| 【発明の名称】 |
棒鋼の圧延方法及び圧延装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大野 斗志雄 【住所又は居所】岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地なし) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、サイズフリー技術を用いて圧延ロールを交換せず、1本の素材で異なるサイズの棒鋼を製造するに際し、従来より製品歩留まり及び生産性が高いと共に、オーダ量に応じてた生産が可能な棒鋼の圧延方法及び圧延装置を提供することを目的としている。
【解決手段】粗圧延機、走間切断機を介在させた中間圧延機、サイジング圧延機を直列に配置して鋼鋳片を順次走行させると共に、サイジング圧延機のロール・ギャップを変更して圧延棒鋼のサイズを変更するに際し、前記走間切断機で鋼鋳片を先行材と後行材に分割し、先行材の圧延速度を速めると共に後行材の圧延速度を遅らせて後行材の先端がサイジング圧延機に到達するまでの時間を遅らせ、その間に、先行材のサイジング圧延機での圧延を終了させると同時に、該サイジング圧延機のロール・ギャップ及び圧延速度を変更し、引き続き後行材を圧延する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 粗圧延機、走間切断機を介在させた中間圧延機、最終工程のサイジング圧延機を直列に配置して鋼鋳片を連続的に順次走行させると共に、サイジング圧延機のロール・ギャップを変更して圧延する棒鋼のサイズを変更する棒鋼の圧延方法において、前記走間切断機で鋼鋳片を先行材と後行材に分割し、先行材の圧延速度を速めると共に後行材の圧延速度を遅らせて後行材の先端がサイジング圧延機に到達するまでの時間を遅らせ、その間に、先行材のサイジング圧延機での圧延を終了させると同時に、該サイジング圧延機のロール・ギャップ及び圧延速度を変更し、そのロール・ギャップ及び圧延速度で引き続き後行材を圧延することを特徴とする棒鋼の圧延方法。 【請求項2】 鋼鋳片を順次連続的に通過させる、粗圧延機、走間切断機を介在させた中間圧延機及びロール・ギャップを変更自在なサイジング圧延機を直列に配設した棒鋼の圧延装置において、前記走間切断機で分割された鋼鋳片の先行材及び後行材の位置を計測する先尾端トラッキング手段と、走間切断機より下流側圧延機及び上流側圧延機の圧延速度の変更量を決める圧延速度補正手段と、前記先尾端トラッキング手段からの情報でサイジング圧延機のロール・ギャップ及び圧延速度を変更する圧延機設定変更手段とを備えたことを特徴とする棒鋼の圧延装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、棒鋼の圧延方法及び圧延装置に係わり、詳しくは、素材(鋼鋳片)を粗圧延するロール・スタンドから最終的に棒鋼の製品寸法に仕上げるロール・スタンドを一列に配置したタンデム・ミルで、最下流側のロール・スタンドを所謂「サイズ・フリー」方式として、スタンドに組み込むロールの交換をせずに、1本の素材から異なる寸法の棒鋼を効率良く製造する技術である。 【0002】 【従来の技術】素材の鋼鋳片(一般に、ビレットと称する小型の鋼片)を圧延して棒鋼を製造するには、図4に示すように、被圧延材1である素材(鋼鋳片)を粗圧延する粗圧延機4(ロール・スタンドと言っても良い)から最終的に棒鋼の製品寸法に仕上げるサイジング用ロール・スタンド3までを一列に配置した所謂「タンデム・ミル」が使用される。この場合、以前は、最終工程のサイジング用ロール・スタンド3には、製品寸法に合わせた孔型を有する複数のロール(2〜4本のロールで孔型を形成)が組み込まれていた。ところが、かかるロールを使用していたのでは、常に孔型が一定のため、圧延途中で棒鋼6のサイズ(丸棒では直径、角棒では辺)変更が困難であり、1本の素材から1種類のサイズを有する製品しか製造できなかった。製品サイズを変更するには、圧延を停止して、異なるサイズの孔型を形成するロールに交換し、それ以降の素材から新しいサイズの棒鋼6に圧延していた。 【0003】ところが、かかる従来技術では、以下のような問題があった。 【0004】1)製品ロットが小規模で素材の大きさにマッチしないと、余分に製品を圧延することになる。つまり、通常、1本の素材からは、製品の径や長さにもよるが、約2トンを単位とした製品を梱包するが、その1ロットがその量より少ない場合がある。 【0005】2)連続鋳造設備と圧延設備とを直結させて素材を直送して圧延する場合には、素材量が大きくなり過ぎるので、同一サイズの製品ロットを大きくまとめて(製品の棒鋼本数を増やして)から圧延したり、あるいは需要以上に圧延して不必要な製品の在庫量が増える。 【0006】3)丸ビレットを素材に丸棒鋼を製造する場合、品質に係る理由で圧延途中において被圧延材の先端及び尾端を切断して除去する必要があるが、素材を小さくして製品ロットに合わせると、歩留まりが著しく低下する。 【0007】そこで、これらの問題の対策が種々研究、開発され、実用化した技術も多い。例えば、特開平5−38501号公報、特開平6−63601号公報,特開平7−100501号公報等は、前記した最終工程のサイジング用ロール・スタンド3に配置するロールの孔型形状や圧下条件に工夫を凝らし、ロール替えを行わずに同一ロールでサイズの異なる棒鋼を製造する技術を提案している(この技術をサイズ・フリー圧延という)。