】上記図1から明らかなように、鋼板の表面粗度を大きくしようとするならば、砥石の回転速度を低下させてやらなければならないことが判る。このような知見に基づき本発明はこれをオンラインロールの研削に適用したものである。
【0019】前述した各公報に記載された技術は、何れも本発明が目的とする技術とは異なるもので、オンラインロール研削で研削された圧延ロールにより圧延された鋼板(厚板)について、冷却面からみて、どのような研削が必要であるかという視点からロールの周速を決定するという技術思想は全く開示されていない。
【0020】例えば、特開平5−23715号公報によって提示されている技術は「鋼板を圧延しながら圧延ロールの表面を研削するオンラインロールグラインダーによるロール表面研削方法において、鋼板の表面品質要求レベルに応じて研削するか否かを決定すること。また、鋼板を圧延しながら圧延ロールの表面を研削するオンラインロールグラインダーによるロール表面研削方法において、鋼板が圧延ロールに噛み込まれる時および圧延ロールを抜け出る時には研削を中断すること」というもので、鋼板の表面品質の要求に応じてオンラインロール研削を実施するか、否かの二者択一の技術でしかない。
【0021】本発明は、オンラインでのロール研削に当たって十分な研削性能を維持しつつ、被研削圧延ロールの表面を必要な粗度に研削できる研削方法を開発したものである。すなわち、例えば10〜40℃/secの高い冷却速度が要求される鋼板の場合は、冷却開始から形成される蒸気膜を早期に除去する必要がある。そのためには粗面化された被研削圧延ロールを用いて鋼板を圧延し、鋼板の表面粗度を大きくすることが必要である。鋼板の表面粗度を大きくすると表面凸部が蒸気膜を突き破り、蒸気膜が除去され冷却水と鋼板表面が直接接触し、さらに、粗面化により表面積も増大しているため、高い冷却速度を享受することができる。
【0022】表面粗度を大きくするには、砥石が圧延ロールを研削する際に、砥石の一つ一つの砥粒が被研削圧延ロールの表面を深く、かつ疎く切削することでロール表面の凹凸を大きくすることができる。したがって、回転砥石の周速を低下するほど切削面積は大きくなり、被研削圧延ロール表面を粗面化できる。同様に被研削圧延ロール周速を大きくすることによって粗面化できるが、圧延ロールの周速の調整幅は圧延機自体の条件により制約されるため、表面粗度の制御手段としては用いることは好ましくない。
【0023】本発明においては、回転砥石の周速を予め設定した圧延ロールの表面粗度に応じ、すなわち、該圧延ロールで圧延される鋼板の表面に形成される予め設定された目標粗度に応じて決定するものである。オンラインでのロール表面を研削するに当たっての作業は、でき得る限り素早く処理することが求められる。これは鋼板の圧延継続中にもロール表面を研削しなければならないので、圧延鋼板が当該ロール通過後、次に当該ロールが鋼板をに噛込むまでの間に研削処理を終わらせる必要があるからである。
【0024】ここで、前述した圧延ロールの表面研削に当たっての本発明方法の実施態様の1例について記す。例えば、鋼板A,B,C,Dの順番で圧延することを想定した場合、圧延鋼板Aの後端が当該ロールを通過した時点から、次の鋼板Bの先端が当該ロールに噛込むまでの間のアイドル時間(Ta)で、圧延ロール表面の研削(表面平滑化)を行い、次いで鋼板Bの後端が当該ロールを通過した時点から、次の鋼板Cの先端が当該ロールに噛込むまでの間のアイドル時間(Tb)はロール研削を休止し、さらに、圧延鋼板Cの後端が当該ロールを通過した時点から、次の鋼板Dの先端が当該ロールに噛込むまでの間のアイドル時間(Tc)で、圧延ロール表面の研削を行ってもよく、また、全部の各アイドル時間Ta,Tb,Tcで行ってもよい。
【0025】なお、このアイドル時間は30sec程度が一般的である。さらに、鋼板A(またはB,C,D)を圧延する際、鋼板の幅出し圧延から長さ出し圧延に移行する際に、ターンをするが、このターンをしている時間(20sec)を利用してロール研削することも可能である。このように、圧延ロールのオンライン研削においては、上記したように鋼板圧延が行われていない間の適宜間隔(上記例、鋼板圧延1本置き)を置いて研削を行うか、または、圧延ロールによる鋼板圧延が行われていない間の全ての期間において研削を行うかは、圧延ロールの摩耗状況および要求される圧延ロールの表面粗度に応じ、適宜選択実施することで対処することができる。
【0026】以上説明したように、本発明におけるオンラインロール研削装置の運転方案として、熱間圧延後の冷却プロセスで高い冷却能力を必要とする鋼板を圧延する場合は、回転砥石を低速回転させることで鋼板の表面粗度を大きくする研削を実施することで対応することが可能となり、圧延ロールの研削において、最適な方策を提供できるようになった。
【0027】
【実施例】本発明によるオンラインロール研削を行った実施例について以下に説明する。表2にロール研削での条件と実施結果を示した。
【0028】
【表2】

【0029】実施例1は、圧延ロールの予定表面粗度が10μm,先行鋼板の後端が抜け、後行鋼板の先端を噛み込むまでのアイドル時間(研削予定時間)が30秒でロールの研削を行った場合の例であり、回転砥石の周速を200mpmに調整した結果、アイドル時間内でほぼ目標とした表面粗度のロールを得ることができた。
【0030】また、実施例2は、圧延ロールの予定表面粗度が14μm,鋼板の幅出し圧延から長さ出し圧延に移る際におけるターンしている間のアイドル時間(研削予定時間)が20秒でロールの研削を行った場合の例であり、回転砥石の周速を100mpmに調整した結果、ターンの予定時間内でほぼ目標とした表面粗度のロールを得ることができた。これに対して比較例では回転砥石の周速を適正に調整しなかったので、目標の表面粗度から大幅に外れる結果となった。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、オンラインでの圧延ロールの研削に当たって十分な研削性能を維持しつつ、熱間圧延後の鋼板の冷却条件に適応するよう被研削圧延ロールの表面粗度をコントロールし、冷却能力を増大させることができ、その結果、圧延ロール組替時間の短縮が図られ、効率的な作業を行うことができる等、大きな効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目6番3号
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
【出願日】 平成13年9月10日(2001.9.10)
【代理人】 【識別番号】100094972
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康弘
【公開番号】 特開2003−80304(P2003−80304A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−272999(P2001−272999)