| 【発明の名称】 |
亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】木村 幸雄 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内
【氏名】植野 雅康 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内
【氏名】曽谷 保博 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内
【氏名】冨田 省吾 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】高価な設備を必要とすることなく、調質圧延ロールの加工条件及びそれを用いた調質圧延条件を与えることで、多くの試行錯誤を要することなく、プレス成形性と塗装後の鮮映性を満足することを課題とする。
【解決手段】亜鉛めっき鋼板を調質圧延する方法において、ロール表面の中心線平均粗さRa(r)が2.0〜4.0μm、かつピークカウントPPI(r)(カットオフ0.635μm)が、下記式PPI(r)≧(30×Ra(r)+130) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 亜鉛めっき鋼板を調質圧延する方法において、ロール表面の中心線平均粗さRa(r)が2.0〜4.0μm、かつピークカウントPPI(r)(カットオフ0.635μm)が、下記式PPI(r)≧(30×Ra(r)+130) を満たす調質圧延ロールを用いて調質圧延を行うことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法。 【請求項2】 調質圧延後における亜鉛めっき鋼板の目標とする中心線平均粗さRa(s)(μm)、調質圧延における目標伸長率δ(%)に対して、ロール表面の中心線平均粗さRa(r)(μm)を、下記式Ra(r):Ra(s)/(a×δ+b) 但し、a、bはワークロール径に依存する定数に基づいて決定することを特徴とする請求項1記載の亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法。 【請求項3】 前記調質圧延ロールの表面の凹凸を放電加工によって形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法。 【請求項4】 前記調質圧延ロールの表面の凹凸を電子ビーム加工によって形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛メッキ鋼板の調質圧延方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】周知の如く、自動車部品や建築材料の分野では、亜鉛めっき鋼板に対する需要が増加している。ところで、プレス加工に使用される亜鉛めっき鋼板については、プレス金型と鋼板の界面における保油性を確保し、型かじりを防止することを目的として、表面粗さを大きくすることが有効とされている。一方、自動車等の用途で塗装後の鮮映性が要求される製品については、塗装前の鋼板表面における長い周期の起伏を小さくすることが必要であるとされている。 【0003】プレス加工における型かじりは、摺動によって生じる鋼板表面の新生面が、金型と局所的に凝集することが起点となって発生する。特に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板等の皮膜に比べて、亜鉛めっき鋼板の皮膜を軟らかくかつ融点が低いことから、より凝着が発生しやすい特性を有している。この型かじりを防止する対策としては、プレス加工時の鋼板と金型間の保油性を向上させることが有効である。 【0004】具体的には、中心線平均粗さRaを大きくし、ピークカウントPPIを大きくすることが効果的な対策として知られている。ここで、「中心線平均粗さRa」とはJISB0610に規定されるものであり、「ピークカウントPPI」とはSAE911規格で規定されるように1インチあたりの凹凸のピーク数である。即ち、鋼板表面に短いピッチで大きな凹凸を多数付与するのがプレス成形性を良好にするための必要条件である。 【0005】また、塗装後の鮮映性については、塗装の下塗り工程等において短周期の凹凸が埋められることで、塗装後の鮮映性に影響を与えないものの、長周期の凹凸は塗装後にも残留して鮮映性を支配する。この場合、中心線うねりWcaと塗装後の鮮映性には密接な関係があることが知られており、中心線うねりWcaが小さいほど、塗装後の鮮映性に優れる。ここで、「中心線うねりWca」とは、JISB0610に規定されるものであり、高域カットオフを施した凹凸の平均高さである。即ち、表面の周期の長い凹凸成分を小さくすることが、塗装後の鮮映性を良好にするための条件である。 