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【発明の名称】 板材の幅減少方法
【発明者】 【氏名】水田 篤男

【氏名】山本 幹朗

【氏名】梶原 哲雄

【要約】 【課題】薄い板材の板幅を圧延により効果的に減少する方法を提供する。

【解決手段】初期板幅Wiの板材10を幅方向に波形に曲げ加工して板幅Wmとしたのち、必要に応じサイドガイド13によって入側の両側で拘束して水平圧延用のロール11で水平圧延し板幅Woの板材とし、ΔWの幅減少を行なう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】板材の板幅を圧延段階で減少させる方法であって、前記板材の水平圧延の前工程で、前記板材を幅方向に波形に曲げ加工し、そのあと水平圧延することを特徴とする板材の幅減少方法。
【請求項2】請求項1に記載の方法であって、前記水平圧延の入り側で前記板材をサイドガイドによって板幅を拘束して水平圧延することを特徴とする板材の幅減少方法。
【請求項3】請求項1又は2において、水平圧延時の出側板厚を入側板厚以下とすることを特徴とする板材の幅減少方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板材の熱間圧延ラインなどで水平圧延される薄板材の幅減少方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄鋼板の熱間圧延の素材として、連続鋳造設備で製造された板厚200〜250mmの板スラブが用いられている。薄板の熱間圧延で製造される板材の板幅は、それぞれの製品により決められているので、板スラブの幅はその製品幅より、少し大きいものが使用される。
【0003】連続鋳造設備における板材の引き抜き速度は、その冷却速度が板厚により決まり板厚が薄いほど大きくできるので、板スラブの板幅を大きくして薄くするほど生産量は大きくなる。連続鋳造設備の生産量は熱間圧延ラインの生産量より低いために、生産のバランスをとるのに、連続鋳造設備での板スラブ幅を大きくして生産量を増やす方向にある。しかし薄板の熱間圧延で製造される板材の板幅は、製品毎に決められているので、連続鋳造設備で板幅を大きくして製造した板スラブは、圧延ラインで板幅を大きく減じる必要がある。
【0004】圧延ラインで板スラブの幅を大きく減じる方法として、近年プレスで板スラブの幅を圧下する方法、あるいは非常に大きなロール径を有した縦型圧延機を用いる方法などが採用されている。しかしながら、いずれの方法も板スラブの板厚が200〜250mmと厚い段階で強幅圧下(圧下量=300〜500mm)が行われるために圧延及びプレス荷重も非常に大きなものとなる。それに伴って設備も大きくなり、設備費も膨大なものになる。また、板幅を減少させても、次の水平圧延で幅戻りが起こるために実質の幅減少量は縦型圧延機での幅圧下量の5〜6割の150〜300mm程度となる。
【0005】圧延荷重及びプレス荷重は板スラブの板厚に比例するため、荷重を下げるためには板厚を薄くする必要がある。一般に板スラブの板厚の薄い段階で幅を強圧下すると、図7(a)のように上に凸の座屈変形をし、強幅圧下ができなくなる。また縦型圧延機で圧延する際、板厚が薄くなるにつれて、変形が板幅端に集中する。その板スラブを次の水平圧延機で板厚を減ずる時に図7(b)に示すようにドッグボーン部分が板幅方向に流れやすくなるために、大きな幅戻りが生じ、さらに効率が悪くなる。そのため、板厚の薄い段階での大きな幅減少は困難であるといわれてきた。
