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【発明の名称】 重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法
【発明者】 【氏名】永田 英基

【氏名】鈴木 伸子

【要約】 【課題】土壌、水、魚介類、家畜の糞、焼却灰等に含まれる重金属、ダイオキシン類及び農薬を効果的に分解する方法を提供する。

【解決手段】配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなる有効微生物群を有機廃棄物に混入して約40〜200℃の温度にて一次発酵させ、更にこれに配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなる有効微生物群を混入し、これを被処理物と共に約100〜200℃の温度にて二次発酵させることにより、該被処理物に含まれる重金属、ダイオキシン類又は農薬を分解させるようにしたことを特徴とする重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなる有効微生物群を有機廃棄物に混入して約40〜200℃の温度にて一次発酵させ、更にこれに配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなる有効微生物群を混入し、これを被処理物と共に約100〜200℃の温度にて二次発酵させることにより、該被処理物に含まれる重金属、ダイオキシン類又は農薬を分解させるようにしたことを特徴とする重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法。
【請求項2】 前記一次発酵は約24時間行われることを特徴とする請求項1の重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法。
【請求項3】 前記二次発酵は約24〜48時間行われることを特徴とする請求項1又は2の重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法。
【請求項4】 前記有機廃棄物は食物残渣であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法。
【請求項5】 前記食物残渣はオカラであることを特徴とする請求項4の重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法に関するものである。即ち、本発明は下記のものを分解する方法に関するものである。
(a)土壌、水、魚介類、家畜の糞等に含まれる重金属(b)土壌、水、焼却灰等に含まれるダイオキシン(c)土壌、水、家畜の糞等に含まれる農薬【0002】特許請求の範囲を含む本明細書においては、分解すべき重金属、ダイオキシン類又は農薬を含む土壌、水、魚介類、家畜の糞、焼却灰等を被処理物という。
【0003】
【従来の技術】被処理物に含まれる重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法は、従来より種々研究されているが、いずれも効果ないしコストの面で不十分なものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の下で、本発明は、有効微生物群に着目し、有効微生物群を利用して被処理物に含まれる重金属、ダイオキシン類及び農薬を効果的に分解する新規な方法を提供しようとしてなされてものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は下記に示す重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法を提供する。
【0006】(1)配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなる有効微生物群を有機廃棄物に混入して約40〜200℃の温度にて一次発酵させ、更にこれに配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなる有効微生物群を混入し、これを被処理物と共に約100〜200℃の温度にて二次発酵させることにより、該被処理物に含まれる重金属、ダイオキシン類又は農薬を分解させるようにしたことを特徴とする重金属、ダイオキシン類及び農薬を分解する方法(請求項1)。
【0007】(2)前記一次発酵は約24時間行われる(請求項2)。
【0008】(3)前記二次発酵は約24〜48時間行われる(請求項3)。
【0009】(4)前記有機廃棄物は食物残渣である(請求項4)。
【0010】(5)前記食物残渣はオカラである(請求項5)。
【0011】
【作用】本発明においては、有効微生物群を有機廃棄物に混入して約40〜200℃の温度にて一次発酵させ、更にこれに有効微生物群を混入して約100〜200℃の温度にて二次発酵させることにより、好気性菌群、嫌気性菌群中の高熱菌のみが残存し、高熱菌以外の菌類は死滅する。このような発酵の過程で重金属、ダイオキシン類又は農薬が分解されるものと思われる。
【0012】なお、本発明における有効微生物群は、配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなるものであるが、好気性菌群と嫌気性菌群とは共存し得るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明する。本発明においては、配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなる有効微生物群を使用する。
【0014】有効微生物群には次のものが含まれる。酵母菌、セルロース分解菌、窒素固定菌、乳酸菌、糸状菌(芳香族化合物分解菌)、マンガン還元菌(クロカビ属群―原生担子菌類)、マンガン酸化菌(有機栄養菌)、アンモニア酸化菌(亜硝酸菌)、放線菌(キチン分解菌)、硝酸菌(硝化生成細菌)、硫黄細菌(硫化水素を水素供与体として利用する細菌群)、メタン酸化菌、有胞子細菌、セルロース放線菌、セルロース糸状菌、納豆菌、リグニン分解菌、鉄酸化菌、鉄還元菌、硫酸還元菌、酢酸菌。
【0015】上記有効微生物群を有機廃棄物に混入して高熱発酵機により約40〜200℃の温度にて好ましくは約24時間一次発酵させる。
【0016】有効微生物群は、一例として有機廃棄物1000重量部に対し、1重量部(コロニー)の割合で使用する。
【0017】有機廃棄物としては例えば食物残渣が用いられる。食物残渣としては好ましくはオカラが用いられるが、その他にもコーヒー豆粕、茶殻、野菜クズ、魚介類クズ、残飯、卵殻、ビール粕、酒粕等が用いられる。
【0018】有機廃棄物としては、食物残渣以外にも、例えばバーク、製紙スラッジ、剪定枝、もみがら、米ぬか、フスマ等が用いられる。
【0019】上記の如く一次発酵させてなるもの(床材)に更に配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなる有効微生物群を混入し、これを被処理物と共に高熱発酵機により約100〜200℃の温度にて好ましくは約24〜48時間二次発酵させることにより、該被処理物に含まれる重金属、ダイオキシン類又は農薬を分解させる。床材は水分調整を兼ねて使用される。
【0020】二次発酵における有効微生物群は、一次発酵における有効微生物群1重量部(コロニー)に対し一例として約3重量部(コロニー)の割合で使用される。
【0021】分解される重金属には、カドミウム、水銀、ひ素、ニッケル、全クロム、亜鉛、銅等が含まれる。
【0022】分解されるダイオキシン類には、PCDDs、PCDFs、Co−PCBs等が含まれる。
【0023】分解される農薬には、有機りん系殺虫剤、有機りん系殺菌剤等の有機りん系農薬と有機りん系以外の殺虫剤、昆虫成長抑制剤、殺菌剤、除草剤等の農薬とが含まれる。
【0024】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0025】[実施例1]配合株数の割合が好気性菌群約55%と嫌気性菌群約45%とよりなる有効微生物群を富山県の立山連峰における年間を通じて適度な温度、湿度、風、日光のある地点にて採取した。
【0026】採取された有効微生物群には下記のものを含む120種類以上の菌類が含まれていた。酵母菌、セルロース分解菌、窒素固定菌、乳酸菌、糸状菌(芳香族化合物分解菌)、マンガン還元菌(クロカビ属群―原生担子菌類)、マンガン酸化菌(有機栄養菌)、アンモニア酸化菌(亜硝酸菌)、放線菌(キチン分解菌)、硝酸菌(硝化生成細菌)、硫黄細菌(硫化水素を水素供与体として利用する細菌群)、メタン酸化菌、有胞子細菌、セルロース放線菌、セルロース糸状菌、納豆菌、リグニン分解菌、鉄酸化菌、鉄還元菌、硫酸還元菌、酢酸菌。
【0027】採取された有効微生物群は土壌1mm中に10個以上存在した。
【0028】上記有効微生物群をブイヨン寒天培養地にて培養した。
【0029】培養された有効微生物群10g(コロニー)をオカラ10kgに混入し、高熱発酵機により約40〜200℃の温度にて24時間一次発酵させ、床材約10kgを得た。
【0030】この床材約10kgに更に培養した前記有効微生物群30g(コロニー)を混入し、これに長野県の諏訪湖湖岸100m沖の湖底にて採取した汚泥10kgを加え、約100〜200℃の温度にて高熱発酵機により24時間二次発酵させた。
【0031】上記汚泥は、ひ素、カドミウム、水銀、ニッケル、クロム、鉛等の重金属に汚染されていたが、実施例1の処理により、表1の分析結果に示すように、重金属は大幅に減少した。
【0032】表1における各重金属の分析は肥料分析方法により行われた。なお、水分の分析は加熱乾燥法により行われた。
【0033】
【表1】

