トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生




【発明の名称】 溶融炉
【発明者】 【氏名】町田 敬信
【住所又は居所】東京都港区西新橋1丁目18番17号 日精株式会社内

【氏名】田浦 健治
【住所又は居所】東京都港区西新橋1丁目18番17号 日精株式会社内

【氏名】山下 繁昭
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川崎製鉄株式会社内

【要約】 【課題】使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物の減容化、無害化、再資源化を図る。

【解決手段】溶融炉1は、炉体2に、出滓口22と、下層の溶湯排出口101と、出湯口102とを備え、下層の溶湯排出口101、出湯口102に加熱コイル190を具備する。廃棄物を炉体2に投入して加熱溶融し、出滓口22から上層の溶湯を排出する一方、下層の溶湯排出口101を連続的又は間欠的に加熱することにより下層の溶湯を誘導して排出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 廃棄物を加熱溶融する炉体と、炉体に形成され、廃棄物を加熱溶融する工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離され、その湯面の上昇により上層の溶湯を排出可能な出滓口と、炉体外部に管体により形成され、一端を炉体内部の炉底側に貫装連結されるとともに、その連結端に対して上方に他端を配置され、その所定の高さに開口が設けられて、炉体側の上下各層の溶湯の比重及び各層の厚さに応じて炉体内部の溶湯から下層の溶湯を炉体外部に誘導して排出可能な下層の溶湯排出口と、下層の溶湯排出口内の溶湯を加熱可能な加熱手段と、加熱手段を制御して下層の溶湯排出口内の溶湯を加熱状態と非加熱状態に選択的に切り換える制御手段とを備え、出滓口から上層の溶湯をオーバーフローにより排出する一方、炉体内部から下層の溶湯排出口へ誘導された下層の溶湯を連続的又は間欠的に加熱することにより排出することを特徴とする溶融炉。
【請求項2】 廃棄物を加熱溶融する炉体と、炉体に形成され、廃棄物を加熱溶融する工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離され、その湯面の上昇により上層の溶湯を排出可能な出滓口と、炉体外部に管体により形成され、炉体内部の溶湯を炉体外部に誘導してその全量を出湯可能な出湯口と、出湯口内の溶湯を加熱可能な加熱手段と、加熱手段を制御して出湯口内の溶湯を加熱状態と非加熱状態に選択的に切り換える制御手段とを備え、炉体内部から出湯口へ誘導された溶湯を加熱又は非加熱により流動化又は固化することにより、出湯口を開閉し、炉体内部の溶湯量を調節することを特徴とする溶融炉。
【請求項3】 廃棄物を加熱溶融する炉体と、炉体に形成され、廃棄物を加熱溶融する工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離され、その湯面の上昇により上層の溶湯を排出可能な出滓口と、炉体外部に管体により形成され、一端を炉体内部の炉底側に貫装連結されるとともに、この連結端に対して上方に他端を配置され、その所定の高さに開口が設けられて、炉体側の上下各層の溶湯の比重及び各層の厚さに応じて炉体内部の溶湯から下層の溶湯を炉体外部に誘導して排出可能な下層の溶湯排出口と、炉体外部に管体により形成され、炉体内部の溶湯を炉体外部に誘導してその全量を出湯可能な出湯口と、下層の溶湯排出口内及び出湯口内の溶湯を加熱可能な加熱手段と、加熱手段を制御して下層の溶湯排出口内及び出湯口内の溶湯を加熱状態と非加熱状態に選択的に切り換える制御手段とを備え、出滓口から上層の溶湯をオーバーフローにより排出する一方、炉体内部から下層の溶湯排出口へ誘導された下層の溶湯を連続的又は間欠的に加熱することにより排出し、炉体内部から出湯口へ誘導された溶湯を加熱又は非加熱により流動化又は固化することにより、出湯口を開閉し、炉体内部の溶湯量を調節することを特徴とする溶融炉。
【請求項4】 廃棄物に、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の溶融炉。
【請求項5】 下層の溶湯排出口は、略L字形に形成され、炉体に連結されて略水平方向に配置された第1の管と、第1の管に略垂直方向に向けて連接された第2の管とを備え、第2の管の所定の高さに開口を備える請求項1又は3に記載の溶融炉。
【請求項6】 所定の高さは、炉体側の上層の溶湯取出レベルに対して下がった位置に設定され、所定の高さをh3、炉体内部の上層の溶湯の比重をγ1、その層の厚さをh1、下層の溶湯の比重をγ2、その層の厚さをh2とした場合、次式(γ1×h1)+(γ2×h2)=γ2×h3から算出される請求項1又は3又は5に記載の溶融炉。
【請求項7】 出湯口は、略直線形に形成され、炉体に略水平方向に向けて連結され、その連結端と略同じ高さに開口を備える請求項2又は3に記載の溶融炉。
【請求項8】 出湯口に、出湯口内の溶湯が非加熱状態で固化可能に、所定の長さ又は所定の内径が設定される請求項2又は3又は7に記載の溶融炉。
【請求項9】 下層の溶湯排出口と出湯口とを、炉体に連結されて略水平方向に配置された第1の管と、第1の管に略直交方向に向けて連接された第2の管と、第1の管に延長して略水平方向に向けて連接された第3の管とにより一体的に構成され、第2の管の所定の高さに下層の溶湯排出口の開口を備え、第3の管の先端に出湯口の開口を備える請求項3に記載の溶融炉。
【請求項10】 出湯口に挿通可能な突き部材とその駆動機構とを併設する請求項2又は3又は7乃至9のいずれかに記載の溶融炉。
【請求項11】 出湯口を開閉可能な蓋部材とその駆動機構とを併設する請求項2又は3又は7乃至10のいずれかに記載の溶融炉。
【請求項12】 下層の溶湯排出口及び/又は出湯口の管体は導電体により形成され、加熱手段に、下層の溶湯排出口及び/又は出湯口の管体を誘導加熱する手段を備える請求項1乃至11のいずれかに記載の溶融炉。
