| 【発明の名称】 |
塗布方法及び塗布装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】足助 慎太郎 【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】時間経過に伴う塗布膜の蒸発ムラを抑制し、膜厚精度の向上を図ることができる塗布方法及び塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布装置10は、液体吐出ヘッド21から液体材料を吐出して基板20に液体材料を塗布する。塗布に際し、基板20を冷却し、冷却された基板20に液体材料を塗布する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体吐出ヘッドから液体材料を吐出して基板に前記液体材料を塗布する塗布方法であって、前記基板を冷却し、冷却された前記基板に前記液体材料を塗布することを特徴とする塗布方法。 【請求項2】 前記基板が搭載されるステージを冷却し、該ステージを介して前記基板を冷却することを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。 【請求項3】 前記基板の塗布中に、次に塗布する前記基板を予め冷却することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布方法。 【請求項4】 前記基板が配される空間に冷却ガスを供給することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかに記載の塗布方法。 【請求項5】 前記液体吐出ヘッドを一定温度に温調することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかに記載の塗布方法。 【請求項6】 前記液体材料は、蒸発速度指数が30以下の溶媒を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれかに記載の塗布方法。 【請求項7】 液体吐出ヘッドから液体材料を吐出して基板に前記液体材料を塗布する塗布装置であって、前記基板を冷却する冷却装置を備えることを特徴とする塗布装置。 【請求項8】 前記基板が搭載されるステージを備え、前記冷却装置は、前記ステージを冷却し、該ステージを介して前記基板を冷却することを特徴とする請求項7に記載の塗布装置。 【請求項9】 前記冷却装置は、前記基板の塗布中に、次に塗布する前記基板を予め冷却する予備冷却部を有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の塗布装置。 【請求項10】 前記ステージを複数備え、前記予備冷却部は、次に塗布する前記基板が搭載されるステージであることを特徴とする請求項9に記載の塗布装置。 【請求項11】 前記基板が配される空間に冷却ガスを供給する冷却ガス供給装置を備えることを特徴とする請求項7から請求項10のうちのいずれかに記載の塗布装置。 【請求項12】 前記液体吐出ヘッドを一定温度に温調する温調装置を備えることを特徴とする請求項7から請求項11のうちのいずれかに記載の塗布装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、塗布方法及び塗布装置に関し、特に、液体吐出ヘッドから液体材料を吐出して基板に液体材料を塗布する液体吐出方式の塗布方法及び塗布装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、基板に液体材料を塗布する技術として、液体吐出方式による塗布技術の利用が拡大する傾向にある。液体吐出方式による塗布技術は、一般に、基板と液体吐出ヘッドとを相対的に移動させながら、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルから液体材料を液滴として吐出し、その液滴を基板上に繰り返し付着させて塗布膜を形成するものであり、スピンコート方式などの従来の塗布技術に比べて、液体材料の消費に無駄が少なく、液体材料の吐出制御を行いやすいといった利点を有する。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液体吐出方式による塗布技術では、基板と液体吐出ヘッドとを相対的に移動させながら液体材料の塗布を行うため、相対移動中に、すでに塗布した領域から塗布膜の蒸発が進む。