【0006】以上のように、亜鉛めっき鋼板のプレス成形性と塗装後の鮮映性は、表面のテクスチャーを適切に制御することによって発揮させることができる。このような表面のテクスチャーは、通常、亜鉛めっき後に行われる調質圧延によって付与される。ところが、調質圧延ロールの加工方法として通常用いられるショットブラストを施した圧延ロールでは、ランダムな分布を有する凹凸のピッチを制御することが容易ではなく、プレス成形性の確保を目的として短周期の凹凸を大きくした場合には、長周期の凹凸成分も大きくなってしまい、塗装後の鮮映性との両立が難しいことが知られている。 【0007】これに対し、特開平7−136701に開示されているように、ロール表面にレーザーダル加工を施すことで、亜鉛めっき鋼板のプレス成形性と塗装後の鮮映性の両者を良好にするために用いられる調質圧延ロールが知られている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平7−136701による方法の場合、ロールの加工設備が高価であるとともに、加工能率が低いという問題があった。つまり、レーザーダル加工は、規則的なピッチの凹凸を調質圧延ロールの表面に付与するものであるが、1本のロールを加工するために長時間を要し、さらにレーザーにより溶融した部分の酸化に金して表面の突起部が摩耗しやすいため、長時間使用することが困難である。また、粗度が大きくなるように加工を行うためには、より大きなエネルギーを必要として、加工コストの上昇を招くことになる。 【0009】また、プレス成形性と塗装後の鮮映性の両者が良好な亜鉛めっき鋼板を、調質圧延によって製造する段階では、調質圧延ロールの加工条件や加工方法を種々変更して加工を行い、実際の調質圧延機に組み込んで評価を行う必要がある。即ち、ある条件で加工を行ったら調質圧延ロールを圧延機に組み込んで実際に圧延条件を変更しながら、鋼板表面のテクスチャーを検査する必要がある。また、鋼板表面の中心線平均粗さRa、ピークカウントPPI、中心線うねりWcaといったパラメータを評価する場合にも、鋼帯から切り出したサンプルを用いて粗さ計による測定を実施する必要がある。 【0010】このとき、目標とする鋼板表面のテクスチャーが得られない場合には、再度調質圧延ロールの加工条件を変更して、同様の実験を繰り返す必要が生じる。即ち、このような試行錯誤的な方法では、調質圧延ロールの加工条件を決定するまでに長時間を要するという問題がある。更に、亜鉛めっき鋼板の表面のテクスチャーに対するニーズは、ユーザーによっても異なり、その要求に応じた調質圧延ロールの加工条件を決定するのは多大な労力と時間を必要とする。 【0011】本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、高価な設備を必要とすることなく、調質圧延ロールの加工条件及びそれを用いた調質圧延条件を与えることで、多くの試行錯誤を要することなく、プレス成形性と塗装後の鮮映性を満足する亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は、亜鉛めっき鋼板を調質圧延する方法において、ロール表面の中心線平均粗さRa(r)が2.0〜4.0μm、かつピークカウントPPI(r)(カットオフ0.635μm)が、下記式(1) PPI(r)≧(30×Ra(r)+130) …(1) を満たす調質圧延ロールを用いて調質圧延を行うことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法である。 【0013】本発明において、調質圧延後における亜鉛めっき鋼板の目標とする中心線平均粗さRa(s)(μm)、調質圧延における目標伸長率δ(%)に対して、ロール表面の中心線平均粗さRa(r)(μm)を、下記式(2) Ra(r):Ra(s)/(a×δ+b) …(2) 但し、a、bはワークロール径に依存する定数に基づいて決定することが好ましい。 【0014】本発明において、前記調質圧延ロールの表面の凹凸を放電加工又は電子ビーム加工によって形成することが好ましい。 【0015】本発明者らは、亜鉛めっき鋼板の調質圧延において、調質圧延ロール表面のテクスチャーが、鋼板に対して転写される挙動について詳細な調査を行い、調質圧延条件と転写特性との関係を明らかにした。本発明者らは、その結果に基づいて、プレス成形性と塗装後の鮮映性を両立させた亜鉛めっき鋼板を製造する方法を見出した。 【0016】ところで、亜鉛めっき鋼板のプレス成形性を良好にするための表面のテクスチャーとしては、中心線平均粗さRaは、カットオフ0.8mmに対して1.0μm以上が必要とされる。また、ピークカウントPPIについては、より高いものが望まれるが、実用的にはカウントレベル0.635μmに対して120以上が必要とされる。 