【請求項13】 全体が運搬可能に組み立て式に構成される請求項1乃至12のいずれかに記載の溶融炉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌の処分に使用する溶融炉に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、所謂一般ごみの他に、使用済みの医療用器具や一般廃棄物の排出量が増大し、また、汚染土壌が増えている。医療用器具は、主なものとして薬品の投与に使用する注射器、点滴用の容器と針、手術用の手袋やマスク、処置用の脱脂綿やテープなどがあり、金属と非金属が混在する廃棄物である。一般廃棄物は所謂産業廃棄物で、例えばコンクリートの塊の中に鉄筋や鉄骨が入ったままの建築廃材などがあり、この種の廃棄物の場合も金属と非金属が混在されていることが多い。汚染土壌は、廃棄物処理場や工場からの排出物が原因でその施設内又はその周辺の土壌が汚染されたもので、ダイオキシン汚染はその代表例である。また、廃棄物処理場の焼却炉内部に耐火材として用いられるレンガなどもまた、汚染土壌と同種の汚染部品として考える必要がある。これらの廃棄物は一般ごみと異なり焼却処理できないものが多いため、その最終処分がなお一層難しくなっている。現在、これらの廃棄物の処分に有効な手段は見当たらず、不法に投棄されたり、放置されたり、その処分をめぐって深刻な問題が多発しているところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物を処分するうえで、次のような問題がある。
(1)これらの廃棄物は焼却処理できないものが多いため、その減容化が難しい。(2)金属類、プラスチック類などの不燃性の廃棄物や、紙類などの可燃性の廃棄物が混在されていて、分別が容易でない。なお、これらの廃棄物は少なくとも金属と非金属に分別できれば、資源として再利用することができるものが多いので、金属と非金属に分別できることが望ましい。
(3)特に、使用済みの医療用器具の場合、感染性の病気を持つ患者の血液が付着されている場合があり、取り扱いを誤ると感染の恐れがあり、その処分上、十分な注意が要求される。また資源として再利用する場合、さらに無害化することが必要である。
(4)特に、汚染土壌の場合、その汚染物質による人体への影響が危惧されていて、その処分に当たり、十分な注意が要求される。また資源として再利用する場合、さらに無害化しておくことが必要である。
本発明は、このような従来の問題を解決し、使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物を減容化するとともに、これらの廃棄物を予め金属と非金属に分別することなしに金属と非金属に分けて、さらに有害物を確実に無害化して再資源化を図ることができ、併せてその処理上、安全性を確保することのできる溶融炉を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の溶融炉は、廃棄物を加熱溶融する炉体と、炉体に形成され、廃棄物を加熱溶融する工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離され、その湯面の上昇により上層の溶湯を排出可能な出滓口と、炉体外部に管体により形成され、一端を炉体内部の炉底側に貫装連結されるとともに、その連結端に対して上方に他端を配置され、その所定の高さに開口が設けられて、炉体側の上下各層の溶湯の比重及び各層の厚さに応じて炉体内部の溶湯から下層の溶湯を炉体外部に誘導して排出可能な下層の溶湯排出口と、下層の溶湯排出口内の溶湯を加熱可能な加熱手段と、加熱手段を制御して下層の溶湯排出口内の溶湯を加熱状態と非加熱状態に選択的に切り換える制御手段とを備え、出滓口から上層の溶湯をオーバーフローにより排出する一方、炉体内部から下層の溶湯排出口へ誘導された下層の溶湯を連続的又は間欠的に加熱することにより排出するものである。本発明はまた、次のように具体化される。第1に、廃棄物に、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌を含む。第2に、下層の溶湯排出口は、略L字形に形成され、炉体に連結されて略水平方向に配置された第1の管と、第1の管に略垂直方向に向けて連接された第2の管とを備え、第2の管の所定の高さに開口を備える。第3に、所定の高さは、炉体側の上層の溶湯取出レベルに対して下がった位置に設定され、所定の高さをh3、炉体内部の上層の溶湯の比重をγ1、その層の厚さをh1、下層の溶湯の比重をγ2、その層の厚さをh2とした場合、次式(γ1×h1)+(γ2×h2)=γ2×h3から算出される。第4に、下層の溶湯排出口の管体は導電体により形成され、加熱手段に、下層の溶湯排出口を誘導加熱する手段を備える。第5に、全体が運搬可能に組み立て式に構成される。この構成から、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物が炉体内部へ投入され、加熱溶融される工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離されながら湯面を上昇し、炉体に形成された出滓口から上層の溶湯がオーバーフローにより取出される。一方、炉体内部で下層の溶湯が漸次増加され、これが炉体側の上下各層の溶湯の比重及び各層の厚さに応じて炉体外部の下層の溶湯排出口へ誘導される。この溶湯排出口内の溶湯を加熱手段により連続的に加熱すると、この溶湯は溶湯排出口を上昇している間に固化することがなく、溶湯排出口を所定の高さまで上昇されて、その増加分だけがオーバーフローにより確実、かつ円滑に滴下される。また、この溶湯排出口内の溶湯を加熱手段により間欠的に加熱する場合、この溶湯は加熱と加熱の間、つまり非加熱の間に固化されていて、この溶湯排出口は閉止されるため、炉体内部で漸次増加される下層の溶湯が累積的に増加される。このような状態から下層の溶湯排出口の溶湯が加熱手段により加熱されると、これが流動化され、炉体内部で累積増加された分の下層の溶湯が下層の溶湯排出口に誘導されて、これらの溶湯が連続して、溶湯排出口を所定の高さへ上昇され、オーバーフローにより流出される。したがって、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物は廃棄物に混入している軽い非金属類が炉体内部の上に溶融スラグの層になって、また重い金属類が炉体内部の下に溶融メタルの層になって上下に分離され、溶融スラグは炉体の出滓口から排出され、溶融メタルは炉体の下層の溶湯排出口から排出されて、両者が分離処理される。なお、この分離処理後、溶融スラグ、溶融メタルは冷却され、再資源化の工程に移行される。このようにして、使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物を炉体内部に投入して加熱溶融するので、これらの廃棄物を最大限減容化してその処分を容易にすることができる。