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【発明の名称】 条鋼圧延用複合ロールおよび製造方法
【発明者】 【氏名】片山 善雄
【住所又は居所】大阪府枚方市中宮大池1丁目1番1号 株式会社クボタ枚方製造所内

【氏名】船越 淳
【住所又は居所】大阪府枚方市中宮大池1丁目1番1号 株式会社クボタ枚方製造所内

【氏名】木村 広之
【住所又は居所】兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社クボタ尼崎工場内

【氏名】森川 長
【住所又は居所】兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社クボタ尼崎工場内

【氏名】林 和彦
【住所又は居所】兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社クボタ尼崎工場内

【氏名】川中 綱夫
【住所又は居所】兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社クボタ尼崎工場内

【要約】 【課題】高速度鋼系合金でカリバーを形成し、耐摩耗性・耐亀裂性に優れた条鋼圧延用複合ロールを得る。

【解決手段】この複合ロールは、ロール軸体(2)の表面に設けた外層(3)の断面積比R(= S1/ S2)(S1:外層の断面積,S2:軸体の断面積)がR≧1である積層体であって、ロール軸体(2)はカリバーの凹凸形状に対応する軸方向の複数個所に形設された、カリバーのフランジ高さを越えない円周突起(4)を有し、該円周突起のなす凹凸部にカリバー形状に沿って高速度鋼系鋳造合金からなる外層(3)が形成されている。ロール軸材(12)に円周突起形成部材(14)と外層形成部材(13)とを交互に嵌装した部材組付け体を拡散接合した後、カリバー加工、調質熱処理等を施すことにより製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロール軸体の表面に耐摩耗性合金からなる外層を有し、外層の径方向断面積比R(= S1/ S2)(S1:外層の断面積,S2:軸体の断面積)がR≧1であって、ロール軸体は、カリバーの凹凸形状に対応する軸方向の複数個所に形設された、カリバーのフランジ高さを越えない円周突起を有し、該円周突起のなす凹凸部に、カリバー形状に沿って高速度鋼系鋳造合金からなる外層が形成されている条鋼圧延用複合ロール。
【請求項2】 カリバー溝の側壁表面に圧縮残留応力が導入されている請求項1に記載の条鋼圧延用複合ロール。
【請求項3】 高速度鋼系鋳造合金は、粒径10μm以上の炭化物が分散した組織を有する請求項1又は2に記載の条鋼圧延用複合ロール。
【請求項4】 高速度鋼系鋳造合金は、重量%で、C:1.5〜3.5%,Si:0.3〜3.5%,Mn:0.2〜0.6%,Cr:3〜8%,Ni:3%以下,Mo:3〜9%,W:5〜14%,Co:14%以下、残部は実質的にFe、又はFeの一部がV,Ti,Nbから選択される1種ないし2種以上の元素:11%以下(複合含有の場合は合計量)で置換された化学組成を有する請求項3項に記載の条鋼圧延用複合ロール。
【請求項5】 円周突起はフランジ高さに略等しい突出高さを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の条鋼圧延用複合ロール。
【請求項6】 円周突起は溝深さの1/3より上方に位置する突出高さを有し、その突起天面を高速度鋼系合金層で被覆されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の条鋼圧延用複合ロール。
【請求項7】ロール軸体となる円柱体に、外層形成部材である高速度鋼系鋳造合金からなる中空円筒体と円周突起形成部材である中空円筒体とが軸方向に交互に嵌装された部材組付け体に、熱間等方圧加圧処理を施して部材同士の当接界面を拡散接合された複合体を得る工程、該複合体の高速度鋼系合金部をカリバー加工する工程、及び高速度鋼系合金部を調質熱処理する工程を有する請求項5に記載の条鋼圧延用複合ロールの製造方法。
