| 【発明の名称】 |
化学汚染物質の処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】長谷部 吉昭 【住所又は居所】東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガノ株式会社内
【氏名】江口 正浩 【住所又は居所】東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガノ株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】有機塩素化合物等の化学物質により汚染された化学汚染物質が粘土質土壌のように粘性を有する場合でも、化学汚染物質に処理剤を適切に混合して汚染化学物質を効率良く分解することができる処理方法を提供する。
【解決手段】化学汚染物質に改質剤を添加した後に、化学汚染物質の浄化処理を行う。改質剤としては、セメント系改質剤等を用いることができる。化学汚染物質の浄化処理としては、化学汚染物質に酸化剤を添加する酸化処理等を用いることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 化学物質により汚染された化学汚染物質を浄化するに当たり、化学汚染物質に改質剤を添加した後に、該化学汚染物質の浄化処理を行うことを特徴とする化学汚染物質の処理方法。 【請求項2】 改質剤がセメント系改質剤、石膏系改質剤、石灰系改質剤、酸化マグネシウム系改質剤、フライアッシュ系改質剤、および高分子凝集剤を主成分とした土壌改質剤から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の化学汚染物質の処理方法。 【請求項3】 浄化処理が化学汚染物質に酸化剤を添加する酸化処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の化学汚染物質の処理方法。 【請求項4】 化学汚染物質が粘土質土壌であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学汚染物質の処理方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、化学物質により汚染された汚染物(化学汚染物質)を物理化学的に浄化する方法に関する。本発明に係る化学汚染物質の処理方法は、例えば有機塩素化合物に汚染された土壌、底質、汚泥等の浄化に好適に使用される。 【0002】 【従来の技術】トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有機塩素化合物は、洗浄剤として広く使用されているが、これら有機塩素化合物は発癌性物質である疑いがあるため、近年、上記有機塩素化合物による土壌、地下水等の汚染が大きな社会問題となっている。 【0003】従来、有機塩素化合物で汚染された土壌、地下水等の処理法としては、汚染土壌の封じ込め処理、汚染土壌の掘削・封じ込め処理、揚水爆気や真空抽気と活性炭吸着処理等とを組み合わせたポンプ・アンド・トリート法などが主に行われている。 【0004】また、近年では、鉄粉を用いた汚染化学物質の還元的分解処理法、鉄粉および嫌気性微生物を用いた汚染化学物質の還元的分解処理法、過酸化水素を用いた汚染化学物質の酸化分解処理法が研究されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、現在研究開発が行われている方法による化学汚染物質の浄化処理は、汚染化学物質の濃度によっては浄化完了までに半年以上の期間を要することがあり、そのため浄化完了までの期間をさらに短縮できる技術の開発が望まれていた。 【0006】また、特に汚染土壌が粘土質土壌である場合、その粘性のために処理剤の土壌への適切な混合が難しく、汚染化学物質の分解率が低くなってしまうという問題があった。これを解決する手段として、例えば水と砂のような粘性のない物質を粘土質土壌に添加し、スラリー状とする方法もある(特開2001−9438号)。しかし、例えば水および砂を添加して土壌をスラリー状にし、粘土質土壌の粘性を改善するには、土壌の質にもよるが、粘土質土壌の30重量%以上という多量の砂およびある量の水を混合する必要がある。したがって、この方法では処理後の土壌量の大幅な増大を招き、余剰分の土壌を場外搬出等の手段により処分しなければならない。また、水および砂を添加して土壌をスラリー状にする方法ではスラリーの含水率が高くなり、後の処理でさらに水溶液である浄化剤を添加する場合にさらにスラリーの含水率が高くなるため、その後のスラリー状の土壌の処理が煩雑になるという問題が生じていた。 