また、これらの廃棄物を金属と非金属に分別することなしに炉体へ投入して加熱溶融しても、その溶湯を炉体の出滓口と下層の溶湯排出口から溶融スラグと溶融メタルに分けて排出するので、廃棄物を金属と非金属に分けて減容化することができる。また、これらの廃棄物を炉体内部で加熱溶融するので、廃棄物に有害物が含まれていても、有害物を確実に無害化して再資源化することができ、さらにその処理上、安全性を確保することができる。また、この溶融炉の場合、炉体側の溶湯から、漸次溶融する下層の溶融メタルを増加するごとに又は累積的に増加させるごとに、確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができ、上層に一定量の溶融スラグを保持することができる。さらに、下層の溶湯排出口を誘導加熱して溶湯を加熱するので、下層の溶湯排出口の溶湯を確実に流動化することができ、漸次増加する下層の溶融メタルを確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。さらに、全体を解体して運搬できるので、この溶融炉を廃棄物が放置された現場へ移送して、廃棄物を効率的に処理することができる。
【0005】上記目的を達成するために、本発明の溶融炉は、廃棄物を加熱溶融する炉体と、炉体に形成され、廃棄物を加熱溶融する工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離され、その湯面の上昇により上層の溶湯を排出可能な出滓口と、炉体外部に管体により形成され、炉体内部の溶湯を炉体外部に誘導してその全量を出湯可能な出湯口と、出湯口内の溶湯を加熱可能な加熱手段と、加熱手段を制御して出湯口内の溶湯を加熱状態と非加熱状態に選択的に切り換える制御手段とを備え、炉体内部から出湯口へ誘導された溶湯を加熱又は非加熱により流動化又は固化することにより、出湯口を開閉し、炉体内部の溶湯量を調節するものである。本発明はまた、次のように具体化される。第1に、廃棄物に、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌を含む。第2に、出湯口は、略直線形に形成され、炉体に略水平方向に向けて連結され、その連結端と略同じ高さに開口を備える。第3に、出湯口に、出湯口内の溶湯が非加熱状態で固化可能に、所定の長さ又は所定の内径が設定される。第4に、出湯口に挿通可能な突き部材とその駆動機構とを併設する。第5に、出湯口を開閉可能な蓋部材とその駆動機構とを併設する。第6に、出湯口の管体は導電体により形成され、加熱手段に、出湯口の管体を誘導加熱する手段を備える。第7に、全体が運搬可能に組み立て式に構成される。この構成から、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物が炉体内部へ投入され、加熱溶融される工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離されながら湯面を上昇し、炉体に形成された出滓口から上層の溶湯がオーバーフローにより取出される。一方、炉体内部の溶湯は出湯口に誘導され、これが加熱手段により加熱されると、溶湯の流動化により出湯口は開通されて、この出湯口を通じて炉体内部の溶湯が確実かつ円滑にさらに効率的に抜き出される。また、出湯口の溶湯が加熱手段で加熱されない(非加熱にされる)と、溶湯の固化により出湯口は確実に閉止され、出湯が止められる。このようにして、特別な閉止部材を用いることなしに、必要に応じて出湯口を開閉することができ、廃棄物の溶湯を全量又は下層の溶融メタルを必要な量だけ排出することができる。また、出湯口を開通する場合に、その途中に溶湯の固化層などの付着物があっても、突き部材の突き動作により溶湯の固化層を突き破り、出湯口を有効に穿通することができる。したがって、廃棄物の溶湯を全量又は必要な量だけ確実に排出することができる。さらに、出湯口を蓋部材で開閉可能に塞ぐので、出湯口から溶湯の漏洩を確実に防止して安全性を高めることができる。さらに、出湯口を誘導加熱して溶湯を加熱するので、出湯口の溶湯を確実に流動化することができ、炉体内部の溶湯を確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。さらに、全体を解体して運搬できるので、この溶融炉を廃棄物が放置された現場へ移送して、廃棄物を効率的に処理することができる。
【0006】上記目的を達成するために、本発明の溶融炉は、廃棄物を加熱溶融する炉体と、炉体に形成され、廃棄物を加熱溶融する工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離され、その湯面の上昇により上層の溶湯を排出可能な出滓口と、炉体外部に管体により形成され、一端を炉体内部の炉底側に貫装連結されるとともに、この連結端に対して上方に他端を配置され、その所定の高さに開口が設けられて、炉体側の上下各層の溶湯の比重及び各層の厚さに応じて炉体内部の溶湯から下層の溶湯を炉体外部に誘導して排出可能な下層の溶湯排出口と、炉体外部に管体により形成され、炉体内部の溶湯を炉体外部に誘導してその全量を出湯可能な出湯口と、下層の溶湯排出口内及び出湯口内の溶湯を加熱可能な加熱手段と、加熱手段を制御して下層の溶湯排出口内及び出湯口内の溶湯を加熱状態と非加熱状態に選択的に切り換える制御手段とを備え、出滓口から上層の溶湯をオーバーフローにより排出する一方、炉体内部から下層の溶湯排出口へ誘導された下層の溶湯を連続的又は間欠的に加熱することにより排出し、炉体内部から出湯口へ誘導された溶湯を加熱又は非加熱により流動化又は固化することにより、出湯口を開閉し、炉体内部の溶湯量を調節するものである。本発明はまた、次のように具体化される。第1に、廃棄物に、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌を含む。第2に、下層の溶湯排出口は、略L字形に形成され、炉体に連結されて略水平方向に配置された第1の管と、第1の管に略垂直方向に向けて連接された第2の管とを備え、第2の管の所定の高さに開口を備える。第3に、所定の高さは、炉体側の上層の溶湯取出レベルに対して下がった位置に設定され、所定の高さをh3、炉体内部の上層の溶湯の比重をγ1、その層の厚さをh1、下層の溶湯の比重をγ2、その層の厚さをh2とした場合、次式(γ1×h1)+(γ2×h2)=γ2×h3から算出される。