そのため、塗り始めと塗り終わりとで、塗布膜に時間経過に伴う蒸発ムラが生じ、これが膜厚精度の低下を招くおそれがある。 【0004】特に、液体吐出方式によって、大型の基板に液体材料を塗布する場合には、塗り始めと塗り終わりとの時間差が大きいため、上述した蒸発ムラが生じやすく、膜厚精度の低下を招きやすい。 【0005】本発明は、上述する事情に鑑みてなされたものであり、時間経過に伴う塗布膜の蒸発ムラを抑制し、膜厚精度の向上を図ることができる塗布方法及び塗布装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の塗布方法は、液体吐出ヘッドから液体材料を吐出して基板に前記液体材料を塗布する塗布方法であって、前記基板を冷却し、冷却された前記基板に前記液体材料を塗布することを特徴とする。 【0007】本発明の塗布方法では、基板を冷却し、冷却された基板に液体材料を塗布することにより、基板に塗布された液体材料の温度が降下し、液体材料の蒸発が抑制される。そのため、時間経過に伴う塗布膜の蒸発ムラが抑制され、膜厚精度の向上が図られる。また、時間経過に伴う塗布膜の蒸発ムラが抑制されることから、大型の基板に対しても、精度よく塗布を行うことができる。 【0008】上記の塗布方法において、前記基板が搭載されるステージを冷却し、該ステージを介して前記基板を冷却してもよい。基板が搭載されるステージを介して基板を冷却することにより、塗布中、基板の冷却状態を容易かつ確実に維持することができる。そのため、塗布開始時点と塗布終了時点とで基板の温度を一定に保ち、塗布膜の蒸発ムラを確実に抑制することができる。 【0009】また、上記の塗布方法においては、前記基板の塗布中に、次に塗布する前記基板を予め冷却するのが好ましい。基板の塗布中に、次に塗布する基板を予め冷却することにより、基板冷却に要する時間によるスループットの低下を防止できる。 【0010】また、上記の塗布方法において、前記基板が配される空間に冷却ガスを供給してもよい。基板が配される空間に冷却ガスを供給することにより、基板と周囲との温度差が少なくなり、基板を短時間で冷却できる。また、基板と周囲との温度差が少なくなることにより、基板をより均一に冷却できるとともに、基板の冷却状態を確実に維持できる。 【0011】また、上記の塗布方法においては、前記液体吐出ヘッドを一定温度に温調するのが好ましい。液体吐出ヘッドを一定温度に温調することにより、冷却された基板に対して、液体吐出ヘッドから安定して液体材料を吐出することができる。すなわち、上記温調により、冷却雰囲気、あるいは冷却された基板との接近による液体吐出ヘッドの温度降下、及びその温度降下に伴う液体吐出ヘッドの吐出性能の低下が防止される。 【0012】また、上記の塗布方法において、前記液体材料は、蒸発速度指数が30以下の溶媒を含んでもよい。液体材料が、蒸発速度指数が30以下の溶媒を含むことにより、基板に塗布された液体材料の蒸発がさらに抑制される。そのため、蒸発ムラがさらに抑制される。 【0013】また、上記の目的を達成するために、本発明の塗布装置は、液体吐出ヘッドから液体材料を吐出して基板に前記液体材料を塗布する塗布装置であって、前記基板を冷却する冷却装置を備えることを特徴とする。 【0014】本発明の塗布装置は、基板を冷却する冷却装置を備えることから、上述した本発明の塗布方法を実施できる。つまり、本発明の塗布装置では、冷却装置によって基板を冷却し、冷却された基板に液体材料を塗布することにより、基板に塗布された液体材料の温度が降下し、液体材料の蒸発が抑制される。そのため、時間経過に伴う塗布膜の蒸発ムラが抑制され、膜厚精度の向上が図られる。また、時間経過に伴う塗布膜の蒸発ムラが抑制されることから、大型の基板に対しても、精度よく塗布を行うことができる。 【0015】上記の塗布装置において、前記基板を保持するステージを備え、前記冷却装置は、前記ステージを冷却し、該ステージを介して前記基板を冷却してもよい。基板が搭載されるステージを介して基板を冷却することにより、塗布中、基板の冷却状態を容易かつ確実に維持することができる。そのため、塗布開始時点と塗布終了時点とで基板の温度を一定に保ち、塗布膜の蒸発ムラを確実に抑制することができる。 