| 【発明の名称】 |
表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】安楽 敏朗 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内
【氏名】日高 康善 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】化学組成を調整をすることなくスケールの噛込み疵の少ない鋼板を製造する方法の提供。
【解決手段】質量%でC:0.03〜0.2%、Si:0.005〜0.1%、Mn、0.1〜2.0%、sol.Al:0.08以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼を、連続熱間圧延機の粗圧延機で圧延し、次いで仕上げ圧延機で仕上げ圧延するに際し、各仕上げ圧延ロ−ル直前の被圧延材の表面温度が下記(1)または(2)式を満足する温度T(℃)になるように温度制御して圧延する表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】質量%でC:0.03〜0.2%、Si:0.005〜0.1%、Mn、0.1〜2%、sol.Al:0.08%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼を、連続熱間圧延機の粗圧延機で圧延し、次いで仕上げ圧延機で仕上げ圧延するに際し、各仕上げ圧延ロ−ル直前の被圧延材の表面温度が下記(1)または(2)式を満足する温度T(℃)になるように温度制御して圧延することを特徴とする表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。 Mn含有量が0.1%以上、0.5%未満の場合T≧920−80×(Mn) ・・・・(1) Mn含有量が0.5%以上、2%以下の場合T≧880−15×(Mn−0.5) ・・・・(2) ここで、Mnは含有量(質量%)を示す。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法に係わり、さらに詳しくは熱間圧延における仕上げ圧延時に酸化スケール(以下、単にスケールと記す)の噛込み疵の発生を抑制することのできる熱延鋼板の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】最終製品に仕上げ圧延された熱延鋼板は、品格の点から表面疵はもちろん、反射や色調の不均一およびそれに類似する模様などが、少なくとも肉眼で観察できるレベルで発生していないことが好ましい。 【0003】しかし、実際の熱延鋼板の表面には、スケールの噛込み疵、デスケーリング不良および酸洗不均一などの様々なスケールに起因した不具合が生じており、製品として不適切である場合が多々ある。これらの問題に対して様々な検討がなされてきたが、完全な解決策は未だ見いだされるには至っていないのが現実である。 【0004】スケールに起因する鋼板の表面に関する諸問題のうち、噛込み疵は製品としての品格問題にとどまらず、不良製品となってスクラップとなるという大きな問題であり、歩留まり(生産性および経済性)の点から解決すべき重要な問題である。 【0005】噛込み疵の発生を防止する方法については、これまでに多くの検討がなされてきた。鋼表面に生成するスケールの厚さを薄くして圧延する方法が提案され、スケールの噛込み疵の発生はある程度防止できるようになった。 【0006】スケールの生成を抑制してスケール厚さを薄くする簡便な方法としては、圧延中の鋼板表面に水を噴射する手段等により冷却して鋼板の表面温度を低くする方法がある。 【0007】特開平1−205810号公報には、熱間圧延での仕上げ圧延機前のデスケーリング装置による高圧水の噴射により被圧延材の表面温度を900℃以下にして、二次スケールの生成を防止して噛込み疵の発生を抑制する方法が開示されている。 【0008】しかし、仕上げ圧延前に鋼板の温度を低めると圧延負荷が増大し、通板が困難となり熱延鋼板の生産性に支障を来たすという問題がある。この問題を解消した方法が特開平5−59449号公報および5−59452号公報に開示されている。 【0009】これらの公報に示されている方法は、Siを0.03〜0.1%の範囲で含有させた鋼を、1250℃以下に加熱後、仕上げ圧延機の入側での鋼板温度を980℃以上として仕上げ圧延する表面性状に優れた薄物熱延鋼板の製造方法である。すなわち、これら方法は、仕上げ圧延は比較的高温で行い生産性を確保し、圧延中の二次スケールの生成を抑制して噛込み疵の発生を防止するためにSiを含有させたことを特徴としている。 【0010】しかし、これらの方法は鋼の機械的特性の制約からSiを0.03%以上含有させることができない鋼には適用することはできない。 【0011】上記方法と類似する方法として、特開平8−73994号公報には、Pを0.03〜0.2%、Siを0.03〜0.1%含有させることによってスケールの噛込み疵の発生を防止する方法が開示されている。 【0012】また、特開2000−42604号公報には、C、PおよびMn等の成分元素を調整してスケールの密着力そのものを改善し、粗圧延して得られた粗バーを加熱装置で加熱して30〜150℃の範囲で温度を上昇させてからデスケーリングして仕上げ圧延する方法が開示されている。 【0013】しかし、これらも化学組成を調整する方法であり、適用できない鋼種が多い。