トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般




【発明の名称】 高屈折率フィラーを含有する塗工液の塗工方法
【発明者】 【氏名】増田 友昭
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内

【氏名】土本 一喜
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内

【要約】 【課題】特に高屈折率フィラーを含有する塗工液を塗工する際に、液供給系に発生する振動を押さえ、塗工液に不均一な流動を与えずに塗工を行うことができ、これにより被塗工物の幅方向・流れ方向に発生する塗工膜のスジ、塗工ムラなどの塗工面の欠陥が生じにくい塗工方法を提供する。

【解決手段】口金ノズル1を用いたダイコート法により高屈折率フィラーを含有する塗工液4を被塗工物2に塗工する塗工方法であって、前記口金ノズル1と前記被塗工物2の間隔を維持しながら相対移動させて塗工を行うにあたり、塗工により生じる表面保持作用を利用して塗工で消費される塗工液4を口金ノズル1から供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 口金ノズルを用いたダイコート法により高屈折率フィラーを含有する塗工液を被塗工物に塗工する塗工方法であって、前記口金ノズルと前記被塗工物の間隔を維持しながら相対移動させて塗工を行うにあたり、塗工により生じる表面保持作用を利用して塗工で消費される塗工液を口金ノズルから供給することを特徴とする塗工方法。
【請求項2】 塗工位置の下方にてノズル先端が上向きに配置される口金ノズルと、その口金ノズルの後端側が浸漬する状態で塗工液を貯留する貯留容器とを備え、その貯留容器内への塗工液の供給を液面の高低差を利用して行うことで貯留した塗工液の液面高さを一定に制御可能な塗工装置を用いる請求項1記載の塗工方法。
【請求項3】 前記高屈折率フィラーとして平均一次粒子径100nm以下の高屈折率フィラーを含有する塗工液を用いて、塗工により反射防止膜の高屈折率層を形成するものである請求項1又は2に記載の塗工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、口金ノズルを用いたダイコート法により高屈折率フィラーを含有する塗工液を被塗工物に塗工する塗工方法に関し、特に厚みムラによる干渉縞を発生しやすい高屈折フィラーを含有する塗工液を光学厚みに制御して塗工を行い反射防止膜を形成するための技術として有用である。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置などの反射防止膜の形成には、塗工膜の屈折率を制御するために機能性フィラーを含有している塗工液を塗工することが多い。そして、特に高屈折率フィラーを含有する場合は、フィラーを含有しない場合や低屈折率フィラーを含有する場合に比べ、厚みムラによる干渉縞が発生しやすいため、塗工厚みを高い精度で均一にすることが必要であった。しかし、当該塗工液を用いた均一な塗工には技術的な困難が多く存在し、これまで有効な塗工方法は存在しなかった。
【0003】例えば、反射防止膜の形成によく用いられるリバースグラビアコート法では、図3に示すように、リバースグラビアロール21が塗工液槽23内の塗工液24をかき上げながら、表面に保持された塗工液24を、支持ロール25間でテンションをかけながら一定速度で移動される被塗工物22の表面に塗布する。その際、塗工液槽23内の塗工液24がかき上げられるため、塗工液24の物性によっては、液流動のベクトルに方向性が発生してしまう。この流速ベクトルの方向性は、図4(図3の要部の拡大図)に示すように、液表面の波打ちが共鳴してしまうために、グラビアに定常的に塗工液24の波があたり、結果として塗工面にムラを発生させてしまう。塗工面に発生したムラは、形成した反射防止膜の干渉ムラになるという問題がある。
【0004】また、沈降しやすい塗工液の場合には、塗工する際に更に技術的な困難があった。例えば、上記のリバースグラビアコート法では、図3〜図4に示すように、被塗工面の幅方向の塗工液の供給を均一にするため、塗工ヘッド内に塗工液槽23が設置されているのが一般的である。しかし、槽内の塗工液24のよどみ点24aの発生により、次第に槽内の固形分濃度が不安定となるため、塗工面内にフィラー含有量の差によるムラ(塗工厚みや塗工液の組成)が発生していた。
【0005】また、スリットコート法の場合も同様に、塗工液槽内でのフィラーの沈降により塗工液の供給が不安定となり、塗工面のムラを発生させていた。上記の問題を解決するために、塗工ヘッド内の塗工液槽内から塗工液を一部抜き出し、塗工槽内で循環させる方式をとることもあるが、循環による流動(例えば脈動)の影響が問題となる場合がある。
