トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般




【発明の名称】 接着剤の塗工方法
【発明者】 【氏名】上塩入 伸之
【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内

【氏名】前田 和之
【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】塗工対象物の形態に応じて接着剤の塗工形態を最適化することができる接着剤の塗工方法を提供すること。

【解決手段】接着剤の吐出口20から所定の周期を有する吐出軌道で糸状に吐出されている接着剤Aに向けて気体を噴射して糸状の接着剤Aを塗工対象物Oの表面に塗工する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 接着剤の吐出口から所定の周期を有する吐出軌道で糸状に吐出されている接着剤に向けて気体を噴射して糸状の該接着剤を塗工対象物の表面に塗工する接着剤の塗工方法。
【請求項2】 前記吐出口を囲むようにその吐出方向に生じさせた旋風により前記接着剤が螺旋状に旋回するか又は一方向で往復する吐出軌道で吐出されている請求項1記載の接着剤の塗工方法。
【請求項3】 前記気体の噴射圧を変動させて前記接着剤の塗工形態を制御する請求項1又は2記載の接着剤の塗工方法。
【請求項4】 吐出口から所定の周期を有する吐出軌道で接着剤を糸状に吐出する接着剤の吐出手段と、該吐出手段から吐出された該接着剤に気体を噴射する気体の噴射手段とを備えている接着剤の塗工装置。
【請求項5】 前記吐出口を囲むようにその吐出方向に旋風を生じさせる噴射口を有しており、前記接着剤を螺旋状に旋回するか又は一方向で往復する吐出軌道で吐出するようになしてある請求項4記載の接着剤の塗工装置。
【請求項6】 前記噴射手段は、前記気体の噴射圧を変動させる圧力制御部を具備している請求項5記載の接着剤の塗工装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤の塗工方法及び装置に関わり、特に、吸収性物品の各種構成部材の表面に接着剤を塗工する際に用いて好適な接着剤の塗工方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】吸収性物品では、表面シート、吸収体、裏面シート等の各種構成部材を接合するためにホットメルト接着剤が使用されている。
【0003】従来のホットメルト接着剤の塗工方法は、吐出口を囲むようにその下方の吐出方向に旋風を生じさせた状態で、その下方の搬送ライン上を搬送される各種構成部材に向けて糸状の接着剤を該吐出口から吐出し、該接着剤を螺旋状に旋回させながら該部材表面にスパイラル状に連続的に塗工している。
【0004】ところで、吸収性物品の各種構成部材へのホットメルト接着剤の塗布は、接着剤の吸収体の吸収性阻害や裏面シートの透湿性阻害を抑えることが重要視されている。このため、部材の種類、形態やその塗工箇所に応じてホットメルト接着剤の線径を含めた塗工形態を変化できる塗工方法が望まれていた。
【0005】しかしながら、従来の塗工方法では、接着剤の吐出口の口径を狭めて線径を細めていたため、ノズルからの安定的な吐出を維持した上で線径を細くするには限界があった。また、連続的に搬送される塗工対象物に対して塗工形態を変化させることも困難であった。
【0006】従って本発明の目的は、塗工対象物の形態に応じて接着剤の線径や塗工形態を最適化することができる接着剤の塗工方法及び装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、接着剤の吐出口から所定の周期を有する吐出軌道で糸状に吐出されている接着剤に向けて気体を噴射して糸状の該接着剤を塗工対象物の表面に塗工する接着剤の塗工方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】本発明は、吐出口から所定の周期を有する吐出軌道で接着剤を糸状に吐出する接着剤の吐出手段と、該吐出手段から吐出された該接着剤に気体を噴射する気体の噴射手段とを備えている接着剤の塗工装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、その好ましい実施の形態に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0010】図1及び2は、本発明の接着剤塗工装置を、吸収性物品の構成部材への接着剤の塗工に適用した第1実施形態を示したものである。図1において、符合1は接着剤の塗工装置(以下、単に塗工装置ともいう。)を示している。