【0006】また、近年薄スラブ連続鋳造と圧延設備を直結したコンパクトな圧延ラインが稼動し始めた。これは連続鋳造設備で板厚50〜90mmの板スラブを製造して、直接圧延ラインに送り、粗圧延機で若干板厚を減じたあとに仕上げ圧延に送る工程を有している。この圧延ラインにおける板幅変更は、圧延工程での薄いスラブ幅圧下が困難なために、鋳造工程で行われているため、鋳造設備の生産量の低下をもたらしている。この圧延ラインでも鋳造工程で板幅の大きな板スラブを生産して、鋳造工程での生産量を上げ、圧延ラインとのバランスをとる必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の板幅減少技術が前記した問題点を有しているのに鑑み、板厚が薄い板材の板幅を効果的に減少できるようにした板材の幅減少方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するため、板材を水平圧延する前工程で、前記板材を幅方向に波形に曲げ加工し、そのあと水平圧延するようにした板材の幅減少方法を提供する。
【0009】本発明の板材の幅減少方法によれば、板幅を減少させる板材を単に幅方向に波形に曲げ加工してから水平圧延を行なうことによって板幅が減少された板材を容易に得ることができる。この場合の波形のピッチを変えることによって幅減少量を調整することができる。
【0010】本発明の板材の幅減少方法においては、前記水平圧延の入り側で前記板材をサイドガイドによって板幅を拘束して圧延するのが好ましい。このように水平圧延の入り側で前記板材をサイドガイドによって板幅を拘束して圧延すると、水平圧延の入側近傍で圧下の影響により板材に形成した波形が平坦になろうとするのを、そのサイドガイドによって抑制し、板材の先端から後端までに亘って幅減少率を大きくすることができる。
【0011】また、本発明による前記した板材の幅減少方法において、水平圧延時の出側板厚を入側板厚以下になるようにすると、板材と水平圧延用のロールとの間の摩擦が十分に働いて材料の幅方向への移動が抑制され幅減少の割合を大きくすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いて具体的に説明する。図1に示すように、本発明では、図1の(a)に示すような平板の板材10の水平圧延に際し、水平圧延の前工程で図1の(b)に示すように板材10を幅方向に波形に曲げ加工し、その上で、水平圧延を行い、図1の(c)に示すように板幅が減少された板材を得る。図1において、10は板材、Wiは板材10の初期板幅、Wmは波形曲げ加工後の板幅、Woは水平圧延後の板幅である。板材10の波形曲げ加工は、板材10を波形のロールに通す方法、あるいは波形プレスを繰り返す方法などで行うことができる。
【0013】図2において、11は水平圧延用のロールである。図2では、波形曲げ加工した板材10を、そのまま水平圧延用のロール11に通して水平圧延を行う。12は波形曲げ加工した板材10をロール11で圧延する際の板材10の変形領域である。
【0014】図3では、水平圧延用のロール11の入側に、波形曲げ加工された後の板幅Wm間隔でサイドガイド13を設置し、入側で板幅を拘束しながら水平圧延を行う。12′はこの場合の板材10の変形領域である。
【0015】以下では、鋼の熱間加工時の変形と良く似た性質のプラスティシンを材料とし、実際の圧延寸法の約1/10のモデルを製作し、水平圧延機の作業ロール径100mm、初期板幅Wi=200mmで、板厚を10mm、7mm及び5.5mmとして、図2及び図3の装置を用い図1で示したように板材に幅方向の波形の曲げ加工を行なったあと水平圧延することによる幅減少方法に関する実験を行った例について説明する。板の曲げ加工後の波形の様子を図4及び図5にそれぞれ示してある。波形曲げ加工された図4対応の板モデルによる圧延実験の結果を図6の表に示してある。
【0016】実験番号1〜3はサイドガイド無し圧延(図2)の結果で、実験番号4はサイドガイド有り圧延(図3)の結果である。圧延長手方向で見ると、長手方向中央部では最も幅が小さく、次に先端部が小さく、後端部の幅が一番大きい結果となっている。これは先端部と後端部の片方には材料がないために拘束が少なく、波形から平坦になり易いためと推定される。
【0017】実験によって幅減少量が異なっているのは図4に示すごとく、形成した波形の山の数すなわちピッチの差によるものと思われる。ピッチを小さくして山の数を多くすれば更に幅減少量が増加するものと推定できる。