第4に、出湯口は、略直線形に形成され、炉体に略水平方向に向けて連結され、その連結端と略同じ高さに開口を備える。第5に、出湯口に、出湯口内の溶湯が非加熱状態で固化可能に、所定の長さ又は所定の内径が設定される。第6に、下層の溶湯排出口と出湯口とを、炉体に連結されて略水平方向に配置された第1の管と、第1の管に略直交方向に向けて連接された第2の管と、第1の管に延長して略水平方向に向けて連接された第3の管とにより一体的に構成され、第2の管の所定の高さに下層の溶湯排出口の開口を備え、第3の管の先端に出湯口の開口を備える。第7に、出湯口に挿通可能な突き部材とその駆動機構とを併設する。第8に、出湯口を開閉可能な蓋部材とその駆動機構とを併設する。第9に、下層の溶湯排出口及び/又は出湯口の管体は導電体により形成され、加熱手段に、下層の溶湯排出口及び/又は出湯口の管体を誘導加熱する手段を備える。第10に、全体が運搬可能に組み立て式に構成される。この構成から、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物が炉体内部へ投入され、加熱溶融される工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離されながら湯面を上昇し、炉体に形成された出滓口から上層の溶湯がオーバーフローにより取出される。一方、炉体内部で下層の溶湯が漸次増加され、これが炉体側の上下各層の溶湯の比重及び各層の厚さに応じて炉体外部の下層の溶湯排出口へ誘導される。この溶湯排出口内の溶湯を加熱手段により連続的に加熱すると、この溶湯は溶湯排出口を上昇している間に固化することがなく、溶湯排出口を所定の高さまで上昇されて、その増加分だけがオーバーフローにより確実、かつ円滑に滴下される。また、この溶湯排出口内の溶湯を加熱手段により間欠的に加熱する場合、この溶湯は加熱と加熱の間、つまり非加熱の間に固化されていて、この溶湯排出口は閉止されるため、炉体内部で漸次増加される下層の溶湯が累積的に増加される。このような状態から下層の溶湯排出口の溶湯が加熱手段により加熱されると、これが流動化され、炉体内部で累積増加された分の下層の溶湯が下層の溶湯排出口に誘導されて、これらの溶湯が連続して、溶湯排出口を所定の高さへ上昇され、オーバーフローにより流出される。したがって、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物は廃棄物に混入している軽い非金属類が炉体内部の上に溶融スラグの層になって、重い金属類が炉体内部の下に溶融メタルの層になって上下に分離され、溶融スラグは炉体の出滓口から排出され、溶融メタルは炉体の下層の溶湯排出口から排出されて、両者が分離処理される。なお、この分離処理後、溶融スラグ、溶融メタルは冷却され、再資源化の工程に移行される。このようにして、使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物を炉体内部に投入して加熱溶融するので、これらの廃棄物を最大限減容化してその処分を容易にすることができる。また、これらの廃棄物を金属と非金属に分別することなしに炉体へ投入して加熱溶融しても、その溶湯を炉体の出滓口と下層の溶湯排出口から溶融スラグと溶融メタルに分けて排出するので、廃棄物を金属と非金属に分けて減容化することができる。また、これらの廃棄物を炉体内部で加熱溶融するので、廃棄物に有害物が含まれていても、有害物を確実に無害化して再資源化することができ、さらにその処理上、安全性を確保することができる。また、この溶融炉の場合、炉体側の溶湯から、漸次溶融する下層の溶融メタルを増加するごとに又は累積的に増加させるごとに、確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができ、上層に一定量の溶融スラグを保持することができる。また、下層の溶湯排出口を誘導加熱して溶湯を加熱するので、下層の溶湯排出口の溶湯を確実に流動化することができ、漸次増加する下層の溶融メタルを確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。また、この構成から、医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物が炉体内部へ投入され、加熱溶融される工程の繰り返しにより、溶湯がその成分の比重差により上下に分離されながら湯面を上昇し、炉体に形成された出滓口から上層の溶湯がオーバーフローにより取出される。一方、炉体内部の溶湯は出湯口に誘導され、これが加熱手段により加熱されると、溶湯の流動化により出湯口は開通されて、この出湯口を通じて炉体内部の溶湯が確実かつ円滑にさらに効率的に抜き出される。また、出湯口の溶湯が加熱手段で加熱されない(非加熱にされる)と、溶湯の固化により出湯口は確実に閉止され、出湯が止められる。したがって、特別な閉止部材を用いることなしに、必要に応じて出湯口を開閉することができ、廃棄物の溶湯を全量又は下層の溶融メタルを必要な量だけ排出することができる。また、出湯口を開通する場合に、その途中に溶湯の固化層などの付着物があっても、突き部材の突き動作により溶湯の固化層を突き破り、出湯口を有効に穿通することができる。したがって、廃棄物の溶湯を全量又は必要な量だけ確実に排出することができる。さらに、出湯口を蓋部材で開閉可能に塞ぐので、出湯口から溶湯の漏洩を確実に防止して安全性を高めることができる。さらに、出湯口を誘導加熱して溶湯を加熱するので、出湯口の溶湯を確実に流動化することができ、炉体内部の溶湯を確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。さらに、出湯に際し、炉体内部から出湯口を通じて抜き出された溶湯を炉体外部において下層の溶湯排出口と共通の位置で排出処理することができ、溶湯を効率的に排出することができる。さらに、全体を解体して運搬できるので、この溶融炉を廃棄物が放置された現場へ移送して、廃棄物を効率的に処理することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態における溶融炉を示し、図1はその断面図であり、図2はその平面図であり、図3はその要部拡大断面図である。
