| 【発明の名称】 |
磁気洗浄方式による洗浄方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】篠崎 憲一 【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号株式会社リコー内
【氏名】山本 睦 【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号株式会社リコー内
【氏名】丸山 徹 【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号株式会社リコー内
【氏名】渕上 明弘 【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号株式会社リコー内
|
| 【要約】 |
【課題】トナーカートリッジやプロセスカートリッジ内部の汚れ部位に対応させて磁気洗浄媒体の運動を制御して、袋小路になっている局部に対しても磁気洗浄媒体によるブラシ効果を十分発生させるとともに、作業環境へのトナーの飛散を防ぎながら、磁気洗浄媒体による洗浄効果を向上させること。
【解決手段】磁性材を洗浄媒体として用いて、漏洩磁束による磁場で被洗浄体の内部壁面を洗浄する洗浄方法において、漏洩磁束を発生させる回転式漏洩磁束発生器の回転と無回転とを切り替えながら洗浄することである。回転式漏洩磁束発生器の回転に伴う磁場の回転による交番変化により、磁性洗浄媒体を被洗浄物内部に押し付けた状態で回転させ、あるいは回転を停止させることを繰り返すことにより、被洗浄体内の汚染物を磁性洗浄媒体に吸着・保持させ、また、磁性洗浄媒体が被洗浄物内面に衝突しあるいは摩擦することにより、被洗浄体の隅々まで集中的に洗浄される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】磁性材を洗浄媒体として用いて、漏洩磁束による磁場で被洗浄体の内部側面を洗浄する洗浄方法において、漏洩磁束を発生させる回転式漏洩磁束発生器の回転と無回転とを切り替えながら洗浄することを特徴とした洗浄方法。 【請求項2】漏洩磁束を発生させる回転式漏洩磁束発生器を横方向に移動させて洗浄することを特徴とする請求項1の洗浄方法。 【請求項3】被洗浄物の3次元データを元にして、漏洩磁束を発生させる回転式漏洩磁束発生器の移動経路を設定することを特徴とする請求項2の洗浄方法。 【請求項4】上記回転式漏洩磁束発生器の磁石配置が、公転と自転とにより回転中心による特異点を無くしたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の洗浄方法。 【請求項5】回転式漏洩磁束発生器の回転速度制御により、洗浄媒体である磁性材の運動状態を制御して、吸着と掃引き動作をそれぞれ使い分けることを特徴とする請求項1乃至請求項4の洗浄方法。 【請求項6】回転式漏洩磁束発生器を二つ以上具備し、洗浄シーケンスに基づいてそれぞれ独立した回転速度制御が可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の洗浄方法。 【請求項7】被洗浄物の姿勢をプログラマブルに可変にすることを特徴とする請求項6の洗浄方法。 【請求項8】上記磁性材がその表面を磁力以外の物理的吸着層で被覆したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の洗浄方法。 【請求項9】上記磁性材に水あるいは界面活性剤等を混合したものを洗浄液として使用することを特徴とする請求項1乃至請求項8の洗浄方法。 【請求項10】上記磁性材の磁気特性が軟磁性特性であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の洗浄方法。 【請求項11】上記磁性材の磁気特性が硬磁性特性であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の洗浄方法。 