【0016】また、上記の塗布装置においては、前記冷却装置は、前記基板の塗布中に、次に塗布する前記基板を予め冷却する予備冷却部を有するのが好ましい。上記予備冷却部において、基板の塗布中に、次に塗布する基板を予め冷却することにより、基板冷却に要する時間によるスループットの低下を防止できる。 【0017】また、上記の塗布装置においては、前記ステージを複数備え、前記予備冷却部は、次に塗布する前記基板が搭載されるステージであってもよい。予備冷却部が、次に塗布する基板が搭載されるステージであることにより、所定のステージ上での基板の塗布中に、別のステージ上で次に塗布する基板が冷却される。この場合、基板の冷却後、その基板が基板ステージに搭載されたそのままの状態で次の塗布動作に移れることから、動作に無駄が少なく基板の冷却温度も維持しやすい。また、新たに予備冷却部を設けるスペースが必要がなく、装置の省スペース化及び簡素化を図ることができる。 【0018】また、上記の塗布装置において、前記基板が配される空間に冷却ガスを供給する冷却ガス供給装置を備えてもよい。上記冷却ガス供給装置を備え、基板が配される空間に冷却ガスを供給することにより、基板と周囲との温度差が少なくなり、基板を短時間で冷却できる。また、基板と周囲との温度差が少なくなることにより、基板をより均一に冷却できるとともに、基板の冷却状態を確実に維持できる。 【0019】また、上記の塗布装置において、前記液体吐出ヘッドを一定温度に温調する温調装置を備えるのが好ましい。上記温調装置を備え、液体吐出ヘッドを一定温度に温調することにより、冷却された基板に対して、液体吐出ヘッドから安定して液体材料を吐出することができる。すなわち、上記温調により、冷却雰囲気、あるいは冷却された基板との接近による液体吐出ヘッドの温度降下、及びその温度降下に伴う液体吐出ヘッドの吐出性能の低下が防止される。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る塗布装置の実施の形態の一例を模式的に示しており、本実施例の塗布装置は、液体吐出方式の塗布装置である。 【0021】図1において、塗布装置10は、レジスト等の液体材料を基板20に向けて吐出する液体吐出ヘッド21、基板20が搭載される基板ステージ22、及びこれらを統括的に制御する制御装置23等を備えて構成されており、液体吐出ヘッド21と基板ステージ22とは、一つのチャンバ24内に配置されている。また、図1において、XYZ直交座標系が用いられ、XYZ直交座標系は、基板20が搭載される基板ステージ22に対して平行となるようにX軸及びY軸が設定され、Z軸が基板ステージ22に対して直交する方向に設定されている。 【0022】基板20としては、本実施例では、半導体素子の製造に用いられるシリコンからなるウエハが用いられる。また、基板20上に塗布される液体材料としては、レジスト(フォトレジスト)が用いられる。すなわち、本実施例は、半導体素子の製造プロセスに用いられるレジストの塗布装置に本発明を適用したものである。なお、本発明が適用される塗布装置は、半導体素子の製造プロセス用に限定されず、液晶表示素子、EL素子、撮像素子(CCD)、磁気ヘッド等のデバイスの他、カラーフィルタやタッチパネル等の装置の製造用としても適用可能であり、1000×1200mmなどの液晶基板のごとく、大型の基板に対して特に有効である。そのため、本発明に用いられる基板としては、シリコン基板に限らず、ガラス基板、石英基板、セラミックス基板、金属基板、プラスチック基板、プラスチックフィルム基板等、他の材質の基板も適用される。また、本発明に用いられる液体材料としては、レジストに限定されず、カラーインク、保護膜用液体材料、または塗布シリコン酸化膜を形成するための液体材料であるSOG(SpinOn Glass)、低誘電率層間絶縁膜を形成するためのLow-k材料、その他揮発性液体材料など他の液体材料も適用可能である。 【0023】液体吐出ヘッド21は、液体吐出方式により、液体材料(レジスト)をノズル30から吐出するものである(図2参照)。液体吐出方式としては、圧電体素子としてのピエゾ素子を用いてインクを吐出させるピエゾ方式、液体材料を加熱し発生した泡(バブル)により液体材料を吐出させるバブル方式等、公知の種々の技術を適用できる。このうち、ピエゾ方式は、液体材料に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えないという利点を有する。