(実施の形態1)図1、図2において、溶融炉1はプラズマ方式の電気炉として構成され、電極(負極側)3を設置された炉体2と、電極(正極側)4を垂下された天壁5とを備える。炉体2には、その周壁20に炉底21から所定の高さに溶湯の出滓口22が形成されている。この溶融炉1の運転により、炉体2内部で使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物が加熱溶融され、その溶湯の湯面が上昇されて、この出滓口22からオーバーフローすることにより、溶湯6上層の溶融スラグ61が連続滴下により取出される。
【0008】炉体2の周壁20にはまた、出滓口22とは別に、出湯装置10が設けられている。この出湯装置10の場合、炉体2内部の溶融メタル62を連続的に排出するための下層の溶湯排出口101と、炉体2内部の全量の溶湯を抜き出すための出湯口102とを一体に備えた構造になっている。
【0009】図3に示すように、出湯装置10は、炉体2外部に形成され、第1、第2、第3の管11、12、13と、これらを加熱する加熱装置19とを備える。第1、第2、第3の管11、12、13は黒鉛等の導電性材料を添加された耐火物により略中空円筒状に形成されている。なお、これらの管11、12、13は、Al2、О3、Cその他の成分を含み、発熱体としての機能を備えるとともに溶湯の高熱(1350℃〜1600℃)に対して長期間の使用に耐え得る処理が施されている。第1の管11は、一端が炉体2の周壁20下部から炉体2内部の炉底21に貫装連結されて、略水平方向に配置されている。第2の管12は、第1の管11の他端に略垂直方向に向けて一体に連接され、連通されている。この第2の管12には、その所定の高さに開口120が形成されている。第3の管13は、第1の管11の第2の管が交差する他端に延長して水平方向に向けて一体に連接され、連通されている。この第3の管13の先端に開口130が形成されている。なお、第1の管11と第3の管13は第1の管12として一体化してもよい。この場合、この第1の管12の中間に第2の管12が略直交方向に向けて連接される。
【0010】この出湯装置10の第1、第2の管11、12の略L字形をなす部分に下層の溶湯排出口101が構成されている。すなわち、下層の溶湯排出口101は、炉体2に連結され、略水平方向に配置された第1の管11と、第1の管11に略垂直方向に向けて連接された第2の管12とにより、略L字形に形成されて、炉体2に連結された一端(連結端)に対して他端が上方に配置され、その所定の高さに開口120が設けられている。ここでいう所定の高さは、炉体2側の上層の溶湯取出レベル(出滓口22レベル)に対して若干下がった位置に設定されていて、図1に示すように、この所定の高さをh3、炉体2内部の上層の溶湯6(溶融スラグ61)の比重をγ1、その層の厚さをh1、下層の溶湯6(溶融メタル62)の比重をγ2、その層の厚さをh2とした場合、次式から算出される。(γ1×h1)+(γ2×h2)=γ2×h3なお、ここでは第2の管12の最上部に開口120が設けられているが、設計上の必要から、第2の管12の全高が延ばされた場合は、第2の管12の中間(既述の所定の高さ)に開口120が形成される。このようにして、炉体2側の上下各層の溶湯6の比重及び各層の厚さに応じて炉体2内部の溶湯6から下層の溶融メタル62を炉体2外部の下層の溶湯排出口101へ誘導し、漸次増加する溶融メタル62を連続的に排出可能にしている。
【0011】また、図3において、出湯装置10の第1、第3の管11、13の略直線形をなす部分に出湯口102が構成されている。すなわち、出湯口102は、炉体2に連結され、略水平方向に配置された第1の管11と、第1の管11に略水平方向に向けて連接された第3の管13とにより、略直線形に形成されて、炉体2に連結された一端(連結端)と同じ高さに他端が配置され、その他端に開口130が設けられている。このようにして炉体2内部の溶湯6を炉体2外部の出湯口102へ誘導し、その全量を排出可能にしている。なお、第1、第3の管11、13の全長に所定の長さが設定され、第1、第3の管11、13を加熱しない状態で、炉体2内部から第1の管11へ誘導された溶湯が第3の管13の開口130に達する前に固化可能になっている。また、第1、第3の管11、13の全長に所定の長さを設定するのに代えて、第3の管13の内径に第1の管11の内径と異なる小さい寸法を設定することにより、同じ機能を持たせてもよい。
【0012】なお、この出湯口102には、安全性の向上を図るため、蓋部材15とその駆動機構、さらに補助装置として開口装置18が併設されている。蓋部材15は耐火物により形成されていて、出湯口102の開口130を開閉可能な栓構造になっている。その駆動機構は、ここでは特に図示していないが、蓋部材15を保持して進退駆動する手段と蓋部材を旋回駆動する手段とを具備し、蓋部材15が出湯口102の開口130に抜き差し可能に、さらに出湯口102の開口130に対向する位置と出湯口102から離れた位置(溶湯の排出に邪魔にならない位置)との間を移動可能に構成されている。また、開口装置18は、第3の管13内に挿通可能な突き棒181とこれを進退駆動する駆動機構(例えばシリンダ)182とを具備し、第3の管13内、特に開口130付近に固化層が発生した場合に、これを突き破り、除去可能になっている。
【0013】これら下層の溶湯排出口101、出湯口102に加熱装置19を巻装され、下層の溶湯排出口101及び出湯口102に誘導する溶湯6を加熱できるようにしている。ここで加熱装置19に、溶湯6を直接加熱するのではなく、第1、第2、第3の管11、12、13自体を発熱させる間接誘導加熱方式を採用し、図示されない交流電源に接続した複数の加熱コイル190が用いられる。なお、この加熱コイル190を構成する導体に水冷銅管が使用されている。これらの加熱コイル190は第1、第2、第3の管11、12、13の周囲に巻かれ、これら加熱コイル190の中に第1、第2、第3の管11、12、13が配置されている。これらの加熱コイル190により、第1、第2、第3の管11、12、13を1350℃〜1600℃に加熱する。また、図1に示すように、溶融炉1に近接して、溶融炉1全体を制御する制御盤14が設置されていて、この制御盤14に加熱装置19を制御して下層の溶湯排出口101及び出湯口102を加熱状態と非加熱状態に選択的に切り換える操作部141が併せて設けられている。この操作部141により、加熱装置19の動作モードが選択設定される。この動作モードには下層の溶湯排出口101、すなわち第1、第2の管11、12に巻かれた各加熱コイル190を連続的に加熱する連続運転モード、間欠的に加熱する間欠運転モード、加熱を停止する停止モード、また出湯口102、すなわち第1、第3の管11、13に巻かれた各加熱コイル190を連続的に加熱する連続運転モード、間欠的に加熱する間欠運転モード、加熱を停止する停止モードなどがある。