【0017】一方、塗装後の鮮映性については、中心線うねりWcaとして、高域カットオフ0.8mm、低域カットオフ8mmに対して、0.8μm以下とする必要がある。ところが、中心線平均粗さRaが2.0μm以上となる場合には、中心うねりWcaを0.8μm以下とすることは、実際上困難であるため、中心線平均粗さRaの上限としては2.0μm程度であると考えてよい。 【0018】以上のような表面のテクスチャーを備える亜鉛めっき鋼板を得るための調質圧延ロールの条件及び調質圧延条件を明らかにするために、本発明者等が実施した実験結果を図2に示す。これは、溶融亜鉛めっき鋼板に対する調質圧延ロールの転写特性として、中心線平均粗さRaとピークカウントPPIの転写挙動を示したものである。横軸は、ロール表面の中心線平均粗さRa(r)に対する溶融亜鉛めっき鋼板の中心線平均粗さRa(s)の比であり、平均粗さの転写率と呼ぶ。一方、縦軸は、ロール表面のピークカウントPPI(r)に対する溶融亜鉛めっき鋼板のピークカウントPPI(s)の比であり、ピークカウント転写率と呼ぶ。 【0019】実験条件としては、下記表1に示すように調質圧延ロールの中心線平均粗さRa(r)、ピークカウントPPI(r)、ワークロール径の異なるもの準備し、張力、伸長率を変更して調質圧延実験を行った。図2の結果は、これらの条件に関わらず、平均粗さの転写率とピークカウントの転写率とは一定の関係を有することを示している。 【0020】 【表1】
【0021】更に、鋼板の中心線平均粗さRa(s)が1.0〜2.0μmとなる範囲において、鋼板のピークカウントPPI(s)と鋼板の中心線うねりWca(s)との関係を示したものが図3である。図3から分かるように、目標とする鋼板のピークカウントPPI(s)が高いほど、鋼板の中心線うねりWca(s)が低下する傾向がみられる。特に、塗装後の鮮映性を良好にするための目標として、Wca(s)を安定的に0.8μm以下とするためには、鋼板のピークカウントPPI(s)を150以上とすればよいことになる。なお、この値は、前記したプレス成形性を満足するための値120を超えており、結局のところ鋼板の中心線平均粗さRa(s)を1.0〜2.0μm、ピークカウントPPI(s)を150以上とすることで、中心線うねりWca(s)を0.8μm以下に低減できることが明らかとなった。 【0022】このような新たな知見に基づいて、プレス成形性と塗装後の鮮映性を両立する亜鉛めっき鋼板を得るために、調質圧延ロールが備えるべき表面のテクスチャーを規定することができる。例えば、亜鉛めっき鋼板の中心線平均粗さRa(s)が1.2μmで、ピークカウントPPI(s)が180の鋼板を得ようとする場合を想定する。このとき、調質圧延ロールとして中心線平均粗さRa(r)が2.6μmのものを使用する場合には、平均粗さの転写率は0.46であり、図2からはこれに対応するピークカウント転写率は0.69であることが分かる。従って、鋼板のピークカウントPPI(s)として180を得るためには、調質圧延ロールのピークカウントPPI(r)を261にする必要がある。 【0023】同様に、調質圧延ロールの中心線平均粗さRa(r)が3.4μmの場合には、平均粗さの転写率が0.35となり、対応するピークカウント転写率は0.59である。従って、鋼板のピークカウントPPI(s)を180にするためには、調質圧延ロールのピークカウントPPI(r)を305にする必要がある。即ち、ある一定の鋼板の平均粗さRa(s)とピークカウントPPI(s)を得ようとする場合に、調質圧延ロールの平均粗さRa(r)が大きいほど、高いピークカウントPPI(r)の調質圧延ロールを用いなければならないことを示している。 【0024】本発明の請求項1に係わる手段は、このような考え方に基づくものであり、亜鉛めっき鋼板のプレス成形性と塗装後の鮮映性を両立するための、調質圧延ロールとして備えるべき表面のテクスチャーを規定している。ここで、調質圧延ロールのピークカウントPPI(r)を(30×Ra(r)+130)以上と規定する根拠は、鋼板のピークカウントPPI(s)を150以上とするために必要な条件として、図2の結果を用いることによって導くことができる。図2は、調質圧延ロールの平均粗さRa(r)、ピークカウントPPI(r)及び調質圧延後の鋼板側の平均粗さRa(s)、ピークカウントPPI(s)との関係が、下記式(3)によって表されることを示している。 【0025】 PPI(s)/PPI(r)=0.432×ln{Ra(s)/Ra(r)} +1.030 …(3) 従って、鋼板のピークカウントPPI(s)を150以上とするためには、調質圧延ロールのピークカウントPPI(r)が下記式(4)を満たす必要がある。 