【請求項12】上記洗浄液中に研磨剤を混合していることを特徴とする請求項9の洗浄方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、複写機やレーザープリンターのエンジン部の容器(例:トナーカートリッジ等)の再生(再利用など)を目的とした内部の洗浄技術に関するもので、内面に付着した残留物を隅々まで、極めて能率的、効率的に洗浄することができるものであり、一般的なプラスチックモールド品の内部洗浄、或いはリターナルビンなど、ブラシやスポンジ等の通常の洗浄用具を使って隅々まで綺麗に洗浄することが困難な形状の容器の洗浄にも有効に利用することができるものである。 【0002】 【従来技術】複写機やレーザープリンターのエンジン部の各種部品を、再利用のために効率良く、効果的に洗浄できるようにするについて、分解可能な構造にするなどの構造設計を工夫し、あるいは、エアバキュームによって吸い出して洗浄するなどの洗浄方法を工夫しているのが現状である。この吸い出しによる洗浄方法は、容器内面、外面を擦りながら洗浄するという方法ではないので、内面、外面に静電吸着したトナーを完全に洗浄することは困難である。また、トナー詰め換え業者が実際に行っている洗浄は、超音波洗浄もしくはバキュームによる洗浄であるが、この洗浄方法によっても、容器の内面に付着したトナーを能率的、効率的に除去洗浄することはできない。他に、公知ではないが、先行技術として、磁性材を用いて容器に付着したトナーを洗浄、除去する内部洗浄工法が特願2000−083638号の明細書に記載されており、また、トナーキャリアを使用してトナーカートリッジを洗浄する方法が特願2001−066637号の明細書に記載されている。 【0003】ところで、近年、地球環境保護意識が高まり、従来のように使用済みの電子機器製品、家庭電気製品、事務機器を廃棄せずに、資源種類別に分別して資源毎に再利用したり、一度使用した部品を再使用するようになってきている。各種機器製品は、部品単位に分解され、分解した部品を洗浄して、再利用することが奨励、促進されている。電子写真技術を用いた画像形成装置においては、画像を形成のための現像材としてトナーが使用される。このトナーが経年変化によって収納容器内で凝集し、トナーケースに付着して、簡単な洗浄では除去されない状態になっている場合が多い。このため、現像ユニットの分解を行った後、ケースこびりついたトナーをブラシで擦って洗浄する作業や、手の届かない部位については高圧のジェット水流やスチームなどの方法で手作業洗浄を行なっているのが実情である。しかし、トナーケースが、完全な袋小路形状のものである場合、その内部を隅々まで洗浄することは非常に困難である。また、市場回収品には多機種のものが混在しており、その形状がそれぞれ異なるので、一つ一つを人手によって洗浄しているのが一般的であり、その洗浄処理に多大な時間と労力、コストがかかる。また、この洗浄作業はトナー粉塵が発生する作業環境であるので、作業者がトナーを吸い込まないようにするためにトナー排気装置を付設するなどの作業環境整備コストがかさむという問題があり、さらに、人手による洗浄作業であるため、洗浄精度にばらつきがある。これらの問題を解消するために、上記洗浄作業を完全自動化することが望まれている。 【0004】磁性材を用いた内部洗浄工法として、特願2000−083638号の洗浄方法がある。しかし、この方法による洗浄は、磁性材の横方向への移動による掃出し効果のみであるため、被洗浄体の内表面に付着したトナーの掃出し効果は期待できるが、内面の局所に集中的に付着しているトナー(汚染物)に対してこれを擦り落とす作用が弱く、したがって、局部的に集中的に付着した汚染物に対する洗浄不良を生じる可能性が高いという問題がある。また、特願2001−066637号の洗浄方法においても原理的にトナーキャリアに充分な摩擦を加えてこれを帯電させる必要があるが、従来手法ではその撹拌能力が弱いため、充分に帯電させるのに長時間を要するという問題がある。 