【0006】従来のダイコート方式のような塗工液を直接被塗工物に塗布する場合においても、供給系にポンプを使用しているため、ポンプの駆動により発生する脈動が、ダイ部分の液にまで伝わることにより、塗工面に液の厚みムラを発生させることがあった。また、ポンプにより吐出量の調節を行っているため、フィルムの速度とうまく連動できずに実際の塗布に寄与しない余分な塗工液を多量に供給してしまうことがあった。その場合の塗布面への影響としては、ポンプの脈動とピッチが一致している横段、吐出量過剰により、塗工液が乾燥以前に流動してしまうことによる干渉ムラ等、様々である。
【0007】その他、一般的な塗工方法としては、リバースロールコーターがある。この方式では、塗布量を調節する場合に、アプリケーターロールとメタリングロールのギャップを調節するするが、それぞれのロールのふれの影響により、被塗工物の流れ方向に周期的な厚みバラツキを発生させることが多い。高屈折率フィラー含有の塗工液を塗工する場合においては特に、この厚みバラツキが外観に影響することが多い。現在までに、アプリケーターロールとメタリングロールの真円度、振れ精度または、ロール軸受け精度の向上が図られてきたが、これらのロールを組み付けた状態での総合振れ精度数μmオーダーが限界となっている。従って、この方式では、nm単位で制御が必要となる反射防止膜には不向きであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一方、特開平6−343908号公報には、液晶表示装置のガラス基板等に毛管間隙を介してラッカ塗布又は被覆する方法であって、毛管間隙が液状の被覆媒体によって満たされていて、該毛管間隙の上を極めて小さな間隔をもって、被塗工物が、ラッカ塗布もしくは被覆される表面を下に向けて、ゆっくりと移動させられ、その結果、毛管作用及び粘着作用によって薄い層が塗布又は被覆されるラッカ塗布又は被覆の方法が開示されている。また、その改良技術が、特開平8−224528号公報及び特開2001−62370号公報に開示されている。
【0009】しかし、これらの方法では、毛管間隙内で塗工液を流動させ、また塗工部分において表面作用の影響が大きいため、フィラーを含有しない塗工液には好適使用できても、フィラーを含有する場合には、フィラーによる毛管間隙の目詰まりや表面作用の影響が生じ易いため、不向きな方法であると考えられていた。このため、上記の如き毛細管現象を利用した塗工装置は、フィラーを含まない塗工液(循環系路にフィルタが使用していることから明らか)に専ら使用されてきた。
【0010】そこで、本発明の目的は、特に高屈折率フィラーを含有する塗工液を塗工する際に、液供給系に発生する振動を押さえ、塗工液に不均一な流動を与えずに塗工を行うことができ、これにより被塗工物の幅方向・流れ方向に発生する塗工膜のスジ、塗工ムラなどの塗工面の欠陥が生じにくい塗工方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成すべく、ダイコート法を行う際の口金ノズルへの塗工液の供給方法などについて鋭意研究したところ、ポンプやロールなどを使用せずに、塗工により生じる表面保持作用を利用して塗工で消費される塗工液を口金ノズルから供給することで、塗工液にフィラーを含有する場合でも均一な厚みで塗工が行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明の塗工方法は、口金ノズルを用いたダイコート法により高屈折率フィラーを含有する塗工液を被塗工物に塗工する塗工方法であって、前記口金ノズルと前記被塗工物の間隔を維持しながら相対移動させて塗工を行うにあたり、塗工により生じる表面保持作用を利用して塗工で消費される塗工液を口金ノズルから供給することを特徴とする。
【0013】上記において、塗工位置の下方にてノズル先端が上向きに配置される口金ノズルと、その口金ノズルの後端側が浸漬する状態で塗工液を貯留する貯留容器とを備え、その貯留容器内への塗工液の供給を液面の高低差を利用して行うことで貯留した塗工液の液面高さを一定に制御可能な塗工装置を用いることが好ましい。
【0014】また、前記高屈折率フィラーとして平均一次粒子径100nm以下の高屈折率フィラーを含有する塗工液を用いて、塗工により反射防止膜の高屈折率層を形成するものであることが好ましい。
【0015】[作用効果]本発明によると、ポンプやロールなどを使用せずに、塗工により生じる表面保持作用を利用して塗工で消費される塗工液を口金ノズルから供給するため、液供給系に発生する振動を押さえ、塗工液に不均一な流動を与えずに塗工を行うことができる。その結果、均一な厚みで塗工が行え、被塗工物の幅方向・流れ方向に発生する塗工膜のスジ、塗工ムラなどの塗工面の欠陥が生じにくくなる。その際の表面保持作用を図1に基づいて説明すると次のようになる。なお、このような表面保持作用を利用した塗工液の供給は、塗工液の液面差や流動抵抗、塗工速度や口金ノズルと被塗工物とのギャップ、ダイの毛細管ギャップなどを調整することで、塗工位置の上方や横方向から塗工液を供給する場合にも適用できる。