【0011】図1に示すように、塗工装置1は、吐出口から所定の周期の吐出軌道で接着剤Aを糸状に吐出する接着剤のホットメルトガン2(吐出手段)と、ホットメルトガン2から吐出された接着剤Aに空気(気体)を噴射する噴射ノズル(気体の噴射手段)3とを備えている。
【0012】ホットメルトガン2は、図2(a)に示すように、吐出口20を囲繞するように配置された4つの空気の噴射口21を有している。そして、これらの噴射口21から所定圧力の空気を周期的に所定方向に向けて噴射することで、吐出口20から吐出される接着剤Aの吐出方向D(図1参照)に向けて、旋風を生じさせ、ホットメルトガン2から接着剤Aが所定の周期の螺旋状に旋回する吐出軌道で吐出されるようになしてある。
【0013】吐出口20の口径(内径)は、ホットメルトが塗布切れしないように(目詰まりないように)する点から0.1〜2mmであることが好ましい。
【0014】吐出口20の周りに配置された空気の噴射口21の口径(内径)は、テストした結果から0.1〜2mmであることが好ましい。
【0015】本実施形態の塗工装置1では、2機のホットメルトガン2が所定間隔をおいてフレーム4に並列に固定されている。ホットメルトガン2には、例えば、ノードソン社製、商品名「スパイラルガン」を用いることができる。
【0016】図2(b)に示すように、噴射ノズル3は、接着剤Aの吐出方向Dに対して略直交する方向(水平方向)で且つ塗工対象物Oの搬送方向R(図3参照)とも略直交する方向に空気を噴射する噴射口30を縦に二つ有しており、前記ホットメルトガン2で吐出された接着剤Aの塗工対象物O表面における接着剤Aの塗工形態を、接着剤Aの線径を細めた上で当該塗工対象物Oの搬送方向Rと直交する方向に広げることができるようになしてある。
【0017】また、噴射ノズル3は、その先端部に接着剤Aの吐出方向Dに平行に空気を噴射する噴射口31を有しており、当該噴射口31から所定圧力の空気を噴射することで噴射口31より外側への接着剤Aの飛散を防止できるようになしてある。噴射ノズル3は、前記噴射口30,31に個々に圧縮空気を供給するコンプレッサー(図示せず)通じている。
【0018】噴射ノズル3は、噴射口30から噴射される空気の噴射圧を変動させる圧力制御部(図示せず。)を具備しており、塗工対象物Oの表面における接着剤Aの塗工形態を、当該塗工対象物Oの搬送方向R(図3参照)と直交する方向に変動できるようになしてある。
【0019】また、噴射ノズル3は、前記噴射口30を前記接着剤Aの吐出方向Dに変動させる変動機構(図示せず)を具備しており、各噴射口30の高さを異なる高さとなるように設定することで、塗工対象物O表面における接着剤Aの塗工形態を、当該塗工対象物Oの搬送方向Rにおいて変動できるようになしてある。
【0020】本実施形態の塗工装置1には、噴射ノズル3が、各ホットメルトガン2にそれぞれ付設されている。これら二つの噴射ノズル3は、噴射口30が互いに対向し、且つ各噴射口30の高さが異なるようにホットメルトガン2に付設されている。塗工装置1は、このようにして噴射口30の高さ位置を互いに異なる高さとすることで、塗工対象物O表面での接着剤Aの当該塗工対象物Oの搬送方向Rにおける重なり具合を調整することができるようになしてある。
【0021】次に、本発明の接着剤の塗工方法を、その好ましい実施形態として、前記塗工装置1を用いた吸収性物品の構成部材への接着剤の塗工に適用した実施形態に基づいて説明する。
【0022】先ず、二つのホットメルトガン2それぞれにおいて、吐出口20を囲むようにその吐出方向に旋風を生じさせた状態で吐出口20から接着剤Aを糸状に吐出し、接着剤Aを所定の周期の吐出軌道で螺旋状に旋回させる。
【0023】その一方で、吐出口20から吐出されて螺旋状に旋回する接着剤Aに向けて前記噴射ノズル3の噴射口30からほぼ水平方向で且つ塗工対象物Oの搬送方向Rに略直交する方向に空気を噴射するとともに、前記噴射口31から下方に向けて接着剤Aの飛散防止用の空気を噴射しながら、接着剤Aを塗工対象物Oの表面に塗工する。