【0007】本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、化学物質、例えばシス−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有機塩素化合物により汚染された化学汚染物質が粘土質土壌のように粘性を有する場合でも、処理後の化学汚染物質量の大幅な増大を招くことなく、化学汚染物質に処理剤を適切に混合して汚染化学物質を効率良く分解することができ、その結果、化学汚染物質を短期間で、かつ低コスト、低エネルギーで浄化することが可能な方法を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を達成するために種々検討を行った結果、土壌等の化学汚染物質に予め改質剤を添加することにより、化学汚染物質を改質して粒状化させることができ、化学汚染物質に処理剤を適切に混合して汚染化学物質を効率良く分解することが可能となって、前記目的を効果的に達成できることを見出した。 【0009】本発明は、上述した知見に基づいてなされたもので、化学物質により汚染された化学汚染物質を浄化するに当たり、化学汚染物質に改質剤を添加した後に、該化学汚染物質の浄化処理を行うことを特徴とする化学汚染物質の処理方法を提供する。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明では、まず、化学汚染物質に改質剤を添加して該化学汚染物質の改質を行う。改質剤の種類に必ずしも限定はないが、セメント系改質剤、石膏系改質剤、石灰系改質剤、酸化マグネシウム系改質剤、フライアッシュ系改質剤、および高分子凝集剤を主成分とした土壌改質剤から選ばれる1種または2種以上を好適に用いることができる。ここで、セメント系改質剤としては例えばポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、ソリジット、雑用セメント、石灰スラグセメント、鉄ポルトランドセメント、不焼(代用)セメント、白色セメント等があり、その他上記セメントに他の物質を混合して調整した混合セメント等を挙げることができる。また、石膏系改質剤としては例えば石膏等、石灰系改質剤としては例えば生石灰等、酸化マグネシウム系改質剤としては例えば酸化マグネシウム等を挙げることができる。上記の中で特にセメント系改質剤は固化性能が高く、混合したときに粘性を抑えるのに優れており、薬剤との混合性能が上がるため、本発明における改質剤として特に好ましい。 【0011】また、本発明において改質剤とは、土壌中の水分と反応して土壌の物理的強度の増大を促す作用のある薬剤を示し、土壌改質剤、土壌固化剤、土壌改良剤といわれるものも含む。 【0012】化学汚染物質への改質剤の添加量に限定はなく、化学汚染物質の種類、状態等に応じて適宜決定できるが、通常、化学汚染物質の0.1〜20重量%、より望ましくは1〜10重量%程度の改質剤を添加する。また、本発明では化学汚染物質に改質剤を加えて混合した後、10分以上、望ましくは8時間以上放置することが適当である。 【0013】本発明において、改質剤を添加する化学汚染物質は、通常は粘土質土壌である。すなわち、粘土質土壌は、その粘性のために処理剤との混合がうまく行われないが、粘土質土壌に改質剤を添加することにより、その粘性を低下させて土壌と処理剤との接触効率を上げることができる。ここでいう粘土質土壌とは、例えば粒子径62.5μm以下のシルトおよび粒子径10μm以下の粘土を50重量%以上含むような土壌を指し、このような土壌には改質剤を添加することが好ましい。ただし、本発明においては、必要に応じ、粘土質土壌以外の化学汚染物質に改質剤を添加してもよい。 【0014】本発明では、上述のように化学汚染物質に改質剤を添加した後に、該化学汚染物質の浄化処理を行う。この場合、浄化処理としては、化学汚染物質に汚染化学物質の分解剤を添加する処理を挙げることができる。また、上記分解剤としては酸化剤または還元剤を用いることができる。ここで、酸化剤としては、過酸化水素、過マンガン酸塩、過硫酸塩、およびそれらの水溶液等が好適に使用される。還元剤としては、鉄系金属化合物や銅系金属化合物等、特に還元鉄が好適に使用される。本発明において、浄化処理として特に好ましいのは、副生成物の生成が少なく、反応速度が非常に速いため浄化期間が短い等の点から、化学汚染物質に酸化剤を添加する酸化処理である。 【0015】上記酸化剤としては、過酸化水素および金属系触媒を用いることが特に好ましい。この場合、金属系触媒としては、過酸化水素と接触してヒドロキシルラジカルを発生させるものを用いる。上記金属系触媒として、具体的には、鉄、銅などの金属、鉄−銅化合物、塩化鉄、硫酸鉄等の鉄化合物、塩化銅等の銅化合物、およびそれらの水溶液から選ばれるものを用いることができ、安全面やコスト面から、特に鉄粉、硫酸鉄および塩化鉄から選ばれるものを好適に用いることができる。 【0016】より具体的には、酸化剤として過酸化水素および金属系触媒を使用する場合、土壌等の化学汚染物質の状態によっても異なるが、硫酸等の酸によって化学汚染物質のpHを1〜7、より望ましくは3〜4に調整し、0.1〜60重量%濃度、より望ましくは1〜35重量%濃度の過酸化水素水と金属系触媒とを添加して十分混合する。この場合、化学汚染物質の含水率は10〜60重量%にすることが好ましい。 