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【発明の名称】 鋼板圧延機の板厚制御方法
【発明者】 【氏名】麻生 千尋
【住所又は居所】愛知県豊橋市三弥町字元屋敷150 神鋼電機株式会社豊橋製作所内

【要約】 【課題】速度AGCが出力されるタイミングを遅延させることにより、圧延鋼板の板厚がオイルフィルム効果によって変動するのを抑制する。

【解決手段】鋼板1は圧延機2を通過して圧延される。圧延速度と出側板厚変動値との関係を示す補間テーブル5により、圧延速度に応じた圧延ギャップの変化量(ΔS)を読出し、ギャップ参照値6に基づいて圧延機2のシリンダ7を制御する。これにより、シリンダ7が圧延速度に応じて圧延機2のギャップ量を制御し鋼板1の板厚制御を行う。このとき、オイルフィルム効果による出側板厚の変動が圧延速度の変動より遅れるので、減速から徐動へ速度変化するときに速度AGCを遅延させる。速度AGCを遅延させる時間は、鋼板1の厚み変化分に相当する圧延機2の速度変動より求めた遅延時間とする。尚、加速時においても速度AGCを遅延させてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷間圧延により、圧延速度に応じた板厚制御量をフィードバックして鋼板の圧延を行う鋼板圧延機の板厚制御方法において、圧延速度に対する前記鋼板の板厚変化の遅延時間に応じて、前記板厚制御量のフィードバックの遅延時間を設定することを特徴とする鋼板圧延機の板厚制御方法。
【請求項2】 前記鋼板圧延機の圧延ラインの速度変動分を検出する第1の手順と、前記第1の手順で検出された速度変動分に対する前記鋼板の板厚変化分を計測する第2の手順と、前記第2の手順で計測された板厚変化分に基づいて、圧延速度に対する前記鋼板の板厚変化の遅延時間を求める第3の手順と、前記第3の手順で求められた遅延時間と同じ値に、前記板厚制御量のフィードバックの遅延時間を設定する第4の手順とを経て、前記鋼板の板厚制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の鋼板圧延機の板厚制御方法。
【請求項3】 前記第1の手順において検出される速度変動分は、前記圧延ラインが減速から最低の定速度である徐動へ速度変化するときの速度変動分であることを特徴とする請求項2に記載の鋼板圧延機の板厚制御方法。
【請求項4】 前記第4の手順で設定する遅延時間は、選択可能な複数の項目が個別に記憶されているシフトレジスタによって設定されることを特徴とする請求項2または請求項3の何れかに記載の鋼板圧延機の板厚制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の冷間圧延時における板厚制御方法に関し、特に、鋼板圧延機において冷間圧延を行う場合の速度変動による板厚変動の改善を図る板厚制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、冷間圧延を行う鋼板圧延機は、圧延される鋼板の板厚に高い精度の均一化が要求されており、品質や生産性を向上させるために圧延の連続運転化が進んでいる。例えば、連続運転において、鋼板圧延機の加減速時に発生する張力の変動を抑えて、圧延される鋼板の板厚を高精度に管理している。特許3102961号公報には、圧延駆動部の慣性力に応じて鋼板圧延機の負荷電流を制御することにより、加減速時の有害な張力変動を抑制し、圧延される鋼板の板厚制御を行う技術が開示されている。これによって、圧延鋼板の歩留まりの向上、並びに生産性の向上によるコストダウンを図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の鋼板圧延機の板厚制御方法では、鋼板圧延が進行する過程において、加減速時の油膜効果(オイルフィルム効果)によって出力側の板厚が変動してしまう虞がある。つまり、加速時には鋼板の表面に流入する圧延油が増加するために油膜が厚くなって板厚が薄くなり、減速時には鋼板の表面に流入する圧延油が減少するために油膜が薄くなって板厚が厚くなる。従来は、このような板厚の変動を抑えるために、圧延速度に応じて自動板厚制御(AGC)の出力量(AGC量)を変動させる操作を行っている。