【0005】 【解決しようとする課題】この発明は上記先行技術の問題を解消するために、トナーカートリッジやプロセスカートリッジ内部の汚れ部位に対応させて磁気洗浄媒体の運動を制御して、袋小路になっている局部に対しても磁気洗浄媒体によるブラシ効果を十分発生させるとともに、作業環境へのトナーの飛散を防ぎながら、磁気洗浄媒体による洗浄効果を向上させることを、その第1の課題とするものである。また、先行技術に内在する洗浄精度のバラツキの問題について、自動化によって洗浄品質を安定化させ、多種にわたる回収品種には三次元データーベース化によって、対応できるようにすることを第2の課題とするものである。さらに、クーロン力、ファンデルワールス力、あるいはそれ以外の吸着力を利用して、トナー、紙粉など粉体以外の対象をも洗浄でき、かつ内面に付着した汚染物に対する洗浄速度を向上させることを第3の課題とするものである。 【0006】 【課題解決のために講じた手段】 【解決手段1】(請求項1に対応)上記課題解決のための解決手段1は、磁性材を洗浄媒体として用いて、漏洩磁束による磁場で被洗浄体の内部壁面を洗浄する洗浄方法において、漏洩磁束を発生させる回転式漏洩磁束発生器の回転と無回転とを切り替えながら洗浄することである。 【作用】回転式漏洩磁束発生器の回転に伴う磁場の回転による交番変化により、磁性洗浄媒体を被洗浄物内部に押し付けた状態で回転させ、あるいは回転を停止させることを繰り返すことにより、被洗浄体内の汚染物を磁性洗浄媒体に吸着・保持させ、また、磁性洗浄媒体が被洗浄物内面に衝突しあるいは摩擦することにより、被洗浄体の隅々まで集中的に洗浄される。 【0007】 【解決手段2】(請求項2に対応)解決手段2は、解決手段1について漏洩磁束を発生させる回転式漏洩磁束発生器を横方向に移動させて洗浄することである。 【作用】回転式漏洩磁束発生器による磁場の回転による交番変化と、当該磁場全体の横方向への移動とによって磁性洗浄媒体が被洗浄物内面に繰り返し衝突し、飛散し、また被洗浄物内面に強く押し付けられた状態で引き摺られるから、被洗浄物内面に付着した汚染物を磁性洗浄媒体によって効果的に洗浄することができる。 【0008】 【解決手段3】(請求項3に対応)解決手段3は、解決手段2について、被洗浄物の3次元データを元に漏洩磁束を発生させる回転式漏洩磁束発生器の移動経路を設定することである。 【作用】回転式漏洩磁場発生機構の運動を被洗浄物の3次元データに基づいて行うから、被洗浄物の外形形状に沿って回転式漏洩磁場発生機構を移動させることができ、これにより、様々な被洗浄物についてのデータベースを登録しておくことによって、多品種の被洗浄物を回転式漏洩磁場発生機構の最も効果的な経路で移動させて、自動洗浄することができる。 【0009】 【解決手段4】(請求項4に対応)解決手段4は、解決手段1乃至は解決手段3について、上記回転式漏洩磁束発生器の磁石配置が、公転と自転とにより回転中心による特異点をなくしたものであることである。なお、上記の「特異点」は、上記回転式漏洩磁束発生器の回転による磁性洗浄媒体の運動がほとんど生じない領域を意味する。 【作用】回転式漏洩磁束発生器が自転しながら公転するので、この回転式漏洩磁束発生器の自転のみの場合の特異点が公転によって解消される。したがって、被洗浄物の内部において磁性洗浄媒体による洗浄作用が行き届かない部位はなく、したがって、被洗浄物の内面が満遍なく洗浄される。 【0010】 【解決手段5】(請求項5に対応)解決手段5は、解決手段1乃至解決手段4について、回転式漏洩磁束発生器の回転速度制御により、洗浄媒体である磁性材の運動状態を制御して、吸着と掃引き動作をそれぞれ使い分けることである。 【作用】回転式漏洩磁束発生器の回転速度制御により洗浄媒体である磁性材の運動状態を制御することで、運動パターンを洗浄の状況に合わせて拡散と凝集に使い分け、吸着による洗浄と掃引きによる洗浄のそれぞれの効果を活用することができる。 【0011】 【解決手段6】(請求項6に対応)解決手段6は、解決手段1乃至解決手段5について、回転式漏洩磁束発生器を二つ以上具備し、洗浄シーケンスに基づいてそれぞれ独立した回転速度制御を可能にしたことである。 