【0014】なお、図1において、7は使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物供給装置であり、溶融炉1の近傍に設置され、その供給口71が炉体2の天壁5又は周壁20に連結されている。この廃棄物供給装置7により一定量の廃棄物が炉体2内に連続投入可能である。また、特に図示していないが、炉体2の周囲で、出湯装置10の第2の管12の下方、第3の管13の下方に溶湯排出設備が設置されていて、溶湯排出口101、出湯口102から排出された溶湯6が冷却され、再資源化の工程に移行される。
【0015】次に、この溶融炉1の出湯方式について図1及び図3、さらに図4乃至図7を用いて説明する。なお、この溶融炉1の運転に際して、出湯装置の出湯口102は、後述する溶湯の冷却固結物により閉止され、さらに先端開口130が蓋部材15を差し込まれて閉塞されている(図3参照)。
【0016】図1、図2において、制御盤14の制御に基いて、溶融炉1が運転される。廃棄物供給装置7から廃棄物(使用済みの医療用器具又は一般廃棄物又は汚染土壌)が連続的に炉体2内部に投入されると、廃棄物は徐々に加熱溶融されて、その溶湯6が上層の溶融スラグ61と下層の溶融メタル62とに分離されながら炉体2内部に貯えられ、湯面を徐々に上昇していく。溶湯6の湯面が出滓口22まで上がり、オーバーフローすると、上層の溶湯6、すなわち溶融スラグ61が出滓口22から連続滴下により取出されていく。一方、この廃棄物の連続溶融とともに、溶融メタル62が出湯装置10の下層の溶湯排出口101(第1の管11、第2の管12)へ誘導されていく。
【0017】(加熱装置に連続運転モードを設定した場合)この場合、溶融炉1の運転開始前又は運転開始と同時に、第1、第2の管11、12に巻かれた各加熱コイル190に加熱電流が流されていて、下層の溶湯排出口101は溶湯6の高熱と略同じ温度(1350℃〜1600℃)に加熱維持されている。第1、第2の管11、12内の溶湯の有無に拘わらず、炉体2内部からこの溶湯排出口101へ誘導された溶融メタル62は固化することなしに、第1、第2の管11、12内に円滑に進入していく。炉体2内部で溶融メタル62層が漸次増加し、そのレベルが上昇していくとともに、炉体2内部から下層の溶融メタル62が下層の溶湯排出口101の第1の管11へ漸次流入し、第2の管12を上昇していく。炉体2内部で溶湯6の湯面が出滓口22レベルに上がり、第2の管12の溶融メタル62が開口120レベルに達して、両者が均衡する。図4に示すように、引き続き炉体2内部で溶融メタル62が増加されると、これに応じて下層の溶湯排出口101の第2の管12(開口120)から溶融メタル62が連続的に滴下され、その下方の溶湯排出設備に入れられる。これにより炉体2内部の溶融メタル62の量が調整される。なお、溶湯排出設備に導かれる溶融メタル62には溶融炉1の運転開始時のみ、一時的に溶融スラグ61が混入されるが、炉体2内部の上層の溶融スラグ61が下層の溶融排出口101(の連結端)の上まで上がれば、それ以降、下層の溶湯排出口101の上部開口120から溶融スラグ61の混入のない溶融メタル62のみが連続して排出され、溶湯排出設備には溶融メタル62のみが入れられていく。
【0018】なお、炉体2内部に溶湯が十分に溜まるまで、加熱装置19に通電せず(つまり下層の溶湯排出口101を加熱せず)、溶融メタル62が下層の溶湯排出口101の上部開口120よりも少し低い位置、例えば図1中、h2付近まで上昇したところで、加熱装置19を連続運転モードにより通電してもよい。このようにして第1、第2の管11、12が加熱されると、溶融メタル62が炉体2内部の最下部より下層の溶湯排出口101の上部開口120まで導かれ、炉体2内部の溶融メタル62の溶融増加とともに、上部開口120から連続的に滴下される。
【0019】また、下層の溶湯排出口101から溶融メタル62を排出する間、第3の管13の加熱コイル190は通電せず、冷却された状態になっている。このため、溶融メタル62は第3の管13へ流入するが、第3の管13の中で急激な温度低下が発生し、冷却固結される。
【0020】(加熱装置に間欠運転モードを設定した場合)この場合、炉体2内部に溶融メタル62が十分に溜まり、例えば図1中、h2付近まで上昇しても、第1、第2、第3の管11、12、13の各加熱コイル190へ通電せず、第1、第2、第3の管11、12、13を加熱しない。炉体2内部の溶融メタル62は第1の管11へ流入するが、第1、第2、第3の管11、12、13が冷却されているので、溶融メタル62は第1の管11の中で固化し、下層の溶湯排出口101の上部開口120まで達しない。このため、炉体2内部の溶融メタル62は図1中、h2を超え、さらに累積的に増加していく。この間欠運転では、図5に示すように、例えば溶融メタル62がh4に達した時点で第1、第2の管11、12の各加熱コイル190が通電される。第1、第2の管11、12が加熱されると、下層の溶湯排出口101内に固化された溶融メタル62が流動化されるとともに、炉体2内部最下部から溶融メタル62が下層の溶湯排出口101へ誘導されて、これらの溶融メタル62が下層の溶湯排出口101の上部開口120まで導かれ、オーバーフローにより連続して排出される。このとき、炉体2内部の溶融メタル62は図5中、h5の範囲だけ排出される。この溶融メタル62の排出時点で第1、第2の管11、12の各加熱コイル190の通電が止められ、炉体2内部の溶融メタル62の流出が停止される。この工程が繰り返され、一回の工程ごとに炉体2内部に累積的に増加された溶融メタル62が一度にまとめて排出される。
【0021】また、炉底21に用いている耐火物の点検や補修を行うなど溶融炉1のメンテナンスを実施するため、炉体2から全量の溶湯6を排出する場合、図6に示すように、第1、第2の管11、12の各加熱コイル190に加えて、第3の管13の加熱コイル190が通電され、第1、第2、第3の管11、12、13が加熱されて、これらの管11、12、13の中の溶融メタル62が流動化される。出湯口102先端の開口130から蓋部材15がその駆動機構により抜き取られ、その開口130が開かれる。この出湯口102を通じ、第1、第2、第3の管11、12、13内の溶湯に続いて、炉体2内部の全量の溶湯6が固化することなしに、円滑に排出される。
