トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般




【発明の名称】 塗布方法及び塗布装置
【発明者】 【氏名】足助 慎太郎
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】ノズルから安定して液体材料を吐出することができるとともに、基板に液体材料を精度よく塗布することができる塗布方法及び塗布装置を提供する。

【解決手段】塗布装置10は、液体吐出ヘッド21のノズル30から液体材料を吐出して基板20に液体材料を塗布する。塗布待機時あるいは塗布時に、ノズル30が接する空間25に揮発性の物質を供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体吐出ヘッドのノズルから液体材料を吐出して基板に前記液体材料を塗布する塗布方法であって、塗布待機時あるいは塗布時に、前記ノズルが接する空間に揮発性の物質を供給することを特徴とする塗布方法。
【請求項2】 前記揮発性の物質を、前記空間に液体状態で供給し、前記空間内で揮発させることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】 前記揮発性の物質を、前記空間にミスト状態で供給することを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
【請求項4】 前記揮発性の物質を、前記空間とは異なる空間で揮発させ、前記空間にガス状態で供給することを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
【請求項5】 前記ノズルからの前記液体材料の吐出状態に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかに記載の塗布方法。
【請求項6】 前記ノズルと前記基板との相対的な移動状態に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれかに記載の塗布方法。
【請求項7】 前記揮発性の物質の余剰分を、前記空間から排気することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれかに記載の塗布方法。
【請求項8】 前記ノズルからの前記液体材料の吐出状態、及び前記ノズルと前記基板との相対的な移動状態のうちの少なくとも一方に応じて、前記揮発性の物質の排気状態を制御することを特徴とする請求項7に記載の塗布方法。
【請求項9】 液体吐出ヘッドのノズルから液体材料を吐出して基板に前記液体材料を塗布する塗布装置であって、塗布待機時あるいは塗布時に、前記ノズルが接する空間に揮発性の物質を供給する供給口を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項10】 前記供給口は、揮発性の物質を、液体状態、ミスト状態、及びガス状態のうちのいずれかの状態で前記空間に供給することを特徴とする請求項9に記載の塗布装置。
【請求項11】 前記供給口は、前記ノズルに隣接し、かつ前記ノズルの周囲を囲んで配置されることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の塗布装置。
【請求項12】 前記ノズルからの前記液体材料の吐出状態、及び前記ノズルと前記基板との相対的な移動状態のうちの少なくとも一方に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項9から請求項11のうちのいずれかに記載の塗布装置。
【請求項13】 前記揮発性の物質の余剰分を、前記空間から排気する排気口を備えることを特徴とする請求項9から請求項12のうちのいずれかに記載の塗布装置。
【請求項14】 前記排気口は、前記供給口に隣接し、かつ前記供給口の周囲を囲んで配置されることを特徴とする請求項13に記載の塗布装置。
【請求項15】 前記ノズルからの前記液体材料の吐出状態、及び前記ノズルと前記基板との相対的な移動状態のうちの少なくとも一方に応じて、前記揮発性の物質の排気状態を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗布方法及び塗布装置に関し、特に、液体吐出ヘッドのノズルから液体材料を吐出して基板に液体材料を塗布する液体吐出方式による塗布方法及び塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、基板に液体材料を塗布する技術として、液体吐出方式による塗布技術の利用が拡大する傾向にある。液体吐出方式による塗布技術は、一般に、基板と液体吐出ヘッドとを相対的に移動させながら、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルから液体材料を液滴として吐出し、その液滴を基板上に繰り返し付着させて塗布膜を形成するものであり、スピンコート方式などの従来の塗布技術に比べて、液体材料の消費に無駄が少なく、液体材料の吐出制御を行いやすいといった利点を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液体吐出方式による塗布技術では、液体材料を吐出していない間、液体吐出ヘッドのノズルの先端やその周辺が乾燥しやすくなる。そしてノズルの先端やその周辺が乾燥すると、ノズルから液体材料を安定して吐出できなくなるおそれがある。