【請求項8】ロール軸体となる円柱体に、外層となる高速度鋼系鋳造合金からなる中空円筒体と外周面に高速度鋼系鋳造合金層を積層された円周突起形成部材である中空円筒体とが軸方向に交互に嵌装された部材組付け体に、熱間等方圧加圧処理を施して部材同士の当接界面を拡散接合された複合体を得る工程、該複合体の高速度鋼系合金部をカリバー加工する工程、及び高速度鋼系合金部を調質熱処理する工程を有する請求項6に記載の条鋼圧延用複合ロールの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は条鋼圧延用ロールに係り、詳しくは高速度鋼系合金層でカリバーを形成された複合ロールの安定性、特に熱衝撃等に対する亀裂抵抗性を高め耐用寿命を改善するための複合構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】条鋼圧延用ロールは、ロール周面にカリバーの凹凸を形成された上下一対のロールをもって構成される。その耐摩耗性・耐用寿命の改善策として、図10に示すようにロール軸体(2)の胴部まわりに耐摩耗性合金からなる外層(3’)を積層形成し、これに機械加工を施して図11のように所要の凹凸形状に仕上げた下ロール(1A)及び上ロール(1B)からなる複合ロールが提案されている。
【0003】この複合ロールの外層(3’)は、耐摩耗性合金溶湯をロール軸体のまわりに鋳込む肉盛鋳掛け法(CPC法)により、あるいは耐摩耗性合金の円筒をロール軸体に嵌合し、嵌合界面を拡散接合する方法等により形成される。外層合金としてダクタイル鋳鉄や高クロム合金鋼等が使用され、近時は高速度鋼系合金の適用も試みられている。殊に、高速度鋼系合金は卓抜した高硬度・摩耗抵抗性を有する材料であることから、条鋼圧延用ロールの耐久性向上に対する顕著な効果が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】条鋼圧延用複合ロールは、大型サイズの条鋼圧延に使用されるものほど、外層(3’)の層厚をカリバーの溝深さに対応して厚く設計することが必要である。しかし、外層(3’)を高速度鋼系合金で形成した複合ロールの場合、外層を厚くするに伴ってロールの製造工程(調質熱処理過程等)や実機使用過程で熱衝撃による亀裂を生じ易くなる。図12はカリバー溝の側壁面(5)に発生するヒートクラック(D)の形態を示している。ヒートクラック(D)はロール径方向に略直交する向き(周方向)に伸びた形態を呈し、その発生面域はカリバーの溝深さ方向の下半分域に集中している。
【0005】通常圧延ロールの表面には圧縮の残留応力が発生しているため、圧延応力以外の応力でヒートクラックが進展することはないが、高速度鋼系合金のように残留応力の高いロールに深いカリバー加工を施すと、カリバー側壁面の一部に引張りの残留応力が発生する。その引張り残留応力によりヒートクラックが成長し、深い位置まで進展して破壊に到る場合もある。この熱衝撃による不具合の発生傾向は、外層の断面積比R(=S1/S2)(S1:外層断面積,S2:ロール軸体断面積)がR≧1であるような厚い外層を設けた複合ロールにおいて顕著である。
【0006】本発明は、上記に鑑み、外層を高速度鋼系合金で形成した条鋼圧延用複合ロールの耐熱衝撃性を高め、外層断面積比Rの大きい複合構造においてもヒートクラックを生じ難く、高速度鋼系合金の材料特性に基づく耐久性改善効果を十分に発揮させることを可能にする改良された複合構造を有する条鋼圧延用ロールを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の条鋼圧延用複合ロールは、ロール軸体の表面に耐摩耗性合金からなる外層を有し、外層の断面積比R≧1であって、ロール軸体は、カリバーの凹凸形状に対応する軸方向の複数個所に形設された、カリバーのフランジ高さを越えない円周突起を有し、該円周突起のなす凹凸部にカリバー形状に沿って高速度鋼系鋳造合金からなる外層が形成されている複合構造を有する。外層の径方向断面積比Rは、外層(3)の最大外径(カリバーのフランジ天面)とロール軸体の周面に接する内径との間の径方向断面積(S1)とロール軸体(2)の径方向断面積(S2)の比(R=S1/S2)として定義される(図3参照)。
【0008】本発明の複合ロールは、ロール軸体となる円柱体に、外層形成部材である高速度鋼系合金の中空円筒体(鋳造材)と円周突起形成部材である中空円筒体とを軸方向に交互に嵌装し、これを熱間等方圧加圧処理(HIP)に付し各部材同士の当接界面を拡散接合した後、得られた複合体にカリバー加工を含む機械加工、調質熱処理等を施すことにより製造される。