【0022】なお、出湯口102に差し込まれた蓋部材15により開口130付近に固化したメタルが溶融しない場合、蓋部材15が抜き取られた後、図7に示すように、突き棒181がその駆動機構182により第3の管13内へ挿入され、固化したメタルが突き破られる。突き棒181が抜き外されると、出湯口102が開口され、溶湯6が排出される。
【0023】このように上記第1の実施の形態によれば、使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物を炉体2内部に投入して加熱溶融するので、これらの廃棄物を最大限減容化してその処分を容易にすることができる。また、これらの廃棄物を金属と非金属に分別することなしに炉体2へ投入して加熱溶融し、その溶湯6を炉体2の出滓口22と下層の溶湯排出口101から溶融スラグ61と溶融メタル62に分けて排出するので、廃棄物を金属と非金属に分けて減容化することができる。また、これらの廃棄物を炉体2内部で加熱溶融するので、廃棄物に有害物が含まれていても、有害物を確実に無害化して再資源化することができ、併せてその処理上、安全性を確保することができる。
【0024】また、この溶融炉1の場合、炉体2外部に第1、第2の管11、12により略L字形に形成して、炉体2側の上下各層の溶湯6の比重及び各層の厚さに応じて炉体2内部の溶湯6から下層の溶湯6を炉体2外部に誘導し、排出する下層の溶湯排出口101を設けるとともに、この溶湯排出口101を誘導加熱する加熱装置19を設け、溶融炉1の運転中、溶融スラグ61を出滓口22から取出する間、炉体2内部で漸次増加する溶融メタル62を加熱装置19の連続運転又は間欠運転により加熱して、溶融メタル62が増加するごとに又は溶融メタルを累積的に増加させるごとに排出するようにしているので、炉体2内部の溶融メタル62の量を調整して、溶融メタル62上層に一定量の溶融スラグ61を保持することができる。
【0025】さらに、廃棄物に金属類を多く含む場合に、加熱装置19の連続運転により、下層の溶湯排出口101を連続的に加熱することにより、溶融メタル62を増加するごとに連続的に排出して、溶融メタル62を確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。反対に、廃棄物に金属類の含有量が少ない場合、加熱装置19の間欠運転により、下層の溶湯排出口101を間欠的に加熱することにより、溶融メタル62を累積的に増加させて排出することができ、溶融メタル62を確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。しかも、この間欠運転の場合、加熱装置19が間欠的に通電されるので、連続運転に比べて消費電力が大幅に少なく、さらに第1、第2の管11、12が高熱に長時間に亘って晒されることがないので、第1、第2の管11、12の寿命を伸長することができ、全体としてコストの低減を図ることができる。また、加熱装置19の連続運転でも間欠運転でも、下層の溶湯排出口101を誘導加熱して溶湯6を加熱するので、下層の溶湯排出口101の溶湯6を有効に流動化することができ、漸次増加する下層の溶融メタル62を確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。
【0026】また、炉体2外部に第1、第3の管11、13により略直線形に形成して、炉体2側の溶湯6を誘導、排出する出湯口102を設けるとともに、この出湯口102を誘導加熱する加熱装置19を設け、出湯口102を加熱することにより、出湯口102内の溶湯6を流動化するようにしているので、出湯口102を自動開通して炉体2内部の全量の溶湯6を確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。この場合に、出湯口102を誘導加熱して溶湯6を加熱するので、出湯口102の溶湯6を確実に流動化することができ、炉体2内部の溶湯6を確実に排出することができる。また、炉底21の点検、補修など溶融炉1のメンテナンスを行う場合に、炉体2内部の全量の溶湯6を短時間に排出することができる。さらに、この出湯口102を非加熱にすることにより冷却して、出湯口102内の溶湯6を積極的に固化させるようにしているので、出湯口102を溶湯6の固結物で閉止することができる。したがって、耐火物の特別な閉止部材を不要とすることができ、コストの低減を図ることができる。またさらに、この出湯口102の自動開閉により、溶湯6の出湯途中に出湯を中断することができ、溶融メタル62を必要な量だけ取り出すこともできる。
【0027】また、出湯口102に突き棒181とその駆動機構182とを併設しているので、出湯口102を開放する場合に、出湯口102内部にメタルの固化層など溶湯の固結物があっても、これを突き棒181で突き破り、出湯口102を有効に穿通することができ、全量の溶湯6を確実に排出することができる。また、この出湯口102の場合、通常、先端の開口130を蓋部材15で開閉可能に閉塞するので、溶湯6の漏洩を確実に防止して安全性の向上を図ることができる。
【0028】また、下層の溶湯排出口101と出湯口102とを、第1の管11、第2の管12、第3の管13により(又は第1の管11、第2の管12により)一体的に構成しているので、部品点数を減少してコストの低減を図ることができるとともに、出湯に際し、炉体2内部から出湯口102を通じて抜き出された溶湯6を炉体2外部において下層の溶湯排出口101と共通の位置で排出処理することができ、溶湯6を効率的に排出することができる。
【0029】図8は本発明の第2の実施の形態における溶融炉に備えた出湯装置の要部拡大断面図である。
(実施の形態2)第2の実施の形態では、第2の管の構成に第1の実施の形態と異なる部分があり、他の構成は第1の実施の形態と同じなので、ここでは第2の管の異なる部分について新たな説明を加え、他の部分については第1の実施の形態と同じ符号を付してその重複した説明を省略する。図8において、下層の溶湯排出口101の上部開口120に溶融メタル62を所定の滴下位置へ案内する排出案内部201が設けられている。この排出案内部201は第2の管12と同じ導電性を有する耐火物からなる第4の管214により形成され、第2の管12の上部に所定の滴下位置に向けて、下方斜めに連接されている。この第4の管214の周囲にも加熱コイル190が巻かれ、第1、第2、第3の管11、12、13と同様に制御盤14により制御される。