【作用】二つの回転式漏洩磁場発生機構のそれぞれによって被洗浄物の外壁の全面に渡って磁場を加えることができ、複数の磁場形成磁気回路が形成される。そして、二つの回転式漏洩磁場発生機構を独立して移動、回転を制御できるので、上記移動、回転のそれぞれを洗浄部位に応じて変化させることで、移動、回転に凝集と拡散の役割を有効にかつ効率的に分担させることができる。 【0012】 【解決手段7】(請求項7に対応)解決手段7は、解決手段6について、被洗浄物の姿勢をプログラマブルに可変にすることである。 【作用】二つの回転式漏洩磁場発生機構のそれぞれによって被洗浄物の外壁の全面に渡って磁場を加えることができる。運動モードが変わる二つの回転式漏洩磁場発生機構のそれぞれの回転速度を予め確認しておき、それらの洗浄特性(凝集は掃出し効果、拡散は吸着効果)を切り替えることによって、洗浄プログラムを作成してこれを実行することで、被洗浄物の内部を効率良くかつ安定的に洗浄することができる。 【0013】 【解決手段8】(請求項8に対応)解決手段8は、解決手段1乃至解決手段7について、磁性材がその表面を磁力以外の物理的吸着層で被覆したものであることである。 【作用】使用する磁性洗浄材が磁力以外の物理的吸着層を表面処理したものであるから、被洗浄体内で浮遊する汚染物が磁性洗浄材の物理的吸着層に吸着されて捕捉されるので、被洗浄体の洗浄が効果的、効率的になされる。 【0014】 【解決手段9】(請求項9に対応)解決手段9は、解決手段1乃至解決手段8について、磁性材に水あるいは界面活性剤等を(希釈或いは原液のまま)混合したものを洗浄液として使用することである。 【作用】回転式漏洩磁場発生機構の回転に磁性体が連動して撹拌される。この撹拌作用によって回転方向の水流を生じる。また、回転式漏洩磁場発生機構を直線的に移動させて被洗浄対象物の外壁をスキャンさせることによって、同方向へ磁性体が連動する。これらの磁性体の運動によって、被洗浄物の内面に付着した汚染物が擦り取られ、擦り取られた汚染物は洗浄液に拡散するので、被洗浄対象物の内部壁が洗浄される。 【0015】 【解決手段10】(請求項10に対応)解決手段10は、解決手段1乃至解決手段9について、その磁性材の磁気特性を軟磁性特性にしたことである。 【作用】被洗浄物に注入されている磁性洗浄媒体は、磁気特性として軟磁性を有するものであるから、回転式漏洩磁場発生機構の磁気回路が回転して見かけ上、交番磁界がかかっても被洗浄対象物の壁面に磁性洗浄媒体を押しつけられる力Fは殆ど変化せず、しかも、回転式漏洩磁場発生機構の回転による連れまわりの移動による磁性洗浄媒体の流動のみで壁面を強い力で掻き落し、この掻き落し効果で洗浄することができる。 【0016】 【解決手段11】(請求項11に対応)解決手段11は、解決手段1乃至解決手段10について、その磁性材の磁気特性を硬磁性特性としたことである。 【作用】磁性洗浄媒体は硬磁性材であるから、回転式漏洩磁場発生機構の磁気回路が回転してこの磁性洗浄媒体に見かけ上の交番磁界を印加すると、磁性洗浄媒体は硬磁性材としての特性(それ自身が磁石であり、極性を持つ)のために、N極S極が反転する交番磁界上では、反発と引きつけが交互に繰り返され、被洗浄対象物の壁面への衝突、飛散を繰り返しながら、非常に激しく運動する。この激しい運動により、磁性洗浄媒体は互いに摩擦を起こし、摩擦帯電するので浮遊した汚染物質をクーロン力で吸着することができる。それゆえ、磁性洗浄媒体の被洗浄物内での激しい運動によってその隅々まで満遍なく洗浄されることになる。 【0017】 【解決手段12】(請求項12に対応)解決手段12は、解決手段9について、その洗浄液中に研磨剤を混合していることである。 【作用】回転式漏洩磁場発生機構によって磁性体が撹拌されるとその内部に水流が発生する。この水流によって研磨剤が被洗浄物の壁面に繰り返し衝突して、壁面に付着した汚染を洗浄することができる。また、回転式漏洩磁場発生機構を被洗浄物の外壁に沿って走査させて、同方向に磁性洗浄材を連動させることによって被洗浄物に付着した汚染物を擦り取る。