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【発明の名称】 粉塵の回収方法
【発明者】 【氏名】吉川 博雄
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜2丁目2番22号 栗田エンジニアリング株式会社内

【氏名】市川 一敏
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田工業株式会社内

【氏名】内田 敏仁
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田工業株式会社内

【要約】 【課題】ごみ焼却炉等の廃棄物焼却炉設備において発生する煤塵、飛灰、焼却灰等の粉塵を、作業員や周辺環境に悪影響を及ぼすことなく、安全にかつ効率的に回収する。

【解決手段】廃棄物焼却炉設備から発生する煤塵、飛灰、焼却灰等の粉塵4をエジェクター1の吸い込み口3から吸引し、エジェクター1内で粉塵と水とを混合し、湿潤状態になった粉塵を回収する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 廃棄物焼却炉設備から発生する煤塵、飛灰、焼却灰等の粉塵を回収する方法において、該粉塵をエジェクターの吸い込み口から吸引し、エジェクター内で粉塵と水とを混合し、湿潤状態になった粉塵を回収することを特徴とする粉塵の回収方法。
【請求項2】 請求項1において、該エジェクター内に重金属固定化剤、pH調整剤、及び有害物質吸着剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の粉塵処理剤を供給して、該エジェクター内において、湿潤状態になった粉塵に該粉塵処理剤を加えて処理することを特徴とする粉塵の回収方法。
【請求項3】 請求項1において、回収された湿潤状態になった粉塵に、重金属固定化剤、pH調整剤、及び有害物質吸着剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の粉塵処理剤を加えて処理することを特徴とする粉塵の回収方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却炉等の廃棄物焼却炉設備における点検作業、清掃作業、除染作業、解体作業等の際に、該設備内に残留する煤塵、飛灰、焼却灰等の燃え殻、燃えかす、焼却残渣(以下、これらの焼却により発生する設備内残留物を「粉塵」と総称する場合がある。)を作業員や周辺環境に悪影響を及ぼすことなく、安全にかつ効率的に回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ごみ焼却炉等の廃棄物焼却炉設備においては、焼却により、煤塵、飛灰、焼却灰等の燃え殻、燃えかす、焼却残渣等の粉塵が発生する。発生した粉塵の多くは焼却設備の運転中に系外に排出されるものであるが、その一部は炉壁、煙道等に付着したり炉底部等に堆積して残留する。このため、廃棄物焼却炉設備の点検作業、清掃作業、除染作業、解体作業等の際には、設備内に残留する粉塵を回収し、系外へ排出して処理する必要がある。
【0003】ところで、ごみ焼却炉等の焼却炉設備においては、燃焼中に、フェノール、ベンゼン、アセチレン等の有機化合物、クロロフェノール、クロロベンゼン等の塩素系芳香族化合物や塩素系アルキル化合物等のダイオキシン類前駆体が発生する。これらのダイオキシン類前駆体は、飛灰が共存するとその触媒作用でポリ塩化−p−ジベンゾダイオキシン類(PCDD),ポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDF),コプラナーポリクロロビフェニル等の有機塩素化合物(以下、これらを併せて「ダイオキシン類」と称する。)を生成する。従って、焼却施設内に残留する粉塵には、ダイオキシン類が含有されている。
【0004】従来、廃棄物焼却炉設備から発生する焼却残渣に含まれるダイオキシン類の労働者及び周辺環境への影響が、豊能郡美化センターのダイオキシン類汚染調査結果等から発表されたことを受け、■ 日常、焼却灰等の取り扱い時には、予め散水等の加湿及び湿潤化を行う。
■ 設備内の湿潤化、混練機の密閉化等の措置を講ずることにより、灰出し設備、貯留中の焼却灰等の飛散、溶出を防止する。
■ 焼却炉、冷却設備、排ガス処理設備等の清掃の際、設備周りを湿潤化することにより飛散を防止する。
等の指導がなされ、廃棄物焼却炉設備においては主に湿潤化による対策が講じられている。
