| 【発明の名称】 |
壁装材の汚れ処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】入江 尚之 【住所又は居所】東京都葛飾区立石8−39−6 株式会社インクコーポレーション内
|
| 【要約】 |
【課題】壁装材の合断ちの部分に付いた汚れを簡単に除去できるようにする。
【解決手段】壁面に貼られた壁装材シートの合断ち部分に苛性ソーダ水溶液を塗工する第1の工程と、苛性ソーダ水溶液が塗工された壁装材シートの合断ち部分に過酸化水素水とシルブライトとの混合液を塗工する第2の工程とを有し、第1の工程で汚れを浮き立たせた後、浮かせた汚れを第2の工程で除去することにより、壁装材シートの合断ち部分に付いた汚れを簡単に除去できるようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 壁面に貼られた壁装材の合断ち部に苛性ソーダ水溶液を塗工する第1の工程と、上記苛性ソーダ水溶液の塗工後に、上記壁装材の合断ち部に過酸化水素水と塩素系脱色剤との混合液を塗工する第2の工程とを有することを特徴とする壁装材の汚れ処理方法。 【請求項2】 上記過酸化水素水と塩素系脱色剤との混合液の塗工後に、上記壁装材の合断ち部に非ハロゲン系熱可塑性樹脂層を塗工する第3の工程を有することを特徴とする請求項1に記載の壁装材の汚れ処理方法。 【請求項3】 上記苛性ソーダ水溶液は、苛性ソーダの含有量が1%以上10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の壁装材の汚れ処理方法。 【請求項4】 上記過酸化水素水と塩素系脱色剤との混合液は、上記過酸化水素水に対する上記塩素系脱色剤の含有量が1%以上10%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の壁装材の汚れ処理方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は壁装材の汚れ処理方法に関し、特に、合断ちの部分に生じた隙間に付着した汚れを除去する方法に用いて好適なものである。 【0002】 【従来の技術】従来、壁装材としては、紙製の基材上に塩化ビニル樹脂層を形成し、この塩化ビニル樹脂層の上に印刷などにより絵柄層を設けたもの、あるいは、上記塩化ビニル樹脂層を発泡させるとともにエンボス加工を施すなどして凹凸模様を施したものなど、塩化ビニル壁紙と呼ばれる化粧シートが広く用いられている。 【0003】ところが、これらの塩化ビニル壁紙は、表面が汚れやすく、しかもこれを除去することが困難であるといった問題がある。これは、塩化ビニル樹脂に大量の可塑剤が配合されていることや、発泡や凹凸模様を形成するために塩化ビニル壁紙の表面に微細な凹凸や空隙が生じることなどが原因である。 【0004】このような問題を解決するために、従来、塩化ビニル壁紙の表面層に、耐汚染性を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体のフィルム(例えば、エバール(登録商標)フィルム)を積層した壁装材や、耐汚染性を有する非ハロゲン系熱可塑性樹脂(例えば、エバール樹脂)層を基材上に塗工した壁装材が用いられている。このような壁装材を用いれば、表面に汚れが付きにくくなり、仮に汚れが付いても容易に落とすことが可能となる。 【0005】ところで、壁装材シートを住宅等の壁に貼り付ける際は、シートを適当な長さに切断し、それを縦方向に並べて貼付する。この貼付の際、隣り合うシートの繋ぎ目の部分は、合断ちと呼ばれる方法によって切断する。合断ちは、図3に示すように、繋ぎ合わせる2枚の壁紙地51a,51bを数cm重ね合わせて壁に貼付し、重なった部分のほぼ中央(一点鎖線で示す)を切断することにより、繋ぎ目を隙間なく確実に貼付するための一般的な手法である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】合断ちの手法を用いれば、施工当初は壁装材シートを壁面に隙間なく貼付することが可能である。しかしながら、時間の経過と共に、家屋の歪みや壁装材の伸縮などが原因となって、合断ちの部分に隙間が生じてしまう。その隙間の部分はエバール樹脂等が形成されていないため、汚れが容易に付いてしまうという問題があった。 