なお、本実施の形態では、上述のうち、ピエゾ方式を用いた。 【0024】図2は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。図2において、液体材料を収容する液体室31に隣接してピエゾ素子32が設置されている。液体室31には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系34を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子32は駆動回路33に接続されており、この駆動回路33を介してピエゾ素子32に電圧を印加し、ピエゾ素子32を変形させることにより、液体室31が変形し、ノズル30から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子32の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子32の歪み速度が制御される。液体吐出ヘッド21では、こうしたピエゾ素子32への印加電圧の制御により、ノズル30からの液体材料の吐出の制御が行われる。 【0025】図1に戻り、基板ステージ22は、基板20を保持するための真空吸着用の孔や、リフトアップ用の機構(いずれも不図示)等を有しており、基板20を真空圧で吸着保持する。また、不図示のベース上に配置され、二次元平面内(図1中のXY平面内)で駆動自在に配置されている。また、基板ステージ22は、例えばリニアモータ等からなる駆動装置35を有しており、制御装置23の指令のもとで、基板20の所定位置への位置決めや移動を行う。液体材料の塗布時において、液体吐出ヘッド21から液体材料を吐出しながら、基板ステージ22を介して、基板20と液体吐出ヘッド21とを相対移動させることにより、基板20上に液体材料の塗布膜が形成される。 【0026】図3(a)及び(b)は、塗布時における基板20と液体吐出ヘッド21との相対移動の一例を示す図である。図3(a)の例では、液体吐出ヘッド21の幅(図3におけるY方向の長さ)が基板20上の塗布領域20aの幅(図3におけるY方向の長さ)に対して小さく形成されている。この場合、基板20と液体吐出ヘッド21とをX方向及びY方向に相対移動させることにより、基板20全体に液体材料が塗布される。すなわち、図3(a)において、液体吐出ヘッド21は、まず、基板20上をX方向に相対的に走査移動し、基板20上の塗布領域20aのうち、Y方向の一部の領域(図3における上部領域)を塗布する。続いて、液体吐出ヘッド21は、Y方向に相対的にシフト移動し、その後、再びX方向に基板20上を相対的に走査移動し、先に塗布した領域に隣接するY方向の一部の領域を塗布する。このように、図3(a)の例では、液体吐出ヘッド21は、X方向への走査移動と、Y方向へのシフト移動とを繰り返すことにより、基板20上の塗布領域20aの全体を塗布する。 【0027】また、図3(b)の例では、液体吐出ヘッド21の幅が基板20上の塗布領域20aの幅に対して大きく形成されている。この場合、基板20と液体吐出ヘッド21とをX方向にのみ相対移動させることにより、基板20全体に液体材料が塗布される。すなわち、図3(b)において、液体吐出ヘッド21は、基板20上を、X方向に相対的に一度走査移動を行うことにより、基板20上の塗布領域20aの全体を塗布する。液体吐出ヘッド21には、前述したノズル30(図3参照)がY方向に複数並べて設けられており、複数のノズル30のうち、基板20上の塗布領域20aの形状に応じて選択されたノズル30から液体材料が吐出される。 【0028】なお、上述したように、本実施例では、基板ステージ22を介して基板20を移動させることにより、塗布時における基板20と液体吐出ヘッド21との相対移動を行う。しかしながら、本発明はこれに限定されず、液体吐出ヘッド21を移動させて上記相対移動を行ってもよく、あるいは基板20と液体吐出ヘッド21との双方を移動させて上記相対移動を行ってもよい。基板20と液体吐出ヘッド21との双方を移動させる場合、一方(例えば液体吐出ヘッド21)の移動により上記走査移動を行い、他方(例えば基板20)の移動により上記シフト移動を行ってもよい。