これによって被洗浄対象物の内部壁は隅々まで洗浄され、汚染物は洗浄液に拡散する。 【0018】 【実施の形態】次いで、図面を参照しつつ実施例を説明する。 〔解決手段1の具体例〕図1に解決手段1に対応する構成の概要を模式的に示している。被洗浄物1は例えば複写機やレーザープリンターのトナーカートリッジ、或いはリターナブルビンのような、有底で口が小さい容器である。被洗浄物1は口が小さいので、この口から洗浄用器具を挿入しても、洗浄用器具で内部壁全面を擦ることはできないから、洗浄用器具で擦って内壁面に付着した残留トナー等の汚染物を洗浄、除去することはできない。この実施例では、被洗浄物1に粉体或いは粒状の磁性洗浄媒体2が注入されている。この被洗浄物1が、コンタクトプレート5、磁気回路6、モーター4によって構成される回転式漏洩磁場発生機構3に載せられているので、磁性洗浄媒体2が回転式漏洩磁場発生機構3から発生した磁場によって拘束され、被洗浄物1の内壁面に磁力による吸着力Fで被洗浄物1の下側内面に押し付けられている。この押し付け力Fと回転式漏洩磁場発生機構3の磁気回路6の回転によって発生した漏洩磁場の回転運動エネルギーで磁性洗浄媒体2が連動して旋回する。この磁性洗浄媒体2の被洗浄物1内面に沿った旋回運動によって、被洗浄物1の内壁面に付着した粉体(汚染物)と擦れ合ってこれを剥離させる。また、回転式漏洩磁場発生機構3の磁気回路6の回転速度がある値に達すると、上記押し付け力Fに回転による遠心力が打ち勝つため、この遠心力で磁性洗浄媒体2が飛散して、内部に浮遊している粉体を磁性洗浄媒体2が吸着してこれを洗浄することができる。 【0019】〔解決手段2の具体例〕漏洩磁束を発生させる回転式漏洩磁束発生器を移動させて洗浄する場合(解決手段2)による掃引き作用の原理を図2に模式的に示している。簡略のため図2では漏洩磁束発生器として回転しない磁石3aを示しているが、回転式漏洩磁場発生機構3を直線的に移動させることによっても作用の原理は同じである。図2に示すように、壁面に拡散、堆積した汚染物15を、箒などで掃くように横方向に移動させることができる。もちろんこのような状態においても、前後左右に回転式漏洩磁場発生機構3を移動させることにより、磁性洗浄媒体2が被洗浄物1の内部壁を、力Fで押し付けられた状態で擦り付けて内部壁にこびりついた汚染物を落とす作用もある。また、そのまま図1でも横方向(左右方向)に移動させれば、内壁を全て洗浄することができる。 【0020】〔解決手段3の具体例〕図3に示す被洗浄物1の三次元形状データーはコンピュータ8に予めデーターベースとしてライブラリー化されているか、或いはLAN9によって他のデーターベースから取り込むようになっている。ロボットのメインルーチンプログラムが入っているコンピュータ8は該データーベースのデーターを取りこみ、プログラムを自動生成するか、或いは予めライブラリー化されたプログラムをローディングし、被洗浄物1の外形形状に沿って回転式漏洩磁場発生機構3を矢印方向に移動させる。これにより、様々な被洗浄物1についてのデーターベースを登録しておくことによって、多品種の被洗浄物1を自動洗浄することができる。 【0021】〔解決手段4の具体例〕図4に図示した回転式漏洩磁束発生機構は磁気回路6と自転モーター4a、公転プレート4c、公転モーター4bによって構成されているものである。仮に、自転モーター4aを回転させて、これで磁気回路6を自転させるとすると、自転軌跡11で回転漏洩磁場が形成される。しかし、これだと磁気回路6が如何なる形状であっても、回転中心は磁性洗浄媒体2が流動しない領域(特異点)になってしまい、その部分だけはこすり効果が生ぜず、したがってこの領域は洗浄されない。そこで、公転モーター4bを回転させ、公転軌跡10に沿ってその特異点を移動させることで、特異点はなくなり均一な洗浄が可能になる。 【0022】〔解決手段5の具体例〕図5に示すものは、被洗浄物1の左右に2つの回転式漏洩磁場発生機構3A、3Bを配置し、その磁気回路6の回転速度を可変に構成しているものである。これは磁性洗浄媒体2の運動特性が回転速度によって違ってくるためである。