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【発明の名称】 機器又は配管の洗浄方法
【発明者】 【氏名】木代 正光
【住所又は居所】東京都港区高輪1丁目3番13号 東電工業株式会社内

【氏名】平川 雅之
【住所又は居所】東京都港区高輪1丁目3番13号 東電工業株式会社内

【氏名】尾嶋 好晴
【住所又は居所】東京都港区高輪1丁目3番13号 東電工業株式会社内

【氏名】前田 良二
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜2丁目2番22号 栗田エンジニアリング株式会社内

【氏名】久保 真弘
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜2丁目2番22号 栗田エンジニアリング株式会社内

【氏名】清滝 一宏
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜2丁目2番22号 栗田エンジニアリング株式会社内

【氏名】吉川 忠芳
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜2丁目2番22号 栗田エンジニアリング株式会社内

【氏名】石福 直
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜2丁目2番22号 栗田エンジニアリング株式会社内

【要約】 【課題】機器又は配管の洗浄域1Aと非洗浄域1Bとを簡易な手段で隔離して、洗浄域からの洗浄液のリークを確実に防止して、安価に、完全かつ効率的な洗浄を行う。

【解決手段】機器又は配管1の内部の洗浄域Aと非洗浄域Bとの境界部にバルーン4を挿入し、このバルーン4内に流体を供給して膨張させ、洗浄域1Aと非洗浄域1Bとを隔絶する。その後、非洗浄域1Bにシール水を注入した後、洗浄域1Aに洗浄液を供給して洗浄域1Aを洗浄する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機器又は配管の内部の洗浄域と非洗浄域との境界部に一または二以上のバルーンを挿入する工程と、該バルーンの内部を加圧して前記機器又は配管の内部の洗浄域を非洗浄域から隔絶する工程と、該非洗浄域にシール液を供給する工程と、前記洗浄域に洗浄液を供給する工程とを含むことを特徴とする機器又は配管の洗浄方法。
【請求項2】 前記洗浄域に供給した洗浄液を、洗浄域の一部から抜き出し、前記洗浄域の外部に備えた流路を介して、前記洗浄域の他の部分へ戻して循環させる工程を含むことを特徴とする請求項1記載の機器又は配管の洗浄方法。
【請求項3】 前記流路の少なくとも一部を大気開放することを特徴とする請求項2記載の機器又は配管の洗浄方法。
【請求項4】 前記機器又は配管と前記バルーンとが接する各部分の近傍において、前記シール液の圧力が前記洗浄液の圧力より低くならないように調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の機器又は配管の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力発電プラントや原子力発電プラント等の機器又は配管を化学洗浄液等を用いて洗浄する方法に関し、とくに洗浄すべき機器又は配管に、洗浄液との接触を避けたい機器・配管が連通して存在する場合の洗浄方法であって、簡易な隔離手段を用いて洗浄すべき機器・配管のみに洗浄液を供給して行う洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば火力発電ボイラの主蒸気管のように、洗浄すべき部位(洗浄域)に洗浄液の流入を避けたい部位(非洗浄域)が連通しているような機器又は配管の、洗浄域のみを洗浄する方法として、主蒸気管の両端を切断し、仮設配管を接続して洗浄域に洗浄液を通液する方法が提案されている(特開昭64−23096号公報、実開平4−3286号公報)。しかしながら、このような方法で大口径のボイラ出口主蒸気管を洗浄するには、洗浄前の切断や洗浄後の復旧に多大な労力と費用および工期を必要とし、工業上不利であった。
【0003】このため、より簡易な洗浄方法として、原子力発電所一次冷却水の機器等を対象に、伸縮可能なバルーン2個を栓体として配管内に設置し、バルーンとバルーンとの間の洗浄域に洗浄液を供給して洗浄する方法が提案されている(特開昭60−155998号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この方法であれば、配管を切断することなく、バルーンで仕切った洗浄域を洗浄することができるが、洗浄対象物が放射能を有する場合のように、非洗浄域に洗浄液がわずかでもリークすることが好ましくない洗浄対象物を洗浄する場合には、スケールの付着や配管材表面の腐食による不均質な配管内面とバルーンとの隙間から洗浄液が非洗浄域側へリークするのを確実に防止するために、シール性に優れた製造コストの高いバルーンを使用し、かつバルーン内圧を高める必要があり、また、万一リークした場合の対策が必要となるなど、経済面、安全面で問題がある。