【0016】図 1(a)は塗工開始時の状態を示す要部拡大図であるが、口金ノズル1の先端1aと被塗工物2のギャップ(間隙)に塗工液4が介在する状態では、塗工液4の濡れによる表面保持作用によって、貯留される塗工液4の液面よりギャップでの液面が高い位置で保持される。つまり、塗工液4の液面が等しくなるような重力に抗して塗工液4を先端1aへと上昇させる力が作用して両者の釣り合いが保たれている。
【0017】図 1(b)は塗工時の状態を示す要部拡大図であるが、塗工によって被塗工物2への付着作用で塗布された分だけ塗工液4が消費されるものの、濡れによる表面保持作用によって、ギャップでの塗工液4の液量が維持されるべく、上記と同様に重力に抗する塗工液4の上昇作用が生じて、塗工で消費される塗工液を口金ノズルから供給することができる。このため、被塗工物2への塗工厚みと口金ノズルへの供給量とを高精度で一定に保つことができる。そして、実施例の結果が示すように、塗工液にフィラーを含有する場合でもこのような表面保持作用により均一な厚みで塗工が行えることが判明した。
【0018】また、上記の如き塗工装置を用いる場合、貯留容器内への塗工液の供給を液面の高低差を利用して行うため、口金ノズルに供給される貯留容器内の塗工液に対し、ポンプ等を用いる場合のように脈動等の影響を与えにくいので、口金ノズルへの供給量や塗工厚みをより均一に保つことができる。しかも、貯留容器内の塗工液の液面高さを一定に制御できるため、口金ノズルへの供給量や塗工厚みをより高精度で一定に保つことができる。
【0019】本発明の塗工方法が、前記高屈折率フィラーとして平均一次粒子径100nm以下の高屈折率フィラーを含有する塗工液を用いて、塗工により反射防止膜の高屈折率層を形成するものである場合、このような塗工液を用いる塗工方法では、塗膜の厚みムラによる干渉縞を発生しやすく、高精度で厚みを均一に制御する必要があるところ、上記の如き作用効果を奏する本発明の塗工方法が、特に有効となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の塗工方法に用いる塗工装置の一例を示すものである。
【0021】本発明の塗工方法は、口金ノズルを用いたダイコート法により高屈折率フィラーを含有する塗工液を被塗工物に塗工する塗工方法である。
【0022】本発明に用いられる塗工液は、高屈折率フィラーを含有するものであるが、本発明における高屈折率とは屈折率1.55以上を指す。当該屈折率はアッベ屈折率計により測定されたものである。塗工液には、当該高屈折率フィラーの他、一般に樹脂成分や溶剤成分を含み、その他の添加剤などを含有してもよい。
【0023】高屈折率フィラーとしては、平均一次粒子径100nm以下のものが好適である。平均一次粒子径が100nmを超えると、流山誘起し、また均一な厚みでの塗工が行いにくくなる傾向がある。このような粒子径の高屈折率フィラーとしては、例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、メラミン樹脂等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子、ガラス、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、チタニア、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の無機系粒子や、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンまたはこれらの複合物等の導電性無機系粒子などがあげられる。高屈折率フィラーは、樹脂成分100重量部に対して2〜80重量部程度含有させるのが好ましい。
【0024】前記樹脂成分としては、熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく光拡散層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
【0025】溶剤成分としては、上記の樹脂成分を溶解し、同種の塗工液に使用されるものが適宜選択できる。その他の添加剤としては、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。
【0026】本発明における被塗工物としては、塗工液に対してある程度の濡れ性を有する材質の層であれば何れでもよく、ポリエステル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、アクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなる透明基材フィルムや各種ガラス板の他、偏光板の保護層、フォトレジスト等があげられる。偏光板の保護層等に塗工する場合、予め保護層となるフィルムに塗工した後、非塗工面に偏光子などを積層して高屈折率層を有する偏光板としてもよい。