【0026】 PPI(r)≧150/[0.432×ln{Ra(s)/Ra(r)}+1.030] …(4) 一方、平均粗さの転写率Ra(s)/Ra(r)については、伸長率0.6から1.5%の範囲において、図6に示すような関係がある。図6は、調質圧延ロールの平均粗さRa(r)が増加すると、その転写率が低下する傾向にあることを示している。 【0027】このとき、図6に示すRa(r)とその転写率Ra(s)/Ra(r)の関係を用いて、上記式(4)の右辺の値を計算して結果が図7である。図7は、鋼板のピークカウントPPI(s)を150以上とするためには、調質圧延ロールのピークカウントPPI(r)を図中の各点よりも大きくしなければならないことを示しており、その近似直線がPPI(r)=30×Ra(r)+130である。 【0028】ところで、調質圧延ロールのピークカウントPPI(r)は、上記式(1)を満たす範囲でできる限り大きくするのが望ましいが、調質圧延ロールのピークカウントPPI(r)を経済的に上昇させる方法が少ないこと、及びピークカウントPPI(r)を大きくして、転写される鋼板のピークカウントPPI(s)を一定値以上に増加させても、中心線うねりWca(s)はそれほど小さくならないことから、PPI(r)の上限としては400程度となる。 【0029】次に、請求項1において、調質圧延ロールの中心線平均粗さRa(r)を2.0〜4.0μmに限定した理由を述べる。調質圧延では、以上のような適切な表面を付与するという機能の他に、材質を調整するという機能が求められる。これは、鋼板に一定の伸長率を与えることで、降伏点伸びを解消することを目的とする。このとき鋼板に付与する伸長率が小さすぎると降伏点伸びを解消することができず、伸長率が大きすぎると製品としての降伏応力の増加、伸びの低下を招くことになる。したがって、鋼種に応じて適切な伸長率の範囲が存在し、一般的には0.6%から1.5%程度の伸長率が付与される。 【0030】このとき、伸長率と平均粗さRaの転写率との関係を示した図4からは、平均粗さの転写率は0.25から0.5程度であることが分かる。即ち、鋼板の中心線平均粗さRa(s)として、1.0μmを得ようとする場合に、調質圧延ロールの中心線平均粗さRa(r)が.2.0μm以下では十分な転写をさせることができず、4.0μm以上では必要な伸長率を確保することができないことになる。以上のような考え方にしたがって、調質圧延ロールの中心線平均粗さRa(r)を2.0〜4.0μmに限定した。 【0031】本発明の請求項2の手段は、調質圧延において目標とする鋼板の中心線平均粗さRa(s)を、材質上規定される伸長率の制約を満足しながら達成するための調質圧延ロールとしての中心線平均粗さRa(r)を規定するものである。図4からは、伸長率が0.6〜1.5%程度の範囲であれば、平均粗さの転写率は伸長率とほぼ線形の関係があり、伸長率が大きいほど平均粗さの転写率も大きくなる。言い換えると、材質上必要な伸長率の目標値に応じて、平均粗さの転写率が決定されることで、目標とする鋼板の中心線平均粗さRa(s)を得るための調質圧延ロールが備えるべき中心線平均粗さRa(r)を決定できることになる。なお、平均粗さの転写率は、調質圧延ロールのロール径の影響を受け、ロール径が大きいほど転写率は高くなる。従って、ロール径に応じて前記式(2)の係数a、bを決定する必要がある。 【0032】本発明の請求項3による手段では、調質圧延ロールの表面を放電ダル加工によって形成する。放電ダル加工は、ロール表面と電極の間でスパークを発生させることで、ロールの表面を溶融させ、同時に発生するガスの圧力によって溶融部を吹き飛ばす加工方法であり、使用する電極の形状や材質、放電時の電圧、電流及び放電時間を制御することによって、凹凸の大きさやピッチを変更することが可能である。 【0033】本発明の請求項4による手段では、調質圧延ロールの表面を電子ビーム加工によって形成する。電子ビーム加工は、エネルギー密度の高い電子ビームでロール周面を照射して表面加工する方法であり、電子ビームが照射された部分には、材料がえぐられたクレータが生じる。このとき、電子ビームのスポットを移動させる距離を調整することによって、前記クレータの間隔を制御することができる。また、照射時間を調整することによって、クレータの深さを調整することができる。従って、中心線平均粗さ及びピークカウントを本発明の請求項1又は請求項2に規定することにより所望の凹凸を形成することができる。 【0034】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る溶融亜鉛めっきラインの概略図を示す。冷間圧延を経て製造された鋼帯(鋼板)10はペイオフリール11から巻き戻され、焼鈍設備12を経た後に、溶融亜鉛めっき浴13に浸漬してめっきされる。めっき浴13から出た鋼帯10に対しては、ガス・ワイピングノズル14でめっき量が調整される。更に、通常の溶融亜鉛めっきラインでは、めっき設備の下流側に調質圧延機15が配置されている。