【0005】このため、従来においては、焼却炉やその周辺設備に付着、堆積している粉塵を回収する場合には、粉塵が飛散しないようにホース等で水を撒きながら、スコップ等で粉塵を回収している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この場合には、粉塵の堆積物の表面は散水で湿潤化されるが、内部は乾燥しており、スコップで表層を回収すると内部の乾燥した粉塵が表出してこれが飛散することにより作業環境が悪化するという問題があった。また、散水のための作業員とスコップで回収するための作業員とが必要となり、作業効率が悪いという欠点がある。
【0007】更に、散水を行った場合には、排水中に含まれた粉塵が回収されずに系外へ漏れ出て汚染が広がる恐れもあり、また、排水処理装置への負荷が増大するという欠点もある。
【0008】粉塵を乾燥状態のまま真空式掃除機等で吸引して回収することも可能であるが、この場合には粉塵が少量でも水分を含んでいると吸引部分が目詰りするため、長時間安定に作業を行うことは困難である。
【0009】また、粉塵には重金属、ダイオキシン類等の有害物質や酸性成分、アルカリ性成分が含まれている場合があり、そのままでは作業員や周辺環境に悪影響を及ぼすことも考えられ、安全に取り扱えるように処理する必要がある。
【0010】本発明は上記従来の問題点を解決し、ごみ焼却炉等の廃棄物焼却炉設備において発生する煤塵、飛灰、焼却灰等の粉塵を、作業員や周辺環境に悪影響を及ぼすことなく、安全にかつ効率的に回収することができる粉塵の回収方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の粉塵の回収方法は、廃棄物焼却炉設備から発生する煤塵、飛灰、焼却灰等の粉塵を回収する方法において、該粉塵をエジェクターの吸い込み口から吸引し、エジェクター内で粉塵を水とを混合し、湿潤状態になった粉塵を回収することを特徴とする。
【0012】請求項2の粉塵の回収方法は、請求項1において、該エジェクター内に重金属固定化剤、pH調整剤、及び有害物質吸着剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の粉塵処理剤を供給して、該エジェクター内において、湿潤状態になった粉塵に該粉塵処理剤を加えて処理することを特徴とする。
【0013】請求項3の粉塵の回収方法は、請求項1において、回収された湿潤状態になった粉塵に、重金属固定化剤、pH調整剤、及び有害物質吸着剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の粉塵処理剤を加えて処理することを特徴とする。
【0014】本発明の方法によれば、高圧水を駆動流体とするエジェクターの吸い込み口先端を粉塵の堆積物中に挿入し、高圧水の高速噴流により粉塵を吸い込み口から吸引することにより、粉塵を飛散させることなく吸引し、粉塵を水との混合物(以下「粉塵スラリー」と称す。)として湿潤状態で回収することができる。
【0015】このため、作業員や周辺環境に悪影響を及ぼすことはなく、また、汚染範囲を広げる恐れもなく、粉塵を安全に回収することができ、排水処理の負荷の増大も抑えることができる。
【0016】しかも、エジェクターによる吸引作業は一人の作業員で容易に実施することができ、作業効率も向上する。
【0017】なお、エジェクターの駆動流体として利用される高圧水は、圧力10〜30MPa、特に15〜20MPaの状態で使用するのが好ましい。エジェクターからの粉塵スラリーが供給される次の受け槽までの距離が短い場合(例えば約10〜15m以内)は、エジェクターの駆動流体としては、高圧水ではなく、低圧水を使用することもできる。駆動流体としての低圧水は、例えば圧力約1MPa以内の状態で使用することができる。
【0018】請求項2,3の方法によれば、エジェクター内において、或いは回収された湿潤状態の粉塵に、重金属固定化剤、pH調整剤、及び有害物質吸着剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の粉塵処理剤を加えて処理することにより、粉塵に含まれる有害物質による作業員や周辺環境に対する悪影響を防止することができる。
【0019】粉塵処理剤としては、重金属固定化剤、pH調整剤、有害物質吸着剤等を粉塵の性状に応じて用いることができる。重金属固定化剤としては、ジチオカルバミン酸に代表されるキレート剤系重金属固定化剤、硫化物、リン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、鉄塩に代表される無機系重金属固定化剤等が使用できる。pH調整剤としては、一般的な酸、アルカリや、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、ポリ塩化アルミニウム等が使用できる。重金属固定化剤、pH調整剤の添加形態は、固体、液体、水溶液等を適宜選択して使用する。有害物質吸着剤としては、活性炭、合成ゼオライト等や、活性白土等の多孔性粘土成分等が使用できる。有害物質吸着剤は、吸着すべき有害物質に応じて、吸着能、細孔径、粒径等の性能を適宜選択して使用する。粉末状、微粒子状、粒状の有害物質吸着剤は水又は水溶液等と混合してスラリー状にして供給するのが好ましい。