【0024】本実施形態において、塗工対象物である吸収性物品の構成部材には、表面シート、裏面シート、吸収体等が挙げられる。
【0025】ホットメルトガン2から吐出される接着剤の前記吐出軌道の周期は、塗工対象物表面における接着剤の塗工形態に応じて適宜設定することができる。
【0026】ホットメルトガン2で吐出する接着剤A及びその吐出時の温度は、吸収性物品の構成部材の接着に用いられる通常のもの及び温度を特に制限無く適用することができる。
【0027】塗工対象物O表面から吐出口20までの高さは、塗工対象物Oの表面における接着剤Aの塗工形態に応じて適宜設定する。
【0028】前記噴射ノズル3の噴射口30、31から噴射する前記空気の圧力は、塗工対象物Oの表面における接着剤Aの塗工形態に応じて適宜設定することができるが、空気噴射の確実性を考慮すると0.1〜5Paであることが好ましい。また、噴射口30から噴射する空気によって糸状に吐出される接着剤Aを切断する場合には、噴射する空気の圧力は、テストの結果から1〜5Paであることが好ましい。
【0029】噴射ノズル3の噴射口30から噴射する空気の噴射圧力の変動差は、塗工対象物Oの表面における接着剤Aの塗工形態に応じて適宜設定することができる。この変動差は、エアータンクでなくすこともできる。また、噴射ノズル3の噴射口30から噴射する空気の噴射圧力の変動パターンは、周期的、間欠的等塗工対象物Oの表面における接着剤Aの塗工形態に応じて適宜設定することができる。
【0030】また、前記噴射ノズル3の噴射口30の高さは、前記変動機構によって前記接着剤Aの吐出方向Dに沿って変動させることができる。この変動差は、塗工対象物Oの表面における接着剤Aの塗工形態に応じて適宜設定することができる。
【0031】塗工装置1を用いた接着剤の塗工方法では、前記噴射ノズル3によって噴射された空気によって、接着剤の線径が細められるので、塗工対象物Oの表面における接着剤Aの線径を、0.1〜1mm、すなわち、噴射ノズル3による噴射を行わない場合の線径の約1/2以下とすることができる。また、塗工対象物Oの表面における接着剤Aのスパイラルの幅W(図3〜図5参照)を、前記噴射ノズル3で空気を噴射しない場合におけるスパイラルの幅の約1.5〜2倍以上とすることができる。
【0032】図3〜5は、塗工装置1を用いた接着剤の塗工方法により塗工された塗工対象物表面Oにおける接着剤Aの塗工形態(図4,5は一つのホットメルトガンによる塗工形態のみ)を示したものである。
【0033】図3は、塗工装置1において、ホットメルトガン2の吐出口20の高さ位置を同じとし、噴射ノズル3の噴射口30の高さを異なる高さとした場合の塗工形態を示したものである。このように噴射ノズル3の噴射口30を異なる高さとすることで、塗工対象物Oの搬送方向Rにおける二つの接着剤Aのスパイラルの重なりを所定の長さにして塗工することができる。
【0034】図4は、塗工装置1において、噴射ノズル3の噴射口30から噴射される空気の噴射圧力を周期的に変動させた場合の接着剤の塗工形態を示したものである。このように噴射ノズル3の噴射口30の噴射圧力を周期的に変動させることで、塗工対象物Oの表面に形成される接着剤Aのスパイラルを所定の波長Lを有する波状の形態で塗工することができる。
【0035】図5は、塗工装置1において、噴射ノズル3の噴射口30から噴射される空気の噴射圧を間欠的に変動させた場合の接着剤Aの塗工形態を示したものである。このように噴射ノズル3の噴射口30の噴射圧力を間欠的に変動させることで、塗工対象物Oの表面に形成される接着剤Aのスパイラルを所定の間隔でそのスパイラルの幅Wが異なる形態で塗工することができる。
【0036】以上説明したように、本実施形態の塗工装置1及びこれを用いた接着剤の塗工方法によれば、接着剤Aの線径を細めた上で、塗工対象物Oの表面に形成される接着剤Aのスパイラルの幅、スパイラルの重なり等を変更することができ、塗工対象物Oの形態に応じて接着剤Aの塗工形態を最適化することができる。したがって、塗工対象物Oの表面での接着剤Aの不要な重なり合いを防ぎ、より緻密な塗工形態を形成することができ、得られる吸収性物品における吸収性阻害や透湿性阻害をより確実に抑えることができる。
【0037】また、ホットメルトガン2とは別に噴射ノズル3で空気を噴射して接着剤Aの線径を細くすることができるので、所望の塗工形態を安定的に形成することができる。
