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【発明の名称】 板厚算出方法及び板厚算出装置
【発明者】 【氏名】鞍掛 浩
【住所又は居所】岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地なし) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

【要約】 【課題】ロール直下の板厚を正確に且つ高応答に算出する。

【解決手段】オブザーバを用いて圧延実績からロール軸回転速度を推定し、そのロール軸回転速度からロール周速度を算出し、そのロール周速度を用いて、マスフロー一定式に従って板厚を算出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被圧延材の圧延実績から圧延ロールの回転速度を推定し、この圧延ロールの周速度を用いてマスフロー一定式から板厚を算出することを特徴とする板厚算出方法。
【請求項2】 被圧延材の圧延実績を収集する圧延実績収集手段と、この圧延実績収集手段で収集された被圧延材の圧延実績から圧延ロールの周速度を推定する圧延ロール周速度推定手段と、前記圧延ロール周速度推定手段で推定された圧延ロールの周速度を用いてマスフロー一定式から板厚を算出するマスフロー一定式板厚算出手段とを備えたことを特徴とする板厚算出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば鋼板の圧延ライン等において、マスフロー(体積流量)一定式から板厚を算出する板厚算出方法及び板厚算出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、マスフロー一定式から板厚を算出するには圧延ロールの周速度が必要となる。このロールの周速度は、モータの回転速度に減速比を乗じてロール軸回転速度を求め、このロール軸回転速度に圧延ロールの円周長を乗じて求めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の圧延中には、圧延負荷やロールの慣性などによりロール軸に変動性の捻れが生じており、ロール軸の回転速度は、単にモータの回転速度に減速比を乗じた値になっていない。そのため、前述のようにモータの回転速度に減速比を乗じ、更に圧延ロールの円周長を乗じて求めたロールの周速度は不正確であり、従ってそれを用いて算出した板厚も不正確なものである。
【0004】本発明は前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、板厚を正確に算出できる板厚算出方法及び板厚算出装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記諸問題を解決するため、本発明のうち請求項1に係る板厚算出方法は、被圧延材の圧延実績から圧延ロールの周速度を推定し、この圧延ロールの周速度を用いてマスフロー一定式から板厚を算出することを特徴とするものである。また、本発明のうち請求項2に係る板厚算出装置は、被圧延材の圧延実績を収集する圧延実績収集手段と、この圧延実績収集手段で収集された被圧延材の圧延実績から圧延ロールの周速度を推定する圧延ロール周速度推定手段と、前記圧延ロール周速度推定手段で推定された圧延ロールの周速度を用いてマスフロー一定式から板厚を算出するマスフロー一定式板厚算出手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、圧延ラインに本発明を実施した形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態を示すもので、板厚算出方法及び板厚算出装置を示す概略構成図である。被圧延材である鋼板1は、図示の矢印方向に搬送される。従って、図示右方の圧延機が第iスタンドであるとすると、図示左方の圧延機は第(iー1)スタンドとなる。なお、図中の符号2は圧延ロール、3は圧下装置、4は駆動モータ、5はモータ軸回転速度計、6は板厚計、7は板幅計である。なお、駆動モータ4からはトルク電流It が検出されるように構成されている。
【0007】また、この圧延ラインには、圧延中の鋼板圧延実績(板厚測定値、トルク電流、モータ軸回転速度、及び図示しない上位計算機からの目標板厚)を収集する圧延実績収集装置8、マスフロー一定式からロール直下の板厚を算出するマスフロー一定式板厚算出装置9、このマスフロー一定式板厚算出装置9で算出された板厚から、駆動モータ4の速度又は圧下装置3の圧下量を制御する圧延制御装置10及び前記圧延実績収集装置8で収集された圧延実績から圧延ロール周速度を推定する圧延ロール周速度推定装置11を備えている。
【0008】図2は、前記圧延ロール周速度推定装置11のうち、ロール軸回転速度を算出するロール軸回転速度算出装置12を示している。このロール軸回転速度算出装置12のうち、破線で囲まれる部分13はオブザーバ、つまり推定器である。また、図2中破線部以外は、実プラントを模式化したものである。ここで、トルク電流It とモータ軸回転速度ωM は検出値である。モータ軸回転速度ωM から、後述のようにして算出された見掛け上のロール軸回転速度ωL を減じて回転速度差とし、それを積分器42で積分して位相差θを算出とする。それに乗算器43でバネ定数kを乗じて負荷差を算出する。前記トルク電流It に乗算器44でトルク係数Ct を乗じてモータトルクτM とし、それから加減算器45で前記負荷差を減じ、更に積分器46で積分すると共にモータ側イナーシャJM で除して前記モータ軸回転速度ωM となる。また、加減算器47で前記負荷差からロール負荷τL を減じ、それを積分器48で積分すると共にロール側イナーシャJLで除して前記見掛け上のロール軸回転速度ωL となる。
【0009】これに対し、オブザーバ13内でも、前記トルク電流It に乗算器49でトルク係数の設計値Ct ’を乗じてモータトルクの設計値τM ’を算出する。一方、後述のようにして算出されるロール軸回転速度の推定値ωL ^を加減算器50で前記モータ軸回転速度ωM から減じ、それを積分器51で積分して実際の位相差を算出する。この実際の位相差と、後述のようにして算出された位相差の設計値を加算器52で加算し、それに乗算器53でバネ定数の設計値k’を乗じて負荷差の設計値を算出する。この負荷差の設計値を加減算器54で前記モータトルクの設計値τM ’から減じ、更に積分器55で積分すると共にモータ側イナーシャの設計値JM ’で除してモータ軸回転速度の設計値ωM ’を算出する。
【0010】そして、このものモータ軸回転速度の設計値ωM ’を加減算器56で前記モータ軸回転速度ωM から減じてモータ軸回転速度差ΔωM を算出する。このモータ軸回転速度差ΔωM に乗算器57でオブザーバゲインK1 を乗じて前記位相差の設計値を算出する。また、前記モータ軸回転速度差ΔωM に乗算器58でオブザーバゲインK3 を乗じ、それを加減算器59で前記負荷差の設計値から減じ、更にそれを積分器60で積分すると共にロール側イナーシャの設計値JL ’で除してロール軸回転速度の設計値ωL ’を算出する。また、前記モータ軸回転速度差ΔωM に乗算器61でオブザーバゲインK2 を乗じてロール軸回転速度差ΔωMを算出し、それを加算器62で前記ロール軸回転速度の設計値ωL ’に加算してロール軸回転速度の推定値ωL ^を算出する。
【0011】圧延ロール周速度推定装置11では、ロール軸回転速度算出装置12で得られたロール軸回転速度の推定値ωL ^から後述する間液式を用いてロールの周速度VR を算出する。更に、マスフロー一定式板厚算出装置9では、得られたロールの周速度VR を用い、後述するマスフロー一定の関係式から板厚を算出する。
【0012】前記オブザーバは、例えば下記1式のような機械系における状態方程式を導き、この状態方程式にGopinathの正準形式を用いて設計することができる。
【0013】
【数1】