この技術によれば、圧延中に最終工程のサイジング用ロール・スタンド3でそのロールのギャップ(被圧延材を上下及び/又は左右に挟むロール同士の間隙)を変更するだけで、同一の素材からサイズがある範囲で異なる製品棒鋼を製造できるようになった。 【0008】しかしながら、これら技術を用いても前記問題がすべて解消されたわけではない。それは、圧延途中で最終工程のサイジング用ロール・スタンド3で、ロールのギャップを例えば大から小へと変更すると、圧延が高速で進行中なので、先行部分が太くて後行部分が細い所謂「テーパ」材が多量に発生する。そのため、1本の素材からせっかくサイズが種々異なる製品棒鋼が製造できても、切り捨てる部分がかなり生じ、製品歩留まりに関しては好ましくない状況となる。製品歩留まりを高めるには、圧延速度を低下させれば良いが、それでは、生産性が落ちることになる。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情に鑑み、サイズフリー技術を用いて圧延ロールを交換せず、1本の素材で異なるサイズの棒鋼を製造するに際し、従来より製品歩留まり及び生産性が高いと共に、オーダ量に応じてた生産が可能な棒鋼の圧延方法及び圧延装置を提供することを目的としている。 【0010】 【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討し、前記「テーパ」材の発生をなくすには、サイズ変更前に被圧延材を分割しておくことが必須と考えた。そして、この考えに基づき従来技術を見直し、既存の圧延機列には、ロール・ギャップを迅速に変更可能な圧下装置が備えられており、また製品棒鋼を冷却するクーリング・ベットの長さ制限のために、被圧延材を圧延中に分割する走間切断機(走間シャーともいい、鋼鋳片を走行させながら切断する切断機)が設けられていることに着眼した。つまり、既存の圧延機列の大幅な改造をしなくても、上記目的を達成する技術の開発が可能と判断して鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化したのである。 【0011】すなわち、本発明は、粗圧延機、走間切断機を介在させた中間圧延機、最終工程のサイジング圧延機を直列に配置して鋼鋳片を連続的に順次走行させると共に、サイジング圧延機のロール・ギャップを変更して圧延する棒鋼のサイズを変更する棒鋼の圧延方法において、前記走間切断機で鋼鋳片を先行材と後行材に分割し、先行材の圧延速度を速めると共に後行材の圧延速度を遅らせて後行材の先端がサイジング圧延機に到達するまでの時間を遅らせ、その間に、先行材のサイジング圧延機での圧延を終了させると同時に、該サイジング圧延機のロール・ギャップ及び圧延速度を変更し、そのロール・ギャップ及び圧延速度で引き続き後行材を圧延することを特徴とする棒鋼の圧延方法である。 【0012】また、本発明は、鋼鋳片を順次連続的に通過させる、粗圧延機、走間切断機を介在させた中間圧延機及びロール・ギャップを変更自在なサイジング圧延機を直列に配設した棒鋼の圧延装置において、前記走間切断機で分割された鋼鋳片の先行材及び後行材の位置を計測する先尾端トラッキング手段と、走間切断機より下流側圧延機及び上流側圧延機の圧延速度の変更量を決める圧延速度補正手段と、前記先尾端トラッキング手段からの情報でサイジング圧延機のロール・ギャップ及び圧延速度を変更する圧延機設定変更手段とを備えたことを特徴とする棒鋼の圧延装置である。 【0013】本発明によれば、鋼鋳片の分割後に後行材の先端がサイジング圧延機に到達する間に、先行材の圧延と後行材を圧延するためのロール・ギャップ及び圧延速度の変更とが終るようになる。その後引き続いて後行材を先行材と異なるロール・ギャップ及び圧延速度で高速圧延すれば、1本の素材から径の異なる棒鋼が、「テ−パ」材を発生させることなく迅速に圧延できるようになる。従って、棒鋼の製品歩留まりは、生産性を落とすことなく、従来より高まる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。 【0015】本発明に係る棒鋼の圧延装置は、既設の装置に、鋼鋳片の分割で生じた先行材及び後行材の位置を知る手段(例えば、光電管や接触子の利用、走行速度からの推定等)と演算機(コンピュータ)とを設けたものである。つまり、下記の手段が前記演算機に組み込まれていれば良いからである。 1)被圧延材である鋼鋳片の先尾端トラッキング手段(分割後の先行材の尾端と後行材の先端の位置を計測する) 2)圧延速度補正手段(分割後に先行材と後行材の間隔を広げるために圧延機の圧延速度を補正する) 3)圧延機設定変更手段(後行材先端の到達までにサイジング圧延機の設定を変更する) かかる装置があれば、本発明に係る棒鋼6の圧延方法は、以下のように容易に実施できる。具体的には、図4に示したように、上流から粗圧延機4(1スタンド(STD))、8STDと9STDの間に走間切断機2を介在させた中間圧延機5(2STD…18STD)、最下流のサイジング圧延機3(19STDと20STD)を直列に配置し、鋼鋳片を連続的に順次通過させる。その際、サイジング圧延機より上流側に配置した既存の走間切断機2を利用して、所定長さ(製品サイズを変更する位置)で鋼鋳片を切断する。分割後は、先行材の尾端及び後行材の先端を常時監視し、前記演算機にその位置を入力すると共に、必要に応じて出力する。 