回転式漏洩磁場発生機構3Aは、約500rpm以上の回転速度で回転する。このとき、回転式漏洩磁場発生機構3Aの回転に連動する磁性洗浄媒体2がその吸着力Fに遠心力が勝って弾き飛ばされ、被洗浄物1の内部で拡散する。磁性洗浄媒体2が拡散することによって、磁性洗浄媒体2は摩擦により帯電されつつ被洗浄物1の内壁面に付着した汚染物に満遍なく接触してこれを吸着する。図5における回転式漏洩磁場発生機構3Bは、回転式漏洩磁場発生機構3Bよりも低速で回転する。このため回転式漏洩磁場発生機構3Bに吸引された磁性洗浄媒体2は拡散せず、磁性洗浄媒体2がその回転式漏洩磁場発生機構3Bに吸引されて凝集する。この状態で回転式漏洩磁場発生機構3Bが矢印で示す上下方向に移動すると、磁性洗浄媒体2による掃出し効果が得られる。このようにすると左右の回転式漏洩磁場発生機構3A,3Bによる磁性洗浄媒体2の運動特性による洗浄モードに違いがあるので、回転速度を制御しながら左右の回転式漏洩磁場発生機構3A,3Bを移動させることで、掃出し効果と吸着効果を利用でき、より高い品質の洗浄結果を得ることができる。各運動モードにおける回転速度は、漏洩磁束密度と被洗浄物1の表面粗度、及び磁気回路6の半径、磁性洗浄媒体2の磁気特性などによって左右されるので一概に特定されるものではない。しかし、運動モードの違いによる洗浄モードに違いを生じ、その相関関係を把握することはできるから、所定の洗浄効果を確保するのに適した回転速度を探し出すのは容易である。なお、この例においては、磁気回路6の外径は50mm、磁力2kガウスであるが、この場合は、自転速度500〜800rpm、公転速度5〜30rpmの範囲で適宜選択すればよい。 【0023】〔解決手段6、解決手段7の具体例〕図6に示す例は、回転速度が制御が可能な2つの回転式漏洩磁場発生機構3を被洗浄物1の左右に配置し、これをスライド機構18によって上下方向にスライド可能に支持させたものである。また、被洗浄物1はヨーモーター16により駆動される回転駆動機構で回転可能に支持されている。この回転駆動機構はヨーモーター16によって被洗浄物1をヨー方向(矢印方向)に最高360°回転させることができる。また、他のモーター(図示略)により、符号17を付した矢印方向に全体をピッチ回転させることができるようになっている。なお、このピッチ回転の範囲は360°にすることができる。以上のシステムでそれぞれの回転式漏洩磁場発生機構3,3は被洗浄物1の外壁の全面に渡って磁場を加えることができる。このシステムで運動モードが変わる回転式漏洩磁場発生機構3,3の回転速度を予め確認しておき、それらの洗浄特性(凝集は掃出し効果、拡散は吸着効果)を切り替えることによって、洗浄プログラムを作成して、これを実行することで被洗浄物1の内部を効率良くかつ安定的に洗浄することができる。例えば、最初に磁性洗浄媒体2への汚染吸着を行ない、拡散した磁性洗浄媒体2を凝集させ、次いで掃出し効果で吐出口19から回収すれば、洗浄作業を効率良く行うことができる。 【0024】〔解決手段8の具体例〕図7に示す磁性洗浄媒体2は、その粒径が約0.1mm以下であり、内部の磁性体12を表層13によって被覆したものである。図7(a)に示すものは、その表層13が帯電容量の大きい、例えば、シリコン等の誘電層であり、図7(b)に示すものはその外表面にウイスカ状のひげを設たものである。なお、上記表層13にゲル状の粘着性物質、例えば、アクリル系粘着剤、あるいはゴム系粘着剤等をコーティングしたものにすることもできる。磁性洗浄媒体2の内部が磁性体12であるから、磁場発生機によってその磁力を介して操作(あるいは駆動)することができ、また、表層13の誘電層は汚染物をクーロン力により静電吸着する。図7(b)のウイスカ状のひげを設けたものは、大きな表面積によるファンデルワールス力と、ひげが絡むこととによって汚染物質を吸着、保持する。 【0025】〔解決手段9の具体例〕図8に示すものの被洗浄物1に注入した洗浄液14は、水或いは界面活性剤等、一般的な洗浄に使用されるものである。その洗浄液14に、図7における磁性体12と同様の磁性体12が混入されている。