【0027】本発明は、ダイコート法により口金ノズルと前記被塗工物の間隔を維持しながら相対移動させて塗工を行うにあたり、塗工により生じる表面保持作用を利用して塗工で消費される塗工液を口金ノズルから供給することを特徴とする。本実施形態では、図2に示すように、塗工位置P1の下方にてノズル先端1aが上向きに配置される口金ノズル1と、その口金ノズル1の後端側1bが浸漬する状態で塗工液4を貯留する貯留容器3とを備え、その貯留容器3内への塗工液4の供給を液面の高低差を利用して行うことで貯留した塗工液4の液面高さを一定に制御可能な塗工装置を用いる場合を例示する。
【0028】この例では、口金ノズル1と長尺シート状の被塗工物2の間隔を維持しながら相対移動させる方法として、塗工ロール5を一定速度で回転させながら、図示してない巻き取りロールや原料ロール等でテンションを調整することにより、被塗工物2を長手方向に一定速度で搬送しながら、その表面と口金ノズル1の先端1aとの間隔を一定に保つようにしている。なお、塗工位置の上流側で、ニップしながら一定速度で被塗工物2を送り出すようにしてもよい。
【0029】このように被塗工物2を一定速度で搬送しながら、塗工で消費される塗工液4を口金ノズル1から供給することより、前述した表面保持作用により一定厚みでの塗工が可能となる。その際、目標の厚みで塗工を行うには、塗工速度(搬送速度)、ノズル先端1aと被塗工物2のギャップ、ノズル先端1aのスリットのギャップなどを調整して、目標の厚みで塗工を定常状態にするのが好ましい。
【0030】このため、図2に示す装置では、搬送速度やギャップが調整可能となっている。このような口金ノズル1の形状、スリットのギャップ調整機構、被塗工物2とのギャップ調整機構、塗工条件などは、特開平6−343908号公報、特開平8−224528号公報及び特開2001−62370号公報に詳細に説明されており、それらの何れを採用することも可能である。
【0031】塗工が定常状態になると、塗工で消費される塗工液4の量と口金ノズル1から供給される塗工液4の量とがバランスされるが、貯留容器3内の塗工液4の液面高さが変化すると、このバランスに影響を与える。このため、貯留した塗工液4の液面高さを一定に制御するのが好ましい。
【0032】図示した装置では、貯留容器3内の塗工液4の液面高さと、液供給槽12内に設けられたオーバーフロー部12aの液面高さの高低差を利用して、配管15dを介して貯留容器3内に塗工液4を供給することで、液供給槽12内に貯留した塗工液4の液面高さを一定に制御している。つまり、塗工で消費された分だけ貯留容器3内の塗工液4の液面が低下すると、オーバーフロー部12aの液面高さとの高低差により貯留容器3内に塗工液4が逐次供給される。
【0033】また、液貯蔵槽13に十分な塗工液4を溜めた上で、ポンプ11により配管15e,15aを介してオーバーフロー部12aに塗工液4を導入しながら、配管15bを介してオーバーフローした塗工液4を液貯蔵槽13に戻すことで、塗工液4の循環・攪拌を行っている。このようにポンプ11により直接、配管15dを介して貯留容器3内に塗工液4を供給しないため、ポンプ11の脈動などが、配管15dを介して貯留容器3内の塗工液4に伝達しにくくなる。
【0034】一方、塗工開始時には、ノズル先端1aのスリットのギャップを小さくして毛細管現象により塗工液をノズル先端1aまで上昇させ、かつノズル先端1aと被塗工物2のギャップを極力小さくするなどして、塗工液4と被塗工物2とを接触させるのが好ましい。一旦、両者が接触すると、スリットのギャップや被塗工物2とのギャップを多少変化させても塗工状態を維持することができ、上記の調整が可能となる。なお、塗工終了後には、塗工液4の乾燥による固着や組成変化を防止する上で、口金ノズル1の全体を塗工液4に浸漬するようにするのが好ましい。
【0035】このようにして塗工された塗膜は、溶剤の乾燥や樹脂成分の硬化などが通常行われる。それらの条件は、溶剤の種類や樹脂成分の種類に応じて、適宜設定される。本発明のように高屈折率フィラーを含有する場合、塗工厚み(ウエット状態)が1〜10μm、得られた塗膜の厚みで0.1〜5μmとなるように塗工を行うのが好適である。
【0036】本発明により反射防止膜を形成する場合、以上のようにして高屈折率フィラーを含有する塗工液により高屈折率層が形成され、更にその表面に低屈折率層などが形成される。その際、低屈折率層の形成に本発明の塗工方法を用いてもよい。低屈折率層を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン、チタンテトラエトキシド等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等があげられる。