【0004】また、液体吐出方式による塗布技術では、液体材料を液滴状態で基板上に付着させることから、基板表面の濡れ性が低いと、液体材料が基板表面で濡れ広がりにくく、塗布精度の低下を招くおそれがある。
【0005】本発明は、上述する事情に鑑みてなされたものであり、ノズルから安定して液体材料を吐出することができるとともに、基板に液体材料を精度よく塗布することができる塗布方法及び塗布装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の塗布方法は、液体吐出ヘッドのノズルから液体材料を吐出して基板に前記液体材料を塗布する塗布方法であって、塗布待機時あるいは塗布時に、前記ノズルが接する空間に揮発性の物質を供給することを特徴とする。
【0007】本発明の塗布方法では、塗布待機時あるいは塗布時に、液体吐出ヘッドのノズルが接する空間に揮発性の物質を供給することにより、揮発した物質によって前記空間の気相圧力が高まり、ノズルの先端やその周辺の液体材料の蒸発が抑制される。すなわち、塗布待機中において、前記空間に揮発性の物質を供給することにより、ノズルの乾燥が防止され、ノズルから安定して液体材料が吐出される。また、塗布時において、前記空間に揮発性の物質を供給することにより、その物質によって基板表面の官能基が置換され、基板表面の濡れ性が向上する。このように、この塗布方法では、ノズルから安定して液体材料が吐出され、基板表面の濡れ性が向上することから、基板に液体材料を精度よく塗布することができる。
【0008】上記の塗布方法において、前記揮発性の物質を、前記空間に液体状態で供給し、前記空間内で揮発させてもよい。前記揮発性の物質を、前記空間に液体状態で供給し、前記空間内で揮発させることにより、前記空間の気相の状態に応じて前記物質の揮発状態が変化する。例えば、気相の圧力が低くなると前記物質が多く揮発され、気相の圧力が高くなると前記物質の揮発が抑制される。そのため、揮発性の物質が無駄なく消費される。
【0009】また、上記の塗布方法において、前記揮発性の物質を、前記空間にミスト状態で供給してもよい。前記揮発性の物質を、前記空間にミスト状態で供給することにより、前記空間内での前記物質の揮発を促進させたり、ミスト状態の前記物質をノズルに付着させたりでき、ノズルの乾燥が確実に防止される。また、ミスト状態の前記物質によって基板表面の官能基の置換が促進し、基板表面の濡れ性がより向上する。
【0010】また、上記の塗布方法において、前記揮発性の物質を、前記空間とは異なる空間で揮発させ、前記空間にガス状態で供給してもよい。前記揮発性の物質を、前記空間とは異なる空間で揮発させることにより、制限の少ない場所で、塗布状態に関係なく、前記物質を確実に揮発させることができる。また、予めガス状態にすることにより、前記揮発性物質を、前記空間の所望の位置に、容易かつ確実に供給することができる。
【0011】また、上記の塗布方法においては、前記ノズルからの前記液体材料の吐出状態に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御するのが好ましい。ノズルからの液体材料の吐出状態に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御することにより、ノズルの乾燥防止を図りつつ、前記物質の消費量を抑制できる。例えば、液体材料の吐出量が少なくノズルが乾燥しやすい場合には、前記物質の供給量を多くすることにより、ノズルの乾燥の確実な防止が図られる。また、逆に、液体材料の吐出量が多くノズルが乾燥しにくい場合には、前記物質の供給量を少なくすることにより、前記物質の消費量の低減が図られる。
【0012】また、上記の塗布方法においては、前記ノズルと前記基板との相対的な移動状態に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御するのが好ましい。ノズルと基板との相対的な移動状態に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御することにより、基板表面の濡れ性の向上を確実に実現しつつ、前記物質の消費量を抑制できる。例えば、前記相対移動の速度が大きい場合には、前記物質の供給量を多くすることにより、基板表面の濡れ性の確実な向上が図られる。また、逆に、前記相対移動の速度が小さいあるいは移動していない場合には、前記物質の供給量を少なくすることにより、前記物質の消費量の低減が図られる。さらに、前記相対移動の方向の前方と後方とで前記物質の供給量に差を設けることにより、基板表面の濡れ性のより確実な向上が図られる。
【0013】また、上記の塗布方法において、前記揮発性の物質の余剰分を、前記空間から排気するのが好ましい。前記揮発性の物質の余剰分を、前記空間から排気することにより、揮発性の物質の外部への漏洩を確実に防止できる。
