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【発明の名称】 塗布装置
【発明者】 【氏名】柏原 豊
【住所又は居所】静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真フイルム株式会社内

【氏名】遠藤 修一
【住所又は居所】静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真フイルム株式会社内

【氏名】成瀬 康人
【住所又は居所】静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真フイルム株式会社内

【要約】 【課題】塗布後の製品に微細なスジやムラが発生することを抑制できる塗布装置を提供する。

【解決手段】本発明を用いたエクストルージョン型の塗布装置10は、塗布ヘッド12の上流ブロック22の端部22Bが100°以下の角度α1で屈曲している。端部22Bの屈曲部22Cは、曲率半径R1が0.1mm以下で形成され、屈曲部22Cに連続する側面22Dは、先端面22Aからの距離L1が0.1〜10mmの範囲で平面状に形成されている。また、上流ブロック22は、スリット20から屈曲部22Cまでの距離D1が0.5〜20mmの範囲となるように形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】走行するシート状または帯状の支持体と、塗布ヘッドの先端面との間に塗布液を供給してビードを形成し、該ビードを介して前記支持体に前記塗布液を塗布する塗布装置において、前記先端面は、前記支持体の走行方向に対して上流側の端部が、100°以下の角度で屈曲していることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】前記塗布ヘッドは、前記塗布液を前記先端面と前記支持体との間に直接押し出すエクストルージョン型、又は、前記塗布液をスライド面を介して前記先端面と前記支持体との間に流し込むスライドビード型であることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】前記先端面の端部に設けた屈曲部は、曲率半径が0.1mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布装置。
【請求項4】前記屈曲部に連続する側面は、前記先端面から0.1〜10mmの範囲で平面状に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の塗布装置。
【請求項5】前記先端面は、ビード形成部の長さが前記支持体の走行方向に0.5〜20mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の塗布装置。
【請求項6】前記塗布ヘッドの先端面は、表面粗さが0.3S以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗布装置に係り、特に、走行するシート状または帯状の支持体と、塗布ヘッドの先端面との間に塗布液のビードを形成し、このビードを介して支持体に塗布液を塗布するエクストルージョン型、或いはスライドビード型の塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シートやウェブなどの支持体に塗布を行う塗布装置としては、ロールコーター、スライドビード塗布装置、エクストルージョン塗布装置、バー塗布装置、グラビア塗布装置などが知られている。なかでも、エクストルージョン塗布装置は、ポンプ等で計量された塗布液全量を、シートまたはウェブにそのまま塗布する装置として多くの用途に用いられている。このエクストルージョン塗布装置は、特開平4−190870号公報や特開昭56−17661号公報に記載されているように、塗布液のビードを介して塗布液を支持体に塗布する装置である。具体的には、図5に示すように、塗布ヘッド1のスリット2から塗布液を押し出して、走行する支持体3と塗布ヘッド1の先端面1Aとの間にビードを形成し、このビードを介して塗布液を支持体3に塗布する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のエクストルージョン型の塗布装置は、塗布ヘッド1に振動が伝わることによって、塗布後の製品に微細なスジやムラが発生するおそれがあった。