【0016】この先行材の尾端及び後行材の先端を常時監視し、演算機にその位置を入出力するため、本発明では、まず、図2に示すような先尾端トラッキング手段を備えるようにした。それは、走間切断機による切断信号、圧延機ロールの回転数、圧延機の先進率、圧延機の後進率、被圧延材の検出信号をもとにして先行材の尾端位置、該先行材尾端の19STDの通過信号、先行材尾端の20STDの通過信号を作成するものである。 【0017】次に、本発明では、分割した後に先行材尾端の速度が後行材先端の速度よりも速くなるように、先行材尾端の位置から下流側の圧延速度と後行材先端の位置から上流側の圧延速度をそれぞれ補正する。その速度補正量は、後行材の先端がサイジング圧延機に到達するまでに、サイジング圧延機の設定変更に十分な時間が確保できるような値とすれば良い。具体的には、図3(a)に示すような圧延速度補正手段で行われる。つまり、サイジング圧延機19STDの分割前の速度基準に、該サイジング圧延機の設定変更に必要な時間を乗算して、まずサイジング圧延機の設定変更に必要な先行材尾端と後行材先端との間隔(分割点間隔設定)を演算する。この分割点間隔設定を走間切断機〜18STD間の距離にて除算して、先行材の速度補正率を演算する。 【0018】そして、前記先尾端トラッキング手段にて出力された先行材の尾端位置にて先行材を圧延している圧延機(STD)を判断し、それらSTDの速度設定を図3(b)のように補正する。すなわち、先行材の尾端位置がmSTD位置の上流側にある時、mSTDは先行材を圧延中と判断する。そして、mSTDが先行材を圧延中の場合には、mSTDの分割前の速度基準に対し前記した速度補正率分だけ高い速度に、mSTDの圧延速度設定を補正する。 【0019】これによって、後行材の尾端がサイジング圧延機19STDに到達する前に、先行材の圧延を20STDで終了させると共に、以下で述べるサイジング圧延機の設定変更を終えることができる。 【0020】すなわち、本発明では、サイジング圧延機の設定変更のために、圧延機設定変更手段も備えている。それは、圧延速度の補正後に、先尾端トラッキング手段で形成された「分割後の先行材尾端がサイジング圧延機を通過するタイミング信号」に従って、サイジング圧延機のロール・ギャップ(圧下量)及び圧延速度(モータの回転数)を先行材用の設定から後行材用の設定に変更するものである。具体的には、先尾端トラッキング手段にて出力される先行材尾端の19STD(図4参照)の通過信号で19STDの圧延機設定を、先行材尾端の20STDの通過信号で20STDの圧延機設定を、先行材用の設定から後行材用の設定に変更する。これにより、後行材を先行材と異なる製品径に仕上げることができる。 【0021】本発明は、以上述べた3つの手段を既存の圧延装置に備えることで、分割した後行材を先行材と異なる径に圧延することが出来るようになり、1本の素材からサイズの異なる棒鋼を効率良く圧延することが実現できる。この場合、1本の素材に対して上記圧延方法をN回実施すれば、棒鋼製品の径をN+1種類にすることも可能である。 【0022】 【実施例】図4に示した棒鋼のタンデム・ミルを用いて、製品1ロットの本数及び径が3段階に変化する、つまり異なる丸棒鋼を、1本の丸ビレットより連続的に製造した。丸ビレットのサイズは、外径を150mmφ、長さを10、000mmとした。その際、本発明に係る棒鋼の圧延方法及び圧延装置を適用し、図1に示す手順で操業した。操業成績は、製品歩留まり及び生産性で評価し、鋼鋳片を分割せずに、サイジング圧延機のロール・ギャップだけ変更する従来の方法による場合と比較した。操業条件及び操業成績を表1に一括して示す。 【0023】 【表1】
【0024】表1より、本発明によれば、製品歩留まり及び生産性とも、従来の方法による場合に比べて格段と良くなることが明らかである。これは、本発明により、圧延速度を従来よりさほど落とさずに「テーパ」材の発生が防止できたためである。 【0025】 【発明の効果】以上述べたように、本発明により、サイズフリー技術を用いて圧延ロールを交換せず、1本の素材で異なるサイズの棒鋼を製造するに際し、従来より製品歩留まり及び生産性が高くして、オーダ量に応じた生産が可能になる。その結果、製品在庫の削減も達成された。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001258 【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区北本町通1丁目1番28号
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| 【出願日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079175 【弁理士】 【氏名又は名称】小杉 佳男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−10903(P2003−10903A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月15日(2003.1.15) |
| 【出願番号】 |
特願2001−197774(P2001−197774) |
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