【0017】本発明は、有機ハロゲン化合物に汚染された土壌、底質、汚泥等の浄化に好適に使用されるが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、シス−1,2−ジクロロエチレン(cis−DCE)、トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)、ダイオキシン類、PCB類などの有機ハロゲン化合物による汚染物の浄化のみならず、他の有機物、例えば油、ベンゼン、トルエン、キシレン等による汚染物の浄化にも適用可能である。 【0018】 【実施例】以下に実施例を示すが、下記実施例は本発明の範囲を限定するものではない。 【0019】(実施例1)シス−1,2−ジクロロエチレン(cis−DCE)およびトリクロロエチレン(TCE)に汚染された粘土質土壌150gを100mLのバイアル瓶中に入れ、この土壌に対しセメント系改質剤ジオセット(太平洋セメント社製)を重量比で5%となるように混合し、約12時間放置した。その後、酸性条件となるよう土壌に硫酸を添加し、さらに鉄粉、過酸化水素水を順次添加、混合して触媒酸化処理を行った。また、比較例として、改質剤を添加しないこと以外は同様にして触媒酸化処理を行った。本実施例における処理結果を下記表1に示す。ここで、有機塩素化合物濃度は下記溶出量試験方法にしたがって土壌からの溶出濃度として示した。なお、表1の「処理から48時間経過後」とは、過酸化水素水を添加してからの経過時間を示す。 【0020】[溶出量試験方法(環境庁告示第46号の試験方法)]土壌60gをすばやく採取し、密閉可能な容量600mLの容器に入れた後、超純水を上部の空隙が可能な限り少なくなるように添加した。これに攪拌子を入れて自公転式のスターラーを用いて4時間攪拌して溶出させた後に、上澄み液を10mL正確に採取して容積20mLのバイアル瓶に移し、セプタムおよびアルミキャップで密閉した。これを60℃で30分間振とうしてヘッドスペース部分の空気をシリンジで採取し、含まれる対象物質の濃度をガスクロマトグラフ質量分析計を用いて測定した。 【0021】 【表1】
【0022】表1より、土壌の改質処理を行った場合は、改質処理を行わない場合に比べ、汚染化学物質の分解が大幅に促進されることがわかる。 【0023】(実施例2)シス−1,2−ジクロロエチレン(cis−DCE)、トリクロロエチレン(TCE)およびテトラクロロエチレン(PCE)に汚染された土壌に対し、土壌汚染現場において実証試験を行った。この場合、掘削した汚染土壌およびセメント系改質剤ジオセット(太平洋セメント社製)(土壌に対し重量比で5%)を容量1m3の回分式二軸混合装置に投入し、1分間混合した後、混合物にビニールシートをかけて約12時間静置した。次に、上記混合物に硫酸を添加してpHを酸性条件下にした後、さらに鉄粉および過酸化水素水を添加して1分間混合した。経時変化を確認するため、処理前および処理後の汚染土壌を密閉可能なガラス瓶に採取し、これら土壌からのcis−DCE、TCEおよびPCEの溶出濃度を測定した。測定は実施例1と同様の方法で行った。本実施例における処理結果を下記表2に示す。なお、表2の「処理から24時間経過後」とは、改質剤を混合した時点からの経過時間を示す。 【0024】 【表2】
【0025】表2より、土壌の改質処理を行った場合は、従来数ヶ月単位の時間を必要としていた浄化処理を1日で完了させることができること、したがって本発明方法は非常に効率的な処理方法であることが確認された。なお、実処理においては、今回用いた回分式混合装置の他に連続式混合装置を用いることもできる。 【0026】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、有機塩素化合物等の化学物質により汚染された化学汚染物質が粘土質土壌のように粘性を有する場合でも、処理後の化学汚染物質量の大幅な増大を招くことなく、化学汚染物質に処理剤を適切に混合して汚染化学物質を効率良く分解することができ、その結果、化学汚染物質を短期間で、かつ低コスト、低エネルギーで浄化することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004400 【氏名又は名称】オルガノ株式会社 【住所又は居所】東京都江東区新砂1丁目2番8号
|
| 【出願日】 |
平成13年9月13日(2001.9.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095326 【弁理士】 【氏名又は名称】畑中 芳実 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−80223(P2003−80223A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月18日(2003.3.18) |
| 【出願番号】 |
特願2001−278306(P2001−278306) |
|