このような微細なスジやムラは、エクストルージョン型の塗布装置だけでなく、スライドビード型の塗布装置でも発生するおそれがあった。すなわち、スライドビード型の塗布装置は、図6に示すように、塗布ヘッド4の先端面4Aと支持体3との間に、スライド面4Bを介して塗布液を流し込むが、この場合にも、塗布ヘッド4に振動が伝わることによって、塗布後の製品に微細なスジやムラが発生するおそれがあった。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、塗布後の製品に微細なスジやムラが発生することを抑制できる塗布装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、走行するシート状または帯状の支持体と、塗布ヘッドの先端面との間に塗布液を供給してビードを形成し、該ビードを介して前記支持体に前記塗布液を塗布する塗布装置において、前記先端面は、前記支持体の走行方向に対して上流側の端部が、100°以下の角度で屈曲していることを特徴としている。
【0006】本願発明の発明者は、塗布面状に生じるスジやムラの原因が、塗布ヘッドに振動が伝わった際に、支持体の走行方向に対してビードの上流側部分が変形するためであるとの知見を得た。本願発明は、この知見に基づいて成されたもので、ビードが変形しにくい形状の塗布ヘッドを提供することによって、スジやムラのない塗布面状を得るようにしたものである。
【0007】請求項1に記載の発明によれば、塗布ヘッドの先端面の上流側の端部が100°以下の角度で屈曲しているので、ビードは、端部の屈曲部を越えて拡がりにくくなり、ビードの上流側にはメニスカスが安定して形成される。したがって、ビードは、塗布ヘッドが振動しても変形しなくなるので、スジやムラのない塗布面状を得ることができる。
【0008】本発明は、塗布液のビードを形成して塗布を行う塗布装置であれば適用することができるが、請求項2に記載の如く、エクストルージョン型、又はスライドビード型の塗布装置に適用すると、特に効果的である。
【0009】請求項3に記載の発明によれば、屈曲部の曲率半径を0.1mm以下として屈曲部を角張らせたので、屈曲部によるビードの拡がり防止効果が大きくなり、ビードをより安定させることができる。
【0010】請求項4に記載の発明によれば、屈曲部に連続する側面が先端面から0.1〜10mmの範囲で平面状に形成されるので、ビードが屈曲部を超えて側面に乗り上がりにくくなり、ビードの拡がりを屈曲部によって確実に抑えることができる。
【0011】請求項5に記載の発明によれば、先端面のビード形成部の長さを0.5〜20mmとしたので、ビードの上流部分にメニスカスが安定して形成される。特に、ビード形成部の長さを0.5mm以上としたことによって、塗布ヘッドに所定の強度を持たせることができる。ここで、先端面のビード形成部とは、エクストルージョン型の場合には、塗布液の吐出口から屈曲部までの長さであり、スライドビード型の場合には、スライド面との接続部から屈曲部までの長さ(すなわち、先端面の全長)である。
【0012】請求項6記載の発明によれば、塗布ヘッドの先端面の表面粗さを0.3S以下としたので、ビードと塗布ヘッドの上流側の接触線は、塗布ヘッドの幅方向に直線状に形成される。これにより、塗布ヘッドの幅方向に均一なビードが形成されるので、塗布精度のよい塗布面状を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係る塗布装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】図1に示すように、前計量系のエクストルージョン型の塗布装置10は主として、塗布ヘッド12、バックアップローラ14で構成され、バックアップローラ14には、連続走行する支持体16が巻き掛けられている。支持体16としては、シート状のものやウェブ(可撓性帯状体)状のものが用いられる。また、支持体16の材料としては、例えば、各種のプラスチックフィルム(PET、PEN、TAC)、ポリエチレンなどのフィルム、アルミや鉄などの薄層金属材料、各種の紙、これらの複合材料などが用いられる。なお、支持体16の材料は、上記のものに限定されるものではなく、ガラスやセラミックなどを用いてもよい。また、支持体16の走行速度としては、5〜200m/分が好適である。