【0020】これらの粉塵処理剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0021】請求項2において、エジェクター内に粉塵処理剤を供給する方法は、エジェクターに供給する駆動流体の水に予め粉塵処理剤を添加しておき、エジェクター内で粉塵スラリーと混合しても良いし、エジェクターの吸引力を利用して粉塵処理剤を添加して、エジェクター内で粉塵スラリーと混合しても良い。エジェクターは高圧水の高速噴流により吸い込み口から吸引するものであるため、粉塵処理剤を粉塵と共に吸い込み口から供給することも可能であり、また、吸い込み口を分岐して二口とし、粉塵と粉塵処理剤とを別々に吸引することも可能である。更に、エジェクターの粉塵吸い込み口の対向部に別途吸い込み口を設けて、粉塵処理剤を粉塵とは別に吸引することもできる。このように粉塵処理剤を吸引により供給する場合は、それぞれの吸い込み口で口径、即ち吸引量を調節するための調節弁を設けて、粉塵処理剤の供給量を調整するのが好ましい。粉塵処理剤は別途設けた粉塵処理剤タンク等に貯留して、添加することができる。
【0022】また、エジェクターを直列に複数段接続して設けることにより、エジェクターの吸い込み口を増やすことができ、数種類の粉塵処理剤を別々に添加したり、別々の添加量で添加することも可能となる。
【0023】請求項3における粉塵処理剤の添加方法は、エジェクターの出口、粉塵スラリーを排出するホース、ホースから排出された粉塵スラリーを受ける受け槽、系外の処理設備、後段の排水処理設備等の添加場所で、湿潤状態になった粉塵(粉塵スラリー)に粉塵処理剤を添加するものである。必要に応じて攪拌混合手段等を使用して粉塵スラリーと粉塵処理剤を混合しても良い。
【0024】なお、請求項2の方法と請求項3の方法を併用し、エジェクター内に粉塵処理剤を供給し、更に回収された粉塵スラリーに粉塵処理剤を供給しても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の粉塵の回収方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】図1〜3は、本発明の粉塵の回収方法の実施の形態を示す説明図である。
【0027】図1の方法においては、高圧水2を駆動流体とするエジェクター1の吸い込み口3を粉塵4の堆積物中に挿入して粉塵4を吸引する。吸い込み口3から吸引された粉塵は、エジェクター1内で高圧水流と混合され、泥漿状の粉塵スラリーとして該エジェクター1から流出する。この粉塵スラリーは、エジェクター1から必要に応じホース5を介して回収容器等にそのまま回収しても良く、バキュームクリーナーで回収しても良い。回収された粉塵スラリーは系外の処理設備に移送され、処理される。
【0028】本発明においてエジェクターとしては、各種のものを用いることができる。吸い込み口の口径や高圧水による吸引力等については、回収対象とする粉塵の量や状況に応じて適宜決定される。エジェクターに使用される高圧水は必ずしも清浄な水である必要はなく、各種排水の一次処理水や、回収した粉塵スラリーを固液分離して得られた分離水、系外の処理設備で処理した処理水であっても良い。
【0029】図2(a)は請求項2の粉塵の回収方法の実施の形態を示す説明図であり、図2(b)は図2(a)の要部(エジェクター部分)の拡大図である。
【0030】この実施の形態では、ごみ焼却炉10内の飛灰11をエジェクター12で吸引して回収する。このエジェクター12には、ごみ焼却炉10の施設内に駐車した高圧ポンプ車13から高圧ホース14より高圧水が供給される。この高圧ポンプ車13には、給水タンク15と高圧ポンプ16が搭載されており、給水タンク15に市水及び/又は後述の排水処理設備19の処理水が給水される。エジェクター12で高圧水と混合されて回収された粉塵スラリーは、回収用ホース17より受け槽18に回収される。受け槽18内の粉塵スラリーは水中ポンプPで排水処理設備20に送給されて処理され、処理水は高圧ポンプ車13の給水タンク15に送給されて高圧水として循環再利用されるか、或いは放流される。
【0031】エジェクター12の吸い込み口12Aには飛灰吸引用のホース20が取り付けられており、このホース20の先端を飛灰11の堆積物中に挿入して飛灰11を吸引する。また、エジェクター12の飛灰吸引用の吸い込み口12Aとは別に、粉塵処理剤供給用の吸い込み口12Bが設けられており、この吸い込み口12Bに調節弁21を介して粉塵処理剤供給用のホース22が取り付けられている。粉塵処理剤供給用ホース22の先端は、粉塵処理剤貯槽23の粉塵処理剤内に挿入されている。
