トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生




【発明の名称】 地下土壌の浄化工法
【発明者】 【氏名】山本 貴士
【住所又は居所】東京都港区南青山2−24−15 エコシステムエンジニアリング株式会社内

【氏名】濱本 信雄
【住所又は居所】東京都千代田区岩本町3−1−2 成幸工業株式会社東京支店内

【要約】 【課題】汚染土壌現位置において地下構造物をそのままにして、それより下層における汚染土壌に直接土壌浄化剤である鉄粉を供給し、撹拌・混合することによって汚染土壌近傍の地中に分散させ、容易に汚染土壌を浄化する工法を提供する。

【解決手段】通常のアースオーガからなる多軸掘削機では掘削不能な地盤以下の地下汚染土壌の浄化工法であって、回転式ケーシングドライバ工法により上層地盤を削孔排土し、該排土された削孔内下部に更に多軸オーガを用いて掘削を施し、同時に該多軸オーガの各軸端より鉄粉を吐出しながら掘削・撹拌・混合を行い、このような操作を繰り返すことによって地下の汚染土壌が存在する適宜深度域に、連続した鉄粉混合土層を多数平行して形成することを特徴とする汚染土壌の浄化工法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通常のアースオーガからなる多軸掘削機では掘削不能な地盤以下の地下汚染土壌の浄化工法であって、回転式ケーシングドライバ工法により上層地盤を削孔排土し、該排土された削孔内下部に更に多軸オーガを用いて掘削を施し、同時に該多軸オーガの各軸端より鉄粉を吐出しながら掘削・撹拌・混合を行い、このような操作を繰り返すことによって地下の汚染土壌が存在する適宜深度域に、連続した鉄粉混合土層を多数平行して形成することを特徴とする汚染土壌の浄化工法。
【請求項2】 上記回転式ケーシングドライバ工法による各削孔は、直交する二方向においていずれも互いに一部が重複して施工され、該各削孔内におけるその下部で、多軸オーガによる掘削及び鉄粉の吐出・撹拌・混合が一方向に連続し、これと直交する方向に所定間隔を設けて施工されることを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の浄化工法。
【請求項3】 上記回転式ケーシングドライバ工法による各削孔は、一方向において夫々一部が重複して、これと直交する方向において夫々が隣接するように施工され、該各削孔内におけるその下部で、多軸オーガによる掘削及び鉄粉の吐出・撹拌・混合が、該一方向において連続し、これと直交する方向に所定間隔を設けて施工されることを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の浄化工法。
【請求項4】 上記回転式ケーシングドライバ工法による削孔深度は、少なくとも地下構造物等の障害物が存在する上層地盤深度であり、多軸オーガにより掘削と同時に鉄粉を吐出・撹拌・混合する深度は、少なくとも下層の汚染土壌が存在する地盤全深度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚染土壌の浄化工法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機塩素系化合物によって汚染された地下土壌を、その原位置において鉄粉と混合することにより浄化する工法に係り、特に、汚染土壌の原位置がコンクリート等の地下構造物の下方や岩石層の下方に位置する場合において、これらの障害物を除去することなく該汚染土壌に浄化のための鉄粉を混合する形式の、地下汚染土壌の浄化工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、有機塩素系化合物によって汚染された土壌の浄化方法として鉄粉を用いることは知られており、例えば特開平10−216694号公報に記載されたものは、汚染土壌に鉄粉等金属鉄とpH調整剤、各種コンポスト、メタン生成用微生物培養地等を混合し、嫌気性微生物培養下で土壌中の有機塩素系化合物を金属鉄により分解処理する微生物・鉄粉混合法である。
【0003】その他、本発明者は先に、有機塩素系化合物を分解する反応剤である鉄粉を、汚染土壌と均一に混合する代わりに、汚染土壌中に鉄粉と汚染土壌との混合域を分散させて形成することによって浄化することを特徴とする汚染土壌の浄化工法を提案している。
【0004】ところで、一般的な有機塩素系化合物による汚染土壌は、その汚染物質である例えばPCB、ダイオキシン類等の有機塩素系化合物が地中深く浸透し、あるいは地下水等によって地下の一定域に滞留されている場合も多く、この様な地下の汚染域にある汚染土壌又は汚染物質と上記のごとき浄化剤である鉄粉を混合するためには、例えばアースオーガ等を用いて汚染土壌を掘削し、かつ鉄粉を吐出し、撹拌・混合する必要がある。