【0014】また、上記の塗布方法においては、前記ノズルからの前記液体材料の吐出状態、及び前記ノズルと前記基板との相対的な移動状態のうちの少なくとも一方に応じて、前記揮発性の物質の排気状態を制御するのが好ましい。ノズルからの液体材料の吐出状態、及びノズルと基板との相対的な移動状態のうちの少なくとも一方に応じて、前記揮発性の物質の排気状態を制御することにより、塗布待機時あるいは塗布時において、揮発性の物質の外部への漏洩をより確実に防止できる。
【0015】また、上記の目的を達成するために、本発明の塗布装置は、液体吐出ヘッドのノズルから液体材料を吐出して基板に前記液体材料を塗布する塗布装置であって、塗布待機時あるいは塗布時に、前記ノズルが接する空間に揮発性の物質を供給する供給口を備えることを特徴とする。
【0016】本発明の塗布装置は、塗布待機時あるいは塗布時に、前記ノズルが接する空間に揮発性の物質を供給する供給口を備えることから、上述した本発明の塗布方法を実施できる。つまり、本発明の塗布装置では、塗布待機時あるいは塗布時に、液体吐出ヘッドのノズルが接する空間に揮発性の物質を供給することにより、揮発した物質によって前記空間の気相圧力が高まり、ノズルの先端やその周辺の液体材料の蒸発が抑制される。すなわち、塗布待機中において、前記空間に揮発性の物質を供給することにより、ノズルの乾燥が防止され、ノズルから安定して液体材料が吐出される。また、塗布時において、前記空間に揮発性の物質を供給することにより、その物質によって基板表面の官能基が置換され、基板表面の濡れ性が向上する。このように、この塗布装置では、ノズルから安定して液体材料が吐出され、基板表面の濡れ性が向上することから、基板に液体材料を精度よく塗布することができる。
【0017】上記の塗布装置においては、前記供給口は、揮発性の物質を、液体状態、ミスト状態、及びガス状態のうちのいずれかの状態で前記空間に供給するのが好ましい。この場合、例えば、前記揮発性の物質を、前記空間に液体状態で供給し、前記空間内で揮発させることにより、前記空間の気相の状態に応じて前記物質の揮発状態が変化し、揮発性の物質が無駄なく消費される。また、前記揮発性の物質を、前記空間にミスト状態で供給することにより、前記空間内での前記物質の揮発を促進させたり、ミスト状態の前記物質をノズルに付着させたりでき、ノズルの乾燥が確実に防止される。また、ミスト状態の前記物質によって基板表面の官能基の置換が促進し、基板表面の濡れ性がより向上する。また、前記揮発性の物質を、前記空間とは異なる空間で揮発させることにより、制限の少ない場所で、塗布状態に関係なく、前記物質を確実に揮発させることができる。また、予めガス状態にすることにより、前記揮発性物質を、前記空間の所望の位置に、容易かつ確実に供給することができる。
【0018】また、上記の塗布装置において、前記供給口は、前記ノズルに隣接し、かつ前記ノズルの周囲を囲んで配置されてもよい。前記揮発性物質の供給口が、前記ノズルに隣接し、かつ前記ノズルの周囲を囲んで配置されることにより、前記揮発性の物質を、前記空間に確実に供給することができる。また、ノズルの周囲に供給されることで、前記揮発性の物質が壁となり、前記空間の気相圧力が高まりやすい。そのため、液体材料の蒸発がより確実に抑制される。
【0019】また、上記の塗布装置においては、前記ノズルからの前記液体材料の吐出状態、及び前記ノズルと前記基板との相対的な移動状態のうちの少なくとも一方に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御する制御装置を備えるのが好ましい。上記制御装置を備える場合、ノズルからの液体材料の吐出状態に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御することにより、ノズルの乾燥防止を図りつつ、前記物質の消費量を抑制できる。例えば、液体材料の吐出量が少なくノズルが乾燥しやすい場合には、前記物質の供給量を多くすることにより、ノズルの乾燥の確実な防止が図られる。また、逆に、液体材料の吐出量が多くノズルが乾燥しにくい場合には、前記物質の供給量を少なくすることにより、前記物質の消費量の低減が図られる。また、ノズルと基板との相対的な移動状態に応じて、前記揮発性の物質の供給状態を制御することにより、基板表面の濡れ性の向上を確実に実現しつつ、前記物質の消費量を抑制できる。例えば、前記相対移動の速度が大きい場合には、前記物質の供給量を多くすることにより、基板表面の濡れ性の確実な向上が図られる。また、逆に、前記相対移動の速度が小さいあるいは移動していない場合には、前記物質の供給量を少なくすることにより、前記物質の消費量の低減が図られる。さらに、前記相対移動の方向の前方と後方とで前記物質の供給量に差を設けることにより、基板表面の濡れ性のより確実な向上が図られる。
【0020】また、上記の塗布装置においては、前記揮発性の物質の余剰分を、前記空間から排気する排気口を備えるのが好ましい。上記排気口を備えることにより、前記揮発性の物質の余剰分を前記空間から排気し、揮発性の物質の外部への漏洩を確実に防止できる。