【0005】本発明は上記従来の問題点を解決し、機器又は配管の洗浄域と非洗浄域とを簡易な手段で隔離して、洗浄域からの洗浄液のリークを確実に防止して、安価に、機器の健全性を確保しつつ効率的な洗浄を行うことができる機器又は配管の洗浄方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、請求項1の発明では、洗浄すべき機器又は配管の内部にその形状等に応じて必要な数のバルーンを挿入する工程と、バルーンの内部を加圧して機器又は配管の内部を遮断し、これによって洗浄しようとする領域(洗浄域)を洗浄液との接触を避けたい領域(非洗浄域)から隔絶する工程と、非洗浄域にシール液を供給する工程と、洗浄域に洗浄液を供給する工程とを含んでいる。
【0007】ここでバルーンとは、機器又は配管内に挿入し、気体又は液体を用いて拡張することによって、機器又は配管を閉塞する袋状の閉塞手段である。
【0008】この方法であれば、洗浄域には洗浄液を、非洗浄域にはシール液をそれぞれ供給するので、洗浄域と非洗浄域の圧力均衡を図ることが容易となる。
【0009】これによって、洗浄域に供給された洗浄液が非洗浄域に漏洩するのを容易に防止することが可能となり、非洗浄域に洗浄液が漏洩・流入した場合の、化学的影響や水洗対策等の二次的問題を回避することができる。
【0010】請求項2の発明では、請求項1の機器又は配管の洗浄方法において、洗浄域に供給した洗浄液を、前記機器又は配管の一部から抜き出し、該機器又配管の外部に備えた流路を介して、該機器又は配管の他の部分に戻して循環させる方法を提供する。
【0011】洗浄域に供給された洗浄液には、流動条件を与えなくともある程度の洗浄効果は発揮するが、請求項2の方法であれば、洗浄液を循環して流速と攪拌作用が加わるので、洗浄効果をさらに向上させることが可能となる。また、洗浄域が長い配管のような場合には、洗浄液を洗浄域の一端から抜き出し他端に戻すことにより配管全体を均一に循環でき、一層洗浄効果を高めることができる。
【0012】請求項3の発明では、請求項2記載の洗浄方法において、機器又は配管の外部に備えた流路の少なくとも一部を大気開放する方法を提供する。この方法であれば、洗浄域に供給された洗浄液の圧力は大気圧に等しく、機器又は配管の内部に挿入されたバルーンにかかる洗浄液側の圧力も大気圧に維持できるため、バルーンの内圧を低くすることが可能となり、製造コストが安価なバルーンで洗浄液の漏洩を防止することが可能となる。
【0013】請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、機器又は配管と内部に挿入したバルーンとが接する各部分の近傍において、シール液側の圧力が洗浄液側の圧力より低くならないように調整する方法を提供する。
【0014】この方法であれば、万一バルーンの閉鎖性能が低下した場合やバルーンの内圧が低下した場合においても、洗浄液がシール液側に漏洩すのを防止することが可能となる。また、シール液は、通常、水が使用され、少量のシール液が洗浄液側に漏洩しても洗浄液の有する洗浄効果を低下させることはない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実施の形態一例を詳細に説明する。
【0016】図1は本発明の機器又は配管の洗浄方法の実施の形態の一例を示す断面図である。
【0017】この実施の形態においては、配管1の洗浄域1Aと非洗浄域1Bとの境界域近傍に、それぞれ圧力調整用のバルブ2V,3Vを有する抜出配管2,3を設けておく。2P,3Pは圧力計である。そして、バルーン4を萎ませた状態で配管1の抜出配管2,3の設置部の間の位置に挿入しておく。このバルーン4には内部を加圧するための空気又は水等の流体供給用のホース5が接続されており、このホースSは非洗浄域1B側の抜出配管3内を通って、外部の流体供給源に接続されている。5Pは圧力計である。この抜出配管3の出口3Aにはシール液の排出配管6が接続されている。
【0018】一方、洗浄域1A側には、配管1の外部に抜出配管2から戻り配管9に至る、洗浄液を循環するための流路が設けられている。すなわち、抜出配管2の出口2Aには、抜出配管2からの洗浄液を中継槽7に送給する配管8が接続され、中継槽7には、槽内の洗浄液を洗浄域1Aへ戻すポンプPを有する配管9が設けられ、抜出配管2、配管8、中継槽7及び戻り配管9で洗浄液の循環流路が形成されている。また、配管9は、配管1に取付けられてある既設のストップバルブ10のボンネット11に接続されている。このように、洗浄域1Aは一端がバルーン4で非洗浄域1Bと、他端がストップバルブ10で非洗浄域1Cとそれぞれ隔絶する。既設のフランジがなければ、他のバルーンを用いて洗浄域のもう一方の境界部を構成して、配管9を接続してもよい。
【0019】この配管1の洗浄に当っては、まずバルーン4にホース5を経て空気又は水等の流体を供給してバルーン4を加圧させることにより、配管1内の洗浄域1Aと非洗浄域1Bとを隔絶する。抜出配管2,3により加圧したバルーンの移動が防止できる。
【0020】次に、非洗浄域1Bにシール液を張り込み満水とし、洗浄域1A側に洗浄液を張り込み満水とする。この場合、シール液の張りこ込みと洗浄液の張りこみ順序はとくに限定されない。
【0021】非洗浄域1Bは、抜出配管3のバルブ3Vの開度を調整することにより、圧力を調節する。非洗浄域1Bには所定の流量でシール液を供給し、抜出配管3からの流出液は系外へ排出する。
【0022】一方、洗浄域1Aの洗浄液は抜出配管2から配管8、中継槽7及び配管9を経て、循環させて洗浄を行う。この洗浄液の循環系路において、大気に開放した中継槽7を設けることにより、洗浄域1A側の圧力を極めて低い圧力とすることができる。