回転式漏洩磁場発生機構3の回転に磁性体12が連動して撹拌される。この撹拌作用によって回転方向の水流を生じる。また、回転式漏洩磁場発生機構3を図示の直線矢印方向に被洗浄対象物1の外壁をスキャンさせることによって同方向へ磁性体12が連動する。これらの磁性体12の運動によって、被洗浄物1内面に付着した汚染物が擦り取られ、擦り取られた汚染物は洗浄液14に拡散するので、被洗浄対象物1の内部壁が洗浄される。その後、洗浄液14を排出し、すすぎをかけ、乾燥することで内部の洗浄は完了する。 【0026】〔解決手段10の具体例〕図9に示すものの被洗浄物1に注入されている磁性洗浄媒体2は、磁気特性として軟磁性を有する、例えば軟鉄材のようなものである。そのために回転式漏洩磁場発生機構3の磁気回路6が回転して見かけ上交番磁界がかかっても被洗浄対象物1の壁面に磁性洗浄媒体2を押しつけられる力Fは殆ど変化せず、しかも、回転式漏洩磁場発生機構3の回転による連れまわりの移動による磁性洗浄媒体2の流動のみで壁面を強い力で掻き落し、その効果で洗浄することができる。この方式はどちらかといえば壁面に固着した汚れが多い場合に一層有効である。 【0027】〔解決手段11の具体例〕図10に示すものの磁性洗浄媒体2は、例えばオーステナイト系のSUS材等の硬磁性材である。この材料に、回転式漏洩磁場発生機構3の磁気回路6が回転して見かけ上の交番磁界を印加する。そうすると、磁性洗浄媒体2は硬磁性材としての特性、すなわち、それ自身が磁石であり、極性を持つという特性から、N極、S極が反転する交番磁界上では、反発と引きつけが交互に繰り返され、被洗浄対象物1の壁面に衝突し、飛散を繰り返しながら、非常に激しく運動する。この激しい運動により、磁性洗浄媒体2は互いに摩擦し合って摩擦帯電するので、浮遊した汚染物質をクーロン力で吸着することができる。それゆえ、磁性洗浄媒体2の被洗浄物1内での激しい運動によってその隅々まで満遍なく洗浄されることになる。一定時間に回転及び吸着を行なって、その後回転を止めて、極性を反転させないようにして移動し、掃引き効果によりメディアを排出する。この方式はどちらかといえば汚染物(粉体など)がそれほど固着しておらず、汚染領域が広範囲であるものの洗浄に適している。 【0028】〔解決手段12の具体例〕図11に示すものの洗浄液14は水或いは界面活性剤等、一般的洗浄に使用されるものである。洗浄液14に磁性体12と研磨剤15が混入されている。回転式漏洩磁場発生機構3によって磁性体12が撹拌されるとその内部に水流が発生する。この水流によって研磨剤15が被洗浄物1の壁面に繰り返し衝突して、壁面に付着した汚染を洗浄する。また、図示のように回転式漏洩磁場発生機構3を被洗浄物1の外壁に沿って走査させて、同方向に磁性体12を連動させることによって被洗浄物1に付着した汚染物を擦り取る。これによって被洗浄対象物1の内部壁は隅々まで洗浄され、汚染物は洗浄液14に拡散する。その後、洗浄液14を排出し、すすぎをかけ、乾燥することで内部の洗浄は完了する。 【0029】 【発明の効果】この発明は以上述べたとおりであるが、その効果を請求項毎に整理すれば次のとおりである。 (1)請求項1に係る発明の効果請求項1に係る発明は、磁場の回転による交番変化により磁性材を被洗浄物内部に押し付けてその場で回転させることで、被洗浄体の隅々まで集中的に洗浄することができ、したがって被洗浄体を効果的、能率的に洗浄することができる。 【0030】(2)請求項2に係る発明の効果請求項2に係る発明は、磁場の回転による交番変化と磁場全体の移動とを併用して洗浄することで、内部の洗浄度をさらに向上させることができる。 【0031】(3)請求項3に係る発明の効果請求項3に係る発明は、被洗浄物の3次元設計データを利用してロボットプログラムを作成し、ライブラリー化することで、ロボットによる自動化することによって、外部磁界の走査を安定、確実に行うことができ、かつ回収品の品種認識をさせるだけで自動で洗浄を行うことができる。 