【0009】本発明の条鋼圧延用ロールの複合構造を従来のそれとを対比すると、従来の複合構造(図10,図11)の場合、ロール表面付近の軸方向及び周方向の残留応力はカリバー加工により緩和解消されるが、溝底付近はそのような応力緩和がなく、結果的に側壁面の下半部領域に径方向の引張り残留応力(図12に示すヒートクラックDの発生要因となる)が生じる。他方、本発明の複合構造ではこのような現象がなく、半径方向の引張り残留応力を付随せず、側壁面の下半部領域に径方向の圧縮残留応力が発生する。その圧縮残留応力の導入効果としてヒートクラック(D)の発生・成長が抑制防止される。
【0010】本発明の複合ロールにおける上記残留応力の分布形態(半径方向の引張り残留応力がなく圧縮残留応力を帯有)は、外層をカリバー形状に沿って形成している(カリバーのフランジ内に円周突起4が介在している)という複合構造の特異性に基づくものである。これにより大型サイズの条鋼圧延に使用される外層断面積比R(= S1/S2)の大きい複合ロールにおいても、ヒートクラックの発生・成長が抑制防止されると共に、高速度鋼系合金の材料特性が十分に発揮され、摩耗減肉の少ない健全なカリバー形状が安定に維持される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について実施例を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の条鋼圧延用複合ロールの軸方向断面を示している。この複合ロールは、ロール軸体(2)の軸方向の複数個所に形設された円周突起(4)の凹凸部に、高速度鋼系合金からなる外層(3)を形成した複合形態(溝と溝の間のフランジ6に円周突起4が介在)を有している。
【0012】上記複合ロールにおける円周突起(4)は、フランジ(6)の高さに等しい突出高さを有し、円周突起(4)の外周面はフランジ(6)の天面を形成している。このように円周突起(4)をフランジ(6)の高さ方向に貫通させ、隣合う外層(3)(3)同士を円周突起(4)で分断した構造とすることは、カリバー側壁面(5)の残留応力の制御(引張り残留応力の解消と圧縮残留応力の導入)にとって最も好ましいことである。この複合ロールは、下ロール(1A)(フランジ6の天面は被圧延材と接触しないので高耐摩耗性を必要としない)として好適に使用される。
【0013】図2は、本発明複合ロールの他の例を示している。この複合ロールは、図1のそれと同様にロール軸体(2)の軸方向の複数個所に設けられた円周突起(4)の凹凸に沿ってカリバー形状の外層(3)を形成した複合構造を有しているが、図1の複合ロールとは凹凸を反転した形態が与えられている。また円周突起(4)の天面が高速度鋼系合金の外層(3)で被覆されている点において、図1の複合ロールと相違している。この複合ロールは上ロール(1B)(そのフランジ6の天面は被圧延材を押圧するので耐摩耗性が要求される)として好適である。
【0014】この上ロール(1B)(図2)についても、残留応力の制御((側壁面の引張り残留応力の解消と圧縮残留応力の導入)の点からは、前記図1のように円周突起(4)がフランジ(6)の天面まで貫通した形態とすることが望ましいが、このロールのフランジ天面は圧延使用面となるので、図示のようにフランジ(6)の天面を高速度鋼系合金層(3)で被覆した形態とするのがよい。ただし、引張り残留応力の発生が抑制回避されるように、円周突起(4)の天面高さh(図4参照)は、フランジ高さHの1/3より外側に突出する高さ(h/H≧1/3)であるのが好ましい。より好ましくはh/H≧1/2である。
【0015】外層(3)と円周突起(4)の境界面(7)は、図5(1)(2)に例示されるように、垂直面(同図(1))又は傾斜面(同図(2))等の形態が与えられる。この境界面の形態は、後記のように複合ロールを製作する際の部材組付け体(図6,図8)の外層形成部材(13)(13,13)及び円周突起形成部材(14)として、互いの側面を垂直面又は傾斜面等に成形したものを使用することにより任意に調整することができる。