【0032】この実施の形態では、高圧ホース14から供給される高圧水による吸引力で飛灰11をホース20、吸い込み口12Aを経て吸引すると共に、粉塵処理剤貯槽23内の粉塵処理剤をホース22、調節弁21、吸い込み口12Bを経て吸引し、エジェクター12内で飛灰に粉塵処理剤を高圧水と共に混合し、飛灰を粉塵処理剤含有粉塵(飛灰)スラリーとして回収することができる。
【0033】図3は請求項2の粉塵の回収方法の他の実施の形態を示すエジェクター部分の説明図である。
【0034】この実施の形態は、エジェクターを2段に直列に接続して用いる点が、図2に示す実施の形態と異なり、その他は同様の構成とされている。図3において、図2に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
【0035】第1のエジェクター12の後段に接続された第2のエジェクター24の吸い込み口24Aには調節弁25を介して第2の粉塵処理剤供給用のホース26が取り付けられており、このホース26の先端は第2の粉塵処理剤貯槽27の粉塵処理剤内に挿入されている。
【0036】この実施の形態では、高圧ホース14から供給される高圧水による吸引力で、第1のエジェクター12において、飛灰11をホース20、吸い込み口12Aを経て吸引すると共に、第1の粉塵処理剤貯槽23内の第1の粉塵処理剤をホース22、調節弁21、吸い込み口12Bを経て吸引し、更に、第2のエジェクター24において、第2の粉塵処理剤貯槽27内の第2の粉塵処理剤をホース26、調節弁25、吸い込み口24Aを経て吸引し、飛灰に第1の粉塵処理剤及び第2の粉塵処理剤を混合し、飛灰を2種類の粉塵処理剤を含有する粉塵(飛灰)スラリーとして回収することができる。
【0037】このような本発明の粉塵の回収方法は、ごみ焼却炉等の廃棄物焼却炉設備における点検作業、清掃作業、除染作業、解体作業等の際に、設備内の煤塵、飛灰、焼却灰等の燃え殻、燃えかす、焼却残渣等の粉塵を除去して、処理設備へ移送する際の粉塵の回収に有用であり、作業の安全性と効率を高めることができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0039】実施例1図2に示す本発明の方法に従ってエジェクター内に粉塵処理剤を供給しながら飛灰の回収を行った。エジェクターとしては栗田エンジニアリング社製「高圧エジェクター」を用い15MPaの高圧水(市水)を4m/hrで供給した。また、粉塵処理剤としては、キレート剤系重金属固定化剤のアッシュナイトS801(栗田工業(株)製)を粉塵(飛灰)スラリーのSSに対して2重量%の割合で添加した。なお、回収された粉塵スラリー中のSS量は100kg/hrであり粉塵スラリーのSS濃度は平均約2.5重量%であった。回収された粉塵スラリーを環境庁告示13号試験に供し、重金属成分の処理状況を確認し、結果を表1に示した(No.1)。
【0040】なお、比較のため粉塵処理剤を用いなかったこと以外は同様にして飛灰の回収を行い、回収された粉塵スラリーを環境庁告示13号試験に供し、結果を表1に示した(No.2)。
【0041】
【表1】

【0042】粉塵処理剤の使用の有無にかかわらず、エジェクターにより粉塵の飛散の問題もなく、飛灰を効率的に回収することができたが、粉塵処理剤を用いることにより、回収した粉塵スラリーに含まれていた重金属成分を十分に処理することができることが確認された。
【0043】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の粉塵の回収方法によれば、ごみ焼却炉等の廃棄物焼却炉設備において発生する煤塵、飛灰、焼却灰等の粉塵を湿潤状態として、作業員や周辺環境に悪影響を及ぼすことなく、安全にかつ効率的に回収することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿3丁目4番7号
【識別番号】390027188
【氏名又は名称】栗田エンジニアリング株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜2−2−22 (北浜中央ビル9F)
【出願日】 平成13年9月12日(2001.9.12)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開2003−80188(P2003−80188A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−276816(P2001−276816)