【0032】(4)請求項4に係る発明の効果請求項4に係る発明は、自公転動作治具によって、洗浄媒体が運動しない領域を実質的に解消して、洗浄媒体を被洗浄体の内部領域全体で満遍なく撹拌し、洗浄媒体を満遍なく互いに摩擦させ、洗浄媒体に満遍なく効率良く摩擦帯電させて汚染物を吸着させることができ、洗浄効率を向上させることができる。 【0033】(5)請求項5に係る発明の効果請求項5に係る発明は、磁性材を洗浄媒体として用い、その外部磁界を変化させ、かつその運動パターンを洗浄の状況に合わせて拡散と凝集とに使い分け、吸着による洗浄と掃引きによる洗浄のそれぞれの効果を活用することができ、さらに、吸着後、凝集させて排出することが可能であり、洗浄効率、洗浄能率を高めることができる。 【0034】(6)請求項6に係る発明の効果請求項6に係る発明は、複数の磁場形成磁気回路があり、それぞれ独立して移動、回転を制御するので、それぞれを洗浄部位に応じて変化させることで、移動と回転に凝集と拡散の役割を有効かつ効率的に分担させることができので、全体として洗浄速度を向上させることができる。 【0035】(7)請求項7に係る発明の効果請求項7に係る発明は、外部の磁場形成磁気回路の移動のみでなく、被洗浄物の姿勢も洗浄部位に応じて変化させることができるので、洗浄媒体の動きをその重力をも利用して制御することができる。したがって、突起、溝などの被洗浄体の内部形状による障害のために磁場による誘導だけでは磁性洗浄媒体が侵入できない部位にも、洗浄媒体を侵入させて当該部位で運動させることができ、被洗浄体の隅々まで効果的に洗浄することができる。 【0036】(8)請求項8に係る発明の効果請求項8に係る発明は、磁性洗浄媒体にその磁性体としての特性を持たせながら、表層に誘電層や粘着層、あるいはウイスカ状のひげなどを設けて磁性体の表面をこれらで被覆してあるので、静電吸着力、絡めとり、粘着などのメカニズムで吸着・保持することができ、したがって、ブラシなどの通常の洗浄器具が届かない局部でも効果的に洗浄することができる。 【0037】(9)請求項9に係る発明の効果請求項9に係る発明は、被洗浄体に洗浄液と磁性媒体の混合物を注入して、回転磁場による撹拌作用と内部壁面掻き落し作用とを活用しているので、より強力に効率的に内部を洗浄することができる。なお、洗浄後の磁性媒体は、磁場による分離を行なって再生することにより、繰り返し使用することができるので、経済的である。 【0038】(10)請求項10に係る発明の効果請求項10に係る発明は、磁性洗浄媒体に軟磁性材を用いているので、磁場を回転させても洗浄媒体が拡散させず、内壁面に強く押しつけたままでこれを引き摺って当該内壁面を洗浄することができる。 【0039】(11)請求項11に係る発明の効果請求項11に係る発明は、磁性洗浄媒体に硬磁性材を用いているので、磁場を回転させることにより極性反転を行なって、激しく磁性洗浄媒体を撹拌することができ、これによって、汚染物に効率良く洗浄媒体を接触させ洗浄効率を向上させることができる。 【0040】(12)請求項12に係る発明の効果請求項12に係る発明は、磁性洗浄媒体を外部磁場の動きに連動させて洗浄液を撹拌することができ、かつ、研磨剤が混入されているので、被洗浄物の内面に付着した汚染物をさらに強力に掻き落すことができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー 【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号
|
| 【出願日】 |
平成13年9月6日(2001.9.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100110386 【弁理士】 【氏名又は名称】園田 敏雄
|
| 【公開番号】 |
特開2003−80176(P2003−80176A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月18日(2003.3.18) |
| 【出願番号】 |
特願2001−270745(P2001−270745) |
|