また、基板20と液体吐出ヘッド21との間隔(距離)は、不図示のZ駆動装置を介して調整される。さらに、液体吐出ヘッド21あるいは基板20のXY平面に対する傾きを調整する手段や、XY平面内での回転角を調整する手段を備えてもよい。 【0029】図1に戻り、本実施例の塗布装置10は、基板20を冷却する冷却装置50と、液体吐出ヘッド21を一定温度に温調する温調装置51と、冷却ガス供給装置52とを備えている。冷却装置50は、本実施例では、基板ステージ22を介して基板20を冷却するように構成されている。冷却方式としては、例えば、所定温度に冷却された冷媒を対象となる物体内またはその近傍に流動させ、冷媒との熱交換により対象物体を冷却させる方式が用いられる。冷媒としては、例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンなどのフルオロカーボン系や、炭化水素系、アンモニア、空気等が用いられる。なお、本発明に適用される冷却方式は上記方式に限定されず、ペルティエ効果を利用した方式、トムソン効果を利用した方式など、種々の公知の技術が適用可能である。 【0030】温調装置51は、液体吐出ヘッド21を加熱するヒータ(電熱線などを含む)、液体吐出ヘッド21の温度(特にノズル30近傍及び液体室近傍の温度)を計測する計測器、計測器からの計測結果に基づいてヒータを制御する制御器(いずれも不図示)等を備えて構成されており、液体吐出ヘッド21を所定の温度に加熱するとともに、所定の温度範囲内に液体吐出ヘッド21及びその内部の液体材料を温調するようになっている。 【0031】冷却ガス供給装置52は、冷却ガスが収容されたタンク等を備え、所定の温度に設定された冷却ガスを塗布装置10のチャンバ24内に供給する。冷却ガスとしては、窒素ガスやヘリウムガスなど、液体材料に対して不活性なガスが好ましい。なお、チャンバ24内の内部圧力を高めるように、冷却ガスでチャンバ24内をパージしてもよい。 【0032】上記構成の本実施例の塗布装置10では、液体材料の塗布に際し、冷却装置50によって、基板ステージ22を介して基板20を冷却する。また、冷却ガス供給装置52によって基板20が配される空間に冷却ガスを供給し、その空間の雰囲気温度を低下させる。 【0033】基板ステージ22の冷却温度としては、例えば、液体材料の種類や所望膜厚などの塗布条件に応じて、5〜15℃の範囲内の所定の温度に設定される。さらに、塗布条件によっては、5℃以下にも冷却され、−5℃〜15℃の範囲内の所定の温度に設定される。5℃以下に基板ステージ22を冷却する際には、基板20が配される空間を目標冷却温度以下の低温の冷却ガスでパージし、結露を防止する。なお、上記冷却温度は一例であって、本発明は上記冷却温度に限定されない。また、本実施例の塗布装置10では、基板ステージ22上に基板20が真空圧で吸着保持されることから、基板ステージ22が冷却されることにより基板20も速やかに冷却される。 【0034】基板ステージ22上の基板20が冷却されると、基板20に液体材料を塗布する。この際、基板20が冷却された状態にあることから、基板20に塗布された液体材料は温度降下し、この温度降下により蒸発が抑制される。 【0035】このように、本実施例では、基板20を冷却し、冷却された基板20に液体材料を塗布することにより、基板20に塗布された液体材料の蒸発が抑制される。そのため、時間経過に伴う塗布膜の蒸発ムラが抑制され、膜厚精度の向上が図られる。また、時間経過に伴う塗布膜の蒸発ムラが抑制されることから、大型の基板20に対しても、精度よく塗布を行うことが可能となる。 【0036】また、本実施例では、基板20が搭載される基板ステージ22を介して基板20の冷却を行うことから、塗布中、基板20の冷却状態が容易かつ確実に維持される。そのため、塗布開始時点と塗布終了時点とで基板20の温度が一定に保たれ、塗布膜の蒸発ムラが確実に抑制される。 【0037】また、本実施例では、冷却ガス供給装置52を介して、基板20が配される空間に冷却ガスが供給されることから、基板20と周囲雰囲気との温度差が少なくなり、基板20が短時間で冷却される。また、基板20と周囲との温度差が少なくなることにより、基板20がより均一に冷却されるとともに、基板20の冷却状態がさらに確実に維持される。 