【0004】即ち、速度効果補償によって、圧延速度に応じたAGC量を出力して板厚の制御を行っている。しかし、圧延油の流出入の変動は、圧延速度の変動より遅れる傾向にある。したがって、減速から最低の定速度である徐動へ速度変動する場合には、徐動へ移行して一定のAGC量で板厚を制御しているにもかかわらず、圧延油の流出入の変動遅れのために圧延油の減少が継続されているので、油膜がさらに薄くなってしまう。その結果、減速から徐行に移行する過程において、板厚が極端に厚くなってしまう傾向がある。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、AGC量が出力されるタイミングを遅延させることにより、圧延鋼板の板厚がオイルフィルム効果によって変動するのを抑制し、鋼板の板厚制御が適正に行えるような鋼板圧延機の板厚制御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明における鋼板圧延機の板厚制御方法は、冷間圧延により、圧延速度に応じた板厚制御量をフィードバックして鋼板の圧延を行う鋼板圧延機の板厚制御方法において、圧延速度に対する鋼板の板厚変化の遅延時間に応じて、板厚制御量のフィードバックの遅延時間を設定することを特徴とする。つまり、圧延速度の変化に対してオイルフィルム効果が遅れる時間分だけ、フィードバックする板厚制御量(速度効果補償:速度AGC)を遅延させる。これによって、圧延油の流出入の変動が圧延速度の変動より遅れても、オイルフィルム効果による板厚の変動を抑制することができる。
【0007】また、本発明における鋼板圧延機の板厚制御方法は、前記発明において、鋼板圧延機の圧延ラインの速度変動分を検出する第1の手順と、第1の手順で検出された速度変動分に対する鋼板の板厚変化分を計測する第2の手順と、第2の手順で計測された板厚変化分に基づいて、圧延速度に対する鋼板の板厚変化の遅延時間を求める第3の手順と、第3の手順で求められた遅延時間と同じ値に、板厚制御量のフィードバックの遅延時間を設定する第4の手順とを経て、鋼板の板厚制御を行うことを特徴とする。さらに、第1の手順において検出される速度変動分は、圧延ラインが減速から最低の定速度である徐動へ速度変化するときの速度変動分であることを特徴とする。
【0008】すなわち、本発明における鋼板圧延機の板厚制御方法は、減速から徐動へ速度変動する時点において、厚み変化分に相当する速度変動より求めた遅延時間だけ速度AGCが出力されるタイミングを遅延させる。つまり、圧延ラインの速度変動分に対する圧延鋼板の厚み変動分を測定し、測定された厚み変動分に基づいて遅延時間を求める。そして、減速から徐動までの間において、求められた遅延時間の分だけ速度AGCを遅延させる。これにより、圧延油の流出入の変動が圧延速度の変動より遅れても、オイルフィルム効果による板厚の変動を抑制することができる。
【0009】また、本発明における鋼板圧延機の板厚制御方法は、前記発明において、第4の手順で設定する遅延時間は、選択可能な複数の項目が個別に記憶されているシフトレジスタによって設定されることを特徴とする。つまり、一つの方法として、シフトレジスタを構成するタッチパネルに複数の項目のシフト距離(cm)を設定しておくこともできる。これにより、例えば、減速から徐動に至る過程において速度AGCを50cmだけ遅延させるように設定しておけば、徐動定速後にオイルフィルム効果によって発生する板厚のプラス変動を抑えることができる。また、加速時は、経験上、減速時に比較して圧延速度の遅延が少ないので、加速時には速度AGCの遅延距離を5cm程度にすれば、オイルフィルム効果によって発生する板厚のマイナス変動を抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明における鋼板圧延機の板厚制御方法について説明する。先ず、本発明の速度制御のキーとなる速度効果補償について説明する。通常、冷間圧延機においては、圧延油のオイルフィルム効果などにより、圧延速度が速くなるにつれて供給される圧延油の量が増えて油膜が厚くなるので出側の板厚は薄くなり、圧延速度が遅くなるにつれて供給される圧延油の量が減って油膜が薄くなるので出側の板厚は厚くなる。したがって、冷間圧延機ではオイルフィルム効果分は外乱となるため、圧延速度が速くなるにつれて出側の板厚が薄くならないように鋼板圧延機の圧延ギャップを広げるように補正している。