【0016】外層(3)を形成するは高速度鋼系合金は鋳造材が適用される。耐摩耗性のみに注目すれば、鋳造材よりも、高速度鋼系合金粉末をHIP処理して形成される高緻密質の焼結合金が有利であるが、HIP焼結合金では条鋼圧延時に受ける熱衝撃に過敏なために、本発明の複合構造に基づく耐ヒートクラック性の改善効果を確保し難い。鋳造合金は、HIP焼結合金と異なって、比較的粗粒の炭化物粒子(粒径約10μm以上)がマトリックス中に分散した組織を有し、その分散相粒子が熱亀裂の伝播を抑制するバリアーとして機能することにより上記不具合を回避することができ、本発明の複合構造に基づくヒートクラック(D)(図12)の防止効果を確保することが可能となる。
【0017】高速度鋼系合金はJIS G4403に規定された各種高速度工具鋼を適用することができる。このほか、重量%で、C:1.5〜3.5%,Si:0.3〜3.5%,Mn:0.2〜0.6%,Cr:3〜8%,Ni:3%以下,Mo:3〜9%,W:5〜14%,Co:14%以下、残部は実質的にFeからなる化学組成、又はそのFeの一部が一定量のV,Ti,Nbで置換された化学組成、すなわち上記諸元素と共にV,Ti,Nbの1種ないし2種以上の元素:11%以下(複数含有の場合は合計量)を含有する化学組成を有する高速度鋼系合金が好適に使用される。この場合、ロール外層としての材質強度をより高める観点からC量は2.2%以下(1.5〜2.2%)であるのがより好ましい。
【0018】ロール軸体(2)の材種は、条鋼圧延用ロールとして必要な機械性質を有するものであればよく、その具体例としてこの種ロールに通常使用されている各種強靭性合金、例えばJIS G4105(機械構造用合金鋼)のクロムモリブデン鋼(SCM415,SCM420,SCM430等)が挙げられる。円周突起(4)の材種は、ロール軸体(2)と同様の各種機械構造用合金鋼を適用すればよい。
【0019】次に本発明の複合ロールの製造工程について説明する。図6は、前記図1の複合ロール(下ロール1A)を製作するための部材組付け構造の例を示している。12はロール軸体(2)となる円柱体、13は外層(3)を形成するための高速度鋼系合金からなる中空円筒体、14は円周突起(4)となる中空円筒体である。外層形成部材(高速度鋼系合金)である中空円筒体(13)は鋳造材(遠力鋳造管体等)が使用される。円周突起形成用中空円筒体(14)も鋳造材であってよい。中空円筒体(13)と(14)はロール軸材(12)の軸方向に沿って交互に嵌装されている。
【0020】上記部材組付け体をカプセル(15)(例えば軟鋼製容器)で被包し、脱気・密封したうえ、HIP処理に付して各部材の当接界面を拡散接合する。HIP処理後、カプセルを機械加工等により除去して図7の複合体(拡散接合体)を取出す。ついで、該複合体の高速度鋼系合金部(13)のカリバー加工等を含む機械加工(鎖線)、調質熱処理、および仕上げ機械加工の各工程を経て図1の複合ロールを得る。
【0021】図8は、前記図2の複合ロール(上ロール1B)を製作するための部材組付体の構成例を示している。13および13は、外層を形成する高速度鋼系合金の中空円筒体(遠心鋳造材等)である。外層形成部材(13)は円周突起形成部材(14)の外周面に積層されている。中空円筒体(13)と(14)は円柱体(12)の軸方向に沿って交互に嵌装される。この部材組付体を、前記下ロール(1B)の製作工程と同様にカプセル(15)で被包しHIP処理(部材同士の拡散接合)した後、カリバー加工を含む機械加工、調質熱処理、仕上げ機械加工の各工程を経て図2の複合ロールを得る。
【0022】上記ロール製造工程において、部材組付け体(図2)のHIP処理は、温度:約1000〜1200℃、加圧力:50〜150MPaの加熱加圧下に適当時間(例えば0.5-6Hr)保持することにより行なわれる。HIP処理後の複合体の調質熱処理(焼き入れ・焼戻し)の焼入れは1000〜1150℃に加熱保持した後空冷し、焼戻しは530〜570℃に加熱保持した後空冷することによりそれぞれ達成される。この熱処理により外層(3)はベイナイト(又はベイナイトに焼戻しマルテンサイト混在)からなるマトリックスに炭化物粒子が分散した組織となる。
【0023】次に本発明複合ロールの応力解析結果について従来の複合ロール(図11)と対比して説明する。
[1]供試ロール(発明例)の製作部材組付け体(図6)のHIP処理、HIP処理された複合体(図7)のカリバー加工を含む機械加工、調質熱処理等を経て、図1の形態を有する供試ロールA及びAを製作する。構成部材、HIP処理、調質熱処理条件等は次のとおりである。