【0037】[他の実施形態]以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0038】(1)前述の実施形態では、塗工位置の下方にてノズル先端が上向きに配置される口金ノズルを備えた塗工装置を用いて、塗工位置の下方から塗工を行う例を示したが、本発明では、塗工位置の上方や横方向から塗工を行ってもよい。その場合、塗工で消費される塗工液を口金ノズルから一定量にて供給できるように、口金ノズルの先端に連通する塗工液の液面高さや、スリットのギャップによる流動抵抗(圧力損失)などを調整するのが好ましい。特に、塗工位置の上方から塗工を行う場合、ノズル先端に連通する塗工液の液面高さが高いと重力による供給圧が高くなり易いため、過剰供給を避けるために、塗工液の液面高さを塗工位置より若干高い位置以下にするのが好ましい。
【0039】(2)前述の実施形態では、長尺シート状の被塗工物を長手方向に一定速度で搬送しながら塗工を行う例を示したが、短尺シートやガラス基板の場合には、平面状に形状を維持したままで塗工するのが好ましい。その場合、下面側に吸引面を有するX−Yテーブルなどにガラス基板等を吸着させて、X−Yテーブルを一定速度で移動するなどして塗工すればよい。
【0040】(3)前述の実施形態では、オーバーフローにより液供給槽側の液面高さを一定にしながら、液面の高低差を利用して貯留容器内への塗工液の供給を行う例を示したが、液供給槽内の塗工液の液面高さを検出しながら、それが一定になるように液供給槽を上下動または傾斜させるようにしてもよい。つまり、液供給槽内の塗工液の液面高さが一定に制御できる装置であれば何れの装置も採用できる。
【0041】(4)前述の実施形態では、貯留容器内への塗工液の供給を液面の高低差を利用して行う例を示したが、貯留容器内への塗工液の供給は、ポンプなどを用いて液面高さの検出・制御手段などにより流量を制御しながら行ってもよい。また、液供給槽を密閉構造にし、ガス加圧による圧力差を利用して、貯留容器内に貯留した塗工液の液面高さを一定に制御してもよい。その場合、塗工液の均一性を保つために攪拌翼により攪拌を行うのが好ましい。
【0042】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0043】(実施例1)図2に示すダイコート法による塗工装置を用いて次のようにして塗工を実施した。塗工液は、アクリルウレタン系紫外線硬化型樹脂(屈折率1. 52)100重量部に、紫外線重合開始剤(ベンゾフェノン)3重量部と溶媒(トルエン)250重量部とを混合し、さらに0.01〜0.1μmの酸化ジルコニウムの微粒子(高屈折率フィラー)を35重量部混合し、ミキサーで分散して調製した。被塗工物としては、厚さ80μmトリアセチルセルロースフィルム(透明基材フィルム:屈折率1. 49、以下TACフィルムという)を用い、乾燥厚みが3μmとなるように塗工速度、塗工部ギャップ、ダイ部ギャップなどを調節し、上記塗工液を300m塗工した。調節後の塗工速度は10m/分、塗工部ギャップは400μm、ダイ部ギャップは200μmであった。また連続塗工の際、塗布後90℃で3分間溶剤乾燥後、紫外線照射して硬化処理した。得られた被塗工物の表面には、幅方向のムラ、流れ方向のスジなどの欠陥はなく良好な塗工面が得られていた。
【0044】また、この高屈折率層(屈折率:1.69)上に、続いて屈折率1.39のフッ素系ポリマー溶液を乾燥後の厚みが0.1μmの厚さになるようにダイコート法により塗工し、乾燥・硬化処理を行い低屈折率層を形成することで、反射防止膜を形成した。その結果、高屈折率層の厚みムラによる干渉縞は発生しなかった。
【0045】(比較例1)実施例1と同じ塗工液を用い、図3〜図4に示すようなグラビアコート方式の塗工装置を用い約300mの塗工を実施した。塗工液槽内で塗工液が波打ちTACフィルム上にフィルムの中方向に塗工ムラが発生し、できあがった反射防止膜には干渉ムラが発生した。
【0046】(比較例2)実施例1と同じ塗工液を用い、塗工液の供給系に、ポンプを使用しているダイコート方式の塗工装置を利用し、約300mの塗工を実施した。ポンプの脈動によるTACフィルム上の中方向に塗工厚みのムラが発生し、できあがった反射防止膜に干渉ムラが発生した。また、吐出量不安定により、流れ方向にも厚み差が発生した。
【0047】(比較例3)実施例1と同じ塗工液を用い、リバースロール方式の塗工装置を利用し、約300mの塗工を実施した。それぞれのロールの振れ起因と思われる膜厚バラツキがTACフィルム上の流れ方向に発生し、できあがった反射防止膜に干渉ムラが発生した。
【出願人】 【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号
【出願日】 平成13年11月29日(2001.11.29)
【代理人】 【識別番号】100092266
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇生 (外3名)
【公開番号】 特開2003−164795(P2003−164795A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2001−363925(P2001−363925)