【0021】また、上記の塗布装置において、前記排気口は、前記供給口に隣接し、かつ前記供給口の周囲を囲んで配置されてもよい。前記揮発性の物質の排気口が、供給口に隣接し、かつ供給口の周囲を囲んで配置されることにより、供給口の周囲から前記揮発性の物質の余剰分が排気され、揮発性の物質の外部への漏洩がより確実に防止される。
【0022】また、上記の塗布装置においては、前記ノズルからの前記液体材料の吐出状態、及び前記ノズルと前記基板との相対的な移動状態のうちの少なくとも一方に応じて、前記揮発性の物質の排気状態を制御する制御装置を備えるのが好ましい。上記制御装置を備えることにより、前記ノズルからの前記液体材料の吐出状態、及び前記ノズルと前記基板との相対的な移動状態のうちの少なくとも一方に応じて、前記揮発性の物質の排気状態が制御され、塗布待機時あるいは塗布時において、揮発性の物質の外部への漏洩をより確実に防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る塗布装置の実施の形態の一例を模式的に示しており、本実施例の塗布装置は、液体吐出方式の塗布装置である。
【0024】図1において、塗布装置10は、レジスト等の液体材料を基板20に向けて吐出する液体吐出ヘッド21、基板20が搭載される基板ステージ22、及びこれらを統括的に制御する制御装置23等を備えて構成されている。また、図1において、XYZ直交座標系が用いられ、XYZ直交座標系は、基板20が搭載される基板ステージ22に対して平行となるようにX軸及びY軸が設定され、Z軸が基板ステージ22に対して直交する方向に設定されている。
【0025】基板20としては、本実施例では、半導体素子の製造に用いられるシリコンからなるウエハが用いられる。また、基板20上に塗布される液体材料としては、レジスト(フォトレジスト)が用いられる。すなわち、本実施例は、半導体素子の製造プロセスに用いられるレジストの塗布装置に本発明を適用したものである。なお、本発明が適用される塗布装置は、半導体素子の製造プロセス用に限定されず、液晶表示素子、EL素子、撮像素子(CCD)、磁気ヘッド等のデバイスの他、カラーフィルタやタッチパネル等の装置の製造用としても適用可能である。そのため、本発明に用いられる基板としては、シリコン基板に限らず、ガラス基板、石英基板、セラミックス基板、金属基板、プラスチック基板、プラスチックフィルム基板等、他の材質の基板も適用される。また、本発明に用いられる液体材料としては、レジストに限定されず、カラーインク、保護膜用液体材料、または塗布シリコン酸化膜を形成するための液体材料であるSOG(Spin On Glass)、低誘電率層間絶縁膜を形成するためのLow-k材料、その他揮発性液体材料など他の液体材料も適用可能である。
【0026】液体吐出ヘッド21は、液体吐出方式により、液体材料(レジスト)をノズル30から吐出するものである。液体吐出方式としては、圧電体素子としてのピエゾ素子を用いてインクを吐出させるピエゾ方式、液体材料を加熱し発生した泡(バブル)により液体材料を吐出させるバブル方式等、公知の種々の技術を適用できる。このうち、ピエゾ方式は、液体材料に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えないという利点を有する。なお、本実施の形態では、上述のうち、ピエゾ方式を用いた。
【0027】図2は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。図2において、液体材料を収容する液体室31に隣接してピエゾ素子32が設置されている。液体室31には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系34を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子32は駆動回路33に接続されており、この駆動回路33を介してピエゾ素子32に電圧を印加し、ピエゾ素子32を変形させることにより、液体室31が変形し、ノズル30から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子32の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子32の歪み速度が制御される。液体吐出ヘッド21では、こうしたピエゾ素子32への印加電圧の制御により、ノズル30からの液体材料の吐出の制御が行われる。
【0028】図1に戻り、基板ステージ22は、不図示のベース上に配置され、二次元平面内(図1中のXY平面内)で駆動自在に配置されている。基板ステージ22は、例えばリニアモータ等からなる駆動装置35を有しており、制御装置23の指令のもとで、基板20の所定位置への位置決めや移動を行う。液体材料の塗布時において、液体吐出ヘッド21から液体材料を吐出しながら、基板ステージ22を介して、基板20と液体吐出ヘッド21とを相対移動させることにより、基板20上に液体材料の塗布膜が形成される。