【0011】このような補正は、AGC出力のON/OFFに関係なく常時行っている。また、アルミニウム箔の圧延機では、オイルフィルム効果を利用して速度を変化させて出側の板厚を制御している。このような速度変化によって板厚制御を行う板厚の補償を速度効果補償(速度AGC)と云う。したがって、速度AGCというのは、速度による板厚の変動を制御するために、圧延速度に応じてフィードバックする板厚制御量である。
【0012】次に、速度AGCによる板厚の制御方法について説明する。圧延機の圧延速度と出側板厚の変動との関係は非線型になっている。また、圧延する鋼板の材質によっても圧延速度と出側板厚の変動関係の特性は異なる。従って、本発明のシステムでは、補間テーブルによって圧延速度と出側板厚変動の特性カーブを設定できるようになっている。例えば、圧延速度と出側板厚変動の関係を9点設定した補間テーブルを用意し、この補間テーブルの各設定点に基づいて圧延速度による板厚を制御している。また、このような補間テーブルを例えば10本用意して、圧延する鋼板などの材質によって補間テーブルを使い分けるようにしている。
【0013】図1は、本発明において速度効果補償を行う圧延機の制御原理を示す図である。図1において、鋼板1は、図の矢印の通板方向に沿って圧延機2を通過させながら圧延される。このとき、左厚み計3と右厚み計4によって鋼板1の厚みは計測されている。また、圧延速度と出側板厚変動値との関係を示す補間テーブル5が予め用意されていて、図示しない速度計によって検出された圧延速度に応じて、対応する出側板厚変動値から圧延ギャップの変化量(ΔS)が読み出される。そして、この圧延ギャップの変化量(ΔS)は、予め定めた基準値(G1)と比較されてその偏差が出力され、ギャップ参照値6に基づいて圧延機2のシリンダ7を制御する。これによって、シリンダ7が圧延速度に応じて圧延機2のギャップ量を制御するので、鋼板1の板厚が制御される。
【0014】尚、このような速度AGCによる板厚の制御に加えて、速度AGCの制御を遮断した状態で加減速を行い、入出力側板厚や荷重や材料変形抵抗係数やMILL定数などから圧延ギャップの変化量(ΔS)を求め、そのデータを補間テーブルに記憶させて板厚補正をかけることもできる。
【0015】ここで、圧延油の流出入量の変動は、圧延速度の変動よりも遅れる傾向にある。このため、オイルフィルム効果による出側板厚の変動が圧延速度の変動より遅れる傾向にあるので、減速から徐動へ速度変化するときに、その遅れ時間分だけ速度AGCを遅延させる必要がある。速度AGCを遅延させる時間は、圧延ラインの速度変動に対して生じる鋼板の厚み変化分を計測し、計測された厚み変化分に相当する速度変動より遅延時間を求める。そして、減速から徐動に至る時間において、求められた遅延時間分だけ、シフトレジスタによって速度AGCを遅延させる。
【0016】図2は、減速から徐動へ速度変化するときに速度AGCを遅延させるフローチャートである。図2において、先ず、圧延速度の減速が完了したら(ステップS1)、厚み変化分に相当する速度変動より求めた遅延時間だけ、シフトレジスタによって時間遅延を行う(ステップS2)。所定の時間だけ遅延が完了したら(ステップS3)、徐動時の速度AGCの量から加速時の速度AGCの量へ変化させる(ステップS4)。
【0017】このように、シフトレジスタを使用して、減速から徐動時の圧延速度を模擬的に遅れ側にシフトさせることによって、速度AGCがフィードバックされる時間と出側板厚の変動の時間とを一致させることができるので、圧延速度を検出することによって適正に板厚の制御を行うことができる。このとき、シフトレジスタのシフト量は、例えば、加速時や減速時毎にタッチパネルに個別に設定しておけば、タッチパネルの操作によって所望の遅延時間を設定して板厚の管理を行うことができる。例えば、設定パラメータを距離の単位とすれば、cmの単位で板厚の管理を行うことができる。
【0018】さらに、加速時や減速時でオイルフィルム効果の特性が変化することを考慮して、速度AGCの出力特性をそれぞれ個別に設定できるようにしてもよい。例えば、タッチパネルの「速度特性NO.」で「0」を設定すると、減速時には0パターンに登録された特性で出力し、加速時には自動的に別の特性パターンに切り替えられるようにする。また、それぞれのパターンの内容は、例えば、予め設定したコントローラの内部定数によって任意に可変できるようにしてもよい。