【0015】塗布ヘッド12は、支持体16に対して所定寸法(例えば、0.01〜0.5mm)の隙間をあけて配設されている。
【0016】塗布ヘッド12の内部には、塗布液が供給されるポケット18と、このポケット18に連通される所定幅(例えば、0.1〜1mm)のスリット20が形成されている。ポケット18に供給された塗布液は、スリット20を介して塗布ヘッド12の先端部から押し出され、塗布ヘッド12と支持体16の間にビード(液溜まり)を形成する。これにより、ビードを介して支持体16に塗布液が塗布される。塗布液としては、水や溶剤に溶解したポリマー液、感光材料、記録材料、分散液などが用いられる。また、塗布液の性質としては、粘度0.7〜1000cp、表面張力20〜50dyne/cm、比重0.8〜1.3程度のものが一般的に使用される。なお、ウェブ12の走行方向に対して、塗布ヘッド12の上流側には、サクションチャンバ(不図示)を設けることが好ましく、このサクションチャンバを減圧することによりビードが上流側に引っ張られて安定する。
【0017】図2は、塗布ヘッド12の先端部を示す側面図である。
【0018】同図に示すように、塗布ヘッド12の先端部は、支持体16の走行方向に対して上流側のブロック(以下、上流ブロック)22と、下流側のブロック(以下、下流ブロック)24とで構成されている。上流ブロック22と下流ブロック24との間には、スリット20が形成されており、このスリット20から塗布液が押し出される。
【0019】上流ブロック22と下流ブロック24はそれぞれ、支持体16の走行方向と略平行に形成された先端面22A、24Aを有し、その最大表面粗さは0.3S(すなわち0.3μm)以下に加工されている。
【0020】上流ブロック22の先端面22Aは、支持体16の走行方向に対して上流側の端部22Bが100°以下の角度α1で屈曲している。すなわち、端部22Bの屈曲部22Cは、角度α1が100°以下となるように形成されている。このように角度α1を100°以下に形成することによって、ビードは、屈曲部22Cを越えにくくなり、ビードの拡がりが屈曲部22Cによって防止される。すなわち、ビードは、上流ブロック22との接触線を屈曲部22Cに沿って形成するようになり、安定したメニスカスが形成される。なお、角度α1は、強度的に許容される範囲であれば小さいほど好ましく、特に鋭角(90°未満)にするとビードの拡がり防止の著しい効果が得られる。
【0021】また、屈曲部22Cは、曲率半径R1が0.1mm以下になるように形成されている。このように曲率半径R1を小さくして、屈曲部22Cを角張らせることによって、ビードの拡がり防止効果が高まり、より安定したメニスカスが形成される。
【0022】また、屈曲部22Cに連続する側面22Dは、先端面22Aからの距離L1が0.1〜10mmの範囲で平面状に形成されている。このように側面22Dの平面部分を、先端面から0.1〜10mmの範囲で形成すると、ビードが側面22Dに乗り上げにくくなり、屈曲部22Cによるビードの拡がり防止効果が十分に得られる。
【0023】また、上流ブロック22の先端面22Aは、スリット20から屈曲部22Cまでの距離D1が0.5〜20mmの範囲で形成されている。距離D1をこの範囲にすると、ビードは、さらに安定したメニスカスを形成するようになる。すなわち、距離D1が0.5〜20mmの範囲を超えると、支持体16の速度や塗布液の粘度などによっては、メニスカスの形成が不安定になる。また、距離D1が小さ過ぎると、上流ブロック22の強度が低下し、振動が伝わりやすくなるおそれがある。したがって、距離D1を0.5〜20mmとしたことによって、安定したメニスカスを形成することができる。
【0024】次に上記の如く構成された塗布装置10の作用について説明する。
【0025】塗布液がスリット20から押し出されると、塗布ヘッド12の先端面22A、24Aと支持体16との間には塗布液のビードが形成され、このビードを介して塗布液が支持体16に塗布される。その際、ビードと塗布ヘッド12の接触線(境界線)が塗布ヘッド12の幅方向に乱れると、塗布後の製品にスジやムラが発生する。