【0029】図3(a)及び(b)は、塗布時における基板20と液体吐出ヘッド21との相対移動の一例を示す図である。図3(a)の例では、液体吐出ヘッド21の幅(図3におけるY方向の長さ)が基板20上の塗布領域20aの幅(図3におけるY方向の長さ)に対して小さく形成されている。この場合、基板20と液体吐出ヘッド21とをX方向及びY方向に相対移動させることにより、基板20全体に液体材料が塗布される。すなわち、図3(a)において、液体吐出ヘッド21は、まず、基板20上をX方向に相対的に走査移動し、基板20上の塗布領域20aのうち、Y方向の一部の領域(図3における上部領域)を塗布する。続いて、液体吐出ヘッド21は、Y方向に相対的にシフト移動し、その後、再びX方向に基板20上を相対的に走査移動し、先に塗布した領域に隣接するY方向の一部の領域を塗布する。このように、図3(a)の例では、液体吐出ヘッド21は、X方向への走査移動と、Y方向へのシフト移動とを繰り返すことにより、基板20上の塗布領域20aの全体を塗布する。
【0030】また、図3(b)の例では、液体吐出ヘッド21の幅が基板20上の塗布領域20aの幅に対して大きく形成されている。この場合、基板20と液体吐出ヘッド21とをX方向にのみ相対移動させることにより、基板20全体に液体材料が塗布される。すなわち、図3(b)において、液体吐出ヘッド21は、基板20上を、X方向に相対的に一度走査移動を行うことにより、基板20上の塗布領域20aの全体を塗布する。なお、液体吐出ヘッド21には、前述したノズル30(図3参照)がY方向に複数並べて設けられており、複数のノズル30のうち、基板20上の塗布領域20aの形状に応じて選択されたノズル30から液体材料が吐出される。
【0031】なお、上述したように、本実施例では、基板ステージ22を介して基板20を移動させることにより、塗布時における基板20と液体吐出ヘッド21との相対移動を行う。しかしながら、本発明はこれに限定されず、液体吐出ヘッド21を移動させて上記相対移動を行ってもよく、あるいは基板20と液体吐出ヘッド21との双方を移動させて上記相対移動を行ってもよい。基板20と液体吐出ヘッド21との双方を移動させる場合、一方(例えば液体吐出ヘッド21)の移動により上記走査移動を行い、他方(例えば基板20)の移動により上記シフト移動を行ってもよい。また、基板20と液体吐出ヘッド21との間隔(距離)は、不図示のZ駆動装置を介して調整される。さらに、液体吐出ヘッド21あるいは基板20のXY平面に対する傾きを調整する手段や、XY平面内での回転角を調整する手段を備えてもよい。
【0032】図1に戻り、本実施例の塗布装置10は、液体材料用のノズル30の他に、ノズル30が接する空間に揮発性の物質を供給するための供給口50、及び揮発性の物質を排気するための排気口51を備えている。本実施例では、上記供給口50及び排気口51は、液体吐出ヘッド21に設けられている。また、供給口50は揮発性物質供給系55に接続され、排気口51は排気系56に接続されている。
【0033】ここで、本実施例において液体材料として用いられるレジストを形成する物質としては、例えば、半導体デバイス製造において一般的に用いられている、クレゾールノボラック系樹脂に感光剤としてジアゾナフトキノン誘導体を配合した市販のポジ型のレジストをそのまま利用できる。ポジ型のレジストとは、所定のパターンに応じて放射線に暴露することにより、放射線によって暴露された領域が現像液により選択的に除去可能となる物質のことである。なお、レジストとしては、これに限定されず処理プロセスに応じて任意のものが適用可能である。レジストに含まれる溶剤としては、例えば、メトキシプロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メトキシメチルプロピネオート、エトキシエチルプロピオネート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、エチルラクテート、エチルピルビネート、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、ブチルアセテートなどから選ばれる一種または複数種の利用が可能である。
【0034】また、本実施例では、揮発性の物質として、例えば、揮発性の溶剤が用いられる。揮発性の溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−プロパノールなどのアルコール系溶剤、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系溶剤、酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶剤、テトラクロロエチレン、トリクロロエタンなどの塩素系溶剤、CFC−12、CFC−13などのフロン系溶剤、ナフテン類、直鎖パラフィン類、分岐パラフィン類などの脂肪族炭化水素系溶剤、アニリン、ピリジンなどの窒素化合物系溶剤、ジエチルアセタールなどのアセタール系溶剤、フルフラールなどの複素環式化合物系溶剤、酢酸、プロピオン酸(メトキシプロピオン酸メチルなど)などの酸系溶剤、スルホランなどの硫黄誘導体系溶剤といった公知の有機溶剤、または、これら各種溶剤の混合物を挙げることができる。特に、ノズル30から吐出する液体材料に含まれる溶剤と同系の溶剤、または液体材料に含まれる溶剤に比べて蒸発速度が同程度かあるいは大きく、揮発しやすい溶剤が好ましい。