【0019】図3は、本発明において速度効果補償を利用した圧延機の動作概念図である。図3において、鋼板11は、左リール12から圧延機13を通過して圧延され、右リール14に巻かれるように構成されている。また、鋼板11は、左デフレクタロール15と右デフレクタロール16によって適当な引張りテンションが掛けられている。さらに、鋼板11は、左厚み計17と右厚み計18によって厚みが計測されている。一方、圧延機13は、鋼板11の板厚を制御するためにギャップ調整を行うシリンダ19と、鋼板11の圧延速度を計測する速度計20を備えている。
【0020】一方、速度AGCの制御システムは、速度計20が測定した鋼板11の圧延速度の特性を示す圧延速度特性21と、加速時と減速時における圧延速度のシフト量が複数設定されているトラッキングシフトパネル22と、トラッキングシフトパネル22で設定されたシフト量だけ圧延特性がシフト補正されたシフト補正圧延速度特性23と、圧延速度の減速中/増速中の切り替えを行う切換えスイッチ24と、増速時の速度AGCによるシリンダ19の圧下量特性を示す増速時圧下量特性25と、減速時の速度AGCによるシリンダ19の圧下量特性を示す減速時圧下量特性26とを備えている。
【0021】図3における圧延機の通常の圧延動作は公知であるのでその説明は省略して、速度AGCによる板厚の制御動作について説明する。鋼板11が圧延機13を通過すると、速度計によって圧延速度が計測されて圧延速度特性21が描かれる。ここで、トラッキングシフトパネル2によって、所定のシフト量(例えば、n+1)を押圧設定すると、トラッキングされたシフト量(n+1)だけシフト補正された圧延速度カーブを示すシフト補正圧延速度特性23が得られる。
【0022】ここで、鋼板11が減速中であれば切換えスイッチ24は減速中側へ切り替わり、増速時の速度効果補償による圧下量カーブを示す増速時圧下量特性25が得られる。そして、この増速時圧下量特性25のデータをシリンダ19へ送信すると、減速時において増速時の圧下量分だけシリンダ19の押圧力を制御する。これによって、トラッキングされたシフト量(n+1)だけシフトされた圧延速度特性(つまり、シフト補正圧延速度特性23)における圧延力が鋼板11に加わる。このようにして、オイルフィルム効果の遅れ分が補正された圧延力が鋼板11に加わるので、鋼板の板厚が正確に制御される。
【0023】一方、鋼板11が増速中であれば切換えスイッチ24は増速中側へ切り替り、減速時の速度効果補償による圧下量カーブを示す減速時圧下量特性26が得られる。そして、この減速時圧下量特性26のデータをシリンダ19へ送信すると、増速時において減速時の圧下量分だけシリンダ19の押圧力を制御する。これによって、トラッキングされたシフト量(n+1)だけシフト補正された圧延速度特性(つまり、シフト補正圧延速度特性23)における圧延力が鋼板11に加わる。つまり、オイルフィルム効果の遅れ分が補正された圧延力が鋼板11に加わるので、板厚の板厚が正確に管理される。
【0024】図4は、加減速時の板厚変動の抑制を示す実測特性図である。図の横軸は時間的経過を示し、縦軸はそれぞれのデータの変動量を示している。この特性図は、『304E材(8/8PASS)における紙入れ加減速時の板厚変動の抑制特性』を示している。図の左から時間的経過を追って説明すると、圧延速度iが減速して行くと、遅れ方向にシフトされたシフト後の模擬圧延速度jもそれに伴って減速して行く。このとき、シフト後の模擬圧延速度jの減速に伴って、圧延ギャップ厚を制御するためにシリンダ19へ供給される速度AGC出力kが増加して行く。つまり、圧延速度iが減速して行くと(したがって、シフト後の模擬圧延速度jの減速してゆくと)、圧延油量が減少して油膜が薄くなる。その分だけシリンダ19へ供給する(フィードバックする)速度AGC出力kを増加させてギャップを狭める。これによって、入側厚み偏差mに応じて出側厚み偏差nが一定値に制御されている。
【0025】ここで、予め、タッチパネル(つまり、図3のトラッキングシフトパネル22)によって所望のシフト距離(cm)が設定されているので、圧延速度iが減速から徐動に至る過程において、シフト後の模擬圧延速度jはシフト距離qに相当する時間だけ徐動に到達する時間が遅れる。つまり、圧延速度iが徐動になった時点ではシフト後の模擬圧延速度jはまだ減速を続けている。したがって、フィードバックされる速度AGC出力kもまだ増加を続けてギャップを狭めている。