【0023】このように中継槽7を設けることにより、洗浄域1Aの圧力を低くすることができるため、バルーン4の内圧も、この洗浄域1Aの圧力に耐え得る程度に低圧化を図ることができ、噴破等に対する安全性が高められる。
【0024】従来において、バルーン4の内圧は、洗浄域1A側から非洗浄域1Bへの洗浄液のリークを防止するためにある程度高くする必要があったが、本発明では非洗浄域1Bにシール液を満たすことによって非洗浄域1Bへ洗浄液のリークを有効に防止するため、バルーン4の内圧は過度に高くする必要はなく、200kPa以下とするのが好ましい。
【0025】一方、非洗浄域1B側は、洗浄域1Aからの洗浄液のリークを防止するために、洗浄域側より低くならない圧力に調整することが望ましく、一般的には、1A側の圧力に対して0〜20kPa、特に0〜10kPaとするのが好ましい。
【0026】非洗浄域1Bの上記圧力範囲において、洗浄域1A側から非洗浄域1Bへの洗浄液のリークも、非洗浄域1B側からの洗浄域1Aへのシール液のリークをも確実に防止するために、バルーン4の内圧は10〜20kPaとするのが好ましく、特に、本発明では、非洗浄域1B側の圧力を0〜10kPa(1A側の圧力に対し)、バルーン4の内圧を10〜20kPaとし、この範囲内で両圧力を調整することにより、洗浄域1A側から非洗浄域1Bへの洗浄液のリークも、非洗浄域1B側からの洗浄域Aへのシール液のリークも確実に防止することが望ましい。
【0027】なお、シール液としては、純水、通常の工水、市水等を用いることができるが、これにヒドラジン等の防食剤、その他の薬剤を添加して、非洗浄域1B側の腐食抑制等を図ることもできる。
【0028】洗浄液としては、その洗浄対象の洗浄性に優れたものを用いることができ、例えば火力発電ボイラの機器。配管を対象とする場合には、洗浄対象物が鉄錆や酸化鉄を主体とするため、クエン酸、グリコール酸、ギ酸またはこれらの混合酸、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤、クエン酸アンモニウム等を用いるのが一般的である。またその循環流速は任意である。
【0029】このような洗浄工程終了後は、洗浄域1Aの洗浄液を排出した後、非洗浄域1Bのシール液を排出し、バルーン4を取り出して、当該設備の運転を再開することができる。
【0030】このような本発明の機器又は配管の洗浄方法は、火力発電所のボイラの主蒸気管や再熱蒸気管等の大口径管の簡易洗浄に有用であり、非洗浄域の機器の健全性を確保した上で、従来の配管の両端を切断・復旧する工法に比べて著しく短い工期で、安価に機器又は配管内の洗浄域の洗浄を行うことができる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0032】実施例1図1に示す方法で250Aの配管(アクリル管)の洗浄域の洗浄を行った。
【0033】まず、バルーンに空気を供給して膨張させて洗浄域と非洗浄域とを仕切り、次に非洗浄域にシール液としてヒドラジン100mg/L水溶液を1.5m/hrで供給すると共に、洗浄域側に洗浄液としてクエン酸とグリコール酸の混合酸を供給し、30m/hrで循環させた。このとき、非洗浄域側のバルブの開度を調整して非洗浄域の圧力を表1に示す圧力に調節すると共に、バルーン内圧を調節し、非洗浄域側から洗浄域側への洗浄液のリークの有無とリーク液量を調べ、結果を表1に示した。
【0034】なお、大気開放の中継槽が循環路に設けられているため、洗浄域側の圧力は0kPaであり、洗浄域と非洗浄域との差圧は表1に示す通りであった。
【0035】
【表1】

【0036】表1より明らかなように、洗浄域側と非洗浄域側に0〜10kPaの差圧があっても、バルーン内圧を12〜20kPaに微調整することにより、リークを防止することができる。
【0037】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の機器又は配管の洗浄方法は、バルーンにより洗浄域と非洗浄域を簡易に隔離して洗浄が行えるため、従来の、機器・配管の切断と復旧に多大な時間と費用を必要とする方法に比べて、工期が大幅に短縮され、洗浄コストの低減も達成される。
【0038】しかも、非洗浄域にシール液を注入することで、洗浄域から非洗浄域へ洗浄液がリークすることを防止することができるため、バルーンとして高度なシール性能を有する材料費・製作費の高いバルーンが不要となり、また、バルーン内圧を過度に高くする必要もなく、噴破危険度が低く、かつ簡便で安価に洗浄を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000221535
【氏名又は名称】東電工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区高輪1丁目3番13号 (住生興和高輪ビル)
【識別番号】390027188
【氏名又は名称】栗田エンジニアリング株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜2−2−22 (北浜中央ビル9F)
【出願日】 平成13年9月11日(2001.9.11)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開2003−80192(P2003−80192A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−275274(P2001−275274)