【0005】しかしながら、一般的土壌汚染域の実態は、例えばその汚染物質の発生源である化学工場跡地や廃棄物処理場跡地のごとく、汚染土壌の現土位置がコンクリート構造物の下層に位置する場合が多い。また、汚染物質発生源から地下に浸透した汚染物質が地下水により移動し、岩石土層の下方に滞留するなどして、新たな汚染源となる場合もしばしばあるが、従来公知の汚染土壌浄化工法によっては、この様な位置における汚染土壌への鉄粉の混合撹拌が極めて困難であると言う問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記汚染土壌現位置において頻発する問題を解決する新規な地下土壌の浄化工法を提供するものであって、例えば地下構造物をそのままにして、それより下層における汚染土壌に直接土壌浄化剤である鉄粉を供給し、撹拌・混合することによって汚染土壌近傍の地中に分散させ、容易に汚染土壌を浄化する工法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の手段は、通常のアースオーガからなる多軸掘削機では掘削不能な地盤以下の地下汚染土壌の浄化工法であって、回転式ケーシングドライバ工法により上層地盤を削孔排土し、該排土された削孔内下部に更に多軸オーガを用いて掘削を施し、同時に該多軸オーガの各軸端より鉄粉を吐出しながら掘削・撹拌・混合を行い、このような操作を繰り返すことによって地下の汚染土壌が存在する適宜深度域に、連続した鉄粉混合土層を多数平行して形成することを特徴とする汚染土壌の浄化工法である。そして、上記回転式ケーシングドライバ工法による各削孔は、直交する二方向においていずれも互いに一部が重複して施工され、該各削孔内におけるその下部で、多軸オーガによる掘削及び鉄粉の吐出・撹拌・混合が一方向に連続し、これと直交する方向に所定間隔を設けて施工されるか、一方向において夫々一部が重複して、これと直交する方向において夫々が隣接するように施工され、該各削孔内におけるその下部で、多軸オーガによる掘削及び鉄粉の吐出・撹拌・混合が、該一方向において連続し、これと直交する方向に所定間隔を設けて施工される。更に他の発明では、回転式ケーシングドライバ工法による削孔深度は、少なくとも地下構造物等の障害物が存在する上層地盤深度であり、多軸オーガにより掘削と同時に鉄粉を吐出・撹拌・混合する深度は、少なくとも下層の汚染土壌が存在する地盤全深度であることを特徴とする汚染土壌の浄化工法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図1乃至図4によって説明する。図1は、本発明の地下土壌の浄化工法を模式的に説明する図であって、例えば地表面GLより深度L≒30mまでを回転式ケーシングドライバ工法により削孔し、その下方の深度L≒35mを三軸オーガを用いて掘削し、その間の掘削部下端より約10mに浄化用鉄粉を掘削混合する形態を示している。
【0009】この様な工法が適用される施工地盤の状況は、例えば上層の深度L≒30mの部分に地下障害物である鉄筋コンクリート構造の旧躯体等がそのまま残されている様な場合であるが、その他に該深度Lの地層に転石層のごとく通常の多軸オーガでは掘削が不可能な上層部が存在する場合の浄化に適用される。また、この様な状況にあっては、実際に汚染されている土壌は地下水位GWLの下方に存在する場合が多く、図示の場合には地下水位GWLの下方に深度L≒5mの汚染土壌層が存在する場合を想定している。しかしながら、この様な通常の多軸オーガでは掘削不可能な地層の深度又は汚染土壌層深度、地下水位の有無等は、いずれも汚染域の状況に応じて一定でないことは言うまでもない。
【0010】図2は、上記図1において説明したごとき、例えば鉄筋コンクリート構造、コンクリート杭体等のごとき旧躯体をそのままの状態で、回転式ケーシングドライバ工法により削孔した状態と、これに続いて三軸アースオーガを用いてその下部を掘削し、必要深度に対応して鉄粉を吐出・撹拌・混合する状態を示している。
【0011】この場合の上層である深度L≒30mの削孔に用いる回転式ケーシングドライバ工法には、従来公知の施工機が用いられ、これらは通常ケーシングドライバ本体によって例えばφ=2000mmのケーシングチューブを旋回駆動する。また、ケーシングチューブの先端に固定されるケーシングビットは、(図示していない)内面カッタ、内歯カッタ、外歯カッタを備えており、鉄筋コンクリート製の地下躯体や転石層における岩石、岩盤層等も自在に掘削可能なものである。
【0012】また、この様な回転式ケーシングドライバ工法にあっては、当然にケーシングチューブの旋回駆動によって掘削された躯体や岩石の除去を、別設の(図示していない)中掘り掘削機に備えたハンマグラブにより行うものであるが、これらは従来公知のものであるので図示を省略している。
【0013】続いて、φ=2000mmのケーシングチューブを用いた回転式ケーシングドライバ工法による掘削孔D内に、三軸オーガによって符号dに示す例えば巾1500mmの掘削を施す。この場合、通常の三軸オーガの各掘削軸先端部より、汚染土壌浄化のための鉄粉を吐出可能であるが、実際の鉄粉吐出のタイミングは三軸オーガによる掘削時の適宜時期に可能としている。従って、図2に示す実施例の場合には、ケーシングドライバ工法によって深度L≒30mを削孔し、該削孔中の土石又は構造物の掘削物は全てハンマグラブにより排出し、その後に深度L≒35mを三軸オーガで掘削し、その間に最終部分の深度L≒約5mに対応する汚染土壌部分に対して、例えば深度約10mの範囲でのみ鉄粉を吐出しながら掘削・撹拌・混合できるが、この様な鉄粉を吐出しながら掘削撹拌・混合する区間の深度は、対象汚染土壌の状況に応じて適宜決定できるものである。また、当然に、三軸オーガによる掘削全域において鉄粉の吐出及び撹拌・混合を行うこともできる。