【0007】従来、合断ちの繋ぎ目部分に生じた隙間に汚れが付いた場合には、壁装材シートを新しいものに貼り替えることによって対応していた。しかしながら、繋ぎ目以外の部分が汚れていないにもかかわらず、シート全体を貼り替えることは、多大な労力とコストがかかるばかりでなく、限られた資源を無駄に使うことになるという問題があった。 【0008】本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、壁装材の合断ちの部分に付いた汚れを簡単に除去できるようにすることを目的とする。また、本発明は、壁装材の合断ちの部分に付いた汚れを簡単に除去するだけでなく、その後も汚れが付きにくくすることをも目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明による壁装材の汚れ処理方法は、壁面に貼られた壁装材の合断ち部に苛性ソーダ水溶液を塗工する第1の工程と、上記苛性ソーダ水溶液の塗工後に、上記壁装材の合断ち部に過酸化水素水と塩素系脱色剤との混合液を塗工する第2の工程とを有することを特徴とする。 【0010】本発明の他の態様では、上記過酸化水素水と塩素系脱色剤との混合液の塗工後に、上記壁装材の合断ち部に非ハロゲン系熱可塑性樹脂層を塗工する第3の工程を有することを特徴とする。 【0011】本発明のその他の態様では、上記苛性ソーダ水溶液は、苛性ソーダの含有量が1%以上10%以下であることを特徴とする。本発明のその他の態様では、上記過酸化水素水と塩素系脱色剤との混合液は、上記過酸化水素水に対する上記塩素系脱色剤の含有量が1%以上10%以下であることを特徴とする。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による壁装材の汚れ処理方法の手順を示す図、図2は、汚れ処理方法の対象とする壁装材の例を示す図である。 【0013】図2(a)に示すように、本実施形態による汚れ処理方法の対象とする壁装材シート1は、基材層2の上に、非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる表面層4を、例えば溶液塗工法や加熱溶融塗工法等により塗工したものである。基材層2としては、紙、難燃紙、不燃紙、有機繊維または無機繊維の織布、不織布などを用いることが可能である。 【0014】また、表面層4としては、耐汚染性に優れた非ハロゲン系熱可塑性樹脂を主体とする組成物を用いることが可能である。非ハロゲン系熱可塑性樹脂としては、例えば、ハロゲンを含有しないアクリル系樹脂、オレフィン系樹脂(エバール樹脂等)、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エステル系樹脂、あるいはこれらの混合樹脂等を挙げることができる。この表面層4には、周知の印刷法により絵柄が形成される。 【0015】また、図2(b)に示すように、本実施形態による汚れ処理方法の対象とする壁装材シート1は、基材層2の上に発泡剤を主体とする発泡層3を形成し、その発泡層3の上に非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなる表面層4を形成したものであっても良い。発泡層3に用いる発泡剤としては、低沸点の炭化水素、フロンガスや石油エーテル等の揮発性物質等を内包した熱膨張型カプセル発泡剤、あるいは、熱分解型発泡剤等を挙げることができる。 【0016】このように形成された壁装材シート1を壁面に貼り付ける際には、図3にて説明したような合断ちの手法が用いられる。この合断ちの手法によれば、壁装材シート1を壁面に隙間なく貼付することが可能である。しかし、時間の経過に伴って合断ちの部分に隙間が生じ、その部分に汚れ(マジック、クレヨン、口紅、植物油、たばこのヤニなど)が付着することがある。その場合でも、図1に示す手順に従って、汚れを簡単に除去することが可能である。 【0017】まず、壁面に貼られた壁装材シート1における合断ちの繋ぎ目部分に、苛性ソーダ水溶液を塗工する(ステップS1)。これは繋ぎ目部分に付着した汚れを浮き立たせるためである。汚れを浮かせる作用を有するものであれば、苛性ソーダ水溶液以外のものを用いても良い。 【0018】次に、上記苛性ソーダ水溶液が塗工された合断ちの繋ぎ目部分に、過酸化水素水とシルブライト(登録商標)等の塩素系脱色剤との混合液を塗工する(ステップS2)。