【0018】板材を幅方向に波形に曲げ加工したあと水平圧延を行うと、初期板幅Wiよりも水平圧延後の幅Woが小さくなる。これは、幅方向に波形に曲げ加工された板材が水平圧延されると波形が平らになろうとするが、板材10とロール11間の摩擦があるために材料の幅方向への移動が抑制されるためである。従って、この板材10とロール11間の摩擦作用を生かすために、水平圧延時の出側板厚は入側板厚以下にする必要がある。出側板厚を入側板厚より大きくすると、摩擦作用が十分働かず幅減少の割合が少なくなる。
【0019】図2に示すように水平圧延の入側近傍で圧下の影響で波形が平坦になろうとする傾向があるが、入側近傍で板が平坦になるのを抑制するために図3のようにサイドガイドで板の平坦化を防ぐと幅減少率が大きくなる。
【0020】実験番号4は、実験番号3に圧延入側の板材10の平坦化を抑制するためにサイドガイド13をつけた結果である。サイドガイドで板材10を拘束すると、先端から後端まで幅が一層小さくなる。
【0021】また、図5は山の数を少なくし、図3のサイドガイド付の圧延を行った結果である。板厚7mm、初期板幅Wi=200mm、波形に曲げ加工後の板幅Wm=160mm、水平圧延後の板幅Wo=170mmとなり、幅減少量ΔW=30mmの幅減少が得られる。板厚が等しい実験番号2の結果と比較すると、幅減少量ΔWが増加しているのが判る。
【0022】従来、縦型圧延機で幅圧下を行った時の、実際のデータや経験から、板厚が100mm以下では座屈する限界の幅圧下量は板厚の1/2以下であり、またその後の水平圧延で幅戻りがあるために実際の幅減少量はさらに小さくなる。それらを考慮すると実際の幅減少量は板厚の約1/4以下と思われる。
【0023】これに対し、前述したように、幅方向に波形に曲げ加工したあと水平圧延を行う本発明の方法によれば、圧延工程での薄い板スラブに座屈を生じさせること無しに、幅減少量の大きい圧延方法を提供することが可能になる。
【0024】すなわち、前記した実験例は寸法的に1/10モデルなので、図6の表の実験番号4で示されるように、実際では板厚55mmで、幅減少量ΔW=350mm(初期板幅Wi=2000mm)が得られ、薄スラブ下で板厚に左右されずに大幅な幅減少圧延を行うことが可能になる。
【0025】また、板材10の波形曲げ加工は、従来の縦型圧延機や他の圧縮加工よりも曲げに要する荷重が非常に小さくて済むから、設備費も少なくなる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、板材を水平圧延する前工程で、その板材を幅方向に波形に曲げ加工し、そのあと水平圧延するようにした板材の幅減少方法を提供する。
【0027】本発明の板材の幅減少方法によれば、板幅を減少させる板材を幅方向に波形に曲げ加工してから水平圧延を行なうことによって板幅が減少された板材を容易に得ることができる。
【0028】本発明の板材の幅減少方法において、前記水平圧延の入り側で前記板材をサイドガイドによって板幅を拘束して圧延するようにしたものでは、水平圧延の入側近傍で圧下の影響で板材に形成した波形が平坦になろうとするのを、そのサイドガイドによって抑制して板材の先端から後端までに亘って幅減少率を大きくすることができる。
【0029】また、本発明の板材の幅減少方法において、水平圧延時の出側板厚を入側板厚以下になるようにしたものでは、板材と水平圧延用のロールとの間に摩擦が十分に働いて材料の幅方向への移動が抑制され板幅減少の割合を大きくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【識別番号】501357832
【氏名又は名称】水田 篤男
【出願日】 平成13年9月11日(2001.9.11)
【代理人】 【識別番号】100069246
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 新 (外1名)
【公開番号】 特開2003−80303(P2003−80303A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−274493(P2001−274493)