【0026】例えば、図5に示した従来例は、塗布ヘッド1の屈曲部1Bの角度α3が150°で形成されており、ビードが屈曲部1Bを越えて拡がりやすい。例えば、支持体2の幅方向においてビードの一部のみが屈曲部1Bを越えた場合には、スジ状のムラが発生する。また、ビードが幅方向にわたって全体的に越えた場合には、振動によって接触線が移動するので、段階状の濃淡ムラが発生する。このようにムラが発生すると、その製品は、製品規格から外れるので、製造得率が低下する。
【0027】そこで、本実施の形態では、図2に示す如く、支持体16の走行方向に対して上流側の屈曲部22Cの角度α1を100°以下とした。従来、150°程度であった屈曲部22Cを100°以下と小さくしたことによって、屈曲部22Cが従来より鋭角になり、ビードは屈曲部22Cを越えて拡がりにくくなる。したがって、ビードは、塗布ヘッド12との接触線が屈曲部22Cに沿って安定して形成されるようになるので、ビードの形状も安定するようになる。これにより、ビードが塗布ヘッド12の振動の影響を受けにくくなるので、スジやムラのない塗布面状を得ることができる。
【0028】また、上述した実施の形態では、屈曲部22Cの曲率半径R1を0.1mm以下とすることによって屈曲部22Cを角張らせ、ビードの拡がりを屈曲部22Cで確実に防止するようにしている。すなわち、曲率半径R1を0.1より大きくして屈曲部22Cに丸みを持たせた場合には、ビードが屈曲部22Cを越えやすくなるが、曲率半径を0.1以下とすることによってこれを防止することができる。
【0029】また、上述した実施の形態は、先端面22Aからの距離L1が0.1〜10mmの範囲において側面22Dを平面状に形成したので、屈曲部22Cによるビードの拡がり防止が十分に得られる。
【0030】また、上述した実施の形態は、スリット20から屈曲部22Cまでの距離D1が0.5〜20mmの範囲で形成されているので、ビードのメニスカスが安定して形成され、塗布面状の精度を向上させることができる。
【0031】さらに、上述した実施の形態は、塗布ヘッドの先端面22A、24Aの表面粗さを0.3μm以下と小さくしたので、ビードの接触線が直線になりやすい。すなわち、表面粗さを0.3、μmよりも大きくした場合は、ビードの接触線が凸凹になりやすいが、表面粗さを0.3μm以下とすることによって、これを防止することができる。
【0032】なお、上述した実施の形態は、塗布液の吐出口(スリット)を一つのみ備えた塗布装置10の例であるが、複数の吐出口を備えた塗布装置に本発明を適用してもよい。その場合には、支持体16の走行方向に対して最も上流側の吐出口を構成するブロックを上記の如く形成すればよい。
【0033】また、上述した実施の形態は、エクストルージョン型の塗布装置の例であるが、これに限定するものではなく、塗布液のビードを形成して塗布を行う塗布装置であれば本発明を適用することができる。以下に、本発明をスライドビード型の塗布装置に適用した第2の実施の形態について説明する。
【0034】図3はスライドビード型の塗布装置26の全体構成を示す概念図である。
【0035】同図に示すように、塗布装置26は主として、塗布ヘッド28と、バックアップローラ14とから成り、塗布ヘッド28は、先端面28Aがバックアップローラ14に対して所定の間隔となるように配置されている。塗布ヘッド28の内部には、塗布液が供給されるポケット30と、このポケット30に連通されるスリット32が形成されている。また、塗布ヘッド28には、先端面28Aに向けて傾斜したスライド面28Bが形成されており、このスライド面28Bに前述したスリット32が開口されている。これにより、ポケット30に供給された塗布液はスリット32を介してスライド面28Bに押し出され、このスライド面28Bを流れ落ちて先端面28Aと支持体16との間に供給される。供給された塗布液は、先端面28Aと支持体16との間にビードを形成し、このビードを介して塗布が行われる。なお、塗布ヘッド28の上流側には、サクションチャンバ(不図示)を設けることが好ましく、このサクションチャンバを減圧することによってビードが上流側に引っ張られて安定する。
【0036】図4は、塗布ヘッド28の先端部を示す側面図である。