【0038】また、噴射ノズル3の噴射口30の高さを異なる高さとすることで、塗工対象物O表面での接着剤Aの当該塗工対象物Oの搬送方向Rにおける重なり具合を調整することができるので、ホットメルトガン2自体を当該塗工対象物Oの搬送方向Rに所定間隔を置いて配置せずに済み、装置の設置スペースを抑えることができる。
【0039】また、噴射ノズル3に接着剤Aの飛散防止用の噴射口31を備えているため、塗工対象物O表面からの接着剤Aの飛散を防止することができ、塗工環境の汚れを抑えて、接着剤Aの塗工環境を良好に保つことができる。
【0040】図6は、本発明の接着剤の塗工装置の第2実施形態を示したものである。なお、第2実施形態の塗工装置は、第1実施形態における吐出手段の配置を変更したものであり、以下の説明においては、その相違する部分についてのみ説明する。
【0041】図6に示すように、第2実施形態の塗工装置1では、並列配置された2機のホットメルトガン2の間に噴射ノズル3がそれぞれ配置されている。噴射ノズル3はその噴射口30が互いに外側に向くように配置されており、噴射口30から略水平に空気を噴射できるようになしてある。
【0042】図7は、第2実施形態の塗工装置1’により塗工対象物Oの表面に塗工された接着剤Aの塗工形態を示したものである。図7に示すように、第2実施形態の塗工装置1’によれば、塗工対象物Oの表面において、所定間隔をおいて両側にスパイラルの幅Wが拡がる塗工形態で接着剤Aを連続的に塗工することができる【0043】本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0044】本発明は、前記実施形態の塗工装置1におけるように、吐出口20を囲繞するように4つの空気の噴射口21から空気を噴射して旋風を生じさせることが好ましいが、3つ以上の噴射口から空気を噴射させて旋風を生じさせ、接着剤Aを螺旋状に旋回する所定の周期の吐出軌道で吐出させるようにすることもできる。
【0045】また、塗工対象物の搬送方向に対して直交する方向で且つ吐出口の両側に等間隔に空気の噴射口を配設し、これらの噴射口から交互に空気を噴射させることで、所定の周期で該搬送方向に直交する方向(一方向)で往復する吐出軌道で吐出口から接着剤を吐出させるようにすることもできる。そして、このような塗工装置を用い、例えば、当該吐出軌道で吐出される接着剤に所定の周期で噴射圧を変動させながら空気を噴射することで、図8(図には一つホットメルトガンによる吐出形態のみを図示)に示すような、波状(連続するオメガ状)の形態で、且つ該噴射圧の変動周期に対応する波長Lで搬送方向Rと直交する方向に周期的に変動する形態で、接着剤Aを塗工することができる。
【0046】本発明は、前記実施形態におけるように、2機のホットメルトガンを並列に配置し、噴射ノズル3の噴射口を異なる高さとすることで、塗工対象物Oの表面における接着剤Aの当該塗工対象物Oの搬送方向における重なり具合を調整することが好ましいが、噴射ノズル3の噴射口30を同じ高さとし、2機以上のホットメルトガンを塗工対象物Oの搬送方向Rに所定間隔おきに千鳥格子状になるように配置することで、塗工対象物Oの表面における接着剤Aの当該塗工対象物Oの搬送方向Rにおける重なり具合を調整することもできる。
【0047】また、本発明は、3機以上のホットメルトガンを一列に配置し、その両側のホットメルトガンを前記第1実施形態のホットメルトガン及び噴射ノズルのように配設することもできる。
【0048】本発明は、前記実施形態におけるように、吸収性物品の各種構成部材への接着剤の塗工に特に好適であるが、これ以外の部材への接着剤の塗工にも適用することができる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、塗工対象物の形態に応じて接着剤の塗工形態を最適化することができる。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成13年12月3日(2001.12.3)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外1名)
【公開番号】 特開2003−164786(P2003−164786A)
【公開日】 平成15年6月10日(2003.6.10)
【出願番号】 特願2001−369247(P2001−369247)