【0030】この排出案内部201(第4の管214)は、下層の溶湯排出口101の第1、第2の管11、12とともに各加熱コイル190が通電されて加熱され、第2の管12の開口120からオーバーフローにより排出された溶融メタル62が、この案内排出部201を固化することなしに流れ所定の滴下位置へ案内されて滴下される。このようにして、溶融メタル62を炉体2の周囲任意の位置に設置した溶湯排出設備に確実に滴下することができる。
【0031】なお、上記第1、第2の実施の形態では、下層の溶湯排出口101と出湯口102とを第1、第2、第3の管11、12、13により一体化しているが、下層の溶湯排出口101と出湯口102とをそれぞれ、別体の管で形成することができ、別体化しても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、下層の排出口101又は出湯口102又はこれらを一体化した出湯装置10(以下、出湯装置10等と省略する。)と炉体2との連結位置を、炉体2の周壁20下部又は底壁から任意に選定することができ、出湯装置10等を溶融炉の周辺機器に干渉することなしに備えることができる。出湯装置10等を炉体2の底壁に設ける場合は、略L字形又は略直線形をなす管体の一部が若干変形されることがある。
【0032】また、溶融炉1全体を組み立て式に構成し、その解体により運搬可能にすることにより、この溶融炉1を例えば汚染土壌の現場など、廃棄物が放置された現場へ移送し、組み立て設置することにより、汚染土壌などの廃棄物を効率良く減容化、無害化、再資源化することができる。
【0033】
【発明の効果】本発明は、上記各実施の形態から明らかなように、使用済みの医療用器具、一般廃棄物、汚染土壌などの廃棄物を炉体内部に投入して加熱溶融するので、これらの廃棄物を最大限減容化してその処分を容易にすることができる。また、これらの廃棄物を予め金属と非金属に分別することなしに炉体へ投入して加熱溶融し、その溶湯を炉体の出滓口と下層の溶湯排出口から溶融スラグと溶融メタルに分けて排出するので、廃棄物を金属と非金属に分けて減容化することができる。また、これらの廃棄物を炉体内部で加熱溶融するので、廃棄物に有害物が含まれていても、有害物を確実に無害化して再資源化することができ、併せてその処理上、安全性を確保することができる。
【0034】また、この溶融炉の場合、炉体外部に下層の溶湯排出口とこの溶湯排出口の溶湯を加熱する加熱手段とを設け、溶湯排出口の溶湯を連続的又は間欠的に加熱して、炉体の出滓口から上層の溶湯がオーバーフローにより取出されている間に、炉体内部で漸次増加していく下層の溶湯を、下層の溶湯排出口へ誘導し、その所定の高さへ上昇させ、オーバーフローにより排出するので、例えば傾動式の溶融炉のように炉体を傾動させることがなく、溶融炉の運転中に漸次増加する溶融メタルを安全に、騒音や振動が発生することなしに排出して、常に溶融メタル層上に廃棄物の溶融に必要な一定量の溶融スラグを保持することができる。また、下層の溶湯排出口を誘導加熱して溶湯を加熱するので、下層の溶湯排出口の溶湯を有効に流動化することができ、漸次増加する下層の溶融メタルを確実に排出することができる。特に、廃棄物に金属類を多く含む場合、加熱装置の連続運転により、下層の溶湯排出口を連続的に加熱することにより、溶融メタルを増加するごとに連続的に排出することができ、溶融メタルを確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。反対に、廃棄物に金属類の含有量が少ない場合、加熱装置の間欠運転により、下層の溶湯排出口を間欠的に加熱することにより、溶融メタルを累積的に増加させるごとに排出することができ、一度にある程度まとまった量の溶融メタルを確実かつ円滑に、さらに効率的に取り出すことができる。しかも、この間欠運転の場合、加熱手段を間欠的に通電するので、消費電力を低く抑えることができ、さらに下層の溶湯排出口を高熱に長時間に亘って晒すことがないので、下層の溶湯排出口の寿命を伸長することができ、全体としてコストの低減を図ることができる。
【0035】さらに、この溶融炉の場合、炉体外部に、出湯口とこの出湯口の溶湯を加熱する加熱手段を設け、出湯口を加熱することにより、出湯口内の溶湯を流動化するようにしているので、出湯口を自動開通して炉体内部の全量の溶湯を安全に、確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。また、出湯口を誘導加熱して溶湯を加熱するので、出湯口の溶湯を確実に流動化することができ、漸次増加する下層の溶融メタルを確実に排出することができる。したがって、炉底の点検、補修など溶融炉のメンテナンスを行う場合に、炉体内部の全量の溶湯を短時間に排出することができる。さらに、この出湯口を非加熱にすることにより冷却して、出湯口内の溶湯を積極的に固化させるようにしているので、出湯口を溶湯の固結物で自動閉止することができる。したがって、耐火物の特別な閉止部材やその駆動機構を不要とすることができ、コストの低減を図ることができる。またさらに、この出湯口の自動開閉により、溶湯の出湯途中に出湯を中断することができ、溶融メタルを必要な量だけ取り出すこともできる。
【0036】また、溶融炉全体として、炉体を傾動させることがないことから、集塵ダクト、廃棄物装入コンベア、スラグ排出カバーなど炉体の付帯設備の接続が容易になり、コストの低減と溶融炉全体の信頼性の向上を図ることができる。さらに、溶融炉の運転中に漸次増加する溶融メタルを排出する場合でも、また、炉体のメンテナンスなど必要に応じて炉内の全量の溶湯を排出する場合でも、従来の定置式の溶融炉と異なり、騒音、振動を伴う穴を穿つ作業や穴を塞ぐ作業を不要にしているので、溶湯を安全に、しかも容易かつ確実に排出することができる。
【出願人】 【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
【住所又は居所】東京都港区西新橋1丁目18番17号
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区北本町通1丁目1番28号
【出願日】 平成13年9月6日(2001.9.6)
【代理人】 【識別番号】100081514
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 一 (外1名)
【公開番号】 特開2003−80195(P2003−80195A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−270734(P2001−270734)