【0034】[実施例2]実施例1における汚泥10kgに代えてダイオキシン類を含む焼却灰10kgを使用したこと以外は実施例1と同様の処理が行なわれた。
【0035】実施例2の処理により、図2の分析結果に示すように、焼却灰中のダイオキシン類は大幅に減少した。
【0036】
【表2】

【0037】[実施例3]実施例1における汚泥10kgに代えて農薬を含むゴルフ場の芝刈雑草10kgを使用したこと以外は実施例1と同様の処理が行なわれた。
【0038】上記芝刈雑草について処理後の残留農薬を分析した結果を表3〜表4に示す。表3〜表4は、アルカリ熱イオン化検出器で検出可能な80種類の農薬について、ガスクロマトグラフ法により一斉残留分析を行なった結果を示すものである。
【0039】実施例3の処理により、表3〜表4の分析結果に示すように、上記芝刈雑草中の農薬は検出されない程度にまで減少した。
【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、土壌、水、魚介類、家畜の糞、焼却灰等の被処理物に含まれる重金属、ダイオキシン類及び農薬を効果的に分解することができる。また、本発明の方法は有効微生物群と有機廃棄物とを用いるものであるため、コストの面でも極めて有利であるだけでなく、有機廃棄物を有効活用することができる。更に、被処理物を発酵処理することにより、有用な堆肥が得られるという効果も発揮される。
【出願人】 【識別番号】502048195
【氏名又は名称】永田 英基
【識別番号】502048209
【氏名又は名称】鈴木 伸子
【出願日】 平成14年2月8日(2002.2.8)
【代理人】 【識別番号】100082913
【弁理士】
【氏名又は名称】長野 光宏
【公開番号】 特開2003−230872(P2003−230872A)
【公開日】 平成15年8月19日(2003.8.19)
【出願番号】 特願2002−31660(P2002−31660)