これは、苛性ソーダ水溶液で浮かせた汚れを除去し、合断ち部分を漂白するためである。この混合液の塗工は、苛性ソーダ水溶液が乾いた後に行うのが好ましい。苛性ソーダ水溶液が乾かない状態で混合液を塗工すると、混合液が壁装材シート1の裏打ち紙に回り込みやすくなり、そこで化学変化を起こしてしまうことがあるからである。 【0019】なお、ここでは過酸化水素水とシルブライトとの混合液を用いているが、過酸化水素水だけでも良い。また、過酸化水素、ケイ酸ソーダ、キレート剤、活性剤などの混合水溶液などを用いても良い。また、過酸化水素水の代わりにハイドロサルファイト、二酸化チオ尿素などを用いても良い。 【0020】次に、上記混合液が塗工された合断ちの繋ぎ目部分に、非ハロゲン系熱可塑性樹脂層を塗工する(ステップS3)。これは、合断ちの部分に生じた隙間に、表面層4と同類の非ハロゲン系熱可塑性樹脂層を形成することにより、隙間部分の耐汚染性を高め、以降この合断ちの隙間部分にも汚れが付きにくくするためである。この非ハロゲン系熱可塑性樹脂層の塗工も、過酸化水素水とシルブライトとの混合液が乾いた後に行うのが好ましい。 【0021】上記ステップS1で塗工する苛性ソーダ水溶液は、苛性ソーダの含有量が1%以上10%以下であることが望ましい。また、上記ステップS2で塗工する混合液は、過酸化水素水に対するシルブライトの含有量が1%以上10%以下であることが好ましい。 【0022】これは、苛性ソーダやシルブライトの含有量が多すぎると、合断ち部分の汚れだけでなく、合断ち付近の裏打ち紙(通常は純白ではなく、黄味がかった色をしている)まで漂白されてしまい、漂白された部分が壁装材シート1の表面から透けて、変色して見えてしまうからである。逆に、苛性ソーダやシルブライトの含有量が少なすぎると、漂白効果が薄れてしまうからである。 【0023】以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、表面層4に非ハロゲン系熱可塑性樹脂層を形成することにより優れた耐汚染性を有する壁装材シート1において、合断ちの部分に隙間が生じてそこに汚れが付着した場合に、その汚れを簡単に除去することができる。これにより、壁装材シート1の貼り替えを不要とし、メンテナンスにかかる作業およびコストを削減することができるとともに、資源の無駄を削減することができる。 【0024】なお、上記実施形態では合断ちの部分の汚れを除去する場合を例にとって説明したが、同様の方法で合断ち以外の部分の汚れを簡単に除去することも可能である。 【0025】また、上記実施形態では、表面層4が非ハロゲン系熱可塑性樹脂層で形成されている壁装材シート1について説明したが、表面層4がエチレン−ビニルアルコール共重合体や塩化ビニル樹脂層で形成されている壁装材シートにも同様に適用することが可能である。この場合は、ステップS3の工程では、合断ちの隙間にエチレン−ビニルアルコール共重合体や塩化ビニル樹脂を塗工する。 【0026】その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。 【0027】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、壁装材の合断ちの部分に付いた汚れを簡単に除去することができる。これにより、壁装材の貼り替えを不要とし、メンテナンスにかかる作業およびコストを削減することができるとともに、資源の無駄を削減することができる。また、本発明によれば、壁装材に付いた汚れを簡単に除去するだけでなく、その後も汚れが付きにくくすることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】501254597 【氏名又は名称】株式会社インクコーポレーション 【住所又は居所】東京都葛飾区立石8−39−6
|
| 【出願日】 |
平成13年9月17日(2001.9.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105784 【弁理士】 【氏名又は名称】橘 和之
|
| 【公開番号】 |
特開2003−80183(P2003−80183A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月18日(2003.3.18) |
| 【出願番号】 |
特願2001−281458(P2001−281458) |
|