【0026】これによって、圧延油の減少傾向が圧延速度iの減少速度より遅れてオイルフィルム効果による板厚変動を行っていても、速度AGC出力kがギャップを狭め続けているので、速度AGC出力kが、オイルフィルム効果の遅れ時間分を補償して板厚を一定に制御することができる。そして、シフト距離qの後にシフト後の模擬圧延速度jは徐動に至るので、速度AGC出力kも一定値となる。このようにして、圧延油の変動が圧延速度iの変動より遅れても、速度AGC出力kが、その遅れ時間を補償して、入側厚み偏差mに応じて出側厚み偏差nを一定値に制御している。また、圧延速度iが増加する過程においては、シフト後の模擬圧延速度jは圧延速度iと一致して増加し、速度AGC出力kを減少させて、油膜の厚くなる分だけギャップを広げ、入側厚み偏差mに応じて出側厚み偏差nを一定値に制御している。
【0027】図4の特性は一例に過ぎないが、材質別や圧下量別にシフト距離qを任意に設定することにより、圧延速度iが徐動定速となった後も速度AGC出力kを変化させ、オイルフィルム効果の時間遅れによる板圧変動のポイントを抑えることができる。尚、図4の例では、タッチパネルによって設定したシフト距離は、減速時は50cm、加速時は0cmとした。
【0028】図4に示す実施例にように、減速時には速度AGC出力を所定の距離(例えば50cm)だけ遅延させることにより、徐動定速後の板厚のプラス変動を抑えることができる。また、加速時の板厚のマイナス変動は、経験上、減速時に比較して圧延速度の遅延が少ないので、加速時には速度AGC出力の遅延距離を0cmとしても、板厚のマイナス変動を充分に抑えることができる。尚、加速時にも若干の遅延があるので、速度AGC出力を、例えば、5cm程度遅延させることが望ましい。上記の結果は、前述の「304E材の初期板厚3mm」における結果である。
【0029】なお、圧延する材料の材質及び圧下量により圧延速度は変動するので、経験などにより、適宜に、トラッキングシフトパネルに設定するシフト量(速度AGC)を決める必要がある。ちなみに、同じ「304材」であっても、「初期板厚2mm」の場合では、減速時に35cm、加速時に0cmの遅延量で最適な板厚の制御を行うことができた。これは、最終バスにおける圧下量の違いによるものと考えられる。
【0030】以上述べた実施の形態は、本発明を説明するための一例であり、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。例えば、上述の実施の形態は速度AGCを遅延させることにより板厚制御を行う方法について説明したが、速度AGCの遅延と慣性力に応じた負荷電流制御による張力の変動抑制とを併用すれば、さらに高精度に板厚制御を行うことができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鋼板圧延機の板厚制御方法によれば、減速から徐動へ速度変動する時点において、厚み変化分に相当する速度変動より求めた遅延時間だけ速度AGCが出力されるタイミングを遅延させる。これにより、圧延油の流出入の変動が圧延速度の変動より遅れても、オイルフィルム効果による板厚の変動を抑制することができる。
【0032】例えば、減速から徐動に至る過程において速度AGCを50cmだけ遅延させることにより、徐動定速後にオイルフィルム効果によって発生する板厚のプラス変動を抑えることができる。また、加速時は、経験上、減速時に比較して圧延速度の遅延が少ないので、加速時には速度AGCの遅延距離を5cm程度にすれば、オイルフィルム効果によって発生する板厚のマイナス変動を抑えることができる。このような速度AGCの遅延制御によって鋼板の板厚を高精度に管理することができる鋼板圧延機を構築することができる。
【出願人】 【識別番号】000002059
【氏名又は名称】神鋼電機株式会社
【住所又は居所】東京都江東区東陽七丁目2番14号
【出願日】 平成13年6月28日(2001.6.28)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2003−10909(P2003−10909A)
【公開日】 平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願番号】 特願2001−197368(P2001−197368)