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】発明が解決しようとする課題は、鋼の化学組成を特に調整することなくスケールの噛込み疵の少ない鋼板を製造する方法を提供することにある。 【0015】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、スケールの発生挙動やスケール噛込み疵の発生メカニズムについて鋭意実験、検討した結果以下の知見を得るに至った。 【0016】(a)スケール噛込みは圧延ロールの直前でスケールが割れ、そのスケールがロ−ルにより熱延鋼板表面に押し込まれることにより発生する。 【0017】(b)スケ−ルが押し込まれる原因は、圧延時のスケ−ルの硬度が熱延鋼板の硬度よりも高い場合に発生する。 【0018】(c)従って、圧延時において、熱延鋼板の高温硬度がスケ−ルの高温硬度よりも高くなっておれば、スケ−ル噛込み疵は発生しない。 【0019】(d)熱延スケ−ルの高温硬度は、温度の上昇とともに低下する傾向にある。一方、熱延鋼板の高温硬度は、温度の上昇とともに低下し、その温度領域ではスケ−ル硬度は熱延鋼板の硬度よりも高い状態となり、さらに温度が上昇すると、変態が関与するため、温度の上昇とともに硬度が上昇し、A1変態点とA3 変態点との間の或る温度(Mn含有量により異なる)でスケ−ル硬度と熱延鋼板硬度とが同等になる。その温度以上の温度では、スケ−ル硬度より熱延鋼板の硬度の方が高くなる。 【0020】(e)スケ−ルの高温硬度は、Mnの含有量の影響は顕著でないが、熱延鋼板の高温硬度はMnの含有量によって変化し、下記式(1)または(2)を満足する温度T(℃)では、スケ−ル硬度<熱延鋼板硬度となる。 【0021】Mn含有量が0.1%以上、0.5%未満の場合T≧920−80×(Mn) ・・・・(1) Mn含有量が0.5%以上、2%以下の場合T≧880−15×(Mn−0.5) ・・・・(2) ここで、Mnは含有量(質量%)を示す。 【0022】したがって、、熱間仕上げ圧延時のロ−ル圧下時の鋼表面温度を(1)または(2)式を満足する領域で実施することにより、噛込み疵を大幅に低減することが可能となる。 【0023】本発明は、上記の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。 【0024】質量%でC:0.03〜0.2%、Si:0.005〜0.1%、Mn、0.1〜2%、sol.Al:0.08%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼を、連続熱間圧延機の粗圧延機で圧延し、次いで仕上げ圧延機で仕上げ圧延するに際し、各仕上げ圧延ロ−ル直前の被圧延材の表面温度が下記(1)または(2)式を満足する温度T(℃)になるように温度制御して圧延する表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。 【0025】Mn含有量が0.1%以上、0.5%未満の場合T≧920−80×(Mn) ・・・・(1) Mn含有量が0.5%以上、2%以下の場合T≧880−15×(Mn−0.5) ・・・・(2) ここで、Mnは含有量(質量%)を示す。 【0026】 【発明の実施の形態】以下、本発明で規定した製造条件について詳細に説明する。鋼板の化学組成の説明における%表示は全て質量%を示す。 【0027】鋼板の化学組成:C:0.03〜0.2%Cは、所定の強度(260MPa以上)を得るために必要な元素で、C含有量が0.03%未満では目標とする強度を有する鋼板が得られず、一方0.2%を超えると加工性が劣化するため、上限を0.2%とした。 【0028】Si:0.005〜0.1%Siは、脱酸剤として必要な元素で、0.005%未満では十分な脱酸ができず、一方0.1%を超えると難脱スケール性のFe2SiO2(ファイアライト)を生成して赤スケールが生成し易くなる。したがって、Si含有量は0.005〜0.1%とした。好ましくは0.005〜0.04%である。 【0029】Mn:0.1〜2%Mnは、Cと同様に強度を確保するために必要な元素であると同時に、Sを固定し熱間割れを抑制するために必要な元素である。また、前記式(1)に示すとおり、Mn含有量が増加することにより、高圧水の噴射による冷却温度の許容下限を下げることができる。前記効果を得るには0.1%以上含有させる必要がある。一方2%を超えると加工性が劣化する。したがって、Mn含有量は0.1〜2%とした。 【0030】sol.Al:0.08%以下Alは、溶鋼の段階での脱酸に必要な元素である。0.08%を超えるとAl2O3系の介在物を形成し、加工性が劣るため上限を0.08%とした。sol.Alとして止まる量は微量であっても、脱酸は十分できるので特に下限は限定しない。 【0031】被圧延材の表面温度:熱間圧延は、粗圧延機と仕上げ圧延機とにより行われるが、粗圧延された後は仕上げ圧延機直前と仕上げ圧延機のスタンド間で被圧延材表面に高圧水が噴射され脱スケールが行われる。このとき、高圧水が噴射された部分の被圧延材の表面温度は数百度も低下し、その直後の圧延ロール直前では高圧水噴射前の被圧延材の温度近くまで複熱する。 【0032】仕上げ圧延中に発生するスケールの噛込み疵は、前述したように圧延ロールの直前で被圧延材の表面のスケールが割れ、それが圧延時に被圧延材中に押し込まれることが原因となっている。