【0014】そして、前述のようにしてロール軸回転速度の推定値ωL ^が得られたら、下記2式に従ってロール周速度VR を算出する。
【0015】
【数2】

【0016】更に、このロール周速度VR を用い、下記3式に従ってマスフロー一定式板厚hを算出する。
【0017】
【数3】

【0018】そして、このようにして算出されたマスフロー一定式板厚と目標板厚との差に基づいて、例えば前記板厚制御装置10では、その差分値に対してPI制御(比例・積分制御)によってアクチュエータを制御して目標板厚を達成する。このように、本実施形態の板厚算出方法及び板厚算出装置では、正確に推定された圧延ロール周速度を用いて板厚を算出しているため精度が高い。また、ロールバイト直下の板厚を算出することができるため、ロール出側で板厚計により計測した場合に比べて、制御に対するむだ時間がなく、高応答の制御系を構築することができる。
【0019】加えて、実績の板厚測定値により、前記オブザーバ内設計値ヲ修正するようにすれば、更に板厚精度を向上させることが可能となる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の板厚算出方法及び板厚算出装置によれば、被圧延材の圧延実績から圧延ロールの周速度を推定し、この圧延ロールの周速度を用いてマスフロー一定式から板厚を算出することとしたため、圧延中に発生するロール軸の変動性捻れを考慮しながらロール軸回転速度或いはロール周速度を正確に求めることができ、そこから算出される板厚も正確なものとなる。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区北本町通1丁目1番28号
【出願日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【公開番号】 特開2003−10910(P2003−10910A)
【公開日】 平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願番号】 特願2001−192490(P2001−192490)