【0035】図4、図5、及び図6は、上記揮発性物質供給系55の構成例を示しており、本実施例において、揮発性物質供給系55は、上記供給口50を介して、揮発性の物質を、液体状態、ミスト状態、及びガス状態のうちのいずれかの状態でノズル30が接する空間に供給する。
【0036】図4の例において、揮発性物質供給系55は、揮発性の物質(溶剤)を収容するタンク60、輸送用のポンプ61、供給配管62、及び液体保持部材63等を備えて構成されている。なお、毛管現象や重力を利用することにより、上記輸送用のポンプ61を省略してもよい。また、上記液体保持部材63は、液状の揮発性物質に対して保持力を有する部材である。具体的には、液体保持部材63として、例えば、多孔質部材や繊維質の部材が用いられる。この場合、液体保持部材63は、表面張力や毛管現象等により、液状の揮発性物質を保持するとともに、液状の揮発性物質がその表面に露出した状態(にじみ出た状態)を形成する。このような構成により、図4の揮発性物質供給系55では、供給口50を介して、揮発性の物質を、ノズル30が接する空間に液体状態で供給しその空間内で揮発させる。なお、表面張力や毛管現象等により供給口50自体が液状の揮発性物質の保持力を有している場合は、上記液体保持部材を省略してもよい。
【0037】また、図5の例において、揮発性物質供給系55は、揮発性の物質(溶剤)を収容するタンク65、輸送用のポンプ66、供給配管67、及び噴霧ノズル68等を備えて構成されている。このうち、噴霧ノズル68は、供給配管67を介して供給される揮発性の物質を、ミスト状にしてノズル30が接する空間に供給するものである。このような構成により、図5の揮発性物質供給系55では、供給口50を介して、揮発性の物質を、ノズル30が接する空間にミスト状態で供給する。
【0038】また、図6の例において、揮発性物質供給系55は、揮発性の物質(溶剤)を収容するタンク70、揮発性の物質を揮発させる空間が設けられた揮発室71、タンク70から揮発室71に揮発性の物質を供給するポンプ72、供給配管73、揮発室71で揮発した物質を含むガスを輸送する輸送用のポンプ74等を備えて構成されている。揮発室71は、タンク70から供給される揮発性の物質を効率的に気化するように設けられ、例えば、揮発室71には、タンク70から揮発性の物質がミスト状に供給される。このような構成により、図6の揮発性物質供給系55では、供給口50を介して、揮発性の物質を、ノズル30が接する空間にガス状態で供給する。なお、タンク70として、使用済みの溶剤が収容される廃液タンクを用い、この廃液タンクから気化した溶剤成分を、ノズル30が接する空間にガス状態で供給してもよい。
【0039】図7は、液体吐出ヘッド21の吐出面21aを示す平面図である。図7において、液体吐出ヘッド21の吐出面21aには、上述したように、液体材料用のノズル30、揮発性物質用の供給口50、及び排気口51が設けられている。具体的には、液体吐出ヘッド21の吐出面21aにおいて、複数のノズル30が直線状に並べて配置されており、このノズル30に隣接し、かつノズル30の周囲を囲んで複数の供給口50が並んで配置されている。さらに、供給口50に隣接し、かつ供給口50の周囲を囲んで複数の排気口51が並んで配置されている。つまり、本実施例において、液体吐出ヘッド21には、液体材料用の複数のノズル30が直線状に1列に配置され、そのノズル30の列を囲んで揮発性物質用の複数の供給口50が環状に配置され、さらにその供給口50の環状の列を囲んで排気口51が環状に配置されている。
【0040】図8は、上述した液体吐出ヘッド21の実動作時の様子を模式的に示す図であり、(a)は塗布待機時の様子を示す図、(b)は塗布時(液体材料吐出時)の様子を示す図である。
【0041】図8(a)の塗布待機時、すなわち装置立ち上げ時や基板交換時などにおいて、液体吐出ヘッド21は、例えば、基板20を塗布する際に配置される位置とは異なる位置(待機位置)に配置される。本実施例では、塗布待機時に、液体吐出ヘッド21のノズル30が接する空間(吐出面21a側の空間、以後、必要に応じて吐出側空間25と称する)に、供給口50を介して、揮発性の物質としての溶剤(以後、必要に応じて揮発性溶剤と称する)を供給する。この際、揮発性物質供給系55は、先の図4〜図6に示したように、供給口50を介して、溶剤を、液体状態、ミスト状態、及びガス状態のうちのいずれかの状態で吐出側空間25に供給する。ノズル30が接する空間25に揮発性溶剤が供給されることにより、揮発した溶剤成分によってその空間25の気相圧力が高まり、これにより、ノズル30の先端やその周辺の液体材料(レジスト)の蒸発が抑制される。すなわち、ノズル30からは液体材料(レジスト)に含まれる溶剤が揮発しているものの、これとは別に、供給口50を介して上記揮発性溶剤が供給され、これが吐出側空間25で揮発することにより、その分、ノズル30の液体材料の揮発が抑制される。