【0038】ここで、本実施例において液体材料として用いられるレジストを形成する物質としては、例えば、半導体デバイス製造において一般的に用いられている、クレゾールノボラック系樹脂に感光剤としてジアゾナフトキノン誘導体を配合した市販のポジ型のレジストをそのまま利用できる。ポジ型のレジストとは、所定のパターンに応じて放射線に暴露することにより、放射線によって暴露された領域が現像液により選択的に除去可能となる物質のことである。なお、レジストとしては、これに限定されず処理プロセスに応じて任意のものが適用可能である。レジストに含まれる溶剤成分としては、種々の有機溶剤、例えば、メトキシプロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メトキシメチルプロピネオート、エトキシエチルプロピオネート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、エチルラクテート、エチルピルビネート、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、ブチルアセテートなどから選ばれる一種または複数種の利用が可能である。 【0039】また、液体材料に含まれる溶剤成分としては、蒸発速度指数が30以下であることが好ましい。ここで、蒸発速度指数Eは、次式(1)に示すように溶剤の飽和蒸気圧と分子量によって決定される値である。溶剤は、蒸発速度指数が大きいほうが蒸発しやすく、逆にその値が小さいほうが蒸発しにくい。なお、溶剤として一般的に用いられる酢酸ブチルの場合、蒸発速度指数Eは100である。 蒸発速度指数E=kpM …(1) ここで、k:定数(20℃のときk=0.11、30℃のときk=0.054)、p:飽和蒸気圧、M:分子量である。液体材料が、蒸発速度指数が30以下の溶媒を含むことにより、基板20に塗布された液体材料の蒸発がさらに抑制される。そのため、蒸発ムラがさらに抑制される。なお、蒸発速度指数が30以下の溶媒としては、例えば、メチルアミノケトン、エチレングリコールモノメチルアセテート、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。 【0040】また、本実施例では、基板ステージ22の冷却や、冷却ガスによる雰囲気温度の冷却に対して、温調装置51を介して、液体吐出ヘッド21を一定温度に温調する。液体吐出ヘッド21の温調温度は、液体材料の特性や液体吐出ヘッド21の吐出特性に応じて、例えば20〜22℃に設定される。液体吐出ヘッド21を一定温度に温調することにより、冷却された基板20に対して、液体吐出ヘッド21から安定して液体材料を吐出することができる。すなわち、この温調により、冷却雰囲気、あるいは冷却された基板20との接近による液体吐出ヘッド21の温度降下、及びその温度降下に伴う液体吐出ヘッド21の吐出性能の低下が防止される。なお、上記温調温度は一例であって、本発明は上記温調温度に限定されない。 【0041】ここで、本実施例に基づいて、基板上にレジスト(TFR−H:東京応化社製)を液体吐出方式により塗布した実施結果について説明する。塗布条件は、基板の冷却を行わない従来の塗布方法で塗布膜の膜均一性が±10%前後の条件と同一とした。基板ステージの冷却温度は15℃とし、液体吐出ヘッドの温度は22℃とした。この場合、基板の冷却及び液体吐出ヘッドの温調により、蒸発ムラに伴う塗布ムラが解消され、±2%程度の膜均一性を得ることができた。 【0042】次に、図4は、上記塗布装置10による塗布手順の一例を模式的に示す図である。本例では、塗布装置10は、基板ステージ22を複数(ここでは2つ)備えており、一方の基板ステージ22aでの基板20の塗布中に、次に塗布する基板20を予め冷却する。 【0043】まず、図4(a)において、一方の基板ステージ22aでは、基板20と液体吐出ヘッド21とが相対的に移動されながら塗布動作が行われている。また、基板ステージ22aは冷却装置50によって冷却されており、液体吐出ヘッド21は温調装置51によって温調されている。この基板ステージ22aでの基板20の塗布中に、次に塗布する基板20を、他方の基板ステージ22b上に搭載する。この基板ステージ22bは、冷却装置50によりすでに冷却された状態にあり、基板ステージ22bに搭載された基板20は基板ステージ22b上で速やかに冷却される。 【0044】次に、図4(b)において、基板ステージ22aでは、基板20の全体に液体材料が塗布され塗布膜が形成される。