したがって、割れたスケールが被圧延材中に押し込まれなければ噛込み疵にならない。 【0033】本発明の方法は、割れたスケールがに押し込まれないようにするため、被圧延材の高温硬度がスケールの高温硬度よりも高くなる温度域で仕上げ圧延する方法であり、そのため各仕上げ圧延ロ−ル直前の被圧延材の表面温度が下記(1)または(2)式を満足する温度T(℃)で圧延する必要がある。 Mn含有量が0.1%以上、0.5%未満の場合T≧920−80×(Mn) ・・・・(1) Mn含有量が0.5%以上、2%以下の場合T≧880−15×(Mn−0.5) ・・・・(2) 式中のMnは、鋼中の含有量(質量%)を示すものであり、前述したようにMn含有量は被圧延材の高温硬度に影響を及ぼす元素である。上記式は、種々の実験を繰り返し求めた実験式である。 【0034】実生産においては、仕上げ圧延機は通常3〜7スタンドのタンデム圧延機が用いられ、高圧水の噴射によるデスケーリングは、仕上げ圧延前および圧延初期のスタンド間でおこなわれる場合が多い。噛込み疵の発生を抑制するためには、仕上げ圧延機の全てのスタンドのロール入り側直前の温度が上記式を満足するように被圧延材の温度を制御しなければならない。 【0035】なお、仕上げ圧延機の第一スタンドの圧延ロール入り側直前の温度は、脱スケールされた後複熱した被圧延材の表面温度で、粗圧延機出側の被圧延材の温度、板厚や脱スケールのための高圧水の噴射条件により決定され、目標温度となる条件を予め求めておけばよい。その際、第一スタンドのロール直前の温度は、第一スタンド出側以降の温度低下も考慮しておかなければならないことはいうまでもない。また、スラブ加熱炉から仕上げ圧延機入り側までの温度低下をも考慮する必要があり、仕上げ圧延機入り側での目標温度を確保するためには粗圧延後に再加熱するのが有効である。 【0036】 【実施例】表1に示す5種類の化学組成の炭素鋼を溶製し、100kgインゴットとし、それらを熱間鍛造によって厚さ100mm、幅300mm、長さ400mmのスラブとした。これらのスラブを、1200℃に加熱したのち、およそ1050℃で粗圧延を施し30mm厚の粗圧延材とし、圧延後高圧水を粗圧延材表面に噴射してデスケーリングを行い、本発明で規定する式により求まる限界温度前後の温度域で種々の温度(表2に示す粗圧延材の表面温と対応)に温度制御して仕上げ圧延を行い、2mm厚の熱圧鋼板に仕上げた。 【0037】仕上げ圧延直前の粗圧延材の表面温度は圧延試験片と同じ寸法のダミー鋼板の表面に熱電対を埋め込んで測定する方法により、圧延直前の目標仕上げ圧延温度になる条件の高圧水の噴射条件を予め求めていた。 【0038】 【表1】
仕上げ圧延後の鋼板を、酸洗処理によって表面スケ−ルを除去して噛込み疵の有無を目視により観察した。観察結果を表2に示す。 【0039】 【表2】
表2に、併せて圧延直前の温度におけるスケールの硬度および粗圧延材自身の硬度を示す。スケールの高温硬度および粗圧延材の高温硬度の測定は、粗圧延材を大気中で1200℃に加熱してスケ−ル付けを行ったのち、表2に示す各温度に加熱して高温硬度計を用いてスケ−ルおよび粗圧延材の高温硬度を測定した。具体的には、粗圧延材から各2枚の硬度測定用試料を採取し、1200℃でスケール付けをおこなった後常温まで空冷し、一方の試料については表面を研磨してスケールを完全に除去して母材の硬度測定試料とした。もう一方の試料は、スケールの表面を研磨してスケール硬度測定用の試料とした。これらの試料をアルゴンガス雰囲気中で表2に示す種々の温度に加熱して、各加熱温度で硬度測定をおこなった。 【0040】表2から明らかなように、本発明例では、圧延直前の粗圧延材の表面温が限界温度T℃よりも高い温度となっているので、全て仕上げ圧延時にスケ−ル硬度<熱延板硬度となったため、熱間圧延時にスケ−ルの押し込みはなく、噛込み疵は認められなかった。一方、比較例では圧延直前の粗圧延材の温度が限界温度T℃よりも低くなっているため、スケ−ル硬度>熱延板硬度となり、熱延時にスケ−ルの押し込みが発生し、噛込み疵が認められた。 【0041】 【発明の効果】本発明によれば、鋼板のPやSiの含有量を調整することなく仕上げ圧延時の噛込み疵の発生を防止することができ、熱延鋼板の歩留まりがよくなるという優れた効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002118 【氏名又は名称】住友金属工業株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
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| 【出願日】 |
平成13年6月27日(2001.6.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103481 【弁理士】 【氏名又は名称】森 道雄 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−10906(P2003−10906A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月15日(2003.1.15) |
| 【出願番号】 |
特願2001−194416(P2001−194416) |
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