【0042】図1において、溶剤を液体状態で供給する場合、供給口50に溶剤が露出した状態(にじみ出た状態)を形成し、その状態から吐出側空間25内に溶剤を揮発させる。この場合、吐出側空間25の気相の状態に応じて溶剤の揮発状態が変化する。例えば、気相の圧力が低くなると溶剤が多く揮発され、気相の圧力が高くなると溶剤の揮発が抑制される。そのため、揮発性の物質が無駄なく消費される。
【0043】また、溶剤をミスト状態で供給する場合、溶剤と空気との触れる面積が全体として大きくなり、溶剤の揮発が促進される。しかも、この場合、ミスト状態の溶剤がノズル30に付着しやすくなる。そのため、ノズル30の乾燥が確実に防止される。
【0044】また、溶剤をガス状態で供給する場合、前述したように、ノズル30が接する空間25とは異なる空間で予め揮発させ、その揮発した溶剤を含むガスを供給する。この場合、ノズル30空間とは異なる空間で揮発させることにより、制限の少ない場所で、塗布状態に関係なく、溶剤を確実に揮発させることができる。また、溶剤を予めガス状態にすることにより、吐出側空間25の所望の位置に、溶剤を容易かつ確実に供給することができる。
【0045】また、先の図7に示したように、この揮発性溶剤の供給口50は、液体材料用のノズル30に隣接し、かつノズル30の周囲を囲んで環状に配置されていることから、ノズル30が接する空間25に揮発した溶剤成分が確実に供給される。また、ノズル30の周囲に溶剤成分が供給されることにより、その溶剤成分が壁となり、吐出側空間25の気相圧力が高まりやすい。そのため、液体材料の蒸発がより確実に抑制される。また、液体材料(レジスト)に含まれる溶剤に比べて同程度かあるいはより蒸発しやすい溶剤を供給口50から供給することにより、ノズル30の先端やその周辺の液体材料(レジスト)の蒸発をより強く抑制できる。
【0046】また、本実施例では、吐出側空間25内に揮発した溶剤の余剰分を、排気口51を介して、その空間から排気する。これにより、揮発性の物質の外部への漏洩が防止される。先の図7に示したように、排気口51は、揮発性溶剤用の供給口50に隣接し、かつ供給口50の周囲を囲んで環状に配置されていることから、揮発した溶剤成分の余剰分が供給口50の周囲から排気され、外部への漏洩がより確実に防止される。
【0047】なお、塗布待機時において、図8(a)に2点鎖線で示すように、液体吐出ヘッド21の吐出面21aの近傍に吐出面21aを覆うように部材26を配置してもよい。この部材26の配置により、上述した蒸発抑制効果をより高めることが可能である。すなわち、部材26の配置により、ノズル30の前方に壁ができることで、揮発した溶剤成分が拡散しにくくなり、ノズル30の先端の乾燥がより確実に抑制される。なお、部材26は、待機位置に設けてもよく、液体吐出ヘッド21に設けてもよい。さらに、例えば塗布時に開状態となり塗布待機中に閉状態となるような開閉機構を設けてもよい。
【0048】図8(b)の塗布時、すなわちノズル30から基板20に向けて液体材料(レジスト)を吐出する際において、本実施例では、塗布待機時と同様に、供給口50を介して吐出側空間25に揮発性溶剤を供給して揮発させるとともに、排気口51を介してその揮発した溶剤の余剰分を排気する。塗布時において、吐出側空間25に揮発性の溶剤を供給することにより、その溶剤成分によって基板20の表面の官能基が置換され、基板20表面の濡れ性が向上する。そのため、基板20の全体に液体材料が精度よく塗布される。特に、本例のように、液体吐出方式による塗布では、液体材料を液滴状態で基板上に付着させることから、濡れ性の改善により塗布品質を大きく向上させることが可能となる。
【0049】このように、本実施例では、塗布待機時あるいは塗布時において、供給口50を介して吐出側空間25に揮発性溶剤を供給しそれを揮発させることにより、ノズル30の乾燥が防止され、ノズル30から安定して液体材料が吐出するようになる。また、塗布時における揮発性溶剤の供給により、基板20表面の濡れ性が向上する。そのため、本実施例では、基板20に液体材料を精度よく塗布することができる。
【0050】また、従来より、ノズルの乾燥を防止することを目的として、塗布待機時において、液体吐出ヘッドのノズルから液体材料を微量吐出させたり(捨て吐出)、塗布直前に、ノズルのクリーニング動作を行う場合がある。これに対し、本実施例では、液体材料とは別に、揮発性の物質(溶媒)を供給することで、ノズルの乾燥を防ぐため、上述した捨て吐出に伴う液体材料の消費量の増加を防止できるとともに、クリーング動作を省くことが可能となる。
【0051】ところで、本実施例では、塗布待機時と塗布時とで、供給口50からの揮発性溶剤の供給状態、及び排気口51からの排気状態を変化させている。具体的には、本実施例において、塗布待機時には、揮発性溶剤の供給量を多くするとともに排気量を少なくし、逆に、塗布時には、揮発性溶剤の供給量を少なくするとともに排気量を多くしている。この場合、塗布待機時には、ノズル30からの液体材料(レジスト)の吐出が少なく、ノズル30が乾燥しやすいため、揮発性溶剤の供給量を多くすることにより、ノズル30の乾燥の確実な防止が図られる。また、塗布時には、ノズル30から液体材料が吐出されるので、その分、供給口50からの揮発性溶剤の供給量を少なくすることで、揮発性溶剤の消費量を低減できる。また、塗布時には、基板20とノズル30(液体吐出ヘッド21)との相対移動により、吐出側空間25内のガスの移動が起こりやすいため、排気口51からの排気量を多くすることで、揮発性の物質の外部への漏洩がより確実に防止される。なお、上述した供給量及び排気量の制御は、先の図1に示す制御装置23の指令の元で揮発性物質供給系55、及び排気系56を介して行われる。