【0037】同図に示すように、塗布ヘッド28の先端面28Aは、支持体の走行方向(例えば垂直)と平行に形成されており、その最大表面粗さは、0.3S以下に加工されている。
【0038】先端面28Aの下端、すなわち、支持体16の走行方向に対する上流側の端部には、角度α2が100°以下となるような屈曲部28Cが形成されている。このように屈曲部28Cの角度α2を100°以下にすることによって、ビードは、屈曲部28Cを越えにくくなり、ビードの拡がりが屈曲部28Cによって防止される。すなわち、ビードは、塗布ヘッド28との接触線を屈曲部28Cに沿って幅方向に形成するようになり、安定したメニスカスが形成される。なお、角度α2は、強度的に許容される範囲であれば小さいほど好ましく、特に鋭角(90°未満)にすると、著しいビード拡がり防止効果が得られる。
【0039】また、屈曲部28Cは、曲率半径R2が0.1mm以下になるように形成されている。このように曲率半径R2を小さくして、屈曲部28Cを角張らせることによって、ビードの拡がり防止効果が高まり、より安定したメニスカスが形成される。
【0040】また、屈曲部28Cに連続する側面28Dは、先端面28Aからの距離L2が0.1〜10mmの範囲で平面状に形成されている。このように側面28Dの平面部分を、先端面28Aから0.1〜10mmの範囲で形成すると、ビードが側面28Dに乗り上げにくくなり、屈曲部28Cによるビードの拡がり防止効果が十分に得られる。
【0041】また、先端面28Aは、支持体16の走行方向における距離D2が、0.5〜20mmの範囲で形成されている。これにより、ビードが安定したメニスカスを形成するようになる。すなわち、距離D2が0.5〜20mmの範囲を超えたときには、支持体16の速度や塗布液の粘度などによってメニスカスの形成が不安定になるが、距離D2を0.5〜20mmとすることによってこれを防止できる。また、距離D2が小さ過ぎて塗布ヘッド28の強度が低下することを防止できる。
【0042】次に上記の如く構成された第2の実施の形態の塗布装置26について説明する。
【0043】従来のスライドビード型塗布装置は、図6に示す如く、塗布ヘッド4の先端面4Aの下端が110°よりも大きな角度α4で屈曲していた。このため、ビードが屈曲部4Cを越えて拡がりやすく、塗布ヘッド4の振動によってスジやムラが発生していた。
【0044】これに対し、塗布装置26は、図4に示す如く、塗布ヘッド28の先端面28Aの下端を100°以下の角度α2で屈曲させたので、ビードの拡がり防止効果を得ることができる。また、塗布装置26では、ビードの拡がり防止効果をより確実に得るために、屈曲部28Cの曲率半径R2を0.1mm以下とするとともに、側面28Dの平面部分の距離L2を0.1〜10mmとし、さらに先端面28Aの距離D2を0.5〜20mmとしたので、ビードをより安定させることができる。これにより、塗布ヘッド28が振動した場合であっても、製品に微細なシワやムラが発生することを抑制することができ、製造得率を向上させることができる。
【0045】
【実施例】表1、表2は、図1に示したエクストルージョン型の塗布装置において、角度α1、距離D1、距離L1、曲率半径R1、表面粗さを変えて実験を行った結果である。
【0046】表1に関する実験では、液粘度3mPa・s、表面張力25mN/mの塗布液を、厚さ100μmのPETフィルムに、50cc/m2 、30m/minで塗布を行った。そして、塗布ヘッド12に加振機(不図示)を設置し、この加振機で、周波数40Hz、振幅0.1μmの振動を加え、得られる塗布面状を検査した。なお、検査は、サクションチャンバの吸引圧を−20〜−60mmAqの範囲で調節しながら行った。
【0047】表2に関する実験では、液粘度2mPa・s、表面張力20mN/mの塗布液を、厚さ100μmのPETフィルムに、40cc/m2 、20m/minで塗布を行った。そして、塗布ヘッド12の下方のチャンバー内に音波発生機(不図示)を接続し、周波数30Hz、振幅1mmAqで振動させ、得られる塗布面状を検査した。なお、検査は、サクションチャンバの吸引圧を−10〜−50mmAqの範囲で調節しながら行った。
【0048】表1、表2において、塗布面状の評価基準は、○:均一な塗布面状が得られた、△:サクションチャンバの吸引圧によっては均一な塗布面状が得られた、×:吸引圧に依らずムラが発生した、を示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