ここで、調質圧延機15としては、1スタンドの4段式圧延機が用いられるのが通常であり、一定の伸長率が付与され材質調整が行なわれるとともに、必要な表面の調整が行われる。 【0035】前記調質圧延機15において、鋼帯表面への転写を行う調質圧延ロール16が用いられる。このロール16の直径は、350mm〜700mm程度である。この調質圧延ロール16は、ロールショップにおいて研磨された後、ショットブラスト加工や放電加工によって、表面のテクスチャーが調整される。加工後の調質圧延ロール16は、使用されるべき調質圧延機の機側に運搬され、溶融亜鉛めっきの製造サイクルあるいは摩耗等によるロール表面状態の劣化に応じて、組替えが行われる。 【0036】調質圧延では、調質圧延機15の入側及び出側で張力を付与しながら、一定の伸長率となるように圧下が加えられる。伸長率の制御方法としては、張力を調整する方法又は圧下力を操作する方法が用いられ、一定範囲に伸長率が制御される。なお、一般的には伸長率としては、0.5から1.5%程度の範囲において、鋼種に応じた目標値が設定される。調質圧延を経た亜鉛めっき鋼帯は、テンションリール17によって巻き取られて、製品となる。 【0037】請求項1に記載した方法を実施する場合には、ショットブラスト加工あるいは放電加工等によって、一定の加工条件の元でロール表面の加工を行う。このとき、請求項1で規定した調質圧延ロールの中心線平均粗さRa(r)とピークカウントPPI(r)について、表面粗さ計を用いて測定を実施する。表面粗さ計としてはハンディタイプの粗さ計が市販されており、加工直後に請求項1において規定する中心線平均粗さRa(r)とピークカウントPPI(r)を満足するかどうかを判定する。本条件を満たさない場合にはロールの加工条件を変更して再度加工を実施する。 【0038】以上のように、本発明の請求項1による調質圧延ロールを用いることによって適切な表面を有する亜鉛めっき鋼板を製造することが可能となる。特に、従来はユーザーの要求に応じて、目標とする鋼板表面を得るための調質圧延ロールの加工条件を試行錯誤に基づいて決定していたのに対して、本発明による方法を用いることで、特別の経験を要することなく、調質圧延ロールの加工条件を決定することが可能となる。 【0039】次に、調質圧延ロールの中心線平均粗さRa(r)を、請求項2に係わる前記式(2)に従って決定することによって、次のような効果を得ることができる。従来は、調質圧延ロールの加工条件並びに伸長率等の操業条件と、その結果得られる鋼板表面との関係は、種々の調質圧延ロールを加工して、実際の製造設備に組み込んだ後、調質圧延条件を変更した試験を繰り返すことで経験的に決定していた。このような方法は、多大な時間と労力を必要とし、ユーザーの要求が変化した場合に、対応しきれない状況が生じる。また、実際に調質圧延機に組み込んだものの、目標とする鋼板表面を得ることができないために、材質を犠牲にしながら、伸長率を目標値から修正して操業せざるを得ない場合があった。 【0040】これに対し、本発明を用いることによって、予め鋼板表面の目標値と、伸長率やロール径等の操業条件が与えられた場合に、目標とするべき調質圧延ロールの表面のテクスチャーが規定される。従って、調質圧延ロールを加工する段階で、その結果を評価することが可能であり、目標とするロール表面のテクスチャーと異なっていれば、その場で加工条件を変更すればよいことになる。 【0041】なお、本発明の実施の形態としては、溶融亜鉛めっきラインの配置された調質圧延機のロールのみを対象とするものではなく、亜鉛めっきが施された鋼板の調質圧延を行う設備であれば、どのような形態であっても構わない。 【0042】また、本発明の請求項3に係わる調質圧延ロールの加工は放電加工による。このとき、使用する電極の形状や材質、放電時の電圧、電流及び放電時間を制御することによって、凹凸の大きさやピッチを変更することが可能である。例えば、放電時の電流値を大きくすることで、中心線平均粗さを大きくすることができ、1パルス当りの放電時間を短くすることでピークカウントを大きくすることができる。このような放電ダル加工は、ショットダル加工に比べて、中心線平均粗さRa(r)とピークカウントPPI(r)の制御が容易である。また、レーザーダル加工や電子ビーム加工に比べて、加工時間が短いこと、加工条件の設定に多くの経験を必要としないこと、比較的設備が安価である点で有利である。 【0043】更に、本発明の請求項4に係わる調質圧延ロールの加工は電子ビーム加工による。このとき、電子ビームの移動距離、照射時間を制御することによって、凹凸の大きさやピッチを変更することが可能である。電子ビーム加工設備には、真空チャンバーを使用するため、加工設備としては前記放電ダル加工機に比べて高価になる。