【0014】図3、図4には、夫々ケーシングドライバ工法による削孔状態と、これに続く三軸オーガによる浄化用鉄粉のための掘削状況との施工概略を示している。図3に示すように、先ず符号D〜Dに示す区域を図示しない回転式ケーシングドライバ本体と中掘り掘削機を用いて削孔する。この場合、削孔D〜Dの内径は例えばφ=2000mmとし、隣接し直交する二方向の各削孔Dが互いに一部重なるように削孔することができる。また、その回転式ケーシングドライバ工法によって削孔される深度は、上記図1に示すごとく深度L≒30mとすることができるけれども、浄化施工地盤の特性である転石層等の深度に対応して決定するものである。
【0015】次に、ベースマシンBMにより多軸オーガを駆動し、例えば三軸オーガの各掘削軸先端から浄化用鉄粉を吐出しながら汚染土壌と掘削・撹拌・混合する。この場合、実際の汚染土壌層を含む必要な深度を全て、例えば図1における深度L≒35mを全て施工することもできるが、汚染物質が地下水等によって移動滞留した深度L≒5m部分を含む適宜深度のみに鉄粉を吐出混合することもできる。
【0016】図3に示す実施形態にあっては、例えば回転式ケーシングドライバ工法による削孔D〜Dに対して、図2に示すような各掘削軸がφ=600mmである三軸オーガによる巾1500mmの掘削域dを、先ずd〜dの掘削域を連続して施工し、次の削孔d〜dを同様に、先のd〜dの掘削列から約450mmの間隔をおいて平行に施工し、更に同様に、掘削d〜dの掘削域をやはり約450mm隔てて施工することができる。また、この様にして各掘削列間における鉄粉と汚染土壌とが現実に接触していない土壌における汚染も、充分に浄化することができるものである。
【0017】図4は他の実施形態を示すものであって、図3の場合と同様に回転式ケーシングドライバ工法による削孔D〜Dを、削孔D〜D及び削孔D〜Dが夫々互いに一部重複するように施工し、但し、これらの削孔列D〜DとD〜Dは互いに隣接するように施工する。この様にして、例えば図1に示す深度L≒30mまでの削孔列が施工された後に、図3の場合と同様にφ=600mmの軸径からなる三軸オーガによる掘削と浄化剤である鉄粉の撹拌・混合工程を、掘削列d〜d,d〜d,d〜dの順に施工する。
【0018】この様な実施形態によれば、削孔列D〜D,D〜Dに対して夫々掘削列d〜d,d〜d及びd〜d,d10〜d12(図示せず)が施工可能となり、しかもこれらの各掘削列d〜d,d〜d,d〜d等の平行する各列の間隔は、約400mm程度に施工することが可能である。そして、該間隔400mmに対応する部分の汚染土壌も、上述のごとく現実に鉄粉と接触することなく浄化される。
【0019】上記の工法による汚染土壌の浄化工法にあっては、浄化剤である混合鉄粉の量を、地下水のない土壌に対しては約15kg/m〜20kg/m程度とするのが望ましい。そして、このような混合比率によって吐出混合された鉄粉混合施工域によって、上記のごとく各掘削列間の400mm〜450mm間の非混合土壌についても充分に浄化することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、通常の多軸オーガによる浄化剤である鉄粉の汚染土壌への撹拌・混合が実施できると共に、地下構造物や岩石等の障害物を予め除去することなく浄化工事が施工できるので、極めて経済的でかつ便利である。また、一回の回転式ケーシングドライバ工法による削孔に対して2列、又は二回の同削孔に対して3列の多軸オーガによる鉄粉の撹拌・混合が行えるので、極めて施工性の良い工法であると共に、全汚染土壌に対して鉄粉を混合する工法に比べて施工性が良く経済的な工法である。
【出願人】 【識別番号】599118148
【氏名又は名称】エコシステムエンジニアリング株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目24番15号
【識別番号】390036467
【氏名又は名称】成幸工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区大手前1丁目7番24号
【出願日】 平成13年9月11日(2001.9.11)
【代理人】 【識別番号】100105625
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 清暢
【公開番号】 特開2003−80221(P2003−80221A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−275641(P2001−275641)