【0052】ノズル30からの液体材料の吐出状態、及びノズル30と基板20との相対的な移動状態のうちの少なくとも一方に応じて、揮発性溶剤の供給状態を制御することにより、ノズル30の乾燥防止を図りつつ、揮発性溶剤の消費量を抑制できる。また、同様に、揮発性溶剤の排気状態を制御することにより、塗布待機時あるいは塗布時において、揮発性の物質の外部への漏洩をより確実に防止できる。なお、供給状態、及び排気状態の制御は、上述した例に限定されない。例えば、塗布待機時、及び塗布時において、揮発性溶剤の供給量及び排気量を上述したものと逆、すなわち揮発性溶剤を塗布時に多く待機時に少なくし、排気量を塗布時に少なく待機時に多くしてもよい。あるいは、供給量及び排気量を同時に多くしたり少なくしたりしてもよい。また、塗布時には、ノズル30から液体材料が吐出されていることから、供給口50からの揮発性溶剤の供給を停止してもよい。また、塗布時における、基板とノズル30(液体吐出ヘッド21)との相対移動の速度や方向に応じて、揮発性溶剤の供給量や排気量を変更してもよい。さらに、上記相対移動の方向に応じて、揮発性溶剤の供給位置や排気位置を変更してもよい。
【0053】図9(a)及び(b)は、相対移動の方向に応じて、揮発性溶剤の供給位置及び排気位置を変更する例を示している。図9(a)及び(b)に示すように、本例では、塗布時において、基板20に対するノズル30(液体吐出ヘッド21)の相対的な移動方向における、ノズル30の前方に位置する供給口50から揮発性溶剤を供給し、後方に位置する排気口51から排気を行っている。そして、相対的な移動方向が逆になると、それに応じて、上述した配置関係が維持されるように、供給口50及び排気口51の位置を逆転している。これにより、揮発性溶剤による基板20表面の濡れ性の向上を確実に実現しつつ、その消費量を効果的に抑制することができる。なお、供給位置や排気位置の変更方向は、上述したものに限定されないものの、塗布時において、ノズル30が接する空間に揮発性溶剤を供給する際には、少なくともノズル30の相対的な移動方向の前方から揮発性溶剤を供給するのが好ましい。
【0054】図10は、液体吐出ヘッド21の他の形態例を示している。図10(a)は、液体吐出ヘッド21の吐出面21aにおいて、上述した環状ではなく、ノズル30の列に対して略平行に直線状に供給口50、及び排気口51を設けた形態例である。また、図10(b)は、ノズル30が2列配置されている形態例、図10(c)は、ノズル30の一方の側に供給口50を直線状に一列に配置し、他方の側に排気口51を直線状に一列に配置した例である。この図10(c)の形態例は、例えば、先の図3(b)を用いて説明したような上記相対移動が一方向の場合に好ましく適用される。このように、液体吐出ヘッド21におけるノズル30、供給口50、及び排気口51の形状やその列数、配置位置などは、吐出条件や相対移動条件などに応じて種々変更可能である。また、供給口50及び排気口51のうち、排気口51を省略する構成としてもよい。あるいは排気口をスリット形状としてもよい。さらに、供給口50及び排気口51を液体吐出ヘッド21に設けるのではなく、他の物体に設けてもよい。
【0055】なお、上述したように、本発明の塗布方法及び塗布装置を用いることにより、基板に液体材料を精度よく塗布することができることから、半導体素子の製造に際し、高精度あるいは高品質なデバイスを製造することが可能となる。上述した実施例では、半導体素子の製造プロセスに本発明を適用した例を示したが、他の製造プロセスに本発明を適用することにより、液晶表示素子、EL素子、撮像素子(CCD)、磁気ヘッド等のデバイスの他、カラーフィルタやタッチパネル等の装置等、各種デバイスあるいは装置の高品質化を図ることができる。
【0056】以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の塗布方法及び塗布装置によれば、塗布待機時あるいは塗布時に、液体吐出ヘッドのノズルが接する空間に揮発性の物質を供給することにより、ノズルの乾燥を防止し、ノズルから安定して液体材料を吐出させることができる。また、塗布時において、上記揮発性の物質を供給することにより、基板表面の濡れ性を向上させることができる。したがって、基板に液体材料を精度よく塗布することができる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成13年12月3日(2001.12.3)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外2名)
【公開番号】 特開2003−164791(P2003−164791A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2001−369169(P2001−369169)