表1から分かるように、角度α1を120°とした比較例1では濃淡ムラが発生したのに対し、角度α1を80°と小さくした実施例1では、濃淡ムラが発生しなかった。また、実施例1では、加振機で発生する振動の振幅を0.1μmから0.3μmに上昇させても濃淡ムラが発生せず、均一な塗布面状を得ることができた。
【0051】また、表2から分かるように、角度α1を110°とした比較例2では濃淡ムラが発生したのに対し、角度α1を75°とした実施例2では、濃淡ムラが発生しなかった。また、実施例2では、出力をあげて振幅3mmAqで振動させた際にも濃淡ムラが発生しなかった。そこで、濃淡ムラが発生しない角度α1を調べたところ、角度α1が100°である実施例3においても濃淡ムラが発生しなかった。これにより、角度α1が100°以下のときに、濃淡ムラを抑制する効果が得られ、その効果は、角度α1が小さいほど大きくなることが分かった。
【0052】また、実施例2に対して曲率半径Rを0.3と大きくした比較例3では、濃淡ムラが発生しやすくなった。具体的には、吸引圧が−40〜−50mmAqの範囲でのみ均一な塗布面状が得られ、それ以外の範囲では濃淡ムラが発生した。そこで、濃淡ムラが発生しない曲率半径R1の範囲を調べたところ、曲率半径R1が0.1mm以下の時に、濃淡ムラを抑制する効果が得られ、その効果は、曲率半径R1が小さいほど大きくなった。
【0053】また、実施例2に対して表面粗さを0.5Sと粗くした比較例4では、濃淡ムラが発生しやすくなった。具体的には、吸引圧が−35〜−50mmAqの範囲でのみ均一な塗布面状が得られ、それ以外の場合には、振幅1.5mmAq以上の振動を与えたときに濃淡ムラが発生した。そこで、濃淡ムラの発生を抑制できる表面粗さの範囲を調べたところ、実施例2の如く、0.3S以下のときに濃淡ムラを効果的に抑制することができた。
【0054】また、実施例2に対して距離L1を0.05mmと小さくした比較例5では、濃淡ムラが発生しやすくなった。具体的には、吸引圧が−25〜−50mmAqの範囲でのみ均一な塗布面状が得られ、それ以外の範囲では濃淡ムラが発生した。そこで、濃淡ムラの発生を効果的に抑制できる距離L1の範囲を調べたところ、実施例4に示す如く、距離L1が0.1mmのときに濃淡ムラの抑制効果が得られた。
【0055】また、実施例2に対して距離D1の値を0.4と小さくした比較例6では、濃淡ムラが発生しやすくなった。具体的には、吸引圧が−30〜−50mmAqの範囲でのみ均一な塗布面状が得られ、それ以外の範囲では濃淡ムラが発生した。そこで、濃淡ムラを抑制できる距離D1の範囲を調べたところ、実施例2の如く、0.5mmのとき、濃淡ムラの抑制効果が得られた。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る塗布装置によれば、塗布ヘッドの先端面の上流側の端部が100°以下の角度で屈曲しているので、ビードは、端部の屈曲部を越えて拡がりにくくなり、ビードの上流側のメニスカスが安定して形成される。したがって、塗布ヘッドが振動してもビードが変形しなくなるので、スジやムラのない塗布面状を得ることができる。
【0057】さらに、本発明に係る塗布装置によれば、屈曲部の曲率半径を0.1mm以下として屈曲部を角張らせたり、屈曲部に連続する側面を先端面から0.1〜10mmの範囲で平面状に形成したり、塗布ヘッドの吐出口から屈曲部までの長さを0.5〜20mmとしたり、塗布ヘッドの先端面の表面粗さを0.3S以下としたので、屈曲部によるビード拡がり防止効果が向上し、塗布精度が向上する。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地
【出願日】 平成13年12月3日(2001.12.3)
【代理人】 【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
【公開番号】 特開2003−164788(P2003−164788A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2001−368113(P2001−368113)