基板ステージ22bでは、基板ステージ22aでの塗布時間の間に基板20が所望の温度にまで冷却され安定した冷却状態となる。 【0045】次に、図4(c)において、塗布膜が形成された基板20を載せた基板ステージ22aに代わって、次の基板20を載せた基板ステージ22bを塗布位置に配置する。基板ステージ22b上の基板20はすでに所望の冷却状態にあるので、速やかに次の塗布動作が行われる。また、基板ステージ22aでは、塗布膜が形成された基板20が搬出されるとともに、次の基板20が搭載される。そして、基板ステージ22a,22bが入れ替わった状態で、図4(a)の状態に戻り、以後上述した動作が繰り返される。 【0046】このように、本例では、基板20の塗布中に、次に塗布する基板20を予め冷却することにより、先の基板20の塗布が終了した時点で、次の基板20がすでに所望の冷却状態となっている。そのため、基板20の冷却に要する時間に伴うスループットの低下を防止できる。また、本例では、次に塗布する基板20の冷却場所が基板ステージ22bであることから、基板20の塗布中に、そのステージ上で次に塗布する基板20が冷却される。この場合、基板20の冷却後、その基板20が基板ステージ22に搭載されたそのままの状態で次の塗布動作に移れ、載せ変え等を伴わないことから、動作に無駄が少なく基板20の冷却温度が確実に維持される。 【0047】なお、上記例では、次の基板を予め冷却する予備冷却部を基板ステージとしているが、予備冷却部を基板ステージ以外の場所に設けてもよい。例えば、冷却用のチャンバを別に設け、そこを予備冷却部としてもよい。この場合、急速な冷却を行うなど基板ステージでの冷却条件とは異なる条件での冷却を実施できる。これにより、冷却しにくい材質の基板の冷却に要する時間の短縮化を図ることができる。また、上記例では、塗布時において、基板ステージを介して基板を冷却しているが、基板ステージによる冷却を省略してもよい。すなわち、例えば、チャンバからなる予備冷却部で予め冷却しておき、冷却完了後、塗布装置のチャンバ内に搬入する。この場合、チャンバ内の雰囲気を冷却ガスのパージ等によって冷却状態にしておくことにより、基板ステージでの冷却を省略することが可能である。 【0048】また、上述したように、本発明の塗布方法及び塗布装置を用いることにより、膜厚精度の向上を図ることができることから、半導体素子の製造に際し、高精度あるいは高品質なデバイスを製造することが可能となる。上述した実施例では、半導体素子の製造プロセスに本発明を適用した例を示したが、他の製造プロセスに本発明を適用することにより、液晶表示素子、EL素子、撮像素子(CCD)、磁気ヘッド等のデバイスの他、カラーフィルタやタッチパネル等の装置等、各種デバイスあるいは装置の高品質化を図ることができる。 【0049】以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。 【0050】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の塗布方法及び塗布装置によれば、基板を冷却し、冷却された基板に液体材料を塗布することにより、液体材料の蒸発を抑制することができる。そのため、時間経過に伴う塗布膜の蒸発ムラを抑制し、膜厚精度の向上を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
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| 【出願日】 |
平成13年12月3日(2001.12.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095728 【弁理士】 【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−164785(P2003−164785A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月10日(2003.6.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−369170(P2001−369170) |
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