【0024】(1.1)部材構成・ロール軸材(12):強靭性合金鋼(JIS G4105規格SCM440市販材)
・外層形成部材(13):高速度鋼系合金中空円筒体(遠心力鋳造材)より調製(C:1.86,Si:0.77,Mn:0.68,P:0.005,S:0.011,Ni:0.11,Cr:6.53,Mo:2.02,W:3.88,V:4.45,Fe:Bal、wt%)
・円周突起形成部材(14):強靭性合金鋼(ロール軸材と同一材種)の中空円筒体(遠心力鋳造材)より調製【0025】(1.2)HIP処理温度:1100℃,加圧力:100MPa,処理時間:5Hr(1.3)調質熱処理焼入れ:1100℃/空冷→焼戻し:550℃/空冷【0026】(1.4)諸元サイズ■供試ロールA(図9(1))
軸体半径r228mm,外層厚t125mm,溝幅w145mm,深さd81.75mm,側壁天部肉厚v12.5mm,側壁傾斜角θ76外層断面積比R(S1/S2):1.4胴部軸長:1000mmカリバー溝数:3【0027】■供試ロールA(図9(2))
軸体半径r228mm,外層肉厚t125mm,溝幅w145mm,深さd81.75mm,側壁天部肉厚v22.5mm,側壁傾斜角θ:76外層断面積比R(S1/S2):1.4胴部軸長:1000mmカリバー溝数:3【0028】[2]比較例ロールの製作ロール軸材に外層となる高速度鋼系合金の中空円筒体(遠心力鋳造材)を嵌装しHIP処理(拡散接合)により複合体(図12)を得、カリバー加工、調質熱処理、仕上げ機械加工を経て、図11(2)に示す複合構造を有する比較ロールBを得た。
【0029】(1.1)材種ロール軸体:強靭性合金鋼(発明例の供試ロールの軸体と同一)
外層:高速度鋼系合金(発明例の供試ロールの外層と同一)
(1.2)HIP処理および調質熱処理発明例の供試ロールと同一。
【0030】(1.2)諸元サイズ(図9(3))
軸体半径r228mm,外層肉厚t125mm溝幅w145mm,深さd81.75mm,側壁傾斜角θ:76外層断面積R(S1/S2):1.4胴部軸長:1000mmカリバー溝数:3【0031】図11に各供試ロールのカリバー側壁面の残留応力(半径方向)を示す。図の横軸(1〜5の数字)は、図10における■〜■の各測定位置を表示している。
ロールA(発明例)…図1(溝部:図9(1))
ロールA(発明例)…図1(溝部:図9(2))
ロールB(比較例)…図13(2)(溝部:図9(3))
【0032】図11に示したように、従来の複合ロール(B)は、側壁面の■〜■の領域に引張の残留応力が発生している。この領域■〜■は線状亀裂D(図12)の発生面域に対応している。これに対し、発明例の複合ロール(A)(A)は、■〜■に圧縮の残留応力が導入されており、圧縮応力の効果として側壁面の亀裂の発生が抑制防止される。なお、残留応力分布の詳細な解析結果によれば、本発明の複合ロールは、上記残留応力(半径方向)のほか、ロール周方向,軸方向のいずれにも、ロールの亀裂損傷を助長・誘起する要因となる応力の残留がないことも確認されている。
【0033】前記説明では、溝形鋼(チャンネル)圧延のカリバー形状を有するロールを例に挙げているが、本発明これに限定されず、山形鋼(アングル),I形鋼,H形鋼,T形鋼等の各種形鋼、および丸鋼,角鋼等の棒鋼圧延用ロール等に適用して同様の効果を奏するものである。
【0034】
【発明の効果】本発明の条鋼圧延用複合ロールは、耐ヒートクラック性にすぐれ、大型サイズの条鋼圧延に使用されるロールにおいても高速度鋼系合金の材料特性を十分に活かすことができ、その卓抜した耐摩耗性によりロールの耐用寿命・メンテナンスを改善し、条鋼圧延操業の安定化・効率向上に大きく奏効するするものである。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【代理人】 【識別番号】100084238
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 新八郎
【公開番号】 特開2003−62605(P2003−62605A)
【公開日】 平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願番号】 特願2001−254082(P2001−254082)