しかし、ロール表面に規則的な凹凸を形成することができるため、本発明の請求項1又は2に規定する中心線平均粗さRa(r)及びピークカウントPPI(r)を容易に形成することができる。 【0044】 【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)本発明の実施例1として、板厚0.8mmの冷延鋼板を下地として、溶融亜鉛めっき鋼板の調質圧延を行った結果について説明する。本実施例1では、直径600mm、胴長2000mmの調質圧延ロールを放電ダル加工またはショットダル加工によって種々の表面形態を付与し、溶融亜鉛めっきラインの調質圧延機に組込んで、亜鉛めっき鋼板の調質圧延を実施した。調質圧延条件としては、伸長率を変更し、加工後の鋼板の表面性状を、粗さ計を用いて評価した。 【0045】下記表2に調質圧延ロールの条件、調質圧延後の亜鉛めっき鋼根の表面性状を示す。 【0046】 【表2】
【0047】なお、プレス成形性と塗装後の鮮映性を表す基準としては、鋼板の中心線平均粗さRa(s)が1.0μm以上でピークカウントPPI(s)が150以上、かつ中心線うねりWca(s)が0.8μm以下の条件を満たす場合であって、材質上の制約から伸長率範囲が0.8以上、1.5%以下の範囲にあるものを合格として、図1に示している。本結果から分かるように、本発明の請求項1で規定する調質圧延ロールを用いて亜鉛めっき鋼板を製造することによって、以上の要求を満足する鋼板を製造することができる。 【0048】(実施例2)本実施例2では、直径600mm及び直径450mmの調質圧延ロールを放電ダル加工によって種々の表面形態を付与し、溶融亜鉛めっきラインの調質圧延機に組込んで、亜鉛めっき鋼板の調質圧延を実施した。調質圧延条件としては伸長率を1.0%に設定し、鋼板の目標とする中心線平均粗さRa(s)を1.2μmとした。このとき前記式(2)で表される定数a、bは、直径600mmのロールに対しては、a=0.299、b=0.098に設定し、直径400mmのロールに対しては、a=0.226、b=0.11と設定した。 【0049】このとき、式(2)を用いて調質圧延ロールの中心線平均粗さRa(r)は、直径600mmのロールに対しては、3.0μmとなる。さらに、式(1)に基づいてロールのピークカウントPPI(r)を280に設定した。一方、直径400mmのロールについては、式(2)からRa(r)を3.6μmと設定し、前記式(1)からPPI(r)を260に設定した。 【0050】以上の条件に基づいて、調質圧延ロールの放電ダル加工を実施し、伸長率1.0%の条件で調質圧延を行った結果、直径600mmのロールを用いた場合には、鋼板の中心線平均粗さRa(s)、ピークカウントPPI(s)、中心線うねりRa(s)はそれぞれ1.22μm、188、0.68μmであった。一方、直径400mmの調質圧延ロールを用いた結果鋼板の中心線平均粗さRa(s)とピークカウントPPI(s)は、それぞれ1.20μm、167、0.73μmであった。 【0051】以上のように、目標とする伸長率と、鋼板の中心線平均粗さに応じて、調質圧延ロールの中心線平均粗さを設定することによって、目標どおりの亜鉛めっき鋼板の表面を得ることができた。 【0052】なお、上記式(2)の定数a,bについては、調質圧延ロールのロール径を変更した実験によって決定することができるが、本実施例において用いた値を用いて、図8に示すような関係から設定しても、実用上は差し支えない。 【0053】 【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、高価な設備を必要とすることなく、調質圧延ロールの加工条件及びそれを用いた調質圧延条件を与えることで、多くの試行錯誤を要することなく、プレス成形性と塗装後の鮮映性を満足する亜鉛めっき鋼板の調質圧延方法を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004123 【氏名又は名称】日本鋼管株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号
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| 【出願日】 |
平成13年9月12日(2001.9.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−80302(P2003−80302A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月18日(2003.3.18) |
| 【出願番号】 |
特願2001−276608(P2001−276608) |
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